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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】杭頭構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/30 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
E02D5/30 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021102991
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002016
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000446
【氏名又は名称】岡部株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】横山 眞一
(72)【発明者】
【氏名】内海 祥人
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】田口 拓望
(72)【発明者】
【氏名】新川 照雄
(72)【発明者】
【氏名】竹森 敬介
(72)【発明者】
【氏名】春山 豊茂
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144391(JP,A)
【文献】特開2010-174474(JP,A)
【文献】特開2018-119385(JP,A)
【文献】特開2011-137320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22- 5/80
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製コンクリート杭の杭頭構造の施工方法であって、
鋼管内に、端部に杭内継手材が設けられた複数の杭内補強鉄筋を挿入し、
前記杭内補強鉄筋を、前記鋼管の天端に固定された端板に設けられた孔部から前記杭内継手材の先端が所定の長さの突出部として突出した状態で固定し、
前記端板の上面において、取付孔が形成されたテンプレートを当該取付孔に前記突出部が挿入されるように設け、当該テンプレートを前記端板に固定し、
前記鋼管内にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後に前記テンプレートを取り外し、
前記突出部に端部に杭外継手材が設けられた杭頭補強鉄筋を接続し、前記杭内継手材と前記杭外継手材とを圧着させることを特徴とする、杭頭構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製コンクリート杭の杭頭構造及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管を外殻とし、該鋼管内にコンクリートを打設して遠心力成形により一体化させて構成される鋼管コンクリート複合杭は建築及び土木の分野で広く用いられている。この鋼管コンクリート複合杭を既製コンクリート杭として使用し、杭とフーチングとを結合する技術として、例えば特許文献1には、既製コンクリート杭の端板にスリーブ圧着ネジ継手を装着し、このスリーブ圧着ネジ継手に圧着された補強鉄筋をコンクリート部の一端に埋設させた構成が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された構成によれば、例えば杭とフーチングとを結合させるに際し、フーチング結合用の補強鉄筋を露出させるためのはつり作業等や、フーチング結合用の補強鉄筋を杭外周に溶接させる、といった手段をとることなく、スリーブにトルクを導入することで、継手手段を用いた結合構造としての所定の性能を発揮させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-144391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、例えば特許文献1に開示されたような従来技術に係る構成においても、スリーブにトルクを導入して結合構造として所定の性能を発揮させることは可能であるが、従来の構成には以下のような問題点がある。即ち、従来の構成では、端板の面とスリーブの面を同一にすることが困難であり、例えばスリーブの面が端板の下側に位置してしまうと、接続ボルトの鍔にトルクを導入した際に、当該鍔が端板にあたり、トルクを十分に導入することができず、接続対象である鉄筋同士の十分な性能を発揮することができない恐れがある。確実にトルク導入をさせるためには、スリーブの面と接続ボルトの鍔が確実に当接することが必要となる。そのためには、スリーブの面を端板より上側から突出させることも考えられるが、そもそも、杭構造の製造時においては、スリーブの面を端板の上側に位置させて、突出部分を設けてしまうと、当該突出部分が製造機械に干渉し破損などの恐れがあるため、従来、このような構成の杭頭構造はなかった。
【0006】
そこで、本発明者らは、既製コンクリート杭の杭頭構造において、杭頭補強鉄筋と杭内補強鉄筋とを接続するに際し、これら杭頭補強鉄筋及び杭内補強鉄筋の力学的性能を十分に発揮することが可能な杭頭構造及びその施工方法について鋭意検討を行った。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、予め杭内継手材の先端を杭頭端板から突出させた状態でも、杭構造の製造時の製造機械との干渉や、コンクリート打設時の破損といった問題を避け、杭内継手材を杭頭の端板から突出させた杭構造となるため、各継手材に確実にトルクを導入し、杭頭補強鉄筋と杭内補強鉄筋の両方の性能を十分に発揮することが可能な杭頭構造及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、既製コンクリート杭の杭頭構造の施工方法であって、鋼管内に、端部に杭内継手材が設けられた複数の杭内補強鉄筋を挿入し、前記杭内補強鉄筋を、前記鋼管の天端に固定された端板に設けられた孔部から前記杭内継手材の先端が所定の長さの突出部として突出した状態で固定し、前記端板の上面において、取付孔が形成されたテンプレートを当該取付孔に前記突出部が挿入されるように設け、当該テンプレートを前記端板に固定し、前記鋼管内にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後に前記テンプレートを取り外し、前記突出部に端部に杭外継手材が設けられた杭頭補強鉄筋を接続し、前記杭内継手材と前記杭外継手材とを圧着させることを特徴とする、杭頭構造の施工方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、予め杭内継手材の先端を杭頭端板から突出させた状態でも、杭構造の製造時の製造機械との干渉や、コンクリート打設時の破損といった問題を避け、杭内継手材を杭頭の端板から突出させた杭構造となるため、各継手材に確実にトルクを導入し、杭頭補強鉄筋と杭内補強鉄筋の両方の性能を十分に発揮することが可能な杭頭構造及びその施工方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る杭頭構造の構成を示す概略説明図である。
図2】杭頭補強鉄筋を接続する前段階の杭構造を示す概略説明図である。
図3】杭構造上端部の概略拡大図である。
図4】位置ずれ防止材の概略平面図である。
図5】杭構造の製造方法の概略説明図である。
図6】杭構造の製造方法の概略説明図である。
図7】杭構造の製造方法の概略説明図である。
図8】杭構造の製造方法の概略説明図である。
図9】杭頭構造の施工方法の概略説明図である。
図10】本発明の第1変形例に係るテンプレートの概略説明図である。
図11】本発明の第2-1変形例に係るテンプレートの概略説明図である。
図12】本発明の第2-2変形例に係るテンプレートの概略説明図である。
図13】本発明の第3変形例における保護部材の概略説明図である。
図14】本発明の第4変形例における保護部材の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
<杭頭構造の構成>
図1は本発明の実施の形態に係る杭頭構造1の構成を示す概略説明図であり、杭頭構造1の側面断面図である。図1に示すように、杭頭構造1は、円筒状の鋼管10と、その鋼管10を外殻として打設され、遠心力成形によって一体化されたコンクリート部20と、コンクリート部20の内部に複数配置された杭内補強鉄筋30を備え、その杭内補強鉄筋30と杭頭補強鉄筋40とを、杭内継手材32や杭外継手材42を介して接続した構成を有している。また、鋼管10の天端(図1に示した一方の端部)には端板50が設けられている。端板50は、例えば鋼製の平板状部材でも良く、あるいはゴム板でも良い。
【0015】
図1のように、端板50には孔部52が形成され、その孔部52には杭内補強鉄筋30の端部に設けられた杭内継手材32が挿通し、端板50の上面から杭内継手材32の一部(上端部)が突出し、突出部32aが構成されている。杭内継手材32(突出部32a)の上端において、杭外継手材42を備えた杭頭補強鉄筋40が接続される。杭内継手材32や杭外継手材42は円筒状のいわゆるスリーブ部材であり、それぞれ杭内補強鉄筋30、杭頭補強鉄筋40に圧着等の手段によって固着される。また、杭内継手材32や杭外継手材42の内周面には、中継ボルト55が螺合される部分にネジ部が形成されても良い。杭内継手材32と杭外継手材42との接続手段は任意であるが、例えば中継ボルト55であっても良く、その中継ボルト55の構造は例えば一般的な全ネジボルトや中央に鍔部が成形された全ネジボルトであっても良い。
【0016】
<杭頭補強鉄筋接続前の杭構造の構成>
図2は杭頭構造1を構成する前段階、即ち、杭外継手材42を備えた杭頭補強鉄筋40を接続する前段階の杭構造2を示す概略説明図である。図2(a)は概略平面図であり、図2(b)は概略縦断面図である。また、図3は杭構造2の上端部の概略拡大図である。図2(a)に示すように、端板50及び後述するテンプレート60には、周方向において複数の孔部52及び取付孔62が形成され、それら各孔部52、取付孔62にそれぞれ複数の杭内補強鉄筋30の端部に設けられた杭内継手材32が挿通する構成となっている。
【0017】
また、図2図3に示すように、鋼管10の天端には端板50が設けられ、更にその上面にテンプレート60が取り付けられる。テンプレート60は、例えば平板状部材であり、鋼製あるいはゴム製であっても良い。このテンプレート60には杭内継手材32が挿通可能な取付孔62が形成される。取付孔62の配置構成は、端板50に形成された孔部52に対応して設計される。テンプレート60の厚みは任意に設計でき、例えば上記突出部32aの高さよりも大きな厚みに設計し、テンプレート60を取り付けた際に杭内継手材32の突出部32aが当該テンプレート60表面から突出しないように設計することが好ましい。
【0018】
また、鋼管10の内側において例えば長手方向中央部には、コンクリート部20内に位置ずれ防止材70が設けられても良い。図4は位置ずれ防止材70の概略平面図である。図4に示すように、位置ずれ防止材70は、円環状の鋼製平板71に杭内補強鉄筋30を挿通させて取り付けるための切欠き部73が外周に沿って複数形成され、当該切欠き部73を塞ぐように外周の全周にわたって帯状板75が鋼製平板71を囲うように設けられる。また、帯状板75には、杭内補強鉄筋30を取り付けた際の鉄筋同士の間隔や鉄筋と鋼管内周との間隔を好適に保持する間隔保持材77が所定の位置(図4では周囲4か所)に取り付けられている。複数の杭内補強鉄筋30を切欠き部73にはめ込み、この状態で帯状板75を、切欠き部73を塞ぐように設け、杭内補強鉄筋30を固定させることで、各杭内補強鉄筋30が好適な位置となるように位置ずれ防止材70と杭内補強鉄筋30とが一体化される。
【0019】
<杭頭構造の施工方法>
次に、本発明の実施の形態に係る杭構造2の製造から杭頭構造1の施工までの方法について説明する。図5図8は杭構造2の製造方法の概略説明図であり、図9は杭頭構造1の施工方法の概略説明図である。なお、図5図9では、図1図4を参照して上述した各構成要素について同一の符号を付して図示し、その説明は省略する場合がある。
【0020】
先ず、図5に示すように、鋼管10の開口部(天端となる一方の端部)から、先端に杭内継手材32が取り付けられ位置ずれ防止材70と一体化された複数の杭内補強鉄筋30が内部に挿入される。挿入後には、杭内補強鉄筋30の先端に取り付けられた杭内継手材32の端部が、鋼管10の天端よりも上側に位置するように突出させた状態とする。
【0021】
次に、図6に示すように、鋼管10の天端から杭内継手材32が突出した状態で端板50を鋼管10の天端に設ける。その際、端板50に形成されている孔部52に杭内継手材32を挿入させ、突出部32aが端板50から上方に突出するような配置とされる。この時、端板50の孔部52の内周と杭内継手材32との間に接着剤を塗布し、杭内継手材32を固定しても良い。また、端板50は鋼管10の端部に全周溶接等の固定手段により固定しても良い。
【0022】
なお、ここでは杭内継手材32が取り付けられた杭内補強鉄筋30を鋼管10内に挿入した後に端板50を設ける手順を説明しているが、手順はこれに限られるものではなく、例えば、予め端板50を鋼管10に固定させておき、鋼管10の下端(他方の端部)から杭内継手材32が取り付けられた杭内補強鉄筋30を挿入させ、杭内継手材32の突出部32aを端板50の孔部52から突出させて固定するといった手順でも良い。
【0023】
次に、図7に示すように、端板50の上面において、突出部32aが取付孔62に挿入されるようにテンプレート60を設ける。そしてテンプレート60を端板50に対し固定する。突出部32aは取付孔62から上方に突出しない状態とされる。また、この時の固定手段は例えば溶接、係止ボルトであっても良い。
【0024】
そして、図8に示すように、鋼管10の内部にコンクリートUが打設される。コンクリートUの打設は例えば遠心力成形によって鋼管10の内周面にコンクリートUを一体化させるように行われる。コンクリートUが硬化しコンクリート部20が構成された後、テンプレート60を取り外すことで杭構造2が完成する。
【0025】
続いて、図9に示すように、完成された杭構造2を既製コンクリート杭として所望の地盤(図示せず)に建て込み挿入させ、その杭頭において突出した杭内継手材32の突出部32aに対し、予め杭外継手材42を取り付けた杭頭補強鉄筋40を、中継ボルト55を用いて接続させる。そして各継手材(杭内継手材32、杭外継手材42)にトルク導入を行うことで、杭内補強鉄筋30と杭頭補強鉄筋40とを圧着させる。このようにして本発明の実施の形態に係る杭頭構造1の施工が完了する。
【0026】
(作用効果)
本実施の形態に係る杭頭構造1によれば、杭構造2を既製コンクリート杭として用いる際に、杭内継手材32の突出部32aを端板50の孔部52から突出させた状態で製造することが可能である。杭構造2において、杭内継手材32の突出部32aを備えた構成としたため、杭内補強鉄筋30と杭頭補強鉄筋40との圧着を効果的に行うことができる。即ち、杭内継手材32と杭外継手材42との対向する面同士を確実に当接させ、効果的にトルク導入を行うことができ、杭内補強鉄筋30と杭頭補強鉄筋40とのいずれの鉄筋性能も十分に発揮させることが可能となる。
【0027】
また、本実施の形態に係る杭頭構造1では、杭構造2の製造時に鋼管10の内側において例えば長手方向中央部のコンクリート部20内に位置ずれ防止材70を設ける構成としている。これにより複数設けられる杭内補強鉄筋30同士の間隔や、杭内補強鉄筋30と鋼管10内周との間隔を確実に確保し、所望の配筋構成を実現させることができる。
【0028】
特に、杭構造2を製造するに際し、杭内継手材32の突出部32aを設けたことで生じる、杭構造2(既製コンクリート杭)製造時の製造機械との干渉やコンクリート打設時の突出部32aの破損を、テンプレート60を用いた製造方法を採ることで抑えることが可能となる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0030】
<テンプレートに係る変形例>
上記実施の形態においては、杭構造2を製造するに際し、杭内継手材32の突出部32aをテンプレート60の取付孔62に挿入させることで、突出部32aの杭構造2製造時の製造機械との干渉やコンクリート打設時の突出部32aの破損を抑制している。このテンプレート60の構成は上記実施の形態で説明したものに限定されない。そこで、以下では本発明の第1変形例、第2-1変形例、第2-2変形例としてテンプレート60の他形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上記実施の形態と同じ機能構成を有する構成要素については同一の符号を付して図示し、その説明は省略する場合がある。
【0031】
<第1変形例>
図10は本発明の第1変形例に係るテンプレート60aの概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)は拡大説明図である。図10に示すように、本変形例に係るテンプレート60aには、取付孔62の周囲に当該取付孔62の径よりも大きな径を有する座繰り部80が形成されている。座繰り部80の径や深さといった設計は任意であり、例えば所定寸法のボルト81をねじ込むことが可能に設計される。
【0032】
本変形例に係る構成によれば、杭内継手材32の上端にボルト81をねじ込むことで、コンクリート打設時の異物混入を防止することができる。また、テンプレート60aがゴム板である場合に、座繰り部80にボルトを締め込むことで、溶接等の手段をとることなくテンプレート60aを鋼管10に密着させて固定させることができ、コンクリートの漏れを防止することができる。
【0033】
<第2-1変形例>
図11は本発明の第2-1変形例に係るテンプレート60bの概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。図11に示すように、本変形例に係るテンプレート60bは、取付孔62の周囲に切欠き部85が形成されたいわゆる切欠き型テンプレートである。
【0034】
杭構造2の製造時において、杭内継手材32が内側にずれた状態で製造される場合があることが知られている。本変形例に係る構成によれば、このような製造誤差に起因する杭頭構造1の施工誤差を、取付孔62の周囲に切欠き部85を形成することで吸収し、効率的な施工を実現することが可能となる。
【0035】
<第2-2変形例>
また、図12は本発明の第2-2変形例に係るテンプレート60cの概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)は拡大説明図である。図12に示すように、本変形例に係るテンプレート60cは、取付孔62の周囲に切欠き座繰り部87が形成されている。即ち、上記第2-1変形例の切欠き部85に所定の深さを設け、座繰り形状も併せて持たせた構成となっている。切欠き座繰り部87の深さは任意であり、例えば所定寸法のボルト88をねじ込むことが可能に設計される。
【0036】
本変形例に係る構成によれば、上記第2-1変形例と同様の作用効果に加え、切欠き座繰り部87を形成し、杭内継手材32の上端にボルト88をねじ込むことで、コンクリート打設時の異物混入を防止することができる。
【0037】
<保護部材に係る変形例>
また、上記実施の形態で説明した杭頭構造1の施工方法において、杭構造2を既製コンクリート杭として地盤に建て込み挿入させる際に、端板50から突出した杭内継手材32の突出部32aを保護する保護部材100を用いても良い。そこで、以下では本発明の第3変形例、第4変形例として保護部材100(以下、100aあるいは100bと記載)を用いた構成について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上記実施の形態や変形例と同じ機能構成を有する構成要素については同一の符号を付して図示し、その説明は省略する場合がある。
【0038】
<第3変形例>
図13は、本発明の第3変形例における保護部材100aの概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図、(c)は拡大説明図である。図13に示すように、保護部材100aは、複数に分かれた保護部材の部分を同一円周上の杭内継手材32上方に配置したいわゆる分割型の構成を有している。保護部材100aの各部分にはそれぞれ座繰り部91が形成され、例えば所定寸法のボルト93をねじ込むことが可能に設計される。
【0039】
本変形例によれば、製造された杭構造2を既製コンクリート杭として地盤に挿入する際に、端板50から上方に突出している突出部32aを保護部材100aによって保護した状態で既製コンクリート杭の挿入を行うことができる。突出部32aが保護されることで杭内補強鉄筋30と杭頭補強鉄筋40との圧着を効果的に行うことができ、杭頭補強鉄筋40と杭内補強鉄筋30の両方の性能を十分に発揮させた杭頭構造1が実現される。
【0040】
<第4変形例>
図14は、本発明の第4変形例における保護部材100bの概略説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。図14に示すように、保護部材100bは、鉛直に貫通する貫通孔95を有するコンクリート製部材である。保護部材100bはコンクリート製であり、その強度を担保するため、内部に鉄筋を配筋する、あるいは、ある程度の量のコンクリート充填を行う必要がある、といった観点からある一定程度の厚みを有している。本変形例においては、例えば貫通孔95を介して杭内継手材32の上端にボルト97をねじ込むことで保護部材100bが端板50に固定されても良い。貫通孔95の形状は任意であり、例えば図示のように周方向2か所でねじ込まれるボルト97を1つの貫通孔95で保持するような構成でも良い。
【0041】
本変形例によれば、上記第3変形例と同様に、製造された杭構造2を既製コンクリート杭として地盤に挿入する際に、端板50から上方に突出している突出部32aを保護部材100bによって保護した状態で既製コンクリート杭の挿入を行うことができる。突出部32aが保護されることで杭内補強鉄筋30と杭頭補強鉄筋40との圧着を効果的に行うことができ、杭頭補強鉄筋40と杭内補強鉄筋30の両方の性能を十分に発揮させた杭頭構造1が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、既製コンクリート杭の杭頭構造及びその施工方法に適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1…杭頭構造
2…杭構造
10…鋼管
20…コンクリート部
30…杭内補強鉄筋
32…杭内継手材
32a…突出部
40…杭頭補強鉄筋
42…杭外継手材
50…端板
52…孔部
55…中継ボルト
60…テンプレート
60a~60c…(変形例に係る)テンプレート
62…取付孔
70…位置ずれ防止材
71…鋼製平板
73…切欠き部
75…帯状板
77…間隔保持材
80、91…座繰り部
81、88、93、97…ボルト
85…切欠き部
87…切欠き座繰り部
95…貫通孔
100(100a、100b)…保護部材
U…コンクリート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14