IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノルディックカン・アー/エスの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】速崩壊カンナビノイド錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20240918BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/164 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20240918BHJP
   C07D 311/80 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K31/352
A61K9/20
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/26
A61K31/164
A61K47/12
A61K47/28
A61P25/18
A61P25/20
A61P27/06
A61P25/04
A61P25/00
A61P37/08
A61P29/00
A61P31/00
A61P25/24
A61P25/06
A61P25/36
C07D311/80
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021561780
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 DK2020050102
(87)【国際公開番号】W WO2020211915
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】3040547
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(31)【優先権主張番号】16/386,477
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】3040532
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(31)【優先権主張番号】3040513
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(31)【優先権主張番号】16/713,580
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】3065042
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(73)【特許権者】
【識別番号】521325709
【氏名又は名称】ノルディックカン・アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハイジ・ツィーグラー・ブルーン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥールト・シャキンガー・ボーセン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・プロヴストガールド・ニールセン
【審査官】関 景輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/131269(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0289665(US,A1)
【文献】特表2005-512943(JP,A)
【文献】国際公開第2018/217803(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0263913(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0221332(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015683(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0220593(US,A1)
【文献】特表2010-532367(JP,A)
【文献】特表2007-504207(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0097283(US,A1)
【文献】国際公開第2018/023166(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0368020(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/05
A61K 31/352
A61K 9/20
A61K 47/36
A61K 47/38
A61K 47/32
A61K 47/26
A61K 31/164
A61K 47/12
A61K 47/28
A61P 25/18
A61P 25/20
A61P 27/06
A61P 25/04
A61P 25/00
A61P 37/08
A61P 29/00
A61P 31/00
A61P 25/24
A61P 25/06
A61P 25/36
C07D 311/80
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
速崩壊カンナビノイド錠剤であって、
錠剤の少なくとも20質量%の量の1種又は複数種の糖アルコール粒子を含む糖アルコール組成物と、
1種又は複数種のカンナビノイドを含むカンナビノイド組成物と、
口腔唾液と接触して2分以下の期間内に錠剤を崩壊させるように作用可能である1種又は複数種の崩壊剤を含む崩壊剤組成物と
を含み、
1種又は複数種のカンナビノイドが、錠剤の粉末予備混合物において1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部可逆的に吸着されており錠剤の前記の1種又は複数種の糖アルコール粒子の残りは吸着したカンナビノイドを有しておらず、かつ、錠剤の前記の粉末予備混合物が湿式造粒されていない、錠剤。
【請求項2】
1種又は複数種の崩壊剤が、錠剤の0.5~25質量%の量で存在する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
1種又は複数種の崩壊剤が、デンプン、微結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(LHPC)、超崩壊剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の錠剤。
【請求項4】
1種又は複数種の崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される超崩壊剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項5】
1種又は複数種の崩壊剤が、架橋ポリビニルピロリドンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項6】
1種又は複数種の糖アルコール粒子が、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、イソマルト及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項7】
1種又は複数種のカンナビノイドが、1種又は複数種の糖アルコール粒子、質量により1:10~1:4で可逆的に吸着されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項8】
1種又は複数種のカンナビノイドの1種又は複数種の糖アルコール粒子に対する質量比が、1:30~1:1である、請求項1から7のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項9】
高甘味度甘味料、香料、キレート剤、流動促進剤、着色剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項10】
1種又は複数種のカンナビノイドが、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項11】
1種又は複数種のカンナビノイドが、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項12】
1種又は複数種のカンナビノイドが、抽出物の一部を形成する少なくとも1種のフィトカンナビノイド及び/又は少なくとも1種の単離カンナビノイドを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項13】
自己乳化剤を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項14】
1種又は複数種のカンナビノイドのための脂質担体を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項15】
脂質担体が、1種又は複数種のテルペンを含む、請求項14に記載の錠剤。
【請求項16】
組成が異なる更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項17】
組成が異なり、請求項1から16のいずれか一項において規定している1種又は複数種のカンナビノイドを含む更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項18】
組成が異なり、口腔唾液と接触して3分以上の期間内に崩壊する更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項19】
組成が異なり、錠剤全体の少なくとも50質量%を構成する更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項20】
組成が異なり、錠剤全体の50~90質量%の間を構成する更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項21】
組成が異なり、ガムベースポリマーを含む更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項22】
組成が異なり、請求項1から15のいずれか一項に記載の錠剤と一緒に打錠されて、統合された2層錠剤を形成する更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項23】
組成が異なり、請求項1から15のいずれか一項に記載の錠剤を打錠する前に別々の工程で打錠される更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項24】
組成が異なり、請求項1から15のいずれか一項に規定の結合剤、溶解剤、賦形剤、増粘剤又はアルカリ性緩衝剤のいずれかを含む更なる錠剤モジュールを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種又は複数種のカンナビノイドによる状態の緩和又は処置のための経口送達ビヒクルの分野に関する。特に、本発明は、1種又は複数種のカンナビノイドの経口投与のための速崩壊錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)、マリファナ植物及び関連する植物種に見出される化学物質の群である。それらはカンナビノイド受容体(CB1及びCB2)を活性化することが知られている。これらの化学物質はまた、ヒトや他の動物において内因的に生成される。カンナビノイドは、親油性である、血液脳関門を容易に通過する能力がある、及び毒性が低い等の特定の特性を呈する環状分子である。
【0003】
カンナビス・サティバには、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、及びカンナビゲロール(CBG)等、大麻の活性成分である400種類を超える化学物質及びおよそ120種類のカンナビノイドが含まれている。薬理学的には、大麻の主要な向精神成分はテトラヒドロカンナビノール(THC)であり、緑内障、AIDS消耗、神経障害性疼痛、多発性硬化症に関連する痙縮の処置、線維筋痛症、化学療法誘発性悪心等、幅広い病状の処置に使用される。THCは、アレルギー、炎症、感染症、うつ病、片頭痛、双極性障害、不安障害、薬物依存症、及び薬物離脱症候群の処置にも有効である。
【0004】
カンナビノイドの送達方法は、近年ますます注目されている。肺への送達は、大麻の喫煙によって最も一般的に達成される。しかし、この投与方法には健康上の懸念がある。大麻の煙は、タバコよりも更に多くのタール及びその他の粒子状物質を運ぶ。更に、多くの患者は、喫煙行為が魅力的でなく、かつ一般的に不健康であるとみている。
【0005】
肺送達用の種々の無煙吸入可能なエアロゾル製剤を提供することにより、大麻とタバコの両方の喫煙に関連する問題の一部を克服する試みがなされてきた。これらの製剤は、活性剤を肺に送達するのにさまざまな有効性があることが判明し、吸入デバイスの使用に関する適切な訓練を行う場合であってもコンプライアンスが問題であった。
【0006】
錠剤を製剤化する場合において、ばらつきが回避され、安全かつ簡便な送達が得られることがある均質な混合物を得ることに、種々の課題が関連している。また、従来の送達手段が適用される場合によくあることだが、錠剤の一般的製剤により使用者への利便性の提供が損なわれる必要はない。
【0007】
カンナビノイドの送達ビヒクルとしての錠剤に関する課題の1つは、カンナビノイドが、化合物の特定の生理化学的特性のために、投与中にオフノートと関連する傾向があることである。経口投与用の錠剤でカンナビノイドのより高い放出を意図している場合、味マスキングの課題はより深刻である。オフノートが投与中の支配的な感覚である場合、利便性が影響を受けることがあり、更にいっそう決定的なことに、カンナビノイドの送達も影響を受けることがある。唾液生成が抑制されることがあり、送達ビヒクルが正しく取り扱われないことがある。
【0008】
更に、利便性と有効性の向上をもたらすカンナビノイドの放出プロファイルを得るのにも役立つことがある製剤を提供することが重要である。一般に、先行技術では、経口カンナビノイド送達の官能特性に対する錠剤製剤の影響についてはあまり注意が払われていない。ここで、重要な官能特性には、摩損度、硬度、食感、香味知覚、甘味知覚、及びカンナビノイドに関連するオフノートが含まれる。これらの特性は、経口投与用の錠剤の利便性の観点から、しかし確実に、錠剤からのカンナビノイドの適切な送達を支持し且つカンナビノイドの有害な副作用を回避するためにも、いずれも関連する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】欧州薬局方9.0、セクション2.9.1、Disintegration of tablets and capsules
【文献】欧州薬局方9.1、試験方法2.9.38 particle size distribution estimation by analytical sieving
【文献】H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfstoffe fuer Pharmacie, Kosmetik und Angrenzende Gebiete、63~64頁(1981)
【文献】Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、2000年8月、US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research
【文献】A. Douglas Kinghornら、Phytocannabinoids、第103巻、第1章、1~30頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、先行技術の上記の課題及び問題を解決する改善された錠剤製剤が先行技術において必要とされている。特に、有益な官能特性と組み合わせたカンナビノイドの適切で迅速な送達を支持する新しい錠剤が、先行技術において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明の一態様において、速崩壊カンナビノイド錠剤であって、錠剤の少なくとも20質量%の量の1種又は複数種の糖アルコール粒子を含む糖アルコール組成物と、1種又は複数種のカンナビノイドを含むカンナビノイド組成物と、口腔唾液と接触して2分の期間内に錠剤を崩壊させるように作用可能な1種又は複数種の崩壊剤を含む崩壊剤組成物とを含む錠剤が提供される。
【0012】
本発明による速崩壊カンナビノイド錠剤の提供は、先行技術の種々の問題を解決することができ、有利な官能特性と組み合わせたカンナビノイドの有益な送達特性を組み合わせる製剤を確立することを目的とする。
【0013】
一般に、本発明による錠剤は、錠剤の使用中に放出されるカンナビノイドからのオフノートに大きく寄与することなく、比較的短い期間内に崩壊する。錠剤は、主に、錠剤の使用中に口腔内にすでに存在する唾液の供給又は唾液の生成により、咀嚼することなく口の中で崩壊することを意図している。したがって、錠剤は噛むことも嚥下することもできず、口腔の洗浄システムと同じように、口の中で所定の位置に保持するか、口の中でクチュクチュと前後に動かす必要がある。
【0014】
本発明の属性の1つは、錠剤に速崩壊特性を提供すると同時に、使用されるカンナビノイドからの非常にわずかな又はそれほど深刻ではないオフノート味を含む有益な官能特性を確保することが可能であるという驚くべき認識である。本願の発明者らは、錠剤の官能パラメータを損なうことなくカンナビノイドの迅速な放出が可能であるとは予想していなかった。CBD等のカンナビノイドの特別な特性によって、活性成分のそのような迅速な崩壊及び放出が可能になるとは考えられていなかった。活性成分の多様な群としてのカンナビノイドは、一般に、経口錠剤製剤の味の特性に関して当技術分野内で偏見の対象であると考えられている。また、親油性等の多様な活性成分群としてのカンナビノイドの特性は、このような速崩壊錠剤では適切に機能するとは予想されていなかった。特に、これにはCBD及びCBDAが含まれる。より具体的には、これには、CBD及びCBDAの抽出物等のカンナビノイドの抽出物が含まれる。したがって、カンナビノイドの分野では、当業者は、本発明による速崩壊錠剤が実現可能であるとは予想しないであろう。
【0015】
具体的には、崩壊剤の含有量は、本発明による錠剤の崩壊を大いに促進する。しかし、崩壊剤は、以前は錠剤製剤科学において使用されていたが、用途に応じた崩壊剤とカンナビノイドとの特定の組合せは、CBD等のカンナビノイドの特定の特性の観点から問題があると見なされていた。本出願の発明者らは、活性成分の高装填に伴う官能的欠点及び濃度の問題等、種々の問題を疑った。
【0016】
放出特性に関して、本発明は、従来のロゼンジ製剤と比較して、カンナビノイドの改善された放出プロファイルを提供し得る。特に、本発明の特定の錠剤は、カンナビノイドと組み合わせて適用された従来のロゼンジ製剤プラットフォームと比較してカンナビノイドの改善された放出特性を提供するのに役立ち得る。CBD等のカンナビノイドの親油性特性と組み合わせた放出の改善は、矛盾すると予想されたであろう。しかし、本発明者らは、カンナビノイドの送達が驚くほど有益であることを認識した。
【0017】
加えて、本発明は、有効量のカンナビノイドを経時的に送達し、同時にオフノート等のカンナビノイドの有害作用を回避するように錠剤製剤が調整されるようにカンナビノイドの迅速かつ制御された放出を提供するのに役立ち得る。
【0018】
本発明の非常に重要な態様は、有益な官能特性の提供である。ここで、重要な官能特性には、摩損度、食感、香味知覚、甘味知覚、及びカンナビノイドに関連するオフノートが含まれる。これらの特性は、錠剤の利便性の観点から、しかし確実に、放出プロファイルの改善等、製剤からのカンナビノイドの適切な送達を支持し且つカンナビノイドの有害な副作用を回避するためにも、いずれも関連する。
【0019】
本発明者らは、本発明の特徴の特定の組合せに対して、これらの官能特性の点で非常に驚くべき結果を示した。本発明がカンナビノイドの急速な放出等の改善された放出プロファイルに寄与することができ、同時に経口摂取を伴う錠剤からのカンナビノイドの適切な送達を支持し且つカンナビノイドの有害な副作用を回避することもできる非常に有益な官能特性を提供することができることは予想外の結果であった。
【0020】
特に有利である官能特性のうちの1つは錠剤の摩損度である。カンナビノイドの所望の放出を確実にし、且つ消費者による感覚を改善するために、摩損度が改善されることが決定的である。使用中の錠剤製剤の食感が、使用中の利便性と同様にカンナビノイドの放出及び体験にとって決定的である。これらの特性を本発明により改善することができ、これは本発明者らには予想されなかったことである。
【0021】
有利には、本発明の組成物は、ロゼンジを含有する従来のカンナビノイドよりもはるかに小さい錠剤で製剤化することができ、したがって、有意なカンナビノイド血漿濃度を達成し、従来のロゼンジに匹敵するカンナビノイド薬物動態プロファイルを得ながら、口腔内での溶解時間を短縮することができる。溶解時間を短縮し、カンナビノイド吸収の速度を改善することにより、患者のコンプライアンスも改善される場合がある。
【0022】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、口腔唾液と接触して1.5分以下の期間内に錠剤を崩壊させるように作用可能である。
【0023】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、口腔唾液と接触して1分以下の期間内に錠剤を崩壊させるように作用可能である。
【0024】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、口腔唾液と接触して0.5分以下の期間内に錠剤を崩壊させるように作用可能である。
【0025】
本文脈において、「作用可能」又は「崩壊させるように作用可能」とは、投与時に錠剤が唾液相互作用によって受動的に崩壊することができ、咀嚼又は他の方法で強制的に崩壊させる必要がないことを意味することを意図している。
【0026】
他の実施形態において、錠剤は、口腔唾液と接触して1.5分以下の期間内に崩壊する。他の実施形態において、錠剤は、口腔唾液と接触して1分以下の期間内に崩壊する。他の実施形態において、錠剤は、口腔唾液と接触して0.5分以下の期間内に崩壊する。
【0027】
本文脈において、「崩壊した」又は「崩壊する」とは、錠剤がもはや錠剤とは見なされず、錠剤が唾液中で縮小及び/又は分散したことを意味することを意図している。
【0028】
本文脈において、錠剤とは、「速崩壊錠剤」(「FDT」)、又は「口腔内崩壊錠剤」(「ODT」)等の同様の言い回しを意味することを意図している。特に明記しない限り、本発明による錠剤が2つ以上のモジュールではなく1つのモジュールとして作製されている場合、その錠剤はFDT錠剤であることを意図している。他方、錠剤が2つのモジュール等の複数のモジュールで作製されている場合、そのような追加のモジュールは、本発明によるFDTモジュールと比較してより長い崩壊時間を提供する「ロゼンジ」モジュールであることを意図している。「FDT」モジュールと「ロゼンジ」モジュールの組合せは、本出願の後半で扱われ、本発明の別の態様に寄与する。本発明による「ロゼンジ」モジュールはまた、「FDT」モジュールからの要素を含み得るが、一般に組成が異なり、崩壊時間が延長される。
【0029】
重要なことに、本発明の錠剤製剤の改善された官能特性はまた、カンナビノイドの改善された放出率に対応する。理由は、使用者の最初の印象が改善され、錠剤の触感も改善されると、これが、使用者が製品を効果的に使用する引き金となることになるという事実に起因するためであり得る。また、製品製剤が改善されると、唾液の産生を亢進させることができ、ひいてはカンナビノイドの放出の更なる増加をもたらすことができる。しかし、正確な機構は十分に理解されていない。
【0030】
本発明による錠剤の製剤は、当技術分野において既知の従来の錠剤製剤と比較して、有益な崩壊を提供することが分かった。驚くべきことに、本発明による錠剤の特性を損なうことなく、30秒未満の崩壊時間が可能であることが分かった。官能特性は、そのような短い期間の崩壊時間の影響をわずかしか受けなかったか、又はそれほど影響を受けなかった。続いて、本発明による速崩壊錠剤は、潜在的な比較的迅速な緩和又は処置応答時間を提供し得る。
【0031】
本発明の一部の実施形態において、唾液と接触している組成物は、10~30kNの圧縮圧力下で10%未満変動する崩壊プロファイルを有する。本文脈において、「崩壊プロファイル」とは、使用中所与の時間における錠剤からの材料の質量パーセント総損失が、10~30kNの打錠力の下で10%未満変動することを意味することを意図している。測定値は一般に、錠剤が完全に「崩壊」していないうちに測定される。測定は、本発明の実施例に概説されている測定によるインビボ測定として、錠剤が唾液と接触している間に行われる。
【0032】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の0.5~25質量%の量で存在する。
【0033】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の0.5~20質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の0.5~15質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の1~25質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の1~20質量%の量で存在する。
【0034】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の2~15質量%の量で存在する。
【0035】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の2~10質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の3~15質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の4~15質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の5~15質量%の量で存在する。
【0036】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、口腔唾液と接触して膨潤可能である。これは、唾液が接触すると錠剤がより細かく砕かれることを意味する。
【0037】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、デンプンを含む。これは特に、ある量のデンプンを含有するPearlitol Flash等、即時使用崩壊剤システムが採用されている場合に当てはまることがある。
【0038】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、微結晶セルロースを含む。
【0039】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(LHPC)を含む。
【0040】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、超崩壊剤を含む。「超崩壊剤」により、意図された意味は、錠剤製造で使用されるより従来の崩壊剤と比較して優れた崩壊剤効果を提供する崩壊剤である。
【0041】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、錠剤の2~15質量%の量で超崩壊剤を含む。
【0042】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の超崩壊剤は、錠剤の2~10質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の超崩壊剤は、錠剤の3~15質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の超崩壊剤は、錠剤の4~15質量%の量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種の超崩壊剤は、錠剤の5~15質量%の量で存在する。
【0043】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、架橋ポリマーの超崩壊剤を含む。
【0044】
本発明のある実施形態において、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される超崩壊剤を含む。
【0045】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドンを含む。
【0046】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドンを含み、架橋ポリビニルピロリドンの少なくとも50質量%が、50マイクロメートル未満の粒径を有する。
【0047】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドンを含み、架橋ポリビニルピロリドンの少なくとも25質量%が、15マイクロメートル未満の粒径を有する。
【0048】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の固体粒子は、非水溶性である。
【0049】
本発明のある実施形態において、複数の固体粒子は、シリカ、微結晶性セルロース、セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、クレイ、タルク、デンプン、アルファ化デンプン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウム-アルミノ-メタケイ酸塩、超多孔質シリカ及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の一部の実施形態において、シリカは、マスター顆粒成分においてあまり好ましくない。本発明の一部の実施形態において、シリカは、マスター顆粒成分において回避されるべきである。
【0050】
本発明のある実施形態において、複数の固体粒子は、微結晶性セルロースを含む。
【0051】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の固体粒子は、水溶性である。
【0052】
本発明のある実施形態において、複数の固体粒子は、1種又は複数種の糖アルコールを含む。本発明のある実施形態において、固体粒子は、直接圧縮性(DC)糖アルコールを含む。本発明のある実施形態において、固体粒子は、非直接圧縮性(非DC)糖アルコールを含む。
【0053】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の固体粒子は、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、イソマルト及びマンニトール、並びにそれらの混合物及び組合せからなる群から選択される。
【0054】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコール粒子は、錠剤の少なくとも30質量%の量で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコール粒子は、錠剤の少なくとも40質量%の量で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコール粒子は、錠剤の少なくとも50質量%の量で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコール粒子は、錠剤の少なくとも60質量%の量で存在する。
【0055】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコール粒子は、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、イソマルト及びマンニトール、並びにそれらの混合物及び組合せからなる群から選択される。本発明のある実施形態において、1種又は複数種の糖アルコールは、遊離形態である。
【0056】
本発明の一部の実施形態において、組成物中の糖アルコールの含有量は、組成物の70質量%を超え、例えば、組成物の80質量%を超える。
【0057】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、微結晶性セルロース等の1種又は複数種の固体材料の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0058】
固体成分は、前述の利点に加えて、カンナビノイドのより均質な混合物を得るのに役立つ場合がある。しかし、摩損度等の材料の性質により、一部の実施形態において、材料が遊離糖アルコール粒子の量よりも少ない量でのみ存在することが有利な場合がある。他方、錠剤の均質な混合物を確保するために、カンナビノイドと組み合わせた一定量の材料を有することが有利な場合がある。
【0059】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0060】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、1種又は複数種の糖アルコール粒子と、質量により1:10~1:4で可逆的に会合している。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、1種又は複数種の糖アルコール粒子と、質量により1:30~1:2で可逆的に会合している。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、1種又は複数種の糖アルコール粒子と、質量により1:20~1:3で可逆的に会合している。
【0061】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、1種又は複数種の糖アルコール粒子と、質量により1:15~1:3で可逆的に会合している。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、1種又は複数種の糖アルコール粒子と、質量により1:20~1:2で可逆的に会合している。
【0062】
本文脈において、「1種又は複数種の固体粒子に可逆的に会合するカンナビノイド」又は「1種又は複数種の糖アルコール粒子に可逆的に会合するカンナビノイド」という言い回し又は同様の言い回しは、1種又は複数種のカンナビノイドが1種又は複数種の固体粒子と接触しており、材料内に緩く分布していないということを意味することを意図している。錠剤組成物の保存中及び錠剤の保存中に、1種又は複数種のカンナビノイドは、1種又は複数種の固体粒子と一般に会合している。これは、物理的付着、カプセル化、組み込み、溶液、化学的相互作用等の形態であり得る。しかし、唾液と接触する口腔内での使用中に、カンナビノイドが1種又は複数種の固体粒子から分離又は放出され、その結果、1種又は複数種のカンナビノイドが粘膜表面を標的とすることができるという意図がある。したがって、「可逆的に」の意味は、1種又は複数種の固体粒子が、使用前に1種又は複数種のカンナビノイドを運ぶ手段として機能し、1種又は複数種のカンナビノイドの送達を確保することを意味することを意図している。また、1種又は複数種の固体粒子は、より安定な組成を提供し得る微小環境を確保するように機能する場合がある。更に、1種又は複数種の固体粒子によって、1種又は複数種のカンナビノイドがそれらの作用部位、すなわち粘膜に標的化されることが確保され得る。
【0063】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、凝集により、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。本発明のある実施形態において、凝集は、湿式造粒によって得られる。本発明のある実施形態において、凝集は、乾式造粒によって得られる。
【0064】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、体積加重平均直径が10~400μmの複数の顆粒により、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0065】
一部の実施形態において、顆粒が好ましい。頬側経路を介した経粘膜投与に関連する一般的な問題は、口腔内の唾液の継続的な分泌による嚥下である。最適な薬物送達のために、錠剤製剤は、好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドの吸収が可能となるのに十分な時間、口腔粘膜と接触したままであり得る。より具体的には、錠剤製剤は、頬側吸収が標的である場合、唾液によって胃腸管に洗い流されないことが好ましい場合がある。しかし、錠剤製剤の崩壊又は溶解の速度は、好ましくは、使用者に不快感又は不便を引き起こすほど遅くてはならない。更に、好適な錠剤製剤は、好ましくは、サイズが小さく、形状が使用中の患者への不快感を回避するように設計され得る。最も重要なことに、製剤は、好ましくは、カンナビノイドがその経粘膜透過を最適化する溶液中にあるように設計され得る。これらの考察を、本発明の予備混合物で得ることができる。
【0066】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、体積加重平均直径が50~300μmの複数の顆粒により、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0067】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、予備混合物により、1種又は複数種の固体粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0068】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、予備混合物により、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0069】
本文脈において、「予備混合物」又は同様の言い回しは、1種又は複数種のカンナビノイドが、糖アルコール製剤と一緒に錠剤製剤に適用される前に、固体糖アルコール粒子等の1種又は複数種の固体粒子と混合されているということを意味することを意図している。
【0070】
本文脈において、予備混合物を部分的に使用して、1種又は複数種のカンナビノイドを製造プロセスに適切に割り当て、確実に均一性が損なわれないようにする、及びカンナビノイドが混合物に適切に分配されるようにする。好ましくは、カンナビノイドは、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で提供される。製造プロセスにおいてカンナビノイドを適切に分布させ、最終的に均一性が一貫している製品とするために予備混合物が重要であることは本発明者らにとって驚きであった。
【0071】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、予備混合物における吸着により、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合している。
【0072】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は、吸着により、1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合しており、1種又は複数種のカンナビノイドは噴霧によって適用される。
【0073】
本発明のある実施形態において、粒子は、1種又は複数種のカンナビノイドが溶媒和されている1種又は複数種のカンナビノイド溶媒、例えば、グリコール、アルコール若しくはアルキル溶媒又はそれらの混合物を含む。これは、例えば、固体の単離カンナビノイド等の単離カンナビノイドが適用される場合であり得る。
【0074】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイド溶媒は、ポリエチレングリコール、エタノール、置換ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0075】
本発明のある実施形態において、錠剤は、10kNを超える圧力で圧縮される。本発明のある実施形態において、錠剤は、15kNを超える圧力で圧縮される。本発明のある実施形態において、錠剤は、30kN未満の圧力で圧縮される。
【0076】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの少なくとも一部は1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合しており、1種又は複数種のカンナビノイドが1種又は複数種の糖アルコール粒子の少なくとも一部と可逆的に会合していない組成物と比較して、組成物の圧縮性を低下させる。
【0077】
本発明のある実施形態において、唾液と接触している錠剤は、10~30kNの圧縮圧力下で10%未満変動する崩壊プロファイルを有する。
【0078】
本発明のある実施形態において、唾液と接触している錠剤は、10~30kNの圧縮圧力下で5%未満変動する崩壊プロファイルを有する。
【0079】
本発明の一部の実施形態において、唾液と接触している組成物は、10~30kNの圧縮圧力下で実質的に同じである崩壊プロファイルを有する。
【0080】
本発明の大きな影響を与える観察の1つは、圧縮力は、一般に、錠剤の崩壊時間に、更には錠剤の溶解時間にも大きな影響を及ぼさないということである。打錠の技術における一般的な理解は、圧縮力が錠剤の崩壊時間及び溶解時間に大きな影響を与えるということである。本発明者らは、カンナビノイドの本発明の製剤がこの態様において非常に有利であることを発見した。
【0081】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの1種又は複数種の糖アルコール粒子に対する質量比は、1:30~1:1である。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドの1種又は複数種の糖アルコール粒子に対する質量比は、1:20~1:10である。
【0082】
本発明のある実施形態において、錠剤は、乾式又は湿式結合剤等の結合剤を更に含む。
【0083】
本発明のある実施形態において、錠剤は、アカシア、寒天、アルギン酸又はその塩、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、セルロース、キトサン、コポビドン、シクロデキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、イヌリン、メチルセルロース、ペクチン、ポリカルボフィル又はその塩、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、プルラン、デンプン、トラガカント、トレハロース、キサンタンガム及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶解修飾剤を更に含む。
【0084】
本発明のある実施形態において、錠剤は、アルギン酸又はその塩、ポリカルボフィル又はその塩、キサンタンガム及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶解修飾剤を更に含む。
【0085】
本発明のある実施形態において、錠剤は、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィルカルシウム、キサンタンガム及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の溶解修飾剤を更に含む。
【0086】
本発明のある実施形態において、錠剤は、水和すると正の表面電荷を有するゲルを形成する少なくとも1種の増粘剤と、水和すると負の表面電荷を有するゲルを形成する少なくとも1種の増粘剤とを更に含む。
【0087】
本発明のある実施形態において、錠剤は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウム及び重炭酸カリウム、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ性緩衝剤を更に含む。
【0088】
本発明のある実施形態において、錠剤は、高甘味度甘味料、香料、キレート剤、流動促進剤又は着色剤からなる群から選択される少なくとも1種の賦形剤を更に含む。
【0089】
本発明のある実施形態において、錠剤の単位質量は、約50mg~約500mgである。本発明のある実施形態において、錠剤の単位質量は、約200mg~約400mgである。これは、1つのモジュールのみの錠剤が作製され、比較的高装填のカンナビノイドが適用される場合、例としてその錠剤がロゼンジモジュールのない速崩壊錠剤である場合に、特に当てはまる。
【0090】
本発明のある実施形態において、錠剤の単位質量は、約50mg~約250mgである。本発明のある実施形態において、錠剤の単位質量は、約75mg~約150mgである。これは、1つのモジュールのみの錠剤が作製され、その錠剤がロゼンジモジュールのない速崩壊錠剤である場合等、比較的低装填のカンナビノイドが適用される場合に特に当てはまる。
【0091】
本発明のある実施形態において、糖アルコール組成物の平均粒径は、350マイクロメートル未満である。本発明のある実施形態において、糖アルコール組成物の平均粒径は、250マイクロメートル未満である。本発明のある実施形態において、糖アルコール組成物の平均粒径は、少なくとも100マイクロメートルである。
【0092】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.5~100mgの量で存在する。
【0093】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、1~80mgの量で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、5~50mgの量で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、5~30mgの量で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、5~20mgの量で存在する。
【0094】
本発明の一部の実施形態において、錠剤組成物の単位質量は、約50mg~約2000mgである。本発明の一部の実施形態において、錠剤組成物の単位質量は、約50mg~約1000mgである。本発明の一部の実施形態において、錠剤組成物の単位質量は、約50mg~約750mgである。本発明の一部の実施形態において、錠剤組成物の単位質量は、約100mg~約750mgである。これは、2つ以上のモジュールの錠剤が作製される場合、例として錠剤が速崩壊モジュール及びロゼンジモジュールを含む場合に、特に当てはまる。
【0095】
本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~400mgの量で存在する。本発明の一部の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、10~100mgの量で存在する。
【0096】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~200mgの量で存在する。本発明の一部の他の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~100mgの量で存在する。本発明の一部の他の実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、0.1~50mgの量で存在する。本発明のある実施形態において、前記錠剤は、0.1~30mg、例えば1~20mg、例えば5~15mgの量の前記カンナビノイドを含む。
【0097】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、それらの塩及び誘導体を含む。
【0098】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、それらの塩及び誘導体を含む。
【0099】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)を含む。
【0100】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビエルソイン(CBE)、イソテトラヒドロカンナビノール(iso-THC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビシトラン(CBT)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、それらの塩、それらの誘導体、及びカンナビノイドの混合物からなる群から選択される。
【0101】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、それらの塩及び誘導体を含む。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、CBD、その塩及び誘導体、例えば類似体及び相同体を含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、CBDを含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、CBDである。
【0102】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、それらの塩及び誘導体を含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。好ましくは、THCは、(-)-trans-Δ9-テトラヒドロカンナビノール、すなわち(6aR,10aR)-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)を意味することを意図している。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、THCである。
【0103】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも2種のカンナビノイドを含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、THC及びCBD等のいくつかのカンナビノイドの組合せを含む。本発明のある実施形態において、前記1種又は複数種のカンナビノイドは、THCとCBDとの組合せである。
【0104】
本発明のある実施形態において、錠剤製剤は、錠剤製剤の0.01~10質量%の間の量、例として錠剤製剤の0.01~5質量%の間の量の香料を含む。
【0105】
本発明のある実施形態において、錠剤製剤は、高甘味度甘味料を含む。
【0106】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、固体状で存在する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、液体状又は半液体状で存在する。
【0107】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、シクロデキストリンとの複合体の一部を形成する。本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、シクロデキストリンとの複合体の一部を形成する。この複合体は、本発明によるカンナビノイドの放出を促進することができる。また、複合体は、口腔粘膜への1種又は複数種のカンナビノイドの送達を促進することができる。
【0108】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、抽出物の一部を形成する少なくとも1種のフィトカンナビノイドを含む。本発明の一部の実施形態において、抽出物の一部としてのカンナビノイドは、カンナビノイドの放出を促進し得ることが見出された。
【0109】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも1種の単離カンナビノイドを含む。
【0110】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、エンドウ豆タンパク質担体等のタンパク質担体中に位置している。
【0111】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、ポリマー担体中に位置している。
【0112】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、両親媒性ポリマー担体中に位置している。
【0113】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも1種の内因性カンナビノイド又は内因性カンナビノイド様化合物、例えばパルミトイルエタノールアミド(PEA)を含む。
【0114】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイドは、少なくとも1種の水溶性カンナビノイドを含む。
【0115】
本発明のある実施形態において、錠剤は、自己乳化剤を含む。
【0116】
本発明のある実施形態において、錠剤は、1種又は複数種のカンナビノイドとオレイン酸等の脂肪酸との間の親油性会合を含む。
【0117】
本発明のある実施形態において、錠剤は、1種又は複数種のカンナビノイドのための脂質担体を含む。
【0118】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイド脂質担体は、1種又は複数種のテルペンを含む。
【0119】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種のカンナビノイド脂質担体は、ビサボロール、ボルネオール、カリオフィレン、カレン、カンフェン、シネオール、シトロネラ、ユーカリプトール、ゲラニオール、グアイオール、フムレン、イソプロピルトルエン、イソプレゴール、リナロール、リモネン、メントール、ミルセン、ネロリドール、オシメン、ピネン、フィトール、プレゴン、テルピネン、テルピノレン、チモール、それらの塩、それらの誘導体、及びテルペンの混合物からなる群から選択される1種又は複数種のテルペンを含む。
【0120】
本発明のある実施形態において、錠剤は、病状の処置又は緩和のために使用される。
【0121】
本発明のある特定の実施形態において、本発明の錠剤製剤は、疼痛、てんかん、がん、悪心、炎症、先天性障害、神経障害、経口感染、歯痛、睡眠時無呼吸、精神障害、胃腸障害、炎症性腸疾患、食欲喪失、糖尿病及び線維筋痛症からなる群から選択される病状の処置又は緩和のために使用されてもよい。
【0122】
本発明の別の態様において、錠剤は、組成が異なる更なる錠剤モジュールを含む。
【0123】
特に明記しない限り、本発明による錠剤が2つ以上のモジュールではなく1つのモジュールとして作製されている場合、その錠剤はFDT錠剤であることを意図している。他方、錠剤が2つのモジュール等の複数のモジュールで作製されている場合、そのような追加のモジュールは、本発明によるFDTモジュールと比較してより長い崩壊時間を提供する「ロゼンジ」モジュールであることを意図している。「FDT」モジュールと「ロゼンジ」モジュールとの組合せは、以下のセクションで扱われ、本発明の別の態様に寄与する。本発明による「ロゼンジ」モジュールはまた、前のセクションで説明された「FDT」モジュールからの要素を含み得るが、一般に組成が異なり、崩壊時間が延長される。
【0124】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、FDT要素の前述の説明による1種又は複数種のカンナビノイドを含む更なる錠剤モジュールを含む。
【0125】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、口腔唾液と接触して3分以上の期間内に崩壊する更なる錠剤モジュールを含む。
【0126】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、口腔唾液と接触して4分以上の期間内に崩壊する更なる錠剤モジュールを含む。
【0127】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、FDT要素の前述の説明による糖アルコール組成物を含む、更なる錠剤モジュールを含む。
【0128】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、より大きな平均粒径を有する糖アルコール組成物を含む、更なる錠剤モジュールを含む。
【0129】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、錠剤全体の少なくとも50質量%を構成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0130】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、錠剤全体の少なくとも60質量%を構成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0131】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、錠剤全体の少なくとも70質量%を構成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0132】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、錠剤全体の50~90質量%の間を構成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0133】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、錠剤全体の60~90質量%の間を構成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0134】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、錠剤全体の70~90質量%の間を構成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0135】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、約250mg~約950mgの単位質量を有する更なる錠剤モジュールを含む。
【0136】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、約400mg~約900mgの単位質量を有する更なる錠剤モジュールを含む。
【0137】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、約400mg~約900mgの単位質量を有する更なる錠剤モジュールを含む。
【0138】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、約200mg~約500mgの単位質量を有する更なる錠剤モジュールを含む。
【0139】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、ガムベースポリマーを含む更なる錠剤モジュールを含む。
【0140】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、ガムベースポリマーを含まない更なる錠剤モジュールを含む。
【0141】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、FDT要素の前述の説明に従ってFDT錠剤と一緒に打錠されて、統合された2層錠剤を形成する更なる錠剤モジュールを含む。
【0142】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、FDT要素の前述の説明に従ってFDT錠剤を打錠する前に別々の工程で打錠される、更なる錠剤モジュールを含む。
【0143】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、FDT要素の前述の説明に従ってFDT錠剤を打錠する前に、より高い圧力で別々の工程で打錠される、更なる錠剤モジュールを含む。
【0144】
本発明のある実施形態において、錠剤は、組成が異なり、FDT要素の前述の説明による結合剤、溶解剤、賦形剤、増粘剤又はアルカリ性緩衝剤のいずれかを含む更なる錠剤モジュールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0145】
ここで、本発明のある特定の態様及び実施形態に関して、本発明を更に詳細に説明する。これらの態様及び実施形態は、本発明の概要及び本発明の実施例を含む、説明の残りの部分に関連して理解されることを意図している。
【0146】
本明細書で使用される場合、数に関する「およそ」又は「約」という用語は、特に明記されていない限り、又は文脈から明らかでない限り、一般に、いずれかの方向(より大きい又はより小さい)で5%、10%、15%、又は20%の範囲内にある数を含むと解釈される(そのような数が、可能な値の0%未満又は100%を超える場合を除く)。
【0147】
本明細書中で使用される場合、「崩壊する」という用語は、物体を成分、断片、又は粒子に縮小することを指す。崩壊時間は、インビトロ又はインビボで測定することができる。特に明記しない限り、「インビトロ測定」は、欧州薬局方9.0、セクション2.9.1、Disintegration of tablets and capsulesに従って行われる。
【0148】
本明細書で使用される場合、「溶解する」という用語は、固体物質が溶媒(口腔唾液)に入って溶液を産生するプロセスである。特に明記しない限り、溶解とは、問題の化合物が完全に溶解することを意味する。
【0149】
本明細書で使用される場合、「崩壊剤」という用語は、FDTモジュールが唾液と接触したときに、FDTモジュールの崩壊を促進する成分を指す。本発明の範囲内で使用可能な崩壊剤としては、デンプン、アルファ化デンプン、化工デンプン(ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプン1500、デンプングリコール酸ナトリウム及びデンプン誘導体を含む)、セルロース、微結晶性セルロース、アルギネート、イオン交換樹脂、及び超崩壊剤、例として架橋セルロース(カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋デンプン、架橋アルギン酸、天然超崩壊剤、及びケイ酸カルシウムを挙げてもよい。崩壊剤は、多くの場合、ニコチンの放出及び最終的な吸収を容易にするために、投与時にモジュールのより小さな断片への分解を促進する手段と考えられる。クロスポビドンは、BASF社から入手可能なKollidon CL-F又はKollidon CL-SF等の種々のグレードを含み得る。
【0150】
「崩壊剤組成物」という用語は、1種又は複数種の崩壊剤を含むある量の物質を意味することを意図している。崩壊剤組成物は、崩壊剤以外の賦形剤を含有してもよい。崩壊剤組成物は、崩壊剤を構成し得る。崩壊剤組成物は、1つのタイプの崩壊剤を構成し得る。崩壊剤組成物は、2つのタイプの崩壊剤を構成し得る。崩壊剤組成物は、2つ以上のタイプの崩壊剤を構成し得る。好ましくは、崩壊剤組成物は「粒子の部分」を含む。好ましくは、崩壊剤組成物は「粒子の部分」である。
【0151】
「粒径」という用語は、特定のサイズの篩目を通過する、又はそれにより保持される粒子の性能に関する。本明細書で使用される場合、「粒径」という用語は、欧州薬局方9.1に従い、試験方法2.9.38 particle size distribution estimation by analytical sievingを使用して決定された平均粒径を指す。
【0152】
「複数種の粒子」という用語は、集団の合計が「複数」という用語により網羅されるという意味で「粒子集団」を網羅することを意図している。
【0153】
「粒子の部分」という用語又は同様の言い回しは、1種又は複数種の粒子集団をまとめて含んでよい複数種の粒子を意味することを意図している。
【0154】
「粒子」という用語又は同様の言い回しは、かなり逸脱してもよいある一定のサイズを有する、顆粒又は粉末の個々の要素等、固体物質の単一の離散した組成物を意味することを意図している。
【0155】
「DC糖アルコール粒子」という用語又は同様の言い回しは、直接圧縮性(DC)糖アルコールの粒子を指す。DC糖アルコール粒子を、例えば、元来、DCグレードを有する糖アルコール、例えば、ソルビトールの粒子として、又は非DC糖アルコールを、例えばいわゆる直接圧縮性粒子(DC)を得る目的で他の糖アルコール又は結合剤と造粒することによって得てもよい。また、結合剤として水を用いた非DC糖アルコールの造粒は、本文脈において「DC糖アルコール粒子」をもたらすと考えられる。これは、非直接圧縮性(非DC)糖アルコールの粒子を指す「非DC糖アルコール粒子」という用語とは対照的である。本文脈において、非DC糖アルコール粒子は、例えば、いわゆる直接圧縮性粒子(DC)を得る目的での他の糖アルコール又は結合剤との造粒によって前処理されていない粒子を指す。したがって、非DC糖アルコール粒子は、非DC糖アルコールからなる粒子と考えられる。
【0156】
「糖アルコール組成物」という用語は、1種又は複数種の糖アルコールを含むある量の物質を意味することを意図している。崩壊剤組成物は、糖アルコール以外の賦形剤を含有してもよい。糖アルコール組成物は、糖アルコールを構成し得る。糖アルコール組成物は、1つのタイプの糖アルコールを構成し得る。糖アルコール組成物は、2つのタイプの糖アルコールを構成し得る。糖アルコール組成物は、2つ以上のタイプの糖アルコールを構成し得る。好ましくは、糖アルコール組成物は「粒子の部分」を含む。好ましくは、糖アルコール組成物は「粒子の部分」である。
【0157】
「打錠された」又は「錠剤」又は「圧縮された」という用語は、錠剤組成物が打錠装置内でプレスされ、主に粒子状物質から構成されることを意味することを意図している。これらの用語は方法工程を意味するが、本文脈において、これらの用語は、粒子の一部を打錠することで得られる結果として生じる錠剤を意味することを意図している。粒子を含むと言及されている錠剤又は打錠組成物は、最終的には、打錠工程で一緒にプレスされた粒子として理解されるべきであることが留意される。
【0158】
本発明の一態様において、「錠剤」は、「速崩壊錠剤」(「FDT」)、又は「口腔内崩壊錠剤」(「ODT」)等の同様の言い回しを意味することを意図している。特に明記しない限り、本発明による錠剤が2つ以上のモジュールではなく1つのモジュールとして作製されている場合、その錠剤はFDT錠剤であることを意図している。他方、錠剤が2つのモジュール等の複数のモジュールで作製されている場合、そのような追加のモジュールは、本発明によるFDTモジュールと比較してより長い崩壊時間を提供する「ロゼンジ」モジュールであることを意図している。「FDT」モジュールと「ロゼンジ」モジュールとの組合せは、本発明の別の態様に寄与する。本発明による「ロゼンジ」モジュールはまた、「FDT」モジュールからの要素を含み得るが、一般に組成が異なり、崩壊時間が延長される。
【0159】
「ロゼンジ」という用語は、「ロゼンジ組成物」が「ロゼンジモジュール」に「圧縮」されていることを網羅することを意図している。本文脈において、「ロゼンジモジュール」又は同様の言い回しは、口腔内での使用中のモジュールが嘗められる(sucked)又は舐められる(licked)ことを意味することを意図している。「ロゼンジ」という用語は、ロゼンジの技術において通常の意味を与えられている。意図は、ロゼンジモジュールを噛んではいけないということである。また、FDTモジュールを噛んではいけないという意図もある。一般に、本発明の「ロゼンジモジュール」は、口腔内崩壊錠剤(ODT)又は速崩壊錠剤(FDT)の錠剤の数秒とは対照的に、嘗める又は舐めると数分で崩壊し得る。したがって、意図は、錠剤が2つのモジュールの組合せとして作製されている場合、「ロゼンジモジュール」が、FDTモジュールよりも長期間にわたって1種又は複数種のカンナビノイドを送達することである。
【0160】
「モジュール」という用語は、一般に、モジュール全体で実質的に同じ特性を有する物質の組成物から構成されることを意図している。したがって、2つのモジュールが存在する場合、2つのモジュールは構成が異なり、一般に、各モジュール全体で2つの異なる特性を有する。本文脈において、モジュールが1つしかない場合、このモジュールはFDT錠と考えられる。他方、2つのモジュールが存在する場合、錠剤は、ロゼンジ錠又はロゼンジモジュールと融合したFDT錠又はFDT錠モジュールで構成される。「融合した」という用語は、錠剤が圧縮力によって一緒に集められることを意味することを意図している。通常、2つのモジュールが存在する場合、ロゼンジモジュールが第1のモジュールとして作製され、FDTモジュールが第2のモジュールとして作製される。錠剤は、3つ以上のモジュールで構成されている場合がある。ロゼンジモジュールは、ある特定の実施形態において、ガムベースモジュールによって置き換えられ得る。本文脈において、本発明は、ニコチンの送達が「単相」であっても、魅力的なマスキングの二相性送達を提供する。
【0161】
「組成が異なる更なる錠剤モジュール」という言い回し又は同様の言い回しは、例として崩壊時間に関して、モジュールの組成がFDTモジュールと実質的に異なるという意味で、この更なるモジュールがFDTモジュールと区別されることを意味することを意図している。
【0162】
「カンナビノイド組成物」という用語は、1種又は複数種のカンナビノイドを含むある量の物質を意味することを意図している。カンナビノイド組成物は、カンナビノイド以外の成分を含有し得る。カンナビノイド組成物は、カンナビノイドを構成し得る。カンナビノイド組成物は、1つのタイプのカンナビノイドを構成し得る。カンナビノイド組成物は、2つのタイプのカンナビノイドを構成し得る。カンナビノイド組成物は、2つ以上のタイプのカンナビノイドを構成し得る。
【0163】
「錠剤組成物の質量」という用語又は同じことを意味する同様の言い回しは、本文脈において、ハードコーティング、ソフトコーティング等の外部コーティングの質量を含まない、錠剤組成物の質量として定義される。
【0164】
「食感」という句は、錠剤組成物又は錠剤の特性、及び使用中に使用者が経験する全体的な口当たりの定性的尺度を意味する。したがって、「食感」という用語は、硬度等の測定可能な量並びに使用者が経験する感触に関係するより主観的なパラメータを包含する。
【0165】
「インビボ使用」という用語は、訓練された試験者の実験セットアップにおいて統計的に原理に従ってヒト対象により錠剤組成物系が使用されること、及びヒト対象の唾液が測定にかけられるか又は錠剤組成物が測定にかけられるということを意味することを意図している。
【0166】
「インビボ放出」若しくは「放出のインビボ試験」という用語又は同様の言い回しは、錠剤組成物が実施例に概説されるように試験されることを意味することを意図している。
【0167】
「インビトロ放出」若しくは「放出のインビトロ試験」という用語又は同様の言い回しは、錠剤組成物が実施例に従って試験されることを意味することを意図している。
【0168】
本文脈における「放出」という用語は、特に明記しない限り、「インビトロ」条件下でということを意味することを意図している。特に、ある一定の期間中の「放出率」は、その期間中に放出されるカンナビノイドのパーセンテージでの量を意味することを意図している。
【0169】
「持続する放出」又は「延長された放出」という用語は、本明細書において、長時間の経時的な放出を意味することを意図している。「急速な放出」又は「急速放出」又は「高放出」という用語は、本明細書において、所与の期間に放出されたより高い含有量を意味することを意図している。「制御放出」という用語は、対象の口腔内の錠剤組成物の積極的な使用の助けによる錠剤組成物からの物質の放出を意味することが意図され、それによって、積極的な使用は、放出される物質の量を制御している。
【0170】
「口腔粘膜への送達」という用語又は同様の言い回しは、錠剤組成物が実施例に従って試験されることを意味することを意図している。
【0171】
本明細書で使用される場合、「緩衝剤」という用語は、「緩衝液」と互換的に使用され、緩衝溶液を得るための薬剤を指す。緩衝剤には、酸性緩衝剤、すなわち酸性pHの緩衝溶液を得るためのもの、及びアルカリ性緩衝剤、すなわちアルカリ性pHの緩衝溶液を得るためのものが含まれる。
【0172】
「自己乳化剤」は、代わりの相が与えられると最小のエネルギー必要量でエマルションを形成する薬剤である。対照的に、乳化剤は、自己乳化剤に対し、エマルションを形成するために追加のエネルギーを必要とする薬剤である。
【0173】
本発明のある実施形態において、錠剤組成物は、香料、乾式結合剤、打錠助剤、固化防止剤、乳化剤、酸化防止剤、増強剤、粘膜付着剤、吸収促進剤、高甘味度甘味料、柔軟剤、着色料、活性成分、水溶性難消化性多糖、水不溶性多糖、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される更なる錠剤組成物成分を含む。
【0174】
ロゼンジが充填剤を含む実施形態において、異なる充填剤を使用することができる。微結晶性セルロースは、本発明の一部の実施形態において充填剤として使用され得る。使用可能な充填剤の例としては、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、粉砕石灰石、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩化合物、カオリン及びクレイ、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、モノ-、ジ-及びトリ-カルシウムホスフェート、木材等のセルロースポリマー、デンプンポリマー、繊維、及びそれらの組合せ、が挙げられる。
【0175】
使用可能な崩壊剤の例としては、デンプン、アルファ化デンプン、化工デンプン(ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプン1500、デンプングリコール酸ナトリウム及びデンプン誘導体を含む)、セルロース、微結晶性セルロース、アルギネート、イオン交換樹脂、及び超崩壊剤、例として、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及びグリコール酸ナトリウムデンプン、架橋セルロース(カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、架橋ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋デンプン、架橋アルギン酸、天然超崩壊剤、及びケイ酸カルシウム、並びにそれらの組合せを挙げてもよい。
【0176】
使用可能な高甘味度甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等のアセスルファムの塩、アリテーム、サッカリン及びその塩、シクラミン酸及びその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリン、ステビオシド等が、単独又は組合せで挙げられるが、これらに限定されない。
【0177】
使用可能な香料としては、アーモンド、アーモンドアマレット、リンゴ、ババロアクリーム、ブラックチェリー、黒ゴマ、ブルーベリー、ブラウンシュガー、バブルガム、バタースコッチ、カプチーノ、キャラメル、キャラメルカプチーノ、チーズケーキ(グラハムクラスト)、シナモンレッドホット、綿菓子、サーカス綿菓子、クローブ、ココナッツ、コーヒー、クリアコーヒー、ダブルチョコレート、エナジーカウ(energy cow)、グラハムクラッカー、グレープジュース、青リンゴ、ハワイアンパンチ、ハチミツ、ジャマイカラム、ケンタッキーバーボン、キウイ、クーラーダ(koolada)、レモン、レモンライム、タバコ、メープルシロップ、マラスキーノチェリー、マシュマロ、メンソール、ミルクチョコレート、モカ、マウンテンデュー、ピーナッツバター、ペカン、ペパーミント、ラズベリー、バナナ、完熟バナナ、ルートビール、RY4、スペアミント、ストロベリー、スイートクリーム、スイートタルト、甘味料、焼きアーモンド、タバコ、タバコブレンド、バニラビーンズアイスクリーム、バニラカップケーキ、バニラスワール、バニリン、ワッフル、ベルギーワッフル、スイカ、ホイップクリーム、ホワイトチョコレート、ウィンターグリーン、アマレット、バナナクリーム、クログルミ、ブラックベリー、バター、バターラム、チェリー、チョコレートヘーゼルナッツ、シナモンロール、コーラ、クレームドマント、エッグノッグ、イングリッシュタフィー、グアバ、レモネード、リコリス、メープル、ミントチョコレートチップ、オレンジクリーム、ピーチ、ピニャコラーダ、パイナップル、プラム、ザクロ、プラリネクリーム、レッドリコリス、ソルトウォータータフィー、ストロベリーバナナ、ストロベリーキウイ、トロピカルパンチ、トゥッティフルッティ、バニラ、又はそれらの任意の組合せ、が挙げられる。
【0178】
使用可能な緩衝剤としては、モノカーボネート、重炭酸塩及びセスキ炭酸塩を含む炭酸塩、グリセリン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、アルカリ金属のグリコール酸塩若しくはクエン酸塩、アンモニウム、トリス緩衝液、アミノ酸、及びそれらの混合物が挙げられる。Effersoda等のカプセル化緩衝液も使用することができる。
【0179】
一部の実施形態において、緩衝剤は、5:1~2.5:1の間の質量比で、好ましくは4.1:1~3.5:1の間の質量比で、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む。
【0180】
二酸化ケイ素は、流動促進剤として使用してもよい。製剤に使用可能な他の流動促進剤もまた、本発明の範囲内で使用してもよい。ステアリン酸マグネシウム及び/又はフマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumerate)を、潤滑剤として使用してもよい。製剤に使用可能な他の潤滑剤もまた、本発明の範囲内で使用してもよい。
【0181】
即時使用システムを、本発明の範囲内で使用してもよい。典型的には、そのような即時使用システムを、例えば、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、又は類似の物を、単一の粉末混合物に置き換えることができる。この目的に好適な即時使用システムとしては、Pearlitol Flash(Roquette社)、Pharmaburst 500(SPI Pharma社)、Ludiflash(BASF社)、ProSolv(JRS Pharma社)、ProSolv EasyTab(JRS Pharma社)、F-Melt(Fuji Chemical社)、SmartEx50又はSmartEx100(Shin Etsu/Harke Pharma社)、が挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤を含む即時使用システムを使用することは、特に有利である場合がある。
【0182】
特に、崩壊剤を含めると、第2のモジュールの全体的な組成に応じて、崩壊時間に大きく影響する場合がある。また、崩壊剤の量及びタイプを変えることにより、崩壊時間を更に調整することができる。例えば、より短い崩壊時間を有する第2の層が望まれる場合、崩壊剤の含有パーセンテージを増加させることができ、及び/又は崩壊剤のタイプを、より効果的な崩壊剤と少なくとも部分的に交換することができる。
【0183】
また、崩壊剤の粒径を小さくすると、おそらく表面積対体積比が増加するために、崩壊時間が短くなる傾向がある。
【0184】
更に、第2のモジュールをプレスするために使用される圧縮力は、第2のモジュールの得られた硬度と有意に相関し、したがって、高い圧縮力により、典型的には、得られた第2のモジュールの硬度が増加する。第2のモジュールの硬度を調整することにより、崩壊時間も影響を受ける可能性があり、したがって、硬度が低下すると、典型的には、崩壊時間が短くなる。ここで、多くの組成物について、正しい圧縮力を加えることにより、経口投与時に60秒未満の崩壊時間を達成することができるが、圧縮力が高すぎると、崩壊時間がより長くなり、60秒を超える場合があることが観察されている。これに関して、閾値圧縮力は、崩壊剤の全体的な組成、含有量及びタイプ等の他のパラメータに応じて、大幅に変化する場合があることが留意される。例えば、ある特定のセットアップにより崩壊が非常に遅くなる場合、調整の更なる方法は、通常の崩壊剤を超崩壊剤で置き換えること、すなわち、より効率的な方法で崩壊を促進することであり得る。
【0185】
典型的には、FDTモジュールの製剤は、バルク甘味料、充填剤、即時使用システム、香料、乾式結合剤、崩壊剤、以下、超崩壊剤、打錠補助剤、固化防止剤、乳化剤、酸化防止剤、増強剤、吸収促進剤、緩衝剤、高甘味度甘味料、着色料、流動促進剤、潤滑剤、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択される成分を含み得る。吸収促進剤は、例えば、緩衝剤等のpH調節剤、及び粘膜付着剤を含み得る。
【0186】
マンニトールを、ロゼンジモジュール及びFDTモジュールにおける糖アルコールとして使用してもよい。特に好ましいマンニトールグレードとしては、異なる平均粒径を有する、Roquette社から市販されているマンニトール100SD、マンニトール150SD又はマンニトール200SDが挙げられる。ロゼンジモジュールで使用するための他の使用可能な糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、及びイソマルトを挙げてもよい。これらのイソマルトのうち、エリスリトール、及びソルビトールが特に好ましい。FDTモジュールで使用するための他の使用可能な糖アルコールとしては、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、及びイソマルトを挙げてもよい。FDTモジュールの崩壊剤は、例えば、デンプンベースの崩壊剤である。本発明の実施形態において、崩壊剤は、即時使用システム、例えば、およそ17質量%の崩壊剤を含むマンニトールベースの製品であるRoquette社製のPearlitol Flash、の一部として供給され得る。他の使用可能な即時使用システムの例としては、例えば、Pharmaburst 500(SPI Pharma社)、Ludiflash(BASF社)、ProSolv(JRS Pharma社)、ProSolv EasyTab(JRS Pharma社)、F-Melt(Fuji Chemical社)、SmartEx50又はSmartEx100(Shin Etsu/Harke Pharma社)、が挙げられる。
【0187】
およそ17質量%のデンプン崩壊剤を含むPearlitol Flashが使用される。他の使用可能な即時使用システムの例としては、例えば、Pharmaburst 500(SPI Pharma社)、Ludiflash(BASF社)、ProSolv(JRS Pharma社)、ProSolv EasyTab(JRS Pharma社)、F-Melt(Fuji Chemical社)、SmartEx50又はSmartEx100(Shin Etsu/Harke Pharma社)、が挙げられる。
【0188】
好ましい高甘味度甘味料(HIS)は、例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、及びそれらの混合物である。他の高甘味度甘味料、例として、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等のアセスルファムの塩、アリテーム、サッカリン及びその塩、シクラミン酸及びその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリン、ステビオも、単独又は組合せで、本発明の範囲内において使用可能である。
【0189】
メントール、ペパーミント、及びそれらの混合物を、香料として上記の製剤に使用してもよい。他の香料もまた、本発明の範囲内で使用してもよい。
【0190】
炭酸ナトリウムは、緩衝液として使用してもよい。更に使用可能な緩衝液としては、モノカーボネート、重炭酸塩及びセスキ炭酸塩を含む他の炭酸塩、グリセリン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、アルカリ金属のグリコール酸塩若しくはクエン酸塩、アンモニウム、トリス緩衝液、アミノ酸、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0191】
上記では、MgSt(ステアリン酸マグネシウム)が潤滑剤として使用されている。フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumerate)等の他の潤滑剤もまた、本発明の範囲内で使用可能であり得る。
【0192】
本発明の実施形態によれば、乳化剤は、脂肪酸のスクロースエステル(例えば、モノステアリン酸スクロース)、ポリエチレングリコールエステル又はエーテル(PEG)(カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド及びラウロイルマクロゴール-32-グリセリド等)、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド(モノステアリン酸グリセロール、モノラウリン酸グリセロール、ベヘン酸グリセリルエステル等)、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリドの酢酸エステル(Acetem)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、ラクチル化モノグリセリド、グリセロリン脂質(レシチン等)、ポロキサマー(エチレンオキシドとプロピレンオキシドの非イオン性ブロックコポリマー)、シクロデキストリン、ソルビトールの脂肪酸エステル(モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート等)からなる群から選択され得る。自己乳化性乳化剤は、リン脂質(レシチン)、ポリソルベート(ポリソルベート80)であり得る。
【0193】
SEDDS(自己乳化性薬物送達システム)は、自己乳化剤、1種又は複数種のカンナビノイド、油(カンナビノイドを溶解するため)、及び界面活性剤からなる液体又はゲルで充填されたハード又はソフトカプセルからなっていてもよい。SEDDSは、自己乳化剤、1種又は複数種のカンナビノイド、油(カンナビノイドを溶解するため)、及び界面活性剤のブレンド又は混合物を含んでもよい。SEDDSは、自己乳化剤、1種又は複数種のカンナビノイド、油(カンナビノイドを溶解するため)、及び界面活性剤を含む顆粒を含んでもよい。胃液と接触すると、SEDDSは、界面活性剤の存在により自発的に乳化する。しかし、多くの界面活性剤は脂質ベースであり、GIT(消化管)内でリパーゼと相互作用する。これは、1種又は複数種のカンナビノイド並びに油担体を乳化する脂質ベースの界面活性剤の能力を低下させる可能性があり、いずれもバイオアベイラビリティを低下させる。
【0194】
本文脈において、SEDDSは、油相、界面活性剤、及び任意選択により共界面活性剤を含む固体又は液体剤形であり、主に、前記剤形が口腔内又は室温(一般に、体温、すなわち37℃を指す)で、穏やかに攪拌しながら自発的に水中油型エマルションを形成することができることを特徴とする。SEDDSが口腔内に入ると、最初にエマルション液滴として自己乳化され、口腔全体に急速に分散するため、薬物が口腔の粘膜に直接接触することによって引き起こされる刺激が軽減される。口腔内では、エマルション微粒子の構造が変化するか又は破壊される。得られたマイクロメートル又はナノメートルレベルの微粒子は、口腔の粘膜に浸透する可能性があり、消化された油滴は血液循環に入り、それによって薬物のバイオアベイラビリティが大幅に改善される。
【0195】
特にSEDDSに関して、本発明の製剤は、カンナビノイドのより高い装填を可能にすると同時に、使用中の製剤の官能特性を改善させる、いくつかの明確な利点を提供し得る。他の利点も存在する。先行技術の製剤と比較して、1種又は複数種のカンナビノイドが会合している成分と1種又は複数種の糖アルコール粒子を含む組成物との組合せは、カンナビノイドの装填及びオフノートの減少等の官能特性の改善の両方に関して本発明の利点を提供すると考えられる。
【0196】
本発明のある実施形態において、1種又は複数種の自己乳化剤は、PEG-35ヒマシ油、PEG-6オレオイルグリセリド、PEG-6リノレオイルグリセリド、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(20)モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(60)モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(80)モノオレイン酸ソルビタン、ラウロイルポロキシル-32グリセリド、ステアロイルポリオキシル-32グリセリド、ポリオキシル-32ステアレート、モノラウリン酸プロピレングリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、並びにそれらの混合物及び組合せからなる群から選択される。
【0197】
本発明の実施形態によれば、香料は、ココナッツ、コーヒー、チョコレート、バニラ、グレープフルーツ、オレンジ、ライム、メントール、リコリス、カラメルアロマ、ハニーアロマ、ピーナッツ、クルミ、カシュー、ヘーゼルナッツ、アーモンド類、パイナップル、ストロベリー、ラズベリー、トロピカルフルーツ、チェリー類、シナモン、ペパーミント、ウィンターグリーン、スペアミント、ユーカリ及びミント、アップルエッセンス、ペアエッセンス、ピーチエッセンス、ストロベリーエッセンス、アプリコットエッセンス、ラズベリーエッセンス、チェリーエッセンス、パイナップルエッセンス及びプラムエッセンスから等の果実エッセンスからなる群から選択されてもよい。精油には、ペパーミント、スペアミント、メントール、ユーカリ、クローブ油、ベイ油、アニス、タイム、セダーリーフ油、ナツメグ、及び上述の果実の油が含まれる。
【0198】
石油ワックスは、錠剤組成物から作製された錠剤製剤のキュアリングを助けると共に、貯蔵寿命及び食感を改善する。ワックス結晶サイズは、香料の放出に影響する。iso-アルカンが多いワックスは、ノルマル-アルカンが多いワックス、特に炭素数30未満のノルマル-アルカンを含むものよりも小さい結晶サイズを有する。結晶サイズがより小さければ、香料のより遅い放出が可能になり、その理由は、このワックスからの香料の漏れには、より大きい結晶サイズを有するワックスに対して障害がより多く存在するからである。
【0199】
石油ワックス(精製パラフィン及びマイクロクリスタリンワックス)及びパラフィンワックスは、主に直鎖ノルマル-アルカン及び分岐鎖iso-アルカンから構成される。ノルマル-アルカンのiso-アルカンに対する比は様々である。
【0200】
微結晶性セルロースは、FMC社から市販されているAvicel PH-101、Avicel PH-102、又はAvicelPH-105等の種々のグレードで適用することができる。
【0201】
酸化防止剤は、錠剤組成物、完成錠剤組成物、又は脂肪及び香味油を含むそれらのそれぞれの成分の貯蔵寿命及び保存を延ばす。
【0202】
錠剤組成物における使用に好適な酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ベータカロチン類、トコフェロール類、ビタミンC(アスコルビン酸又は対応する塩(アスコルビン酸塩))等の酸味料、没食子酸プロピル、カテキン類、それらの他の合成型及び天然型又は混合物が挙げられる。
【0203】
本発明による錠剤組成物に含まれてよい更なる錠剤組成物成分には、界面活性剤及び/又は可溶化剤が含まれる。本発明による錠剤組成物中の可溶化剤として使用される界面活性剤のタイプの例として、H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfstoffe fuer Pharmacie, Kosmetik und Angrenzende Gebiete、63~64頁(1981)及び各国の承認済み食品乳化剤のリストが参照される。
【0204】
アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性可溶化剤を使用することができる。好適な可溶化剤としては、レシチン、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸塩、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のサッカロースエステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、エステル交換ヒマシ油酸のポリグリセロールエステル(E476)、ナトリウムステアロイルラチレート(sodium stearoyllatylate)、ラウリル硫酸ナトリウム及び脂肪酸のソルビタンエステル及びポリオキシエチル化水素化ヒマシ油(例えば、商品名CREMOPHORで販売されている製品)、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー(例えば、商品名PLURONIC(登録商標)及びPOLOXAMERで販売されている製品)、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸のソルビタンエステル及びポリオキシエチレンステラリン酸(steraric acid)エステルが挙げられる。
【0205】
特に好適な可溶化剤は、ステアリン酸ポリオキシエチレン、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン(8)及びステアリン酸ポリオキシエチレン(40)、商品名TWEEN(登録商標)で販売されているポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばTWEEN 20(モノラウレート)、TWEEN 80(モノオレエート)、TWEEN 40(モノパルミテート)、TWEEN 60(モノステアレート)又はTWEEN 65(トリステアレート)、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル、食用脂肪酸のモノ及びジグリセリドのクエン酸エステル、ナトリウムステアロイルラチレート(sodium stearoyllatylate)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチル化水素化ヒマシ油、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー並びにポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル等である。可溶化剤は、単一化合物又はいくつかの化合物の組合せのいずれかであってもよい。含まれる1種又は複数種のカンナビノイド等の活性成分の存在下で、錠剤組成物は、好ましくは、錠剤組成物及び活性成分の技術分野において既知の担体も含んでもよい。Poloxamer F68は、更なる非常に好適な可溶化剤である。
【0206】
高甘味度人工甘味料も、本発明の好ましい実施形態に従って使用することができる。好ましい高甘味度甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムの塩、アリテーム、ネオテーム、サッカリン及びその塩、シクラミン酸及びその塩、グリチルリチン、ジヒドロカルコン類、タウマチン、モネリン、モンクフルーツ抽出物、アドバンテーム、ステビオシド等が、単独又は組合せで挙げられるが、これらに限定されない。
【0207】
より長く持続する甘味及び香味知覚をもたらすために、人工甘味料の少なくとも一部をカプセル化する、或いはその放出を制御することが望ましい場合がある。
【0208】
所望の放出特性を達成するために、湿式造粒、ワックス造粒、噴霧乾燥、噴霧冷却、流動層コーティング、コンサベーション(conservation)、酵母細胞内のカプセル化及び繊維押出等の技法が使用されてもよい。甘味料のカプセル化は、樹脂性化合物等の別の錠剤成分を使用して実現することもできる。
【0209】
高甘味度甘味料の使用濃度はかなり変化し、甘味料の強さ、放出率、製品の所望の甘味、使用される香料の濃度及びタイプ並びにコスト考慮等の要因に依存することになる。したがって、人工甘味料の活性濃度は、約0.001~約8質量%(好ましくは約0.02~約8質量%)で変化し得る。カプセル化のために使用された担体が含まれるとき、カプセル化高甘味度甘味料の使用濃度は比例してより高くなる。
【0210】
所望であれば、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、粉砕石灰石、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩化合物、カオリン及びクレイ、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク、酸化チタン、モノ-、ジ-及びトリ-カルシウムホスフェート、木材等のセルロースポリマー、並びにそれらの組合せを例として含む1種又は複数種の充填剤/テクスチャライザー(texturizer)を含んでもよい。本発明のある実施形態によれば、1つの好ましい充填剤/テクスチャライザーは炭酸カルシウムである。
【0211】
当技術分野内で周知のいくつかの錠剤組成物が、本発明の範囲内で適用されてもよい。このような成分としては、ワックス、脂肪、軟化剤、充填剤、バルク甘味料、香料、酸化防止剤、乳化剤、着色剤、結合剤及び酸味料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
本発明のある実施形態において、水溶性成分は、少なくとも1種の糖アルコールを含む。少なくとも1種の糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、イソマルト、エリスリトール、ラクチトール、マルトデキストリン、水素化デンプン加水分解物及びそれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0213】
本発明の一態様において、本発明の糖アルコールは、デキストロース、スクロース、マルトース、フルクトース、ラクトース、及びそれらの組合せからなる群から選択される糖等の1種又は複数種の糖で置き換えることができる。
【0214】
砂糖甘味料には一般的に、スクロース、デキストロース、マルトース、サッカロース、ラクトース、ソルボース、デキストリン、トレハロース、D-タガトース、乾燥転化糖、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コムシロップ固形物、グルコースシロップ、水素化グルコースシロップ等が、単独又は組合せで含まれるが、これらに限定されない。これらの砂糖甘味料は、保湿剤として含まれる場合もある。
【0215】
本発明による錠剤は、好適な圧縮手段によってある含有量の粒子に圧力を加えることによって製造される。次に、粒子又は粉末をプレスして、緻密な凝集性錠剤にする。粒子は、例えば、いわゆる一次粒子又は凝集一次粒子を含み得る。これらをプレスすると、粒子又は顆粒の間に結合が確立され、それによってプレスされた錠剤にある一定の機械的強度が与えられる。
【0216】
上記で紹介した用語:粉末、一次粒子、及び凝集一次粒子は、一次粒子と凝集一次粒子の違いは、非常に多くの場合、使用者の背景に応じて異なって見られるという意味で、多少誤解を招く場合があることに注意すべきである。例えば、顧客に送達されるときにソルビトールに対して実行される典型的な前処理によるソルビトールは、ある種の凝集一次粒子と見なされるべきであるという事実にもかかわらず、一部の使用者は、ソルビトール等の甘味料を一次粒子と見なすことがあり得る。本発明の説明において採用された定義は、凝集一次粒子が、多かれ少なかれ前処理された一次粒子を含むマクロ粒子を指すということである。
【0217】
粒子に圧力を加えると、かさ体積が減少し、空気の量が減少する。このプロセス中にエネルギーが消費される。体積減少プロセス中に粒子が互いにより接近するにつれて、粒子又は顆粒の間に結合が確立され得る。結合の形成は、エネルギーが放出されるときのシステムのエネルギーの減少に関連している。体積減少は種々の機構によって起こり、加えられる圧力及び粒子又は顆粒の特性に応じて、粒子又は顆粒の間に異なるタイプの結合が確立され得る。粉末がプレスされたときに最初に起こることは、粒子が低い圧縮圧力下で再配列されて、より緊密な充填構造を形成することである。規則的な形状の粒子は、不規則な形状の粒子より容易に再配列を経るように見える。圧力が増加すると、更なる再配列が防止され、その後の体積減少は、錠剤粒子の塑性及び弾性変形及び/又は断片化によって得られる。脆性粒子は、断片化する、すなわち元の粒子がより小さな単位に破壊される可能性が高い。塑性変形は不可逆プロセスであり、粒子形状が恒久的に変化するが、弾性変形後には、粒子は元の形状に戻る。明らかに、錠剤組成物を圧縮すると、塑性変形と弾性変形の両方が発生する場合がある。
【0218】
本発明の方法により、単層錠剤又は2層錠剤又は3層錠剤等の多層錠剤を形成することが可能である。
【0219】
プレスされた錠剤の結合タイプのいくつかの研究は、典型的には医薬品との関係において、何年にもわたって行われ、利用可能な粉末に基づいてプレスされた錠剤を得るいくつかの技術が提供されてきた。このような研究は、体積減少が実行されたときに何が起こるかということ、及び最終製品が所与の目的のためにどのように最適化され得るかということにかなり焦点を合わせてきた。プレスされた錠剤に関していくつかの改良が、例えば、放出に関して、許容される特性を維持しながら最終的なプレスされた錠剤に十分な強度を得る目的で、例えば錠剤原料に結合剤を加えることでなされてきた。
【0220】
本発明によれば、本発明による打錠錠剤組成物は、錠剤組成物中心に適用された約0.1~約75質量%の外部コーティングを含み得る。したがって、好適なコーティングタイプには、打錠錠剤組成物のコーティングにおいて現在使用されるものを含む任意の組成物のハードコーティング、フィルムコーティング及びソフトコーティングが含まれる。
【0221】
1つの本発明に好ましい外部コーティングタイプはハードコーティングであり、この用語は、糖コーティング及び糖非含有(又は無糖の)コーティング並びにそれらの組合せを含むその用語の従来の意味で使用される。ハードコーティングの目的は、消費者により理解される甘いクランチー(crunchy)層を得ることであり、ハードコーティングは、種々の理由で錠剤組成物中心を更に保護することができる。錠剤組成物中心に保護糖コーティングを施す典型的なプロセスにおいて、錠剤組成物中心は、好適なコーティング装置内で、スクロース又はデキストロース等の結晶性糖の水性溶液で連続的に処理され、これは、到達したコーティングの段階に応じて、他の機能性成分、例えば充填剤、結合剤、着色料等を含有してもよい。本文脈において、糖コーティングは、香料化合物及び/若しくは活性化合物を含む更なる機能性又は活性化合物を含有してもよい。
【0222】
以下に詳細に説明するように典型的なハードコーティングプロセスにおいて、結晶性糖及び/又はポリオールを含む懸濁液は、錠剤組成物中心の上に適用され、含まれる水は、空気でブローすることにより蒸発させる。このサイクルは、必要な膨張に達するために、数回、典型的には3~80回繰り返されなければならない。「膨張」という用語は、コーティング操作の最後に最初と比較して考慮される、コーティング製品の最終質量又は厚さに対する、製品の質量又は厚さの増加を指す。本発明によれば、コーティング層は、完成錠剤組成物要素の約0.1~約75質量%、例として約15~約50質量%を含む約10~約60質量%を構成する。
【0223】
更なる有用な実施形態において、本発明の錠剤組成物要素の外部コーティングは、フィルムコーティングプロセスが施される要素であり、したがって、1種又は複数種のフィルム形成ポリマー剤及び任意選択により1種又は複数種の補助化合物、例えば可塑剤、顔料及び乳白剤を含む要素である。フィルムコーティングは、上記の形態のいずれかの錠剤組成物中心に適用された薄いポリマーベースのコーティングである。このようなコーティングの厚さは、通常20~100μmの間である。
【0224】
一般に、フィルムコーティングは、好適な水性又は有機溶媒ビヒクル中のコーティング材料の霧化された液滴を含む噴霧ゾーンに錠剤組成物中心を通すことによって得られ、この後、錠剤組成物中心に接着している材料を、コーティングの次の部分が受け入れられる前に乾燥させる。このサイクルは、コーティングが完了するまで繰り返される。
【0225】
本文脈において、好適なフィルムコーティングポリマーとしては、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むセルロースエーテル等の食用セルロース誘導体が含まれる。他の有用なフィルムコーティング剤は、アクリルポリマー及びコポリマー、例えば、メチルアクリレートアミノエステルコポリマー又はセルロース誘導体及びアクリルポリマーの混合物である。官能性ポリマーとも呼ばれる特定の群のフィルムコーティングポリマーは、そのフィルム形成特性に加えて、錠剤組成物製剤の活性成分に関して修飾された放出性能を与えるポリマーである。このような放出修飾ポリマーとしては、メチルアクリレートエステルコポリマー、エチルセルロース(EC)、及び酸性の胃環境に耐えるよう設計された腸溶性ポリマーが挙げられる。ポリマーの後者の群としては、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、シェラック、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)及びHPMCが挙げられる。本発明による外部フィルムコーティングは、上記のフィルムコーティングポリマーの任意の組合せを含んでもよいことを理解されたい。
【0226】
本発明によれば、1種又は複数種のカンナビノイドは、種々のカンナビノイドから選択されてもよい。
【0227】
「カンナビノイド」は、エンドカンナビノイド、フィトカンナビノイド、及びエンドカンナビノイドでもフィトカンナビノイドでもないもの、すなわち以下「シントカンナビノイド」を含む化合物の群である。
【0228】
「エンドカンナビノイド」は内因性カンナビノイドであり、CB1及びCB2受容体の高親和性リガンドを有し得る。
【0229】
「フィトカンナビノイド」は、天然に由来し、大麻植物に見出すことができるカンナビノイドである。フィトカンナビノイドは、植物性薬物物質を含む抽出物中に存在することができ、単離することができ、又は合成的に再生成することができる。
【0230】
「シントカンナビノイド」は、カンナビノイド受容体(CB1及び/又はCB2)と相互作用することができる化合物であるが、内因的に、又は大麻植物中に見出されない。例には、WIN 55212及びリモナバンが含まれる。
【0231】
「単離フィトカンナビノイド」は、大麻植物から抽出され、二次的で少量のカンナビノイド及び非カンナビノイド画分等の余分な成分が実質的に除去される程度まで精製されたものである。
【0232】
「合成カンナビノイド」は、化学合成により生成されたものである。この用語は、単離フィトカンナビノイドを、例えばその薬学的に許容される塩を形成することにより改変することを含む。
【0233】
「実質的に純粋な」カンナビノイドは、純度95%(w/w)超、より好ましくは96%(w/w)超~97%(w/w)~98%(w/w)~99%(w/w)以上で存在するカンナビノイドと定義される。
【0234】
「高度に精製された」カンナビノイドは、大麻植物から抽出され、高度に精製されたカンナビノイドが純度95%(w/w)以上になるようにカンナビノイドと共抽出される他のカンナビノイド及び非カンナビノイド成分が実質的に除去される程度まで精製されたカンナビノイドと定義される。
【0235】
「植物材料」は、植物又は植物部分(例えば樹皮、木材、葉、茎、根、花、果実、種、液果又はそれらの部分)並びに滲出物と定義され、Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、2000年8月、US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research中の「植物性原材料」の定義内に入る材料を含む。
【0236】
本出願の文脈において、互換的に使用される「カンナビノイド抽出物」又は「カンナビノイドの抽出物」という用語は、大麻植物材料に由来する「植物性薬物物質」を包含する。植物性薬物物質は、Guidance for Industry Botanical Drug Products Draft Guidance、2000年8月、US Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration Centre for Drug Evaluation and Researchに、「1種又は複数種の植物、藻類、又は巨視的な菌類に由来する薬物物質。これは、以下のプロセスのうちの1つ又は複数により植物性原材料から調製される:粉砕、煎出、圧搾、水性抽出、エタノール性抽出、又は他の同様のプロセス」と定義されている。植物性薬物物質は、天然源に由来する高度に精製又は化学修飾された物質を含まない。したがって、大麻の場合、大麻植物に由来する「植物性薬物物質」は、高度に精製された薬局方グレードのカンナビノイドを含まない。
【0237】
「大麻植物」という用語は、野生型カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)並びに異なる量の個々のカンナビノイドを天然に含有する大麻化学変種を含む野生型カンナビス・サティバの変種、変種インディカ(var. indica)及び変種カフィリスタニカ(var. kafiristanica)の変種を含むカンナビス・サティバ亜種インディカ、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、カンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)並びに遺伝的交雑、自己交雑又はそれらのハイブリッドの結果である植物も包含する。したがって、「大麻植物材料」という用語は、1種又は複数種の大麻植物に由来する植物材料を包含すると解釈されるべきである。誤解を避けるために、「大麻植物材料」は乾燥大麻バイオマスを含むことがここに記載される。
【0238】
好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドは、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCV)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールプロピル変種(CBGV)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビノール(CBN)、カンナビノールプロピル変種(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)から選択される。より好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドは、CBD又はTHCである。このリストは網羅的ではなく、参考のために本出願に示されたカンナビノイドを単に詳述するものである。
【0239】
これまで、120種を超える様々なフィトカンナビノイドが同定されており、これらは本発明の範囲内である。
【0240】
カンナビノイドは、以下の異なる群:フィトカンナビノイド、エンドカンナビノイド及び合成カンナビノイドに分けることができる。
【0241】
カンナビノイド受容体は、本発明の目的において、本明細書においてそのように明示的に表されているか否かに関わらず、エンドカンナビノイド(哺乳類細胞により内因的に産生される);フィトカンナビノイド(大麻植物により産生される、カンナビジオール等);及び合成カンナビノイド(HU-210等)とそれぞれ分類される、本質的に親油性である3つの主な群のアゴニストリガンドにより活性化することができる。
【0242】
フィトカンナビノイドは、カンナビノイドを抽出するために使用される方法に応じて、中性カルボン酸の形態又は脱カルボキシル化された形態のいずれかとして見出すことができる。例えば、カルボン酸の形態を加熱すると、カルボン酸の形態の大部分を脱カルボキシル化させることになることが既知である。
【0243】
フィトカンナビノイドは、ペンチル(5個の炭素原子)又はプロピル(3個の炭素原子)変種のいずれかとしても存在し得る。例えば、フィトカンナビノイドTHCはCB1受容体アゴニストであることが既知であり、一方、プロピル変種THCVはCB1受容体アンタゴニストであることが発見されており、これがほぼ反対の作用を有することを意味する。
【0244】
本発明によれば、フィトカンナビノイドの例は、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCV)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールプロピル変種(CBGV)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビノール(CBN)、カンナビノールプロピル変種(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)であり得る。より好ましくは、1種又は複数種のカンナビノイドは、CBD又はTHCである。
【0245】
本発明による製剤はまた、A. Douglas Kinghornら、Phytocannabinoids、第103巻、第1章、1~30頁に開示されたものから選択された少なくとも1種のカンナビノイドを含んでもよい。
【0246】
エンドカンナビノイドの例は、体内でカンナビノイド受容体を活性化する分子である。例としては、2-アラキドニルグリセロール(2AG)、2-アラキドニルグリセリルエーテル(2AGE)、アラキドニルドーパミン及びアラキドニルエタノールアミド(アナンダミド)が挙げられる。同様の構造的特徴を共有し、しかし、カンナビノイド受容体に対して弱い活性を示すか、又は活性を示さないが、同じくエンドカンナビノイドと呼ばれる構造的に関連する内因性分子が同定されている。これらのエンドカンナビノイド脂質の例としては、2-アシルグリセロール類、アルキル又はアルケニルグリセリルエーテル、アシルドーパミン類、及び代替の脂肪酸又はアルコール部分を含むN-アシルエタノールアミド類、並びに様々な頭部基を含有する他の脂肪酸アミドが挙げられる。これらには、N-アシルセリン類並びに多くの他のN-アシル化アミノ酸が含まれる。カンナビノイド受容体アゴニストの例は神経調節性であり、短期記憶、食欲、ストレス応答、不安、免疫機能及び無痛覚に影響する。
【0247】
一実施形態において、カンナビノイドは、核因子アゴニストのクラスに属する内因性脂肪酸アミドであるパルミトイルエタノールアミド(PEA)である。
【0248】
合成カンナビノイドは、様々な別個の化学的分類:THCに構造的に関連するカンナビノイド、THCに関連しないカンナビノイド、例として、アミノアルキルインドール、1,5-ジアリールピラゾール、キノリン類及びアリールスルホンアミドを含む(カンナビミメティクス(cannabimimetics))、並びにエンドカンナビノイドに関連するエイコサノイドを包含する。これらのカンナビノイドのすべて又はいずれかを本発明において使用することができる。
【0249】
製剤が1種又は2種の主要なカンナビノイドを含むことが好ましく、これらは、カンナビジオール(CBD)又はカンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビゲロール(CBG)及びカンナビジオール酸(CBDA)又はそれらの組合せからなる群から好ましくは選択される。製剤がカンナビジオール及び/又はテトラヒドロカンナビノールを含むことが好ましい。
【0250】
好ましくは、本発明の錠剤組成物は、疼痛、てんかん、がん、悪心、炎症、先天性障害、神経障害、経口感染、歯痛、睡眠時無呼吸、精神障害、胃腸障害、炎症性腸疾患、食欲喪失、糖尿病及び線維筋痛症の処置又は緩和のために使用されてもよい。
【0251】
本発明の更なる態様において、経口カンナビノイド製剤は、神経保護薬又は抗痙攣薬の投与を必要とする状態の処置における使用に好適である。
【0252】
経口カンナビノイド製剤は、発作の処置における使用のためのものであってもよい。
【0253】
経口カンナビノイド製剤は、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ミオクローヌス発作、若年性ミオクローヌスてんかん、難治性てんかん、統合失調症、若年性けいれん、ウエスト症候群、乳児けいれん、難治性乳児けいれん、結節性硬化症複合、脳腫瘍、神経障害性疼痛、大麻使用障害、外傷後ストレス障害、不安、早期精神病、アルツハイマー病及び自閉症の処置における使用のためのものであってもよい。
【0254】
以下の非限定的な例は、本発明の様々な変形を示す。これらの例は本発明の概念を示すためのものであり、したがって、述べられる例は、現在のところ網羅的なものと理解されるべきではない。特に、CBDが例示的な化合物として使用されるが、別のカンナビノイドであってもよい。
【実施例
【0255】
(実施例1)
50%CBD抽出物を含む成分
CBDepot社により供給された含有量50%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号CSFF 2018/5)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、カンナビノイドの他に、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、1種又は複数種の糖アルコール粒子の上に、抽出物を薄層として適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール粒子中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0256】
(実施例1A)
糖アルコール粒子との予備混合なしの50%CBD抽出物
CBDepot社により供給された含有量50%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号CSFF 2018/5)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、カンナビノイドの他に、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。この実施例では、抽出物を、糖アルコール粒子との予備混合物として適用しなかった。
【0257】
(実施例2)
10%CBD抽出物を含む成分
Medical Hemp社により供給された含有量10%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号MH131B Gold)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、カンナビノイドの他に、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、1種又は複数種の糖アルコール粒子の上に、抽出物を薄層として適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール粒子中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0258】
(実施例3)
溶媒を伴うCBD単離物を含む成分
Medical Hemp社により供給された含有量98.5%のCBDを含む大麻植物組織からのCBD単離物(フィトカンナビノイド)(バッチ番号MH18212)を、96%エタノール溶液中に溶解した。CBD単離物とエタノールの間の比は、1:1であった。CBDがエタノール中に溶解したら、CBD単離物を1種又は複数種の糖アルコール粒子との予備混合物で適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール粒子中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0259】
(実施例4)
溶媒を伴わないCBD単離物を含む成分
Medical Hemp社により供給された含有量98.5%のCBDを含む大麻植物組織からのCBD単離物(フィトカンナビノイド)(バッチ番号MH18212)を、遊離粉末として加え、1種又は複数種の糖アルコール粒子と混合した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール粒子中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0260】
(実施例4A)
溶媒を伴わず、糖アルコール粒子との予備混合も伴わないCBD単離物
Medical Hemp社により供給された含有量98.5%のCBDを含む大麻植物組織からのCBD単離物(フィトカンナビノイド)(バッチ番号MH18212)を、遊離粉末として加えた。この実施例では、CBD粉末を、糖アルコール粒子との予備混合物として適用しなかった。
【0261】
(実施例4B)
糖アルコール粒子との予備混合を伴わない水溶性CBD
水溶性CBD、すなわち、20%CBD(Hemp&Me社からのマイクロカプセル化グレード)を装填した水溶性担体材料を、遊離粉末として加えた。この実施例では、CBD粉末を、糖アルコール粒子との予備混合物として適用しなかった。
【0262】
(実施例4C)
糖アルコール粒子との予備混合を伴わないパルミトイルエタノールアミド(PEA)
含有量98%のPEAを含むパルミトイルエタノールアミド(PEA)単離物(Engredo APS社からのOptiPEA WSL)を遊離粉末として加えた。この実施例では、カンナビノイド粉末を、糖アルコール粒子との予備混合物として適用しなかった。
【0263】
(実施例5)
微結晶性セルロースを含む成分
CBDepot社により供給された含有量50%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号CSFF 2018/5)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、カンナビノイドの他に、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、抽出物を、微結晶性セルロース(MCC)上に薄層として適用した。CBDがMCCに均一に分布するまで混合を行った。任意選択により、CBD-MCC予備混合物を、1種又は複数種の糖アルコール粒子と更に混合することができる。混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0264】
(実施例6)
二酸化ケイ素担体を含む成分
CBDepot社により供給された含有量50%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号CSFF 2018/5)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、カンナビノイドの他に、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、抽出物を、二酸化ケイ素(SiO2)上に薄層として適用した。CBDがSiO2に均一に分布するまで混合を行った。任意選択により、CBD-SiO2予備混合物を、1種又は複数種の糖アルコール粒子と更に混合することができる。混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0265】
(実施例7)
過多孔性シリカマグネシウム-アルミノ-メタシリケートを含む成分
CBDepot社により供給された含有量50%のCBDを含むCBD抽出物(バッチ番号CSFF 2018/5)を、抽出物が液体状になるまで、およそ60℃までおよそ0.5~1時間予熱した。抽出物は、カンナビノイドの他に、ある含有量の脂肪酸、グリセロール、ワックス、テルペン及びフラボノイドを有していた。予熱プロセスの後、抽出物を、過多孔性シリカマグネシウム-アルミノ-メタシリケート上に薄層として適用した。CBDが過多孔性シリカマグネシウム-アルミノ-メタシリケートに均一に分布するまで混合を行った。任意選択により、CBD-過多孔性シリカマグネシウム-アルミノ-メタシリケート予備混合物を、1種又は複数種の糖アルコール粒子と更に混合することができる。混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0266】
(実施例8)
乳化剤及び油によるカンナビノイド成分の調製
Labrafil M 1944 CSとMaisine CC(1:1)の溶液を混合した。実施例3からのCBD単離物又は実施例1からのCBD抽出物を加え、ボルテックスミキサーを使用して、溶液中に溶解して33%のCBD溶液を得た。CBDを含む溶液を、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0267】
(実施例9)
乳化剤、油及び共溶媒によるカンナビノイド成分の調製
60%のLabrafac親油性WL1349と25%のLabrasolと15%のプロピレングリコールの溶液を混合した。実施例3からのCBD単離物又は実施例1からのCBD抽出物を加え、ボルテックスミキサーを使用して溶液中に溶解して、33%のCBD溶液を得た。CBDを含む溶液を、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0268】
(実施例10)
固体可溶化剤によるカンナビノイド成分の調製
Gelucire 50/13をおよそ60℃で溶融し、実施例3からのCBD単離物又は実施例1からのCBD抽出物を加え、ボルテックスミキサーを使用して溶融溶液中に溶解して、50%のCBD溶液を得た。CBDを含む溶液を、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0269】
(実施例11)
乳化剤及び共溶媒によるカンナビノイド成分の調製
実施例1からのCBD抽出物を60℃で、それが液体状になるまで予熱し、次いで、プロピレングリコール中に溶解した。Labrasol ALFを加え、ボルテックスミキサーを使用して、17%のCBD溶液を得た。CBDを含む溶液を、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で適用した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0270】
(実施例12)
両親媒性ポリマー担体を用いたカンナビノイド成分の調製
実施例1からのCBD抽出物を60℃で、それが液体状になるまで予熱した。予熱プロセスの後、抽出物をSoluplus(BASF社が提供するグラフトコポリマー)との予備混合物で適用し、予備混合物が均一になるまで混合して、12.5%のCBD予備混合物を得た。次に、予備混合物を、1種又は複数種の糖アルコールと更に混合した。CBDが1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0271】
(実施例13)
シクロデキストリン及び乳化剤によるカンナビノイド成分の調製
実施例3からのCBD単離物を加え、ポリソルベート80に溶解して、10%のCBD溶液を得た。10%のCBD溶液をゆっくりと加え、4%シクロデキストリンを含む溶液に混合して、CBD-シクロデキストリン複合体を形成した。水を除去し、次に複合体を、1種又は複数種の糖アルコールとの予備混合物で適用した。CBD-シクロデキストリン複合体が1種又は複数種の糖アルコール中に均一に分布するまで混合した後、混合物を1400ミクロンの篩に通して篩分けした。
【0272】
(実施例14)
A:1層を有する速崩壊錠剤(FDT)の調製
実施例1~13のいずれか1つからのカンナビノイド成分及びFDT成分を約7~9rpmで混合容器内でブレンドし、粒子の自由流動特性を改善し、粘着性を回避するために、任意選択で加工助剤を装填した。
【0273】
第1の工程では、FDT成分の半分を混合容器に加えた。高甘味度甘味料(HIS)、香料、及びカンナビノイド成分を容器に加え、その後、FDT成分の残りの半分を加えた。任意選択により、カンナビノイドの予備混合物を適用した。混合物を7~9rpmで10分間振盪させた。加工助剤を加え、混合物を7~9rpmで更に2分間振盪させた。その後、混合物は打錠の準備ができた。
【0274】
FDT成分には、マンニトール粒子等の糖アルコール粒子が含まれる。
【0275】
実施例に従って適用されたマンニトールは、異なる平均粒径を有する、Roquette社から市販されているマンニトール200 SDであった。実施例に従って適用されたイソマルト粒子は、Beneo社から市販されているGalenIQ 720であった。実施例に従って適用された微結晶性セルロースは、FMC社から市販されているAvicel PH-105であった。FDT成分には、1種又は複数の崩壊剤も含まれる。ここでは、クロスポビドンを、BASF社から入手可能なKollidon CL-SFとして入手可能なグレードで適用した。
【0276】
続いて、混合物を、投与装置(P 3200 C、Fette GmbH社、Germanyから入手可能)を備える標準的な錠剤プレス機(3090i、Fette GmbH社から入手可能)に導き、FDT錠剤にプレスした。錠剤を、15~20kNのプレス圧を使用してプレスした。ローター上に75個のパンチがあり、使用されたローター速度は11rpmであった。個々の錠剤は、およそ150mgの質量を有していた。特に明記しない限り、FDT錠中のCBDの含有量は10mgであった。使用したパンチ:10.00mm、円形、浅い凹面、D型工具。
【0277】
B:2層を有する錠剤の調製
実施例14Aと同じ方法で調製された層が第1の層として打錠され、その後、実施例14Aの層(ここでは第2の層と示される)が、この第1に作製された層の上に打錠された。この第1の層では、成分の比率が異なっていた。2層の質量比は70対30(第1の層の第2の層に対する)であった。ここで、層1はロゼンジ層で、層2はFDT層である。個々の錠剤は、層1が350mg、層2が150mgで、およそ500mgの質量を有していた。特に明記しない限り、錠剤中のCBDの含有量は、合計で10mgであった。使用したパンチ:10.00mm、円形、浅い凹面、D型工具。次に、層1を、約3kNの圧縮力で圧縮し、その後、層2を、20kNの圧縮力で圧縮によって層1に融合させる。打錠機は、錠剤の質量及び硬度が許容基準に一致するように、充填深さ及び圧縮力を調整することによって試運転される。キャッピングを回避するために、事前圧縮力を含めることができる。
【0278】
(実施例15)
異なるCBD源を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0279】
【表1】
【0280】
(実施例16)
予備混合物の比率が異なるカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0281】
【表2】
【0282】
(実施例17)
異なる糖アルコール粒子を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0283】
【表3】
【0284】
(実施例18)
異なる崩壊剤を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0285】
【表4】
【0286】
(実施例19)
予備混合物中に微結晶性セルロース含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0287】
【表5】
【0288】
(実施例20)
異なる担体を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0289】
【表6】
【0290】
(実施例21)
異なる濃度の崩壊剤を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0291】
【表7】
【0292】
(実施例22)
異なる自己乳化性薬物送達システム(SEDDS)組成物を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤の質量%として与えられている。
【0293】
【表8】
【0294】
(実施例23)
速崩壊錠剤の調製
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。これらの実施例では、以下の条件が適用される。使用したパンチ:7.00mm、円形、浅い凹面、B型工具。錠剤質量:100.0mg。これらの実施例では、種々の成分の量は、mgとして与えられている。
【0295】
【表9】
【0296】
(実施例24)
即時使用崩壊剤を含むカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Aの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。これらの実施例では、以下の次の条件が適用される。使用したパンチ:7.00mm、円形、浅い凹面、B型工具。錠剤質量:100.0mg。これらの実施例では、種々の成分の量は、mgとして与えられている。
【0297】
速崩壊錠剤を調製する別の方法は、即時使用システムを使用することであろう。本実施例では、カンナビノイドを含まない5つの速崩壊錠剤(FDT(g)~FDT(k))を、Table10(表10)に概説されている製剤で即時使用システムにより調製する。
【0298】
【表10】
【0299】
更に、カンナビノイドを含む5つの速崩壊錠剤(FDT(l)~FDT(p))を、Table11(表11)に概説されている製剤で即時使用システムにより調製する。
【0300】
【表11】
【0301】
Table12(表12)に概説されているように、カンナビノイドを含む更に4つの速崩壊錠剤(FDT(1)~FDT(4))を、充填剤としてさまざまな量のMCC(微結晶性セルロース)を使用して調製する。
【0302】
【表12】
【0303】
Table13(表13)に概説されているように、カンナビノイドを含む4つの速崩壊錠剤(FDT(5)~FDT(8))を、さまざまな量の崩壊剤を使用して調製する。
【0304】
【表13】
【0305】
Table14(表14)に概説されているように、カンナビノイドを含む3つの速崩壊錠剤(FDT(9)~FDT(11))を、さまざまなタイプの潤滑剤を使用して調製する。
【0306】
【表14】
【0307】
Table15(表15)に概説されているように、カンナビノイドを含む3つの速崩壊錠剤(FDT(12)~FDT(14))を調製する。
【0308】
この実施例では、以下の次の条件が適用される。使用したパンチ:7.00mm、円形、浅い凹面、B型工具。錠剤質量:75.0mg。
【0309】
【表15】
【0310】
FDT(12)~FDT(13)は、15~20Nの硬度にプレスされた。FDT(14)は、25~35Nの硬度にプレスされた。
【0311】
(実施例25)
錠剤の崩壊
実施例15~24の速崩壊錠剤のインビトロ崩壊は、欧州薬局方、9.0、セクション2.9.1、Disintegration of tablets and capsulesに従って行われた。実施例23の結果をTable16(表16)に概説する。測定された崩壊の最小値及び最大値が与えられており、これは、多かれ少なかれ硬度の関数である。
【0312】
【表16】
【0313】
上記の表は、以下の例に示すように解釈するべきである。例えば、FDT(a)を見ると、21秒の最小平均崩壊時間は、14Nの最小平均硬度及び0.3%の摩損度を有する凝集性錠剤を得るのにちょうど十分な程度に強くプレスされた錠剤に対応する。同様に、24秒の最大平均崩壊時間は、63Nの最大平均硬度を有するように強くプレスされた別の錠剤に対応する。このように、0.0%の平均摩損度を有するFDT(a)の錠剤は、63Nの平均硬度を有する錠剤に対応する。換言すれば、table4(表4)では、FDT(a)は、2つの異なる圧力でプレスされた2つの異なる錠剤を指し、その関連は上に示されている。すなわち、各行は2つの異なる錠剤に対応しており、1つは崩壊時間と硬度の最小値及び摩損度の最大値、もう1つは崩壊時間と硬度の最大値及び摩損度の最小値に対応する。
【0314】
実施例24の結果をTable17(表17)に概説する。
【0315】
【表17】
【0316】
上記の表は、以下のTable16(表16)の例に示すように解釈するべきである。
【0317】
インビトロ崩壊は、開示された速崩壊錠剤間で大きく異なる場合があることが分かる。
【0318】
FDT(l)~FDT(p)の即時使用システムのいくつかについても、インビトロ試験を繰り返した。
【0319】
インビトロ崩壊は、錠剤の性能について時間及び機構を決定するための迅速な方法である。より好ましくは、又は組合せで、インビボ崩壊を測定する。インビボ崩壊時間は、舌下での錠剤の実際の崩壊の値である。Table18(表18)及びTable19(表19)は、インビボ崩壊の結果を強調している。
【0320】
【表18】
【0321】
【表19】
【0322】
Table18(表18)及びTable19(表19)は、以下のTable16(表16)の例に示すように解釈するべきである。
【0323】
FDT(l)~FDT(p)の即時使用システムのいくつかについても、インビボ試験を繰り返した。
【0324】
【表20】
【0325】
上記の表は、以下のTable16(表16)の例に示すように解釈するべきである。
【0326】
上記のインビトロ崩壊の結果について認識されているように、インビボ崩壊の速度は、開示されたバッチ間でばらつきがあり得る。崩壊時間は、崩壊の開始から60秒以内に完了するか、好ましくはより早く完了する必要がある。
【0327】
(実施例26)
2層を有するカンナビノイド錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0328】
【表21】
【0329】
(実施例27)
異なる濃度のCBDを含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0330】
【表22】
【0331】
(実施例28)
異なる濃度の超崩壊剤を含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0332】
【表23】
【0333】
(実施例29)
即時使用崩壊剤を含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0334】
【表24】
【0335】
(実施例30)
両方の層にCBDを含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0336】
【表25】
【0337】
(実施例31A)
異なる糖アルコールを含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0338】
【表26】
【0339】
(実施例31B)
異なる糖アルコールを含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。錠剤番号41~42は、それぞれ300mgの第1の層と100mgの第2の層で作製された400mgの錠剤である。錠剤番号43~48は、それぞれ350mgの第1の層と150mgの第2の層で作製された500mgの錠剤である。
【0340】
【表27】
【0341】
(実施例31C)
異なるカンナビノイド源を含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0342】
【表28A】
【0343】
【表28B】
【0344】
(実施例31D)
異なる活性成分、テルペン、及び酸化防止剤を含むカンナビノイド2層錠剤の組成
実施例14Bの手順に基づくカンナビノイド錠剤を、以下の実施例に概説される製剤を用いて作製した。すべての錠剤の例において、種々の成分の量は、錠剤層の質量%として与えられている。
【0345】
【表29A】
【0346】
【表29B】
【0347】
(実施例32)
2層錠剤の評価-錠剤番号43、47、及び48の第1の層
錠剤番号43、47及び48はそれぞれ3つのバージョンで製造され、第1の層をプレスするために使用された印加圧力は、それぞれ10kN、20kN、及び30kN(パンチ直径10.0mmの単一パンチ装置)であった。これらのバージョン各々についての5つの錠剤を作製した。錠剤43、47及び48の各バージョンについて、破断点試験、脆弱性試験、及び溶解時間測定を第1の層で実行した。破断点の測定には、Pharma Test社のPTB311を使用した。
【0348】
脆弱性試験では、生成された破砕層の数を評価した。5つすべてが無傷の場合、「合格」グレードを割り当て、一方、1つ又は複数の破砕層を破砕層の数で示している。或いは、摩損度は脆弱性の尺度として使用することができる。
【0349】
溶解時間を試験するために、以下の方法を使用した。15mLの0.02Mリン酸二水素カリウム緩衝液(pHを7.4に調整)を、スクリューキャップ付きの測定チューブ内の50mLの水に加える。錠剤を測定チューブに挿入し、スクリューキャップを固定する。測定チューブを、水平に固定化する。測定チューブを約110RPMで振動させて、錠剤が測定チューブ内を前後に移動できるようにする。問題の錠剤又はそのモジュールが完全に溶解するまで測定チューブを振動させ、振動の時間を溶解時間として記録する。
【0350】
【表30】
【0351】
Table28(表30)からわかるように、破断点試験によって、糖アルコールとしてのソルビトールに基づく第1の層を有する錠剤番号47は、糖アルコールとしてのイソマルトに基づく第1の層を有する錠剤番号43よりも高い破断点を与えることが明らかになる。錠剤番号43は、30kNでプレスされたバージョンは、実際には20kNでプレスされたバージョンよりも破断点が低く、30kNのプレス力が高すぎること、及び糖アルコール(イソマルト)の直接圧縮性が損なわれていることを示している。
【0352】
また、すべての試験された層が脆弱性試験で合格点を取ったことが観察され、このことは、各バージョンの5つのうち、製造中に脆弱又は破砕されたと評価されたものはなかったことを意味する。
【0353】
更に、溶解時間試験は、ソルビトールベースの錠剤番号47が、イソマルトベースの錠剤番号43よりも一般に速く溶解することを示した。更に、プレス力がより高いと、溶解時間がより長くなった。
【0354】
最後に、錠剤番号48を、錠剤番号43と比較する。錠剤番号48は錠剤番号43に幾分類似しているが、キサンタンガムを更に含む。Table28(表30)からわかるように、キサンタンガムの添加は、破断点試験又は脆弱性試験に著しい影響を与えなかったが、溶解時間は、錠剤番号43の場合の約9~10分から錠剤番号48の場合の約12~16分へ大幅に増加し、キサンタンガムが、糖アルコール、香料、ニコチン(存在する場合)等の成分の溶解を遅らせ、したがってこれらの成分の放出を遅らせる効果を示している。上記を得ている間、第1の層のマスキング効果が損なわれているということは観察されなかった。
【0355】
(実施例33)
2層錠剤の評価-錠剤番号43~46の第2の層
錠剤番号43~46はそれぞれ3つのバージョンで製造され、第1の層をプレスするために使用される印加圧力は、それぞれ10kN、20kN、及び30kNであった。これらのバージョン各々についての5つの錠剤を作製した。錠剤43~46の各バージョンについて、破断点試験、脆弱性試験、及び溶解時間測定を第2の層で実行した。
【0356】
【表31】
【0357】
まず、錠剤番号43~45を見ると、Table29(表31)は、製造された錠剤の第2の層の破断点は、圧縮力が10kNから30kNまで増加するにつれて全体的に増加することを示している。
【0358】
それにもかかわらず、この表は、錠剤は、脆弱性が懸念される場合があることも示している。錠剤番号43は、試験中に1つの錠剤が壊れただけで、適度に良好に実行されたことが留意される。
【0359】
Table29(表31)はまた、十分な圧縮力を加えて脆弱でない第2の層を得ることと、圧縮力が増加することはまた溶解時間に影響を与えることとの間にトレードオフが存在する場合があるということも示している。
【0360】
更に、第2の層で崩壊剤を使用すると(錠剤番号44~45)、第2の層で崩壊剤がない(錠剤番号43)場合よりも溶解時間が短縮され、更に、錠剤番号44よりも錠剤番号45におけるように崩壊剤の量が増加すると、溶解時間が更に短縮されることが留意される。
【0361】
錠剤番号46も考慮に入れると、非常に脆弱な第2のモジュールが生成されたが、かなり短い溶解時間が測定されたことが留意される。錠剤番号43~44、及び46に使用されているマンニトール、錠剤番号44~45に使用されているPearlitol Flash、及び錠剤番号46に使用されているエリスリトールの粒径分布を評価したところ、Pearlitol Flashが最小の粒径を示し、次にマンニトールが続いたが、適用されたエリスリトール(非DCグレードのエリスリトール)は著しく大きな粒子を有していたことが留意される。より大きな粒子を含む非DCグレードのエリスリトールを使用すると、溶解時間が比較的速くなった。
【0362】
(実施例34)
2層錠剤の評価-錠剤番号45の錠剤全体
錠剤番号45は、Table30(表32)に示した圧縮力で作製された。
【0363】
【表32】
【0364】
Table表30(表32)は、層2に加えられる圧縮力よりも高い圧縮力で層1を圧縮することが可能であり、それでも、あまり脆弱でない錠剤を得ることが可能であることを示している。しかし、層1に加えられる圧縮力があまり高くない場合、層1からの層2のデキャッピング(decapping)は回避され得ることが留意される。
【0365】
更に、特に第2の層は1分以内に溶解したので、測定された溶解時間は完全に許容範囲内であったが、第1の層はすべて溶解するのに5分より長くかかった。
【0366】
(実施例35)
放出のインビボ試験
試料錠剤を、8人の試験者の試験パネルにおいて試験した。試験対象は、試験開始の少なくとも30分前に飲食を控える。試験者は、特定の要件に従って客観的根拠に基づいて指名された健康な人であった。0、0.5、1、2、3、5、及び10分後、残った錠剤残留物中のCBDの含有量を測定した。8人の試験者のそれぞれについて錠剤を三重測定にかけ、各試料につき合計24個の測定値を得た。24個の測定値の平均を計算し、試料中のCBDの当初の含有量に対して質量%放出を計算した。残った錠剤残留物中のCBDの含有量を、まだ存在する場合に測定した。
【0367】
錠剤を秤量し、口の中で舌と口蓋の間に置いた。錠剤を嘗め、0.5分ごとに回転させた。所望の試験時間(0.5、1、2、3、5、及び10分)が達成されたら、錠剤を取り出し、API含有量の分析に使用する測定ガラスに直接秤量した。異なる溶解時間での錠剤中のAPIの含有量を分析することにより、インビボ溶解プロファイルが得られた。
【0368】
(実施例36)
放出のインビトロ試験
試料錠剤を試験した。0、0.5、1、2、3、5、及び10分後、残った錠剤残留物中のCBDの含有量を測定した。錠剤を三重測定にかけた。測定値の平均を計算し、試料中のCBDの当初の含有量に対して質量%放出を計算した。残った錠剤残留物中のCBDの含有量を、まだ存在する場合に測定した。
【0369】
錠剤を秤量した。次に、25mlのリン酸緩衝液をスクリューキャップ付きの50ml測定チューブに加えた。錠剤をチューブに加えた。チューブを、振盪テーブル上に水平に固定した。振盪後、錠剤のAPI含有量を分析した。異なる溶解時間で錠剤中のAPIの含有量を分析することにより、インビトロプロファイルが得られた。
【0370】
(実施例37)
口腔粘膜に送達されたCBD
試料を、8人の試験者の試験パネルにおいて1分間嘗めた。試験対象は、試験開始の少なくとも30分前に飲食を控える。試験者は、手順の間、嚥下することが許容されなかった。錠剤を秤量し、口の中で舌と口蓋の間に置いた。錠剤を嘗め、10秒ごとに回転させた。1分後、唾液を試験者から得て、後の分析のために容器に収集した。2分間の放出試験では、最後の唾液試料を収集して凝集解析のために同じ容器に加えられる2分まで、同じ手順を実行した。試験者は、特定の要件に従って客観的根拠に基づいて指名された健康な人であった。凝集唾液試料を2分後に収集し、唾液中のCBDの含有量を測定した。残った錠剤残留物中のCBDの含有量もまた測定した。残留物がまだ存在する場合は、フラスコに入れ、秤量して分析した。残留物がまだ存在する場合、8人の試験者のそれぞれについて唾液を三重測定にかけ、各試料につき合計24個の測定値を得た。24個の測定値の平均を計算し、質量%放出を計算した。残留物中のCBDの量と唾液中のCBDの量とを比較することにより、口腔粘膜に送達されたCBDの量を推定することができた。
【0371】
(実施例38)
官能評価試験セットアップ
インビボ又はインビトロのいずれかの放出測定とは別に、錠剤の非常に重要な特徴及び特性を明らかにするために官能試験を実行した。これらの官能パラメータは、錠剤組成物の構造の指標として重要である。構造は、錠剤が比較錠剤の構造にどのように類似しているかに関する基本的なガイダンスであり、比較錠剤は、試験シリーズにおいて標準として設定され、すなわち、錠剤は、好ましくは5個の試料の試験シリーズにおいて互いに比較される。試験セットアップを、試験パネルにおいて8人の試験者から構成した。試験者はすべて、特定の要件に従って客観的根拠に基づいて指名された健康な人であった。ISO 8589による試験条件で、ISO 4121-2003に従って官能分析を実行した。結果は、8個体の結果の平均である。
【0372】
試験者は「+」から「+++++」まで格付けし、ここで、「+」は悪く、「+++++」は優れており、すなわち、「+++++」は、錠剤が標準と比較して優れていたことを意味し、「+++」は、錠剤が標準と同等であったことを意味し、「+」は、錠剤が標準と同等からは非常に遠かったことを意味する。「0」は、錠剤を試験しなかったことを示した。
【0373】
4つの異なるパラメータを試験パネルにおいて試験した:
【0374】
【表33】
【0375】
「食感」-硬度、粗度、平滑度等の要素に関して、口に入れたときの錠剤の全体的な印象。
【0376】
「摩損度」-硬度、粗度、平滑度等の要素に関して、口に入れ、嘗め始めたときの錠剤の印象。例えば、非常に硬くて粘性のある構造は非常に低い格付けを与え、非常に脆弱な構造も、非常に低い格付けを与えた。
【0377】
「香味」-香味に関して嘗めている間の錠剤の全体的な印象。例えば、非常に低い香味体験は、非常に低い格付けを与え、標準と同等ではない高すぎる香味体験も、非常に低い格付けを与えた。
【0378】
「甘味」-甘味に関して嘗めている間の錠剤の味の全体的な印象。例えば、甘味が急速に減少した場合、非常に低い格付けが与えられ、甘味が高すぎ、不快な感覚を与えた場合も非常に低い格付けが与えられた。
【0379】
「オフノート」-嘗めている間の組成物中の1種又は複数種のカンナビノイドからのオフノートの全体的な印象。例えば、オフノート(グラス(grass)、ビターノート、喉に刺激)が喉で経験された場合、低い格付けが与えられ、他の不快な感覚が経験された場合も、低い格付けが与えられた。
【0380】
(実施例39)
実施例14Bによるカンナビノイド2層錠剤の官能評価
【0381】
【表34】