IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 研能科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7556896母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法
<>
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図1
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図2A
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図2B
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図3A
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図3B
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図4
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図5
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図6
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図7
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図8A
  • 特許-母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/06 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61M1/06
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022004670
(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公開番号】P2023099980
(43)【公開日】2023-07-14
【審査請求日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】111100206
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-511025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0094078(US,A1)
【文献】特表2021-524769(JP,A)
【文献】特表2020-523179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法であって、
音声再生装置を提供して聴覚刺激情報を形成し、母乳育児者の下垂体が前記聴覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の乳腺から母乳を排出させ、
搾乳器を提供して触覚刺激情報を形成し且つ前記母乳を収集し、前記搾乳器は本体と吸乳シールドとを備え、前記本体は挿入空間を有し、前記吸乳シールドは前記挿入空間に組み立てられ且つ前記本体に取り外し可能であり、前端に縁部が設けられ、前記縁部の中心後端部に乳首通路が延在し、前記搾乳器が母乳育児者の乳房に装着され、前記搾乳器の前記縁部と前記乳首通路との間に配置される接続リング縁部に、少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、エアポンプによって、前記変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して前記乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する前記触覚刺激情報を形成し、前記母乳育児者の下垂体が前記触覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進し、前記母乳を集中処理するために前記搾乳器が前記母乳を収集し、
吸乳シールドの乳首通路の後端部に第1センサーが配置され、前記第1センサーが前記乳房から前記母乳を排出しているかどうかを検出し、前記第1センサーが母乳を排出していない状態であると判断した場合、前記エアポンプが動作され、前記変形可能な部材を膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御して、前記乳房を圧迫する、ことを特徴とする母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項2】
前記音声再生装置は、乳児の音声を録音または再生し、前記母乳育児者の下垂体が前記聴覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を刺激し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させる、ことを特徴とする請求項1に記載の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項3】
母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法であって、
映像再生装置を提供して視覚刺激情報を再生し、前記母乳育児者の下垂体が前記視覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の乳腺から母乳を生成し、
搾乳器を提供して触覚刺激情報を形成し、及び前記母乳を収集し、前記搾乳器は本体と吸乳シールドとを備え、前記本体は挿入空間を有し、前記吸乳シールドは前記挿入空間に組み立てられ且つ前記本体に取り外し可能であり、前端に縁部が設けられ、前記縁部の中心後端部に乳首通路が延在し、前記搾乳器が前記母乳育児者の乳房に装着され、前記搾乳器の前記縁部と前記乳首通路との間に配置される接続リング縁部少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、エアポンプによって、前記変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して前記乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を形成し、前記母乳育児者の下垂体が前記触覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進し、前記母乳を集中処理するために前記搾乳器が前記母乳を収集し、
吸乳シールドの乳首通路の後端部に第1センサーが配置され、前記第1センサーが前記乳房から前記母乳を排出しているかどうかを検出し、前記第1センサーが母乳を排出していない状態であると判断した場合、前記エアポンプが動作され、前記変形可能な部材を膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御して、前記乳房を圧迫する、ことを特徴とする母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項4】
前記映像再生装置は、乳児の映像及び音声を再生し、前記母乳育児者の下垂体を刺激して前記視覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させる、ことを特徴とする請求項3に記載の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項5】
前記エアポンプは、圧電ポンプ、電動ポンプ、またはその組合せである、ことを特徴とする請求項1または3に記載の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項6】
前記エアポンプは、複数直列方式、複数並列方式、またはその組合せの方式で取り付けられる、ことを特徴とする請求項1または3に記載の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項7】
前記変形可能な部材は、可撓性材料のエアバッグである、ことを特徴とする請求項1または3に記載の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【請求項8】
前記変形可能な部材は、シリコーン材料または熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料で構成される、ことを特徴とする請求項1または3に記載の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母乳の搾乳方法に関し、特に、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
母乳育児は、乳児の生存、成長および発達において重要な役割を果たす。母乳には新生児の脳発達の基本的な栄養成分が含まれており、特に初乳には抗体が含まれているため、乳児の病気に対する抵抗力を高め、アレルギー症状を軽減することができるので、授乳中の乳児に母乳を与えるのが最善である。母乳育児者が乳児に母乳を提供するために、多くの場合、手動または電動ポンプを使用して母乳を収集する。
【0003】
母乳育児者が搾乳器を利用して母乳を収集する。使用中に負圧を形成し乳房を吸引する搾乳操作を実行する。この方法では、乳房に分泌された母乳を吸い出すだけであり、一定の時間になると母乳がすべて吸い出され、さらに搾乳が続ける場合、女性の乳房が痛みを感じることがある。これによって、母乳収集が不十分であるという問題が生じられ、この問題は本発明の重要な課題である。
【0004】
母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させるために、どのような搾乳方法を使用するのは本発明が解決しようとする課題である。本発明は、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を提供し、母乳育児者に多感覚刺激を与え、自然泌乳を促進し、また、下垂体を刺激してプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を促進させ、また、搾乳器で母乳を収集する同時に、母乳育児者の多感覚刺激を与えて母乳の分泌を増やすことができ、最適な搾乳方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を提供することである。音声再生装置を提供して聴覚刺激情報を形成し、または、映像再生装置を提供して視覚刺激情報を形成し、それに、搾乳器自身が形成した触覚刺激情報と協働して、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を刺激し、自然泌乳を実現する同時に、搾乳器で母乳を収集する。これによって、最適な搾乳方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の好ましい実施形態によって、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を提供する。音声再生装置を提供して聴覚刺激情報を形成し、前記母乳育児者の下垂体が前記聴覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進する。また、搾乳器を提供して触覚刺激情報を形成し且つ母乳を収集し、前記搾乳器が前記母乳育児者の乳房に装着され、前記搾乳器に少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して前記乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を形成し、前記母乳育児者の下垂体が前記触覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進し、集中処理するために前記搾乳器で前記母乳を収集する。
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の他の実施形態によって、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を提供する。映像再生装置を提供して視覚刺激情報を形成し、前記母乳育児者の下垂体が前記視覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進する。また、搾乳器を提供して触覚刺激情報を形成し、且つ母乳を収集する。前記搾乳器が前記母乳育児者の乳房に装着され、前記搾乳器に少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して前記乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を形成し、前記母乳育児者の下垂体が前記触覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進し、集中処理するために前記搾乳器で前記母乳を収集する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の外観の概略図である。
図2A】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の第1実施形態の他の角度からの外観の概略図である。
図2B】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の第2実施形態の他の角度からの外観の概略図である。
図3A】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の第1実施形態の関連する構成要素の分解概略図である。
図3B】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の第2実施形態の関連する構成要素の分解概略図である。
図4】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の吸乳シールドの概略図である。
図5】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の断面概略図である。
図6】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器の搾乳操作を実施する概略図である。
図7】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法の搾乳器のエアポンプが搾乳操作を実施する概略図である。
図8A】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる好ましい実施形態の搾乳方法を示す図である。
図8B】本発明の母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる他の実施形態の搾乳方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴及び利点を具体化する実施形態は、以下の内容において詳細に説明する。なお、本発明は、様々な変更を加えることができるが、その変更は本発明の範囲から逸脱しない。また、以下の説明及び図面は、本発明を説明するためのものであり、限定するためのものではない。
【0010】
本発明は、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を提供しており、主に聴覚刺激情報を再生するための音声再生装置または視覚刺激情報を再生する映像再生装置を提供し、搾乳器自体の触覚刺激情報と協働して脳内で反射によりプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を刺激する同時に、搾乳器で母乳を収集することで、最適な搾乳方法を提供する。
【0011】
図8Aは、本発明の好ましい実施形態によって提供される母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を示している。
【0012】
(方法S1A):音声再生装置を提供して聴覚刺激情報を形成し、母乳育児者の下垂体が聴覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、母乳育児者の乳腺から母乳を排出させる。
【0013】
(方法S2A):搾乳器を提供して触覚刺激情報を形成し、母乳を収集する。前記搾乳器が前記母乳育児者の乳房に装着され、前記搾乳器には、少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、前記変形可能な部材が膨張および収縮の交互の動作を実行して前記乳房を圧迫する。また、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を生成し、母乳育児者の下垂体が前記触覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させる同時に、集中処理するために前記搾乳器で前記母乳を収集する。
【0014】
なお、音声再生装置が乳児の音声(例えば、泣き声、笑う声、または授乳時の声など)を録音または再生し、前記母乳育児者の下垂体が前記聴覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出する。音声再生装置は、携帯電話、レコーダー、携帯プレーヤーなどであるが、本発明はこれに限定されず、音声を再生する機能を有する任意の装置でも良い。なお、音声再生装置は、搾乳器と統合して統合装置を形成してもよく、本発明はこれに限定されない。
【0015】
図8Bは、本発明の他の好ましい実施形態によって提供される母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を示している。
【0016】
(方法S1B):映像再生装置を提供して視覚刺激情報を生成し、前記母乳育児者の下垂体が前記視覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進する。
【0017】
(方法S2B):搾乳器を提供して触覚刺激情報を生成し且つ母乳を収集する。前記搾乳器が前記母乳育児者の乳房に装着され、前記搾乳器には、少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、膨張および収縮の交互の動作を実行して前記乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を生成し、前記母乳育児者の下垂体が前記触覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させることを促進し、さらに、前記搾乳器で前記母乳を集中処理するために収集する。
【0018】
なお、映像再生装置が乳児の映像及び音声を再生し、前記母乳育児者に下垂体を直接刺激して視覚刺激情報を直接的に感じてプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)を生成し、前記母乳育児者の前記乳腺から前記母乳を排出させる。映像再生装置は、携帯電話、オーディオおよびビデオプロジェクションデバイス、バーチャルリアリティオーディオおよびビデオプロジェクションデバイス(VR装置、AR装置、MR装置、VRメガネなど)、テレビ、ノートブックコンピューター、タブレットコンピューターなどであるが、本発明はこれに限定されない。オーディオおよびビデオを再生および表示する機能を有する任意の映像再生装置でも良い。なお、映像再生装置を小型化して搾乳器に統合して統合装置を形成することもできるが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
前記の説明から分かるように、乳児の音声または乳児の搾乳の音声または映像を通して、前記母乳育児者の乳房に搾乳器を装着して母乳を収集する。搾乳器には少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を生成し、母乳育児者自身から触覚刺激情報を形成することで、母乳育児者が搾乳中に搾乳器によって変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫する触覚刺激を受けながら、音声再生装置から再生された乳児音声、または映像再生装置から再生された自分の乳児の映像を見ることで、授乳中の脳の多感覚刺激を受け、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を促進でき、その反射で自然に泌乳し、乳腺から母乳を継続的に生成および排出することが可能となる。これによって、最適の搾乳方法を提供することができる。
【0020】
本発明の搾乳器がどのように少なくとも1つの変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫するか、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を提供すること、及び第1実施形態の搾乳器と第2実施形態の搾乳器の構造について詳細に説明する。
【0021】
図1図2A図2B図3A図3B図4図5及び図6に示すように、本発明の搾乳器は、主に、本体1と、吸乳シールド2と、少なくとも1つのエアポンプと、ダックビル弁4と、母乳容器5と、接続アセンブリ6と、可撓性ダイヤフラム7とを備える。
【0022】
前記本体1は挿入空間11を有する。前記吸乳シールド2は挿入空間11に組み立てられ、本体1に対して取り外し可能であり、且つ前端に縁部21が設けられている。縁部21の中心後端部に乳首通路22が延在する。縁部21と乳首通路22との間に設けられた接続リング縁部23に少なくとも1つの変形可能な部材25(図5及び図6を参照)が設けられ、前記変形可能な部材25はエアポンプによって膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御される。本発明の第1実施形態における搾乳器では、変形可能な部材25は、エアポンプによって膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御される。エアポンプは、変形可能な部材25の膨張および収縮の交互の動作を制御する第1実施形態の第1ポンプ3Aであっても良い。また、本発明の第2実施形態の搾乳器では、変形可能な部材25は、エアポンプによって膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御され、そのエアポンプは、変形可能な部材25の膨張および収縮の交互の動作を制御する第2実施形態の第2ポンプ3Bであっても良い。また、吸乳シールド2は透明で剛性または半剛性材料で構構成される。縁部21は、可撓性材料で構成され、形状は乳房Bが適合して密封するのに適しているが、本発明はこれに限定されない。変形可能な部材25は、膨張および収縮が可能な可撓性材料、シリコーン材料、熱可塑性ポリウレタン(TPU,Thermoplastic Polyurethane)材料で構成される。本発明の具体的な実施形態では、変形可能な部材25は、膨張および収縮が可能なエアバッグであるが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
接続リング縁部23の領域において、各変形可能な部材25に対応して変形不可能な支持部材24が設けられる。実際の変形可能な部材25及び変形不可能な支持部材24の数は実際の必要に応じて調整することができる。変形不可能な支持部材24は、半剛性材料で構成され、フランジ構造であるが、本発明はこれに限定されない。
【0024】
図1を参照されたい。前記本体1の挿入空間11には、開口12とダイヤフラム溝部13とを備え、ダイヤフラム溝部13が空気口14に連通される。図4に示すように、前記吸乳シールド2の縁部21の外部にダイヤフラム保持部27が設けられる。図5及び図6に示すように、ダイヤフラム保持部27に、乳首通路22に連通する負圧口28が設けられる。可撓性ダイヤフラム7は、ダイヤフラム保持部27に配置され、吸乳シールド2が本体1の挿入空間11に対応して取り付けられ、また、ダイヤフラム保持部27がダイヤフラム溝部13に取り付けられており、可撓性ダイヤフラム7がダイヤフラム保持部27とダイヤフラム溝部13との間に完全に密閉するように取り付けられる、吸乳シールド2の乳首通路22は母乳出口26を有し、母乳出口26は本体1の開口12に対応するように配置される。母乳容器5が本体1の底部に取り付けられ、図2A及び図2Bに示すように、本体1の底部と母乳容器5との間に、接続アセンブリ6が配置され、母乳容器5が接続アセンブリ6に対応して取り付けられるので、母乳容器5が乳首通路22の母乳出口26に対応して流路H(図5及び図6を参照)を形成する。
【0025】
図5及び図6に示すように、前記ダックビル弁4が乳首通路22の母乳出口26に配置され、母乳が乳首通路22にある時、母乳出口26を介してダックビル弁4に流入し、ダックビル弁4が自動的に開き、母乳が流路Hにスムーズに流れ込み、最後に、母乳容器5に導入されて収集する。母乳がダックビル弁4に流入しない時、ダックビル弁4が閉じられ、母乳容器5中の母乳が乳首通路22の母乳出口26に逆流するのを防ぐことができる。
【0026】
本発明の第1実施形態における搾乳器では、図2A及び図3Aに示すように、空気口14は、第2管路B2を介して、挿入空間11外部の第2ポンプ3Bに連通される。第1ポンプ3Aは、第1管路B1を介して、変形可能な部材25に連通される。この構造によって、本発明の第1実施形態の搾乳器は、第2ポンプ3Bの駆動により、負圧吸引力を生成してダイヤフラム溝部13に伝達される。この時、可撓性ダイヤフラム7は、ダイヤフラム保持部27とダイヤフラム溝部13との間に変形し、同じく負圧吸引力を形成し、且つ負圧口28を通して乳首通路22にも負圧吸引力を形成することができる。図6に示すように、乳房Bが乳首通路22に挿入されると、負圧吸引力を受けて吸引されるので、搾乳操作を実行する。前記第2ポンプ3Bは、複数直列及び/または並列方式で、第2管路B2に取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。具体的な実施形態では、前記第1ポンプ3Aは、複数直列及び/または並列方式で、第1管路B1に取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。
【0027】
本発明の第1実施形態における搾乳器では、第1ポンプ3Aは、動作時に変形可能な部材25を膨張させる動作を実行し、停止時に変形可能な部材25が自動的に収縮する。これによって、第1ポンプ3Aが駆動されると、変形可能な部材25内部を空気で膨張させる。第1ポンプ3Aが駆動されないと、変形可能な部材25内部の空気が第1管路B1を介して第1ポンプ3Aに戻して自動的に収縮する。第1ポンプ3Aまたは第2ポンプ3Bは、圧電ポンプまたは電動ポンプであり、電動ポンプは、モーター、空気圧ポンプまたは電磁ポンプなどの駆動力によって形成されたエアポンプの出力装置である。なお、本発明はこれに限定されない。
【0028】
図5及び図6に示すように、前記吸乳シールド2の縁部21が母乳育児者の乳房Bに装着され、乳房Bが乳首通路22に挿入されるので、乳房Bは、第1ポンプ3Aの駆動によって変形可能な部材25を膨張および収縮の交互の動作に制御することで、女性の乳房Bを圧迫する。また、変形可能な部材25に対応して変形不可能な支持部材24を設けることで、変形不可能な支持部材24と変形可能な部材25との協働で、女性の乳房Bを圧迫し、乳児が女性の乳房Bを「しゃぶったり舐めたり」するような搾乳動作を実行し、母乳育児の開始時に自然泌乳、すなわち、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシンの生成を継続的に刺激し、乳房Bの乳腺が母乳を生成する授乳現象を実現する。
【0029】
図5及び図6に示すように、吸乳シールド2の乳首通路22の後端部に第1センサーD1が配置され、乳房Bから母乳を排出しているかどうかを検出し、乳房Bの乳腺が母乳を排出しない状態であるかどうかを判断する。また、流路Hの周縁(周辺)に第2センサーD2が配置され、乳首通路22の母乳が流路Hに流出するかどうかを検出し、乳房Bの乳腺が母乳を排出しない状態であるかどうかを判断する。
【0030】
第1センサーD1または第2センサーD2が乳房Bの乳腺から母乳を排出していない状態であると判断した場合、第1ポンプ3Aが動作され、変形可能な部材25を膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御して、乳房Bを圧迫し、それに、変形可能な部材25に対応して設置された変形不可能な支持部材24によって、変形不可能な支持部材24と変形可能な部材25との協働で乳房Bを圧迫し、乳児が女性の乳房Bを「しゃぶったり舐めたり」するような搾乳動作を実行し、乳房Bを刺激して乳腺から母乳を排出させる。
【0031】
以上の説明から分かるように、乳児の音声または乳児の搾乳の音声または映像を利用して、さらに、本発明の第1実施形態における搾乳器を母乳育児者の乳房に装着して母乳を収集する。搾乳器に設けられた少なくとも1つの変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を形成し、母乳育児者自身から触覚刺激情報を生成することができる。母乳育児者が、搾乳中に搾乳器の変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫する触覚刺激に加えて、音声再生装置から再生した乳児音声、または映像再生装置から再生した自分の乳児の映像を利用して、授乳中の脳が多感覚刺激を受け、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を促進でき、その反射で自然泌乳ができ、乳腺から母乳を継続的に生成および排出することが可能となる。これによって、最適の搾乳方法を提供することができる。
【0032】
また、本発明の第2実施形態における搾乳器では、図2B図3B及び図7に示すように、第2ポンプ3Bは、空気吸込端31B及び空気吐出端32Bを備える。空気吸込端31Bは、第1弁制御部材3Cの制御により、乳首通路22を吸引することで負圧を生成し、空気吐出端32Bは、第2弁制御部材3Dの制御により、空気を吐き出すことで、変形可能な部材25の膨張および収縮を実現する。変形可能な部材25は、第2ポンプ3Bによって、膨張および収縮を実行するように制御される。他の実施形態と比較して、第1ポンプ3Aの設置は省略され、単に1つの第2ポンプ3Bを第1弁制御部材3C、第2弁制御部材3Dに整合した制御方式である。1つの第2ポンプ3Bが第1弁制御部材3C、第2弁制御部材3Dと整合して負圧搾乳及び変形可能な部材25の膨張および収縮を実行する。
【0033】
図4図5及び図7に示すように、前記ダイヤフラム溝部13に連通する空気口14は、第2管路B2を介して、第1弁制御部材3Cに連通され、前記第2ポンプ3Bの空気吸込端31Bは、第2管路B2を介して、第1弁制御部材3Cに連通され、空気吐出端32Bは、第2管路B2を介して、第2弁制御部材3Dに連通され、第2弁制御部材3Dは、第2管路B2を介して、変形可能な部材25に連通される。第2ポンプ3Bは、複数直列方式で第2管路B2に取り付けられ、または複数並列方式で第2管路B2に取り付けられるが、本発明はこれに限定されない。第2ポンプ3Bは、圧電ポンプまたは電動ポンプであり、電動ポンプは、モーター、空気圧ポンプまたは電磁ポンプなどの駆動力によって形成されたエアポンプの出力装置であるが、本発明はこれに限定されない。前記第1弁制御部材3Cは電磁弁であり、第2弁制御部材3Dは電磁弁であるが、本発明はこれに限定されない。
【0034】
以上の説明から分かるように、図6及び図7に示すように、吸乳シールド2の縁部21が母乳育児者の乳房Bに装着され、乳房Bが乳首通路22に挿入される。第2ポンプ3Bが動作すると、第2ポンプ3Bの空気吸込端31Bは、第1弁制御部材3Cの制御により、吸引して負圧吸引力を形成し、形成された負圧吸引力はダイヤフラム溝部13に伝達され、ダイヤフラム保持部27とダイヤフラム溝部13との間に設置された可撓性ダイヤフラム7を変形させ、同じく負圧吸引力を形成する。また、負圧口28では、乳首通路22にも負圧吸引力を形成するので、乳首通路22に挿入された乳房Bは、乳首通路22で形成された負圧吸引力によって吸引して搾乳操作を実行する。第2ポンプ3Bが動作する時、第2ポンプ3Bの空気吐出端32Bから吐き出された空気は、第2弁制御部材3Dによって、吐き出されるか、出さないかを制御する。これによって、変形可能な部材25内部は空気によって膨張し、または変形可能な部材25内部に空気が流入せず、変形可能な部材25が収縮する。これによって、変形可能な部材25の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房Bを圧迫し、乳児が女性の乳房Bを押しながら舐めるような搾乳動作を実行する。または、変形可能な部材25は、第2ポンプ3Bの空気吐出端32Bが第2弁制御部材3Dによって空気を吐き出すまたは吐き出さないように制御されることで、膨張および収縮の交互の動作を実行して女性の乳房Bを圧迫し、さらに、変形可能な部材25に対応して変形不可能な支持部材24を設けることで、変形不可能な支持部材24と変形可能な部材25との協働で乳房Bを圧迫し、乳児が女性の乳房Bを「しゃぶったり舐めたり」するような搾乳動作を実行し、母乳育児の開始時に自然泌乳、すなわち、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシンの生成を継続的に刺激し、乳房Bの乳腺が母乳を生成する授乳現象を実現し、乳房Bを刺激して乳腺から母乳を排出させる。
【0035】
第1センサーD1、第2センサーD2は、乳房Bの乳腺から母乳を排出しない状態であることを検出及び判断した場合、第2ポンプ3Bが動作され、第2弁制御部材3Dを介して、変形可能な部材25が第2ポンプ3Bによって膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御されて乳房Bを圧迫し、乳児が女性の乳房Bを「しゃぶったり舐めたり」するような搾乳動作を擬似し、乳房Bの乳腺を刺激して母乳を排出させる。また、第2弁制御部材3Dによって、変形可能な部材25が第2ポンプ3Bによって膨張および収縮の交互の動作を実行するように制御されて乳房Bを圧迫し、さらに、変形可能な部材25に対応して変形不可能な支持部材24を設けることで、変形不可能な支持部材24と変形可能な部材25との協働で乳房Bを圧迫し、乳児が女性の乳房Bを「しゃぶったり舐めたり」するような搾乳動作を擬似し、乳房Bの乳腺を刺激して母乳を排出させる。
【0036】
上記の説明から分かるように、乳児の音声または乳児の搾乳の音声または映像を通して、本発明の第2実施形態における搾乳器を母乳育児者の乳房に装着して母乳を収集し、且つ搾乳器には少なくとも1つの変形可能な部材が設けられ、変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫し、乳児の授乳状態を擬似する触覚刺激情報を生成し、母乳育児者自身から触覚刺激情報を形成することで、母乳育児者が搾乳中に搾乳器によって変形可能な部材の膨張および収縮の交互の動作を実行して乳房を圧迫する触覚刺激を受けながら、音声再生装置から再生された乳児音声、または映像再生装置から再生された自分の乳児の映像を見ることで、授乳中の脳の多感覚刺激を受け、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を促進でき、その反射で自然泌乳ができ、乳腺から母乳を継続的に生成および排出することが可能となる。これによって、最適の搾乳方法を提供することができる。
【0037】
上述したように、本発明は、母乳育児者の乳腺を刺激して母乳を排出させる搾乳方法を提供しており、音声再生装置を提供して聴覚刺激情報を再生し、または、映像再生装置を提供して視覚刺激情報を再生し、さらに、搾乳器自身で形成された触覚刺激情報を利用して、脳内でのプロラクチン(prolatine)またはオキシトシン(oxytocin)の生成を促進でき、同時に搾乳器で母乳を収集することができ、最適の搾乳方法を提供でき、産業上非常に実用的な価値がある。
【符号の説明】
【0038】
1:本体
11:挿入空間
12:開口
13:ダイヤフラム溝部
14:空気口
2:吸乳シールド
21:縁部
22:乳首通路
23:接続リング縁部
24:変形不可能な支持部材
25:変形可能な部材
26:母乳出口
27:ダイヤフラム保持部
28:負圧口
3A:第1ポンプ
3B:第2ポンプ
31B:空気吸込端
32B:空気吐出端
3C:第1弁制御部材
3D:第2弁制御部材
4:ダックビル弁
5:母乳容器
6:接続アセンブリ
7:可撓性ダイヤフラム
B:乳房
B1:第1管路
B2:第2管路
D1:第1センサー
D2:第2センサー
H:流路
S1A、S2A、S1B、S2B:方法
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B