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  • 特許-破砕システム及び破砕方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】破砕システム及び破砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/00 20060101AFI20240918BHJP
   B02C 18/14 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
B02C18/00 106C
B02C18/14 A ZAB
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021054346
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022151325
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】507036050
【氏名又は名称】住友重機械エンバイロメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504182314
【氏名又は名称】トータルケア・システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 俊康
(72)【発明者】
【氏名】安村 宜之
(72)【発明者】
【氏名】長 武志
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽三
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-172457(JP,A)
【文献】特開2006-305501(JP,A)
【文献】特開2001-269593(JP,A)
【文献】実開昭58-012503(JP,U)
【文献】特開昭59-142274(JP,A)
【文献】登録実用新案第3165974(JP,U)
【文献】実開平05-075203(JP,U)
【文献】特開2002-355575(JP,A)
【文献】特開平10-043622(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111974520(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C18/00-18/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋詰めされた被処理物を破砕する破砕システムであって、
前記被処理物を破砕する破砕部と、破砕された被処理物を排出する排出部と、を備える破砕装置と、
前記破砕装置の下部に配置され、破砕後の被処理物の受入れあるいは搬送を行う後段機器と、を備え、
前記破砕装置の排出部と、前記後段機器との距離が、前記袋の外周長尺部の長さ以上であることを特徴とする、破砕システム。
【請求項2】
前記被処理物は、液体を吸収して膨潤するものを含むことを特徴とする、請求項1に記載の破砕システム。
【請求項3】
袋詰めされた被処理物を破砕する破砕方法であって、
前記被処理物を破砕する破砕部と、破砕された被処理物を排出する排出部と、を備える破砕装置と、
前記破砕装置の下部に配置され、破砕後の被処理物の受入れあるいは搬送を行う後段機器と、を備える破砕システムによる破砕処理工程において、
前記破砕装置の排出部と、前記後段機器との距離を、前記袋の外周長尺部の長さ以上とすることを特徴とする、破砕方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物を破砕するための破砕システム及び破砕方法に関するものである。更に詳しくは、袋詰めされた被処理物を破砕するための破砕システム及び破砕方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭や工場から排出される廃棄物を被処理物として処理する手段の一つとして、各種破砕部による被処理物(廃棄物)の破砕が広く行われており、破砕後の被処理物を破砕部の後段に設けられた各種後段機器に直接導入することも行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、破砕部と、破砕部の下方に配置され、破砕部で破砕された破砕物を搬送する搬送手段とを備えた2軸せん断型破砕機において、破砕部で破砕されなかった長物破砕物が、搬送手段に接触することで、搬送手段を損傷させるということを防止するために、破砕部と搬送手段との間に、破砕部から排出される破砕物の方向を変更する破砕物方向変更部材を設けるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-202455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、破砕後の被処理物を搬送するための後段機器に直接導入するに当たり、被処理物中に混在する硬質の長物破砕物が、破砕部による破砕処理を受けずに、直接搬送手段に衝突し、搬送手段を損傷することを防ぐための手段が示されている。
【0006】
一方、本発明者らは、袋詰めされた被処理物を破砕部で破砕し、破砕後の被処理物の受入れあるいは搬送を行うための後段機器に直接導入する際、被処理物とともに破砕された袋が短冊状の破砕片となり、つららのように破砕部から垂下する現象(以下、「つらら状態」とも呼ぶ)が起きることを見出した。さらに、この短冊状の破砕片が、破砕部の下部に設けられた後段機器に接触して堆積すると、破砕後の被処理物の受入れや搬送が円滑に進行しないという問題が生じることが分かった。
【0007】
しかし、特許文献1には、破砕部で破砕されなかった硬質の長物破砕物による問題点に対応する手段は示されているが、破砕部で破砕されることで長尺化した被処理物による問題及びその対応手段については特に記載がなされていない。
【0008】
本発明の課題は、袋詰めされた被処理物の破砕において、破砕部の下部に設けられた後段機器に支障を来すことなく、円滑な処理を継続して行うことのできる破砕システム及び破砕方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、袋詰めされた被処理物の破砕処理において、被処理物の破砕を行う破砕装置と、破砕装置の下部に配置された後段機器との距離を、袋の外周長尺部の長さ以上とすることで、仮に破砕装置で短冊状の破砕片がつららのように垂下する現象が起こっても、後段機器に支障を来すことなく、円滑な処理を継続させることができることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の破砕システム及び破砕方法である。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の破砕システムは、袋詰めされた被処理物を破砕する破砕システムであって、被処理物を破砕する破砕部と、破砕された被処理物を排出する排出部と、を備える破砕装置と、破砕装置の下部に配置され、破砕後の被処理物の受入れあるいは搬送を行う後段機器と、を備え、破砕装置の排出部と、後段機器との距離が、袋の外周長尺部の長さ以上であることを特徴とする。
この破砕システムによれば、袋詰めされた被処理物を破砕した際に、破砕装置の排出部から垂下する短冊状の破砕片が生じた場合においても、破砕装置と後段機器の間を、短冊状の破砕片の基となる袋の大きさに応じた長さ以上に離間することで、短冊状の破砕片が後段機器に接触、堆積することを抑制することができる。これにより、後段機器に支障を来すことなく、破砕システムによる処理を円滑に継続させることが可能となる。
【0011】
また、本発明の破砕システムの一実施態様としては、被処理物は、液体を吸収して膨潤するものを含むという特徴を有する。
本発明者らは、特に液体を吸収して膨潤するものを含む被処理物が袋詰めされた状態のまま破砕される際に、破砕装置の排出部で短冊状の破砕片が垂下する現象が生じやすいことを見出した。
したがって、この特徴によれば、短冊状の破砕片が垂下する現象が生じやすい被処理物においても、後段機器に支障を来すことなく、円滑な処理を行うことが可能となる。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の破砕方法は、袋詰めされた被処理物を破砕する破砕方法であって、被処理物を破砕する破砕部と、破砕された被処理物を排出する排出部と、を備える破砕装置と、破砕装置の下部に配置され、破砕後の被処理物の受入れあるいは搬送を行う後段機器と、を備える破砕システムによる破砕処理工程において、破砕装置の排出部と、前記後段機器との距離を、前記袋の外周長尺部の長さ以上とすることを特徴とする。
この特徴によれば、袋詰めされた被処理物を破砕した際に、破砕装置の排出部から垂下する短冊状の破砕片が生じた場合においても、破砕装置と後段機器の間を、短冊状の破砕片の基となる袋の大きさに応じた長さ以上に離間することで、短冊状の破砕片が後段機器に接触、堆積することを抑制することができる。これにより、後段機器に支障を来すことなく、破砕システムによる処理を円滑に継続させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、袋詰めされた被処理物の破砕において、破砕部の下部に設けられた後段機器に支障を来すことなく、円滑な処理を継続して行うことのできる破砕システム及び破砕方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施態様の破砕システムの構造を示す概略説明図である。
図2】従来の破砕システムの構造を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の破砕システムは、被処理物を破砕する破砕装置と、破砕装置により破砕された後の被処理物の搬送・貯留・処理を行う後段機器とを備えるものである。特に、本発明の破砕システムは、破砕装置の下部に後段機器を配置し、破砕装置により破砕された被処理物が直接後段機器に導入されるものである。
【0016】
本発明の破砕装置は、被処理物を破砕する装置であって、被処理物を破砕することができる破砕部を備えるものであればよい。本発明の破砕装置に係る破砕部の構造の一例としては、例えば、回転する破砕刃を有する構造として、一軸型破砕機のほか、二軸型破砕機、三軸型破砕機のような複数軸を備える破砕機や、同軸心型破砕機と呼ばれるものが挙げられる。特に、袋の破砕時に短冊状の破砕片が発生しやすい構造として、回転する破砕刃を有する二軸型破砕機を、本発明の破砕装置として好適に用いることができる。なお、以下の実施態様においては、破砕部として回転する破砕刃を有する二軸型破砕機の構造を有するものについて説明するが、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の破砕装置により破砕される被処理物は、袋詰めされた状態となっているものであればよく、特に限定されない。なお、本発明における「袋詰め」とは、破砕装置による破砕が可能な材質からなる袋状包装材あるいはシート状包装材に被処理物が内包されていることを指すものである。
【0018】
本発明の処理対象となる被処理物の例としては、液体を吸収して膨潤するものを含むことが挙げられる。本発明者らは、液体を吸収して膨潤するものを含んだ被処理物を袋詰めし、破砕装置による破砕処理を行った際に、液体を吸収して膨潤するものと、短冊状の破砕片とが混在することで、短冊状の破砕片が破砕装置の排出部から垂下しやすくなるということを見出している。したがって、本発明の破砕システムにより、液体を吸収して膨潤するものを含む被処理物を処理することで、短冊状の破砕片によるつらら状態が生じるものであっても、後段機器に支障を来すことなく、円滑な処理を行うことが可能となる。
【0019】
このような被処理物としては、吸水性を有する繊維や吸水性高分子等を含むものが挙げられる。さらに、被処理物の具体的な製品の一例としては、繊維やSAP(高吸水性高分子)を含む衛生用品(紙おむつ、生理用品、ペット用シートなど)、廃水・廃油などを吸着する水油吸着用製品、綿など吸水性を有する繊維からなる布製品等が挙げられる。特に、衛生用品は、使用ごとに1つ1つが袋詰めされた状態で廃棄されることが多く、つらら状態の要因となる袋の数も多くなる。このため、本発明の破砕システムにおける被処理物として袋詰めされた衛生用品を対象とした破砕処理を行うことで、破砕処理における作業効率を高めることが可能となる。
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る破砕システム及び破砕方法の実施態様を詳細に説明する。また、本発明に係る破砕方法の説明については、本発明に係る破砕システムの運転に係る説明に置き換えるものとする。
なお、実施態様に記載する破砕システム及び破砕方法については、本発明に係る破砕システム及び破砕方法を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0021】
[破砕システム]
図1は、本発明の実施態様における破砕システムの構造を示す概略説明図(側面から見た断面図)である。
本発明の実施態様に係る破砕システム100は、破砕装置1と後段機器2とを備え、被処理物6の破砕処理を行うものである。また、本実施態様の破砕システム100は、破砕装置1の下部に後段機器2が配置され、破砕装置1で破砕された被処理物6aが直接後段機器2に導入されるものである。
【0022】
まず、本実施態様の破砕システム100を構成する破砕装置1と後段機器2について説明する。
【0023】
[破砕装置]
本発明の実施態様に係る破砕装置1は、図1に示すように、被処理物6を破砕するための破砕部3と、破砕された被処理物6aを排出する排出部4と、を備えている。
また、図1に示すように、破砕部3はケーシング5内に収容されている。また、ケーシング5には、上部(図示上側)に被処理物6が投入される投入口51が形成されている。
なお、図1には、ケーシング5の下部(図示下側)に、破砕された被処理物6aを排出する排出部4(排出口41)を形成したものを示している。
【0024】
(破砕部)
破砕部3は、被処理物6を破砕するためのものである。本実施態様における破砕部3としては、回転する破砕刃を有する二軸型破砕機と呼ばれる構造を例示している。
本実施態様の破砕部3における回転軸の配置は、垂直型、水平型いずれの配置としてもよい。
【0025】
図1に示すように、破砕部3は、水平方向(紙面垂直方向)に延びる2つの回転軸31a、31bの周囲に、複数の破砕刃32a、32bを配設し、その刃同士が互いに噛合するように並設されている。また、破砕部3は、破砕刃32a、32bを回転駆動するための駆動部(不図示)を備えている。なお、駆動部としては、電動モータ、油圧モータ、水圧モータ、空気圧モータエンジン等が挙げられる。
【0026】
破砕部3は、駆動部が駆動されることで、破砕刃32a、32bが被処理物6を巻き込む方向に回転し、投入口51から投入される被処理物6を、破砕刃32a、32bの間に挟み込んで破砕し、破砕された被処理物6aは、排出部4(排出口41)から排出される。
【0027】
なお、図1に示すように、本実施態様の破砕部3は、駆動部が所定の出力で駆動し、破砕刃32aが右回りに回転し、破砕刃32bが左回りに回転することで、被処理物6を破砕するものである。また、このときの破砕部3の運転状態を、破砕部3の正転運転と呼ぶ。一方、破砕刃32aが左回りに回転し、破砕刃32bが右回りに回転することを、破砕部3の逆転運転と呼ぶ。破砕部3の逆転運転により、破砕刃上における被処理物6の堆積を抑制することが可能となる。したがって、本実施態様の破砕部3は、正転運転と逆転運転を制御し、繰り返し切り替えるものとしてもよい。これにより、破砕部3における破砕処理を円滑に進行させることが可能となる。
【0028】
以下、破砕部3の各構成について説明する。
【0029】
回転軸31a及び31bは、駆動部の駆動動力が伝達されることにより回転する軸部材である。ここで、回転軸31a及び31bに対する駆動部からの駆動動力の伝達手段は、特に限定されない。例えば、回転軸31aを駆動軸、回転軸31bを従動軸とし、駆動部と回転軸31a(駆動軸)を接続し、回転軸31a(駆動軸)と回転軸31b(従動軸)をベルトや歯車などで連結することが挙げられる。このとき、駆動部の駆動動力は回転軸31a(駆動軸)に伝達され、その後、回転軸31a(駆動軸)から回転軸31b(従動軸)に駆動動力が伝達される。また、他の例としては、回転軸31a及び31bをそれぞれ駆動部に接続することが挙げられる。このとき、それぞれの回転軸31a及び31bに対し、駆動部の駆動動力が直接伝達される。
なお、本実施態様における破砕装置1は、制御部を設け、破砕部3の駆動を制御するものとしてもよい。また、回転軸31a及び31bをそれぞれ駆動部と接続させ、回転軸ごとに独立した制御を可能としてもよい。
【0030】
また、回転軸31a及び31bは、それぞれ破砕刃32a及び32bを固定することができる構造であればよく、具体的な形状については特に限定されない。例えば、回転軸31a及び31bと、破砕刃32a及び32bとが嵌合可能となる構造を有するものなどが挙げられる。
【0031】
破砕刃32a及び32bは、被処理物6の破砕を行う部材である。破砕刃32a及び32bは、それぞれ回転軸31a及び31bに対して複数枚が積層するように設けられている。この積層した破砕刃32a及び32bにより、被処理物6(及び袋61)の破砕・切断が行われる。
破砕刃32a及び32bの構造は特に限定されない。例えば、図1に示すように、円周方向に凸状部分を有する構造物を複数設けるもののほか、円周方向に鋭角部分を有する構造物を複数設けるものなどが挙げられる。
【0032】
また、破砕刃32a及び32bを積層する際、積層する破砕刃の間にはスペーサーを設ける(不図示)。これにより、破砕刃を所定間隔で積層することが容易となる。なお、破砕刃とスペーサーは一体に設けられてもよく、別体としてもよい。ここでいう「一体」とは、1つのカッター部と1つのスペーサー部を組み合わせて一体化したもののほか、カッター部とスペーサー部を交互に複数枚積層した組み合わせを一体化したものや、複数のカッター部と複数のスペーサー部の組み合わせを一体化したもの等が挙げられる。これにより、例えば、破砕刃とスペーサーを一体とした場合、部品点数を少なくし、破砕刃の強度を増し、組み立てに係る作業性を高めることができる。一方、破砕刃とスペーサーを別体とした場合、破砕刃やスペーサーの仕様に変更が生じた場合や、いずれかに不具合などによる交換が必要となった場合に、交換に係る対応が容易となる。
【0033】
破砕刃32a及び32bの材質は、特に限定されないが、例えば、工具鋼、クロムモリブデン鋼やステンレス鋼等の金属材料、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素等のセラミックス材料等が挙げられる。強度が高く破損しにくいという観点から、工具鋼、クロムモリブデン鋼やステンレス鋼等の金属材料を用いることが好ましい。
【0034】
(排出部)
排出部4は、破砕部3で破砕された被処理物6aを破砕装置1外に排出するものである。
本実施態様の排出部4は、破砕された被処理物6aを破砕装置1外に排出することができるものであればよく、図1に示すように、破砕部3を収容するケーシング5下部の構造をそのまま排出部4(排出口41)とすることが挙げられる。
なお、排出部4には、スクリーンやフィルターなど、破砕された被処理物6aを分級するための構造体を設ける必要はない。特に、装置の部品点数を減らし、かつメンテナンス作業を容易とするという観点からは、排出部4には破砕された被処理物6aの分級に係る構造体を設けないことが好ましいが、これを否定するものではない。
【0035】
[後段機器]
本発明の実施態様に係る後段機器2は、破砕装置1で破砕された被処理物6aについて、受入れや搬送を行うためのものである。
本実施態様の後段機器2は、破砕装置1の下部に配置され、破砕された被処理物6aが直接導入されるものであればよく、特に限定されない。
【0036】
後段機器2の具体例としては、図1に示すように、破砕された被処理物6aの搬送に係る操作を行うものとして、コンベヤ21などの搬送機器が挙げられる。このとき、破砕された被処理物6aはコンベヤ21上に直接導入し、搬送されるものであってもよく、コンベヤ21上のコンテナ等の容器内に導入されるものであってもよい。
また、後段機器2の他の例としては、破砕された被処理物6aの受入れに係る操作を行うものとして、貯留槽や、破砕装置1以外の他の処理装置などが挙げられる。なお、破砕された被処理物6aを貯留槽や他の処理装置などの後段機器2に直接導入するものとしてもよいが、ホッパなどの供給装置を後段機器2に含めることとし、この供給装置に対して破砕された被処理物6aを導入するものとしてもよい。そして、この供給装置を介し、破砕された被処理物6aを貯留槽や他の処理装置に導入することが挙げられる。
【0037】
以下、本実施態様の破砕システム100の構成について、従来の破砕システムと比較しつつ、詳細に説明する。
【0038】
本実施態様の破砕システム100は、上述した破砕装置1と後段機器2を備え、破砕装置1の排出部4と後段機器2との距離L1を、袋61の外周長尺部62の長さ以上とするものである。
なお、袋61は、破砕装置1の破砕部3による破砕が可能な材質からなり、被処理物6を内包するものであればよく、図1に示すように、袋状のものに限定されるものではない。
また、距離L1の基準となる、袋61の外周長尺部62の長さについては特に限定されない。例えば、ごみ袋の大きさの規格に基づくものとすることが挙げられる。より具体的には、例えば、30Lのごみ袋の規格(縦横が500mm×700mm)に基づき、外周長尺部62を1400mmとすることが挙げられる。同様に、45Lのごみ袋の規格(縦横650mm×800mm)、70Lのごみ袋の規格(800mm×900mm)、90Lのごみ袋の規格(900mm×1000mm)などに基づき、外周長尺部62の長さを選択、設定することが挙げられる。
【0039】
距離L1の設定に係る具体的な手段、及び、破砕装置1の排出部4と後段機器2との距離L1を外周長尺部62の長さ以上とする具体的な手段については、特に限定されない。例えば、破砕システム100で破砕する被処理物6の種類があらかじめ特定される場合、袋61の外周長尺部62についてもある程度特定が可能となる。このため、特定された外周長尺部62の長さに基づき、距離L1の設定を行い、破砕装置1と後段機器2の配置を固定するものとすることが挙げられる。また、他の例としては、破砕装置1に投入される被処理物6及び袋61をランダムにピックアップして平均的な外周長尺部62の長さを求め、これに基づく距離L1を設定することが挙げられる。このとき、設定した距離L1に応じ、破砕装置1と後段機器2の距離L1が可変となるように、破砕装置1及び/又は後段機器2を移動する機構を設けることなどが挙げられる。
【0040】
図2は、破砕装置1と後段機器2を備える従来の破砕システムの構造を示す概略説明図である。
【0041】
図2に示すように、比較例となる従来の破砕システム200は、上述した破砕装置1と後段機器2を備え、破砕装置1の排出部4と後段機器2との距離L2が、袋61の外周長尺部62の長さよりも短いものである。
【0042】
本実施態様の破砕システム100及び従来の破砕システム200において、被処理物6を袋61ごと破砕装置1に投入すると、破砕部3により、被処理物6の破砕と、袋61の破砕が行われる。
このとき、図1及び図2に示すように、袋61の破砕により短冊状の破砕片が形成され、かつ、この短冊状の破砕片が破砕刃32a及び32bからつららのように垂下するという現象が生じる。このとき、つららのように垂下した短冊状の破砕片(つらら状片63)の長さは、袋61の外周長尺部62の長さに依存し、外周長尺部62よりも、つらら状片63の長さが長くなることはない。
【0043】
図2に示すように、破砕装置1の排出部4と後段機器2との距離L2が、袋61の外周長尺部62の長さよりも短い従来の破砕システム200では、つらら状片63が後段機器2と接触し、堆積してしまう。これにより、つらら状片63の堆積による後段機器2の動作が不安定になることに加え、破砕された被処理物6aが堆積したつらら状片63に絡まり、つらら状片63から破砕された被処理物6aが取れなくなるという現象が生じる。このため、特に後段機器2がコンベヤなどの搬送機器である場合、破砕された被処理物6aの搬送に支障を来してしまう。
【0044】
一方、本実施態様の破砕システム100は、破砕装置1の排出部4と後段機器2との距離L1が、袋61の外周長尺部62の長さ以上となっている。このため、図1に示すように、つらら状片63が後段機器2と接触することがなく、破砕された被処理物6aは、つらら状片63に絡まることなく、つらら状片63の間から後段機器2上に導入される。これにより、後段機器2における破砕された被処理物6aの受入れあるいは搬送に係る処理に支障を来すことなく、破砕システム100による処理を円滑に継続させることが可能となる。
【0045】
なお、上述した実施態様は破砕システム及び破砕方法の一例を示すものである。本発明に係る破砕システム及び破砕方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る破砕システム及び破砕方法を変形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の破砕システム及び破砕方法は、袋詰めされた被処理物を破砕処理するために利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100 破砕システム、1 破砕装置、2 後段機器、3 破砕部、31a,31b 回転軸、32a,32b 破砕刃、4 排出部、41 排出口、5 ケーシング、51 投入口、6 被処理物、6a 破砕された被処理物、61 袋、62 外周長尺部、L1,L2 破砕装置の排出部と後段機器の距離、200 従来の破砕システム(比較例)
図1
図2