(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】SMD部品を環境の影響から保護するためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/202 20210101AFI20240918BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240918BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240918BHJP
【FI】
H01M50/202 501S
H01M50/209
H01M50/227
H01M50/296
H01M50/50 101
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/509
H01M50/516
H01M50/522
H01M10/0562
(21)【出願番号】P 2022511305
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021058314
(87)【国際公開番号】W WO2021198267
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】102020109247.4
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ヨンリ
(72)【発明者】
【氏名】リー, チーロン
(72)【発明者】
【氏名】大石 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】ペツィーナ, アクセル
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/031424(WO,A1)
【文献】特開2014-116156(JP,A)
【文献】特開2015-220099(JP,A)
【文献】特開2008-251225(JP,A)
【文献】特開2009-170575(JP,A)
【文献】特開2009-170882(JP,A)
【文献】特開2003-224221(JP,A)
【文献】特開2001-196488(JP,A)
【文献】特開2015-220102(JP,A)
【文献】特開2015-220107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SMD部品(2)を環境の影響から保護するためのアセンブリ(1)であって、
少なくとも1つのSMD部品(2)と、
前記少なくとも1つのSMD部品(2)から外部の回路に電流を導くように構成および配置された金属配線(4)と、
前記少なくとも1つのSMD部品(2)の外面(6)の全てと前記金属配線(4)の少なくとも一部とを覆うように構成および配置された少なくとも1つの保護要素(5)と、を備え、
前記アセンブリ(1)は、一体成型モジュールの構造を有しており、前記少なくとも1つのSMD部品(2)は、充電式全固体電池を含んでおり、
前記金属配線(4)は、2つ以上の金属フォイルを含んでおり、
前記金属配線(4)は、第1の部分(7)と第2の部分(8)とを含んでおり、前記第1の部分(7)は、前記少なくとも1つの保護要素(5)から露出しており、前記第2の部分(8)は前記少なくとも1つの保護要素(5)内に配置されており、前記第1の部分(7)は前記アセンブリ(1)の外部電極を提供しており、
前記金属配線(4)の前記第1の部分(7)は、前記アセンブリ(1)全体の底面に沿って導くために曲げられており、
前記少なくとも1つのSMD部品(2)は、少なくとも1つの外部電極(3)を備えており、前記金属配線(4)は、前記外部電極(3)にはんだ付けされている、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリ(1)であって、
前記金属配線(4)は、前記アセンブリ(1)を外部の回路に電気的に接続するために、前記少なくとも1つの保護要素(5)から少なくとも一部が突出している、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアセンブリ(1)であって、
前記少なくとも1つの保護要素(5)は、前記少なくとも1つのSMD部品(2)を完全に包むように構成および配置されている、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のアセンブリ(1)であって、
前記金属配線(4)は、少なくとも2つの金属ストリップまたはストリップキャリアを含んでいる、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のアセンブリ(1)であって、
前記少なくとも1つのSMD部品(2)は、アクティブSMD部品である、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか一項に記載のアセンブリ(1)であって、
前記少なくとも1つの保護要素(5)は、エポキシ樹脂、熱可塑性プラスチック材料および/またはそれを基にした材料を含んでいる、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか一項に記載のアセンブリ(1)であって、
前記アセンブリ(1)は、2つ以上のSMD部品(2)を含んでおり、前記SMD部品(2)は、前記金属配線(4)に、並列に、直列に又は複合させる形ではんだ付けされている、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のアセンブリ(1)であって、
前記金属配線(4)の前記第1の部分(7)は、前記アセンブリ(1)の外側の側面に沿って導かれている、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のアセンブリ(1)であって、
前記第1の部分(7)と前記第2の部分(8)との間の中間部分(9)では、それぞれの金属フォイルは、少なくとも1つのキンクを含む、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項10】
請求項
9に記載のアセンブリ(1)であって、
前記中間部分(9)は、前記保護要素(5)内に埋め込まれている、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載のアセンブリ(1)であって、
前記金属配線(4)は、一体型配線である、ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項12】
SMD部品(2)を環境の影響から保護するための請求項1に記載のアセンブリ(1)を準備するための方法であって、
A)前記SMD部品(2)を準備するステップと、
B)前記SMD部品(2)の外部接点を提供するために、外部電極(3)を前記SMD部品(2)に付加するステップと、
C)電気接続を形成するために、前記SMD部品(2)の前記外部電極(3)に金属配線(4)をはんだ付けするステップと、
D)保護要素(5)が前記SMD部品(2)を完全に包むように、かつ一体成型モジュールが形成されるように、前記SMD部品(2)と前記金属配線(4)の少なくとも一部とを前記保護要素(5)とともに成形するステップと、
E)前記金属配線(4)の少なくとも一部を前記保護要素(5)から引き出すステップと、
F)前記一体成型モジュールの外部電極を形成するために、前記保護要素(5)から露出した前記金属配線(4)の前記一部を曲げて切断するステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の方法であって、
前記SMD部品(2)を準備するステップは、一体の積層セラミックSMD部品(2)を形成するための多層プロセスを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項
12または請求項
13に記載の方法であって、
前記SMD部品(2)は、充電式全固体電池を含んでいる、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブSMD(表面実装型)部品を環境の影響から保護するためのアセンブリ(組立体)に関する。さらに、本発明は、アセンブリを準備する方法に関し、アセンブリは、SMD部品を環境の影響から保護するために構成および配置されるものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、SMD部品(半導体素子など)は、表面実装技術(SMT)を用いて組み立てた後、オンボードコーティング、例えば、コンフォーマルコーティング、ダムフィル(dam-fill)コーティング、及び/又はグロブトップ(top-glob)コーティングによって保護される。あるいは、個々の部品または部品群は、厳重に保護するために、熱可塑性プラスチック材料またはエポキシ系材料で一体成型またはコーティングされる。
しかし、これらの技術は、一般にエネルギー密度が高く、従来のはんだ付け/コーティング/成形プロセスで必要とされる高温/高圧に耐えられない能動(アクティブ)部品よりも、むしろ受動部品に適応する。
【0003】
雰囲気に敏感な材料を含む電池の場合、例えば、コイン電池および/またはパウチ型電池のような特殊な構造と材料で密閉されたハウジングによって保護することができる。それによって使用される材料/構造は、SMTプロセスに適合しておらず、一般的に、組み立てコストの増加、およびプリント回路基板(PCB)との機械的/電気的接続における信頼性の低下につながる手作業によるはんだ付けや特殊な組み立て技術(例えば、接着、電池固定具の接続)を必要とする。
CeraChargeバッテリー、すなわち充電式SMD個体電池の性能は、環境の湿度に敏感である。CeraChargeの使用に推奨される相対湿度は60%未満であり、これが適切に管理されていない環境条件下では、本製品および関連電子機器の信頼性に重大な問題が生じる可能性があり、本製品の利用が強く制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、上述した問題を解決するアセンブリおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項に記載のアセンブリによって解決される。
本開示の第1の態様によれば、SMD部品、特にアクティブSMD部品を環境の影響から、例えば、湿度および/または化学腐食から保護するために、特に適合および設計されたアセンブリが提供される。
アセンブリは、少なくとも1つのSMD部品、特に少なくとも1つのアクティブSMD部品を含む。一実施形態では、アセンブリは、正確に1つのSMD部品、好ましくは正確に1つのアクティブSMD部品を含む。あるいは、アセンブリは、複数の(好ましくはアクティブ)SMD部品、例えば、2つ、3つまたはそれ以上の数のSMD部品を含んでもよい。SMD部品は、SMD部品のための標準のEIA(米国電子機械工業会)ケースサイズに準拠するように適合される。
【0006】
アセンブリは、金属配線を更に含む。以下では、金属配線を、配線または電気配線と呼ぶこともある。配線は、少なくとも1つ、好ましくは複数の金属ワイヤまたはストリップ/フォイル、例えば薄い銅フォイルを含んでもよい。金属配線は、1つ、2つまたはそれ以上の数の金属ストリップキャリアを含んでもよい。金属配線は、SMD部品から外部の回路、例えばPCBに電流を導くように構成および配置される。
【0007】
アセンブリは、少なくとも1つの保護要素を更に含む。好ましくは、アセンブリは、正確に1つの保護要素を含む。保護要素は、エポキシ樹脂、熱可塑性プラスチック材料および/またはそれを基にした材料を含んでもよい。
保護要素は、SMD部品の外面、特に外面の全てを覆うように構成および配置される。保護要素は、SMD部品を完全に包むことが好ましい。保護要素は、金属配線の一部を覆うように更に構成および配置される。SMD部品、および保護要素によって覆われた配線の一部は、保護要素とともに一体成型される。したがって、アセンブリは、一体成型モジュールの構造を有する。
【0008】
成形による厳重なコーティングは、費用対効果が高く、シンプルで信頼性の高い方法で、湿度および化学腐食からSMD部品を保護する。このコーティング構造によって、適切に管理されていない動作条件下でのSMD部品の堅牢性および信頼性のさらなる向上が達成される。モジュール全体および露出した金属配線の寸法は、SMD部品のための標準のEIAケースサイズに適合する。要するに、SMD部品を環境の影響から保護する、堅牢で、効率的かつシンプルなアセンブリが提供される。
【0009】
一実施形態によれば、アセンブリを外部の回路に電気的に接続するために、配線が、保護要素から少なくとも部分的に突出する。このようにして、アセンブリ全体のシンプルで信頼性の高い電気的接続が確保される。
一実施形態によれば、保護要素は、SMD部品を完全に包むように構成および配置される。これにより、適切に管理されていない動作条件(例えば、高湿度、化学腐食)下でのSMD部品の堅牢性および信頼性がさらに向上される。
【0010】
一実施形態によれば、配線、特にそれぞれのストリップまたはフォイル(箔)は、第1の部分を含む。配線、特にそれぞれのストリップ/フォイルは、第2の部分を含んでもよい。第1の部分と第2の部分との間に中間部分を配置してもよい。もちろん、配線は一体型配線である。つまり、配線の全部分がユニット的に造られる。
第1の部分は保護要素から露出してもよい。配線の第1の部分は曲げられてもよい。第1の部分の曲げ形状は、アセンブリのアプリケーションの要求、および関連する製造プロセスに適合させてもよい。第1の部分は、アセンブリの外部電極を提供してもよい。これにより、アセンブリは、容易に、外部の回路に電気的に接続され得る。第2の部分は保護要素内に配置されてもよい。第2の部分はSMD部品にはんだ付けされてもよい。
【0011】
一実施形態によれば、SMD部品は、少なくとも1つの外部電極、好ましくは2つの外部電極を含む。配線、特に第2の部分は、外部電極にはんだ付けされる。
一実施形態によれば、少なくとも1つのSMD部品は、充電式全固体電池、例えばCeraChargeを含む。充電式全固体電池をアセンブリに組み込むことにより、充電式全固体電池は、高湿度、例えば90%RH以上の環境下で動作させることができ、不安定な動作環境条件に対する信頼性が向上している。
【0012】
一実施形態によれば、アセンブリは、2つ以上のSMD部品、例えば全固体電池を含む。SMD部品は,金属配線に、並列に、直列に又は複合させる形ではんだ付けすることができる。これにより、アセンブリの容量および電圧は、より幅広い適用要件に合わせて調整することができる。
【0013】
さらなる態様によれば、SMD部品を環境の影響から保護するためのアセンブリを準備するための方法が開示される。方法は、以下のステップを含む。
最初のステップA)は、少なくとも1つのSMD部品の準備を含む。あるいは、複数のSMD部品が準備されてもよく、例えば、2つ又は3つのSMD部品が準備されてもよい。
SMD部品は、アクティブSMD部品であってもよい。SMD部品は、例えば、CeraChargeなどの充電式全固体電池を含んでもよい。しかし、方法は、充電式全固体電池のみを埋め込むことに限らず、充電式全固体電池および/または他のSMD部品の組み合わせを埋め込むこともまた可能である。SMD部品を準備するステップは、テープキャスティング、スクリーン印刷、積層、切断、脱バインダー、および一体の積層セラミック部品を形成するための高温での焼成を含む従来の多層プロセスを含んでもよい。一体の積層セラミック部品は、リチウムイオン電池のための積層された、集電体、電極材料、および、例えば、電解質材料の望ましい構造を含む。その後、そのセラミック部品は、尖った角(かど)を丸くするためにタンブリングされてもよい。
【0014】
次のステップB)は、外部電極を提供するために、SMD部品の外面に金属層を付加することを含む。金属層は、Cr、Niおよび/またはAgを含んでもよい。したがって、それぞれの外部電極は、Cr/Ni/Agの3層を含んでもよい。まず、Cr層がSMD部品の外面に付加され得る。その後、Ni層がCr層上に付加され得る。その後、Ag層がNi層上に付加され得る。
好ましくは、2つの外部電極は、SMD部品の内部電極層が外部に露出するSMD部品の外面、例えば対向する側面に付加される。外部電極は、SMD部品の下面、上面に、および/または側面に付加されてもよい。外部電極、特にそれぞれの外部電極の層は、SMD部品の外面上にスパッタリングされてもよい。
【0015】
次のステップC)では、電気接続を形成するために、電気配線がそれぞれの外部電極の外面に、特にAg層にはんだ付けされる。電気配線は、例えば、2つ以上の金属ストリップ/フォイル又は金属ストリップキャリアを含んでもよい。電気配線は、例えば、2つの薄い銅フォイルを含んでもよい。電気配線は、鉛フリーのリフローはんだ付けによって外部電極にはんだ付けされてもよい。
【0016】
次のステップD)では、保護要素がSMD部品を完全に包むように、SMD部品と配線の少なくとも一部とが保護要素とともに一体成型される。保護要素は、エポキシ系材料、熱可塑性プラスチック材料および/またはこれら2つの材料を基にした材料を含んでもよい。SMD部品と配線の一部とは、保護要素内に完全に埋め込まれる。このようにして、一体成型されたモジュールが形成される。
【0017】
次のステップE)では、配線の少なくとも一部、すなわちそれぞれの金属ストリップ/フォイルの第1の部分が、保護要素の外に引き出される。一体成型モジュールのサイズは、EIA SMDケースサイズの規格内に収まるように管理される。
【0018】
次のステップF)では、完成品となる一体成型モジュールの外部電極を形成するために、保護要素から露出した配線の一部、すなわち第1の部分が曲げられて、切断される。モジュールの外側の残りの金属ストリップ(つまり第1の部分)の位置および寸法は、同じケースサイズの対応するフットプリントに収まるように設計される。斯くして、完成品、すなわち一体成型モジュールは、容易に、回路基板に電気的に接続することができる。
【0019】
次のステップG)では、アセンブリ/一体成型されたモジュールが、鉛フリーのリフロープロセスを介してテストPCB上にはんだ付けされる。その後、40℃、高湿度93%RHの環境下で電池性能が測定され、連続動作(充放電サイクル)が達成される。これに対し、覆われていない/従来のCeraChargeの連続動作のための最大湿度は60%RHに制限される。
【0020】
一体成型モジュールは、例えば充電式全固体電池の本質的な特徴、すなわち再充電可能、長寿命/長サイクルタイム、高い安全性、SMT適合(鉛フリーのリフロー)、およびRoHS適合などを継承するだけでなく、当該部品の適用分野を拡大するものでもある。このコーティング構造は、適切に管理されていない動作条件(例えば、高湿度、化学腐食)下での全固体電池の堅牢性および信頼性を向上させる。さらに、複数の充電式全固体電池を適切に接続することで、部品の容量および電圧を調整することができ、より幅広い適用要件に対応することができる。
【0021】
上述したように、設計は、充電式全固体電池のみを埋め込むものに限らず、より複雑な機能を提供するために、充電式全固体電池および/または他のSMD部品の組み合わせをまた埋め込むものであってもよい。従って、配線および完成したモジュールブロックの形状と寸法とは、適用の要件および関連する製造プロセスに応じて適合させることが可能である。
【0022】
本開示は、発明のいくつかの態様を含む。態様の一つに関して記載された全ての特徴は、それぞれの特徴が特定の態様の文脈で明示的に述べられていない場合でさえ、他の態様に関しても、また本明細書に開示される。
特に、本開示は、以下の態様に関連する。
【0023】
態様1:
SMD部品を環境の影響から保護するためのアセンブリであって、
- 少なくとも1つのSMD部品と、
- 前記SMD部品から外部の回路に電流を導くように構成および配置された金属配線と、
- 前記SMD部品の外面の全てと前記配線の少なくとも一部とを覆うように構成および配置された少なくとも1つの保護要素と、
を備え、
前記アセンブリは、一体成型モジュールの構造を有している。
【0024】
態様2:
態様1に記載のアセンブリであって、
前記配線は、前記アセンブリを外部の回路に電気的に接続するために、前記保護要素から少なくとも一部が突出している。
【0025】
態様3:
態様1または態様2に記載のアセンブリであって、
前記保護要素は、前記SMD部品を完全に包むように構成および配置されている。
【0026】
態様4:
態様1~態様3の何れか一の態様に記載のアセンブリであって、
前記配線は、少なくとも2つの金属ストリップまたはストリップキャリアを含んでいる。
【0027】
態様5:
態様1~態様4の何れか一の態様に記載のアセンブリであって、
前記SMD部品は、少なくとも1つの外部電極を備えており、前記配線は、前記外部電極にはんだ付けされている。
【0028】
態様6:
態様1~態様5の何れか一の態様に記載のアセンブリであって、
前記少なくとも1つのSMD部品は、充電式全固体電池を含んでいる。
【0029】
態様7:
態様1~態様6の何れか一の態様に記載のアセンブリであって、
前記保護要素は、エポキシ樹脂、熱可塑性プラスチック材料および/またはそれを基にした材料を含んでいる。
【0030】
態様8:
態様1~態様7の何れか一の態様に記載のアセンブリであって、
前記配線は、第1の部分と第2の部分とを含んでおり、前記第1の部分は前記保護要素から露出しており、前記第2の部分は前記保護要素内に配置されており、前記第1の部分は前記アセンブリの外部電極を提供する。
【0031】
態様9:
態様8に記載のアセンブリであって、
前記配線の前記第1の部分は、曲げられている。
【0032】
態様10:
態様1~態様9の何れか一の態様に記載のアセンブリであって、
前記アセンブリは、2つ以上のSMD部品を含んでおり、前記SMD部品は、前記金属配線に、並列に、直列に又は複合させる形ではんだ付けされている。
【0033】
態様11:
SMD部品を環境の影響から保護するためのアセンブリを準備するための方法であって、
A) 前記SMD部品を準備するステップと、
B) 前記SMD部品の外部接点を提供するために、外部電極を前記SMD部品に付加するステップと、
C) 電気接続を形成するために、前記SMD部品の前記外部電極に電気配線をはんだ付けするステップと、
D) 保護要素が前記SMD部品を完全に包むように、かつ一体成型モジュールが形成されるように、前記SMD部品と前記配線の少なくとも一部とを前記保護要素とともに成型するステップと、
E) 前記配線の少なくとも一部を前記保護要素から引き出すステップと、
F) 前記一体成型モジュールの外部電極を形成するために、前記保護要素から露出した前記配線の前記一部を曲げて切断するステップと、
を含む。
【0034】
態様12:
態様11に記載の方法であって、
前記SMD部品を準備するステップは、一体の積層セラミックSMD部品を形成するための従来の多層プロセスを含む。
【0035】
更なる特徴や、改良、および有用性は、図面に関連する例示的な実施形態の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】SMD部品を環境の影響から保護するためのアセンブリの断面を模式的に示した図である。
【
図2】アセンブリの更なる実施形態を模式的に示した透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図中では、同じ構造および/または機能の要素には、同じ参照符号が付され得る。図に示された実施形態は例示的に表現されたものあり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解されたい。
【0038】
図1は、SMD部品2を環境の影響から保護するためのアセンブリ1を示す。アセンブリ1は、SMD部品2を含む。本実施形態では、SMD部品2は、1つの充電式全固体電池を含む。ただし、充電式全固体電池および/または他のSMD部品の組み合わせもまた可能である。
【0039】
SMD部品2は、2つの外部電極3を有する一体のセラミック積層体を含む。外部電極3は、SMD部品2の外面6に配置される。本実施形態3では、外部電極3は、SMD部品2の上面に付加される。ただし、外部電極3は、SMD部品2の外面6の異なる領域、例えば、SMD部品2の対向する側面または底面にもまた配置され得る。2つの外部電極3は、互いに空間的および電気的に分離されている。
【0040】
それぞれの外部電極3は、Cr/Ni/Agの3層を含む(明示的に図示せず)。ただし、異なる材料または材料の異なる組み合わせもまた可能である。それぞれの外部電極3は、SMD部品2上にスパッタリングで形成される。
【0041】
アセンブリ1は、金属配線4を更に備える。本実施形態では、配線4は、2つの金属ストリップまたは金属フォイルを含む。特に、配線4は、薄い銅フォイルを含む。はんだ付けを容易にするために、ストリップ/フォイルをスズでコーティングしてもよい。
【0042】
それぞれの金属ストリップ/フォイルは、第1の部分7と第2の部分8とを含む。第2の部分8は、それぞれの外部電極3上に配置される。特に、第2の部分8は、外部電極3に、特に外部電極3の最上層またはAg層に、例えば、鉛フリーのリフローはんだ付けによってはんだ付けされる。第2の部分8は、外部電極3上に平板状または平面状に配置される。第1の部分7と第2の部分8の間の中間部分9では、それぞれの金属ストリップ/フォイルは、少なくとも1つのキンクを含む。つまり、金属ストリップ/フォイルは、曲げられている。これは、アセンブリ1を回路基板に電気的に接続するために、アセンブリ1の下の領域でそれぞれの金属ストリップ/フォイル、特に第1の部分7を導くために役立つ。
【0043】
アセンブリ1は、更に、保護要素5を備える。保護要素5は、成形材料を含む。保護要素5は、エポキシ樹脂、熱可塑性プラスチック材料または前記材料の組み合わせを含んでもよい。SMD部品2は、保護要素5内に完全に埋め込まれる。言い換えれば、保護要素5は、SMD部品2の外面6の全面を覆う。
【0044】
さらに、金属配線4の一部、特に第2の部分8および中間部分9は、保護要素5内に埋め込まれる。したがって、保護要素5は、SMD部品2、第2の部分8および中間部分9を完全に、かつ、確りと覆う。SMD部品2、金属配線4、保護要素5の組み立ては、一体成型モジュールの構造を含む。
【0045】
しかし、電気配線4の第1の部分7は、保護要素5に覆われておらず、SMD部品2から外部の回路(明示的に図示せず)に電流を導くために、保護要素5の外に引き出される。第1の部分7は、アセンブリ1全体のはんだ付け可能な外部電極を提供するために、曲げられて、トリミングされる。特に、それぞれの第1の部分7は、まず、アセンブリ1の外側の側面に沿って導かれる。その後、第1の部分7は、アセンブリ1全体の底面に沿って導くために曲げられる。このように、それぞれの第1の部分7は、アセンブリ1/一体成型モジュールの外部電極として機能する。
【0046】
第1の部分7の曲げ形状は、アセンブリ1のサイズ、アセンブリ1を準備する方法および/またはアセンブリ1を回路基板に固定する方法(例えば、鉛フリーのリフローはんだ付けによってなど)に依存する。特に、配線4の、およびモジュール全体の形状と寸法とは、アプリケーションの要求に、および関連する製造プロセスに応じて適合させることができる。
【0047】
保護要素5による密着コーティングによりSMD部品2は湿度およびあらゆる化学腐食から保護され、そして、金属配線4は外部電極3から外部の回路へ電流を導く。アセンブリ1全体および露出した金属配線(すなわち第1の部分7)の寸法は、SMD部品のための標準EIAケースサイズに適合する。アセンブリ1のサイズは、好ましくは、EIA SMDケースサイズの規格内である。一体成型モジュールの外側の残りの金属ストリップ、すなわち第1の部分7の位置および寸法は、同じケースサイズの対応するフットプリントに収まるように設計される。
【0048】
説明したアセンブリ1は、高湿度(例えば90%RH以上)の環境下で動作可能な、かつ、不安定な動作環境条件に対する信頼性を向上させた、SMT適合の充電式全固体電池を提供する。この設計は、金属配線4によって並列に又は直列に又は複合させる形で接続された複数のSMD部品2を埋め込むために拡張することができる。
【0049】
図2は、アセンブリ1の更なる実施形態を模式的に示した透視図である。本実施形態では、アセンブリ1は、3つのSMD部品2(好ましくは、充電式全固体電池)を備える。もちろん、異なる数のSMD部品2、例えば、2つ、4つ又はそれ以上のSMD部品2が可能である。それぞれのSMD部品2は、EIA SMDケースサイズ(例えば、1812)の規格内である。
【0050】
3つのSMD部品2は、金属配線4にはんだ付けされる。本実施形態では、金属配線4は、2つのキャリアストリップを含む。SMD部品2は、それらキャリアストリップに並列にはんだ付けされる。もちろん、SMD部品2はまた、それらキャリアストリップに直列にはんだ付けされてもよい(明示的に図示せず)。さらに、複合させる形も可能である。
【0051】
SMD部品2は、3つのSMD部品2を完全に覆う保護要素5とともに一体成型される。配線4の第1の部分7は、保護要素5から突出し、アセンブリ1全体のための外部電極として機能する。配線4の第2の部分8は、保護要素5内に埋め込まれる。
【0052】
アセンブリ/一体成型モジュール全体は、高さ4.5mmのEIAケース3225を含む。アセンブリ1の容量は、単一のSMD部品2/特に充電式全固体電池と比較して3倍に増加し、一方、内部抵抗は、単一のSMD部品2/特に充電式全固体電池と比較して3分の1に減少する。したがって、複数のSMD部品2を適切に接続することで、それぞれのSMD部品の、及びアセンブリ1の容量と電圧とを、より幅広い適用要件に対して調整することが可能である。
【0053】
以下では、SMD部品2を環境の影響から保護するためのアセンブリ1を準備するための方法が開示される。方法は、以下のステップを含む。
【0054】
最初のステップA)では、少なくとも1つのSMD部品2が準備される。あるいは、複数のSMD部品2、例えば2つ又は3つのSMD部品2が準備されてもよい。SMD部品2は、好ましくは、充電式全固体電池を含む。ただし、方法は、充電式全固体電池のみを埋め込むことに限らず、充電式全固体電池および/または他のSMD部品の組み合わせを埋め込むこともまた可能である。SMD部品2は、EIAケースサイズ1812を含む。
【0055】
この方法のステップでは、テープキャスティング、スクリーン印刷、積層、切断、脱バインダー、および一体の積層セラミック部品を形成するための高温での焼成を含む従来の多層プロセスが行われてもよい。一体の積層セラミック部品は、リチウムイオン電池のための積層された、集電体、電極材料、および、好ましくは、電解質材料を含む。その後、そのセラミック部品は、尖った角(かど)を丸くするためにタンブリングされてもよい。
【0056】
次のステップB)では、外部電極3を提供するために、SMD部品2の外面6に金属層が付加される。金属層は、Cr、Ni、および/またはAgを含んでもよい。特に、金属層は、Cr/Ni/Agの3層を含んでもよい。金属層は、SMD部品2の外面6上にスパッタリングで形成される。
【0057】
次のステップC)では、電気接続を形成するために、SMD部品2の外部電極3に電気配線4がはんだ付けされる。電気配線4は、例えば、2つ以上の金属ストリップ/フォイルまたは金属ストリップキャリアを含んでもよい。電気配線4は、鉛フリーのリフローはんだ付けで、それぞれの外部電極3にはんだ付けされてもよい。
【0058】
次のステップD)では、保護要素5がSMD部品2を完全に包むように、SMD部品2と配線4の少なくとも一部とが保護要素5とともに一体成型される。保護要素5は、エポキシ系材料、熱可塑性プラスチック材料および/またはこれら2つの材料を基にした材料を含んでもよい。このようにして、一体成型モジュールが形成される。
【0059】
次のステップE)では、配線4の少なくとも一部、すなわち配線4の第1の部分7が保護要素5の外に引き出される。
【0060】
次のステップF)では、完成品となる一体成型モジュール/アセンブリの外部電極を形成するために、保護要素から露出した配線4の一部、すなわち第1の部分7が曲げられて、切断される。斯くして、アセンブリ1は、容易に、回路基板に電気的に接続することができる。
【0061】
次のステップG)では、鉛フリーのリフロープロセスを介して、アセンブリ1がテストPCB上にはんだ付けされる。その後、40℃、高湿度93%RHの環境下で電池性能が測定され、連続動作(充放電サイクル)が達成される。これに対し、覆われていない/従来の充電式全個体電池の連続動作のための最大湿度は60%RHに制限される。
【0062】
アセンブリ1のサイズは、EIA SMDケースサイズ3225(高さ3.2mm)の規格内に収まるように管理される。一体成型モジュールの外側の残りの金属ストリップ(すなわち金属配線4の第1の部分7)の位置および寸法は、同じケースサイズの対応するフットプリントに収まるように設計される。
【符号の説明】
【0063】
1 アセンブリ
2 SMD部品
3 外部電極
4 金属配線
5 保護要素
6 外面
7 第1の部分
8 第2の部分
9 中間部分