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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/32 20200101AFI20240918BHJP
【FI】
D06F33/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021123354
(22)【出願日】2021-07-28
(65)【公開番号】P2023018952
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】久野 功二
(72)【発明者】
【氏名】杉本 哲也
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-116381(JP,A)
【文献】特開2009-189539(JP,A)
【文献】特開2001-178992(JP,A)
【文献】特開2017-029248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
前記収容槽内に収容された前記洗濯物の予洗いを行う予洗い動作が含まれる予洗い行程と、前記予洗い行程の完了後に前記収容槽への前記洗濯物の追加投入を可能にする待機期間を経て前記収容槽内に収容された前記洗濯物の本洗いを行う本洗い動作が含まれる本洗い行程と、前記本洗い行程の完了後に行われる行程であり且つ前記収容槽内に収容された前記洗濯物の脱水を行う脱水動作が含まれるすすぎ行程および脱水行程と、を含む洗濯運転を実行することができる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記収容槽内に収容された前記洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行することができる重量検知部を備え、
前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記収容槽内に給水する給水動作の完了後であり且つ前記脱水運転の開始前に前記重量検知動作を実行し、
前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前にも前記重量検知動作を実行するようになっており、
前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第1重量検知動作とするとともに、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の完了後であり且つ前記脱水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第2重量検知動作とすると、
前記制御装置は、前記第2重量検知動作による検知結果に基づいて前記脱水動作の動作内容を設定し、
前記重量検知部は、
前記重量検知動作を実行する際、前記収容槽を回転させた際に得られる所定の物理量に基づいて前記洗濯物の重量を検知するようになっており、
前記第2重量検知動作において前記収容槽を回転させる際の回転数は、前記第1重量検知動作において前記収容槽を回転させる際の回転数に比べ、小さい値となっている洗濯機。
【請求項2】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
前記収容槽内に収容された前記洗濯物の予洗いを行う予洗い動作が含まれる予洗い行程と、前記予洗い行程の完了後に前記収容槽への前記洗濯物の追加投入を可能にする待機期間を経て前記収容槽内に収容された前記洗濯物の本洗いを行う本洗い動作が含まれる本洗い行程と、前記本洗い行程の完了後に行われる行程であり且つ前記収容槽内に収容された前記洗濯物の脱水を行う脱水動作が含まれるすすぎ行程および脱水行程と、を含む洗濯運転を実行することができる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記収容槽内に収容された前記洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行することができる重量検知部を備え、
前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記収容槽内に給水する給水動作の完了後であり且つ前記脱水運転の開始前に前記重量検知動作を実行し、
前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前にも前記重量検知動作を実行するようになっており、
前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第1重量検知動作とするとともに、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の完了後であり且つ前記脱水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第2重量検知動作とすると、
前記制御装置は、前記第2重量検知動作による検知結果に基づいて前記脱水動作の動作内容を設定し、
前記重量検知部は、
前記本洗い行程に含まれる前記給水動作および前記本洗い動作の完了後であり且つ前記脱水運転の開始前に前記第2重量検知動作を実行するようになっており、
前記本洗い動作の時間に応じて前記第2重量検知動作による検知結果を補正するようになっている洗濯機。
【請求項3】
洗濯物を収容可能な収容槽と、
前記収容槽内に収容された前記洗濯物の予洗いを行う予洗い動作が含まれる予洗い行程と、前記予洗い行程の完了後に前記収容槽への前記洗濯物の追加投入を可能にする待機期間を経て前記収容槽内に収容された前記洗濯物の本洗いを行う本洗い動作が含まれる本洗い行程と、前記本洗い行程の完了後に行われる行程であり且つ前記収容槽内に収容された前記洗濯物の脱水を行う脱水動作が含まれるすすぎ行程および脱水行程と、を含む洗濯運転を実行することができる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記収容槽内に収容された前記洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行することができる重量検知部を備え、
前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記収容槽内に給水する給水動作の完了後であり且つ前記脱水運転の開始前に前記重量検知動作を実行し、
前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前にも前記重量検知動作を実行するようになっており、
前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第1重量検知動作とするとともに、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の完了後であり且つ前記脱水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第2重量検知動作とすると、
前記制御装置は、前記第2重量検知動作による検知結果に基づいて前記脱水動作の動作内容を設定し、
前記制御装置は、前記第1重量検知動作により検知された前記洗濯物の重量が所定の閾値重量よりも大きい場合、前記重量検知部による前記第2重量検知動作を実行させない、または、前記第2重量検知動作による検知結果を用いることなく前記脱水動作の動作内容を設定する洗濯機。
【請求項4】
前記重量検知部は、前記第2重量検知動作では、最初に前記収容槽内における前記洗濯物の偏りによるアンバランスを検知するアンバランス検知動作を実行し、前記アンバランス検知動作による検知結果に基づいて前記重量検知動作の実行可否を判断するようになっている請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御装置は、さらに、前記収容槽内に収容された前記洗濯物の布質を判定する布質判定動作を実行することができる布質判定部を備え、
前記重量検知部は、前記布質判定部による判定結果に応じて前記第2重量検知動作による検知結果を補正するようになっている請求項からのいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記重量検知部は、前記第1重量検知動作による検知結果を予め定められた補正値に基づいて軽めに補正するようになっている請求項からのいずれか一項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばドラム式洗濯機などの洗濯機において、脱水動作時における振動が収容槽であるドラムに収容された洗濯物の重量、つまり槽内の負荷量に関係することが知られている。そのため、洗濯機の脱水動作については、槽内の負荷量に応じてドラムの回転数など脱水動作の動作内容を最適なものとなるように変更することが望ましい。そして、このような脱水動作の動作内容の最適化を実現するためには、収容槽に収容された洗濯物の重量を精度良く検知する必要がある。
【0003】
一方、近年では、共働き世帯が増えるなどしたことから、一度に多くの洗濯物を洗濯したいというニーズがある。また、洗濯物の中に汚れがひどい衣類が含まれる場合、そのような汚れがひどい衣類だけを予め予洗いし、大部分の汚れを取り除いた後、その他の洗濯物と一緒に本洗いをする、といったユーザも存在する。
【0004】
このような洗濯機の使用方法を想定した場合、予洗いを行う予洗い行程が完了した後の本洗いを行う本洗い行程では、予洗いされた後の水分を含んだ洗濯物である湿布と、追加投入された水分を含まない洗濯物である乾布と、が混在することになる。このように、収容槽に収容された洗濯物に湿布と乾布とが混在した状態で、洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行した場合、収容槽内における湿布と乾布の割合が不明であるため、洗濯物の重量を正確に検知することができず、その結果、脱水動作が正常に行えなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平06-114184号公報
【文献】特開2017-029248号公報
【文献】特開2018-130238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、収容槽内に収容された洗濯物の重量を精度良く検知することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の洗濯機は、洗濯物を収容可能な収容槽と、前記収容槽内に収容された前記洗濯物の予洗いを行う予洗い動作が含まれる予洗い行程と、前記予洗い行程の完了後に前記収容槽への前記洗濯物の追加投入を可能にする待機期間を経て前記収容槽内に収容された前記洗濯物の本洗いを行う本洗い動作が含まれる本洗い行程と、前記本洗い行程の完了後に行われる行程であり且つ前記収容槽内に収容された前記洗濯物の脱水を行う脱水動作が含まれるすすぎ行程および脱水行程と、を含む洗濯運転を実行することができる制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記収容槽内に収容された前記洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行することができる重量検知部を備える。前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記収容槽内に給水する給水動作の完了後であり且つ前記脱水運転の開始前に前記重量検知動作を実行する。前記重量検知部は、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前にも前記重量検知動作を実行するようになっており、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第1重量検知動作とするとともに、前記本洗い行程に含まれる前記給水動作の完了後であり且つ前記脱水動作の開始前に実行される前記重量検知動作を第2重量検知動作とすると、前記制御装置は、前記第2重量検知動作による検知結果に基づいて前記脱水動作の動作内容を設定する。前記重量検知部は、前記重量検知動作を実行する際、前記収容槽を回転させた際に得られる所定の物理量に基づいて前記洗濯物の重量を検知するようになっており、前記第2重量検知動作において前記収容槽を回転させる際の回転数は、前記第1重量検知動作において前記収容槽を回転させる際の回転数に比べ、小さい値となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の構成を模式的に示す図
図2】第1実施形態に係る洗濯機の電気的構成を示す図
図3】第1実施形態に係る洗濯運転における各行程の具体的内容の一例を示す図
図4】第1実施形態に係る第1重量検知動作における回転速度および時間の関係の一例を示す図
図5】第1実施形態に係る第2重量検知動作における回転速度および時間の関係の一例を示す図
図6】第1実施形態に係る本洗い行程の開始後に制御装置が実行する処理の内容を示す図
図7】第1実施形態に係る重量検知動作中において回転槽に洗濯物が張り付いた状態を模式的に示す図
図8】第1実施形態に係る重量検知動作中において回転槽に洗濯物が張り付かない状態を模式的に示す図
図9】第2実施形態に係る第2重量検知動作における回転速度および時間の関係の一例を示す図
図10】第3実施形態に係る第1重量検知動作による検知結果の補正に関する具体例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図1図8を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平へ向かう横軸型または後方へ向かって下降傾斜した斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、洗濯機10は、回転槽13の回転軸が垂直方向へ向いた縦軸型の洗濯機でもよい。本実施形態の洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、排水経路15、排水弁16、循環経路17、循環ポンプ18、およびヒータ19を備えている。なお、図1において、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を洗濯機10の上側とする。また、洗濯機10のユーザから見て手前側を洗濯機10の前側とし、ユーザの反対側つまり洗濯機10の背面側を洗濯機10の後側とする。
【0011】
外箱11は、例えば鋼板などによって略矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11内に配置されて図示しないサスペンションによって弾性的に支持されている。回転槽13は、水槽12内に回転可能に配置されている。水槽12および回転槽13は、いずれも円筒形状の軸方向の一方側つまり前方側が開口し、他方側つまり後方側に底部を有する、いわゆる有底円筒状に形成されている。回転槽13は、その内部に洗濯物を出し入れ可能に収容されるものであり、洗濯物を収納する収容槽として機能する。なお、洗濯物は、主に衣類であることから、本明細書では、洗濯物のことを衣類と称することがある。
【0012】
また、回転槽13は、バッフル131と多数の孔132とを有している。バッフル131は、回転槽13の内周壁に複数例えば3つ設けられており、回転槽13内に収容された洗濯物を撹拌および掻き上げる機能を有する。孔132は、回転槽13の内周壁の全域にわたって形成されており、例えば脱水行程時においては水が出入りする通水孔としての機能を有する。回転槽13は、洗濯物を洗う洗い動作および洗濯物をすすぐすすぎ動作が行われる際には洗濯槽としても機能するとともに、洗濯物を脱水する脱水動作が行われる際には脱水槽としても機能する。
【0013】
モータ14は、水槽12の底部外側に設けられている。モータ14は、回転槽13に接続されており、回転槽13を直接的に回転駆動させる機能を有する。モータ14は、詳細は図示しないが、例えば回転数を変更可能なブラシレスのダイレクトドライブモータで構成されている。なお、モータ14は、ダイレクトドライブモータに限らず、クラッチ機構およびブレーキ装置などを有する構成であってもよい。
【0014】
排水経路15は、水槽12内に貯留されている水を洗濯機10の機外に排出するための経路である。排水経路15は、例えば可撓性を有する排水ホースで構成されており、一方の端部が排水弁16に接続され、他方の端部が洗濯機10の機外に引き出されている。排水弁16は、電磁的に開閉動作が可能な液体用の開閉弁である。排水弁16は、水槽12の底部に設けられた排水口121と排水経路15との間に設けられている。排水弁16は、制御装置50からの制御信号に基づき、排水経路15を開閉する。
【0015】
循環経路17は、水槽12の外部に設けられている。循環経路17は、水槽12内に貯留されている水を汲み上げて、その汲み上げた水を水槽12の上部から再び水槽12内に供給するための経路である。循環経路17は、一方の端部が循環ポンプ18を介して排水口121に接続され、他方の端部が水槽12の上部に設けられたノズル部171に接続されている。ノズル部171は、詳細は図示しないが、ノズル部171から吐出された水が水槽12の中央側へ向かってシャワー状に放出されるように構成されている。
【0016】
循環ポンプ18は、循環経路17上に設けられている。排水弁16によって排水経路15が閉じられた状態で循環ポンプ18が駆動すると、循環ポンプ18は、排水口121を通して水槽12内の水を汲み上げて、ノズル部171から再び水槽12内へ注水する。これにより、循環ポンプ18は、循環経路17を通して水槽12内に貯留されている水を循環させる。ヒータ19は、水槽12の底部に設けられている。ヒータ19は、水槽12に供給される水を加熱して温水化する機能を有する。これにより、洗濯機10は、温水を用いて洗い行程またはすすぎ行程を実行することができる。
【0017】
また、洗濯機10は、図1および図2に示すように、温風供給経路61、加熱装置62および送風機63を備えている。温風供給経路61は、水槽12の外部に設けられており、水槽12内に乾燥用の温風を供給する機能を有する。本実施形態の場合、温風供給経路61は、水槽12の内部と外部とを循環する循環風路として構成されている。この場合、温風供給経路61は、水槽12および回転槽13内の空気が吸い込まれ、その吸い込まれた空気を水槽12の上部から再び水槽12内に供給する。温風供給経路61は、一方の端部が水槽12の背面側の下端部付近に接続され、他方の端部が水槽12の前面側の上部前端部付近に接続されている。
【0018】
加熱装置62や送風機63は、温風供給経路61の途中に設けられている。加熱装置62は、温風供給経路61の空気を温めて温風供給経路61から水槽12内に供給する温風を生成する機能を有する。加熱装置62で生成された温風は、送風機63の作用によって水槽12内に供給される。この場合、加熱装置62の加熱方式は、例えばヒートポンプ式やヒータ式などを採用することができる。
【0019】
また、洗濯機10は、接続口21、給水経路22、給水弁23および処理剤自動投入装置30を有している。接続口21は、ホース100を介して水道の蛇口等の外部の給水源に接続される。給水経路22は、外部の給水源から供給された水を水槽12および回転槽13内に給水するための経路である。給水経路22は、一方の端部が給水弁23に接続され、他方の端部が水槽12に接続されている。給水弁23は、電磁的に開閉動作可能な液体用の開閉弁である。給水弁23は、接続口21と給水経路22との間に設けられている。給水弁23は、制御装置50からの制御信号に基づき、給水経路22を開閉する。
【0020】
処理剤自動投入装置30は、複数回分の洗濯運転に必要な洗剤などの洗濯処理剤を貯留しておき、洗濯運転の進行に伴い必要量の洗濯処理剤を自動的に水槽12に投入する機能を有する。処理剤自動投入装置30は、例えば外箱11の上部に設けられており、給水経路22に接続されている。外部の給水源から供給された水は、処理剤自動投入装置30から供給される洗濯処理剤と給水経路22内にて直接的に混合し水槽12内に供給される。
【0021】
この場合、処理剤自動投入装置30は、例えば図示しないピストンポンプを用いて予め処理剤自動投入装置30に貯留された洗濯処理剤を自動で水槽12内に供給することが可能な構成としている。なお、洗濯機10は、処理剤自動投入装置30に加えて手動投入装置を備え、ユーザが洗濯運転の開始前に手動投入装置に手動で1回の洗濯運転に必要な洗濯処理剤を投入する構成としてもよい。なお、本明細書において、洗濯処理剤とは、例えば粉末洗剤や液体洗剤などの洗剤および柔軟剤や香り付け剤などの仕上げ剤を含む概念である。この場合、処理剤自動投入装置30は、液体洗剤および液体の仕上げ剤に対応し、手動投入装置は、液体洗剤と粉末洗剤との両方および液体の仕上げ剤に対応している。
【0022】
洗濯機10は、図2に示すように、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43および制御装置50を備えている。操作パネル41は、表示部や操作部を有しており、ユーザの入力操作を受け付けるとともに、入力された操作内容および運転状況などを表示する。電流センサ42は、モータ14に流れる電流を検知することができる。水位センサ43は、水槽12内の水位を検出することができる。
【0023】
制御装置50は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAMおよび書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯機10の動作全般の制御を行う。制御装置50には、モータ14、排水弁16、循環ポンプ18、ヒータ19、給水弁23、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、加熱装置62および送風機63が電気的に接続されている。これらモータ14、排水弁16、循環ポンプ18、ヒータ19、給水弁23、操作パネル41、電流センサ42、水位センサ43、加熱装置62および送風機63は、制御装置50により制御される。
【0024】
制御装置50は、運転制御部51、重量検知部52および布質判定部53といった機能ブロックを備えている。これら機能ブロックは、制御装置50のCPUがROMなどに格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、各機能ブロックのうち少なくとも一部を集積回路などのハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0025】
運転制御部51は、予洗い行程と、本洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、を含む洗濯運転を実行することができる。図3に示すように、予洗い行程には、洗剤投入動作、給水動作、予洗い動作、排水動作および脱水動作が含まれる。洗剤投入動作は、所定の投入量の洗濯処理剤を水槽12および回転槽13内に供給する動作である。給水動作は、所定量の水を水槽12および回転槽13内に供給する動作である。予洗い動作は、回転槽13内に収容された洗濯物の予洗いを行う動作である。排水動作は、水槽12および回転槽13内の水を排水する動作である。脱水動作は、回転槽13内に収容された洗濯物の脱水を行う動作である。
【0026】
図3に示すように、本洗い行程は、予洗い行程の完了後に回転槽13への洗濯物の追加投入を可能にする待機期間を経て行われる行程である。本洗い行程には、洗剤投入動作、給水動作、本洗い動作および排水動作が含まれる。本洗い動作は、回転槽13内に収容された洗濯物の本洗いを行う動作である。図3に示すように、すすぎ行程は、本洗い行程の完了後に行われる行程である。すすぎ行程には、脱水動作、給水動作、すすぎ動作、排水動作および脱水動作が含まれる。すすぎ動作は、回転槽13内に収容された洗濯物をすすぐ動作である。すすぎ動作には、シャワー給水によるシャワーすすぎ動作と、ためすすぎ動作と、が含まれる。図3に示すように、脱水行程は、本洗い行程およびすすぎ行程の完了後に行われる行程である。脱水行程には、脱水動作が含まれる。
【0027】
重量検知部52は、回転槽13内に収容された洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行することができる。なお、回転槽13内に収容された洗濯物の重量は、回転槽13内の負荷量に相当するため、本明細書では、回転槽13内に収容された洗濯物の重量のことを負荷量と称することがある。重量検知部52は、回転槽13を所定の回転速度まで回転させた際に得られる所定の物理量に基づいて回転槽13内に収容された洗濯物の重量を検知するようになっている。
【0028】
具体的には、重量検知部52は、回転槽13を所定の回転速度まで急速回転させ、その急速回転の際にモータ14に流れる電流値を電流センサ42により測定し、その測定した電流値に基づいて回転槽13内の洗濯物の重量を検知する。この場合、電流センサ42により検出されるモータ14に流れる電流値には、モータ14の回転トルクの大きさが反映されるq軸電流値が含まれる。
【0029】
なお、洗濯機10が縦軸型の洗濯機である場合、重量検知部52は、次のようにして回転槽13内の洗濯物の重量を検知することができる。すなわち、重量検知部52は、回転槽13を所定の回転速度で回転させた際にモータ14の回転速度を検出する図示しない回転センサから得られる検知信号の変化に基づいて回転槽13内の洗濯物の重量を検知することができる。回転速度は、単位時間当たりの回転数であることから、本明細書では、回転速度のことを回転数と称することがある。また、重量検知部52は、回転槽13内の洗濯物の重量を重量計などによって直接物理的に測定する構成とすることもできる。
【0030】
重量検知部52は、予洗い行程の開始時に重量検知動作を実行する。これにより、図3に示すように、予洗い行程では、重量検知動作、洗剤投入動作、給水動作、予洗い動作、排水動作および脱水動作が、この順で実行される。運転制御部51は、予洗い行程の開始時に実行される重量検知動作による検知結果に基づいて予洗い行程における各動作の動作内容を設定する。具体的には、運転制御部51は、洗剤投入動作における洗剤の投入量である洗剤投入量、給水動作における給水の量である給水量、脱水動作の動作内容を設定する。脱水動作の動作内容には、脱水動作において回転槽13を回転させる際の回転数が含まれる。
【0031】
重量検知部52は、本洗い行程に含まれる給水動作の完了後であり且つ脱水運転の開始前に重量検知動作を実行するとともに、本洗い行程に含まれる給水動作の開始前にも重量検知動作を実行する。本明細書では、これら2つの重量検知動作について、区別を図るため、前者の重量検知動作を第1重量検知動作とするとともに、後者の重量検知動作を第2重量検知動作とすることとする。
【0032】
本実施形態では、重量検知部52は、本洗い行程の開始時に第1重量検知動作を実行する。これにより、図3に示すように、本洗い行程では、第1重量検知動作、洗剤投入動作、給水動作、本洗い動作および排水動作が、この順で実行される。運転制御部51は、第1重量検知動作による検知結果に基づいて、本洗い行程の洗剤投入動作における洗剤投入量、本洗い行程の給水動作における給水量などを設定する。
【0033】
本実施形態では、重量検知部52は、すすぎ行程の開始時に第2重量検知動作を実行する。これにより、図3に示すように、すすぎ行程では、第2重量検知動作、脱水動作、給水動作、シャワーすすぎ動作、排水動作、脱水動作、給水動作、ためすすぎ動作および排水動作、がこの順で実行される。運転制御部51は、第2重量検知動作による検知結果に基づいて、すすぎ行程の給水動作における給水量を設定する。なお、すすぎ行程の給水動作における給水量は、第1重量検知動作による検知結果に基づいて設定されてもよい。また、運転制御部51は、第2重量検知動作による検知結果に基づいて、すすぎ行程および脱水行程の脱水動作の動作内容、具体的には脱水動作において回転槽13を回転させる際の回転数などを設定する。
【0034】
この場合、第2重量検知動作において回転槽13を回転させる際の回転数は、第1重量検知動作において回転槽13を回転させる際の回転数に比べ、小さい値となっている。なお、ここで言う「回転数の値」とは、回転数のピーク値および平均値のうち少なくとも一方のことを示している。すなわち、第1重量検知動作における回転速度は、図4に示すように、動作開始から例えば5秒である所定時間が経過した時点t1までの期間である前半期間において0[rpm]から70[rpm]へと上昇する。
【0035】
また、第1重量検知動作における回転速度は、前半期間の終了時点である時点t1から例えば1秒である所定時間が経過した時点t2までの期間である後半期間において70[rpm]から170[rpm]へと上昇する。第1重量検知動作では、その後半期間つまり2回目の加速期間に電流値の測定、ひいては回転槽13内の洗濯物の重量の検知が行われる。したがって、第1重量検知動作における回転数のピーク値は170[rpm]であり、第1重量検知動作における回転数の平均値は120[rpm]である。
【0036】
これに対し、第2重量検知動作における回転速度は、図5に示すように、動作開始から例えば4秒である所定時間が経過した時点t3までの期間において0[rpm]から90[rpm]へと上昇する。第2重量検知動作では、このような加速期間に電流値の測定、ひいては回転槽13内の洗濯物の重量検知が行われる。したがって、第2重量検知動作における回転数のピーク値は90[rpm]であり、第2重量検知動作における回転数の平均値は45[rpm]である。このように、第2重量検知動作における回転数のピーク値および平均値は、第1重量検知動作における回転数のピーク値および平均値に比べていずれも小さい値となっている。
【0037】
制御装置50は、第1重量検知動作により検知された洗濯物の重量が所定の閾値重量よりも大きい場合、重量検知部52による第2重量検知動作を実行させないようになっている。または、制御装置50は、第1重量検知動作により検知された洗濯物の重量が所定の閾値重量よりも大きい場合、重量検知部52による第2重量検知動作を実行させるものの、その第2重量検知動作による検知結果を用いることなく、第1重量検知動作による検知結果に基づいて脱水動作の動作内容を設定するようになっている。
【0038】
具体的には、制御装置50は、本洗い行程が開始されると、図6に示すような内容の処理を実行する。まず、ステップS100では、第1重量検知動作が実行される。ステップS100の実行後はステップS200に進む。ステップS200では、第1重量検知動作による検知結果が表す回転槽13内の洗濯物の重量が閾値重量以下であるか否かが判断される。閾値重量は、洗濯機10の仕様に応じて適宜設定される値であり、本実施形態では、例えば10kgに設定されている。ここで、第1重量検知動作による検知結果が表す回転槽13内の洗濯物の重量が閾値重量以下である場合、ステップS200で「YES」となり、ステップS300に進む。
【0039】
ステップS300では、第2重量検知動作が実行される。ステップS300の実行後はステップS400に進む。ステップS400では、第2重量検知動作による検知結果に基づいて脱水動作の動作内容が設定される。一方、第1重量検知動作による検知結果が表す回転槽13内の洗濯物の重量が閾値重量より大きい場合、ステップS200で「NO」となり、ステップS500に進む。ステップS500では、第1重量検知動作による検知結果に基づいて脱水動作の動作内容が設定される。ステップS400またはS500の実行後、本処理が終了となる。
【0040】
布質判定部53は、回転槽13内に収容された洗濯物の布質を判定する布質判定動作を実行することができる。布質判定動作は、衣類が主として綿製品からなっているか、化繊製品からなっているかを判別する動作である。布質判定部53は、回転槽13を所定時間だけ回転させた際にモータ14に流れる電流値を電流センサ42により測定し、その測定した電流値の平均値、ばらつきなどに基づいて回転槽13内の洗濯物の布質を判定する。布質判定部53は、重量検知部52により第2重量検知動作が実行されるよりも前の段階において布質判定動作を実行する。例えば、布質判定部53は、予洗い行程中および本洗い行程中に布質判定動作を実行することができる。
【0041】
重量検知部52は、布質判定部53による判定結果に応じて第2重量検知動作による検知結果を補正するようになっている。衣類は、その布質によって水分保持量が相違する。具体的には、衣類が主として化繊製品からなる場合、衣類が主として綿製品からなる場合に比べ、水分保持量が少ない、つまり水を含み難い。このような点に着目し、重量検知部52は、布質判定部53による判定結果が主として化繊製品からなるという判定である場合、同判定結果が主として綿製品からなるという判定である場合に比べ、電流センサ42により測定された電流値が同じ値であっても、少ない負荷量であると判定する、つまり洗濯物の重量を軽めに判定するように第2重量検知動作による検知結果を補正する。
【0042】
図3に示したように、本実施形態では、重量検知部52は、本洗い行程に含まれる給水動作および本洗い動作の完了後であり且つ脱水運転の開始前に第2重量検知動作を実行するようになっている。そして、重量検知部52は、本洗い動作の時間に応じて第2重量検知動作による検知結果を補正するようになっている。洗い動作の時間が比較的短い場合、洗い時間の動作が比較的長い場合に比べ、衣類に水が十分に含まれない可能性がある。このような点に着目し、重量検知部52は、本洗い動作の時間が所定時間未満である場合、本洗い動作の時間が所定時間以上である場合に比べ、電流センサ42により測定された電流値が同じであっても、多い負荷量であると判定する、つまり洗濯物の重量を重めに判定するように第2重量検知動作による検知結果を補正する。
【0043】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
制御装置50は、回転槽13内に収容された洗濯物の重量を検知する重量検知動作を実行することができる重量検知部52を備える。そして、重量検知部52は、本洗い行程に含まれる回転槽13内に給水する給水動作の完了後であり且つ脱水運転の開始前に第2重量検知動作を実行する。
【0044】
このようにすれば、予洗いされた後の水分を含んだ洗濯物である湿布と追加投入された水分を含まない洗濯物である乾布とが混在した状態から、給水動作が行われることにより、回転槽13内の全ての洗濯物が均一に水分を含んだ湿布となる。そのため、重量検知部52は、このように回転槽13内の洗濯物が一様に湿布となった状態で第2重量検知動作を実行することになり、その結果、第2重量検知動作による重量の検知精度が向上する。したがって、本実施形態によれば、回転槽13内に収容された洗濯物の重量を精度良く検知することができるという優れた効果が得られる。
【0045】
重量検知部52は、本洗い行程に含まれる給水動作の開始前に第1重量検知動作を実行するようになっている。しかし、第1重量検知動作は、回転槽13に収容された洗濯物に湿布と乾布とが混在した状態で実行されることから、第2重量検知動作に比べて洗濯物の重量の検知精度が低くなる傾向がある。そこで、制御装置50は、第2重量検知動作による検知結果に基づいて脱水動作の動作内容を設定する。
【0046】
このようにすれば、より正確な負荷量に基づいて脱水動作の動作内容が設定されるため、スムーズな脱水動作を実現することができる。なお、本実施形態の洗濯機10のようなドラム式洗濯機は、縦軸型の洗濯機に比べ、脱水時に回転槽13内のおける洗濯物の偏りによるアンバランスが発生し易い。そのため、本実施形態によれば、上述した効果、つまりスムーズな脱水動作を実現することができるという効果が一層顕著なものとなる。
【0047】
重量検知部52は、重量検知動作を実行する際、回転槽13を所定の回転数まで急速回転させた際に得られる所定の物理量に基づいて洗濯物の重量を検知するようになっている。ただし、洗い動作の後は、洗い中に衣類が絡まることなどに起因して回転槽13内における洗濯物の偏りによるアンバランスが発生し易い。このようなアンバランスが発生した状態で、回転槽13を比較的高い回転数まで急速回転させると、洗濯機10において振動や本体移動などの問題が生じる可能性がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、本洗い動作の実行後に実行される第2重量検知動作において回転槽13を回転させる際の回転数は、本洗い動作の実行前に実行される第1重量検知動作において回転槽13を回転させる際の回転数に比べて小さい値となっている。このようにすれば、アンバランスが発生した状態となり易い第2重量検知動作の実行中において、振動や本体移動などの問題が発生することが防止される。
【0049】
上述したように、第2重量検知動作では、第1重量検知動作に比べ、回転槽13を低速で回転させるようになっているが、このようにしたことで次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、重量検知動作は、図7に示すように、衣類Cが一様に広がって回転槽13に張り付いた状態、つまりモータ14に対して回転槽13内に収容された洗濯物の重量に対応した負荷が正確にかかるような状態で行われることが望ましい。
【0050】
しかしながら、回転槽13内に収容された洗濯物の重量が例えば12kg以上であるときには、つまり高負荷時には、回転槽13を低速で回転させた場合、図8に示すように、衣類Cが上手く広がらず回転槽13に張り付いた状態とならない。このような状態では、モータ14に対して回転槽13内に収容された洗濯物の重量に対応した負荷が正確にかからない。そのため、第2重量検知動作において、測定されたモータ14に流れる電流値が本来あるべき値よりも低くなり、その結果、実際の負荷量よりも軽い負荷量であると判定されるおそれある。このような第2重量検知動作による検知結果に基づいて脱水動作の動作内容が設定された場合、脱水動作が正常に行えなくなるおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態では、制御装置50は、第1重量検知動作により検知された洗濯物の重量が所定の閾値重量よりも大きい場合、重量検知部52による第2重量検知動作を実行させない、または、第2重量検知動作による検知結果を用いることなく脱水動作の動作内容を設定する。このようにすれば、高負荷時、実際の負荷量よりも軽い負荷量であると誤判定されるおそれがある第2重量検知動作による検知結果に基づいて脱水動作の動作内容が設定されることがなくなり、その結果、脱水動作が正常に行えなくなる可能性を低く抑えることができる。
【0052】
衣類は布質によって水分保持量が異なるため、第2重量検知動作において、例えば回転槽13内の衣類が主として化繊製品からなる場合と主として綿製品からなる場合とで同じ判定基準でもって洗濯物の重量を検知すると、その検知結果の精度が低下するおそれがある。そこで、制御装置50は、回転槽13内に収容された洗濯物の布質を判定する布質判定動作を実行することができる布質判定部53を備える。そして、重量検知部52は、布質判定部53による判定結果に応じて第2重量検知動作による検知結果を補正するようになっている。このようにすれば、回転槽13内に収容された洗濯物の布質にかかわらず、その洗濯物の重量を正確に判定することができる。
【0053】
重量検知部52は、本洗い行程に含まれる給水動作および本洗い動作の完了後であり且つ脱水運転の開始前に第2重量検知動作を実行するようになっている。本洗い動作の時間が比較的短い場合、本洗い動作の時間が比較的長い場合に比べ、衣類に水が十分に含まれない可能性がある。そのため、本洗い動作の時間が異なる場合に同じ判断基準でもって洗濯物の重量を検知すると、その検知結果の精度が低下するおそれがある。そこで、重量検知部52は、本洗い動作の時間に応じて第2重量検知動作による検知結果を補正するようになっている。このようにすれば、本洗い動作の時間の長さにかかわらず、回転槽13内に収容された洗濯物の重量を正確に判定することができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図9を参照して説明する。
本実施形態では、第1実施形態に対し、重量検知部52による第2重量検知動作の内容が異なっている。この場合、重量検知部52は、第2重量検知動作では、最初にアンバランス検知動作を実行する。アンバランス検知動作は、回転槽13内における洗濯物の偏りによるアンバランスを検知する動作である。
【0055】
重量検知部52は、回転槽13を重量検知動作に比べて低い回転数で回転させた際に得られる所定の物理量に基づいてアンバランスの有無を判定するようになっている。具体的には、重量検知部52は、回転槽13を所定の回転数まで緩やかに上昇させ、その際にモータ14に流れる電流値を電流センサ42により測定し、その測定した電流値に基づいてアンバランスの有無を判定する。なお、重量検知部52は、水槽12に設けられた加速度センサによる検出値などに基づいてアンバランスの有無を判定することもできる。
【0056】
重量検知部52は、このようなアンバランス検知動作による検知結果に基づいて重量検知動作の実行可否を判断するようになっている。具体的には、重量検知部52は、アンバランス検知動作による検知結果としてアンバランス有りの判定が得られた場合、回転槽13の回転を停止させ、重量検知動作の実行を停止する。また、重量検知部52は、アンバランス検知動作による検知結果としてアンバランス無しの判定が得られた場合、回転槽13を所定の回転速度まで急速回転させ、その急速回転の際にモータ14に流れる電流値を電流センサ42により測定し、その測定した電流値に基づいて回転槽13内の洗濯物の重量を検知する。
【0057】
このような本実施形態の第2重量検知動作における回転速度は、図9に示すように、動作開始から例えば3秒である所定時間が経過した時点t11までの期間において0[rpm]から90[rpm]へと上昇する。その後、例えば10秒である所定時間が経過した時点t12までの期間、回転速度が90[rpm]で一定に維持され、この期間中にアンバランスの有無が判定される。
【0058】
ここで、アンバランス有りの判定であった場合、図9に破線で示すように、時点t12から所定時間が経過した時点t13までの期間において回転速度が90[rpm]から0[rpm]へと低下し、重量検知動作の実行が停止される。一方、アンバランス無しの判定であった場合、図9に実線で示すように、時点t12から例えば1秒である所定時間が経過した時点t14までの期間において回転速度が90[rpm]から170[rpm]へと上昇し、この期間中に回転槽13内の洗濯物の重量の検知が行われる。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
重量検知動作では、回転槽13をより速い回転速度で回転させたほうが重量を正確且つ確実に検知することができる。そのため、第2重量検知動作においても、第1重量検知動作と同様に、回転槽13をより高速で回転させることが望ましい。しかしながら、第1実施形態で既述したように、第2重量検知動作はアンバランスが発生した状態で行われる可能性があり、アンバランスが発生した状態で回転槽13を比較的高い回転数まで急速回転させると洗濯機10において振動や本体移動などの問題が生じるおそれがある。
【0060】
そこで、本実施形態の重量検知部52は、第2重量検知動作では、最初にアンバランスを検知するアンバランス検知動作を実行し、そのアンバランス検知動作による検知結果に基づいて重量検知動作の実行可否を判断するようになっている。このようにすれば、アンバランスが発生した状態で第2重量検知動作が実行されて洗濯機10において振動や本体移動などの問題が生じることを抑制できる。また、このようにすれば、アンバランスが発生しない状態で行われる第2重量検知動作では、回転槽13をより高速で回転させることが可能となり、その結果、洗濯物の重量を正確且つ確実に検知することができる。
【0061】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図10を参照して説明する。
本実施形態では、第1実施形態に対し、重量検知部52による第1重量検知動作に関連する処理内容が追加されている。第1実施形態で記述したように、第1重量検知動作は、回転槽13に収容された洗濯物に湿布と乾布とが混在した状態で実行されることから、第2重量検知動作に比べて洗濯物の重量の検知精度が低くなる傾向がある。具体的には、第1重量検知動作では、予洗い後の洗濯物である湿布を含むことから、実際の洗濯物の重量に比べ、検知された重量が重くなる傾向、つまり負荷量が重めに判定される傾向がある。
【0062】
そこで、重量検知部52は、第1重量検知動作による検知結果を予め定められた補正値に基づいて軽めに補正するようになっている。以下、このような補正の具体的な内容について、図10に示す具体例を参照して説明する。図10には、予洗い行程の前に投入された洗濯物の投入量である予洗い行程における実際の負荷量が3.0kgであるとともに、本洗い行程における実際の負荷量が7.0kgである第1具体例と、予洗い行程における実際の負荷量が1.0kgであるとともに本洗い行程における実際の負荷量が7.0kgである第2具体例と、が示されている。
【0063】
図10に示す具体例では、補正値は、予洗い行程で実行される重量検知動作により検知された重量に対して「0.6」を乗算した値に設定されている。第1具体例では、予洗い行程で実行される重量検知動作により検知された重量が実際の負荷量と同じ値である「3.0kg」となっており、また、第2重量検知動作により検知された重量が実際の負荷量と同じ値である「7.0kg」となっている。また、第1具体例では、第1重量検知動作により検知された重量は、実際の負荷量よりも重い値である「9.0kg」となっている。ただし、この場合、このような検知結果に対し、補正値である「1.8kg」を減算する補正が行われる。これにより、補正後の重量は、実際の負荷量に近似した値である「7.2kg」となっている。
【0064】
第2具体例では、予洗い行程で実行される重量検知動作により検知された重量が実際の負荷量と同じ値である「1.0kg」となっており、また、第2重量検知動作により検知された重量が実際の負荷量と同じ値である「7.0kg」となっている。また、第1具体例では、第1重量検知動作により検知された重量は、実際の負荷量よりも重い値である「8.0kg」となっている。ただし、この場合、このような検知結果に対し、補正値である「0.6kg」を減算する補正が行われる。これにより、補正後の重量は、実際の負荷量に近似した値である「7.4kg」となっている。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の重量検知部は、第1重量検知動作による検知結果を予め定められた補正値に基づいて軽めに補正するようになっている。このようにすれば、回転槽13に収容された洗濯物に湿布と乾布とが混在した状態で実行される第1重量検知動作によっても回転槽13内に収容された洗濯物の重量を精度良く検知することができる。したがって、本実施形態によれば、第1重量検知動作による検知結果に基づいて設定される本洗い行程における洗剤投入量および給水量などを洗濯物の実際の重量に対応した最適な値に設定することができる。
【0066】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
本発明は、ドラム式洗濯乾燥機である洗濯機10に限らず、縦軸型の洗濯機など、洗濯機全般に適用することができる。
【0067】
重量検知部52は、第2重量検知動作を、本洗い行程に含まれる給水動作の完了後であり且つ脱水運転の開始前の任意のタイミングで実行することができる。脱水行程における脱水動作は、すすぎ行程における脱水動作に比べ、回転数が高く且つ時間が長いため、より正確な重量検知の結果に基づいて動作状態の設定を行う必要がある。これに対し、すすぎ行程における脱水動作は、脱水行程における脱水動作に比べ、回転数が低く且つ時間が短いことから、より正確な重量検知の結果に基づいて動作状態の設定を行うほうがよいものの、第1重量検知動作による検知結果に基づいて動作状態の設定を行うことも許容することができる。
【0068】
そこで、重量検知部52は、すすぎ行程における排水動作の完了後であり且つ脱水行程における脱水動作の開始前に第2重量検知動作を実行するようにしてもよい。このようにした場合、すすぎ行程における脱水運転の動作内容については第1重量検知動作による検知結果に基づいて設定することになるものの、より正確な重量検知の結果に基づいて動作状態の設定を行う必要がある脱水行程における脱水運転の動作内容については第2重量検知動作による検知結果に基づいて設定されるため、スムーズな脱水動作を実現することができる。
【0069】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
図面中、10は洗濯機、13は回転槽(収容槽)、50は制御装置、51は運転制御部、52は重量検知部、53…布質判定部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10