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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】プローブ部材およびコネクタの検査構造
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20240918BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01R1/067 H
G01R1/073 F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021502165
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020006964
(87)【国際公開番号】W WO2020175346
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-07-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2019034002
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】荒木 聖人
(72)【発明者】
【氏名】末政 肇
【合議体】
【審判長】榎本 吉孝
【審判官】松本 隆彦
【審判官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-178165(JP,A)
【文献】特開平9-152448(JP,A)
【文献】特開2006-30138(JP,A)
【文献】特開2016-194412(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116568(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/022204(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/036320(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/072193(WO,A1)
【文献】特開平10-125410(JP,A)
【文献】特開平5-80077(JP,A)
【文献】中国実用新案第201716340(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査用の端面を有する主体と、
前記主体に保持され、高周波伝送用の内導体の端部が前記検査用の端面から突出する、同軸型の第1プローブと、
前記検査用の端面から突出し、前記第1プローブの内導体の前記端部を囲む形状であり、少なくとも表面が導電性を有する壁部と、
高周波信号を伝送しない導体と、
を備え、
前記高周波信号を伝送しない導体は、前記検査用の端面から凹む凹部の底面から突出し、前記壁部を挟んで、前記内導体と対向する位置に形成されており、
前記底面は絶縁性を有し、
前記壁部は、前記主体と一体成型されており、
前記壁部が前記検査用の端面から突出する第1部分の長さは、前記内導体が前記検査用の端面から突出する第2部分の長さよりも長く、
前記検査用の端面を水平に延長した仮想線から前記高周波信号を伝送しない導体が突出する第3部分の長さは、前記第1部分の長さよりも短く、
前記端部は、検査時において、前記壁部によって囲われており、
前記高周波信号を伝送しない導体は、前記壁部に覆われておらず、
前記壁部は、前記内導体が前記検査用の端面から突出する前記第2部分と前記高周波信号を伝送しない導体の前記第3部分との間にある、
プローブ部材。
【請求項2】
前記壁部は、
前記端面に接続する側と反対側に配置され、前記端面に略平行な壁部端面と、
前記壁部端面と前記端面とを接続する側面と、を有し、
前記側面は第1側面と第2側面とを含み、
前記第1側面は前記壁部端面に接続する側面であり、
前記第2側面は前記端面に接続する側面であり、
記第1側面を構成する外周部の面積は、前記第2側面を構成する外周部の面積よりも小さい、
請求項1に記載のプローブ部材。
【請求項3】
前記側面は、前記端面と前記壁部端面とを結ぶ方向の途中に段差を有する、
請求項2に記載のプローブ部材。
【請求項4】
前記壁部端面と前記側面との接続部は、テーパ形状である、
請求項2または請求項3に記載のプローブ部材。
【請求項5】
それぞれ1の前記壁部および前記第1プローブの1組を、2組以上有する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプローブ部材。
【請求項6】
隣り合う前記壁部と前記第1プローブの組の間に、前記底面から突出する複数の前記高周波信号を伝送しない導体を備え
請求項5に記載のプローブ部材。
【請求項7】
前記側面は、
該側面から前記壁部の内側に凹む凹部を有する、
請求項2または請求項3に記載のプローブ部材。
【請求項8】
前記第1プローブで伝送する高周波信号は、ミリ波の信号である、
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のプローブ部材。
【請求項9】
前記第1プローブは、
前記主体に形成された孔の内部に保持されており、
前記内導体を中心軸として、前記内導体の外周を取り囲むように外導体が配置され、前記内導体と前記外導体との間には絶縁体が配置されている、請求項1に記載のプローブ部材。
【請求項10】
前記主体と前記外導体との間には空隙が形成されている、請求項9に記載のプローブ部材。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のプローブ部材と、
検査の対象のコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
高周波信号の伝送用の内部端子と、
該内部端子を囲む凹部の壁面に配置された外部端子と、
前記外部端子に対して、前記内部端子側に配置された高周波用のグランド端子と、
を備え、
前記主体の端面は、前記コネクタの天面に当接し、
前記壁部は、前記凹部に嵌合し、
前記内部端子と前記第1プローブの内導体とは接触し、
前記壁部の側面と前記高周波用のグランド端子とは接触している、
コネクタの検査構造。
【請求項12】
前記側面は段差を有する構造であって、
前記側面における前記段差によって前記内導体に近い側の面と、前記高周波用のグランド端子とは接触している、
請求項11に記載のコネクタの検査構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高周波信号用の端子を有するコネクタを検査するためのプローブ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタの検査を行うプローブ構造が記載されている。特許文献1に記載のプローブ構造は、プランジャと複数の同軸型プローブとを備える。
【0003】
複数の同軸型プローブは、プランジャに保持されている。複数の同軸プローブの先端は、プランジャの端面から露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2018/116568号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプローブ構造を用いて、ミリ波等の高周波信号の伝送特性を検査する場合、コネクタの内部で生じる不要な共振モードによって、伝送特性の検査精度は、劣化してしまう。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ミリ波等の高周波信号の伝送特性を精度よく検査できるプローブ部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のプローブ部材は、主体、第1プローブ、および、壁部を備える。主体は、検査用の端面を有する。第1プローブは、同軸型であり、主体に保持される。第1プローブの内導体の端部は、検査用の端面から突出する。壁部は、検査用の端面から突出し、第1プローブの内導体の端部を囲む形状であり、少なくとも表面が導電性を有する。
【0008】
この構成では、壁部によって、第1プローブの内導体と外部との高周波的な結合(電磁界による結合)は抑制される。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ミリ波等の高周波信号の伝送特性を精度よく検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、プローブ型検査治具の概略構成を示す斜視図である。
図2図2(A)は、プローブ部材の部分的な側面図であり、図2(B)は、プローブ部材の端面を視た平面図であり、図2(C)は、プローブ部材の第1プローブの先端部を拡大した断面図である。
図3図3は、プローブ部材の第1プローブの部分を拡大した斜視図である。
図4図4は、コネクタとプローブ部材との高周波信号の伝送特性を示す図である。
図5図5は、検査対象のコネクタの構造の一例を示す斜視図である。
図6図6(A)は、コネクタとプローブ材とが嵌合した状態での壁部付近を拡大した断面斜視図であり、図6(B)は、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るプローブ部材について、図を参照して説明する。なお、以下の実施形態における各図において、縦横の寸法関係は適宜強調して記載しており、実寸での縦横の寸法関係と一致しているとは限らない。また、図を見やすくするため、必要に応じて一部の符号の記載を省略している。
【0012】
(プローブ型検査治具の構成)
図1は、プローブ型検査治具の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、プローブ型検査治具1は、プローブ部材10、支持体100、フランジ30、スプリング40、同軸ケーブル51、同軸ケーブル52、複数の信号用ケーブル60、同軸コネクタ510、同軸コネクタ520、および、コネクタ600を備える。
【0013】
支持体100は、平板状である。プローブ部材10は、支持体100の一方主面に設置されている。
【0014】
フランジ30は、平板状である。スプリング40は、支持体100とフランジ30との間に配置されている。
【0015】
同軸ケーブル51は、内導体および外導体を備える。同軸ケーブル51の内導体の一方端は、プローブ部材10の内導体211(図2参照)に接続する。同軸ケーブル51の外導体の一方端は、プローブ部材10の主体11の導電部に接続する。同軸ケーブル51の他方端は、同軸コネクタ510に接続する。同軸ケーブル52の内導体の一方端は、プローブ部材10の内導体212(図2参照)に接続する。同軸ケーブル52の外導体の一方端は、プローブ部材10の主体11の導電部に接続する。同軸ケーブル52の他方端は、同軸コネクタ520に接続する。
【0016】
複数の信号用ケーブル60の一方端は、プローブ部材10の導体22に接続する。複数の信号用ケーブル60の他方端は、コネクタ600に接続する。
【0017】
(プローブ部材10の構成)
図2(A)は、プローブ部材の部分的な側面図であり、図2(B)は、プローブ部材の端面を視た平面図であり、図2(C)は、プローブ部材の第1プローブの先端部を拡大した断面図である。図3は、プローブ部材の第1プローブの部分を拡大した斜視図である。
【0018】
図2(A)、図2(B)、図2(C)に示すように、プローブ部材10は、主体11、壁部12、壁部13、導体22、内導体211、および、内導体212を備える。内導体211を含む同軸型の構造(図6(A)、図6(B)参照。)が、本発明の「第1プローブ」に対応し、内導体212を含む同軸型の構造が、本発明の「第2プローブ」に対応する。なお、同軸型の構造とは、内導体と外導体とを備える構造であり、例えば、棒状の内導体を中心軸として、その外周を取り囲むように外導体が配置され、内導体と外導体との間は絶縁されている構造のことを示す。
【0019】
主体11は、略直方体形状であり、端面111を有する。主体11は、端面111に開口する複数の孔(一部の図示を省略する。)を有する。孔の1個には、同軸ケーブル51の一方端が挿入されている。孔の別の1個には、同軸ケーブル52の一方端が挿入されている。また、孔の別の1個には、絶縁体233が挿入される。
【0020】
絶縁体233には、複数の導体22が、所定の配置パターンで配置されている。なお、絶縁体233および導体22が配置された孔は、端面111における凹部112に形成されており、凹部112の底面は、絶縁体233によって形成されている。
【0021】
これらの孔は、プローブ部材10の方向Dxに沿って、同軸ケーブル51が挿入された孔、絶縁体233が配置された孔、同軸ケーブル52が挿入された孔の順で、配置されている。
【0022】
内導体211、内導体212、導体22は、所謂、ピン構造である。内導体211、内導体212、導体22のそれぞれの先端は、ピンが延びる方向に沿って移動可能である。内導体211、内導体212、導体22の先端は、主体11の端面111から外方(図2(A)におけるDz負方向)に突出する。
【0023】
壁部12は、主体11の端面111から外方に突出している。壁部12は、端面111接続する側と反対側に壁部端面120を有する。壁部端面120は、端面111と略平行である。壁部12は導電体である。壁部12は、主体11を介する等によって、同軸ケーブル51の外導体に接続する。
【0024】
壁部12は、端面111をDz方向から平面視したとき、内導体211を囲む形状である。具体的には、壁部12は、壁部端面120から凹む凹部121を有する。内導体211は、この凹部121の内部に配置され、凹部121の底面から突出している。内導体211と壁部12とは、所定の間隔を空けて配置されている。そして、内導体211と壁部12の間には、絶縁体231が配置されている。
【0025】
壁部12の高さ(Dz方向の長さ)は、内導体211の端面111からの突出量よりも大きい。すなわち、プローブ部材10をDx方向から側面視したとき、内導体211は、壁部12に隠れて見えない。
【0026】
壁部12は、第1側面1201と第2側面1202とを有する。第1側面1201は、壁部端面120に接続する。第2側面1202は、主体11の端面111に接続する。Dz方向から平面視したとき、第1側面1201を構成する外周部分の面積は、第2側面1202を構成する外周部分の面積よりも小さい。すなわち、壁部12は、第1側面1201と第2側面1202との接続部において段差122を有する。これにより、壁部端面120の面積は、第1側面1201の面積または第2側面1202の面積のいずれよりも小さい。
【0027】
さらに、壁部12は、凹部123を備える。凹部123は、第1側面1201から壁部12の中央側に凹む形状である。
【0028】
壁部13は、主体11の端面111から外方に突出している。壁部13は、端面111接続する側と反対側に壁部端面130を有する。壁部端面130は、端面111と略平行である。壁部13は導電体である。壁部13は、主体11を介する等によって、同軸ケーブル52の外導体に接続する。
【0029】
壁部13は、端面111をDz方向から平面視したとき、内導体212を囲む形状である。具体的には、壁部13は、壁部端面130から凹む凹部131を有する。内導体212は、この凹部131の内部に配置され、凹部131の底面から突出している。内導体212と壁部13とは、所定の間隔を空けて配置されている。そして、内導体212と壁部13の間には、絶縁体232が配置されている。
【0030】
壁部13の高さ(Dz方向の長さ)は、内導体212の端面111からの突出量よりも大きい。すなわち、プローブ部材10をDx方向から側面視したとき、内導体212は、壁部13に隠れて見えない。
【0031】
壁部13は、第1側面1301と第2側面1302とを有する。第1側面1301は、壁部端面130に接続する。第2側面1302は、主体11の端面111に接続する。Dz方向から平面視したとき、第1側面1301を構成する外周部分の面積は、第2側面1302を構成する外周部分の面積よりも小さい。すなわち、壁部13は、第1側面1301と第2側面1302との接続部において段差132を有する。これにより、壁部端面130の面積は、第1側面1301の面積または第2側面1302の面積のいずれよりも小さい。
【0032】
さらに、壁部13は、凹部133を備える。凹部133は、第1側面1301から壁部13の中央側に凹む形状である。
【0033】
壁部12と壁部13とは、Dx方向において、複数の導体22が配置される領域を挟んで、配置されている。
【0034】
以上のような構成において、プローブ部材10は、内導体211および内導体212は、検査対象のコネクタにおける高周波信号の伝送特性の検査用に用いられる。高周波信号は、マイクロ波、ミリ波等であり、特に、ミリ波の場合に、プローブ部材10の構造は、より有効である。
【0035】
上述の壁部12および壁部13を備えることによって、プローブ部材10は、コネクタの検査時に、内導体211および内導体212と他の導体パターン等の外部と高周波的な結合を抑制できる。これにより、プローブ部材10を備えたプローブ型検査治具は、コネクタの高周波信号の伝送特性を、精度良く計測、検査できる。
【0036】
図4は、コネクタとプローブ部材との高周波信号の伝送特性を示す図であり、通過特性を示す。図4における従来構成は、本願発明の壁を有さない構成である。図4に示すように、上述の構成を用いることによって、伝送損失の増加、すなわち、伝送特性の低下を抑制できる。具体的には、ミリ波領域を含む70GHzまでの領域で伝送特性の低下を抑制できている。
【0037】
(検査対象のコネクタの構造の一例)
図5は、検査対象のコネクタの構造の一例を示す斜視図である。図5に示すように、コネクタ90は、高周波信号用内部端子91、高周波信号用内部端子92、複数の内部端子93、外部端子94、絶縁性の樹脂部材900、複数の高周波用グランド端子911、複数の高周波用グランド端子921、係合端子912、および、係合端子922を備える。高周波信号用内部端子91、高周波信号用内部端子92、複数の内部端子93、外部端子94、高周波用グランド端子921、係合端子912、および、係合端子922は、板状であり、導電性を有する。
【0038】
コネクタ90の外周は、略長方形状である。コネクタ90のDxc方向の寸法およびDyc方向の寸法は、Dzc方向(厚み方向)の寸法よりも大きい。また、コネクタ90のDxc方向の寸法は、Dyc方向の寸法よりも大きい。
【0039】
コネクタ90は、天面90Sと実装面90Rとを備える。天面90Sと実装面90Rは、Dzc方向に直交する面である。天面90Sは、コネクタ90が嵌合する相手方のコネクタが配置される側の面である。そして、天面90Sは、プローブ部材10の端面111と対向する側の面である。
【0040】
コネクタ90は、Dxc方向の一方端付近に凹部901を有し、他方端付近に凹部902を有する。コネクタ90は、凹部901と凹部902との間に、これらを連通する凹部903を有する。凹部903のDyc方向の寸法は、凹部901と凹部902のDyc方向の寸法よりも小さい。凹部901、凹部902、および凹部903は、天面90Sから凹む形状である。
【0041】
高周波信号用内部端子91は、凹部901の略中央に配置されている。高周波信号用内部端子91は、凹部901の底面から突出する。
【0042】
高周波信号用内部端子92は、凹部902の略中央に配置されている。高周波信号用内部端子92は、凹部902の底面から突出する。
【0043】
複数の内部端子93は、凹部903内に、方向Dxcに沿って、二列に配列されている。
【0044】
このような凹部901、凹部902、および凹部903は、樹脂部材900によって形成されている。
【0045】
外部端子94は、樹脂部材900における天面90S側の面および各側面に配置されている。また、外部端子94は、凹部901および凹部902の壁面にも配置されている。
【0046】
複数の高周波用グランド端子911は、凹部901の壁に沿って配置されている。複数の高周波用グランド端子921は、凹部902の壁に沿って配置されている。
【0047】
複数の高周波用グランド端子911および複数の高周波用グランド端子921は、主部、実装部、および、接続端部を有する。主部は、Dzc方向に延びる形状である。実装部は、実装面90Rに平行な形状であり、主部の一方端に接続する。接続端部は、例えば、半球形状であり、主部の他方端に接続する。接続端部は、主部よりも凹部の中央側に突出している。
【0048】
係合端子912は、凹部901の壁に配置されており、外部端子94に接続している。係合端子922は、凹部902の壁に配置されており、外部端子94に接続している。
【0049】
(コネクタとプローブ部材との嵌合構造(コネクタの検査構造))
図6(A)は、コネクタとプローブ材とが嵌合した状態での壁部付近を拡大した断面斜視図であり、図6(B)は、その側面図である。なお、図6(A)、図6(B)では、壁部12について示しているが、壁部13も同様の状態で嵌合されている。
【0050】
プローブ部材10のDx方向とコネクタ90のDxc方向とが平行なるように、プローブ部材10はコネクタ90に接続される。
【0051】
より具体的には、図6(A)および図6(B)に示すように、プローブ部材10の壁部12は、コネクタ90の凹部901に挿入されている。この状態で、プローブ部材10とコネクタ90とは、接続する。このように、プローブ部材10の壁部12とコネクタ90の凹部901とを用いることによって、プローブ部材10は、コネクタ90に、容易に挿入、接続される。
【0052】
この状態において、プローブ部材10の内導体211は、高周波信号用内部端子91に当接する。また、コネクタ90の特性検査時において、プローブ部材10の端面111は、コネクタ90の外部端子94に当接する。この構成によって、プローブ部材10は、コネクタ90の高周波信号の伝送特性を、精度良く計測できる。端面111が本発明の「検査用の端面」に対応し、検査用の端面とは、検査時に被検査対象(例えば、コネクタ)に対向する端面である。
【0053】
また、高周波用グランド端子911は、壁部12における第1側面1201に当接する。この際、高周波用グランド端子911の主体は、他方端側(接続端部側)が凹部901の壁側に移動するように湾曲する。これにより、高周波用グランド端子911は、付勢力をもって、壁部12の第1側面1201に当接する。したがって、製造公差等によって、壁部12がコネクタ90の外部端子94に接続しなくても、壁部12は、高周波用グランド端子911を介して、グランド電位に確実に接続される。
【0054】
この結果、内導体211の外部との結合は、より確実に抑制され、プローブ部材10は、コネクタ90の高周波信号の伝送特性を、より確実に精度良く計測できる。特に、本実施形態に示すように、高周波用グランド端子911を複数設けることによって、検査の周波数帯域における不要な共振の発生は、より確実に抑制される。
【0055】
さらに、高周波用グランド端子911が第1側面1201に接触することで、高周波用グランド端子911の湾曲量は、小さくできる。これにより、計測によって高周波用グランド端子911が湾曲して元の形状に戻らず、コネクタ90と他のコネクタとの嵌合時に、高周波用グランド端子911が機能しなくなることは、より確実に抑制できる。
【0056】
また、本実施形態の構成では、壁部12は、コネクタ90への装着時に、コネクタ90の凹部901に収容され易くなる。また、壁部13は、コネクタ90への装着時に、コネクタ90の凹部902に収容され易くなる。したがって、プローブ部材10は、コネクタ90に対して、正しい位置に、容易に設置される。さらに、図2(A)、図2(C)、図3図6(A)、図6(B)に示すように、壁部12は、壁部端面120と第1側面1201との接続部129が傾斜するテーパ形状を有する。同様に、壁部13は、壁部端面130と第1側面1301との接続部139において、テーパ形状を有する。これにより、プローブ部材10は、コネクタ90に対して、正しい位置に、より容易に設置される。言い換えれば、接続部129および接続部139は、プローブ部材10をコネクタ90により正確に嵌合させるためのガイド部でもある。
【0057】
また、コネクタ90の係合端子912および係合端子922は、他のコネクタとの嵌合時の固定用である。しかしながら、上述の構成では、壁部12は、係合端子912の当たる箇所に凹部123を備え、壁部13は、係合端子922の当たる箇所に凹部133を備える。これにより、プローブ部材10が係合端子912および係合端子922によって固定されることは、防止される。これにより、検査後に、プローブ部材10は、コネクタ90から容易に取り外される。なお、凹部123は、Dz方向からみて、切り欠かれた構造をしており、切り欠き部ということもできる。したがって、凹部123は、半円形状に限るものではなく、他の形状、例えば、矩形状であってもよい。
【0058】
また、上述の構成では、壁部12と壁部13との間は離間し、これらの間に高周波信号を伝送しない複数の導体22が配置されている。これにより、内導体211と内導体212との間の結合は、より確実に抑制される。したがって、プローブ部材10は、複数の高周波信号の伝送特性を、確実且つ精度良く計測できる。
【0059】
なお、上述の構成では、壁部の側面が段差を有する態様を示したが、壁部は、壁部端面の面積が壁部における主体に接続する部分の面積よりも小さい形状であればよい。例えば、壁部を側面視して、側面は、壁部端面に対して90度と異なる角度を有する傾斜状(テーパ形状)であってもよい。
【0060】
また、上述の構成では、複数の内導体および壁部を備える態様を示したが、プローブ部材は、少なくとも、1個の内導体とこれを囲む1個の壁を有する構造を備えていればよい。
【符号の説明】
【0061】
1:プローブ型検査治具
10:プローブ部材
11:主体
12、13:壁部
22:導体
30:フランジ
40:スプリング
51、52:同軸ケーブル
60:信号用ケーブル
90:コネクタ
90R:実装面
90S:天面
91、92:高周波信号用内部端子
93:内部端子
94:外部端子
100:支持体
111:端面
112:凹部
120、130:壁部端面
121、123、131、133:凹部
122、132:段差
129、139:接続部
211、212:内導体
231、232、233:絶縁体
241:外導体
510、520:同軸コネクタ
600:コネクタ
900:樹脂部材
901、902、903:凹部
911、921:高周波用グランド端子
912、922:係合端子
1201、1301:第1側面
1202、1302:第2側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6