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特許7556858電動工具の動作モードの設定及び/又は結果値の関連付けの方法、電動工具及びコンピュータプログラムコード
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  • 特許-電動工具の動作モードの設定及び/又は結果値の関連付けの方法、電動工具及びコンピュータプログラムコード 図1
  • 特許-電動工具の動作モードの設定及び/又は結果値の関連付けの方法、電動工具及びコンピュータプログラムコード 図2
  • 特許-電動工具の動作モードの設定及び/又は結果値の関連付けの方法、電動工具及びコンピュータプログラムコード 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電動工具の動作モードの設定及び/又は結果値の関連付けの方法、電動工具及びコンピュータプログラムコード
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/147 20060101AFI20240918BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240918BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240918BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20240918BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B25B23/147
G05B19/418 Z
B25F5/00 C
B25B23/14 620A
B23P21/00 303A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021534692
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019081112
(87)【国際公開番号】W WO2020126234
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】1830367-7
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】カールソン ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコブ リンドストレーム
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-155453(JP,A)
【文献】特開2016-172605(JP,A)
【文献】特開2006-302046(JP,A)
【文献】特開2015-016854(JP,A)
【文献】特表2003-516238(JP,A)
【文献】特表2018-522232(JP,A)
【文献】特開2015-223690(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025830(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/147
G05B 19/418
B25F 5/00
B25B 23/14
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具の動作モードを設定する方法であって、
処理される対象物(20)上に又は前記対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ(30)から少なくとも1つの無線信号を検出するステップ(S100)であって、前記無線タグ(30)が対象物(20)に関連付けられた識別子(40)を含む、ステップと、
前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の無線信号飛行時間に基づいて、前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の距離を測定するステップ(S110)と、
前記距離に基づいて第1の無線タグ(30)を選択するステップ(S120)であって、前記第1の無線タグ(30)が第1の識別子(40)を含む、ステップと、
前記第1の識別子(40)に基づいて前記電動工具(100)の動作モードを設定するステップ(S130)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記識別子(40)が、VIN、すなわち車両識別番号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、電動工具(100)にて実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電動工具(100)が、電動締結工具(10)である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記動作モードが、トルク及び/又は角度などの締結パラメータ値である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
電動工具の結果値を識別子に関連付ける方法であって、
処理される対象物(20)上に又は前記対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ(30)から少なくとも1つの無線信号を検出するステップ(S100)であって、前記無線タグ(30)が対象物(20)に関連付けられた識別子(40)を含む、ステップと、
前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の無線信号飛行時間に基づいて、前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の距離を測定するステップ(S110)と、
前記距離に基づいて第1の無線タグ(30)を選択するステップ(S120)であって、前記第1の無線タグ(30)が第1の識別子(40)を含む、ステップと、
前記電動工具(100)によって実行された処理ステップの結果値を前記第1の識別子(40)に関連付けるステップ(S130)と、
を含む、方法。
【請求項7】
前記識別子(40)が、VIN、すなわち車両識別番号である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、電動工具(100)にて実行される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記電動工具(100)が、電動締結工具(10)である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記結果値が、トルク及び/又は角度である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記無線タグ(30)が、UWBタグ、超広帯域無線である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
処理される対象物(20)上に又は前記対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも2つの無線タグ(30)間の距離を測定するステップを更に含み、前記選択するステップが更に、前記少なくとも2つの無線タグ(30)間の距離にも基づいて前記第1の無線タグ(30)を選択するステップを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電動工具(100)の動作モードを設定する電動工具(100)であって、
前記電動工具(100)が、
処理される対象物(20)上に又は前記対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ(30)から少なくとも1つの無線信号を検出し、前記無線タグ(30)が対象物(20)に関連付けられた識別子(40)を含み、
前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の無線信号飛行時間に基づいて、前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の距離を測定し、
前記距離に基づいて第1の識別子(40)を含む第1の無線タグ(30)を選択し、
前記第1の識別子(40)に基づいて前記電動工具(100)の動作モードを設定する
ように動作する、
ことを特徴とする、電動工具(100)。
【請求項14】
前記識別子(40)が、VIN、すなわち車両識別番号である、請求項13に記載の電動工具(100)。
【請求項15】
前記電動工具(100)が、電気締結工具(10)である、請求項13又は14に記載の電動工具(100)。
【請求項16】
前記動作モードが、トルク及び/又は角度などの締結パラメータ値である、請求項15に記載の電動工具(100)。
【請求項17】
電動工具(100)の結果値を識別子に関連付ける電動工具(100)であって、
前記電動工具(100)が、
処理される対象物(20)上に又は前記対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ(30)から少なくとも1つの無線信号を検出し、前記無線タグ(30)が対象物(20)に関連付けられた識別子(40)を含み、
前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の無線信号飛行時間に基づいて、前記電動工具と前記少なくとも1つの無線タグ(30)との間の距離を測定し、
前記距離に基づいて第1の識別子(40)を含む第1の無線タグ(30)を選択し、
前記電動工具(100)によって実行された処理ステップの結果値を第1の識別子(40)に関連付ける、
ように動作する、
ことを特徴とする、電動工具(100)。
【請求項18】
前記識別子(40)が、VIN、すなわち車両識別番号である、請求項17に記載の電動工具(100)。
【請求項19】
前記電動工具(100)が、電気締結工具(10)である、請求項17又は18に記載の電動工具(100)。
【請求項20】
前記無線タグが、UWBタグ、超広帯域無線である、請求項13から19のいずれか一項に記載の電動工具(100)。
【請求項21】
前記電動工具(100)は更に、処理される対象物(20)上に又は前記対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも2つの無線タグ(30)間の距離を測定するように動作し、前記選択するステップは更に、前記少なくとも2つの無線タグ(30)間の距離に基づいて前記第1の無線タグ(30)を選択することを含む、請求項13から20のいずれか一項に記載の電動工具(100)。
【請求項22】
電動工具(100)において実行されたときに、前記電動工具(100)に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラムに格納された、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具の動作モードを設定し、及び/又は結果値を関連付けるための方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の組み立ては複雑であることが多い。組み立てプロセスは、構成部品が一緒に組み立てられる多少の複雑な対象物の組み立てを含む場合がある。製造ステップを正しく行うためには、実施される製造ステップに関する高い要件が存在することが多い。
【0003】
組み立てプロセスでは、電動工具がよく使用される。組み立てステップが実行される対象物に対して、電動工具が正しい動作モードに設定されていることが重要である。また、組み立てステップの結果が、これらステップが実行された対象物に関連付けられていることも重要である。これは、対象物の組み立てステップの結果を後で確認できるようにするためである。従って、電動工具の正しい動作モードを設定し、組み立てステップの結果値を組み立てステップが実行された対象物と関連付けるための改善された解決策に対する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記で概説した問題の少なくとも一部に対処すること、例えば、電動工具が正しい動作モードに設定されていることを確認すること、及び/又は電動工具によって実行された処理ステップの結果値をこれらが実行された対象物に関連付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、本開示は、電動工具の動作モードを設定する及び/又は電動工具の結果値を関連付けるための方法に関する。本方法は、以下のステップを含む。処理される対象物上又は対象物に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグから少なくとも1つの無線信号を検出するステップ、ここで、無線タグは、対象物に関連付けられた識別子を含む。電動工具と少なくとも1つの無線タグとの間の無線信号飛行時間に基づいて、電動工具と少なくとも1つの無線タグとの間の距離を測定するステップ。距離に基づいて第1の無線タグを選択するステップ。第1の無線タグが第1の識別子を含む。また、第1識別子に基づいて電動工具の動作モードを設定する、及び/又は電動工具によって実行される処理ステップの結果値を第1の識別子と関連付けるステップ。
【0006】
第2の態様によれば、本開示は、電動工具の動作モードを設定する及び/又は電動工具の結果値を関連付けるための電動工具に関する。これにより、電動工具は、処理される対象物上又は対象物に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグから少なくとも1つの無線信号を検出するように動作し、無線タグは、対象物に関連付けられた識別子を含む。電動工具は更に、電動工具と少なくとも1つの無線タグとの間の無線信号飛行時間に基づいて、電動工具と少なくとも1つの無線タグとの間の距離を測定するように動作する。次に、電動工具は、距離に基づいて第1の無線タグを選択し、第1の無線タグは、第1の識別子を含む。次いで、電動工具は、第1の識別子に基づいて電動工具の動作モードを設定し、及び/又は電動工具によって実行される処理ステップの結果値を第1の識別子に関連付ける。
【0007】
次に、例示的な実施形態を用いて、添付図面を参照しながら解決策についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例示的な実施形態による組立ラインのブロック図である。
図2】電動工具100の例示的な実施形態のブロック図である。
図3】製造対象物に対して処理ステップを実行する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
簡単に説明すると、製造対象物に関連付けられた識別子に基づいて電動工具の動作モードを設定する、及び/又は電動工具によって実行される処理ステップの結果値を識別子と関連付けるための解決策が提供される。
【0010】
1つの実施例は、個々の加工物がとりわけねじ継手と共に処理される場合である。加工物をねじ継手と共に組み立てる際には、ねじ継手を正しい結果値に締め付けることが重要である。結果値は、例えば、トルク及び/又は角度とすることができる。結果値は、処理されている対象物によって異なることが多い。従って、処理される対象物に応じて、電動工具を正しい動作モードに設定することが重要である。また、電動工具により行った処理ステップの結果値を、処理ステップが行われた対象物と関連付けることも重要である。
【0011】
従来技術の解決策の1つのタイプは、処理されている対象物に関連して複数のアンカーを有する位置決めシステムである。このシステムの電動工具は、複数のアンカーを使用して位置決めされる。この位置を使用して、電動工具のパラメータを設定する。このシステムの欠点は、関連する複数のアンカーが必要になることである。
【0012】
本開示の例示的な実施形態による解決策では、処理される対象物の識別子のみに基づいて電動工具の動作モードを容易に設定すること、及び/又は電動工具を用いて実行される処理ステップの結果値を識別子と関連付けることが可能である。
【0013】
図1は、本開示の例示的な実施形態による組立ラインのブロック図を示している。組立ラインは、処理される対象物20を含む。本開示の例示的な実施形態によれば、無線タグ30は、処理される異なる対象物20上に位置決めされる。各無線タグ30は識別子40を含む。電動工具100は、識別子40に基づいて、処理対象物20に対して処理ステップを実行し、及び/又は処理ステップの結果値を第1の識別子40に関連付けるように動作する。
【0014】
図3は、電動工具100の動作モードの設定及び/又は結果値の関連付けの方法のフローチャートを示している。本方法は、処理される対象物20上又は対象物20に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ30から少なくとも1つの無線信号を検出するステップS100を含み、無線タグ30は、対象物と関連付けられた識別子を含む。次のステップS110において、本方法は、電動工具100と少なくとも1つの無線タグ30との間の無線信号飛行時間に基づいて、電動工具100と少なくとも1つの無線タグ30との間の距離を測定するステップS110を含む。更にステップS120において、本方法は、距離に基づいて第1の無線タグ30を選択するステップS120を含み、第1の無線タグ30は、第1の識別子を含む。更に別のステップS130において、本方法は、第1の識別子40に基づいて電動工具100の動作モードを設定し、及び/又は電動工具によって実行される処理ステップの結果値を第1の識別子40と関連付けるステップS130を含む。
【0015】
1つの例示的な実施形態では、1つの無線信号のみが検出される。これは、例えば、大きなオブジェクトが処理される工場の場合に当てはまることができる。この実施形態では、対象物の間の距離が大きい。従って、無線信号は1つだけが検出することができる。
【0016】
1つの例示的な実施形態によれば、無線タグ30は、対象物20上の位置にある。別の例示的な実施形態では、無線タグ30は、例えば、対象物20のキャリア上に位置決めされる。この実施形態は、例えば、キャリアが組立ラインにおいてステーションからステーションへと車両の周りを移動する車両工場において実施することができる。
【0017】
ステップS110において、電動工具100と少なくとも1つの無線タグ30との間の距離は、電動工具100と少なくとも1つの無線タグ30との間の無線信号飛行時間に基づいて測定される。従って、電動工具100と無線タグ30との間の距離を測定するために追加のアンカーは必要とされない。距離を測定するために必要なのは、電動工具100と少なくとも1つの無線タグ30との間の無線信号飛行時間のみである。
【0018】
ステップS120において、本方法は、距離に基づいて第1の無線タグ30を選択するステップS120を含む。1つの実施形態では、最も近い無線タグ30がステップ120において選択される。この例示的な実施形態では、第1の無線タグ30が電動工具100に最も近いので、第1の無線タグ30が選択される。
【0019】
別の例示的な実施形態では、測定するステップは、対象物(20)上に、又は対象物(20)に関連して位置決めされた少なくとも2つの無線タグ30間の距離を測定するステップを更に含む。この例示的な実施形態では、選択するステップは更に、少なくとも2つの無線タグ30間の距離にも基づいて、第1の無線タグ30を選択するステップを含む。この実施形態は、例えば、電動工具100が2つの対象物の間に位置決めされた状況において有用とすることができる。このような状況では、対象物Aまでの距離がより近くなる。しかしながら、少なくとも2つの無線タグ30間の距離も測定する。また、無線タグ30と電動工具100との間の距離により、電動工具100の位置を決定することができる。
【0020】
ステップ130において、本方法は、第1の識別子40に基づいて電動工具100の動作モードを設定し、及び/又は電動工具100によって実行される処理捨てプロセスの結果値を第1の識別子40と関連付けるステップS130を含む。
【0021】
1つの例示的な実施形態によれば、動作モードは、工具を有効化又は無効化することができる。このタイプの動作モードは、電動工具100が特定の識別子に関連付けられた対象物でのみ使用が許可される場合に有利とすることができる。別の例示的な実施形態によれば、動作モードは、電動工具が実行することが許可される処理ステップとすることができる。更に別の例示的な実施形態では、動作モードは、電動工具が実行すべきプロセスステップのために設定された特定のタイプのパラメータとすることができる。例えば、プロセスステップが完了したと見なされる前に、電動工具が到達する必要のあるトルク及び/又は角度である。
【0022】
本開示の例示的な実施形態では、電動工具100によって実行される処理ステップの結果値は、第1の識別子40に関連付けられている。1つの例示的な実施形態によれば、結果値は、プロセスステップが正常に実行されたか、又は正常に実行されなかったかであることとすることができる。このタイプの結果値は、1回又は数回正常に実行されなかったプロセスステップを追跡することが重要な場合に有利とすることができる。更に別の例示的な実施形態では、結果値は、電動工具が実行されたプロセスステップの特定のタイプの結果値とすることができる。例えば、プロセスステップが完了したときに電動工具が到達したトルク及び/又は角度である。
【0023】
本開示の1つの例示的な実施形態では、対象物は車両である。この例示的な実施形態では、識別子40は、VIN、車両識別番号とすることができる。本方法の例示的な1つの実施形態では、電動工具100は、電動締結工具100である。本実施形態では、処理ステップは、ナットのねじ、又は一群のねじ又はナットの締結とすることができる。この実施形態では、結果値は、少なくとも1つの締結パラメータである。結果値は、回転数、最終トルク、角度、OK又はNot OKの表示、及び締結に関連する同様の結果値とすることができる。本方法の別の例示的な実施形態では、識別子40に基づいて設定される動作モードは、電動工具100を用いて実行される処理ステップの目標値である。
【0024】
1つの例示的な実施形態によれば、無線タグ30は、UWBタグ、超広帯域無線である。この例示的な実施形態では、電動工具100とそれぞれのUWBタグ30との間の距離は、UWBを使用して決定される。1つの実施形態によれば、電動工具100とそれぞれのUWBタグ30との間の距離について、それぞれのUWBタグ30にリクエストが送信される。次に、電動工具1000は、UWBタグ30と電動工具100との間の距離に基づいて、UWBタグ30を選択する。
【0025】
1つの例示的な実施形態によれば、電動工具1000に最も近いUWBタグ30が選択される。
【0026】
1つの例示的な実施形態では、第1の識別子40に基づいて設定される動作モードは、電動工具100をロックすること、又は電動工具100をロック解除することである。電動工具100をロックできる状況の1つは、例えば、第1の対象物に対して全ての処理ステップが既に実行されている場合である。次に、電動工具100は、電動工具100が第1の対象物に対してそれ以上の処理ステップを実行できないようにロックされる。
【0027】
別の例示的な実施形態では、第1の識別子40に基づいて設定される動作モードは、電動工具100で実行される処理ステップの目標パラメータである。異なるオブジェクトの目標パラメータは異なることができる。従って、識別子40に基づいて電動工具100の目標パラメータを設定できることが有利である。
【0028】
上記のように、1つの例示的な実施形態では、電動工具100はまた、第1のオブジェクトに対して実行された処理ステップの結果値を第1の識別子40と関連付けるように動作する。
【0029】
1つの例示的な実施形態では、電動工具100は、電動締結工具100である。本実施形態では、処理ステップは、ナットのねじ、又は一群のねじ又はナットの締結とすることができる。本実施形態では、結果値は、少なくとも1つの締結パラメータである。結果値は、回転数、最終トルク、角度、OK又はNot OKの表示、及び締結に関連する同様の結果値とすることができる。前述のように、処理ステップは、ナットのねじ、又はねじ又は一群のねじ又はナットの締結とすることができる。
【0030】
1つの例示的な実施形態では、製造される対象物は車両である。この例示的な実施形態では、識別子40は、VIN、すなわち、車両識別番号とすることができる。車両識別番号は、シリアル番号を含む一意のコードであり、自動車業界により、個々の自動車、牽引車、オートバイ、スクーター、及びモペットを識別するのに使用される。
【0031】
処理ステップの結果値を関連付けることによる利点は、後で結果値を分析できる可能性があることである。例えば、自動車メーカーが事故に関与した特定の車両に関する情報を提供することが可能である。例えば、自動車メーカーが、自動車が組立プロセスを離れたときの処理ステップについての結果値を提供できることは、有利とすることができる。
【0032】
再び図1を参照すると、本開示はまた、電動工具100の動作モードを設定する、及び/又は結果値を関連付ける電動工具100に関する。これにより、電動工具100は、処理される対象物20上又は対象物20に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ30から少なくとも1つの無線信号を検出するように動作する。無線タグ30は、対象物20に関連付けられた識別子40を含む。電動工具100は更に、電動工具と少なくとも1つの無線タグ30との間の無線信号飛行時間に基づいて、電動工具100と少なくとも1つの無線タグ30との間の距離を測定するように動作する。次に、電動工具100は、距離に基づいて第1の無線タグ30を選択し、第1の無線タグ30は、第1の識別子40を含む。次いで、電動工具100は、第1の識別子40に基づいて電動工具100の動作モードを設定し、及び/又は電動工具100によって実行される処理ステップの結果値を第1の識別子40に関連付けるように動作する。
【0033】
1つの例示的な実施形態によれば、電動工具100は、最も近い無線タグ30を選択するように動作する。この例示的な実施形態では、第1の無線タグ30が電動工具100に最も近いので、第1の無線タグ30が選択される。
【0034】
別の例示的な実施形態では、電動工具100は更に、対象物20上に又は対象物20に関連して位置決めされた少なくとも2つの無線タグ30間の距離を測定するように動作する。この実施例では、電動工具100は更に、少なくとも2つの無線タグ30間の距離にも基づいて、第1の無線タグ30を選択するように動作する。本実施形態は、例えば、電動工具100が2つの対象物の間に位置決めされている状況において有用とすることができる。このような状況では、対象物Aまでの距離がより近くなる可能性がある。しかしながら、少なくとも2つの無線タグ30間の距離も測定する。また、無線タグ30と電動工具100との間の距離により、電動工具100の位置を決定することができる。
【0035】
電動工具100の1つの例示的な実施形態によれば、識別子40は、VIN、すなわち車両識別番号である。
【0036】
電動工具100の1つの例示的な実施形態は、電気締結工具10である。電動工具100のこの例示的な実施形態では、動作モードは、トルク及び/又は角度などの締結パラメータ値とすることができる。電動工具100の1つの例示的な実施形態では、電動工具100の無線タグは、UWBタグ、超広帯域無線である。
【0037】
図2は、電動工具100の例示的な実施形態のブロック図である。電動工具100は更に、電動工具100を制御するように構成されたプロセッサ160を備える。電動工具100はまた、プロセッサ160によって実行可能な命令を含むメモリ260を備える。プロセッサ160は、中央処理装置、CPU、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、DSP、又はコンピュータプログラムコードを実行することができる他の適切なタイプのプロセッサである。メモリ260は、ランダムアクセスメモリ、RAM、読み取り専用メモリ、ROM、又は永続ストレージ、例えば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、又はリモートマウントメモリの単一又は組み合わせである。
【0038】
1つの態様によれば、本開示は更に、電動工具100上で実行されたときに、電動工具100に本明細書に記載された開示の態様のいずれかを実行させるコンピュータ可読コードを含む、上記のコンピュータプログラムに関する。
【0039】
上記のコンピュータプログラムコードが、電動工具100のプロセッサ160にて実行されると、電動工具100は、処理される対象物20上又は対象物20に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ30からの少なくとも1つの無線信号を検出するように動作し、ここで、無線タグ30は、対象物20に関連付けられた識別子40を含む。
【0040】
更に、電動工具と少なくとも1つの無線タグ30との間の無線信号飛行時間に基づいて、電動工具と少なくとも1つの無線タグ30との間の距離を測定する。
【0041】
次に、距離に基づいて第1の無線タグ30を選択し、第1の無線タグ30は、第1の識別子40を含む。次に、第1の識別子40に基づいて電動工具100の動作モードを設定し、及び/又は電動工具100によって実行される処理ステップの結果値を第1の識別子40に関連付ける。
【0042】
本開示の一態様によれば、プロセッサ160は、以下のうちの1又は複数を備える。
処理される物体20上に又は物体20に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグ30から少なくとも1つの無線信号を検出するように適合された検出モジュール161であって、無線タグ30が対象物20に関連付けられた識別子40を含む、検出モジュール161;
電動工具と少なくとも1つの無線タグ30との間の無線信号飛行時間に基づいて、電動工具と少なくとも1つの無線タグ30との間の距離を測定するように適合された測定モジュール162;
距離に基づいて第1の無線タグ(30)を選択するように適合された選択モジュール163であって、第1の無線タグ(30)が第1の識別子(40)を含む、選択モジュール163;
第1の識別子40に基づいて電動工具100の動作モードを設定し、及び/又は電動工具100によって実行される処理ステップの結果値を第1の識別子40に関連付けるように適合された動作モードモジュール164。
【0043】
検出モジュール161、測定モジュール162、選択モジュール163、及び動作モジュール164は、ハードウェア又はソフトウェア、或いはこれらの組み合わせで実装される。一態様に従って、モジュール161、162、163、及び164は、プロセッサ160上で実行されるメモリ260に格納されたコンピュータプログラムとして実装される。電動工具100は更に、本明細書に記載されるように、本開示の全て態様を実施するように構成される。
【0044】
1つの例示的な実施形態によれば、電動工具は電気動力工具である。別の例示的な実施形態によれば、電動工具は、電気締結工具である。更に別の例示的な実施形態によれば、電動工具は、電気トルクレンチである。
【0045】
本開示の態様は、図面、例えば、ブロック図及び/又はフローチャートを参照して説明される。ブロック図のブロックなど、図面内の複数のエンティティ、及び図面内のエンティティの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装でき、この命令はコンピュータ可読メモリに格納できることは理解される。
【符号の説明】
【0046】
S100 、処理される対象物上又は対象物に関連して位置決めされた少なくとも1つの無線タグから少なくとも1つの無線信号を検出する
S110 電動工具と少なくとも1つの無線タグとの間の距離を測定する
S120 距離に基づいて第1の無線タグを選択する
S130 第1の識別子に基づいて電動工具の動作モードを設定する
図1
図2
図3