(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/636 20210101AFI20240918BHJP
H01M 50/645 20210101ALI20240918BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240918BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/133 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20240918BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240918BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240918BHJP
H01M 10/0525 20100101ALN20240918BHJP
【FI】
H01M50/636
H01M50/645
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
H01M50/103
H01M50/133
H01M50/15
H01M50/119
H01M50/159
H01M10/058
H01M10/0587
H01M10/0525
(21)【出願番号】P 2022173415
(22)【出願日】2022-10-28
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】小倉 武弘
(72)【発明者】
【氏名】富松 佑介
(72)【発明者】
【氏名】脇元 亮一
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-163858(JP,A)
【文献】特開2010-21104(JP,A)
【文献】特開2010-176989(JP,A)
【文献】特開2008-27741(JP,A)
【文献】特開2014-232665(JP,A)
【文献】特開2005-149763(JP,A)
【文献】特開2003-208877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/60-50/691
H01M 10/00-10/0587
H01M 10/36-10/39
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極を含む電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容する電池ケースと、
を備えた二次電池の製造方法であって、
前記電池ケースは、開口と、底部と、一対の第1側壁と、それぞれ前記第1側壁よりも面積が小さい一対の第2側壁を含む外装体と、前記開口を封止する封口板と、を含み、
前記封口板の厚みは前記底部の厚みよりも大きく、
前記封口板に設けられた注液孔から前記電池ケース内に前記電解液を注液する注液工程と、
充電を行う充電工程と、
前記一対の第1側壁を両側から押圧治具により押圧した状態で前記注液孔を封止する封止工程と、を備え、
ここで、前記封止工程において、
前記一対の第1側壁の幅方向中央にて前記押圧治具により押圧された領域を第1領域、
前記第1領域よりも前記封口板側に位置する領域を第2領域、
前記第1領域よりも前記底部側に位置する領域を第3領域とし、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域の、一方の前記第1側壁の外面から他方の前記第1側壁の外面に向かう前記電池ケースの厚み方向における距離をそれぞれT1、T2、T3としたとき、
前記T1、前記T2、前記T3のそれぞれの最大値が以下の関係:
T2>T3>T1;
になるように、前記押圧によって前記電池ケースを変形させる、
二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記外装体の前記底部の厚みは1.0~2.5mmであり、
前記外装体の前記第1側壁の厚みは0.2~1.5mmであり、
前記封口板の厚みは1.5~4.0mmである、
請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記第1側壁の厚みは、前記第2側壁の厚みよりも小さい、
請求項1または2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記外装体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であり、
前記封口板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である、
請求項1または2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記第1側壁は、幅が20cm以上、高さが8cm以上である、
請求項1または2に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記電極体は、扁平状の巻回電極体であり、
前記巻回電極体の巻回軸が、前記外装体の前記底部に平行に配置され、
前記巻回電極体の厚み方向が、前記第1側壁に対して垂直な方向になるように配置される、
請求項1または2に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極及び負極を含む電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容する電池ケースと、を備えた二次電池が知られている。これに関連して例えば、特許文献1には、電池ケースの一対の幅広面を両側から挟み込み、その挟み込み方向に該電池ケースを押圧する拘束状態で、充電工程、ガス抜き工程及びエージング工程を実行することを特徴とする二次電池の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らの検討によれば、上記技術においては、更なる改善の余地がみられた。詳述すると、上記技術に係る電池ケースの押圧方法では、該電池ケースの高さ方向(上下方向)に対する膨化抑制について考慮されていない。すなわち、上記技術の押圧方法では、該電池ケースの底部が膨張することで、電池ケースの高さが増加する虞がある。
【0005】
ここに開示される技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次電池の充放電に伴うガス発生による電池ケースの凸状の膨張を抑制するとともに、電池ケースの押圧時に電池ケースの高さの増加を抑制する二次電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される技術は、正極及び負極を含む電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容する電池ケースと、を備えた二次電池の製造方法である。上記電池ケースは、開口と、底部と、一対の第1側壁と、それぞれ上記第1側壁よりも面積が小さい一対の第2側壁を含む外装体と、上記開口を封止する封口板と、を含み、上記封口板の厚みは上記底部の厚みよりも大きい。かかる二次電池の製造方法は、上記封口板に設けられた注液孔から上記電池ケース内に上記電解液を注液する注液工程と、充電を行う充電工程と、上記一対の第1側壁を両側から押圧治具により押圧した状態で上記注液孔を封止する封止工程と、を備える。ここで、上記封止工程において、上記一対の第1側壁の幅方向中央にて上記押圧治具により押圧された領域を第1領域、上記第1領域よりも上記封口板側に位置する領域を第2領域、上記第1領域よりも上記底部側に位置する領域を第3領域とし、上記第1領域、上記第2領域および上記第3領域の、一方の上記第1側壁の外面から他方の上記第1側壁の外面に向かう上記電池ケースの厚み方向における距離をそれぞれT1、T2、T3としたとき、上記T1、上記T2、上記T3のそれぞれの最大値が以下の関係:T2>T3>T1;になるように、上記押圧によって上記電池ケースを変形させる。
【0007】
かかる製造方法によると、上記押圧治具は、上記電池ケースのうち、第1側壁を押圧する。さらに、上記封口板の厚みは外装体底部の厚みより大きい。そのため、該押圧治具によって、第2領域が膨れるように電池ケースを押圧しても封口板は変形し難い。即ち、電池ケースの損傷を抑制するとともに、電池ケースの高さの増加(換言すれば、外装体底部の下方への突出)を抑制することが可能となる。そして、かかる押圧によって、電池ケースの内容積を減少させた状態で注液孔を封止する。これにより、二次電池の充放電に伴うガス発生によって、電池ケースが凸状に膨張することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る電極体の構成を表す模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る封止工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る封止工程を模式的に示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る封止工程を模式的に示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらここに開示される技術に係る実施の形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって、ここに開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において「A~B」として表現される数値範囲には、AおよびBが含まれるとともに、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含するものとする。
【0010】
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、電解液を介して正極と負極の間で電荷担体が移動することによって繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般をいう。また、二次電池は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)を包含する。以下では、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0011】
<二次電池100>
図1は、第1実施形態に係る二次電池100を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1中のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3は、
図1中のIII-III線(第1側壁12aの長辺方向Yの中央)に沿う模式的な縦断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。また、図面中の符号Xは、二次電池100の短辺方向(厚み方向ともいう。)を示し、符号Yは、二次電池100の長辺方向を示し、符号Zは、二次電池100の上下方向(高さ方向ともいう。)を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、二次電池100の設置形態を何ら限定するものではない。ここでは、説明の便宜上、
図1では、第1領域51を仮想線で示している。
【0012】
図1、
図2に示すように、二次電池100は、電池ケース1と、電極体20と、正極端子6と、負極端子8と、正極集電部材35と、負極集電部材45と、を備えている。図示は省略するが、二次電池100は、ここではさらに電解液を備えている。二次電池100は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であることが好ましい。
【0013】
電池ケース1は、電極体20を収容する筐体である。
図1に示すように、電池ケース1は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース1の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース1は、金属製であることが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金からなることがより好ましい。
図1および
図2に示すように、電池ケース1は、開口12uを有する外装体12と、開口12uを封口する封口板14と、を備えている。外装体12および封口板14は、電極体20の収容数(1つまたは複数。ここでは、1つ。)や、サイズ等に応じた大きさを有している。
【0014】
外装体12は、
図1、
図2に示すように、上面に開口12uを有する有底かつ角型の容器である。外装体12は、
図1に示すように、底部12dと、底部12dの長辺から上方に延び相互に対向する一対の第1側壁(大面積側壁)12aと、底部12dの短辺から上方に延び相互に対向する一対の第2側壁(小面積側壁)12bと、を備えている。底部12dは、略矩形状である。第1側壁12aの面積は、第2側壁12bの面積より大きい。底部12dは、開口12u(
図2参照)と対向している。
【0015】
封口板14は、外装体12の開口12uを塞ぐように外装体12に取り付けられた平面略矩形の板状部材である。
図2に示すように、封口板14には、ベース部14aを有し、注液孔15と、ガス排出弁17と、端子引出孔18、19と、が設けられている。ベース部14aは、上下方向Zに凹凸が形成されてない領域、換言すれば、封口板14の厚みが略均一な領域である。封口板14は、外装体12の底部12dと対向している。電池ケース1は、外装体12の開口12uの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。これによって、電池ケース1は気密に封止(密閉)されている。
【0016】
注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後、電池ケース1の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔15は、ここでは、電解液の注液後に封止部材16によって封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース1内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース1内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。封止部材16の材質は、この種の二次電池で使用される封止部材を特に限定なく使用することができる。封止部材16は、例えば金属部材のみ、あるいは、金属部材とシール部材(樹脂)から構成される。
【0017】
電解液としては、従来公知の電池において使用されているものを特に制限なく使用できる。一例として、非水系溶媒(有機溶媒)に支持塩(電解質塩)を溶解させた非水電解液が好ましく用いられる。非水系溶媒の一例として、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が挙げられる。支持塩の一例として、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩が挙げられる。電解液は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0018】
正極端子6は、封口板14の長辺方向Yの一方の端部(
図1、
図2の左端部)に取り付けられている。負極端子8は、封口板14の長辺方向Yの他方の端部(
図1、
図2の右端部)に取り付けられている。
図2に示すように、正極端子6および負極端子8は、端子引出孔18、19に挿通され、封口板14の外側の表面に露出している。
図2に示すように、正極端子6の下端部6cは、外装体12の内部で、正極集電部材35を介して電極体20の正極3と電気的に接続されている。負極端子8の下端部8cは、外装体12の内部で、負極集電部材45を介して電極体20の負極4と電気的に接続されている。正極端子6および負極端子8は、ガスケット72および絶縁部材80によって封口板14と絶縁されている。また、正極端子6と正極集電部材35との間または負極端子8と負極集電部材45との間に、電流遮断機構(CID)を設置してもよい。
【0019】
正極端子6は、電池ケース1の外側において、板状の正極外部導電部材70と電気的に接続されている。負極端子8は、電池ケース1の外側において、板状の負極外部導電部材71と電気的に接続されている。正極外部導電部材70および負極外部導電部材71は、バスバー等の外部接続部材を介して、他の二次電池や外部機器と接続される。正極外部導電部材70および負極外部導電部材71は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等で構成されている。正極外部導電部材70および負極外部導電部材71は、外部樹脂部材74によって封口板14と絶縁されている。ただし、正極外部導電部材70および負極外部導電部材71は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0020】
正極端子6は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。負極端子8は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。負極端子8は、2つの導電部材が接合され一体化されて構成されていてもよい。例えば、負極集電部材45と接続される部分が銅または銅合金からなり、封口板14の外側の表面に露出する部分がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなっていてもよい。
【0021】
1つの外装体12の内部に配置される電極体20の数は特に限定されず、2個以上(複数)であってもよい。
図2および
図3に示すように、電極体20は、ここでは絶縁シート9(電極体ホルダ)に覆われた状態で、外装体12の内部に配置されている。例えば、絶縁シート9は箱状に折り曲げられ、絶縁シート9の内部に電極体20が配置される。これにより、電極体20が外装体12と直接接触することを防止できる。絶縁シート9は、樹脂製であることが好ましい。
【0022】
図4は、電極体20の構成を示す模式図である。
図4に示すように、電極体20は、正極3および負極4を有する。電極体20は、扁平状であることが好ましい。
図4に示すように、電極体20は、帯状の正極3と帯状の負極4とが帯状のセパレータ7を介して絶縁された状態で積層され、巻回軸WLを中心として巻回されてなる扁平状の巻回電極体であることが好ましい。
【0023】
図3に示すように、電極体20は、外装体12の底部12dおよび封口板14と対向する一対の曲面部21と、一対の曲面部21を連結し、外装体12の第1側壁12aに対向する平坦部22を有する。ただし、電極体20は、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の正極と、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の負極とが、絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
【0024】
図4に示すように、正極3は、正極集電体30と、正極集電体30の少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層31と、正極保護層32と、を有する。ただし、正極保護層32は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極集電体30は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっており、アルミニウム、アルミニウム合金からなることが好ましい。正極活物質層31は、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含む層である。正極保護層32は、例えば、アルミナ等の無機フィラーを含む層である。
【0025】
図4に示すように、負極4は、負極集電体40と、負極集電体40上に固着された負極活物質層41と、を有する。負極集電体40は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっており、銅、銅合金からなることが好ましい。負極活物質層41は、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含む層である。
【0026】
正極集電体30の長辺方向Yの一方の端部(
図4の左端部)には、複数の正極タブ36が設けられている。複数の正極タブ36は、それぞれ長辺方向Yの一方側(
図4の左側)に向かって突出している。複数の正極タブ36は、セパレータ7よりも長辺方向Yに突出している。複数の正極タブ36は、ここではそれぞれ台形状である。ただし、正極タブ36の形状はこれに限定されない。また、複数の正極タブ36のサイズも特に限定されない。正極タブ36の形状やサイズは、例えば正極集電部材35に接続される状態を考慮し、その形成位置等によって、適宜調整することができる。正極タブ36は、金属箔からなることが好ましく、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることがより好ましい。ここでは、正極タブ36は、正極集電体30の正極活物質層31および正極保護層32が形成されていない部分(いわゆる集電体露出部)である。ただし、正極タブ36は、正極集電体30とは別の部材であってもよい。
【0027】
負極集電体40の長辺方向Yの一方の端部(
図4の右端部)には、複数の負極タブ46が設けられている。複数の負極タブ46は、長辺方向Yの一方側(
図4の右側)に向かって突出している。複数の負極タブ46は、セパレータ7よりも長辺方向Yに突出している。複数の負極タブ46は、ここではそれぞれ台形状である。ただし、負極タブ46の形状はこれに限定されない。また、複数の負極タブ46のサイズも特に限定されない。負極タブ46の形状やサイズは、例えば負極集電部材45に接続される状態を考慮し、その形成位置等によって、適宜調整することができる。負極タブ46は、金属箔からなることが好ましく、銅箔又は銅合金箔からなることがより好ましい。ここでは、負極タブ46は、負極集電体40の負極活物質層41が形成されていない部分(いわゆる集電体露出部)である。ただし、負極タブ46は、負極集電体40とは別の部材であってもよい。
【0028】
セパレータ7は、正極3の正極活物質層31と、負極4の負極活物質層41と、を絶縁する部材である。セパレータ7としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる多孔性の樹脂製シートが好適である。なお、セパレータ7の表面には、無機フィラーを含む耐熱層(Heat Resistance Layer:HRL)が設けられていてもよい。
【0029】
図2に示すように、複数の正極タブ36は長辺方向Yの一方の端部(
図2の左端部)で積層され、正極タブ群38を構成している。その一方で、複数の負極タブ46は長辺方向Yの一方の端部(
図2の右端部)で積層され、負極タブ群48を構成している。ここでは、二次電池100は、電極体20の左右に正極タブ群38と負極タブ群48とが位置する、所謂、横タブ構造である。ただし、二次電池100は、電極体20の上下に正極タブ群38と負極タブ群48とが位置する、所謂、上タブ構造であってもよい。正極タブ群38は正極集電部材35と接合された状態で湾曲されている。同様に負極タブ群48は、負極集電部材45と接合された状態で湾曲されている。
【0030】
正極集電部材35は、電極体20の正極タブ群38と正極端子6とを電気的に接続する導通経路を構成する。正極集電部材35は、導電性に優れた金属から構成されることが好ましく、例えばアルミニウムやアルミニウム合金で構成される。負極集電部材45は、電極体20の負極タブ群48と負極端子8とを電気的に接続する導通経路を構成する。負極集電部材45は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えば銅や銅合金で構成されている。
【0031】
<二次電池100の製造方法>
ここに開示される二次電池100の製造方法では、注液工程と、充電工程と、封止工程と、を含むことによって特徴づけられる。ここに開示される二次電池100の製造方法では、上記の工程に加え、任意の段階でさらに他の工程を含んでもよい。特に限定されるものではないが、例えば、(1)組立体用意工程と、(2)乾燥工程と、(3)注液工程と、(4)充電工程と、(5)減圧工程と、(6)封止工程とを、典型的にはこの順序で含む製造方法によって製造することができる。ここに開示される二次電池の製造方法は、封止工程によって特徴づけられており、それ以外の製造プロセスは従来と同様であってよい。
【0032】
(1)組立体用意工程
組立体用意工程では、電池ケース1(外装体12)内に電極体20を配置し、電池組立体を用意する。なお、本明細書において「電池組立体」とは、後述する充電工程を行う前の形態にまで組み立てられた二次電池のことを示す。
【0033】
例えば、電池ケース1(封口板14および外装体12)と、電極体20と、正極端子6と、負極端子8と、正極集電部材35と、負極集電部材45と、絶縁シート9と、を用意する。電極体20は、上記したような、正極と負極とをセパレータを介して巻回した扁平状の巻回電極体であることが好ましい。電極体20は、従来公知の方法で作成することができる。ここに開示される二次電池100は、電池ケース1(外装体12および封口板14)によって特徴づけられており、それ以外の構成は、従来と同様であってよい。
【0034】
組立体用意工程で用意される外装体12は、金属製であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることが好ましい。第1側壁12aの厚みは、第2側壁12bの厚みより小さいことが好ましい。第1側壁12aの厚みは、0.2mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.6mm以上が更に好ましい。その一方で、第1側壁12aの厚みは、1.5mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、0.9mm以下が更に好ましい。第1側壁12aの幅は、15cm以上であることが好ましく、20cm以上であることがより好ましい。第1側壁12aの高さは、5cm以上であることが好ましく、8cm以上であることがより好ましい。なお、「第1側壁12aの幅」とは、第1側壁12aの長辺方向Yにおける長さであり、「第1側壁12aの高さ」とは第1側壁12aの上下方向Zにおける長さのことをいう。底部12dの厚みは、1.0mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.5mm以上が更に好ましい。その一方で、底部12dの厚みは、2.5mm以下が好ましく、2.1mm以下がより好ましく、1.9mm以下が更に好ましい。かかる構成を備える外装体12によれば、後述の封止工程において、外装体12の第1側壁12aが変形しやすくなる。従って、電池ケース1の上下方向の高さHの増加をより効果的に抑制することができる。
【0035】
組立体用意工程で用意される封口板14は、金属製であって、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることが好ましい。
図3,5に示すように、封口板14のベース部14aの厚みは、外装体12の底部12dの厚みより大きい。これにより、封口板14がある程度の強度を有し、電池ケース1の上下方向の高さHの増加を抑制することができる。また、外装体12と封口板14の接合部の品質向上のため、封口板14の厚みを大きくすることが好ましい。封口板14のベース部14aの厚みは、1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、2.5mm以上が更に好ましい。その一方で、封口板14のベース部14aの厚みは、4.0mm以下が好ましく、3.0mm以下が好ましく、2.9mm以下が更に好ましい。なお、「封口板14のベース部14aの厚み」は、本明細書における「封口板14の厚み」を指す。上記構成を備える封口板14によれば、後述の封止工程において、封口板14の変形を抑える一方で、より好適に外装体12の第1側壁12aが変形しやすくなる。従って、電池ケース1の上下方向の高さHの増加をより効果的に抑制することができる。
【0036】
外装体12と封口板14の材質は、互いに同種であることが好ましく、特に、アルミニウム主体(例えば、アルミニウム含有割合が85質量%以上)の金属で構成されていることが特に好ましい。但し、外装体12と封口板14の材質は、互いに異なっていてもよい。
【0037】
組立体用意工程では、電極体20の正極タブ群38に正極集電部材35を取り付け、さらに負極タブ群48に負極集電部材45を取り付ける。次いで、封口板14に正極端子6と負極端子8とを取り付ける。これらの電極端子に、同極の電極集電部材を従来公知の方法(例えば、超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接等)で接合する。次いで、絶縁シート9に電極体20を収容する。そして、絶縁シート9で覆われた電極体20を外装体12の内部空間に収容(挿入)することが好ましい。そして、電池ケース1の外装体12と封口板14とを接合することによって、電池組立体を作製する。かかる接合は、例えばレーザ溶接等の溶接によって行うことができる。
【0038】
組立体用意工程では、電極体20は巻回軸WLが外装体12の底部12dに平行になるようにして外装体12の内部に配置されることが好ましい。さらに、電極体20は、電極体20の厚み(積層)方向が、第1側壁12aに対して略垂直な方向になるように(第1側壁12aと直交する向きで)外装体12の内部に配置されることが好ましい。言い換えれば、電池ケース1の厚み方向と、電極体20の厚み方向とが一致する方向(短辺方向X)に電極体20が電池ケース1内に配置される。これにより、第1側壁12aと電極体20の曲面部21との間に隙間が生じ易くなり、電池ケース1(外装体12)が意図する形状に変形し易くなる。
【0039】
(2)乾燥工程
乾燥工程では、電池組立体を乾燥することで、電池組立体(例えば、電極体20の内部等)に含まれる水分を除去する。かかる乾燥方法は、公知の方法で行うことができる。例えば、乾燥工程は、電池組立体(電極体20が収容された電池ケース1)を乾燥炉(図示せず)に搬送し、加熱することで行うことができる。
【0040】
乾燥工程における乾燥温度および乾燥時間は、電極体20に含まれる水分量等に合わせて適宜調整することができる。乾燥温度は、水分を除去できる範囲であれば特に限定されないが、電極体20のセパレータ7が損傷しない温度で乾燥することが望ましい。また、乾燥工程は、大気圧雰囲気で実施されてもよいし、減圧雰囲気で実施されてもよいが、好ましくは減圧雰囲気で実施されるとよい。これにより、乾燥工程における乾燥時間を短縮することができる。なお、ここに開示される技術において、乾燥工程は必須工程ではない。いくつかの好適な実施形態において、乾燥工程を省略することもできる。
【0041】
(3)注液工程
注液工程では、封口板14に設けられた注液孔15から、電極体20が収容された電池ケース1内に電解液を注液する。注液工程は、大気圧雰囲気で実施されてもよいし、減圧雰囲気で実施されてもよいが、好ましくは、減圧雰囲気で実施されるとよい。これにより、電極体20内への電解液の含侵性が向上し、注液工程をより短時間で行うことができる。注液処理では、電解液が電極体20の全体にいきわたる分量となるよう電解液を注液する。注液工程は、従来公知の電解液注液装置を適宜利用することができる。なお、このとき、電解液を圧送するために用いられ得る圧送ガスとしては、従来と同様、窒素(N2)等の不活性ガス、乾燥空気等が挙げられる。注液工程終了後、電池ケース1内の加圧、減圧を適宜行うことが好ましい。
【0042】
(4)充電工程
充電工程では、電池組立体を充電する。充電工程を行うことにより、負極活物質層41の表面に良質な被膜を形成させることができる。充電工程で発生したガスは、電池ケース1外に放出する。本工程における充電条件は特に限定されず、従来の二次電池製造方法と同様であってよい。充電工程において、注液孔15は仮封止されていてもよい。ただし、充電工程において、注液孔15は、完全には封止されていない。
【0043】
(5)減圧工程
減圧工程では、電池ケース1内部を減圧することで、電池ケース1内部に存在する気体(例えば、空気や上記充電工程で発生したガス等)を更に電池ケース1の外部へ排出する。当該減圧工程は、従来のこの種の電池製造方法における減圧工程と同様でよく、特にここに開示される技術を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、ここに開示される技術において、減圧工程は必須工程ではない。いくつかの好適な実施形態において、減圧工程を省略することもできる。
【0044】
(6)封止工程
封止工程では、押圧治具92によって、外装体12の第1側壁12aを両側から押圧した状態で、注液孔15を封止する。封止工程は、(6-1)外装体押圧工程と、(6-2)注液孔封止工程と、をこの順に含む。なお、封止工程の前、あるいは後(外装体押圧工程の前、あるいは注液孔封止工程の後)にエージング工程を含んでもよい。当該エージング工程は、従来のこの種の電池製造方法におけるエージング工程と同様でよく、特にここに開示される技術を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0045】
(6-1)外装体押圧工程
図5は、第1の実施形態に係る封止工程(外装体押圧工程)を模式的に示す縦断面図であり、
図3対応図である。外装体押圧工程では、まず、押圧治具92を外装体12の一対の第1側壁12aを両側から挟み込むように配置する。そして、
図5に示すように、上記一対の押圧治具92を用いて、該押圧治具92の挟み込み方向(
図5のX方向)に外装体12の一対の第1側壁12aを押圧し、電池ケース1(外装体12)を変形させる。
【0046】
外装体押圧工程では、二次電池100は、
図5に示すように、第1側壁12aの幅方向(長辺方向Y)の中央において、押圧治具92により押圧される領域である第1領域51を有する。一方、上下方向Zにおいて、二次電池100は、第1領域51より封口板14側(上側)に位置する領域である第2領域52と、第1領域51よりも外装体12の底部12d側(下側)に位置する領域を第3領域53とを有する。そして、第1領域51、第2領域52、第3領域53の、一方の第1側壁12aの外面から他方の12aに向かう電池ケース1の厚み方向Xにおける距離をそれぞれ、T1,T2,T3としたとき、それぞれの最大値が以下の式(i):T2>T3>T1;になるように、電池ケース1(外装体12)を変形させる。これにより、電池ケース1の損傷を抑制するとともに、電池ケース1の高さHの増加(換言すれば、外装体12の底部12dのD方向への突出)を抑制することが可能となる。
【0047】
詳述すれば、
図5に示すように、第1領域51では、第1側壁12aのうち、押圧治具92と当接する部分が外装体12の内側(電極体20側)方向に押し込まれる(押圧される)。これにより、T1は押圧前の電池ケース1の厚みT0(
図3参照)より小さくなる。そして、第2領域52では、電池ケース1の厚み方向(短辺方向X)において、封口板14の端部より外側に突出する膨張部52aを形成する。一方で、第3領域53においては、膨張部は形成されない。すなわち、T2は、第2領域に膨張部52aが形成された分、膨張部が形成されない第3領域53のT3より大きくなる。従って、上記した式(i):T2>T3>T1;が成り立つ。
【0048】
ここで、従来の製造方法では、第3領域53が膨張するように押圧治具92によって第1側壁12aを押圧した場合、外装体12の底部12dが下凸状に湾曲変形する虞がある。換言すれば、電池ケース1の高さHが増加する虞がある。これに対し、本実施形態に係る二次電池100では、封口板14の厚さが、外装体12の底部12dより厚い。そのため、第2領域52が膨張部52aを有するように押圧しても、封口板14は変形し難い。従って、押圧治具92による押圧時において、電池ケース1の高さHの増加を抑制することができる。
【0049】
外装体押圧工程では、上記した形状の電池ケース1(封口板14および外装体12)を用いたり、押圧条件を制御することによって、上記式(i)を満たすように電池ケース1の変形を制御することができる。かかる押圧条件は、電池ケース1の形状、厚み、材質等に応じて適宜調整することができる。以下、外装体押圧工程における、好適な押圧条件について詳述する。
【0050】
図5に示すように、押圧治具92は金属製が好適に用いられる。ただし、これに限定されず、例えば、押圧治具92の表面(換言すれば、押圧治具92と電池ケース1が接する領域)に樹脂やゴム等で構成された部材が配置されていてもよい。
【0051】
外装体押圧工程では、外装体12の一対の第1側壁12aにおいて、電極体20の厚み方向に沿って見たとき(正面視)、一方の第1側壁12aと電極体20の平坦部22とが重なる領域の全体を100%としたときに、少なくとも80%以上の領域を第1領域51が含むことが好ましく、90%以上を含むことがより好ましく、100%以上を含むことが更に好ましい(
図1参照)。また第1領域51は、上記電極体20の平坦部22と重なる領域より大きく、また、該領域を包含してもよい。また、第1領域51は、正面視において、第1側壁と、電極体20の平坦部22のうち、正極活物質層31を含む領域を包含することが好ましい。
【0052】
外装体押圧工程では、上記した距離T1,T2およびT3の比率については、T2/T1は、1.03以上であることが好ましい。一方、T3/T1は、1.02以下であることが好ましい。
【0053】
外装体12の一対の第1側壁12aにおいて、押圧治具92の押し込み量は0.5~5mm程度とすることが好ましく、0.5~2mm程度とすることがより好ましい。
これにより、二次電池100の充放電時に、電池ケース1が凸状に膨張するのを好適に抑制することができる。なお、本明細書において「押し込み量」とは、短辺方向Xにおける、押圧前の電池ケース1の距離(厚み)T0(
図3参照)と押圧中の第1領域の距離T1(
図5参照)の差(即ち、T0-T1)のことを指す。
【0054】
外装体押圧工程における、押圧治具92が外装体12の第1側壁12aを押圧する際の、押圧強さ(押圧力)は、5kN以上が好ましく、10kN以上がより好ましく、20kN以上が更に好ましい。その一方で、押圧強さ(押圧力)は、40kN以下が好ましく、35kN以下がより好ましく、30kN以下が更に好ましい。
【0055】
外装体押圧工程における、外装体12の押圧方法(電池ケース1の変形方法)に関するいくつかの好適な例として以下の実施形態が挙げられる。但し、これらの実施形態に限定されず、他の方法によっても実施することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る封止工程(外装体押圧工程)を模式的に示す縦断面図である。
図6に示すように、第2の実施形態では、押圧治具92の上端には、第1ガイド部材94が配置される。それ以外は、上記した第1の実施形態と同様であってよい。第1ガイド部材94は、第1側壁12aをガイドする役割を持つ。第1ガイド部材94は、ここでは上下方向Zにおいて、上方向に向かって厚みが徐々に減少するテーパ状である。第1ガイド部材94と押圧治具92とは、ここでは一体成型されている。しかし、これには限定されず、例えば、第1ガイド部材94と押圧治具92とは、別々に成型したのち、溶接などにより接合されたものでもよく、互いに別部材であってもよい。これにより、押圧治具92で押圧を行う際、第1ガイド部材94のテーパ部に沿って外装体12が変形する。従って、第2領域52にて、膨張部52aが形成されやすくなる。
【0057】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る封止工程(外装体押圧工程)を模式的に示す縦断面図である。
図7に示すように、第3の実施形態では、押圧治具92の上端には、第1ガイド部材94に代えて第1ガイド部材294が配置される。そして、押圧治具92の下端には第2ガイド部材296を備えている。それ以外は、上記した第2の実施形態と同様であってよい。第2ガイド部材296は、第1側壁12aをガイドする役割を持つ。
図7に示すように、第1ガイド部材294および第2ガイド部材296は、ここでは樹脂製である。ここでは、第1ガイド部材294は、第2領域52全体を覆うように構成されている。一方、第2ガイド部材296は、第3領域53全体を覆うように構成されている。これにより、押圧治具92によって、外装体12の第1側壁12aを押圧する際、第2ガイド部材296によって、第3領域53における膨張部の形成を抑制するとともに、第1ガイド部材294によって、第2領域52に膨張部52aを形成しやすくする。
【0058】
(6-2)注液孔封止工程
注液孔封止工程では、外装体押圧工程によって、外装体12を押圧した状態で、電池ケース1の注液孔15を、封止する。これにより、電池ケース1の内容積を減少させた状態で注液孔15が封止される。従って、二次電池100を充放電する際に発生するガスによって電池ケース1が凸状に膨張することを抑制することができる。ここでは、金属製の封止部材16によって注液孔15を封止し、封止部材16の金属部分と電池ケース1とを溶接することによって封止している。但し、注液孔15の封止方法はこれに限定されない。図示は省略するが、例えばブラインドリベット等のリベットによって注液孔15を封止してもよい。
【0059】
以上の通り、ここに開示される二次電池の製造方法では、電池ケース1の損傷を抑制するとともに、電池ケース1の高さHの増加を抑制しながら注液孔15を封止し、また、二次電池100の充放電に伴うガス発生によって、電池ケース1が凸状に膨張することを抑制することができる。
【0060】
二次電池100は各種用途に利用可能であるが、典型的には、各種の車両、例えば、乗用車、トラック等に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(BEV)等が挙げられる。また、二次電池100は、組電池の構築にも好適に用いることができる。
【0061】
以上、ここに開示される技術におけるいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。ここに開示される技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。ここに開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0062】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:正極及び負極を含む電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容する電池ケースと、を備えた二次電池の製造方法であって、上記電池ケースは、開口と、底部と、一対の第1側壁と、それぞれ上記第1側壁よりも面積が小さい一対の第2側壁を含む外装体と、上記開口を封止する封口板と、を含み、上記封口板の厚みは上記底部の厚みよりも大きく、上記封口板に設けられた注液孔から上記電池ケース内に上記電解液を注液する注液工程と、充電を行う充電工程と、上記一対の第1側壁を両側から押圧治具により押圧した状態で上記注液孔を封止する封止工程と、を備え、ここで、上記封止工程において、上記一対の第1側壁の幅方向中央にて上記押圧治具により押圧された領域を第1領域、上記第1領域よりも上記封口板側に位置する領域を第2領域、上記第1領域よりも上記底部側に位置する領域を第3領域とし、上記第1領域、上記第2領域および上記第3領域の、一方の上記第1側壁の外面から他方の上記第1側壁の外面に向かう上記電池ケースの厚み方向における距離をそれぞれT1、T2、T3としたとき、上記T1、上記T2、上記T3のそれぞれの最大値が以下の関係:T2>T3>T1;になるように、上記押圧によって上記電池ケースを変形させる、二次電池の製造方法。
項2:上記外装体の上記底部の厚みは1.0~2.5mmであり、上記外装体の上記第1側壁の厚みは0.2~1.5mmであり、上記封口板の厚みは1.5~4.0mmである、項1に記載の二次電池の製造方法。
項3:上記第1側壁の厚みは、上記第2側壁の厚みよりも小さい、項1または2に記載の二次電池の製造方法。
項4:上記外装体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であり、上記封口板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である、項1~3のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
項5:上記第1側壁は、幅が20cm以上、高さが8cm以上である、項1~4のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
項6:上記電極体は、扁平状の巻回電極体であり、上記巻回電極体の巻回軸が、上記外装体の上記底部に平行に配置され、上記巻回電極体の厚み方向が、上記第1側壁に対して垂直な方向になるように配置される、項1~5のいずれか1項に記載の二次電池の製造方法。
【符号の説明】
【0063】
1 電池ケース
3 正極
4 負極
6 正極端子
7 セパレータ
8 負極端子
9 絶縁シート
12 外装体
12d 底部
12a 第1側壁
12b 第2側壁
14 封口板
14a ベース部
15 注液孔
20 電極体
21 曲面部
22 平坦部
30 正極集電体
35 正極集電部材
36 正極タブ
38 正極タブ群
40 負極集電体
46 負極タブ
48 負極タブ群
51 第1領域
52 第2領域
53 第3領域
72 ガスケット
80 絶縁部材
92 押圧治具
94、294 第1ガイド部材
296 第2ガイド部材
100 二次電池