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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】配信制御装置及び配信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/60 20220101AFI20240918BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240918BHJP
   G06Q 50/50 20240101ALI20240918BHJP
【FI】
H04L67/60
G06Q10/04
G06Q50/50
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022022813
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2023119770
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中島 康雄
(72)【発明者】
【氏名】谷村 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】清水 俊樹
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169063(WO,A1)
【文献】特開2004-235970(JP,A)
【文献】米国特許第11010697(US,B1)
【文献】特表2018-509093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00-67/75
G06Q 10/04-10/047
G06Q 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算処理装置と、記憶装置と、を有する配信制御装置であって、
前記記憶装置は、通信品質の予測モデルと、データの配信計画と、を保持し、
前記予測モデルは、前記通信品質の確率密度分布を含み、
前記配信計画は、前記データの配信先の識別情報と、前記データの配信が行われる時間を示す時間情報と、を含み、
前記計算処理装置は、
前記予測モデルに基づいて、前記データの配信計画に含まれる前記時間情報によって特定される開始時刻から終了時刻までに前記データの配信が完了する確率を予測し、
予測した前記データの配信が完了する確率を出力することを特徴とする配信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配信制御装置であって、
前記確率密度分布は、前記時間情報と、前記データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、を特徴量として含む多次元の確率密度分布であることを特徴とする配信制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配信制御装置であって、
前記記憶装置は、前記時間情報と、前記データの配信先の識別情報と、前記データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、を対応付ける配信先情報を保持し、
前記計算処理装置は、前記配信先情報に基づいて、前記配信計画に含まれる前記時間情報及び前記データの配信先の識別情報に対応する前記データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかを含む前記特徴量を生成し、
前記生成した特徴量を前記予測モデルに適用することによって、前記開始時刻から前記終了時刻までに前記データの配信が完了する確率を予測することを特徴とする配信制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の配信制御装置であって、
前記計算処理装置は、
所定のタイミングで前記データの配信先との通信品質を測定し、
前記測定した通信品質と前記予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって測定時の通信状態を判定し、
前記判定した通信状態を出力することを特徴とする配信制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の配信制御装置であって、
前記計算処理装置は、
前記測定した通信品質と前記予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって、前記測定した通信品質の尤度を計算し、
前記測定した通信品質の尤度が所定の基準より低く、かつ、前記データの配信先への前記データの配信が実行中である場合、前記通信状態が異常であることを示す情報を出力することを特徴とする配信制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の配信制御装置であって、
前記計算処理装置は、
所定のタイミングで前記データの配信先との通信品質を測定し、
前記測定した通信品質に基づいて、前記通信品質の確率密度分布を計算することによって、前記予測モデルを更新することを特徴とする配信制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の配信制御装置であって、
前記計算処理装置は、
前記測定した通信品質と前記予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって測定時の通信状態を判定し、
前記測定した通信品質と、前記判定した通信状態と、に基づいて、前記通信品質の確率密度分布を計算することによって、前記予測モデルを更新することを特徴とする配信制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の配信制御装置であって、
前記確率密度分布は、前記時間情報と、前記データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、を特徴量として含む多次元の確率密度分布であり、
前記計算処理装置は、
前記測定した通信品質と前記予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって、前記測定した通信品質の尤度を計算し、
前記測定した通信品質の尤度が所定の基準より低い場合に、前記通信状態が異常であると判定し、
前記測定した通信品質のうち、前記通信状態が異常であると判定されなかった通信品質と、前記通信品質を測定した時刻と、前記データの配信先の識別情報と、測定時の前記データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、に基づいて、前記通信品質の確率密度分布を計算することによって、前記予測モデルを更新することを特徴とする配信制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の配信制御装置であって、
前記データの配信計画に含まれる前記時間情報は、前記開始時刻の範囲及び前記終了時刻の範囲を指定する情報を含み、
前記計算処理装置は、前記開始時刻の範囲内の1以上の開始時刻と、前記終了時刻の範囲内の1以上の終了時刻と、に基づく1以上の前記開始時刻と前記終了時刻との組み合わせの各々について、前記予測モデルに基づいて、前記開始時刻から前記終了時刻までに前記データの配信が完了する確率を予測することを特徴とする配信制御装置。
【請求項10】
計算処理装置と、記憶装置と、を有する計算機システムが実行する配信制御方法であって、
前記記憶装置は、通信品質の予測モデルと、データの配信計画と、を保持し、
前記予測モデルは、前記通信品質の確率密度分布を含み、
前記配信計画は、前記データの配信先の識別情報と、前記データの配信が行われる時間を示す時間情報と、を含み、
前記配信制御方法は、
前記計算処理装置が、前記予測モデルに基づいて、前記データの配信計画に含まれる前記時間情報によって特定される開始時刻から終了時刻までに前記データの配信が完了する確率を予測する手順と、
前記計算処理装置が、予測した前記データの配信が完了する確率を出力する手順と、を含むことを特徴とする配信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータの配信を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場機器、鉄道車両、自動車といったエッジ機器の情報化が進展しており、ネットワークを介したソフトウェア、情報コンテンツ、アプリケーション、機能などのエッジ機器への配信・配備が行われている。特に配信後に確認・反映などの後続の作業がある場合、情報配信は指定の日時までに完了できることが望ましいが、そのためには予測通信品質から配信所要時間を把握し、適切な配信計画を作成する必要がある。また、後続作業を円滑に進行するために、配信中の通信状態から配信計画の進捗を把握する必要がある。
【0003】
配信計画の作成に関して、特許文献1では複数の送信開始時刻の候補と、それぞれにおいてデータを送信した場合の終了時刻を計算し、送信開始時刻を最適化するシステムが開示されている。通信品質予測に関しては、特許文献2に確率密度関数を用いたスループットのモデル化手段が開示されている。通信状態の把握に関しては、特許文献3において通信品質の指標の測定結果に対し、接続失敗回数からその統計的信頼度を考慮して異常度を算出するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-45267号公報
【文献】国際公開第2013/008387号
【文献】特開2006-340050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は配信所要時間に対する点推定であり、予測結果を確率的に扱っていないために予測結果に対して予測精度の評価及び信頼区間による基準設定ができないという課題がある。特許文献2の技術は確率的モデルを用いて通信品質予測を行うが、この技術のみから配信所要時間の把握や配信計画作成の補助を行うことは難しい。特許文献3の技術は接続失敗回数から統計的信頼度を用いた異常検出を行っているが、接続には失敗していないが通信品質が低下するような場合に対応できない。
【0006】
そこで本発明では、確率を用いた配信所要時間予測と通信状態判断によって、統計的に評価可能な形式での配信計画の作成及び配信計画の進捗管理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一つを解決するため、本発明は、計算処理装置と、記憶装置と、を有する配信制御装置であって、前記記憶装置は、通信品質の予測モデルと、データの配信計画と、を保持し、前記予測モデルは、前記通信品質の確率密度分布を含み、前記配信計画は、前記データの配信先の識別情報と、前記データの配信が行われる時間を示す時間情報と、を含み、前記計算処理装置は、前記予測モデルに基づいて、前記データの配信計画に含まれる前記時間情報によって特定される開始時刻から終了時刻までに前記データの配信が完了する確率を予測し、予測した前記データの配信が完了する確率を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、統計的に評価可能な形式での配信計画の作成及び配信計画の進捗管理を行うことができる。具体的には、配信タイミングの選択や配信時間に対するマージンの設定、異常検出判定の基準設定を統計的基準によって行うことができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施例のシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図1B】本発明の実施例のシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施例における配信作業の全体の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施例の作業者用端末によって作成される仮配信計画ファイルの一例を示す説明図である。
図4】本発明の実施例の作業者用端末によって作成される本配信計画ファイルの一例を示す説明図である。
図5】本発明の実施例の配信補助部の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】本発明の実施例の配信制御装置による配信完了確率予測の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例における予測結果出力画面の一例を示す説明図である。
図8】本発明の実施例における端末情報データベースの動作の詳細の一例を示す説明図である。
図9】本発明の実施例の配信補助部における、配信完了確率予測の動作の詳細の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施例の配信補助部における、通信状態判定、予測モデル更新及び異常通知の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施例における異常通知表示画面の一例を示す説明図である。
図12】本発明の実施例における通信状態判定機能の動作の詳細の一例を示すフローチャートである。
図13】本発明の実施例における予測モデル更新機能の動作の詳細の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、本発明の実施例のシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
実施例1のシステムは、作業者用端末101、確認者用端末102、配信制御装置103及び複数の配信先装置104からなる。
【0012】
配信制御装置103は、記憶装置、計算処理装置及び通信装置を備えたコンピュータである。なお、配信制御装置103等を実現するコンピュータのハードウェア構成については後に図1Bを参照して説明する。
【0013】
配信制御装置103は、その機能として、配信管理部201と、本発明に該当する配信補助部202とを備える。
【0014】
配信制御装置103の各部は記憶装置内のプログラムが計算処理装置内で実行されることによって実現される。
【0015】
配信制御装置103は、記憶装置に配信ファイル301及び配信コマンドリスト302を格納する。
【0016】
配信管理部201は、作業者が作成した本配信計画ファイル304と配信補助部202からの通知に従い、配信先装置104への配信計画を実行する。配信管理部201の動作の詳細については後に図2を参照して説明する。
【0017】
本発明に該当する配信補助部202は、作業者に対する配信計画の作成補助と、配信先装置104に対する通信状態の判定及び通知と、通信品質予測モデルの更新と、を行う。詳細な構成については後に図5を参照して説明する。
【0018】
配信先装置104は、記憶装置、計算処理装置及び通信装置を備えたコンピュータである。
【0019】
配信先装置104は、それぞれ固有の配信先ID901(図3参照)によって識別される。
【0020】
配信先装置104は、その機能として通信管理部203及び配信取得部204を備える。
【0021】
配信先装置104の各部は記憶装置内のプログラムが計算処理装置内で実行されることによって実現される。
【0022】
通信管理部203は、配信先装置104と配信制御装置103との間の接続確認(ステップ602)及び通信品質の測定(ステップ604)を行う。通信管理部203の詳細な動作については後に図10を参照して説明する。
【0023】
配信取得部204は、配信制御装置103からの配信ファイル301に対する処理、配信されたコマンドリスト302の実行、及び、作業記録の作成を行う。
【0024】
作業者用端末101及び確認者用端末102は、記憶装置、計算処理装置、通信装置、入出力インターフェースを備えたコンピュータである。
【0025】
作業者用端末101と配信制御装置103とは通信ネットワーク105で、確認者用端末102と配信制御装置103とは通信ネットワーク106で、配信先装置104と配信制御装置103とは通信ネットワーク107で接続されており、それぞれは互いに通信可能な状態にある。
【0026】
本実施例は機器に対するソフトウェア配信に適用可能である。例として、工場機器、鉄道車両及び自動車といった機器に対する、OS更新、実行プログラムの配信、設定ファイルの配信及び表示コンテンツの配信が挙げられるが、本実施例はこれらに制限されるものではない。この場合、配信先装置104は各機器に搭載されたコンピュータに、配信制御装置103はソフトウェア管理サーバに対応する。
【0027】
通信ネットワーク107は、その通信品質(例えば総スループット)が時間情報904(図3参照)または環境情報907(図8参照)を変数とする確率密度関数によってモデル化することができるとする。通信ネットワーク107の例として、周期的に移動する移動体機器に対する無線ネットワーク、又は、ネットワークトラフィック量が地域及び時間帯に依存して変動する通信ネットワークが挙げられるが、本実施例はこれらに制限されるものではない。
【0028】
本実施例を周期的に移動する移動体機器に対するソフトウェア配信に適用した場合、時間情報904としては配信を行う時刻、曜日及び月日などが、環境情報907としては各配信先装置の位置、速度、標高及び通信装置の性能などが考えられるが、それらに制限されるものではない。
【0029】
本実施例をトラフィック量の変動を伴うネットワークを用いたソフトウェア配信に適用した場合、時間情報904としては配信を行う時刻、曜日、月日などが、環境情報907としては各配信先装置の位置及び周囲の機器の通信量などが考えられるが、それらに制限されるものではない。
【0030】
図1Bは、本発明の実施例のシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
配信制御装置103、配信先装置104、作業者用端末101及び確認者用端末102は、それぞれ、例えば図1Bに示すようなコンピュータ110によって実現される。コンピュータ110は、記憶装置111、計算処理装置112、通信装置113及び入出力インターフェース114を有する。
【0032】
記憶装置111は、例えば半導体メモリから構成されるいわゆる主記憶装置と、例えばハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブなどの大容量の記憶装置から構成されるいわゆる補助記憶装置とを含んでもよい。記憶装置111には、計算処理装置112によって実行されるプログラム及びデータが格納される。例えば、配信ファイル301及び配信コマンドリスト302は、配信制御装置103に相当するコンピュータ110の記憶装置111に格納される。また、後述する端末情報データベース222(図5参照)によって管理される情報は、配信制御装置103に相当するコンピュータ110の記憶装置111に格納される。
【0033】
計算処理装置112は、記憶装置111に格納されているプログラムに従って、様々な処理を実行する。計算処理装置112がプログラムに従って動作することで、様々な機能部が実現される。例えば、配信制御装置103の配信管理部201及び配信補助部の機能は、配信制御装置103に相当するコンピュータ110において、計算処理装置112が記憶装置111に格納されたプログラムに従って動作することによって実現される。また、配信先装置104の通信管理部203及び配信取得部204の機能は、配信先装置104に相当するコンピュータ110において、計算処理装置112が記憶装置111に格納されたプログラムに従って動作することによって実現される。
【0034】
通信装置113は、通信ネットワークとの接続のためのインターフェースである。例えば、配信制御装置103に相当するコンピュータ110の通信装置113は、通信ネットワーク105、106及び107に接続され、作業者用端末101、確認者用端末102及び配信先装置104との通信を行う。
【0035】
入出力インターフェース114は、例えばキーボード、マウス及びタッチパネルの少なくともいずれかのような入力装置と、例えば画像表示装置のような出力装置とを含んでもよい。
【0036】
図2は、本発明の実施例における配信作業の全体の一例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、作業者は、作業者用端末101を操作して、作成した仮配信計画ファイル303を配信補助部202に入力する(ステップ402)。仮配信計画ファイル303の例は後に図3を参照して説明する。配信補助部202は、入力された仮配信計画ファイル303に対して、指定された予定開始日時から予定終了日時までの範囲における配信完了確率の予測(ステップ403)を行い、その予測結果305を返す(ステップ404)。配信完了確率予測動作の詳細は後に図6を参照して説明する。また、予測結果305を出力するための画面の例については後に図7を参照して説明する。
【0038】
予測結果305に対して、作業者は作業者用端末101を操作して必要に応じて仮配信計画ファイル303の修正及び本配信計画ファイルの作成を行う(ステップ405)。作業者用端末101は、最終的な開始日時と予定終了日時を決定した後、それに対応する予測結果306を仮配信計画ファイルに追記することで、本配信計画ファイル304を作成する。本配信計画ファイル304の例は後に図4を参照して説明する。
【0039】
本配信計画ファイル304作成後、作業者用端末101は作業者の指示に基づいて本配信計画ファイル304を配信制御装置103に送信し、配信管理部201に登録する(ステップ406)。
【0040】
配信管理部201は、登録された本配信計画ファイル304に従い、指定の配信先装置104に配信ファイル301及び配信コマンドリスト302を配信する(ステップ407)。
【0041】
配信管理部201は、配信作業開始時に確認者用端末102に対して、本配信計画ファイル304に記された配信完了確率の予測結果306を通知する(ステップ408)。これによって、確認者は後続作業の発生するタイミングを把握することができる。
【0042】
配信先装置104内の配信取得部204は、受信した配信コマンドリスト302に従い第1段階のコマンド905(図4参照、例えば配信ファイル301の解凍・配置、作業記録の作成など)を実行する(ステップ409)。
【0043】
第1段階のコマンドの実行が完了した後、配信取得部204は配信管理部201へと第1段階完了通知を送信する(ステップ410)。
【0044】
配信管理部201は、全ての配信先装置104から第1段階完了通知を受信した後、確認者用端末102に第2段階の承認要求を送信する(ステップ411)。
【0045】
配信管理部201は、確認者用端末102から承認応答(ステップ412)を受信した後に、配信取得部204に第2段階のコマンド906(図4参照、例えば配信ファイル301の実行・反映、作業記録の作成など)の実行許可を行う(ステップ413)。
【0046】
配信取得部204は、実行許可(ステップ413)を受けて第2段階のコマンド906を実行し(ステップ414)、その後作業記録を配信管理部201へと送信する(ステップ415)。
【0047】
配信管理部201は、各配信先装置104から送信された作業記録の整合性を確認する(ステップ416)。
【0048】
その後、配信管理部201は、確認者用端末102に作業完了に対する承認要求を送信する(ステップ417)。また、配信管理部201は、確認者用端末102からの承認応答418を受信した後、作業者用端末101に配信計画完了通知を送信する(ステップ419)。これによって、配信計画の作成及びそれに基づく配信作業が終了する。
【0049】
また、上記配信計画の実行中において、配信管理部201は、配信取得部204への配信ファイル301及び配信コマンドリスト302を配信開始(ステップ408)したタイミング、及び、全配信先装置104の配信取得部204から第1段階コマンド完了通知を受信(ステップ410)したタイミングに、それぞれ配信開始通知420及び配信完了通知421を配信補助部202に送信する。配信開始通知420及び配信完了通知421は、本配信計画ファイル304中における配信先ID901、配信ファイルリスト902、配信ファイルサイズ903及び時間情報904(図4参照)を含む。
【0050】
配信補助部202は、配信開始通知受信時から配信完了通知受信時までの間、通信状態の判定(ステップ609)を行い、その結果として通信状態が異常であると判定された場合、異常状態の通知(ステップ611)を行う。
【0051】
異常状態の通知(ステップ611)を受け取った配信管理部201は、作業者用端末101及び確認者用端末102に対して異常通知を行う(ステップ612)。これによって、作業者及び確認者は作業計画における進行遅延の把握及び異常対応(ステップ613)を行うことができる。通信状態判定及び異常通知動作の詳細については後に図11を参照して説明する。
【0052】
図3は、本発明の実施例の作業者用端末101によって作成される仮配信計画ファイル303の一例を示す説明図である。
【0053】
仮配信計画303は、配信先ID901、配信ファイルリスト902、配信ファイルサイズ903、配信予定に関する時間情報904、及び配信先装置104での配信コマンドリスト302を含む。
【0054】
配信先ID901は、当該仮配信計画303に従ってファイルを配信する対象である配信先装置104の識別情報である。配信ファイル902及び配信ファイルサイズ903は、それぞれ、配信されるファイル(すなわち配信ファイル301)の識別情報及びそのサイズである。なお、同一のデータを複数の配信先装置104に配信する計画が一つの仮配信計画303として作成されてもよい。その場合は、配信先ID901に複数の配信先装置104の識別情報が含まれる。
【0055】
配信予定に関する時間情報904は、ファイルを配信する予定の時間を示す情報であり、例えば予定開始日時及び予定終了日時を含む。予定開始日時及び予定終了日時は、それぞれ幅を持った情報であってもよい。図3の例では、2021年12月1日の10時0分から11時0分までの間に配信を開始し、同日の12時30分から13時30分までの間に配信が終了することが計画されている。
【0056】
配信コマンドリスト302は、ファイルの配信の際に配信先装置104で実行される一つ以上のコマンドを含む。図3の例では、配信コマンドリスト302は、第1段階のコマンド905(例えば配信ファイル301の解凍・配置、作業記録の作成など)及び第2段階のコマンド906(例えば配信ファイル301の実行・反映、作業記録の作成など)を含む。
【0057】
図4は、本発明の実施例の作業者用端末101によって作成される本配信計画ファイル304の一例を示す説明図である。
【0058】
本配信計画304は、配信先ID901、配信ファイルリスト902、配信ファイルサイズ903、配信予定に関する時間情報904、配信先装置104での実行コマンドリスト302、及び本計画における配信完了確率の予測結果306を含む。
【0059】
配信先ID901、配信ファイルリスト902、配信ファイルサイズ903及び配信コマンドリスト302は、本配信計画304の元となった仮配信計画303と同一である。本配信計画304の配信予定に関する時間情報904は、仮配信計画303の配信予定に関する時間情報904に含まれる予定開始日時から選択された予定開始日時と、当該予定開始日時及び配信完了確率の予測結果306に基づいて定められる予定終了日時とを含む。本計画における配信完了確率の予測結果306は、選択された予定開始日時に配信が開始された場合の各時刻における配信完了確率の予測結果を含む。これについては後に詳細に説明する。
【0060】
図5は、本発明の実施例の配信補助部202の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
配信補助部202は、配信完了確率予測(ステップ403)を実現するための機能として、配信計画情報抽出機能221、端末情報データベース222、予測モデル更新機能226、及び配信完了確率予測機能223を持つ。これらの機能の動作フロー図は図6を参照して説明する。
【0062】
また、配信補助部202は、通信状態判定(ステップ609)、配信完了確率予測モデルの更新(ステップ614)及び異常通知(ステップ612)を実現するための機能として、通信品質取得機能224、通信状態判定機能225、及び予測モデル更新機能226を持つ。これらの機能の動作フローは後に図10を参照して説明する。
【0063】
図6は、本発明の実施例の配信制御装置103による配信完了確率予測(ステップ403)の動作の一例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、配信制御装置103の配信補助部202は、ステップ402において入力された仮配信計画ファイル303から配信計画情報抽出機能221によって情報抽出を行う(ステップ501)。抽出した配信先ID901及び配信時間情報904は端末情報データベース222に渡される(ステップ502)。抽出した配信ファイルリスト902及び配信ファイルサイズ903は配信完了確率予測機能223に渡される(ステップ503)。
【0065】
端末情報データベース222は、抽出された配信先ID901及び配信時間情報904を基にデータベースを照会し、特徴量テーブル307を作成する(ステップ504)。端末情報データベース222及び特徴量テーブル307については後に図8を参照して説明する。
【0066】
作成した特徴量テーブル307は、配信完了確率予測機能223へと渡される(ステップ505)。配信完了確率予測機能223は、特徴量テーブル307を受け取った場合に予測の要求があったと判断し、その時点における最新の予測モデル(スループット確率密度関数)308を予測モデル更新機能226へ要求し(ステップ506)、取得する(ステップ507)。予測モデル308の詳細については後に図10を参照して説明する。
【0067】
配信完了確率予測機能223は、上記の処理によって取得された配信ファイルサイズ903、特徴量テーブル307及び予測モデル308を用いて配信計画に対応する配信完了確率を予測し(ステップ508)、作業者用端末101へと予測結果305を出力する(ステップ404)。配信完了確率予測(ステップ508)の動作の詳細については後に図9を参照して説明する。
【0068】
図7は、本発明の実施例における予測結果出力画面の一例を示す説明図である。
【0069】
予測結果出力画面701は、配信制御装置103による配信完了確率の予測結果305を出力するための画面である。例えば、配信制御装置103が配信完了確率の予測結果305を作業者用端末101に送信し、作業者用端末101の出力装置(例えば作業者用端末101に相当するコンピュータ110の入出力インターフェース114に含まれる画像表示装置)が予測結果出力画面701を表示してもよい。
【0070】
予測結果出力画面701は、例えば、仮配信計画303と同様の配信先ID901、配信ファイルリスト902、配信ファイルサイズ903及び時間情報904に加えて、予測結果305を含む。予測結果305は、時間情報904の予定開始日時の範囲内のいくつかの開始日時と、予定終了日時の範囲内のいくつかの終了日時との組み合わせの各々について、開始日時に開始した配信が終了日時に終了する確率を予測した結果を示す。
【0071】
図7の予測結果305のような形式で開始日時と終了日時との組に対してそれぞれ配信完了確率を予測することで、作業者は要求信頼度に対応する配信所要時間を把握でき、配信時間におけるマージン設定及び後続の作業計画作成の一助とする効果が得られる。
【0072】
図8は、本発明の実施例における端末情報データベース222の動作の詳細の一例を示す説明図である。
【0073】
端末情報データベース222には、配信先ID901及び時間情報904と紐付けられた環境情報907が事前に入力され、格納されている。時間情報904の例として配信を行う時刻、曜日及び月日が、環境情報907の例として各配信先装置の位置、速度、標高、通信装置の性能及び周囲の機器の通信量などが考えられるが、それらに制限されるものではない。
【0074】
仮配信計画ファイル303から照会情報(抽出された配信先ID901と時間情報904)が入力された場合、端末情報データベース222は、対応する環境情報907を照会し、特徴量テーブル307を作成する。特徴量テーブル307は配信先ID901、時間情報904及び環境情報907の対応表であり、後述する予測モデル308が持つ多次元の変数に対応する。
【0075】
図9は、本発明の実施例の配信補助部202における、配信完了確率予測(ステップ508)の動作の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0076】
まず、配信補助部202の配信完了確率予測機能223は、時間情報904から、予測時間区間314(開始日時と終了日時)のテーブルを設定する(ステップ581)。例えば、時間情報904が、開始日時の範囲を指定する情報と、終了日時の範囲をしている情報とを含む場合、指定された範囲内の1以上の開始日時と、指定された範囲内の1以上の終了日時と、の組み合わせが設定される。本実施例では3つの開始日時と3つの終了日時との9通りの組み合わせが予測時間区間314として設定される。
【0077】
その後、配信完了確率予測機能223は、設定した予測時間区間314に対して、特徴量テーブル307を用いて変数変換を行い、予測時間区間314と予測モデル(スループット確率密度)308の変数を対応させた予測変数区間315を作成する(ステップ582)。
【0078】
その後、配信完了確率予測機能223は、予測変数区間315に従ってスループット確率密度関数を周辺化し、予測時間区間における総スループットの確率密度関数316を得る(ステップ583)。
【0079】
配信完了確率予測機能223は、予測時間区間における総スループットの確率密度関数316に対して、配信ファイル301サイズ以上となる確率を積分して求めることによって、予測時間区間における配信完了確率を計算する(ステップ584)。すなわち、総スループットの確率密度関数316に基づいて、開始日時から終了日時までの予測時間区間に配信できるデータのサイズが配信ライブ301のサイズ以上となる確率が、当該予測時間区間における配信完了確率として計算される。
【0080】
時間情報904から作成した予測時間区間テーブルに設定された全ての開始日時と終了日時との組に対してそれぞれ上記の計算を行うことで、図7に示した予測結果305が得られる。配信先ID901が複数指定されている場合は、各配信先ID901に対してそれぞれ配信完了確率を計算した後、最悪値を予測結果とする。最後に、配信完了確率予測機能223は、予測結果を出力する(ステップ404)。
【0081】
図10は、本発明の実施例の配信補助部202における、通信状態判定、予測モデル更新及び異常通知の動作の一例を示すフローチャートである。
【0082】
配信制御装置103内の配信補助部202は、通信品質取得機能224によって周期的に各配信先装置104内の通信管理部203との接続確認(ステップ601、602)を行う。接続が確立されている場合、通信品質取得機能224は、スループット測定用データ309を通信管理部203へと送信する(ステップ603)。
【0083】
スループット測定用データ309を受け取った通信管理部203は、測定情報310を返す(ステップ604)。測定情報310は、測定スループット908に加え、測定配信先ID909、測定時間情報910、測定時の位置・速度・標高などの測定環境情報911を含む。
【0084】
取得した測定情報310は、通信状態判定機能225へと入力される(ステップ605)。
【0085】
通信品質取得機能224は、通信管理部203との接続を確立できなかった場合、接続断状態であることを示す測定情報310を作成し、通信状態判定機能225へと入力する(ステップ606)。
【0086】
通信状態判定機能225は、通信品質取得機能224からの測定情報310の受付と並行して、配信管理部201から配信開始通知420及び配信完了通知421の受付を行う。
【0087】
測定情報を受け取った通信状態判定機能225は、予測モデル更新機能226に予測モデル308を要求する(ステップ607)。
【0088】
要求を受けた予測モデル更新機能226は、その時点での最新の予測モデルを返す(ステップ608)。
【0089】
通信状態判定機能225は、入力された測定情報310を用いて通信状態を判定する(ステップ609)。
【0090】
通信状態の判定結果311及び現在の配信状況312に応じて、通信状態判定機能225は、予測モデル更新機能226への更新用データ313の送信(ステップ610)、及び、配信管理部201への異常通知(ステップ611)を行う。通信状態判定機能225の動作の詳細は後に図12を参照して説明する。
【0091】
配信管理部201は、ステップ611の異常通知を受け取った場合、現在の配信計画の進捗が異常状態であることを作業者用端末101及び確認者用端末102に送信する(ステップ612)。
【0092】
作業者用端末101及び確認者用端末102がステップ612の異常通知を受け取ることで、作業者及び確認者は異常対応(ステップ613)を行うことができる。
【0093】
図11は、本発明の実施例における異常通知表示画面の一例を示す説明図である。
【0094】
異常通知表示画面1101は、配信制御装置103による通信状態判定(ステップ609)の結果、通信状態が異常であると判定された場合に、そのことを示す情報を出力するための画面である。例えば、配信制御装置103が通信状態の異常を示す通知を作業者用端末101及び確認者用端末102に送信し、作業者用端末101及び確認者用端末102の出力装置(例えばそれぞれ作業者用端末101及び確認者用端末102に相当するコンピュータ110の入出力インターフェース114に含まれる画像表示装置)が異常通知表示画面1101を表示してもよい。
【0095】
異常通知表示画面1101には、現在実行中の配信計画に関する配信ファイルリスト902、配信ファイルサイズ903及び時間情報904に加えて、異常を検出した配信先ID909、異常を検出した時間を示す測定時間情報910、異常を検出した環境(例えば測定時の位置・速度・標高など)を示す測定環境情報911、及び異常を検出したことを示す通信状態の判定結果311が表示される。
【0096】
図12は、本発明の実施例における通信状態判定機能225の動作の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0097】
測定情報310が入力された場合、通信状態判定機能225はまず予測モデル更新機能226に対して現時点での最新の予測モデル(スループット確率密度関数)308を要求し(ステップ607)、取得する(ステップ608)。その後、通信状態判定機能225は、取得した予測モデル308に対して測定環境情報907の値を代入し、測定環境における測定スループット908の尤度を得る(ステップ691)。通信状態判定機能225は、この尤度と測定情報310に対してクラス分類(ステップ692)を行うことで、通信状態の判定(ステップ609)を行う。
【0098】
通信状態には正常状態と異常状態があり、例えば、尤度が所定の基準より高い場合には正常状態、低い場合には異常状態と判定してもよい。各状態は、更に複数のクラス、例えば正常(高スループット)、正常(中スループット)、正常(低スループット)、異常(低スループット)、及び異常(接続断)などに細分化されてもよい。
【0099】
通信状態判定結果311と測定情報310とを合わせた更新用データ313が予測モデル更新機能226へ入力される。これによって予測モデル308の継続的な更新を行い、予測精度を改善・維持する。
【0100】
これらの処理に加えて、通信状態判定機能225は、配信制御装置103内の配信管理部201から配信開始通知420及び配信完了通知421の受付を行う。各通知を受信した場合、通信状態判定機能225は現在の配信状況312(配信中または非配信中)の更新を行う。
【0101】
上記の通信状態判定結果311が異常状態で、かつ現在の配信状況312が配信中であった場合、通信状態判定機能225は配信管理部201に異常通知を送信する(ステップ611)。
【0102】
図13は、本発明の実施例における予測モデル更新機能226の動作の詳細の一例を示すフローチャートである。
【0103】
予測モデル更新機能226は、その内部に予測モデル308と、予測モデル更新アルゴリズム227とを含む。
【0104】
予測モデル308は、その変数としてスループット及び多次元の特徴量(例えば、配信先ID901、時間情報904及び環境情報907を含む特徴量)を持つ確率密度関数である。
【0105】
予測モデル更新アルゴリズム227は、更新用データ313を基に予測モデル308の更新を行う。更新アルゴリズム227としては、機械学習などの任意のアルゴリズムを利用して良い。
【0106】
なお、前述のように、更新用データ313は、測定情報310及び通信状態判定結果311を含む。予測モデル更新機能226は、通信状態判定結果311を予測モデル308の更新に利用してもよい。例えば、予測モデル更新機能226は、通信状態判定結果311が異常状態である測定情報310を予測モデル308の更新に使用しなくてもよい。
【0107】
予測モデル更新機能226に対して予測モデル要求(ステップ506または607)があった場合、予測モデル更新機能226は、要求時点における最新の予測モデルを出力として返す(ステップ507または608)。
【0108】
また、本発明の実施形態のシステムは次のように構成されてもよい。
【0109】
(1)計算処理装置(例えば計算処理装置112)と、記憶装置(例えば記憶装置111)と、を有する配信制御装置(例えば配信制御装置103)であって、記憶装置は、通信品質の予測モデル(例えば予測モデル308)と、データの配信計画(例えば仮配信計画303)と、を保持し、予測モデルは、通信品質の確率密度分布を含み、配信計画は、データの配信先の識別情報(例えば配信先ID901)と、データの配信が行われる時間を示す時間情報(例えば時間情報904)と、を含み、計算処理装置は、予測モデルに基づいて、データの配信計画に含まれる時間情報によって特定される開始時刻から終了時刻までにデータの配信が完了する確率を予測し(例えばステップ403)、予測したデータの配信が完了する確率を出力する(例えばステップ404)。
【0110】
これによって、統計的に評価可能な形式での配信計画の作成及び配信計画の進捗管理を行うことができる。具体的には、配信タイミングの選択や配信時間に対するマージンの設定、異常検出判定の基準設定を統計的基準によって行うことができる。すなわち、ファイル配信に要する時間を把握し、配信作業時間のマージンを削減することができる。
【0111】
(2)上記(1)において、確率密度分布は、時間情報と、データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれか(例えば環境情報907)と、を特徴量として含む多次元の確率密度分布である。
【0112】
これによって、時間及び時間に対応する配信先の環境に応じた通信品質の確率を計算することができる。
【0113】
(3)上記(2)において、記憶装置は、時間情報と、データの配信先の識別情報と、データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、を対応付ける配信先情報(例えば端末情報データベース222)を保持し、計算処理装置は、配信先情報に基づいて、配信計画に含まれる時間情報及びデータの配信先の識別情報に対応するデータの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかを含む特徴量を生成し(例えば図8の処理)、生成した特徴量を予測モデルに適用することによって、開始時刻から終了時刻までにデータの配信が完了する確率を予測する。
【0114】
これによって、時間及び時間に対応する配信先の環境に応じた通信品質の確率を計算することができる。
【0115】
(4)上記(1)において、計算処理装置は、所定のタイミングでデータの配信先との通信品質を測定し(例えばステップ603、604)、測定した通信品質と予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって測定時の通信状態を判定し(例えばステップ609)、判定した通信状態を出力する(例えばステップ611、612)。
【0116】
これによって、統計的基準に基づく異常検出判定を行うことができる。
【0117】
(5)上記(4)において、計算処理装置は、測定した通信品質と予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって、測定した通信品質の尤度を計算し(例えばステップ691)、測定した通信品質の尤度が所定の基準より低く、かつ、データの配信先へのデータの配信が実行中である場合、通信状態が異常であることを示す情報を出力する(例えばステップ611、612)。
【0118】
これによって、統計的基準に基づく異常検出判定を行うことができる。
【0119】
(6)上記(1)において、計算処理装置は、所定のタイミングで前記データの配信先との通信品質を測定し(例えばステップ603、604)、測定した通信品質に基づいて、通信品質の確率密度分布を計算することによって、予測モデルを更新する(例えばステップ614)。
【0120】
これによって、予測モデルの精度を維持することができる。
【0121】
(7)上記(6)において、計算処理装置は、測定した通信品質と予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって測定時の通信状態を判定し(例えばステップ691)、測定した通信品質と、判定した通信状態と、に基づいて、通信品質の確率密度分布を計算することによって、予測モデルを更新する(例えばステップ614)。
【0122】
これによって、予測モデルの精度を維持することができる。
【0123】
(8)上記(7)において、確率密度分布は、時間情報と、データの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、を特徴量として含む多次元の確率密度分布であり、計算処理装置は、測定した通信品質と予測モデルに基づいて予測した通信品質とを比較することによって、測定した通信品質の尤度を計算し(例えばステップ691)、測定した通信品質の尤度が所定の基準より低い場合に、通信状態が異常であると判定し(例えばステップ692)、測定した通信品質のうち、通信状態が異常であると判定されなかった通信品質と、通信品質を測定した時刻と、データの配信先の識別情報と、測定時のデータの配信先の位置、移動速度及び高度の少なくともいずれかと、に基づいて、通信品質の確率密度分布を計算することによって、予測モデルを更新する(例えばステップ614)。
【0124】
これによって、予測モデルの精度を維持することができる。
【0125】
(9)上記(1)において、データの配信計画に含まれる時間情報は、開始時刻の範囲及び終了時刻の範囲を指定する情報を含み、計算処理装置は、開始時刻の範囲内の1以上の開始時刻と、終了時刻の範囲内の1以上の終了時刻と、に基づく1以上の開始時刻と終了時刻との組み合わせの各々について、予測モデルに基づいて、開始時刻から終了時刻までにデータの配信が完了する確率を予測する。
【0126】
これによって、統計的に評価可能な形式での配信計画の作成が支援される。
【0127】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明のより良い理解のために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0128】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によってハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによってソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、不揮発性半導体メモリ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイス、または、ICカード、SDカード、DVD等の計算機読み取り可能な非一時的データ記憶媒体に格納することができる。
【0129】
また、制御線及び情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線及び情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0130】
101 作業者用端末
102 確認者用端末
103 配信制御装置
104 配信先装置
105 通信ネットワーク(作業者用端末-配信制御装置)
106 通信ネットワーク(確認者用端末-配信制御装置)
107 通信ネットワーク(配信制御装置-配信先装置)
201 配信管理部
202 配信補助部
203 通信管理部
204 配信取得部
221 配信計画情報抽出機能
222 端末情報データベース
223 配信完了確率予測機能
224 通信品質取得機能
225 通信状態判定機能
226 予測モデル更新機能
227 確率密度関数更新アルゴリズム
301 配信ファイル
302 配信コマンドリスト
303 仮配信計画ファイル
304 本配信計画ファイル
305 仮配信計画に対する配信完了確率予測結果
306 本配信計画における配信完了確率予測結果
307 特徴量テーブル
308 予測モデル
309 スループット測定用データ
310 測定情報
311 通信状態の判定結果
312 配信状況
313 端末情報データベース更新用データ
314 予測時間区間
315 予測変数区間
316 確率密度関数
901 配信先ID
902 配信ファイルリスト
903 配信ファイルサイズ
904 時間情報
905 コマンドリスト(第1段階)
906 コマンドリスト(第2段階)
907 環境情報
908 測定スループット
909 測定配信先ID
910 測定時間情報
911 測定環境情報
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13