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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】付加硬化性シリコーン接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/07 20060101AFI20240918BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20240918BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240918BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C09J183/07
C09J183/05
C09J11/06
C09J11/04
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2022535710
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019066152
(87)【国際公開番号】W WO2021118582
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】スブラタ,マンダル
(72)【発明者】
【氏名】太田代 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】高梨 正則
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナン,ラマスブラマニアン
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209478(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02452994(EP,A1)
【文献】特開2000-080282(JP,A)
【文献】米国特許第06124419(US,A)
【文献】国際公開第2019/099676(WO,A1)
【文献】特表2021-503519(JP,A)
【文献】特開2004-225053(JP,A)
【文献】特開2014-122271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0179863(US,A1)
【文献】特開2012-117059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルケニル官能性シリコーン;(b)ヒドリド官能性ポリシロキサンから選ばれるシリコーンベースの架橋剤;(c)少なくとも1つのSi-H基を有するシリコンヒドリド含有接着促進剤から選択される第1の接着促進剤、ここで、シリコンヒドリドは、ヒドリド官能性アルコキシシラン、芳香族含有シリコンヒドリドまたはこれらの組み合わせから選択され;(d)アクリレート官能性接着促進剤から選択される第2の接着促進剤;(e)任意選択での、シラン;(f)任意選択での、充填剤;(g)阻害剤;および(h)触媒を含み、
ここでアクリレート官能性接着促進剤(d)は、
(i)式CH=CR30C(O)O-R31の化合物、
ここでR30はHまたはC1-C10アルキルから選択され;そしてR31は、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C30アリール、縮合C6-C30シクロアルキル、C7-C30アリールアルキル、架橋C7-C30シクロアルキルまたは
---R31a-Si(OR31b
から選択され、ここでR31aは、C1-C20アルキレン、C3-C20シクロアルキレン、C6-C30アリーレン、縮合C6-C30シクロアルキレン、C7-C30アリールアルキレン、架橋C7-C30シクロアルキレン、C1-C20ヘテロアルキレン、または環状C3-C20ヘテロアルキレンから選択され、そしてR31bはC1-C20アルキルから選択され;および/または
(ii)式CH=CR32C(O)O-R34-O(O)CR33C=CHの化合物、
ここでR32およびR33は、HまたはC1-C10アルキルから独立して選択され;そして
34は、C1-18アルキレン基、C3-18シクロアルキレン基、縮合C6-18シクロアルキレン基、または式-B-W-B-の基から選択され、ここでBおよびBは同一または異なるC1-6アルキレン基であり、そしてWは、C3-12シクロアルキレン基、C6-16アリーレン基、C6-C30架橋シクロアルキレン基、またはC12-C36縮合芳香族基である、から選択される、
硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
第1の接着促進剤は、式(I)の化合物から選択され、
-R-O-Ar-O-R-Z (I)
ここでRおよびRは、C1-C30二価炭化水素;C2-C20二価炭化水素;C4-C10二価炭化水素;またはC1-C4二価炭化水素であり;
およびZは、独立して
【化1】

または
【化2】

であり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、およびR10は、H、C1-C10アルキル、または-OR11から独立して選択され、ここでR11はC1-C10アルキルであり、そしてR、R、R、R、R、R、R、および/またはR10の少なくとも1つはHであり;
Xは1から10であり;
Yは2から10であり;そして
Arは芳香族基である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
芳香族基Arは、C6-C30アリーレン基、または式-Ar-X-Ar-の基から選択することができ、ここでArおよびArは、単環式二価アリール基から独立して選択され、そしてXは架橋基である、請求項2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
ArおよびArは、C6-C30アリーレン基から独立して選択され、Xは、ArおよびArを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択される、請求項3に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
Ar-X-Arは、下記式の基であり、
【化3】

ここでXは、ArおよびArを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択され;R12およびR13は、同一または互いに異なり、またはそれらが付く環内にあり、そして、水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C8アルケニル、C2-C8アルケニルオキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルコキシ、C6-C10アリール、C6-C10アリールオキシ、C7-C10アラルコキシ、C7-C12アルキルアリール、またはC7-C12アルキルアリールオキシから選択され、そしてtおよびwは0-4であり、ここでtまたはwが4未満の場合、特定されていない単数または複数の原子価は水素によって占められている、請求項3に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項6】
-Ar-X-Arは下記式のものであり、
【化4】

ここでXは前記のとおりであり、そしてR14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、およびR21は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される、請求項3に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項7】
Xは、-C(R22-であり、ここでR22は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される、請求項6に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項8】
式(I)のZおよびZは、
【化5】

である、請求項7に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項9】
式(I)のO-Ar-Oは、
【化6】

である、請求項2から8のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項10】
第1の接着促進剤は、式(VI)の化合物から選択され、
23-SiR24 (OR253-r (VI)
ここでR23は、水素またはヒドリド官能基であり;R24はC1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R25は、C1-C10炭化水素から独立して選択され;そしてr=0、1、または2である、請求項1に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項11】
23は、下記式(III)の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり、
【化7】

ここでR27、R28、およびR29は、H、C1-C10アルキル、または-OR30から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR27、R28、およびR29の少なくとも1つはHであり;そしてR26はC1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基である、請求項10に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
23は式(III)の環状ヒドリドシロキサンであり、そしてR26は、ケイ素原子に結合した側鎖を持つ有機ケイ素基であって、以下の式で表され、
-C(O)-O-Q
ここでQは、ケイ素原子とエステル結合との間に2つ以上の炭素原子、実施形態では、2から20個の炭素原子、4から15個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、そして
は、酸素原子と側鎖SiR24 (OR253-rにおけるケイ素原子の間に3つ以上の炭素原子、実施形態では、2から20個の炭素原子、4から15個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す、請求項11に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
第1の接着促進剤()は、(i)式(I)の接着促進剤、および(ii)式(VI)の接着促進剤を含む、請求項2から12のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
第1の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて0.1重量%から10重量%の量で存在し;そして第2の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて0.1重量%から10重量%の量で存在する、請求項1から13のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項15】
第1の接着促進剤および第2の接着促進剤は、1.5:1から2.5:1のSi-H対ビニル基のモル比が存在するような量で存在する、請求項1から14のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項16】
第1の接着促進剤および第2の接着促進剤は、2:1のSi-H対ビニル基のモル比が存在するような量で存在する、請求項1から14のいずれかに記載の硬化性組成物。
【請求項17】
アルケニルシリコーンは、下記式の化合物から選択され、
、ここで
=R353637SiO1/2
=R383940SiO1/2
=R4142SiO2/2
=R4344SiO2/2
=R45SiO3/2
=R46SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR35、R36、R37、R39、R40、R41、R42、R44、およびR45は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
38、R43、およびR46は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR38、R43、および/またはR46の1つまたは複数は、C2-C30アルケニル基から選択されるという条件であり;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、以下の制限:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0を受ける、請求項1から16のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項18】
アルケニルシリコーンは、(i)式M を有する第1のアルケニル官能性シリコーン、ここでcは5ら1000である;および(ii)式M c’を有する第2のアルケニル官能性シリコーン、ここでc’は500から1500である、から選択されるアルケニルシリコーンの混合物を含む、請求項17に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項19】
アルケニルシリコーンは、複数のQ単位および1つまたは複数のM単位を含む分岐ポリオルガノシロキサンである、請求項17に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
シリコーンヒドリド架橋剤は、下記式の化合物から選択され、

ここで
=R474849SiO1/2
=R505152SiO1/2
=R5354SiO2/2
=R5556SiO2/2
=R57SiO3/2
=R58SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR47、R48、R49、R53、R54、R57は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され;
50、R51、R52、R55、R56、およびR58は、水素、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR50、R51、R52、R55、R56、および/またはR58の1つまたは複数は水素であるという条件であり;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、以下の制限:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0を受ける、請求項1から19のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項21】
硬化性シリコーン組成物の総重量に基づいて、1重量%から50重量%の量の充填剤(f)を含む、請求項1から20のいずれかに記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項22】
充填剤は、沈殿炭酸カルシウム、コロイド状炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカゲル、疎水化シリカ、疎水化シリカゲル 破砕石英、粉砕石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、クレイから選択される、請求項21に記載の硬化性組成物。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかに記載の組成物から形成されてなる硬化シリコーン材料。
【請求項24】
基材に接着剤コーティングを形成する方法であって、請求項1から22のいずれかに記載の硬化性組成物を基材の表面に適用すること、および組成物を80℃から100℃の温度で加熱することを含む、方法。
【請求項25】
組成物が5分から15分の期間にわたって硬化される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
組成物を100℃の温度で5分間加熱することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
基材は、プラスチック材料、金属、金属合金、金属化プラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選択される、請求項24から26のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性シリコーン接着剤組成物、接着促進剤を含むそのような組成物、および様々な表面でのそのような硬化性シリコーン組成物の使用および適用に関する。特に、本発明は、異なる官能基を有する接着促進剤の組み合わせを含む低温で速い硬化性シリコーン接着剤組成物、およびそのような硬化性シリコーン組成物の異なるタイプの表面への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、次世代の軽量で効率的なハイブリッドパワーモジュール、インバーター、センサー、電子制御ユニット(ECU)および伝送制御ユニット(TCU)システムの開発のため従来の材料に代替しつつある。たとえば、自動車産業で使用される接着剤は、過酷な動作条件下での設計の柔軟性と長期的な信頼性に貢献するのに適している必要がある。従来のシリコーン組成物は、一般に、低温ではプラスチック材料に完全には接着しない。ただし、プラスチック材料は、より高い処理温度(たとえば、約150℃)で変形しやすくなる。したがって、高温(たとえば、120℃を超える)での硬化を必要とし得る接着剤組成物は、特定の用途には特に有用ではなく、さまざまな産業での使用を制限することがありえる。シリコーンのプラスチックへの結合を改善する最近の試みには、芳香族基含有シリコンヒドリド材料とともにイソシアネートベースの添加剤の使用が含まれる(例えば、EP2305765を参照)。他の試みは、例えば、米国特許第8,937,123号および第8,916,646号、ならびに日本公開2014-205800および2013-241522に記載されている。しかしながら、これらの提案された解決策では、100℃を超える温度での加熱がいまだ必要である。
【発明の概要】
【0003】
以下に、いくつかの態様の基本的な理解を提供するために、この開示の要約を提示する。この要約は、重要または重大な要素を特定することも、実施形態または特許請求の範囲の制限を規定することも意図していない。さらに、この要約は、本開示の他の部分でより詳細に説明され得るいくつかの態様の簡略化された概要を提供し得る。
【0004】
プラスチックおよび金属基材の両方を含む様々な基材への良好な接着性を示し、比較的低温(例えば、約100℃以下)およびより短い時間(例えば、例:約5から15分)での組成物の硬化を可能にすることが見出された付加硬化性シリコーン接着剤組成物が提供される。
【0005】
一態様では、(a)アルケニル官能性シリコーン;(b)シリコーンベースの架橋剤;(c)シリコンヒドリド含有接着促進剤から選択される第1の接着促進剤;(d)アクリレート官能性接着促進剤から選択される第2の接着促進剤;(e)任意選択での、シラン;(f)任意選択での、充填剤(g)阻害剤および(h)触媒を含む硬化性シリコーン組成物が提供される。
【0006】
一実施形態では、第1の接着促進剤は、式(I)の化合物から選択され、
-R-O-Ar-O-R-Z (I)
ここでRおよびRは、C1-C30二価炭化水素;C2-C20二価炭化水素;C4-C10二価炭化水素;またはC1-C4二価炭化水素であり;
およびZは、独立して
【化1】

または
【化2】

であり、
ここで、R、R、R、R、R、R、R、およびR10は、H、C1-C10アルキル、または-OR11から独立して選択され、ここでR11はC1-C10アルキルであり、そしてR、R、R、R、R、R、R、および/またはR10の少なくとも1つはHであり;
Xは1から10であり;
Yは2から10であり;そして
Arは芳香族基である。
【0007】
一実施形態では、芳香族基Arは、C6-C30アリーレン基、または式-Ar-X-Ar-の基から選択することができ、ここでArおよびArは、単環式二価アリール基から独立して選択され、そしてXは架橋基である。
【0008】
一実施形態では、ArおよびArは、C6-C30アリーレン基から独立して選択され、Xは、ArおよびArを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択される。
【0009】
一実施形態では、Ar-X-Arは、下記式の基であり、
【化3】

ここでXは、ArおよびArを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-C(O)-から選択され;R12およびR13は、同一または互いに異なる、またはそれらが付く環内にあり、そして、水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C8アルケニル、C2-C8アルケニルオキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルコキシ、C6-C10アリール、C6-C10アリールオキシ、C7-C10アラルコキシ、C7-C12アルキルアリール、またはC7-C12アルキルアリールオキシから選択され、そしてtおよびwは0-4であり、ここでtまたはwが4未満である場合、特定されていない単数または複数の原子価は水素によって占められている。
【0010】
一実施形態では、-Ar-X-Arは、下記式であり、
【化4】

ここでXは上記のとおりであり、そしてR14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、およびR21は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。
【0011】
一実施形態では、Xは、-C(R22-であり、ここでR22は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。
【0012】
一実施形態では、式(I)のZおよびZは、以下である。
【0013】
【化5】
【0014】
前述のいずれかの実施形態の硬化性シリコーン組成物の一実施形態では、式(I)のO-Ar-Oは以下のとおりである。
【化6】
【0015】
一実施形態では、第1の接着促進剤は、式(VI)の化合物から選択され、
23-SiR24 (OR253-r (VI)
ここでR23は、水素またはヒドリド官能基であり;R24はC1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R25は、C1-C10炭化水素から独立して選択され;そしてr=0、1、または2である。
【0016】
一実施形態では、R23は、下記式の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり、
【化7】

ここでR27、R28、およびR29は、H、C1-C10アルキル、または-OR30から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR27、R28、およびR29の少なくとも1つはHであり;そしてR26はC1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基である。
【0017】
一実施形態では、R23は式(III)の環状ヒドリドシロキサンであり、そしてR26は、ケイ素原子に結合した側鎖を持つ有機ケイ素基であって、以下の式で表され、
-C(O)-O-Q
ここでQは、ケイ素原子とエステル結合との間に2つ以上の炭素原子、実施形態では、2から20個の炭素原子、4から15個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、そしてQは、酸素原子と側鎖SiR24 (OR253-rにおけるケイ素原子の間に3つ以上の炭素原子、実施形態では、2から20個の炭素原子、4から15個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
【0018】
一実施形態では、第1の接着促進剤(d)は、前述の実施形態のいずれかによる、(i)式(I)の接着促進剤、および(ii)式(VI)の接着促進剤を含む。
【0019】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、第2の接着促進剤は、(i)式CH2=CR30C(O)O-R31の化合物、ここでR30はHまたはC1-C10アルキルから選択され;そしてR31は、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C30アリール、縮合C6-C30シクロアルキル、C7-C30アリールアルキル、架橋C7-C30シクロアルキル、C1-C20ヘテロアルキル、または環状C3-C20ヘテロアルキルから選択され、ここでR31基は、任意選択で、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有官能基を含み得る;および/または
(ii)式CH2=CR32C(O)O-R34-O(O)CR33C=CHの化合物、ここでR32およびR33は、HまたはC1-C10アルキルから独立して選択され;そしてR34は、C1-18アルキレン基、C3-18シクロアルキレン基、縮合C6-18シクロアルキレン基、または式-B-W-B-の基から選択され、ここでBおよびBは同一または異なるC1-6アルキレン基であり、そしてWは、C3-12シクロアルキレン基、C6-16アリーレン基、C6-C30架橋シクロアルキレン基、またはC12-C36縮合芳香族基である、から選択される。
【0020】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、第1の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%から約10重量%の量で存在し;そして第2の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%から約10重量%の量で存在する。
【0021】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、第1の接着促進剤および第2の接着促進剤は、1.5:1から2.5:1のSi-H対ビニル基のモル比が存在するような量で存在する。
【0022】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、第1の接着促進剤および第2の接着促進剤は、2:1のSi-H対ビニル基のモル比が存在するような量で存在する。
【0023】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、アルケニルシリコーンは、式M の化合物から選択され、ここで
=R353637SiO1/2
=R383940SiO1/2
=R4142SiO2/2
=R4344SiO2/2
=R45SiO3/2
=R46SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR35、R36、R37、R39、R40、R41、R42、R44、およびR45は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
38、R43、およびR46は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但し、R38、R43、および/またはR46の1つまたは複数は、C2-C30アルケニル基から選択されるという条件であり;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、以下の制限:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0を受ける。
【0024】
一実施形態では、アルケニルシリコーンは、(i)式M を有する第1のアルケニル官能性シリコーン、ここでcは約5から約1000である;および(ii)式M c’を有する第2のアルケニル官能性シリコーン、ここでc’は約500から約1500である、から選択されるアルケニルシリコーンの混合物を含む。
【0025】
一実施形態では、アルケニルシリコーンは、複数のQ単位および1つまたは複数のM単位を含む分岐ポリオルガノシロキサンである。
【0026】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、シリコーンヒドリド架橋剤は、式M の化合物から選択され、ここで
=R474849SiO1/2
=R505152SiO1/2
=R5354SiO2/2
=R5556SiO2/2
=R57SiO3/2
=R58SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR47、R48、R49、R53、R54、R57は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され;
50、R51、R52、R55、R56、およびR58は、水素、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR50、R51、R52、R55、R56、および/またはR58の1つまたは複数は水素であるという条件であり;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、以下の制限:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0を受ける。
【0027】
前述のいずれかの実施形態による硬化性組成物の一実施形態では、充填剤(f)は、硬化性シリコーン組成物の総重量に基づいて、約1重量%から約50重量%の量で存在する。
【0028】
一実施形態では、充填剤は、沈殿炭酸カルシウム、コロイド状炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、シリカゲル、疎水化シリカ、疎水化シリカゲル 破砕石英、粉砕石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイト、クレイから選択される。
【0029】
別の態様では、前述の態様および実施形態のいずれかの組成物から形成された硬化シリコーン材料が提供される。
【0030】
さらに別の態様では、前述の態様および実施形態のいずれかの硬化性組成物を基材の表面に適用すること、および組成物を約80℃から約100℃の温度で加熱することを含む、基材上に接着剤コーティングを形成する方法が提供される。
【0031】
一実施形態では、組成物は、5分から約15分の期間にわたって硬化される。
【0032】
一実施形態では、この方法は、組成物を約100℃の温度で5分間加熱することを含む。
【0033】
前述の実施形態のいずれかの方法の一実施形態では、基材は、プラスチック材料、金属、金属合金、金属化プラスチック、および/またはコーティングまたは塗装された金属から選択される。
【0034】
以下の説明および図面は、様々な例示的な態様を開示している。いくつかの改善および新規な態様は明示的に特定され得るが、他のものは説明と図面から明らかであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0035】
ここで、例示的な実施形態を参照し、その例を添付の図面に示す。他の実施形態を利用することができ、そして構造的および機能的変更を行うことができることが理解されよう。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりすることができる。したがって、以下の説明は、例示としてのみ提示されており、例示された実施形態に対して行われ得る様々な代替および修正を決して限定するものではない。この開示では、多くの特定の詳細が主題の開示の完全な理解をもたらす。本開示の態様は、本明細書に記載されているすべての態様などを必ずしも含まない他の実施形態で実施できることを理解されたい。
【0036】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示」という用語は、実例または例示を意味する。「例」または「例示」という言葉は、重要なまたは好ましい態様または実施形態を示すものではない。「または」という言葉は、文脈上別段の示唆がない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。一例として、「AはBまたはCを使用する」という句は、任意の包括的順列を含む(例えば、AはBを使用する;AはCを使用する;またはAはBおよびCの両方を使用する)。別の事項として、冠詞「a」および「an」は、文脈が他に示唆しない限り、一般に「1つまたは複数」を意味することを意図している。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語:
【0038】
「アルキル」は、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換され得る、直鎖、分岐、および環状の一価炭化水素基を含む。
【0039】
「アルキレン」は、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換され得る、直鎖、分岐、および環状の二価炭化水素基を含む。
【0040】
「アリール」は、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換され得る、任意の一価芳香族炭化水素基を含み;この用語はまた、芳香族基を含む縮合系を含む。
【0041】
「アリーレン」は、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換され得る任意の二価芳香族炭化水素基を含み、この用語はまた、芳香族基を含む縮合系を含む。
【0042】
「アラルキル」は、アリール置換基で置換された直鎖、分岐、および環状の一価炭化水素基を含む。
【0043】
「シクロ」または「環状」アルキルは、一価環状炭化水素を含み、そして遊離環状基、二環式基、三環式基、およびより高次の環状構造、ならびに架橋環状基、縮合環状基、および少なくとも1つの架橋環状基を含む縮合環状基を含む。
【0044】
「シクロ」または「環状」アルキレンは、二価環状炭化水素を含み、そして遊離環状基、二環式基、三環式基、およびより高次の環状構造、ならびに架橋環状基、縮合環状基、および少なくとも1つの架橋環状基を含む縮合環状基を含む。
【0045】
原子を指すため、または別の基と組み合わせて使用される「ヘテロ」は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などの原子または原子を含む基を含む。
【0046】
接着促進剤の組み合わせを含む付加硬化性シリコーン接着剤組成物が提供される。特に、シリコンヒドリドベースの接着促進剤およびアクリレート官能性接着促進剤を使用する硬化性ケイ素組成物が提供される。接着促進剤のそのような組み合わせを使用する本組成物は、プラスチック表面から形成された、またはプラスチック表面を有するものなどの基材へのシロキサンベースの硬化性組成物の接着の非常に速い硬化および迅速な発現を示す。接着促進剤のそのような組み合わせを使用する本組成物は、アルミニウムなどの金属ならびに異なるタイプのプラスチック表面(例えば、PBT、PCおよびPPS)に対して良好な接着を示す一方で、低温(約100℃以下)で迅速な硬化(約5から15分)を示す硬化性シリコーン組成物を提供し得る。
【0047】
一態様では、(a)アルケニル官能性シリコーン;(b)シリコーンベースの架橋剤;(c)シリコンヒドリド含有着促進剤から選択される第1の接着促進剤;(d)アクリレート官能性接着促進剤から選択される第2の接着促進剤;(e)任意選択で、シラン;(f)任意選択で、充填剤(g)阻害剤および(h)触媒を含む硬化性シリコーン組成物が提供される。シリコンヒドリドベースの接着促進剤(第1の接着促進剤)とアクリレート官能性接着促進剤(第2の接着促進剤)の組み合わせは、広範囲の表面に良好な接着を提供し、比較的低温(100℃以下)で短期間(例えば、5から15分)にて硬化することが判明している。
【0048】
第1の接着促進剤(c)は、1つまたは複数のSi-H官能基を有するシリコンヒドリドベースの接着促進剤から選択される。シリコンヒドリドベースの接着促進剤は、直鎖または分岐基の一部としてSi-H官能基を含み得、またはそれは環状基の一部であり得る。一実施形態では、第1の接着促進剤のSi-H官能性部分は、環状シラン基として提供される。一実施形態では、第1の接着促進剤は、芳香族含有シリコンヒドリドタイプの材料である。
【0049】
一実施形態では、第1の接着促進剤は、以下の式の化合物であり、
-R-O-Ar-O-R-Z (I)
ここでRおよびRは、C1-C30二価炭化水素;C2-C20二価炭化水素;C4-C10二価炭化水素;またはC1-C4二価炭化水素であり;
およびZは、独立して
【化8】

または
【化9】

であり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、およびR10は、H、C1-C10アルキル、または-OR11から独立して選択され、ここでR11はC1-C10アルキルであり、そしてR、R、R、R、R、R、R、および/またはR10の少なくとも1つはHであり;
Xは1から10であり;
Yは2から10であり;そして
Arは芳香族基である。
【0050】
芳香族基Arは、C6-C30アリーレン基、または式-Ar-X-Ar-の基から選択することができ、ここでArおよびArは、単環式二価アリール基から独立して選択され、そしてXは架橋基である。ArおよびArは、C6-C30アリーレン基から独立して選択することができる。Xは、ArおよびArを接続する結合、C1-C30二価炭化水素基、C5-C30二価環状炭化水素基、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-C(O)-であり得る。適切な架橋基Xの非限定的な例には、メチレン、シクロヘキシル-メチレン、2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンが含まれる。
【0051】
一実施形態では、Ar-X-Arは、下記式の基であり、
【化10】

ここでXは上記のとおりであり、R12およびR13は、同一または互いに異なり、またはそれらが付く環内にあり、そして、水素、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C8アルケニル、C2-C8アルケニルオキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルコキシ、C6-C10アリール、C6-C10アリールオキシ、C7-C10アラルコキシ、C7-C12アルキルアリール、またはC7-C12アルキルアリールオキシから選択され、そしてtおよびwは0から4であり、ここでtまたはwが4未満の場合、特定されていない単数または複数の原子価は水素によって占められている。
【0052】
一実施形態では、-Ar-X-Arは下記式のものであり、
【化11】

ここでXは上記のとおりであり、そしてR14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、およびR21は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。一実施形態では、Xは-C(R22-であり、ここでR22は、水素、C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、またはC6-C10アリールから独立して選択される。一実施形態では、化合物の-O-Ar-O-部分は下記式のものである。
【化12】
【0053】
Ar基に適した他の基の例には、これらに限定されないが、以下が含まれる。
【化13】

【化14】
【0054】
式(I)のシリコンヒドリドベースの接着促進剤は、ジヒドロキシ芳香族化合物に由来し得る。ジヒドロキシ芳香族化合物は、式HO-Ar-OHであり得、ここでArは上記のとおりである。簡潔にするために、Ar基の説明は再現されていない。接着促進剤を形成するための適切なジヒドロキシ芳香族化合物のいくつかの例示的で非限定的な例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3メチルフェニル)シクロヘキサン 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(アルファ,アルファ’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオライン、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7-ジヒドロキシカルバゾールなど、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、例えば、5-メチルレゾルシノール、5-エチルレゾルシノール、5-プロピルレゾルシノール、5-ブチルレゾルシノール、5-t-ブチルレゾルシノール、5-フェニルレゾルシノール、5-クミルレゾルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレゾルシノールなど;カテコール;ヒドロキノン;置換ヒドロキノン、例えば、2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノン、ならびに、前述のジヒドロキシ芳香族化合物の少なくとも1つを含む組み合わせ。
【0055】
式(I)のシリコーンヒドリドベースの接着促進剤は、任意の適切な方法によって形成することができる。実施形態では、シリコーンヒドリドベースの接着促進剤は、ジヒドロキシ芳香族化合物(HO-Ar-OH)をハロゲン化アルケニルと反応させて、式R1’-O-Ar-O-R2’の化合物にし、ここでR1’およびR2’はそれぞれアルケニル末端炭化水素であり、そして次に、その化合物をヒドロシリル化タイプの反応を介してヒドリドシロキサンと反応させることにより形成される。任意の適切なヒドロシリル化触媒(例えば、カルステット(Karstedt)またはアシュビー(Ashby)の触媒などの白金ベースの触媒)を使用して、アルケニル含有化合物とヒドリドシロキサンとの反応を促進することができる。
【0056】
一実施形態では、第1の接着促進剤は、下記式のヒドリド官能性アルコキシシランであり、
23-SiR24 (OR253-r (VI)
ここでR23は、水素またはヒドリド官能基であり;R24は、C1-C10炭化水素基から独立して選択され;各R25は、C1-C10炭化水素から独立して選択され;そしてr=0、1、または2である。
【0057】
置換基R24およびR25基の例には、アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、およびデシル;アルケニル基、例えば、2-プロペニル、ヘキセニル、およびオクテニル;アラルキル基、例えば、ベンジルおよびフェネチル;アリール基、例えば、フェニル、トリル、およびキシリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
ヒドリド(ヒドロカルボノキシ)シランの特定の例には、トリアルコキシシラン、トリケノキシシラン、およびトリアリールオキシシランが含まれる。トリアルコキシシランの例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ-n-プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリイソプロペノキシシラン、およびトリフェノキシシランが含まれる。ジアルコキシシラン、ジアルケノキシシラン、およびジアリールオキシシランの例には、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ-n-プロポキシシラン、メチルジイソプロペノキシシラン、メチルジフェノキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、n-プロピルジメトキシシラン、n-プロピルジエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジエトキシシラン、n-ヘキシルジメトキシシラン、n-ヘキシルジエトキシシラン、n-オクチルジメトキシシラン、n-オクチルジエトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、およびフェニルジエトキシシランが含まれる。モノアルコキシシラン、モノアルケノキシシラン、およびモノアリールオキシシランの例には、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチル-n-プロポキシシラン、ジメチルイソプロペノキシシラン、ジメチルフェノキシシラン、ジエチルメトキシシラン、メチルエチルエトキシシラン、n-プロピル(メチル)メトキシシラン、n-プロピル(メチル)エトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピル(メチル)メトキシシラン、ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)エトキシシラン、n-ヘキシル(メチル)メトキシシラン、ジ(n-ヘキシル)エトキシシラン、n-オクチル(メチル)メトキシシラン、ジ(n-オクチル)エトキシシラン、ベンジル(メチル)メトキシシラン、フェネチル(メチル)メトキシシラン、およびメチルフェニルメトキシシランが含まれる。混合アルコキシ基、アルケノキシ基、アラルキルオキシ基、およびアリールオキシ基を有するヒドリド(ヒドロカルボノキシ)シランの例には、ジエトキシプロペノキシシラン、ジメトキシフェノキシシラン、ジフェノキシプロペノキシシラン、およびメチルメトキシフェネトキシシランが含まれる。
【0059】
実施形態において、R23は、下記式の基を含む環状ヒドリドシロキサンであり、
【化15】

ここでR27、R28、およびR29は、H、C1-C10アルキル、または-OR30から独立して選択され、ここでR54はC1-C10アルキルであり、そしてR27、R28、およびR29の少なくとも1つはHであり;そしてR26はC1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基である。一実施形態では、ヒドリド官能性アルコキシシランは、式R23-SiR24 (OR253-rのものであり、ここでR23は、式(VII)の環状ヒドリドシロキサンであり、R26はC1-C30炭化水素;C6-C30アリール基;アルキルアクリレート基;アルキルカルボキシレート基;またはエステル基であり、そして化合物がトリアルコキシシリル基を含むように、rは0である。
【0060】
一実施形態では、R23は式(VII)の環状ヒドリドシロキサンであり、そしてR26は、ケイ素原子に結合した側鎖を有し、以下の式で表される有機ケイ素基であり、
-C(O)-O-Q (VIII)
ここで
は、ケイ素原子とエステル結合との間に2つ以上の炭素原子、実施形態では、2から20個の炭素原子、4から15個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、そして
は、酸素原子と側鎖SiR24 (OR253-rにおけるケイ素原子の間に3つ以上の炭素原子、実施形態では、2から20個の炭素原子、4から15個の炭素原子、または6から10個の炭素原子を有する炭素鎖を形成する直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
【0061】
組成物は、第1の接着促進剤として単一のタイプの化合物を使用することができる、または異なる化合物の混合物または組み合わせを含むことができることが理解されよう。例えば、化合物は、(i)式(I)に該当する2つ以上の化合物;(ii)式(VI)に該当する2つ以上の化合物;または、(iii)式(I)に該当する少なくとも1つの化合物および式(VI)に該当する少なくとも1つの化合物;などを含むことができる。
【0062】
第1の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%から約10重量%;約0.2重量%から約7.5重量%;約0.5重量%から約5重量%;または約1重量%から約2.5重量%の量で組成物中に存在することができる。
【0063】
第2の接着促進剤(d)は、アクリレート官能性接着促進剤から選択される。アクリレート官能性接着促進剤は、モノアクリレート、ジアクリレート、またはそれらの2つ以上の混合物から選択することができる。
【0064】
一実施形態では、第2の接着促進剤は、下記式のモノアクリレートから選択され、
CH2=CR30C(O)O-R31 (IX)
ここでR30はHまたはC1-C10アルキルから選択され;そして
31は、C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキル、C6-C30アリール、縮合C6-C30シクロアルキル、C7-C30アリールアルキル、架橋C7-C30シクロアルキル、C1-C20ヘテロアルキル、または環状C3-C20ヘテロアルキルから選択され、ここでR31基は、任意選択で、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有官能基を含み得る。一実施形態では、R30は、H、メチル、またはエチルである。一実施形態では、R31は芳香族含有基である。一実施形態では、R31はシランまたはシロキサン基で置換されている。一実施形態では、R31は、
---R31a-Si(OR31b
によって表され、ここでR31aは、C1-C20アルキレン、C3-C20シクロアルキレン、C6-C30アリーレン、縮合C6-C30シクロアルキレン、C7-C30アリールアルキレン、架橋C7-C30シクロアルキレン、C1-C20ヘテロアルキレン、または環状C3-C20ヘテロアルキレンから選択され、そしてR31bはC1-C20アルキルから選択される。
一実施形態では、R31は、シランまたはシロキサン基で置換された芳香族基である。一実施形態では、R31は、下記である。
【化16】
【0065】
一実施形態では、第2の接着促進剤(d)は、下記式のジアクリレートであり、
CH=CR32C(O)O-R34-O(O)CR33C=CH (X)
ここでR32およびR33は、HまたはC1-C10アルキルから独立して選択され;そして
34は、C1-18アルキレン基、C3-18シクロアルキレン基、縮合C6-18シクロアルキレン基、または式-B-W-B-の基から選択され、ここでBおよびBは同一または異なるC1-6アルキレン基であり、そしてWは、C3-12シクロアルキレン基、C6-16アリーレン基、C6-C30架橋シクロアルキレン基、またはC12-C36縮合芳香族基である。
【0066】
一実施形態では、第2の接着促進剤はジアクリレートであり、そしてR34は-B-W-B-から選択され、ここでBおよびBはメチレンであり、そしてWは以下である。
【化17】
【0067】
適切な単官能性(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレートまたは対応するメタクリレート)には、これらに限定されないが、直鎖状および分岐状のアルキルアクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N-メチルピロリドンアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N-メチルピロリドンアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールモノメチルエーテルアクリレートが含まれる。
【0068】
適切なジアクリレート官能性化合物には、これらに限定されないが、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリオールアクリレートおよびポリグリコールアクリレート、例えば、プロポキシル化ネオペンチルグリコールモノメチルエーテルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびトリプロピレングリコールジアクリレートが含まれる。
【0069】
第2の接着促進剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%から約10重量%;約0.2重量%から約7.5重量%;約0.5重量%から約5重量%;または、約1重量%から約2.5重量%の量で存在し得る。
【0070】
一実施形態では、第1の接着促進剤および第2の接着促進剤は、ヒドリド対ビニル官能基のモル比が約1.5:1から約2.5:1であり得るように提供される。一実施形態では、ヒドリド対ビニル官能基のモル比は、1.5:1;1.7:1;1.8:1;1.9:1または約2:1である。ここでは、明細書の他の箇所と同様に、数値を組み合わせて、新しい範囲または特定されていない範囲を形成することができる。出願人は、ヒドリド対ビニル官能基のモル比が1.5:1未満の場合、システムはより短い時間(5から15分)内に硬化しないことを発見した。
【0071】
アルケニル官能性シリコーン(a)は、ケイ素原子に結合した1つまたは複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであり得る。一実施形態では、組成物は、ケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含む。組成物は、2つ以上の異なるアルケニル官能性シリコーン化合物の混合物を含み得る。
【0072】
一実施形態では、組成物は、下記式のアルケニル官能性シリコーン化合物を含み、
(XI)
ここで
=R353637SiO1/2
=R383940SiO1/2
=R4142SiO2/2
=R4344SiO2/2
=R45SiO3/2
=R46SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR35、R36、R37、R39、R40、R41、R42、R44、およびR45は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され、
38、R43、およびR46は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但し、R38、R43、および/またはR46の1つまたは複数は、C2-C30アルケニル基から選択されるという条件であり;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、以下の制限:2<a+b+c+d+e+f+g<2000、b+d+f>0を受ける。
【0073】
一実施形態では、アルケニル官能性シリコーンは、2つ以上のアルケニル官能基(すなわち、b+d+f>2)を含む。一実施形態では、アルケニル官能性シリコーンは式M のものである。
【0074】
さらに、組成物は、2つ以上のアルケニル官能性シリコーンの混合物を含むことができることが理解されよう。複数のアルケニル官能性シリコーンが使用される場合、アルケニル官能性シリコーンは、異なるタイプ(例えば、M、D、T、およびQ単位に関して異なる全体的な構成を有する)、または異なるサイズ(例えば、類似のM、D、T、Q構造を有するが、特定の単位の数に関して異なる)のものであり得る。一実施形態では、組成物は、式M を有する第1のアルケニル官能性シリコーン、ここでcは約5から約1000であり;および式M c’を有する第2のアルケニル官能性シリコーン、ここでc’は約500から約1500である、を含む。
【0075】
一実施形態では、アルケニル官能性シリコーンは、ケイ素原子に結合した1つまたは複数のアルケニル基を含む分岐したケージ状のオリゴシロキサンである。分岐アルケニル官能性シリコーンには、Q単位(SiO4/2単位)、M単位(RSiO1/2単位)が含まれ、任意選択でさらにD単位(RSiO単位)および/またはT単位(RSiO3/2単位)が含まれ(ここでRはそれぞれ独立して非置換または置換された一価の脂肪族基または脂環式基である)、ここで分子あたり少なくとも3つのRは、好ましくはアルケニル基である。そのような分岐したケージ状のシロキサンは、式M で表されるアルケニル官能性シロキサン化合物に含まれることが理解されよう。
【0076】
アルケニル官能性シリコーン(または2つ以上のアルケニル官能性シリコーンの混合物)は、組成物の総重量に基づいて、約40から約85重量%;約45から約65重量%;または、約52から約58重量%の量で存在する。
【0077】
組成物は、有機水素化ポリシロキサンを含む。有機水素化ポリシロキサンは、下記式の化合物から選択することができ、
(XII)
ここで
=R474849SiO1/2
=R505152SiO1/2
=R5354SiO2/2
=R5556SiO2/2
=R57SiO3/2
=R58SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR47、R48、R49、R53、R54、R57は、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、またはC1-C30アルコキシ基から独立して選択され;
50、R51、R52、R55、R56、およびR58は、水素、C1-C30炭化水素、C6-C30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C30アルケニル基から独立して選択され、但しR50、R51、R52、R55、R56、および/またはR58の1つまたは複数は水素であるという条件であり;
下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正であって、以下の制限:1<h+i+j+k+m+n+o<100、i+k+n>0を受ける。
【0078】
ヒドリド官能性シリコーン架橋剤(または2つ以上のアルケニル官能性シリコーンの混合物)は、組成物の総重量に基づいて、約0.01から約20重量%;約0.1から約5重量%;または約0.1から約2重量%の量で存在する。
【0079】
硬化性組成物は、任意選択で、アルコキシシラン(e)をさらに含む。アルコキシシラン(e)は、下記式の化合物であり、
59-SiR60 (OR613-n
ここでR59、R60、およびR61は、C1-C30炭化水素、および/またはC6-C30芳香族基から独立して選択され、そしてR59は、C1-C30炭化水素、C6-30芳香族基、C1-C30アルコキシ基、またはC2-C20不飽和炭化水素から選択される。
【0080】
適切なアルコキシシラン(e)の例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメトキシ-n-プロポキシシラン、ビス(2-エチルヘキソキシ)ジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-アミノプロピルトリエトキシシラン、ベータ-アミノエチルトリメトキシシラン、ベータ-アミノエチルトリエトキシシラン、N-ベータ-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、4,5-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、シアノプロピルトリメトキシシランなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
アルコキシシラン(e)として、2つ以上の異なるアルコキシシランを使用できることが理解されよう。アルコキシシランは、存在する場合、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%から約5重量%;約0.1重量%から約3重量%;または、約0.1重量%から約2.5重量%の量で存在し得る。
【0082】
硬化性組成物は、任意選択で充填剤(f)を含む。それは、シリコーン組成物において現在知られているまたは後に有用であることが見出されたものから選択される、充填剤または充填剤の混合物であって、それらがコーティングの半透明性を著しく損なうことがない、すなわち、コーティングされた基材が、そのコーティングの適用後にその元の外観を維持するという条件である。
【0083】
適切な充填剤(f)の例には、ステアレートまたはステアリン酸などの化合物で処理される粉砕、沈殿、およびコロイド状炭酸カルシウム;ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、および疎水化シリカおよびシリカゲルなどの補強シリカ;破砕および粉砕された石英、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化チタン、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、グラファイトまたはクレイ、例えば、カオリン、ベントナイト、またはモンモリロナイトが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、充填剤(f)は、D4およびヘキサメチルジシラザンまたはそれらの組み合わせで処理されたシリカ充填剤などのシリカ充填剤である。
【0084】
本発明において有用な充填剤の量は、一般に、硬化性シリコーン組成物の総重量に基づいて、約1重量%から約50重量%、より好ましくは約5重量%から約30重量%、最も好ましくは約8重量%から約20重量%である。
【0085】
硬化性組成物は、重合阻害剤(g)を含む。重合阻害剤は特に限定されるものではなく、特定の目的または使用目的のために所望に応じて選択することができる。適切な阻害剤の例には、エチレン性不飽和アミド、芳香族不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィンシロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役または孤立エン-イン、ヒドロペルオキシド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、亜硝酸塩、ジアジリジンなどが含まれるが、これらに限定されない。組成物に特に適した阻害剤は、アルキニルアルコールおよびマレイン酸塩である。適切な重合阻害剤の例には、マレイン酸ジアリル、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
組成物に使用される阻害剤(g)の量は、室温で上記の反応を遅らせ、一方で適度に高い温度、すなわち75から100℃である温度での前記反応を妨げない、任意の量であり得る。成分(g)の範囲は、1から約10重量%、約0.001から2重量%、さらには約0.12から約1重量%であり得る。ここでは、明細書および特許請求の範囲の他の場所と同様に、数値を組み合わせて、新しい代替の範囲を形成することができる。
【0087】
ヒドロシリル化触媒(h)には、限定されるものではないが、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金を使用するものなどの貴金属触媒、およびこれらの金属の錯体が含まれる。本発明で使用するのに適したヒドロシリル化触媒の例には、Ashby触媒;Lamoreax触媒;Karstedt触媒;Modic触媒;およびJeram触媒およびそれらの2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
硬化性組成物はまた、他の添加剤(i)を含み得る。他の添加剤には、抗酸化剤、充填剤、顔料、染料、充填剤処理剤、可塑剤、スペーサー、増量剤、殺生物剤、安定剤、難燃剤、表面改質剤、抗エージング添加剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、界面活性剤またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
硬化性組成物はまた、抗酸化化合物を含み得る。適切なクラスの抗酸化化合物の例には、ヒンダードアミンおよび/またはヒンダードフェノール化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
ヒンダードアミン抗酸化剤化合物の例には、ヒンダードアミン系抗酸化剤(N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン-1,3,5-トリアジン-N,N’-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン-1,6-ヘキサメチレンジアミン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合生成物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールのポリマー、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンの反応生成物](70%)-ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオンなど)が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
一実施形態では、抗酸化剤化合物は、ヒンダードフェノール化合物である。ヒンダードフェノールは、特定の目的または意図された用途に応じて選択することができる。適切なヒンダードフェノールの例には、モノフェノール、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、3-t-ブチル-4-メトキシフェノール、および2,6-t-ブチル-4-エチルフェノール、ビスフェノール、例えば、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール);および高分子フェノール、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス(4’-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)酪酸グリコールエステル、およびトコフェロール(ビタミンE)、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサン-tert-ブチル-4-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールなど)が含まれるが、これに限定されない。
【0092】
IRGANOX 1330は、BASFで市販されている、立体障害フェノール系酸化防止剤(「3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール」)である。Irganox 1010は、BASFで市販されている、立体障害フェノール系酸化防止剤(「ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)」)であり、または、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンが、ETHANOX(商標)330(Albemarle Corporation)として市販されており、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(Irganox 3114)、Irganox 3114としてトリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートが市販されている。
【0093】
硬化性組成物は、任意選択で光安定剤を含み得る。光安定剤は特に限定されるものではなく、特定の用途または使用目的に応じて選択することができる。光安定剤に適した材料の例には、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(21-1-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および分岐ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、オクタベンゾン、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、Tinuvin 622LD、Tinuvin 144、CHIMASSORB 119FL、MARK LA-57、LA-62、LA-67、LA-63、SANDOL LS-765、LS-292、LS-2626、LS-1114、LS-744などが含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
硬化性組成物は、それぞれの成分の混合物を提供し、そして組成物を硬化させるのに十分な時間で混合物を十分な温度に曝露することによって硬化させることができる。それぞれの成分は、別々に、またはパッケージが最終組成物に必要な成分の2つ以上を含む場合、材料の2つ以上のパッケージとして加えることができる。一実施形態では、接着促進剤は、(i)第1の接着促進剤および(ii)第2の接着促進剤を含むパッケージとして提供される。一実施形態では、組成物は、150℃未満;125℃未満;110℃未満;100℃未満;または90℃未満の温度で加熱することができる。一実施形態では、組成物は、約75℃から約120℃;約85℃から約110℃;または約90℃から約100℃の温度で加熱される。硬化は、約5分から約20分;5分から約15分;または約10分から約15分の期間で、高温に曝された状態で達成することができる。さらに別の実施形態では、硬化は、80℃から100℃で5から15分間加熱することによって達成することができる。実施形態では、硬化は、100℃でわずか5分で達成することができる。
【0095】
組成物は、様々な用途で使用することができる。実施形態では、組成物は硬化され、そしてシーリング用の材料として、接着剤として;衛生室のコーティングとして;異なる材料間のジョイントシール、例えば、セラミックまたは鉱物表面と熱可塑性プラスチックとの間のシーラントとして;紙剥離として;含浸材料として;ウェザーストリップコーティング、リリースコーティング、接着剤、接着仕上げ、漏出防止製品、ポインティング製品、フォーム等として使用され得る。例として、組成物を硬化させて、そして汎用および工業用シーラント、ポッティングコンパウンド、コーキング、または建設用接着剤、断熱ガラス、ここでガラスシートは金属フレームに固定および密封される;コーキング、金属板、車体、車両、電子機器等用の接着剤として使用され得る。
【0096】
さらに、組成物は、様々な基材に使用することができ、優れた接着特性を提供する。適切な基材の例には、有機高分子材料、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、ポリフェニレン硫化物(PPS)樹脂、ポリスルホン樹脂、ナイロン(PA)樹脂、芳香族ポリアミド(芳香族PA)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、および液晶樹脂から選択されるこのような熱可塑性樹脂を含み得るがこれらに限定されない高分子基材が含まれる。組成物はまた、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、金属合金、およびめっきされた金属を含む金属基材に接着するために使用することができる。
【0097】
以下の例は、本技術の態様および実施形態を説明することを意図している。特に明記されていない限り、すべての部とパーセンテージは重量であり、すべての温度は摂氏である。本出願で言及されるすべての特許、他の刊行物、および米国特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0098】
【0099】
表1-3に記載されている例に従って組成物を調製した。組成物は、接着促進剤を組成物に添加し、混合して組成物に分散させることによって調製された。BPA誘導体として特定されるヒドリドシラン接着促進剤は、環状ヒドリドシロキサンを含む式(I)に該当するシランであり、そして-O-Ar-O-基は、下記である。
【化18】

ヒドリドアルコキシシラン接着促進剤のシランAは、式R23-SiR24 (OR253-rに該当するシランであり、ここでR23は、本明細書に記載されているように、それに結合した基Q-C(O)-O-Qを有する環状ヒドリドシロキサンである。アクリレートベースの接着促進剤は、モノアクリレート官能性アクリレートベースの接着促進剤またはジアクリレート官能性アクリレートベースの接着促進剤から選択される。モノアクリレート官能性アクリレートベースの接着促進剤は以下である。
【化19】

ジアクリレート官能性アクリレートベースの接着促進剤は以下である。
【化20】
【0100】
組成物は、145mm×0.15mmの深さの寸法を有するテフロン溝内のポリカーボネート(PC)基材、ポリフェニレンスルフィド(PPS)基材、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)基材の表面に適用された。基材をオーブンに入れ、(i)100℃で5分間;(ii)90℃で10分間;および(iii)80℃で15分間、硬化させた。硬化した材料のラップせん断強度は、INSTRON3365引張強度試験機および試験方法ASTMD 3163を使用して測定した。
【表1】

【表2】

【表3】
【0101】
表1に示されるように、本接着促進剤は、ヒドリドまたはアクリレートベースの接着促進剤のいずれかを単独で使用する場合と比較して、良好な接着を提供する。さらに、ヒドリドベースの接着促進剤およびアクリレート接着促進剤を互いに組み合わせて使用すると、より広い範囲の基材にわたって接着性が向上する。例1-6の組成物について、凝集破壊が観察された。対照的に、表2に示されている比較例では、接着欠陥を表し、これは、接着システムでは一般に望ましくない欠陥状態である。さらに、接着促進剤の組み合わせは、非常に短い時間(例えば、15分以下、さらには約5分)で低温(例えば、100℃以下)で硬化することができる組成物を提供する。
【0102】
100℃で5分間の接着は、100℃でより長い時間(例えば、15分または30分)加熱することによって確認される。表3は、より長い硬化時間の接着値が5分間の硬化と比較して、実質的な変化を示さなかったことを示している。これは、硬化が5分で完了することを示している。
【0103】
上記に記載されているものには、本明細書の例が含まれる。もちろん、本明細書を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本明細書のさらに多くの組み合わせおよび順列が可能であることを認識できる。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるそのようなすべての変更、修正および変形を包含することを意図している。さらに、用語「含む(includes)」が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、用語「含む(comprising)」が請求項において移行語として使用される場合に「含む(comprising)」と解釈されるのと同様の方法で包括的であることが意図される。
【0104】
前述の説明は、芳香族含有シリコーン化合物およびそのような化合物を含む硬化性組成物の様々な非限定的な実施形態を特定する。当業者および本発明を作製および使用し得る者には、変更が生じ得る。開示された実施形態は、単に例示の目的のためであり、本発明の範囲または特許請求の範囲に記載された主題を限定することを意図するものではない。