(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】回収ボイラーの還元率を決定するための方法、コンピュータ・プログラム、コンピュータ・デバイス、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20240918BHJP
D21C 11/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01N21/27 A
D21C11/00 A
(21)【出願番号】P 2021564130
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 FI2020050324
(87)【国際公開番号】W WO2020234511
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-02-17
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520102646
【氏名又は名称】アンドリッツ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッパライネン、ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ヌルミ、ユホ
(72)【発明者】
【氏名】リッサネン、サウリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィハヴァイネン、エサ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-013296(JP,A)
【文献】特表2007-515640(JP,A)
【文献】特表2008-519231(JP,A)
【文献】特開昭62-049112(JP,A)
【文献】特開平06-330489(JP,A)
【文献】米国特許第04695881(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/74
D21B 1/00 - D21B 1/38
D21C 1/00 - D21C 11/14
D21D 1/00 - D21D 99/00
D21F 1/00 - D21F 13/12
D21G 1/00 - D21G 9/00
D21H 11/00 - D21H 27/42
D21J 1/00 - D21J 7/00
F22B 1/18
F22B 35/00 - F22B 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収ボイラーの還元率を決定するための方法(300)であって、前記方法(300)は、
プロセッサ(202)を用いて、それの少なくとも一部が前記回収ボイラーから取られた化学スメルト・サンプルを表すデジタル・フレームを読み取るステップ(301)と、
前記プロセッサ(202)を用いて読み取られた前記デジタル・フレームから、前記化学スメルト・サンプルを表す前記デジタル・フレーム中の領域の少なくとも一部を含む関心領域を決定するステップ(302)と、
前記プロセッサ(202)を用いて、前記決定された関心領域のピクセル値から、還元率の変化と相関する1つ又は複数のスペクトル特性値を決定するステップ(303)と、
前記プロセッサ(202)を用いて、事前決定された重みにおいて重み付けされた前記決定されたスペクトル特性値のうちの1つ又は複数のスペクトル特性値の還元率関数を使用して前記回収ボイラーの前記還元率を決定するステップ(304)と
を含むことを特徴とする、方法(300)。
【請求項2】
前記重みの前記事前決定が、
ターゲット値として使用されるべき前記回収ボイラーの還元率を決定するために、前記回収ボイラーの前記化学スメルト・サンプルの実験室測定値を用いて決定することと、
前記回収ボイラーの前記化学スメルト・サンプルを表すデジタル較正フレームを生成すること、及び前記1つ又は複数のスペクトル特性値を決定することと、
前記決定された1つ又は複数のスペクトル特性値と前記ターゲット値とを互いに適合させることと
を含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記適合させることが、線形最小2乗法又はニューラル・ネットワーク計算を使用して行われる、請求項2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記関心領域を決定するステップ(302)が、前記プロセッサ(202)を用いて、前記読み取られたデジタル・フレームの1つ又は複数のエッジ・ゾーンと、1つ又は複数のクラック・ゾーンと、1つ又は複数のカーボン粒子ゾーンのうちの少なくとも1つの削除を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記1つ又は複数のスペクトル特性値のスペクトル特性値の各々が、全体的強度に対する赤色度と、全体的強度に対する青色度と、全体的強度に対する黄色度と、赤色度の標準偏差と、平均階調度と、平均色相とのうちの1つを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記デジタル・フレームが、前記フレーム中に表された前記化学スメルト・サンプルのサンプリング・ポイントの識別と、前記フレーム中に表された前記化学スメルト・サンプルのサンプリング時間とのうちの少なくとも1つを含むサンプリング情報を伴う、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記回収ボイラーの前記決定された還元率が、前記回収ボイラーを制御するために使用される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
1つ又は複数のプロセッサ(202)によって実行されたとき、コンピュータ・デバイス(200)に請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法を実行させるコマンドのグループを含む少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサ(202)と、
コンピュータ・プログラム・コード(205)を含む少なくとも1つのメモリ(204)と
を備える、コンピュータ・デバイス(200)であって、
前記少なくとも1つのメモリ(204)及び前記コンピュータ・プログラム・コード(205)が、少なくとも1つのプロセッサ(202)を用いて、前記コンピュータ・デバイス(200)に、
それの少なくとも一部が回収ボイラー(110)から取られた化学スメルト・サンプルを表
し、撮像手段(130)によって生成されたデジタル・フレームを読み取ることと、
前記化学スメルト・サンプルを表す前記デジタル・フレーム中の領域の少なくとも一部を含む、前記読み取られたデジタル・フレームから関心領域を決定することと、
還元率の変化と相関する前記決定された関心領域のピクセル値から1つ又は複数のスペクトル特性値を決定することと、
事前決定された重みにおいて重み付けされた前記決定されたスペクトル特性値のうちの1つ又は複数のスペクトル特性値の還元率関数を使用して前記回収ボイラー(110)の還元率を決定することと
を行わせるように構成されたことを特徴とする、コンピュータ・デバイス(200)。
【請求項10】
前記重みを事前決定することが、
ターゲット値として使用されるべき前記回収ボイラー(110)の還元率を決定するために、前記回収ボイラー(110)の前記化学スメルト・サンプルの実験室測定値を用いて決定することと、
前記回収ボイラー(110)の前記化学スメルト・サンプルを表すデジタル較正フレームを生成すること、及び前記1つ又は複数のスペクトル特性値を決定することと、
前記決定された1つ又は複数のスペクトル特性値と前記ターゲット値とを互いに適合させることと
を含む、請求項9に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項11】
前記適合させることが、線形最小2乗法又はニューラル・ネットワーク計算を使用して行われる、請求項10に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項12】
前記関心領域を決定することが、前記読み取られたデジタル・フレームの1つ又は複数のエッジ・ゾーンと、1つ又は複数のクラック・ゾーンと、1つ又は複数のカーボン粒子ゾーンとのうちの少なくとも1つの削除を含む、請求項9から11までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項13】
前記1つ又は複数のスペクトル特性値のスペクトル特性値の各々が、全体的強度に対する赤色度と、全体的強度に対する青色度と、全体的強度に対する黄色度と、赤色度の標準偏差と、平均階調度と、平均色相とのうちの1つを含む、請求項9から12までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項14】
前記デジタル・フレームが、前記フレーム中に表された前記化学スメルト・サンプルのサンプリング・ポイントの識別と、前記フレーム中に表された前記化学スメルト・サンプルのサンプリング時間とのうちの少なくとも1つを含むサンプリング情報を伴う、請求項9から13までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項15】
前記回収ボイラーの前記決定された還元率が、前記回収ボイラー(110)を制御するために使用される、請求項9から14までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)。
【請求項16】
回収ボイラー(110)の化学スメルト・サンプルからサンプルを引き出すためのサンプラー(120)
を備えるシステム(100)であって、前記システム(100)は、
前記サンプラー(120)を用いて前記回収ボイラー(110)から引き出された前記化学スメルト・サンプルからデジタル・フレームを生成するための手段(130)と、
請求項9から15までのいずれか一項に記載のコンピュータ・デバイス(200)と
をさらに備えることを特徴とする、システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学スメルト(smelt)サンプルからの光学情報を使用して回収ボイラーの還元率(reduction rate)を決定することに適用される。
【背景技術】
【0002】
原則として、回収ボイラーは、薬品回収と、プロセスにおいて蒸気及び熱エネルギーとして生成される燃焼熱の回収との、2つの主要な機能を有する。回収ボイラー炉の下部からスメルト・スパウト(smelt spout)を通して流れ出る化学スメルトは、硫化ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、硫酸ナトリウムとを含んでいる。回収ボイラーによって実行される薬品回収の効率のために肝要なのは、硫化ナトリウムに還元される硫酸ナトリウムの量を示す還元率である。以下で還元とも呼ぶ、還元率は、パーセンテージとして決定される。測定された還元は、たとえば、燃焼を最適化するために、回収ボイラーの燃料供給と、異なるレベルの燃焼空気量とを制御するために使用される。還元は、スメルト流からガラス管中に取られたサンプルの実験室分析とデゾルビングタンク(dissolving tank)中で分解された溶融塩(緑液(green liquor))の濃度の測定とによって測定されており、これは光学的方法によっても行われていることがある。これらの測定方法、及び測定結果に基づく回収ボイラーの調整については、たとえば、米国特許出願公開第2018080173号及び米国特許第5616214号において説明されている。
【0003】
液タンク中の凝固塩サンプルと緑液の両方の還元の測定は測定結果において極めて大きい遅延を引き起こす。サンプルの実験室試験は常に数時間の遅延を引き起こす。緑液の分析がオンライン測定によって実施される場合でも、デゾルビングタンクの内容物の混合とやや遅い変化とにより、遅延が必然的に測定値中に集積される。さらに、緑液の分析は、異なるスメルト・スパウトからのスメルト流の内容物の平均を生成する、すなわち、それは、燃焼室の異なる部分中の燃焼における差を目立たせることができない。最も大きい回収ボイラーは、幅20メートル超であり、10個を超えるスメルト・スパウトを含み得る。燃焼条件は、したがって、たとえば、異なる側面において、及び中心において異なり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018080173号
【文献】米国特許第5616214号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴によれば、回収ボイラーの還元率を決定するための方法が提示される。本方法は、
プロセッサを用いて、それの少なくとも一部が回収ボイラーの化学スメルト・サンプルを表すデジタル・フレームを読み取るステップと、
プロセッサを用いて読み取られたデジタル・フレームから、化学スメルト・サンプルを表すデジタル・フレーム中の領域の少なくとも一部を含む関心領域(area of interest)を決定するステップと、
プロセッサを用いて、決定された関心領域のピクセル値から、還元率の変化と相関する1つ又は複数のスペクトル特性値を決定するステップと、
プロセッサを用いて、事前決定された重みにおいて重み付けされた決定されたスペクトル特性値のうちの1つ又は複数のスペクトル特性値の還元率関数を使用して回収ボイラーの還元率を決定するステップと
を含む。
【0006】
本発明の第2の特徴によれば、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、コンピュータ・デバイスに第1の特徴による方法を実行させるコマンドのグループを含む少なくとも1つのコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品が提示される。
【0007】
本発明の第3の特徴によれば、
少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリと
を備えるコンピュータ・デバイスであって、
少なくとも1つのメモリ及びコンピュータ・プログラム・コードが、少なくとも1つのプロセッサを用いて、コンピュータ・デバイスに、
それの少なくとも一部が回収ボイラーの化学スメルト・サンプルを表すデジタル・フレームを読み取ることと、
化学スメルト・サンプルを表すデジタル・フレーム中の領域の少なくとも一部を含む、読み取られたデジタル・フレームから関心領域を決定することと、
還元率の変化と相関する決定された関心領域のピクセル値から1つ又は複数のスペクトル特性値を決定することと、
事前決定された重みにおいて重み付けされた決定されたスペクトル特性値のうちの1つ又は複数のスペクトル特性値の還元率関数を使用して回収ボイラーの還元率を決定することと
を行わせるように構成された、コンピュータ・デバイスが提示される。
【0008】
本発明の第4の特徴によれば、
回収ボイラーの化学スメルト・サンプルからサンプルを引き出すためのサンプラーと、
サンプラーを用いて回収ボイラーから引き出された化学スメルト・サンプルからデジタル・フレームを生成するための手段と、
第3の特徴によるコンピュータ・デバイスと
を備えるシステムが提示される。
【0009】
本発明の1つの適用例では、前記重みの事前決定は、
ターゲット値として使用されるべき回収ボイラーの還元率を決定するために、回収ボイラーの化学スメルト・サンプルの実験室測定値を用いて決定することと、
前記回収ボイラーの化学スメルト・サンプルを表すデジタル較正フレームを生成すること、及び前記1つ又は複数のスペクトル特性値を決定することと、
決定された1つ又は複数のスペクトル特性値とターゲット値とを互いに適合させることと
を含む。
【0010】
本発明の1つの適用例では、適合させることは、線形最小2乗法(linear least squares method)又はニューラル・ネットワーク計算を使用して行われる。本発明の1つの適用例では、関心領域を決定することは、プロセッサを用いた、読み取られたデジタル・フレームの1つ又は複数のエッジ・ゾーンと、1つ又は複数のクラック・ゾーンと、1つ又は複数のカーボン粒子ゾーンとのうちの少なくとも1つの削除を含む。
【0011】
本発明の1つの適用例では、各スペクトル特性値は、全体的強度に対する赤色度と、全体的強度に対する青色度と、全体的強度に対する黄色度と、赤色度の標準偏差と、平均階調度(gradient)と、平均色相とのうちの1つを含む。
【0012】
本発明の1つの適用例では、デジタル・フレームは、フレーム中に表された化学スメルト・サンプルのサンプリング・ポイントの識別と、フレーム中に表された化学スメルト・サンプルのサンプリング時間とのうちの少なくとも1つを含むサンプリング情報を伴う。
【0013】
本発明の1つの適用例では、決定された回収ボイラーの還元率は、回収ボイラーを制御するために使用される。
【0014】
本発明によるソリューションを用いれば、燃焼外乱に以前よりも著しく速く応答し、還元測定に基づいて、燃焼室中の燃焼過程を局所的にも最適化するために、スメルト・スパウト固有の測定方法さえ達成され得る。
【0015】
本発明による少なくともいくつかのソリューションにより、結果がスパウト間で比較可能であるように、個々のスメルト・スパウトの還元率の変化を監視するために十分に良好な測定が可能になる。スメルト・スパウトのスパウト固有の還元率が十分確実に指定され得ない状況では、スパウト固有の還元率値は、スパウト固有の還元結果の平均を計算することによって組み合わせられ得る。
【0016】
スメルト・スパウトの還元率結果は、回収ボイラー炉の動作を局所的に制御するために使用され得るスパウト固有の還元率を与える。燃料と空気供給との制御はボイラーの動作を平衡させ、それにより、とりわけ、回収ボイラーの蒸気生成と薬品循環とが改善される。一定の燃焼はまた、回収ボイラーの汚染と危険なスメルト・サージとを低減する。
【0017】
スメルト・スパウト還元は、平均還元率を計算するために使用され得、その場合、本発明は実験室コストと時間とを節約し得る。時間の節約により、回収ボイラーがそれの動作範囲により迅速に調整されることが可能になり、それにより生産量が増加し、品質が向上する。
【0018】
さらに、本発明による少なくともいくつかのソリューションにより、たとえば、回収ボイラーの還元率の時間的/空間的に異なる決定/測定結果、並びに客観的測定データ及び測定履歴データの査定及び比較が可能になる。たとえば、本発明による少なくともいくつかのソリューションにより、比較可能な結果が5分未満で達成されることが可能になり、タイムスタンプされた結果は保存され、他の還元サンプル又は任意の他のデータと比較され得る。
【0019】
さらに、本発明による少なくともいくつかのソリューションにより、還元サンプリングが容易に再生され、自動化されることが可能になる。自動化により、たとえば、高い監視頻度と、測定された還元率が予想された値から本質的にそれている場合、迅速な検査とが可能になる。
【0020】
好ましくは、十分に良好な相関をもつ結果を与えるカメラとして、通常の可視領域カラー・カメラが使用され得る。カラー・カメラは赤外及び/又はスペクトル・カメラによって補足又は交換され得、還元率を決定する際にそのカメラのスペクトル特性値が使用される。
【0021】
以下で、添付の図面を参照することによって、添付の適用例を用いて本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるシステムについて概略的に説明する図である。
【
図2】本発明によるデバイスについて概略的に説明する図である。
【
図3】本発明による方法について概略的に説明する図である。
【
図4A】本発明によるサンプラーについて説明する図である。
【
図4B】本発明によるデジタル・フレームについて概略的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面は、等価な要素を指すために全体にわたって同じ参照番号を使用する。
【0024】
以下は、それの実例が添付の図面において説明されている、本発明の実施例の詳細な説明である。以下の詳細な説明は、添付の図面と一緒に、実例について説明するものであり、与えられた実例を実装するための、又はそれらを利用するためのただ1つの方法を表すものではない。以下では、例示的なアクティビティと、実例をアセンブルし、使用するための一連の段階/動作を強調する。同じ又は等価なアクティビティ及び段階/動作は、しかしながら、他の実例によっても達成され得る。
【0025】
図1は、一実例として、本発明によるシステム100の構成要素について説明し、そのシステム100では、本発明の異なる実施例が実装され得る。
図1における実例は、回収ボイラー110と、サンプラー120と、サンプラー120を用いて回収ボイラー110から取られた化学スメルト・サンプルからデジタル・フレームを生成するための手段130と、取られたサンプルから回収ボイラーの還元率を決定するためのコンピュータ・デバイス200と、さらなる処理器械140とを提示する。
【0026】
回収ボイラー110は、薬品回収手段として、及びパルプ工場において高圧蒸気とエネルギーとを生成するために好適なユニットとして働く、二重の能力をもつ、黒液(black liquor)を燃やすように設計された蒸気ボイラーである。回収ボイラー110炉(
図1に示されていない)の下部は、硫化ナトリウムと炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムとを含んでいる化学スメルトがそれを通って流れ出る、1つ又は複数のスメルト・スパウト111を特徴とする。回収ボイラー110の還元率は、硫化ナトリウムに還元される硫酸ナトリウムの量をパーセンテージとして示す。
【0027】
言い換えれば、回収ボイラーの還元率は以下のように決定され得る。
【数1】
ここで、Na
2Sは硫化ナトリウム(モル)であり、Na
2SO
4は硫酸ナトリウム(モル)である。
【0028】
サンプラー120は、たとえば、サンプリング・バー、ボウル又はロッドを備え得る。ガラス管サンプルも本発明に従って分析され得、その場合、同じサンプルが実験室における較正のための基準値を与える。一実例では、サンプラー120は、スメルト・スパウトから流れ出る化学スメルトに浸されるための平坦な角型ヘッドをもつサンプリング・バーを備える。平坦なバーの利益は、それの撮影された写真のエッジに現れる、形状によって引き起こされるひずみがないことである。ひずみを伴う写真は、たとえば、エッジにおいてより暗く、そのことは、還元率の計算において使用されるスペクトル特性値に影響を及ぼす。
図4Aは、平坦な角型ヘッドをもつ、本発明によるサンプリング・バー410の実例を示す。一実例では、サンプラー120は予熱され得る。予熱されたサンプラー120において、スメルトによるサンプラーの被覆はより均一であり、水分はサンプリングに影響を及ぼさない。予熱の後に、サンプラー120の温度は一般に約300~400°Cである。
【0029】
一実例では、サンプラー120の清浄化及び予熱の後に、サンプラー120は、それをスメルト流に急速に浸すことによって均一な被覆を得る目的で、再びスメルト流の下に移される。サンプラー120のヘッドがスメルトによって完全に覆われたとき、サンプラー120は持ち上げられ、スメルトは、サンプラー120のヘッドの表面上で凝固することが可能になる。サンプリングの後に、サンプラー120は撮像手段130(たとえば、サンプリング・ステーション)に移され、そこでサンプラー120の写真が撮影される。移送及び写真撮影の間、サンプルは、好ましくは、保護ガスを用いて酸化から保護される。
【0030】
一実例では、サンプラー120は手動で動作させられる。別の実例では、サンプラー120は、たとえば、ロボット又はマニピュレータを使用して自動化される。
【0031】
デジタル・フレームを生成するための手段130は、たとえば、カメラとフォト・ブースとサンプラー120のためのスタンドとを含むサンプリング・ステーションを備え得る。カメラは、たとえば、デジタル・カメラ又はアナログ・カメラを備え得る。アナログ・カメラの場合、手段130は、得られたアナログ写真をデジタル化するための器械を備え得る。一実例では、カメラはスマート・フォン、タブレットなどのカメラである。一実例では、カメラは工業用カメラである。一実例では、カメラは可視領域カラー・カメラである。一実例では、カメラは赤外線カメラである。一実例では、カメラは、赤外スペクトル・カメラなどのスペクトル・カメラである。
【0032】
一実例では、サンプラー120は、スメルトで被覆されたそれのヘッドが常に同じ位置において(たとえば水平方向に)フォト・ブースに入るように、サンプリング・ステーション中のスタンド中にセットされる。一実例では、サンプラー120は、酸化の影響をできる限り小さく保つために、スメルト・サンプルを引き出してから約30分以内に撮影される。一実例では、サンプラー120は、サンプラー120のサンプルが写真の中央にあるように撮影される。
【0033】
一実例では、フォト・ブースは、たとえば、自然光に近い照明で照明される。一実例では、照明の色温度は約4000Kであり、照明レベルは約10000ルクスであり、演色評価数(colour rendering index)(Ra)は約95である。可視光の波長とは異なる波長における写真撮影の場合、特定の適用例のために好適な光源が使用される。十分に熱いサンプルは自己照明であり得、その場合、光源は必要とされない。サンプリングと写真撮影との条件は、最良の相関を達成するために標準化されるべきである。
【0034】
回収ボイラーの還元率を決定するために使用されるコンピュータ・デバイス200について、
図2の説明においてより詳細に説明する。
【0035】
さらなる処理器械140は、たとえば、ワークステーション・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、データベース及び/又はデータ・リンクを備え得、それらを用いて、回収ボイラーの規定された還元率を利用して、異なるさらなる処理動作(たとえば、燃焼を最適化するための、回収ボイラー燃料供給と、異なるレベルにおける燃焼空気量との制御)が実行又は起動され得る。一実例では、撮影された写真及び分析データは、好適なオペレーティング・インターフェースを用いて、及び/又は、たとえば、プロセス制御システム中の好適なデータベースによって処理され得る。一実例では、セグメント化された写真もさらなる処理動作などのために構成され得る。セグメント化された写真は、ここでは、関心領域が、たとえば、元の写真の上に生成されたオーバーレイによってそれの中に提示される、デジタル・フレームを指す。
【0036】
還元率決定結果は、たとえば、監視又は制御システムにおける測定データ、制御回路における測定データ、ビッグ・データ処理におけるデータ、人工知能ソリューションにおけるデータ、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)適用例におけるデータ、及び統計的方法におけるデータ、燃焼成功の監視(良好な還元は、より清浄なままであるボイラーと、より高い生成レベル(蒸気、薬品回収)と、清浄による清浄化蒸気のより小さいニーズとを生じる機能している燃焼過程を指す)、及び/又は薬品循環の監視(良好な還元は高い薬品回収レベルを指す)として使用され得る。たとえば、高定常還元は石灰スラッジ再燃焼炉(reburning kiln)における苛性化(causticizing)における緑液の処理を助ける。さらに、緑液スラッジの量は高い還元とともに減少する(スラッジは危険廃棄物である)。
【0037】
図2は、一実施例によるコンピュータ・デバイス200のブロック図である。
【0038】
コンピュータ・デバイス200は、少なくとも1つのプロセッサ202と、コンピュータ・プログラム・コード205を含んでいる1つのメモリ204とを備える。コンピュータ・デバイス200はまた、入出力モジュール206及び/又は通信インターフェース208を備え得る。
【0039】
図2におけるコンピュータ・デバイス200は、ただ1つのプロセッサ202を含むとして提示されているが、コンピュータ・デバイス200はいくつかのプロセッサを含み得る。一実施例では、コマンド205はメモリ204(たとえば、オペレーティング・システム及び/又は異なるアプリケーション)に保存され得る。さらに、プロセッサ202は、保存されたコマンドを実装するために使用され得る。一実施例では、プロセッサ202は、マルチコア・プロセッサ、シングルコア・プロセッサ、或いは1つ又は複数のマルチコア・プロセッサと1つ又は複数のシングルコア・プロセッサとの組合せとして実装され得る。プロセッサ202は、たとえば、コプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、DSPをもつ又はもたない処理回路、又は特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)、マイクロコントローラ・ユニット、ハードウェア・アクセラレータなどを含む様々な他の処理デバイスなど、1つ又は複数の異なる処理デバイスとして実装され得る。一実施例では、プロセッサ202は、ハードコーディングされた機能を実行するようになされ得る。一実施例では、プロセッサ202はソフトウェア・コマンドのエグゼキュータとして実装され、プロセッサ202は、コマンドが実行されたとき、この報告において説明されているアルゴリズム及び/又は動作を実行するためのコマンドを用いて構成され得る。
【0040】
メモリ204は、1つ又は複数の揮発性メモリ・デバイス、1つ又は複数の不揮発性メモリ・デバイス、及び/或いは1つ又は複数の揮発性メモリ・デバイス若しくは1つ又は複数の不揮発性メモリ・デバイスの組合せとして実装され得る。メモリ204は、たとえば、プログラマブルROM(PROM:programmable read only memory)、消去可能PROM(EPROM:erasable read only memory)、フラッシュROM、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)など、半導体メモリとして実装され得る。
【0041】
入出力モジュール206は、入力及び/又は出力の編成を支援するように構成されている。入出力モジュール206は、プロセッサ202及びメモリ204と通信するように構成されている。入出力モジュール206の実例は、限定はしないが、入力インターフェース及び/又は出力インターフェースを含む。入力インターフェースの実例は、限定はしないが、キーボード、タッチ・スクリーン、マイクロフォンなどを含む。出力インターフェースの実例は、限定はしないが、スピーカー、LED(light-emitting diode)ディスプレイ、TFT(thin-film transistor)ディスプレイ、液晶ディスプレイ又はAMOLED(active matrix organic light-emitting diode)ディスプレイなどのディスプレイなどを含む。
【0042】
通信インターフェース208は、コンピュータ・デバイス200が他のデバイスと通信することを可能にし得る。一実施例では、プロセッサ202、メモリ204、入出力モジュール206、及び通信インターフェース208など、コンピュータ・デバイス200の異なる構成要素は、集中回路(centralised circuit)210を通して互いに通信するように構成されている。集中回路210は、マザーボードなど、プレスされた回路板を備え得る。
【0043】
ここで記述され、説明されたコンピュータ・デバイス200は、本発明の実施例から恩恵を受け得るデバイスの一実例にすぎず、本発明の保護回路を限定するものではない。コンピュータ・デバイス200は、
図2に提示されているものとは異なる数の構成要素を含み得ることに留意されたい。コンピュータ・デバイス200は、好適な通信リンクを通して通信するいくつかの物理ユニットに分割され得る。
【0044】
上述の1つ又は複数のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて、コンピュータ・デバイス200に、それの少なくとも一部が回収ボイラー110からの化学スメルト・サンプルを示す、デジタル・フレームを読み取らせるように構成されている。一実施例では、コンピュータ・デバイス200は可読デジタル・フレームを受信する。別の実施例では、コンピュータ・デバイス200は可読デジタル・フレームを取り出す。一実例では、1つ又は複数のデジタル・フレームがデータベースに保存されており、コンピュータ・デバイス200はそこからそれらのデジタル・フレームを取り出す。そのようなデータベースは、コンピュータ・デバイス200に一体化されるか、又はコンピュータ・デバイス200から分離され、好適な通信リンクを用いてそれに接続され得る。
【0045】
一実施例では、説明された化学スメルト・サンプルはサンプラー120の表面上にある。一実施例では、デジタル・フレームの写真領域は、化学スメルト・サンプルの周囲の一部、並びにサンプル自体を含む。
図4Bは、本発明によるデジタル・フレーム420の一実例を示す。デジタル・フレーム420の写真領域は、化学スメルト・サンプル領域423と、上側エッジ領域421と、下側エッジ領域422と、いくつかのクラック領域424とを含む。
【0046】
上述の1つ又は複数のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて、コンピュータ・デバイス200に、化学スメルト・サンプルを示すデジタル・フレーム中の領域の少なくとも一部を含む、読み取られたデジタル・フレーム内の関心領域を指定させるように構成されている。一実施例では、関心領域の指定は、読み取られたデジタル・フレームの1つ又は複数のエッジ・ゾーン421、422と、1つ又は複数のクラック・ゾーン424と、1つ又は複数のカーボン粒子ゾーン(
図4Bに示されていない)とのうちの少なくとも1つの削除を含む。言い換えれば、関心領域を指定する際に、スペクトル特性値の計算をひずませ得る不要な領域はデジタル・フレームから除外される。デジタル・フレームのエッジ領域は、たとえば、化学スメルト・サンプルの領域がそれらを超えないとき、不要である。クラック領域及びカーボン粒子領域は、それらが化学スメルト・サンプル領域よりも暗く、したがって、スペクトル特性値の計算をひずませ得るので、不要である。関心領域の指定において、たとえば、定義されたしきい値よりも暗い領域が削除されるように、デジタル・フレームのピクセルの明るさ/暗さに関する情報が利用され得る。さらに、削除されるべき領域について最小サイズが定義され得る。一実施例では、関心領域は矩形である。
【0047】
上述の1つ又は複数のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて、コンピュータ・デバイス200に、決定された関心領域のピクセル値の中で、還元率の変化と相関する1つ又は複数のスペクトル特性値を定義させるようにさらに構成されている。このテキストにおいて、スペクトル特性値は、特に、可視光及び/又は赤外線放射のスペクトルに関係する特性の値を指す。一実例では、スペクトル特性値はまた、可視光及び/又は赤外線放射を反射する表面、すなわち化学スメルト表面の特性の影響を受け得る。これらの特性は、当該の表面のプロファイル(滑らかな/粗い)と、化学スメルト表面サンプルの表面がマットであるのか光沢であるのかを含み得る。一実例では、スペクトル特性値は、カラーに関係する特性の値を含む。一実施例では、定義されるべき各スペクトル特性値は、全体的強度に対する赤色度と、全体的強度に対する青色度と、全体的強度に対する黄色度と、赤色度の標準偏差と、平均階調度と、平均色相とのうちの1つを含む。
【0048】
可視光の波長を実装された一実例では、定義されるべきスペクトル特性値は、
・全体的強度に対する赤色度=平均((関心領域中の赤のRGBカラー・チャネル)/全体的強度)と、
・全体的強度に対する青色度=平均((関心領域中の青のRGBカラー・チャネル)/全体的強度)と、
・全体的強度に対する黄色度=平均((関心領域中の赤のRGBカラー・チャネル)+(関心領域中の緑のRGBカラー・チャネル)/全体的強度)と、
・赤の標準偏差=標準偏差(関心領域中の赤のRGBカラー・チャネル)と、
・平均階調度=平均(平方根((階調度(3×3ソーベル(Sobel))Y方向)^2+(階調度(3×3ソーベル))X方向^2)、ここで、階調度は3×3ソーベル・カーネルを用いて計算される、平均階調度と、
・平均色相=平均(色相チャネル)と
のうちの1つ又は複数を含む。
色相に対応する色相チャネルは、たとえば、RGB→HSV変換によって取得され得る。
【0049】
上記の実例では、RGBはRGB(赤、緑、青)カラー・モデルを指し、HSVはHSV(色相、飽和、値)カラー・モデルを指す。
【0050】
サンプル材料によれば、低還元率写真における回収ボイラーからの化学スメルト・サンプルの色は、通常、いくらかの黄色及び赤色をおびて茶色がかっていることが、実験中に観測された。高還元率写真のほうへ移動すると、色相はよりグレーになり、写真は青色のトーンも呈する。通常、化学スメルト・サンプル中の黒色及び青色のトーンのカーボン粒子は良好な還元率を示す。
【0051】
スペクトル特性値は、どのスペクトル特性値が最良の適合を与えるか、すなわち、どのスペクトル特性値が各状況における還元値を最も良く示すかに応じて、還元率の計算に追加されるか、又は還元率の計算から削除され得る。
【0052】
上述の1つ又は複数のメモリ204及びコンピュータ・プログラム・コード205は、さらに、少なくとも1つのプロセッサ202を用いて、コンピュータ・デバイス200に、事前決定された重みにおいて1つ又は複数のスペクトル特性値の還元率関数を使用して回収ボイラー110の還元率を指定させるように構成されている。言い換えれば、決定された1つ又は複数のスペクトル特性値は還元率関数における変数である。一実例では、還元率関数は、事前決定された重みにおける決定された1つ又は複数のスペクトル特性値の合計を含む。
【0053】
一実例では、還元率関数は、
還元率=整数に丸める(全体的強度に対する赤色度×赤色度の重み付け係数+全体的強度に対する青色度×青色度の重み付け係数+全体的強度に対する黄色度×黄色度の重み付け係数+赤の標準偏差×赤の標準偏差の重み付け係数+平均階調度×平均階調度の重み付け係数+平均色相×平均色相の重み付け係数+定数項)
を含む。
【0054】
さらに、一実例では、重み付け係数は、
赤色度の重み付け係数=30.2334572と、
青色度の重み付け係数=414.549091と、
黄色度の重み付け係数=-32.4228204と、
赤の標準偏差の重み付け係数=0.79065124と、
平均階調度の重み付け係数=-0.469628029と、
平均色相の重み付け係数=-0.187562146と、
定数項=-304.008636と
を含む。
【0055】
一実施例では、重みのこの事前決定は、ターゲット値として使用されるべき回収ボイラーの還元率を決定するために回収ボイラーの化学スメルト・サンプルの実験室測定値を使用することからなる。さらに、上述の回収ボイラーの化学スメルト・サンプルを示す基準材料として1つ又は複数のデジタル較正フレームが生成され、上述の1つ又は複数のスペクトル特性値が決定される。較正フレームと実験室サンプルとのためのサンプリングは、プロセスばらつきをなくすために、できる限り同時に実行される。この後に、決定されたスペクトル特性値と決定されたターゲット値とは互いに適合させられる。一実例では、決定されたスペクトル特性値と還元率ターゲット値とは、述べられた色値のための重みを定義することによって互いに適合させられる。重みは、還元率関数から還元率ターゲット値を計算するために使用される。
【0056】
一実例では、実験室測定はガラス管サンプルの実験室分析を含む。ガラス管サンプリングの一実例では、ガラス管は、サンプリング・アームを用いて手動でスメルト流に通され、引き上げられ、酸化欠陥を低減するために塞がれる。サンプルは実験室において分析される。同じサンプルはまた、本発明に従って分析され得る。
【0057】
一実施例では、適合は、最小2乗法(たとえば、線形最小2乗法(linear method of least squares))を使用して行われる。言い換えれば、線形最小2乗適合は、たとえば、計算されたスペクトル特性値と実験室測定値との間で実行される。
【0058】
別の実施例では、適合のためにニューラル・ネットワーク計算が使用される。一実例では、計算されたスペクトル特性値はニューラル・ネットワークの入力として働き、還元率値は出力として働く。計算されたスペクトル特性値及び実験室測定値はニューラル・ネットワークのためのトレーニング材料として使用され得る。一実例では、ニューラル・ネットワークは、完全に接続されたニューラル・ネットワークを含む。
【0059】
言い換えれば、異なるスペクトル特性値の重み付け係数は計算において実験室測定値に適合され、測定の不正確さができる限り低くなるように、累積された基準材料に基づいて最良の可能な適合が求められる。スペクトル特性値は、どのスペクトル特性値が結果についての最良の適合を与えるか、すなわち、どのスペクトル特性値が還元率の変化を最も良く示すかに応じて、還元率関数に追加されるか、又は還元率関数から削除され得る。一実例では、還元率関数は、工場特異的に、及び/又は工場の原料に応じて適合される。
【0060】
適合は、適合に基づいて各スペクトル特性値について重み付け係数が定義されている還元率関数を与える。この後に、重み付け係数は、実際の実験室分析なしに還元率を計算するために使用され得る。本発明による動作中に達成された結果は、必要に応じて還元率関数を更新するために、同じ時間及びサンプリング・ポイントの実験室サンプルと比較され得る。
【0061】
一実施例では、デジタル・フレームは、そのフレームによって示されている化学スメルト・サンプルの(スメルト・スパウトなど)サンプリング・ポイントの識別と、フレームによって示されている化学スメルト・サンプルのサンプリング時間(たとえば、タイム・スタンプ)とのうちの少なくとも1つを含むサンプリング情報を伴う。タイムスタンプ及び他の類似のものの使用は、たとえば、所望の時間期間の間に閲覧され得る、タイムスタンプされた傾向の作成を可能にする。
【0062】
本発明の1つの適用例では、決定された回収ボイラーの還元率は、たとえば、回収ボイラーの燃料供給と、燃焼を最適化するための異なるレベルの燃焼用空気量とを制御するように、回収ボイラーを制御するために使用される。
【0063】
図3は、例示的な実施例による、回収ボイラーの還元率を指定するための方法300の例示的なフロー・チャートを示す。
【0064】
動作301において、それの少なくとも一部が回収ボイラーの化学スメルト・サンプルを示すデジタル・フレームを読み取るために、プロセッサが使用される。
【0065】
動作302において、プロセッサを用いて読み取られたデジタル・フレーム内で、化学スメルト・サンプルを示すデジタル・フレーム中の領域の少なくとも一部を含む関心領域が決定される。
【0066】
動作303において、プロセッサを用いて決定された関心領域のピクセル値の中から、還元率の変化と相関する1つ又は複数のスペクトル特性値が決定される。
【0067】
動作304において、プロセッサを用いて、事前定義された重みにおいて決定されたスペクトル特性値のうちの1つ又は複数のスペクトル特性値の還元率関数を使用して、回収ボイラーの還元率が決定される。
【0068】
方法300は、
図2のデバイス200を用いて実行され得る。方法300の追加の特徴は、デバイス200の動作とパラメータとの直接結果であり、したがって、それらはここでは繰り返さない。方法300は1つ又は複数のコンピュータ・プログラムを用いて実行され得る。
【0069】
例示的な実施例は、たとえば、例示的な実施例のプロセスを動作させることが可能である、任意の好適なコンピュータ・デバイスなどを含み得る。例示的な実施例のデバイス及びサブシステムは、任意の好適なプロトコルを使用して互いと通信することができ、それらは、1つ又は複数のプログラムされたコンピュータ・システム又はデバイスを使用して実装され得る。
【0070】
インターネット接続、任意の好適なフォーマット(ボイス、モデムなど)での電気通信、ワイヤレス通信媒体などを含む、1つ又は複数の接続機構が例示的な実施例とともに使用され得る。通信ネットワーク又は接続は、たとえば、1つ又は複数の衛星通信ネットワーク、ワイヤレス通信ネットワーク、セルラー通信ネットワーク、3G通信ネットワーク、4G通信ネットワーク、5G通信ネットワーク、一般的な交換電話網、パッケージ・データ・ネットワーク、インターネット、イントラネット、又はこれらの組合せを含み得る。
【0071】
本分野の専門家が理解するように、例示的な実施例を実装するために使用される特定の手段の多くの変形形態が可能であるので、例示的な実施例は実例にすぎないことを理解されたい。たとえば、例示的な実施例の1つ又は複数の構成要素の機能はハードウェア及び/又はソフトウェアによって実装され得る。
【0072】
例示的な実施例は、この報告において説明されている異なるプロセスに関係する情報を保存することができる。この情報は、ハードディスク、光ディスク、磁気光ディスク、RAMメモリなど、1つ又は複数のメモリに保存され得る。本発明の例示的な実施例を実装するために使用される情報は1つ又は複数のデータベースに保存され得る。データベースは、ここに記載された1つ又は複数のメモリ又は記憶媒体中に含まれるデータ構造(たとえば、データ記録、テーブル、ボード、フィールド、グラフ、ツリー又はリスト)を使用して編成され得る。例示的な実施例に関して、説明されたプロセスは、例示的な実施例のデバイスのプロセスとサブシステムとによって1つ又は複数のデータベース中に収集され及び/又は生成されたデータを保存するための適切なデータ構造を含み得る。
【0073】
例示的な実施例は、本分野の専門家が理解するように、本発明の例示的な実施例の教示に従ってプログラムされた1つ又は複数の汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、DSPプロセッサ、マイクロコントローラなどを使用して、全体的に又は部分的に実装され得る。平均的なプログラマーは、ソフトウェア分野の専門家が理解するように、例示的な実施例の教示に基づいて適切なソフトウェアを容易に生成することができる。さらに、例示的な実施例は、エレクトロニクス分野の専門家が理解するように、特定用途向け集積回路を使用することによって、又は適切なネットワークの従来の構成要素回路を組み合わせることによって実装され得る。したがって、例示的な実施例はハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。
【0074】
任意のコンピュータ可読媒体又はそれらの組合せに保存されると、本発明の例示的な実施例は、例示的な実施例の構成要素を制御し、例示的な実施例の構成要素を動作させ、例示的な実施例の構成要素と人間ユーザなどとの間の対話を可能にするためのソフトウェアを含み得る。そのようなソフトウェアは、限定はしないが、デバイス・ドライバ、ファームウェア、オペレーティング・システム、ソフトウェア開発ツール、アプリケーション・ソフトウェアなどを含み得る。これらのコンピュータ可読媒体は、本発明の実装におけるプロセスを全体的に又は(処理が分散型である場合)部分的に実行するための本発明の実施例のコンピュータ・プログラム製品を含み得る。本発明の例示的な実施例のコンピュータ・デバイスは、限定はしないが、コマンド・スクリプト、解釈可能なプログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ、Java(登録商標)クラス及びアプレット、完全に実行可能なプログラムなどを含む、任意の好適な解釈可能な又は実行可能なコード機構を含み得る。さらに、本発明の例示的な実施例の処理の一部は、性能、信頼性、コストなどを改善するために分散させられ得る。
【0075】
上述のように、例示的な実施例の構成要素は、本発明の教示に従ってプログラムされたコマンド、並びにデータ構造、テーブル、データ記録、及び/又はこの報告において説明されている他のデータを記憶するためのコンピュータ可読媒体又はメモリを含み得る。コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されるべきコマンドを編成することに関与する任意の好適な媒体を含み得る。そのような媒体は、限定はしないが、不揮発性又は永久記憶媒体、揮発性又は非永久記憶媒体などを含む、いくつかの形態を有し得る。不揮発性記憶媒体は光ディスク又は磁気ディスクなどを含み得る。揮発性記憶媒体はダイナミック・メモリなどを含み得る。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、コンピュータによって読み取られ得るフロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ドライブ又は任意の他の媒体を含み得る。
【0076】
本発明は、上記で説明した適用例のみに関係するように限定されず、特許請求の範囲によって指定された本発明のアイデアの枠組み内で多くの変形形態が可能である。