(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】機能層を有する複合フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20240918BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240918BHJP
C08J 7/044 20200101ALI20240918BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240918BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B32B27/30 A
G09F9/00 302
G09F9/00 313
C08J7/044 CER
C08J7/044 CEZ
B32B27/18 Z
C08F290/06
B32B27/18 A
(21)【出願番号】P 2022201628
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】10-2022-0025455
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520287378
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス ソリューションズ 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks solutions Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】112, Seonggeo-gil, Seonggeo-eup, Seobuk-gu, Cheonan-si,Chungcheongnam-do 31044, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョンウ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュンキ
(72)【発明者】
【氏名】ウ、ソクジョン
(72)【発明者】
【氏名】ピョン、スンヨン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001330(JP,A)
【文献】特開2009-244461(JP,A)
【文献】特表2021-527022(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038056(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/30
G09F 9/00
C08J 7/044
B32B 27/18
C08F 290/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成された機能層とを含み、
前記機能層は、
アクリレート系バインダーと、
アクリルアミド系モノマーとを含み、
前記アクリルアミド系モノマーは、前記アクリレート系バインダー100重量部に対して0重量部超~20重量部以下の量で含まれる、
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項2】
前記機能層の表面抵抗が1×10
13Ω/sq以下であり、
前記機能層の表面についてASTM D3359規格に基づいてクロスカットテストした結果が3B以上である、請求項1に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項3】
前記機能層の表面に純度99.5%以上のエタノール10μLを適用した状態で耐摩耗試験用消しゴムを用いて1kg荷重で3000回擦った後で測定した水接触角が95°以上である、請求項1に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項4】
前記アクリレート系バインダーが、ウレタンアクリレート系オリゴマーおよびアクリレート系モノマーを含む、請求項1に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項5】
前記機能層が帯電防止剤をさらに含む、請求項1に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項6】
前記機能層が、防汚剤、UV吸収剤および光開始剤からなる群より選択される1種以上をさらに含む、請求項5に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項7】
前記機能層が、前記基材フィルムの表面に直接形成される、請求項1に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項8】
前記基材フィルムは、高分子フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の
ディスプレイ装置用複合フィルム。
【請求項9】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前面上に配置されたカバーウィンドウとを含み、
前記カバーウィンドウは、
基材フィルムと、
前記基材フィルム上に形成された機能層とを含み、
前記機能層は、
アクリレート系バインダーと、
アクリルアミド系モノマーとを含む、ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、帯電防止性、防汚性、耐薬品性のための機能層を有する複合フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術は、IT機器の発達に伴う需要に支えられ発展し続けており、カーブド(curved)ディスプレイ、ベンデッド(bended)ディスプレイなどの技術はすでに商用化されている。近年、大画面と携帯性とが同時に求められるモバイル機器分野において、外力に応じて柔軟に曲がったりフォルディング(folding)されたりし得る、フレキシブルディスプレイ(flexible display)装置が好まれている。特に、フォルダブル(foldable)ディスプレイ装置は、使用しないときは折りたたんで小さくして携帯性を高め、使用するときは広く広げて大画面を実現できることが大きな利点である。
【0003】
これらのフレキシブルディスプレイ装置に適用されるカバーウィンドウとしては、高分子フィルムが好まれており、例えばポリアミド-イミド(PAI)のようなポリイミド系フィルムは、透明かつ柔軟でありながらも機械的特性に優れて広く使用されている。
【0004】
しかし、このようなポリイミド系フィルムは、外部からのスクラッチに脆弱であり、その他にもカバーウィンドウに求められる指紋防止、帯電防止などの特性の面からさらなる改善が必要である。
【0005】
例えば、特許文献1は、ポリアミド-イミド(PAI)樹脂からなる基材層上にハードコート層および指紋防止層が形成されたカバーウィンドウ用フィルムと、それをフレキシブルディスプレイに適用する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アウトフォルディング形態のように、ディスプレイの前面が外部に露出するフレキシブルディスプレイ装置の場合、カバーウィンドウが柔軟な特性を有しつつ様々な機能(帯電防止性、防汚性、耐薬品性)を有することが求められる。しかし、そのために多数の機能層を形成すると、工程が複雑になる問題があり、または様々な機能を単一層で実現すると、基材への付着力が低下する問題があった。
【0008】
そこで、本発明者らが研究した結果、アクリレート系バインダーおよびアクリルアミド系モノマーを単一機能層に導入することにより、前記機能層が帯電防止剤、防汚剤等の添加剤をさらに含んでも基材との付着力が低下しないフィルムを実現することができた。
【0009】
したがって、以下の実現例により、帯電防止性、防汚性、耐薬品性のための機能層を有する複合フィルムおよびそれを含むディスプレイ装置を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実現例によると、基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された機能層とを含み、前記機能層はアクリレート系バインダーとアクリルアミド系モノマーとを含む、複合フィルムが提供される。
【0011】
他の実現例によると、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面上に配置されるカバーウィンドウとを含み、前記カバーウィンドウは、基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された機能層とを含み、前記機能層はアクリレート系バインダーとアクリルアミド系モノマーとを含む、ディスプレイ装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
前記実現例によると、アクリレート系バインダーおよびアクリルアミド系モノマーを用いることにより、帯電防止剤、防汚剤などの添加剤を単一機能層に導入しても、基材との付着力が低下しないフィルムを実現し得る。
【0013】
したがって、前記実現例による複合フィルムは、単純な工程で製造が可能であるのみならず、帯電防止性、防汚性、耐薬品性などの多様な機能を有しつつ柔軟な特性を示すので、フレキシブルディスプレイ装置のカバーウィンドウとして有用に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実現例によるディスプレイ装置の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、一実現例による複合フィルム(カバーウィンドウ)の断面図である。
【
図3】
図3は、ASTM D3359方法Bによるクロスカットテスト評価基準を示すものである。
【
図4】
図4は、複合フィルムの表面に対する接触角測定方法を示すものである。
【
図5】
図5は、耐薬品性評価のための耐摩耗試験方法示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、様々な実現例および実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
以下の実現例を説明するにおいて、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が、実現例の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張または省略されることがあり、実際に適用される大きさとは異なり得る。
【0016】
本明細書において、ある構成要素が他の構成要素の上/下に形成されるか、もしくは互いに連結または結合されるという記載は、これらの構成要素間に直接または他の構成要素を介して間接的に形成、連結または結合されることを全て含む。また、各構成要素の上/下に関する基準は、対象を観察する方向に応じて変わり得るものと理解されるべきである。
【0017】
本明細書において各構成要素を指す用語は、他の構成要素と区別するために使用されるものであり、実現例を限定することを意図するものではない。また、本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を指さない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本明細書において「含む」という記載は、特定の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分を具体化するためのものであり、特に反する記載がない限り、他の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分の存在や付加を除外するものではない。
【0019】
本明細書において第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。
【0020】
本明細書に記載の化合物または高分子の分子量、例えば、数平均分子量または重量平均分子量は、周知のように、炭素-12を基準とした相対質量として単位を記載しないが、必要に応じて同じ数値のモル質量(g/mol)であるものと理解しても良い。
【0021】
本明細書において「置換された」とは、特に記載がない限り、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、置換または非置換のC1-C30アルキル基、置換または非置換のC2-C30アルケニル基、置換または非置換のC2-C30アルキニル基、置換または非置換のC1-C30アルコキシ基、置換または非置換のC6-C30脂環式有機基、置換または非置換のC4-C30ヘテロ環基、置換または非置換のC6-C30アリール基、および置換または非置換のC4-C30ヘテロアリール基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたものを指し、互いに隣接する2つの置換基は連結して環を形成することもあり得る。
【0022】
図1は、一実現例によるディスプレイ装置の分解斜視図である。
図1を参照すると、一実現例によるディスプレイ装置1は、ディスプレイパネル20と、前記ディスプレイパネル20の前面(視認面)上に配置されるカバーウィンドウ10とを含む。具体的に、前記ディスプレイ装置1は、カバーウィンドウ10、ディスプレイパネル20、基板30、およびこれらを保護するフレーム40を含む。また、前記カバーウィンドウ10と前記ディスプレイパネル20との間に接着層が形成され得る。例えば、前記接着層は、光学的に透明な接着剤を含み得る。
【0023】
前記実現例によるディスプレイ装置は柔軟性を有し得る。例えば、前記ディスプレイ装置は、フレキシブルディスプレイ装置またはフォルダブルディスプレイ装置であり得る。
【0024】
前記ディスプレイパネル20は、液晶ディスプレイ(LCD)パネルであり得る。または、前記ディスプレイパネル20は、有機発光ディスプレイ(OLED)パネルであり得る。前記有機発光ディスプレイ装置は、前面偏光板と有機発光ディスプレイパネルとを含み得る。前記前面偏光板は、前記有機発光ディスプレイパネルの前面上に配置され得る。より具体的に、前記前面偏光板は、前記有機発光ディスプレイパネルにおいて、画像が表示される面に接着され得る。前記有機発光ディスプレイパネルは、ピクセル単位の自発光によって画像を表示する。前記有機発光ディスプレイパネルは、有機発光基板と駆動基板とを含む。前記有機発光基板は、ピクセルにそれぞれ対応する複数の有機発光ユニットを含む。前記有機発光ユニットは、それぞれ、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および陽極を含む。前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動的に結合される。すなわち、前記駆動基板は、前記有機発光基板に駆動電流のような駆動信号を印加し得るように結合され得る。より具体的に、前記駆動基板は、前記有機発光ユニットにそれぞれ電流を印加して、前記有機発光基板を駆動し得る。
【0025】
前記ディスプレイ装置1には、カバーウィンドウ10として一実現例による複合フィルムが適用される。
【0026】
図2は、一実現例による複合フィルム(カバーウィンドウ)の断面図である。
図2を参照すると、一実現例による複合フィルム10は、基材フィルム100と、前記基材フィルム100上に形成された機能層200とを含み、前記機能層200は、アクリレート系バインダーとアクリルアミド系モノマーとを含む。
【0027】
[複合フィルムの特性]
前記複合フィルムは、カバーウィンドウとして適用され得る特性を有する。
【0028】
前記実現例による複合フィルムは、光透過率、例えば、可視光平均透過率が特定のレベル以上であり、それによりディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用されるのに有利である。例えば、前記フィルムの光透過率は、70%以上、75%以上、80%以上、82%以上、83%以上、85%以上、または90%以上であり得る。一方、前記フィルムの光透過率範囲の上限は特に限定されないが、例えば、100%以下、98%以下、95%以下、または90%以下であり得る。このような透過率は、例えばASTM D1003規格に基づいて測定され得る。
【0029】
また、前記実現例による複合フィルムは、ヘイズが特定のレベル以下であり、それによりディスプレイ装置のカバーウィンドウに適用されるのに有利である。例えば、前記フィルムのヘイズは、5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2%以下、または1.5%以下であり得る。一方、前記フィルムのヘイズ範囲の下限は特に限定されないが、例えば、0%以上、0.5%以上、または1%以上であり得る。このようなヘイズは、例えば、ASTM D1003規格に基づいて測定され得る。
【0030】
具体的な一例として、前記複合フィルムは、90%以上の光透過率および1.5%以下のヘイズを有し得る。
【0031】
また、前記実現例による複合フィルムは、カバーウィンドウとして適用され得る表面硬度を有し得る。例えば、前記複合フィルムの機能層の表面硬度はHB以上であり得る。具体的に、前記複合フィルムの機能層の表面硬度は、H以上または2H以上であり得るが、これに限定されるものではない。また、前記複合フィルムについて、ISO 14577-1:2002(E)規格に基づいてナノインデンテーション試験で測定される前記機能層表面のビッカース硬度(HV)が30N/mm2以上であり、より具体的に35N/mm2以上、40N/mm2以上、または45N/mm2以上であり得る。
【0032】
特に、前記実現例による複合フィルムは、前記機能層と前記基材フィルムとの間の付着力に優れる。例えば、前記機能層の表面についてASTM D3359規格に基づいてクロスカットテストした結果が3B以上であり、具体的に4B以上、またはより具体的に5Bであり得る。
【0033】
前記クロスカットテストは、サンプル表面に一定間隔で格子状にカットし、粘着テープを貼り付けて剥がした後、薄片が発生しなかった格子単位の数を測定するものである。ASTM D3359規格(方法B)によると、格子単位全体の数に対して薄片が発生しなかった格子単位の数の百分率に応じて5つの等級(0Bから5Bまで)に分けて評価され、前記等級の数字が大きいほど層間密着力に優れることを意味する(
図3を参照)。
【0034】
また、前記実現例による複合フィルムは、優れた帯電防止性を有し得る。例えば、機能層の表面抵抗は1×1013Ω/sq以下であり得る。これにより、前記複合フィルムが工程中または使用中に発生し得る静電気を防止して表面品質を維持し得る。具体的に、前記機能層の表面抵抗は、1×1012Ω/sq以下、または1×1011Ω/sq以下であり得る。より具体的に、前記機能層の表面抵抗は、1×106Ω/sq~1×1013Ω/sq、1×106Ω/sq~1×1011Ω/sq、1×108Ω/sq~1×1011Ω/sq、または1×1010Ω/sq~1×1011Ω/sqであり得る。
【0035】
また、前記実現例による複合フィルムは、優れた防汚性を有し得る。具体例として、前記機能層の表面にて測定した水接触角(初期接触角、
図4を参照)が100°以上であり、より具体的に105°以上、110°以上、100°~150°、または100°~130°であり得る。
【0036】
特に、前記実現例による複合フィルムは、耐久性の高い防汚性を有し得る。例えば、前記機能層の表面にエタノール4のような有機溶媒を適用した状態で耐摩耗試験を行った後(
図5を参照)、測定した水接触角が80°以上、85°以上、または90°以上であり得る。具体的な一例として、前記機能層の表面に純度99.5%以上のエタノール10μLを適用した状態で、耐摩耗試験用消しゴム5を用いて1kg荷重で3000回擦った後に測定した水接触角が95°以上であり、より具体的に、100°以上、95°~140°、95°~120°、または95°~110°であり得るが、これに限定されるものではない。
【0037】
[機能層]
前記機能層は基材フィルム上に形成される。
前記機能層は、前記基材フィルムの物性を改善および補完して、複合フィルムの機械的物性および/または光学物性を向上させ得る。
【0038】
例えば、前記機能層は、前記複合フィルムの表面硬度を向上させるハードコート層として機能し得る。また、前記機能層は、前記複合フィルムのハードコート層、帯電防止層、防汚層、耐薬品層、耐光層、およびこれらの複合機能層として機能し得る。
【0039】
前記機能層は、有機成分、無機成分、および有無機複合成分のうちの1つ以上を含み得る。
【0040】
一例として、前記機能層は有機樹脂を含み得る。前記有機樹脂は、硬化性樹脂、具体的に、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を含み得る。これにより、前記機能層は硬化性コーティング層であり得る。前記有機樹脂はバインダーの役割をし得る。
【0041】
一実現例によると、前記機能層はアクリレート系バインダーを含む。
前記アクリレート系バインダーの含有量は、前記機能層の重量を基準に30重量%~95重量%であり得る。具体的に、前記アクリレート系バインダーの含有量は、機能層の重量を基準に40重量%~90重量%または50重量%~80重量%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記アクリレート系バインダーは、ウレタンアクリレート系化合物およびエポキシアクリレート系化合物から選択される1種以上を含み得る。
【0043】
具体的な一例として、前記アクリレート系バインダーは、ウレタンアクリレート系オリゴマーおよびアクリレート系モノマーを含み得る。より具体的に、前記アクリレート系バインダーは、9~18官能基を有するウレタンアクリレート系オリゴマーおよび1~15官能基を有するアクリレート系モノマーを含み得る。
【0044】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、ウレタン結合を繰り返し単位で含み、複数の官能基を有し得る。
【0045】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、ジイソシアネート化合物とポリオールとが反応して形成されたウレタン化合物の末端がアクリレート基で置換されたものであり得る。例えば、前記ジイソシアネート化合物は、炭素数4~12の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族ジイソシアネート化合物および炭素数6~20の芳香族ジイソシアネート化合物のうちの少なくとも1つを含み得る。前記ポリオールは、2~4個のヒドロキシ基(-OH)を含み、炭素数4~12の直鎖状、分岐状または環状の脂肪族ポリオール化合物または炭素数6~20の芳香族ポリオール化合物であり得る。前記アクリレート基による末端置換は、イソシアネート基(-NCO)と反応し得る官能基を有するアクリレート系化合物によって行われ得る。例えば、ヒドロキシ基、アミン基などを有するアクリレート系化合物が用いられ、炭素数2~10のヒドロキシアルキルアクリレートまたはアミノアルキルアクリレートが用いられ得る。
【0046】
前記ウレタンアクリレート系化合物は、1~18個の官能基を含み、具体的に、2~18個、5~18個、または9~18個の官能基を含み得る。
【0047】
前記ウレタンアクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量1400~25000の2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量1700~16000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量500~2000の4官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量818~2600の6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量2500~5500の9官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量3200~3900の10官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量2300~20000の15官能ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0048】
前記ウレタンアクリレート系化合物のガラス転移温度(Tg)は、-80℃~100℃、-80℃~90℃、-80℃~80℃、-80℃~70℃、-80℃~60℃、-70℃~100℃、-70℃~90℃、-70℃~80℃、-70℃~70℃、-70℃~60℃、-60℃~100℃、-60℃~90℃、-60℃~80℃、-60℃~70℃、-60℃~60℃、-50℃~100℃、-50℃~90℃、-50℃~80℃、-50℃~70℃、または-50℃~60℃であり得る。
【0049】
前記エポキシアクリレート系化合物は、1~10個の官能基を含み得る。前記エポキシアクリレート系化合物の例としては、重量平均分子量100~300の1官能エポキシアクリレートオリゴマー、重量平均分子量250~2000の2官能エポキシアクリレートオリゴマー、重量平均分子量1000~3000の4官能エポキシアクリレートオリゴマーが挙げられるが、これに限定されない。前記エポキシアクリレート系化合物のエポキシ当量は、50g/eq~300g/eq、50g/eq~200g/eq、または50g/eq~150g/eqであり得る。
【0050】
一実現例によると、前記機能層はアクリルアミド系モノマーを含む。
前記アクリルアミド系モノマーは、帯電防止剤のような様々な機能性添加剤を単一機能層に導入する際に発生し得る基材との付着力低下を防止する役割を果たし得る。
【0051】
一例として、アクリルアミド系モノマーは化学式(I)で表され得る。
ここで、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、水素、置換または非置換の1価のC
6~C
30脂環式基、置換または非置換の1価のC
4~C
30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の1価のC
6~C
30芳香族環基、置換または非置換の1価のC
4~C
30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC
1~C
30アルキル基、置換または非置換のC
2~C
30アルケニル基、もしくは置換または非置換のC
2~C
30アルキニル基であり得る。
【0052】
具体例として、前記アクリルアミド系モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、およびN-イソプロピルアクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1つであり得る。
【0053】
前記アクリルアミド系モノマーは、前記アクリレート系バインダー100重量部に対して0重量部超~40重量部以下の量で含まれ得る。
【0054】
例えば、前記アクリルアミド系モノマーの含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に0重量部超、1重量部以上、5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上、または20重量部以上であり得る。また、前記アクリルアミド系モノマーの含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に40重量部以下、30重量部以下、または25重量部以下であり得る。具体的に、前記アクリルアミド系モノマーの含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に5重量部~25重量部、10重量部~20重量部、10重量部~15重量部、または15重量部~20重量部であり得るが、これに限定されるものではない。
【0055】
一例として、前記機能層は、帯電防止剤をさらに含み得る。例えば、前記帯電防止剤は、イオン系界面活性剤および導電性高分子から選択される少なくとも1種を含み得る。
【0056】
前記イオン系界面活性剤は、具体的にアンモニウム塩または第4級アルキルアンモニウム塩などを含み得る。より具体的に、前記アンモニウム塩および第4級アルキルアンモニウム塩は、塩化物、臭化物などのハロゲン化物を含み得る。
【0057】
前記導電性高分子は、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、またはこれらの混合物を含み得る。具体的に、前記帯電防止剤は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を含み得る。より具体的に、前記帯電防止剤は、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0058】
前記帯電防止剤の含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に0重量部超、0.1重量部以上、0.5重量部以上、1重量部以上、または3重量部以上であり、また、15重量部以下、10重量部以下、7重量部以下、5重量部以下、3重量部以下、または1重量部以下であり得る。
【0059】
具体的に、前記帯電防止剤がイオン系界面活性剤を含む場合、前記帯電防止剤の含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に1重量部~10重量部、または3重量部~7重量部であり得る。前記帯電防止剤が導電性高分子を含む場合、前記帯電防止剤の含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に0.1重量部~3重量部、または0.3重量部~1重量部であり得る。
【0060】
他の例として、前記機能層は、防汚剤、UV吸収剤および光開始剤からなる群より選択される1種以上をさらに含み得る。
【0061】
前記防汚剤は、例えば、フルオロ系化合物を含み得る。具体的に、前記フルオロ系化合物は、パーフルオロ系アルキル基を有するアクリレート系化合物であり、具体例として、パーフルオロヘキシルエチルアクリレート(perfluorohexyl ethyl acrylate)が挙げられるが、これに限定されるものではない。前記防汚剤の含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に0.1重量部以上または0.2重量部以上であり、また、3重量部以下、1重量部以下、または0.5重量部以下であり、具体的に0.1重量部~3重量部または0.1重量部~1重量部であり得る。
【0062】
前記UV吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物またはトリアジン系化合物などが挙げられる。前記UV吸収剤の含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に1重量部以上、3重量部以上または5重量部以上であり、また、15重量部以下、12重量部以下、または10重量部以下であり、具体的に、1重量部~15重量部または3重量部~12重量部であり得る。
【0063】
前記光開始剤は、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、市販の光開始剤としては、Irgacure(登録商標)184、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 907、Darocur(登録商標)1173、Darocur MBF、Irgacure 819、Darocur TPO、Irgacure 907、Esacure(登録商標) KIP 100Fなどが挙げられる。前記光開始剤は、単独でまたは互いに異なる2種以上を混合して使用し得る。前記光開始剤の含有量は、前記アクリレート系バインダー100重量部を基準に1重量部以上または3重量部以上であり、また、12重量部以下、10重量部以下または7重量部以下であり、具体的に、1重量部~12重量部または3重量部~7重量部であり得る。
【0064】
その外にも前記機能層は、界面活性剤、光安定剤、黄変防止剤、レベリング剤、または色値を改善するための染料などの添加剤をさらに含み得る。例えば、前記界面活性剤は、1~2官能性のフッ素系アクリレート、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤であり得る。前記界面活性剤は、前記機能層内に分散または架橋されている形態で含まれ得る。これらの添加剤の含有量は、前記機能層の物性を低下させない範囲内で多様に調整され得る。例えば、前記添加剤の含有量は、前記機能層の総重量を基準に0.01重量%~10重量%であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、前記機能層は、選択的にフィラーをさらに含み得る。前記フィラーは、例えば無機粒子であり得る。前記フィラーの例としては、シリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛またはアルミナなどが挙げられる。前記フィラーの粒径は1nm~100nmであり得る。具体的に、前記フィラーの粒径は、5nm~50nm、または10nm~30nmであり得る。前記フィラーは、互いに異なる粒径分布を有する無機フィラーを含み得る。例えば、前記フィラーは、D50が20nm~35nmの第1無機フィラーおよびD50が40nm~130nmの第2無機フィラーを含み得る。前記フィラーの含有量は、前記機能層の総重量を基準に、25重量%以上、30重量%以上、または35重量%以上であり得る。また、前記フィラーの含有量は、前記機能層の総重量を基準に、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下であり得る。あるいは、前記機能層はシリカなどの無機フィラーを含まなくてもよい。
【0066】
前記機能層の厚さは、2μm以上、3μm以上、5μm以上、または10μm以上であり、また、50μm以下、30μm以下、20μm以下、または10μm以下であり得る。例えば、前記機能層の厚さは2μm~20μmであり得る。具体的に、前記機能層の厚さは5μm~20μmであり得る。
【0067】
前記機能層は、前記基材フィルムの表面に直接形成され得る。具体的に、前記機能層と前記基材フィルムとの間には他の層が存在しなくてもよい。また、前記機能層の両面のうちのいずれか一面が前記機能層と基材フィルムとの間の界面として設けられ得る。特に、前記機能層は、前記基材フィルムとの付着力に優れるため、安定した膜特性を維持しつつ、前記基材フィルムの不足する物性を改善および補完し得る。
【0068】
前記機能層は、前記基材フィルム上に機能層組成物を塗布され、乾燥および硬化して形成され得る。
【0069】
前記機能層組成物は、前述のアクリレート系バインダーおよびアクリルアミド系化合物と共に、帯電防止剤、防汚剤、光開始剤、UV吸収剤などのような添加剤と溶媒とを含み得る。
【0070】
前記溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒;2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒;プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノプロピルエーテル、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒などを単独でまたは混合して使用し得る。
【0071】
前記溶媒の含有量は、コーティング組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節できるので特に制限されないが、前記機能層組成物に含まれる成分中の固形分に対して、固形分:溶媒の重量比が20:80~99:1になるように含まれ得る。具体的に、前記溶媒の含有量は、前記機能層組成物に含まれる成分中の固形分に対して、固形分:溶媒の重量比が20:80~70:30、20:80~60:40、20:80~50: 50、または25:75~40:60となるように含まれ得るが、これに限定されるものではない。前記溶媒が前記範囲にあるとき、適切な流動性および塗布性を有し得る。
【0072】
前記機能層組成物は、バーコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、ダイコーティング、マイクログラビアコーティング、コンマコーティング、スロットダイコーティング、リップコーティング、溶液キャスティング(solution casting)などにより塗布され得る。
【0073】
その後、乾燥工程により前記機能層組成物に含まれている溶媒が除去され得る。前記乾燥工程は、40℃~100℃、好ましくは40℃~80℃、50℃~100℃、または50℃~80℃の温度条件で行われ、約1分~20分、好ましくは1分~10分または1分~5分間行われ得る。
【0074】
その後、前記機能層は、光および/または熱によって硬化し得る。一例として、前記機能層は、窒素雰囲気下でUV光が500mJ/cm2~1000mJ/cm2の量で照射され硬化し得る。
【0075】
[基材フィルム]
前記基材フィルムは、前記複合フィルムに機械的特性を提供しながら前記機能層のベース層として作用する。
【0076】
前記基材フィルムは高分子フィルムであり、またはガラス基板、具体的に厚さ約100μm未満の強化処理されたガラス基板であり得る。例えば、前記基材フィルムは、高分子フィルムまたは超薄型ガラス(UTG)からなる群より選択される少なくとも1種を含み得る。
【0077】
具体的に、前記基材フィルムは高分子フィルムであり、すなわち前記基材フィルムは高分子樹脂を含み得る。
【0078】
一実現例によると、前記基材フィルムはポリイミド系樹脂またはポリアミド系樹脂を含む。具体的に、前記基材フィルムは、透明なポリイミド系またはポリアミド系フィルムであり得る。
【0079】
前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物とを含む反応物が同時または順次反応して形成され得る。具体的に、前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物とが重合して形成されたポリイミド系重合体を含み得る。前記ポリイミド系樹脂は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物との重合に由来するイミド(imide)繰り返し単位を含み得る。また、前記ポリイミド系樹脂は、ジカルボニル化合物をさらに含んで重合されたものであってよく、これにより、ジアミン化合物とジカルボニル化合物との重合に由来するアミド(amide)繰り返し単位をさらに含むポリアミド-イミド系重合体を含み得る。
【0080】
前記ジアミン化合物は特に制限されないが、例えば、芳香族構造を含む芳香族ジアミン化合物であり得る。例えば、前記ジアミン化合物は、下記化学式1の化合物であり得る。
【0081】
[化1]
前記化学式1において、Eは、置換または非置換の2価のC
6-C
30脂環式基、置換または非置換の2価のC
4-C
30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC
6-C
30芳香族環基、置換または非置換の2価のC
4-C
30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC
1-C
30アルキレン基、置換または非置換のC
2-C
30アルケニレン基、置換または非置換のC
2-C
30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)
2-、-Si(CH
3)
2-、-C(CH
3)
2-、および-C(CF
3)
2-の中から選択され、eは1~5の整数の中から選択され、eが2以上の場合、Eは互いに同一または異なり得る。
【0082】
前記化学式1の(E)
eは、下記化学式1-1a~1-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0083】
具体的に、前記化学式1の(E)
eは、下記化学式1-1b~1-13bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0084】
より具体的に、前記化学式1の(E)eは、前記化学式1-6bで表される基であり得る。
【0085】
一実現例において、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物を含み得る。または、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。この際、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にはトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0086】
一実現例において、前記ジアミン化合物は1種のジアミン化合物を用い得る。すなわち、前記ジアミン化合物は単一成分からなり得る。
【0087】
例えば、前記ジアミン化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-Bis(trifluoromethyl)-4,4'-diaminodiphenyl、TFDB)を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0088】
前記ジアンヒドリド化合物は複屈折値が低いため、前記ポリイミド系樹脂を含むフィルムの透過度のような光学物性の向上に寄与し得る。
【0089】
前記ジアンヒドリド化合物は特に限定されないが、芳香族構造を含む芳香族ジアンヒドリド化合物であり得る。例えば、前記芳香族ジアンヒドリド化合物は、下記化学式2の化合物であり得る。
[化2]
【0090】
前記化学式2において、Gは置換または非置換の4価のC6-C30脂環式基、置換または非置換の4価のC4-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の4価のC6-C30芳香族環基、置換または非置換の4価のC4-C30芳香族ヘテロ環基であり、前記脂環式基、前記ヘテロ脂環式基、前記芳香族環基、または前記芳香族ヘテロ環基が単独で存在するか、互いに結合され縮合環を形成するか、もしくは置換または非置換のC1-C30アルキレン基、置換または非置換のC2-C30アルケニレン基、置換または非置換のC2-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-C(CH3)2-、および-C(CF3)2-の中から選択された連結基によって連結されている。
【0091】
前記化学式2におけるGは、下記化学式2-1a~2-9aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0092】
例えば、前記化学式2におけるGは、前記化学式2-8aで表される基であり得る。
【0093】
一実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物を含み得る。または、前記ジアンヒドリド化合物はフッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。なお、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にはトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0094】
他の実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、1種の単一成分または2種の混合成分からなり得る。
【0095】
例えば、前記ジアンヒドリド化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(2,2'-Bis-(3,4-Dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0096】
前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物とが重合してポリアミック酸を生成し得る。
【0097】
次いで、前記ポリアミック酸は、脱水反応によりポリイミドに転換され得る。前記ポリイミドは、下記化学式Aで表される繰り返し単位を含み得る。
[化A]
前記化学式Aにおいて、E、G、およびeに関する説明は、前述の通りである。
【0098】
例えば、前記ポリイミドは、下記化学式A-1で表される繰り返し単位を含み得るが、これに限定されるものではない。
[化A-1]
前記化学式A-1におけるnは1~400の整数であり得る。
【0099】
前記ジカルボニル化合物は特に制限されないが、例えば、下記化学式3の化合物であり得る。
[化3]
【0100】
前記化学式3において、Jは、置換または非置換の2価のC6-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC4-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC6-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC4-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC1-C30アルキレン基、置換または非置換のC2-C30アルケニレン基、置換または非置換のC2-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)2-、-Si(CH3)2-、-C(CH3)2-、および-C(CF3)2-の中から選択され、jは1~5の整数の中から選択され、jが2以上の場合、Jは互いに同一または異なり、Xはハロゲン原子である。具体的に、XはF、Cl、Br、I等であり得る。より具体的に、XはClであり得るが、これに限定されるものではない。
【0101】
前記化学式3の(J)
jは、下記化学式3-1a~3-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0102】
具体的に、前記化学式3の(J)
jは、下記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0103】
より具体的に、前記化学式3の(J)jは、前記化学式3-1bで表される基、前記化学式3-2bで表される基、または3-3bで表される基であり得る。
【0104】
一実現例において、前記ジカルボニル化合物は、互いに異なる少なくとも2種のジカルボニル化合物を混合して使用し得る。前記ジカルボニル化合物が2種以上使用される場合、前記ジカルボニル化合物は、前記化学式3において(J)jが前記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択される2種以上が使用され得る。
【0105】
他の実現例において、前記ジカルボニル化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジカルボニル化合物であり得る。
【0106】
例えば、前記ジカルボニル化合物は、第1ジカルボニル化合物および/または前記第1ジカルボニル化合物とは異なる第2ジカルボニル化合物を含み得る。
【0107】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物は、それぞれ芳香族ジカルボニル化合物(aromatic dicarbonyl compound)であり得る。
【0108】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物が、互いに異なる芳香族ジカルボニル化合物であり得るが、これに限定されるものではない。
【0109】
前記第1ジカルボニル化合物および前記第2ジカルボニル化合物がそれぞれ芳香族ジカルボニル化合物であると、ベンゼン環を含んでいるので、製造されたポリアミド-イミド樹脂を含むフィルムの表面硬度および引張強度のような機械的物性の向上に寄与し得る。
【0110】
前記ジカルボニル化合物は、下記のような構造を有するテレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride、TPC)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride、IPC)、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボニルジクロリド(1,1'-biphenyl-4,4'-dicarbonyl dichloride、BPDC)、またはその組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0111】
例えば、前記第1ジカルボニル化合物はBPDCを含み、前記第2ジカルボニル化合物はTPCを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0112】
具体的に、前記第1ジカルボニル化合物としてBPDC、前記第2ジカルボニル化合物としてTPCを適宜組み合わせて使用すると、製造されたポリアミド-イミド系樹脂を含むフィルムは高い耐酸化性を有し得る。
【0113】
または、前記第1ジカルボニル化合物はIPCを含み、前記第2ジカルボニル化合物はTPCを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0114】
具体的に、前記第1ジカルボニル化合物としてIPC、前記第2ジカルボニル化合物としてTPCを適宜組み合わせて使用すると、製造されたポリアミド-イミド系樹脂を含むフィルムが高い耐酸化性を有することができ、製造コストが削減できる。
【0115】
前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、下記化学式Bで表される繰り返し単位を形成し得る。
[化B]
前記化学式Bにおいて、E、J、e、およびjに関する説明は前述の通りである。
【0116】
例えば、前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、化学式B-1およびB-2で表されるアミド繰り返し単位を形成し得る。
【0117】
[化B-1]
前記化学式B-1のxは1~400の整数である。
【0118】
[化B-2]
前記化学式B-2のyは1~400の整数である。
【0119】
他の実現例によると、前記基材フィルムはポリエステル系樹脂を含み、具体的に前記基材フィルムは、透明なポリエステル系フィルムであり得る。
【0120】
前記ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とジオールとが重縮合した単一重合体樹脂または共重合体樹脂であり得る。また、前記ポリエステル系樹脂は、前記単一重合体樹脂または共重合体樹脂が混合されたブレンド樹脂であり得る。
【0121】
前記ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸などがある。
【0122】
また、前記ジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホンなどがある。
【0123】
好ましくは、前記ポリエステル系樹脂は、結晶性に優れた芳香族ポリエステル系樹脂であり得、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主成分とし得る。
【0124】
前記基材フィルムがポリエステル系フィルムの場合、前記ポリエステル系フィルムは、ポリエステル系樹脂、具体的にPET樹脂を約85重量%以上含み、より具体的に、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上含み得る。他の例として、前記ポリエステル系フィルムは、PET樹脂以外に、他のポリエステル系樹脂をさらに含み得る。具体的に、前記ポリエステル系フィルムは、約15重量%以下のポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂をさらに含み得る。より具体的に、前記ポリエステル系フィルムは、約0.1重量%~10重量%、または約0.1重量%~5重量%のPEN樹脂をさらに含み得る。
【0125】
前記組成により、ポリエステル系フィルムが加熱、延伸などを経る製造過程において結晶化度が上昇し、引張強度などの機械的物性が向上され得る。
【0126】
前記基材フィルムは、高分子樹脂の外にフィラーをさらに含み得る。
前記フィラーは、硫酸バリウム、シリカおよび炭酸カルシウムからなる群より選択される1種以上であり得る。前記基材フィルムは、前記フィラーを含むことにより、粗度および巻取性を向上させ得るとともに、フィルム製造の際の走行性およびスクラッチ改善効果を向上させ得る。
【0127】
前記フィラーの粒径は、0.01μm以上~1.0μm未満であり得る。例えば、前記フィラーの粒径は、0.05μm~0.9μmまたは0.1μm~0.8μmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0128】
前記フィラーは、前記基材フィルムの総重量を基準に0.01重量%~3重量%の量で含まれ得る。例えば、前記フィラーは、前記基材フィルムの総重量を基準に、0.05重量%~2.5重量%、0.1重量%~2重量%、または0.2重量%~1.7重量%の量で含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0129】
前記基材フィルムの厚さは、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、または100μm以上であり、また、500μm以下、400μm以下、300μm以下、または200μm以下であり得る。具体例として、前記基材フィルムの厚さは20μm~500μmであり、より具体的に40μm~200μmまたは50μm~200μmであり得る。
【0130】
前記基材フィルムは、一定レベルの光学特性および機械的特性を有し得る。
【0131】
前記基材フィルムのヘイズは3%以下であり得る。例えば、前記基材フィルムのヘイズは、2%以下、1.5%以下、または1%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0132】
前記基材フィルムの黄色度(YI)は5以下であり得る。例えば、前記基材フィルムの黄色度は、4以下、3.8以下、2.8以下、2.5以下、2.3以下、または2.1以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0133】
前記基材フィルムのモジュラスは5GPa以上であり得る。例えば、前記基材フィルムのモジュラスは、5.2GPa以上、5.5GPa以上、6.0GPa以上、10GPa以下、5GPa~10GPa、または7GPa~10GPaであり得るが、これに限定されるものではない。
【0134】
前記基材フィルムの光透過率は80%以上であり得る。例えば、前記基材フィルムの光透過率は、85%以上、88%以上、89%以上、80%~99%、または85%~99%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0135】
前記基材フィルムの圧縮強度は0.4kgf/μm以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの圧縮強度は、0.45kgf/μm以上または0.46kgf/μm以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0136】
前記基材フィルムの表面硬度はHB以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの表面硬度は、H以上または2H以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0137】
前記基材フィルムは、引張強度が15kgf/mm2以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの引張強度は、18kgf/mm2以上、20kgf/mm2以上、21kgf/mm2以上、または22kgf/mm2以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0138】
前記基材フィルムは、伸び率が15%以上であり得る。具体的に、前記基材フィルムの伸び率は、16%以上、17%以上、または17.5%以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0139】
(実施例)
以下に記述される実施例は、理解を容易にするためのものであるのみ、実現可能な範囲がこれらに限定されるものではない。
【0140】
[機能層組成物Aの調製]
下記表1の成分を溶媒中に混合して機能層組成物Aを得た。前記溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)、メチルエチルケトン(MEK)およびエタノールの混合溶媒を使用しており、前記機能層組成物Aの全重量を基準に、固形分濃度が25重量%~40重量%となるように前記混合溶媒を配合した。
【0141】
【0142】
[機能層組成物Bの調製]
下記表2の成分を溶媒中に配合して機能層組成物Bを得た。前記溶媒の種類および配合量は前記組成物Aと同一であった。
【0143】
【0144】
(実施例1:複合フィルムの製造)
前記機能層組成物Aを用意し、厚さ50μmの透明なポリイミド系フィルム(TPI、SKC社)の一面にメイヤーバー(Mayer Bar)でコーティングした。その後、60℃の温度にて2分間熱処理してコーティング組成物中の溶媒を乾燥させ、窒素雰囲気下で500mJ/cm2~1000mJ/cm2のUV光を照射した。その結果、厚さ約5μmの機能層がポリイミド系フィルム上に形成された複合フィルムを得た。
【0145】
(実施例2:複合フィルムの製造)
前記実施例1と同様の手順を繰り返すが、バインダー100重量部に対してアクリルアミドの含有量を20重量部(固形分重量基準)に調整して複合フィルムを製造した。
【0146】
(実施例3:複合フィルムの製造)
前記実施例1と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物において、第4級アンモニウム系の帯電防止剤の代わりに有機溶媒系導電性高分子(PEDOT系)0.5重量部を添加して複合フィルムを製造した。
【0147】
(実施例4:複合フィルムの製造)
前記実施例2と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物において、第4級アンモニウム系の帯電防止剤の代わりに有機溶媒系導電性高分子(PEDOT系)0.5重量部を添加して複合フィルムを製造した。
【0148】
(比較例1:複合フィルムの製造)
前記実施例1と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物からアクリルアミドおよび帯電防止剤を除いて複合フィルムを製造した。
【0149】
(比較例2:複合フィルムの製造)
前記実施例1と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物からアクリルアミドのみを除いて複合フィルムを製造した。
【0150】
(比較例3:複合フィルムの製造)
前記機能層組成物Bを用いて前記実施例1と同様にして複合フィルムを製造した。
【0151】
(比較例4:複合フィルムの製造)
前記比較例3と同様の手順を繰り返すが、バインダー100重量部に対してアクリル系モノマーの含有量を20重量部(固形分重量基準)に調整して複合フィルムを製造した。
【0152】
(比較例5:複合フィルムの製造)
前記実施例3と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物からアクリルアミドのみを除いて複合フィルムを製造した。
【0153】
(比較例6:複合フィルムの製造)
前記比較例3と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物において第4級アンモニウム系の帯電防止剤の代わりに有機溶媒系導電性高分子(PEDOT系)0.5重量部を添加して複合フィルムを製造した。
【0154】
(比較例7:複合フィルムの製造)
前記比較例4と同様の手順を繰り返すが、機能層組成物において第4級アンモニウム系の帯電防止剤の代わりに有機溶媒系導電性高分子(PEDOT系)0.5重量部を添加して複合フィルムを製造した。
【0155】
(試験例1:付着力(クロスカットテスト))
複合フィルムサンプルの機能層と基材フィルムとの間の密着力をクロスカットテストによって評価した。機能層の表面をASTM D 3359(Method B)規格に基づいて一定間隔の格子状に切断した後、その上にテープ(3M社のScotch(登録商標)Magic Tape)を貼り付けて剥がして、表面において格子単位の薄片が発生する程度を確認した。以下の基準に従って0Bから5Bまで等級をつけており、5Bの場合に最も優れるものと評価された(
図3参照)。
【0156】
-5B:切断面がきれいで、格子の四角形が分離されていない(格子面積の0%)
-4B:コーティングの小さな片が交点で分離される(格子面積の5%未満)
-3B:コーティングの小さな片が角に沿って、かつ、切断部分の交点で分離される(格子面積の5%以上、15%未満)
-2B:コーティングの切断面の縁と四角形の一部が分離される(格子面積の15%以上、35%未満)
-1B:コーティングが切断面の縁に沿って大きく剥がれ、四角形が分離される(格子面積の35%~65%)
-0B:コーティングが剥がれ、四角形が分離する程度がさらにひどくなる(格子面積の65%超)
【0157】
(試験例2:表面抵抗)
表面抵抗測定器(SIMCO ion社のST-4)で複合フィルムサンプルの機能層表面に100Vの電圧を印加して抵抗を測定した。
【0158】
(試験例3:防汚性(初期接触角))
接触角測定器(KYOWA社製DM-CE1)で水滴3.0μLを用いて複合フィルムサンプルの機能層表面の水接触角を測定した。初期接触角が100°以上の場合は良好のものと判断し得る(
図4参照)。
【0159】
(試験例4:耐薬品性(耐薬品試験後の接触角))
複合フィルムサンプルの機能層表面に純度99.5%以上のエタノール10μLを適用し、耐摩耗試験装置(DEASUNG PRECISION社、韓国)および耐摩耗試験用消しゴム(MINOAN社、韓国)を用いて、1kgの荷重でエタノールが適用された機能層表面を3000回擦った後、前記試験例3と同様にして水接触角を測定した。耐摩耗試験後の接触角が95°以上の場合、良好のものと判断し得る(
図5参照)。
前記実施例および比較例の構成およびその試験結果を下記表にまとめた。
【0160】
【0161】
前記表に示すように、実施例1~4の複合フィルムは、機能層と基材フィルムとの間の付着力が高く、帯電防止性、防汚性、耐薬品性の面からいずれも性能に優れた。
【0162】
一方、比較例1の複合フィルムは、機能層と基材フィルムとの間の付着力が高くても、帯電防止性が非常に低調であり、比較例2~7の複合フィルムは帯電防止性と防汚性は良好であったが耐薬品性に不足しており、特に機能層と基材フィルムとの間の接着力が非常に低調であった。
【符号の説明】
【0163】
1:ディスプレイ装置
2:試験装置
3:水
4:エタノール
5:消しゴム
θ:接触角
10a:複合フィルムサンプル
10:複合フィルム(カバーウィンドウ)
20:ディスプレイパネル
30:基板
40:フレーム
100:基材フィルム
200:機能層