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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】乗物用の椅子および乗物
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/64 20060101AFI20240918BHJP
   B60N 2/30 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B60N2/64
B60N2/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021050638
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148815
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊之
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-005635(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0189851(US,A1)
【文献】実開昭62-016525(JP,U)
【文献】実開平03-063424(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0164777(US,A1)
【文献】独国特許発明第19820880(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1座面を有する腰掛けと、
背もたれと、
前記腰掛けと前記背もたれとを連結した連結部材とを備え、
前記背もたれは、使用者が第1座面に座ったとき使用者の背中と対向する背もたれ面と、前記背もたれ面と反対側の後面とを有し、
前記連結部材は、前記腰掛けに、回転可能に接続され、
前記背もたれが、前記連結部材に対して回転可能であり、
前記背もたれが前記腰掛けに近づくように前記連結部材が前記腰掛けに対して回転するとともに、前記背もたれが前記連結部材に対して回転することにより、前記第1座面より高い位置で、前記後面が前記第1座面に対向し且つ前記背もたれ面が上方を向くとともに、前記背もたれの一端が前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出し、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れ、
上方を向いた前記背もたれ面が、第2座面となる、ことを特徴とする乗物用の椅子。
【請求項2】
前記第1座面より高い位置で、前記背もたれ面が上方を向くとともに、前記背もたれの一端が前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出し、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れているとき、前記背もたれにおいて前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出した部分と、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れている部分との間に、前記後面において前記第1座面と接する部分が存在することを特徴とする請求項1に記載の乗物用の椅子。
【請求項3】
前記第1座面が、曲面である、または、弾性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の乗物用の椅子。
【請求項4】
上方を向いた前記背もたれ面が、曲面である、および/または、弾性を有することを特徴とする請求項3に記載の乗物用の椅子。
【請求項5】
前記第1座面より高い位置で、前記背もたれ面が上方を向いているとともに、前記背もたれの一端が前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出し、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れているとき、前記背もたれの一端から前記背もたれの前記連結部材に連結された部分までの長さが、前記背もたれの他端から前記背もたれの前記連結部材に連結された部分までの長さより長いことを特徴とする請求項1または2に記載の乗物用の椅子。
【請求項6】
前記第1座面より高い位置で、前記背もたれ面が上方を向いた状態を保持する保持手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗物用の椅子。
【請求項7】
請求項1または2に記載の前記椅子と、前記椅子が取り付けられた基体とを備えた乗物であり、
前記腰掛けが、前記基体に回転可能に取り付けられ、
前記連結部材が回転するとき、前記第1座面は上方を向いた状態に保持されていることを特徴とする乗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用の椅子および椅子が搭載された乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用の椅子として、特許文献1には、座面および座面受けを有する可動部を備えた椅子が記載されている。可動部は、略垂直姿勢と略水平姿勢との間を搖動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3203268号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
子供や女性などの小柄な体格の乗客や乗務員が乗物用の椅子に座った場合、視界が低く感じたり、前方の視界が遠く感じたりすることがある。また、小柄な体格の女性乗務員が運転席に座った場合、上記に加え、運転台が遠く感じることがある。この場合、座面にクッションなどを置くことにより、腰掛ける位置を高くしたり、腰掛ける位置を前方にしたりすることがあるが、クッションなどを使用することなく、腰掛け位置を調整できることが望ましい。
【0005】
本発明は、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗物用の椅子は、第1座面を有する腰掛けと、背もたれと、前記腰掛けと前記背もたれとを連結した連結部材とを備え、前記背もたれは、使用者が第1座面に座ったとき使用者の背中と対向する背もたれ面と、前記背もたれ面と反対側の後面とを有し、前記連結部材は、前記腰掛けに、回転可能に接続され、前記背もたれが、前記連結部材に対して回転可能であり、前記背もたれが前記腰掛けに近づくように前記連結部材が前記腰掛けに対して回転するとともに、前記背もたれが前記連結部材に対して回転することにより、前記第1座面より高い位置で、前記後面が前記第1座面に対向し且つ前記背もたれ面が上方を向くとともに、前記背もたれの一端が前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出し、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れ、上方を向いた前記背もたれ面が、第2座面となる。
上記構成において、前記背もたれ面が上方を向くとともに、前記背もたれの一端が前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出し、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れているとき、前記背もたれにおいて前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出した部分と、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れている部分との間に、前記後面において前記第1座面と接する部分が存在してもよい。
前記第1座面が、曲面である、または、弾性を有するものでもよい。
上方を向いた前記背もたれ面が、曲面である、および/または、弾性を有するものでもよい。
【0007】
連結部材が回転することにより、背もたれによる第2座面が、腰掛けの第1座面より高い位置に形成される。第2座面は、腰掛けの第1座面より高位置であり、且つ、第1座面より前方に突出した部分を有する。そのため、使用者が第2座面に腰掛けたとき、第1座面に腰掛けたときより、高位置の視界が得られるとともに、より前方の視界が得られる。また、運転席に上述した椅子が採用されている場合、乗務員が第2座面に腰掛けたとき、上記効果に加え、運転台に近い位置に座ることができる。
このように、本発明に係る椅子によると、腰掛けの座面を第1座面として利用することができる。また、連結部材が回転することによって、背もたれ面が、座面(第1座面)と異なる位置に、第2座面として配置されることにより、背もたれによる第2座面を利用することができる。使用者は、腰掛けの第1座面と、背もたれの第2座面とを、使い分けることができる。これにより、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【0009】
また、連結部材が腰掛けに対して回転するとともに、背もたれが連結部材に対して回転することにより、背もたれ面が上方を向く。使用者は、背もたれ面を第2座面として利用することができる。使用者は、腰掛けの第1座面と、背もたれ面の第2座面とを、使い分けることができる。これにより、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【0012】
また、上述した構成において、前記第1座面より高い位置で、前記背もたれ面が上方を向いているとともに、前記背もたれの一端が前記腰掛けの先端より前記連結部材と反対側に突出し、前記背もたれの一端と反対側の前記背もたれの他端部において前記後面が前記第1座面から離れているとき、前記背もたれの一端から前記背もたれの前記連結部材に連結された部分までの長さが、前記背もたれの他端から前記背もたれの前記連結部材に連結された部分までの長さより長くてもよい。
【0013】
背もたれの長さを、背もたれの連結部材に連結された部分に対して、腰掛けの先端側へ突出する一方側を長くし、反対側を短くすることにより、背もたれ全体が不要に大きくならないようにすることができる。これにより、椅子の軽量化を図ることができる。また、椅子のコストを低減することができる。
【0014】
また、上述した構成において、前記第1座面より高い位置で、前記背もたれ面が上方を向いた状態を保持する保持手段をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
上述した構成によると、保持手段により、使用者が背もたれの第2座面に腰掛けたとき、第2座面が不意に動くことが抑制される。そのため、使用者が第2座面に安心して腰掛けることができる。
【0016】
本発明の乗物は、上述した椅子と、前記椅子が取り付けられた基体とを備えた乗物であり、前記腰掛けが、前記基体に回転可能に取り付けられ、前記連結部材が回転するとき、前記第1座面は上方を向いた状態に保持されている
【0017】
上記構成によると、腰掛けを折り畳むことが可能な椅子を有する乗物において、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る椅子の側面図である。
図2】(a)は背もたれの側面図であり、(b)は背もたれの背面図である。
図3】(a)および(b)は第1実施形態に係る椅子の動作を順に示す側面図である。
図4】(a)および(b)は第1実施形態に係る椅子の動作を順に示す側面図である。
図5】第2実施形態に係る椅子の側面図である。
図6】(a)および(b)は第2実施形態に係る椅子の動作を順に示す側面図である。
図7】第3実施形態に係る椅子の側面図である。
図8】(a)および(b)は第3実施形態に係る椅子の動作を順に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
ここでは、本発明の第1実施形態に係る乗物用の椅子1(以下では、単に「椅子」と称することがある)について、図1図4を参照しつつ以下に説明する。図1に、乗物用の椅子1の側面図を示している。
【0021】
椅子1は、図1に示すように、腰掛け11と、背もたれ12と、連結部材13と、ベース14と、を備えている。椅子1は、台座2および昇降機構3を介して、基台4に取り付けられている。基台4は、乗物の一部である。基台4は、乗物のどの部分でもよい。基台4は、例えば、壁でもよく、仕切りでもよい。
【0022】
腰掛け11は、座面11Aを有する。座面11Aは上方を向いている。図1に示すように、座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ12が立っているとき、使用者は座面11Aに腰掛けることができる。
【0023】
腰掛け11は、その下方にある腰掛け受け21に取り付けられている。腰掛け11は、図示しない前後移動機構により、腰掛け受け21に対して、図1中の前後方向に移動可能である。図1中の前方向とは、基台4から遠ざかる方向である。図1中の後方向とは、基台4に近づく方向である。
【0024】
腰掛け受け21は、台座2に、回転可能に固定されている(後述の図4(a)および図4(b)参照)。台座2は、昇降機構3の昇降部42に取り付けられている。
【0025】
昇降機構3は、軸部41と、昇降部42と、レバー43と、を有する。軸部41が、乗物の基台4に固定されている。昇降部42は、軸部41に摺動しながら昇降することが可能である。レバー43は、昇降部42に接続されている。昇降部42に台座2が取り付けられている。使用者がレバー43を動かすことにより、昇降部42が昇降する。昇降部42とともに、台座2および椅子1が上方向または下方向へ移動する。
【0026】
座面1Aの形状は特に限定されない。座面1Aは、例えば、平面状でもよく、凹状でもよく、凸状でもよく、凹凸を有する波形でもよい。座面1Aは、クッション性(弾性)を有していてもよい。座面1Aは、硬くてもよい。座面1Aは、生地でもよい。腰掛け11の材質は特に限定されない。
【0027】
背もたれ12、背もたれ面12Xおよび後面12Yの形状は特に限定されない。例えば、背もたれ面12Xは、平面状でもよく、凹状でもよく、凸状でもよく、凹凸を有する波形でもよい。例えば、背もたれ面12Xは、クッション性(弾性)を有していてもよい。例えば、背もたれ面12Xは、硬くてもよい。例えば、背もたれ面12Xは、生地でもよい。背もたれ12の材質は特に限定されない。
背もたれ12の後面12Yについても同様である。
【0028】
腰掛け11と背もたれ12とは、柱状の連結部材13によって連結されている。連結部材13は、ベース14に、回転可能に取り付けられている。ベース14は、腰掛け11の側部に取り付けられている。連結部材13は、ベース14を介して、腰掛け11に回転可能に取り付けられている。
【0029】
背もたれ12は、連結部材13の上端部に、回転可能に取り付けられている。背もたれ12は、連結部材13に取り付けられた回転軸15を中心に回転可能である。
【0030】
図2(a)に、背もたれ12の側面図を示している。図2(a)には、背もたれ12が立っているときを示している。背もたれ12は、背もたれ面12Xと、後面12Yと、を有する。背もたれ面12Xは、使用者が座面1A(図1参照)に座ったとき、使用者の背中に対向する面である。後面12Yは、背もたれ面12Xと反対側の面である。
【0031】
背もたれ12の後面12Y側に、第1穴12aおよび第2穴12bが形成されている。第1穴12aおよび第2穴12bは、後面12Yから背もたれ面12Xに向かって凹んでいる。図2(a)に示す状態において、第1穴12aは、図2(a)中の上下方向について、第2穴12bより高位置に形成されている。第1穴12aと第2穴12bは、図2(a)中の上下方向に離れている。
【0032】
図2(b)に、背もたれ12の後面12Yを示している。図2(b)には、図1に示す連結部材13を破線で示している。連結部材13は、背もたれ12の両側に配置されている。第1穴12aおよび第2穴12bは、図2(b)中の左右方向について背もたれ12の一端から他端まで形成されている。
【0033】
連結部材13の上端部に、回転軸15が取り付けられている。背もたれ12は、回転軸15を中心に回転可能である。回転軸15から下方に離れた位置に、棒30が配置されている。棒30は、2つの連結部材13に架け渡されている。図1および図2(b)に示すように、背もたれ12が立った状態では、棒30が、下側の第2穴12bに嵌まっている。
【0034】
次に、図1図3(a)および図3(b)を参照しつつ、椅子1の動きについて説明する。
【0035】
図1に示す状態から、背もたれ12を前方へ倒す。これにより、連結部材13が図中、左回転する。また、背もたれ12の上端が基台4に近づくように、背もたれ12を、回転軸15を中心に、図中、右回転させる(図3(a)参照)。
【0036】
背もたれ12を前方へさらに倒しつつ、背もたれ12を、回転軸15を中心にさらに右回転させる。これにより、図3(b)に示すように、腰掛け11より高い位置で、背もたれ面12Xが上方を向く。このとき、背もたれ12の先端が、腰掛け11の先端より前方に突出している。背もたれ12の後面12Yは座面11Aに対向している。図3(b)では、背もたれ12の後面12Yが、座面11Aにほぼ接している。
【0037】
ここで、図1に示す状態では、背もたれ12の第2穴12bに棒30が嵌まっていたが、背もたれ12が、回転軸15を中心に、図中、右回転することにより(図3(a)参照)、背もたれ12の第2穴12bから棒30が外れ、背もたれ12の第1穴12aに棒30が嵌まる(図3(b)参照)。この状態から、背もたれ12が回転軸15を中心にさらに右回転しようとしても、棒30により、背もたれ12の右回転が抑制される。また、背もたれ12の後面12Yが座面11Aに接することにより、背もたれ12の図中の左回転が抑制される。
上記により、背もたれ面12Xは、腰掛け11より高い位置で、上方を向いた状態に保持される。背もたれ12の第1穴12a、棒30および座面11Aは、腰掛け11より高い位置で背もたれ面12Xが上方を向いた状態を保持する保持手段となる。この保持手段により、背もたれ12は、図3(b)に示す状態から不意に動かない。使用者は、背もたれ面12Xに安心して座ることができる。
【0038】
図3(b)に示す状態から、背もたれ12を元の位置へ戻す場合、背もたれ12を持ち上げる。これにより、連結部材13が図中、右回転する。背もたれ12を持ち上げつつ、背もたれ12の先端をおろすように、背もたれ12を回転軸15を中心に図中、左回転させる(図3(a)参照)。
【0039】
背もたれ12をさらに持ち上げつつ、背もたれ12を、回転軸15を中心に、図中、左回転させる。これにより、図4(a)に示すように、背もたれ12が立った状態になる。
【0040】
ここで、図3(b)に示す状態では、背もたれ12の第1穴12aに棒30が嵌まっていたが、背もたれ12が、回転軸15を中心に、図中、左回転することにより、背もたれ12の第1穴12aから棒30が外れ(図3(a))、図1に示すように、背もたれ12の第2穴12bに棒30が嵌まる。この状態から、背もたれ12が回転軸15を中心にさらに左回転しようとしても、棒30により、背もたれ12の左回転が抑制される。
上記より、背もたれ12は立った状態に保持される。背もたれ12の第2穴12bおよび棒30は、背もたれ12が立った状態を保持する保持手段となる。この保持手段により、背もたれ12は、図1に示す状態から不意に動かない。使用者は、背もたれ12に安心してもたれることができる。
【0041】
上述した第1実施形態に係る乗物用の椅子1によると、以下の効果が得られる。
【0042】
本実施形態に係る椅子1は、図1に示すように、座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ12が立った状態で、使用者が座面11A(第1座面)に腰掛けることができる。
【0043】
また、図1に示す状態から、背もたれ12を前方に倒すことにより連結部材13が回転するとともに、背もたれ12を回転軸15を中心に回転させることにより(図3(a)参照)、腰掛け11より高い位置で、背もたれ面12Xが上方を向く(図3(b)参照)。背もたれ面12Xは、腰掛け11の座面11A(第1座面)より高い位置に配置されるとともに、座面11A(第1座面)より前方に突出した部分を有する。使用者が、図3(b)に示す状態で、背もたれ面12Xを第2座面として腰掛けたとき、図1に示す状態で、腰掛け11の座面11A(第1座面)に腰掛けたときより、高位置の視界が得られるとともに、より前方の視界が得られる。また、運転席に本実施形態に係る椅子1が採用されている場合、図3(b)に示す状態で、乗務員が背もたれ面12X(第2座面)に腰掛けたとき、上記効果に加え、運転台に近い位置に座ることができる。
このように、本実施形態に係る椅子1によると、図1に示すように、腰掛け11の座面11Aを第1座面として利用することができる。また、連結部材13が回転するとともに、背もたれ12が回転することによって、図3(b)に示すように、背もたれ面12Xを、座面11A(第1座面)とは異なる位置に、第2座面として配置することにより、背もたれ12による第2座面を利用することができる。使用者は、腰掛け11の座面11A(第1座面)と、背もたれ12の背もたれ面12X(第2座面)とを、使い分けることができる。これにより、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【0044】
また、図3(b)に示すように、背もたれ12の背もたれ面12Xが上方を向いているとともに、背もたれ12の前端が腰掛け11の先端より前方に突出しているとき、背もたれ12の前端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さが、背もたれ12の後端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さより、長い。
背もたれ12の長さを、前方へ突出させる側を長くし、その反対側を短くすることにより、背もたれ12が不要に大きくならないようになる。これにより、椅子1の軽量化を図ることができる。また、椅子1のコストを低減することができる。
【0045】
また、図1および図3(b)に示すように、腰掛け11の座面11A(第1座面)が曲面であり、且つ、図3(b)に示すように、背もたれ面12Xが上方を向いた状態で、使用者が背もたれ面12X(第2座面)に腰掛けた際、背もたれ12の後面12Yが座面11Aと接する場合、座面11Aが凹むことにより、使用者の座り心地が向上する。
この場合、例えば、背もたれ面12X(第2座面)が曲面である、背もたれ面12X(第2座面)側が弾性(クッション性)を有する、および/または、背もたれ面12X(第2座面)にモケットなどの座り心地の良い生地が使用されている場合、使用者の座り心地がより向上する。
【0046】
また、腰掛け11の座面11A側が弾性(クッション性)を有し、且つ、図3(b)に示すように、背もたれ面12Xが上方を向いた状態で、使用者が背もたれ面12X(第2座面)に腰掛けた際、背もたれ12の後面12Yが座面11Aと接する場合も、座面11A側が弾性変形するため、使用者の座り心地が向上する。この場合、例えば、背もたれ面12X(第2座面)が曲面である、背もたれ面12X(第2座面)側が弾性(クッション性)を有する、および/または、背もたれ面12X(第2座面)にモケットなどの座り心地の良い生地が使用されている場合、使用者の座り心地がより向上する。
【0047】
また、本実施形態にかかる椅子1は、折り畳み可能である。図4(a)に示すように、腰掛け11の座面11A(第1座面)が上方を向き、且つ、背もたれ12が立設した状態から、腰掛け11の先端部が基台4に近づくように、腰掛け11を持ち上げる。腰掛け11とともに腰掛け受け21が、台座2に対して回転することにより椅子1が折り畳まれる(図4(b)参照)。
【0048】
椅子1が折り畳まれた状態から、腰掛け11の先端部を前方へおろすことにより、腰掛け11とともに腰掛け受け21が回転する。これにより、図4(a)に示すように、座面11Aが上方を向くとともに、背もたれ12が立った状態になる。この状態で、使用者は、座面11A(第1座面)に腰掛けることができる。
【0049】
図4(a)および図4(b)に示すように、腰掛け受け21の側部に、ストッパー50が取り付けられている。図4(b)に示すように、椅子1が折り畳まれた状態では、ストッパー50がどの部材にも接していないフリーの状態である。椅子1が折り畳まれた状態から、腰掛け11の先端部を前方へおろすことにより、図4(a)に示すように、ストッパー50が、台座2の凹み2sに嵌まる。台座2により、ストッパー50が、上方へ移動することが抑制される。これにより、腰掛け受け21の図中の左回転が抑制される。座面11Aは上方を向いた状態に保持される。また、図4(a)に示す状態で、使用者が座面11Aに座ったとき、腰掛け11が、図中、左回転しない。そのため、使用者が座面11Aに安心して座ることができる。
このように、ストッパー50および台座2は、座面11Aが上方を向いた状態を保持する保持手段となる。
【0050】
本実施形態に係る椅子1を備えた乗物は、図4(a)および図4(b)に示すように、折り畳み可能な椅子1を備えている。このような構成によっても、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図5および図6を参照しつつ説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、背もたれを保持する保持手段である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0052】
図5に、腰掛け11の座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ112が立った状態を示している。背もたれ112の側部に、ボールキャッチの第1受部161および第2受部162が取り付けられている。図5に示す状態において、第1受部161は、第2受部162より高い位置に取り付けられている。第1受部161と第2受部162は、図5中の上下方向に離れている。
【0053】
連結部材113には、ボールキャッチの係止部170が取り付けられている(図6(b)参照)。
【0054】
図5に示すように、腰掛け11の座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ112が立った状態では、ボールキャッチの係止部170が第2受部162に係合している。
【0055】
背もたれ112を前方へ倒すことにより、連結部材113が回転する。また、背もたれ112の上端が基台4に近づくように、背もたれ112を、回転軸15を中心に、図中、右回転させる(図6(a)参照)。
【0056】
背もたれ112を前方へさらに倒しつつ、背もたれ112を回転軸15を中心にさらに右回転させる。これにより、図6(b)に示すように、腰掛け11より高い位置で、背もたれ面112Xが上方を向く。このとき、背もたれ112の先端が、腰掛け11の先端より前方に突出している。
【0057】
ここで、図5に示す状態では、ボールキャッチの係止部170が第2受部162に係止されていたが、背もたれ112が、回転軸15を中心に、図中、右回転することにより、係止部170が第2受部162から外れ(図6(a)参照)、第1受部161に係止する(図6(b)参照)。係止部170が第1受部161に係止したことにより、背もたれ112の右回転が抑制される。また、背もたれ112の後面112Yが座面11Aに接することにより、背もたれ112の図中の左回転が抑制される。
上記より、腰掛け11より高い位置で、背もたれ面112Xは、上方を向いた状態に保持される。ボールキャッチの係止部170および第1受部161と座面11Aとは、腰掛け11より高い位置で、背もたれ面112Xが上方を向いた状態を保持する保持手段となる。図6(b)に示す状態から、背もたれ112が不意に動かない。そのため、使用者は、背もたれ面112Xに安心して座ることができる。
【0058】
図6(b)に示す状態から、背もたれ112を元の位置へ戻す場合、背もたれ112を持ち上げる。これにより、連結部材113が、図中、右回転する。背もたれ112を持ち上げつつ、背もたれ112の先端をおろすように、背もたれ112を、回転軸15を中心に、図中、左回転させる(図6(a)参照)。
【0059】
背もたれ112をさらに持ち上げつつ、背もたれ112を、回転軸15を中心に、さらに左回転させる。これにより、図5に示すように、背もたれ112が立った状態になる。
【0060】
ここで、図6(b)に示す状態では、ボールキャッチの係止部170が第1受部161に係止されていたが、背もたれ112が回転軸15を中心に、図中、左回転することにより、係止部170が第1受部161から外れ(図6(a)参照)、第2受部162に係止する(図5参照)。背もたれ112が回転軸15を中心にさらに左回転しようとしても、係止部170が第2受部162に係止しているため、背もたれ112の回転軸15を中心とした図中の左回転が抑制される。
上記より、背もたれ112は立った状態に保持される。ボールキャッチの係止部170および第2受部162は、背もたれ112が立った状態を保持する保持手段となる。この保持手段により、背もたれ112は、図5に示す状態から不意に動かない。使用者は、背もたれ112に安心してもたれかかることができる。
【0061】
上記のように、第2実施形態に係る椅子101によると、第1実施形態と同様に、以下の効果が得られる。
本実施形態に係る椅子101は、図5に示すように、座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ112が立った状態で、使用者が座面11A(第1座面)に腰掛けることができる。
また、背もたれ112を動かすことにより、図6(b)に示すように、背もたれ面112Xを、第2座面として、腰掛け11の座面11A(第1座面)より高い位置に配置することができる。使用者は、腰掛け11の座面11A(第1座面)と、背もたれ112の背もたれ面112X(第2座面)とを、使い分けることができる。本実施形態に係る椅子101によると、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【0062】
また、図6(b)に示すように、背もたれ112の前端から背もたれ112の連結部材113に連結された部分(回転軸15)までの長さが、背もたれ112の後端から背もたれ112の連結部材113に連結された部分(回転軸15)までの長さより長い。このように、前方へ突出させる側を長くし、その反対側を短くすることにより、背もたれ112が不要に大きくならないようにすることができる。これにより、椅子101の軽量化を図ることができる。また、椅子101のコストを低減することができる。
【0063】
また、腰掛け11の座面11A(第1座面)が曲面であり、且つ、図6(b)に示すように、背もたれ面112Xが上方を向いた状態で、使用者が背もたれ面112X(第2座面)に腰掛けた際、背もたれ112の後面112Yが座面11Aと接する場合、座面11Aが凹むことにより、使用者の座り心地が向上する。
この場合、例えば、背もたれ面112X(第2座面)が曲面である、背もたれ面112X(第2座面)側が弾性(クッション性)を有する、および/または、背もたれ面112X(第2座面)にモケットなどの座り心地の良い生地が使用されている場合、使用者の座り心地がより向上する。
【0064】
また、腰掛け11の座面11A側が弾性(クッション性)を有し、且つ、図6(b)に示すように、背もたれ面112Xが上方を向いた状態で、使用者が背もたれ面112X(第2座面)に腰掛けた際、背もたれ112の後面112Yが座面11Aと接する場合も、座面11A側が弾性変形するため、使用者の座り心地が向上する。
この場合、例えば、背もたれ面112X(第2座面)が曲面である、背もたれ面112X(第2座面)側が弾性(クッション性)を有する、および/または、背もたれ面112X(第2座面)にモケットなどの座り心地の良い生地が使用されている場合、使用者の座り心地がより向上する。
【0065】
また、本実施形態に係る椅子101は、第1実施形態に係る椅子1と同様に、図5に示す状態から、腰掛け11の先端部を、基台4に近付くように持ち上げることにより、折り畳み可能な椅子101である。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、図7および図8を参照しつつ説明する。第3実施形態において第1実施形態と異なる点は、(1)背もたれ212が連結部材213に対して回転しない点、および、(2)腰掛け11の上方で、背もたれ212の後面212Yが上方を向く点(図8(b)参照)などである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0067】
図7に、腰掛け11の座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ112が立った状態を示している。背もたれ212は、連結部材213に固定されている。背もたれ212は、連結部材213に対して回転しない。背もたれ212と連結部材213とのなす角度は、約180°である。
【0068】
連結部材213に、固定具280が取り付けられている。固定具280の一端部(例えば、図7中の上端部)は、連結部材213から取り外し可能に、連結部材213に取り付けられている。
【0069】
背もたれ212を前方へ倒すことにより、連結部材213が回転する(図8(a)参照)。連結部材213が回転しているとき、背もたれ212と連結部材213とのなす角度は、約180°に維持されている。図8(b)に示すように、背もたれ面212Xが座面11Aにほぼ接した状態で、固定具280の一端部を連結部材213から取り外し、ベース214(例えば、ベース214に取り付けられた図示しない受部)に引っ掛ける。これにより、連結部材213が、不意に、図中、左回転しない。したがって、背もたれ212が、不意に上がらない。一方、背もたれ面212Xが座面11Aに接することにより、背もたれ12および連結部材213が、図中、右回転することが抑制される。
よって、背もたれ212の後面212Aが、不意に動かない。
【0070】
上記より、座面11Aより高い位置で、背もたれ212の後面212Yが上方を向いた状態が保持される。固定具280および座面11Aは、腰掛け11より高い位置で背もたれ212の後面212Yが上方を向いた状態を保持する保持手段となる。この保持手段により、背もたれ212は、図8(b)に示す状態から、不意に動かない。使用者は、背もたれ面212Xに安心して座ることができる。図8(b)に示す状態では、背もたれ面212Xが座面11Aに対向している。また、背もたれ212の先端が、腰掛け11の先端より前方に突出している。
【0071】
背もたれ212を元の位置に戻すとき、固定具280をベース214から外す。背もたれ212を持ち上げることにより、連結部材213が図中、右回転する(図8(a)参照)。連結部材213が回転しているとき、背もたれ212と連結部材213とのなす角度は、約180°に維持されている。背もたれ212をさらに持ち上げることにより、図7に示すように、背もたれ212が立った状態となる。
【0072】
上記のように、第3実施形態に係る椅子201によると、第1実施形態と同様に、以下の効果が得られる。
本実施形態に係る椅子201は、図7に示すように、座面11Aが上方を向き、且つ、背もたれ212が立った状態で、使用者が座面11A(第1座面)に腰掛けることができる。
また、背もたれ212を動かすことにより、図8(b)に示すように、背もたれ212の後面212Yを、第2座面として、腰掛け11の座面11A(第1座面)より高い位置に配置することができる。使用者は、腰掛け11の座面11A(第1座面)と、背もたれ112の後面212Y(第2座面)とを、使い分けることができる。本実施形態に係る椅子201によると、クッションなどの別の部材を使用することなく、体格が異なる乗客や乗員に好適な腰掛け位置を提供することができる。
【0073】
また、図8(b)に示すように、背もたれ212の前端から背もたれ212の連結部材213に連結された部分の長さは、背もたれ212の後端から背もたれ212の連結部材213に連結された部分の長さより長い。このように、前方へ突出させる側を長くし、その反対側を短くすることにより、背もたれ112が不要に大きくならないようにすることができる。これにより、椅子201の軽量化を図ることができる。また、椅子201のコストを低減することができる。
【0074】
また、腰掛け11の座面11A(第1座面)が曲面であり、且つ、図8(b)に示すように、背もたれ212の後面212Yが上方を向いた状態で、使用者が後面212Y(第2座面)に腰掛けた際、背もたれ面212Xが座面11Aと接する場合、座面11Aが凹むことにより、使用者の座り心地が向上する。
この場合、例えば、背もたれ212の後面212Y(第2座面)が曲面である、背もたれ212の後面212Y(第2座面)側が弾性(クッション性)を有する、および/または、背もたれ212の後面212Y(第2座面)にモケットなどの座り心地の良い生地が使用されている場合、使用者の座り心地がより向上する。
【0075】
また、腰掛け11の座面11A側が弾性(クッション性)を有し、且つ、図8(b)に示すように、背もたれ212の後面212Yが上方を向いた状態で、使用者が後面212Y(第2座面)に腰掛けた際、背もたれ面212Xが座面11Aと接する場合、座面11Aが弾性変形することにより、使用者の座り心地が向上する。
この場合、例えば、背もたれ212の後面212Y(第2座面)が曲面である、背もたれ212の後面212Y(第2座面)側が弾性(クッション性)を有する、および/または、背もたれ212の後面212Y(第2座面)にモケットなどの座り心地の良い生地が使用されている場合、使用者の座り心地がより向上する。
【0076】
また、本実施形態に係る椅子201は、第1実施形態に係る椅子1と同様に、図7に示す状態から、腰掛け11の先端部を、基台4に近付くように持ち上げることにより、折り畳み可能な椅子201である。
【0077】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0078】
例えば、上述した第1実施形態に係る椅子1は、図3(b)に示すように、背もたれ面12Xが、腰掛け11より高い位置で、上方を向いた状態を保持する保持手段として、背もたれ12に形成された第1穴12aおよび棒30などを有する。しかし、本発明に係る椅子は、背もたれ12に形成された第1穴12aおよび棒30などの保持手段を有さなくてもよい。また、本発明に係る椅子は、第1穴12aおよび棒30以外の保持手段を有していてもよい。
【0079】
また、上述した第2実施形態に係る椅子101は、図6(b)に示すように、背もたれ面112Xが、腰掛け11より高い位置で、上方を向いた状態を保持する保持手段として、ボールキャッチの係止部170および第1受部161などを有する。しかし、本発明に係る椅子は、ボールキャッチの係止部170および第1受部161などの保持手段を有さなくてもよい。また、本発明に係る椅子は、ボールキャッチの係止部170および第1受部161以外の保持手段を有していてもよい。例えば、本発明に係る椅子は、マグネットキャッチ、ローラーキャッチ等の他のキャッチ機構を有していてもよい。本発明に係る椅子は、キャッチ機構以外の保持手段を有していてもよい。
【0080】
また、上述した第3実施形態に係る椅子201は、図8(b)に示すように、背もたれ212の後面212Yが、腰掛け11より高い位置で、上方を向いた状態を保持する保持手段として、固定具280などを有する。しかし、本発明に係る椅子は、固定具280などの保持手段を有さなくてもよい。また、本発明に係る椅子は、固定具280以外の保持手段を有していてもよい。
【0081】
また、上述したように、第1実施形態では、図4(b)に示すように、座面1Aは、背もたれ12が下がることや背もたれ12の先端が下がるように回転することを抑制する。
図4(b)などに示す状態から、背もたれ12が下がること、および、背もたれ12の先端が下がるように回転することを抑制する保持手段は、座面ではなく、別の保持手段でもよい。
第2実施形態および第3実施形態において、同様に、変更可能である。
【0082】
また、上述した第1実施形態に係る椅子1は、図3(b)に示すように、背もたれ12が立った状態を保持する保持手段として、背もたれ12に形成された第2穴12bおよび棒30とを有する。しかし、本発明に係る椅子は、背もたれ12に形成された第2穴12bおよび棒30などの保持手段を有さなくてもよい。また、本発明に係る椅子は、第2穴12bおよび棒30以外の保持手段を有していてもよい。
【0083】
また、上述した第2実施形態に係る椅子101は、図5に示すように、背もたれ112が立った状態を保持する保持手段として、ボールキャッチの係止部170および第2受部162を有する。しかし、本発明に係る椅子は、ボールキャッチの係止部170および第2受部162などの保持手段を有さなくてもよい。また、本発明に係る椅子は、ボールキャッチの係止部170および第2受部162以外の保持手段を有していてもよい。
【0084】
また、上述した第1実施形態では、図3(b)に示すように、背もたれ面12Xが腰掛け11より高い位置で上方を向いているとき、背もたれ12の後面12Yと座面1Aとがほぼ接している。第2実施形態では、図6(b)に示すように、背もたれ面112Xが腰掛け11より高い位置で上方を向いているとき、背もたれ112の後面112Yと座面1Aとがほぼ接している。
しかし、本発明において、背もたれ面が腰掛けより高い位置で上方を向いているとき、背もたれの後面が座面に接していなくてもよい。例えば、背もたれ面が、腰掛けより高い位置で上方を向いているとき、背もたれが腰掛けから上方に離れた位置に位置し、且つ、背もたれの後面が座面から上方に離れていてもよい。このとき、背もたれの一端が、腰掛けの一端より、前方に突出している。この場合、第2座面としての背もたれ面が、より高位置に配置される。
また、背もたれ面が腰掛けより高い位置で上方を向くのは、(1)背もたれの後面が座面に接しているとき、または、(2)背もたれの後面が座面から上方に離れているときだけでなく、(1)および(2)の両方で、背もたれ面が腰掛けより高い位置で上方を向く構成であってもよい。また、(2)の複数個所で、背もたれ面が腰掛けより高い位置で上方を向く構成であってもよい。
【0085】
上述した第3実施形態でも同様である。上述した第3実施形態では、図8(b)に示すように、背もたれの後面212Yが腰掛け11より高い位置で上方を向いているとき、背もたれ面212Xと座面1Aとがほぼ接している。
しかし、本発明において、背もたれの後面が腰掛けより高い位置で上方を向いているとき、背もたれ面が座面に接していなくてもよい。例えば、背もたれの後面が、腰掛けより高い位置で上方を向いているとき、背もたれが腰掛けから上方に離れた位置に位置し、且つ、背もたれ面が座面から上方に離れていてもよい。このとき、背もたれの一端が、腰掛けの一端より、前方に突出している。この場合、第2座面としての背もたれの後面が、より高位置に配置される。
また、背もたれの後面が腰掛けより高い位置で上方を向くのは、(1)背もたれ面が座面に接しているとき、または、(2)背もたれ面が座面から上方に離れているときだけでなく、(1)および(2)の両方で、背もたれの後面が腰掛けより高い位置で上方を向く構成であってもよい。また、(2)の複数個所で、背もたれ面が腰掛けより高い位置で上方を向く構成であってもよい。
【0086】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態において、背もたれ面または背もたれの後面が第2座面として使用できる位置に配置されているとき(図3(b)、図6(b)、図8(b)参照)、第2座面として使用される背もたれ面または背もたれの後面は、水平でなくてもよい。第2座面として使用できる位置に配置された背もたれ面または背もたれの後面は、鉛直方向に対して垂直でなくてもよい。例えば、第2座面となる背もたれ面または後面は、使用者が座ることができる程度に、水平方向に対してやや傾いた状態で、上方を向いていてもよい。
【0087】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態において、腰掛けと背もたれを連結する連結部材13は(図1など参照)、柱状である。しかし、連結部材は、柱状でなくてもよい。連結部材は、腰掛けと背もたれを連結するものであれば、図1および図2(b)に示す部材以外の部材でもよい。例えば、連結部材がひんじでもよい。
【0088】
また、上述した第3実施形態において、図8(a)に示すように、連結部材13が回転しているときの背もたれ212と連結部材213とのなす角度は、約180°に維持されている。しかし、連結部材13が回転しているときの背もたれ212と連結部材13とのなす角度は、約180°に限られない。連結部材13が回転しているときの背もたれ212と連結部材13とのなす角度が変化しない限り、連結部材13が回転しているときの背もたれ212と連結部材13とのなす角度は、180°より大きくてもよく、180°より小さくてもよい。
【0089】
また、上述した第3実施形態において、連結部材13が回転していないとき、例えば、図7に示すように、背もたれ212が立った状態で、使用者が座面1Aに腰掛けることができるとき、背もたれ212を連結部材13に対して傾けることが可能に構成されていてもよい。これにより、使用者が楽な状態で背もたれ212にもたれることができる。
【0090】
また、背もたれの形状および背もたれと連結部材との連結位置は、変更可能である。例えば、上述した第1実施形態において、図3(b)に示す状態では、背もたれ12の前端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さが、背もたれ12の後端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さより長い。しかし、図3(b)に示す状態において、背もたれ12の前端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さは、背もたれ12の後端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さと同じでもよく、背もたれ12の後端から背もたれ12の連結部材13に連結された部分(回転軸15)までの長さより短くてもよい。
第2実施形態および第3実施形態についても、同様に変更可能である。
【0091】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態に係る椅子は、腰掛け11、111、211の先端部を持ち上げることにより、折り畳むことが可能な椅子である(図4(a)、図4(b)参照)。しかし、本発明に係る椅子は、腰掛けの先端部を持ち上げることができなくてもよい。椅子は、折り畳めない椅子でもよい。
【0092】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態において、乗物は、椅子1を昇降させる昇降機構3を有する。しかし、乗物は、昇降機構3を有さなくてもよい。
【0093】
また、上述の第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態において、乗物は、椅子1を前後方向に移動させる図示しない前後移動機構を有する。しかし、乗物は、前後移動機構を有さなくてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1、101、201 椅子
2 台座
3 昇降機構
4 基台
11 腰掛け
11A 座面
12、112、212 背もたれ
12a 第1穴
12b 第2穴
12X、112X、212X 背もたれ面
12Y、112Y、212Y 後面
13、113、213 連結部材
14 ベース
15 回転軸
21 腰掛け受け
30 棒
41 軸部
42 昇降部
43 レバー
161 第1受部
162 第2受部
170 係止部
280 固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8