(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】単結晶炉のホットゾーン構造、単結晶炉及び結晶棒
(51)【国際特許分類】
C30B 15/20 20060101AFI20240918BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20240918BHJP
F27B 14/04 20060101ALI20240918BHJP
F27B 14/06 20060101ALI20240918BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20240918BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C30B15/20
C30B29/06 502C
F27B14/04
F27B14/06
F27D7/06 C
F27D17/00 104G
(21)【出願番号】P 2022542035
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2021093007
(87)【国際公開番号】W WO2021244234
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202010505348.1
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522248559
【氏名又は名称】西安奕斯偉材料科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 1-3-029, No.1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(73)【特許権者】
【識別番号】522248560
【氏名又は名称】西安奕斯偉硅片技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】XI’AN ESWIN SILICON WAFER TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】毛 勤虎
(72)【発明者】
【氏名】シム ボクチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンクン
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-116389(JP,A)
【文献】特開2002-097098(JP,A)
【文献】特開平10-081596(JP,A)
【文献】特表2018-531868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 15/20
C30B 29/06
F27B 14/04
F27B 14/06
F27D 7/06
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶炉
であって、
前記単結晶炉は、炉体と、前記炉体の内部中央に設置される坩堝と、
単結晶炉のホットゾーン構造とを備え、
前記単結晶炉のホットゾーン構造は、
前記坩堝の外周に設置される側部ヒーターと、
前記側部ヒーターと前記坩堝の側壁との間及び前記坩堝の下方を囲んで設けられ、前記坩堝の外壁との間にガス流路を形成するための導流部材と、を備え、
前記ガス流路が前記炉体の外部に連通されて、ガスを前記炉体の外部に排出し、
前記導流部材は、側部伝熱バレルと、底部伝熱板と、排気バレルと、を備え、前記側部伝熱バレルが前記側部ヒーターと前記坩堝との間に設置され、かつ前記坩堝の側壁を囲み、前記底部伝熱板が前記坩堝の下方に設置され、前記側部伝熱バレルの底端が前記底部伝熱板に密封接続され、前記底部伝熱板に少なくとも1つの排気孔が設けられており、前記排気バレルが前記排気孔内に穿設され、前記排気バレルの一端が前記ガス流路に連通され、他端が前記炉体の外に伸び出す、単結晶
炉。
【請求項2】
前記単結晶炉のホットゾーン構造は、
前記底部伝熱板の下方に設置される底部ヒーターをさらに備える、請求項1に記載の単結晶
炉。
【請求項3】
前記排気孔の数は四つであり、四つの前記排気孔が同一円周で間隔を置いて配列され、各前記排気孔内に一つの前記排気バレルが設置される、請求項1に記載の単結晶
炉。
【請求項4】
前記側部伝熱バレルと前記底部伝熱板とが黒鉛材料からなる、請求項1に記載の単結晶
炉。
【請求項5】
前記黒鉛材料はグラフェンである、請求項4に記載の単結晶
炉。
【請求項6】
前記単結晶炉のホットゾーン構造は、
前記排気バレルが前記炉体の外に伸び出す一端に接続され、ガス流路内のガスを抽出するための真空ポンプをさらに備える、請求項1に記載の単結晶
炉。
【請求項7】
前記単結晶炉のホットゾーン構造は、
前記排気バレルと前記真空ポンプとの間に設置され、ガス中の不純物粒子を濾過するためのフィルタ装置をさらに備える、請求項6に記載の単結晶
炉。
【請求項8】
前記単結晶炉のホットゾーン構造は、
前記側部ヒーターと前記炉体の内側壁との間に設けられる側部断熱材層と、
前記底部ヒーターと前記炉体の底壁との間に設けられる底部断熱材層と、をさらに備える、請求項2に記載の単結晶
炉。
【請求項9】
前記単結晶炉のホットゾーン構造は、
前記坩堝の上方に設置される導流バレルをさらに備える、請求項1に記載の単結晶
炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2020年6月5日に中国で出願された中国特許出願番号202010505348.1の優先権を主張し、その内容の全ては、参照により本開示に組み込まれる。
本開示は、結晶棒の製造の技術分野に関し、具体的には、単結晶炉のホットゾーン構造、単結晶炉、及び結晶棒に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコン材料の成長過程において、特にチョクラルスキー法の単結晶炉による単結晶シリコン材料の成長過程において、黒鉛ホットゾーンを利用して成長温度、勾配制御等を提供することが一般的である。具体的には、低真空及び不活性ガス雰囲気で多結晶原料の溶融を行い、種結晶の接触、回転引上げにより製造された単結晶材料において、熱源は、主に黒鉛ヒーターから提供される。しかしながら、二次投入時に発生するシリコン液の飛び出し、及び高温でシリコン液の表面から飛散する一酸化ケイ素(SiO)が、炉内の気流とともに黒鉛ヒーターに接触してから反応することにより、一方でヒーター表面に炭化ケイ素(SiC)の堆積物が形成され、他方で化学反応の存在によりヒーターの厚みが使用回数の増加とともに徐々に減少し、これがヒーター表面の材料特性の変化、及び厚み変化によるヒーター自体の加熱性能の低下などの問題を招き、最終にヒーターの耐用年数が短くなり、製品品質に直接影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従来の技術における炉内に有害不純物の混入されるガスがヒーターにダメージを与えることで、ヒーターの耐用年数に影響を及ぼし、ひいては製造された製品の品質に影響を及ぼす問題を解決することができる、単結晶炉のホットゾーン構造、単結晶炉及び結晶棒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本開示は、以下の技術案を採用する。
本開示の一様態の実施例は、
前記坩堝の外周に設置される側部ヒーターと、
前記側部ヒーターと前記坩堝の側壁との間及び前記坩堝の下方を囲んで設けられ、前記坩堝の外壁との間にガス流路を形成するための導流部材と、を備え、
前記ガス流路が前記炉体の外部に連通されて、ガスを前記炉体の外部に排出する、単結晶炉のホットゾーン構造を提供する。
【0005】
選択的に、前記導流部材は、側部伝熱バレルと、底部伝熱板と、排気バレルと、を備え、前記側部伝熱バレルが前記側部ヒーターと前記坩堝との間に設置され、前記底部伝熱板が前記坩堝の下方に設置され、前記側部伝熱バレルの底端が前記底部伝熱板に密封接続され、前記底部伝熱板に少なくとも1つの排気孔が設けられ、前記排気バレルが前記排気孔内に穿設され、前記排気バレルの一端が前記ガス流路に連通され、他端が前記炉体の外に伸び出す。
【0006】
選択的に、前記底部伝熱板の下方に設置される底部ヒーターをさらに備える。
【0007】
選択的に、前記排気孔の数は四つであり、四つの前記排気孔が同一円周で間隔を置いて配列され、各前記排気孔内に一つの前記排気バレルが設置されている。
【0008】
選択的に、前記側部伝熱バレルと前記底部伝熱板とが黒鉛材料からなる。
【0009】
選択的に、黒鉛材料はグラフェンである。
【0010】
選択的に、前記排気バレルが前記炉体の外に伸び出す一端に接続され、ガス流路内のガスを抽出するための真空ポンプをさらに備える。
【0011】
選択的に、前記排気バレルと前記真空ポンプとの間に設置され、ガス中の不純物粒子を濾過するためのフィルタ装置をさらに備える。
【0012】
選択的に、前記側部ヒーターと前記炉体の内側壁との間に設けられる側部断熱材層と、
前記底部ヒーターと前記炉体の底壁との間に設けられる底部断熱材層と、をさらに備える。
【0013】
選択的に、前記坩堝の上方に設置される導流バレルをさらに備える。
【0014】
本開示の別の一態様の実施例は、炉体と、前記炉体の内部中央に設置される坩堝と、を備え、上記のような単結晶炉のホットゾーン構造をさらに備える、単結晶炉をさらに提供する。
【0015】
本開示のさらに別の一態様の実施例は、上記のような前記単結晶炉で製造される結晶棒をさらに提供する。
【発明の効果】
【0016】
本開示の上記の技術案は以下のような有益な効果を有する。
本開示の実施例に係る単結晶炉のホットゾーン構造によれば、形成されるガス流路により単結晶炉内に流入するガスを、炉外に案内して排出し、これにより炉内のヒーターに対して隔離保護を行い、ガス中に巻き込まれた一酸化ケイ素がヒーターにダメージを与えることを防止することで、炉内のヒーターの耐用年数を向上させ、ヒーターが正常に作動するように確保する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施例に係る単結晶炉のホットゾーン構造の構造概略図である。
【
図2】本開示の実施例に係る底部ヒーターと排気バレルの設置関係の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例に係る図面を参照して、本開示の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本開示の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。説明される本開示の実施例に基づいて、当業者によって得られる他の実施例は、全て本開示の保護範囲に含まれる。
【0019】
単結晶シリコン材料の成長過程において、特にチョクラルスキー法の単結晶炉による単結晶シリコン材料の成長過程において、黒鉛ホットゾーンを利用して成長温度、勾配制御等を提供することが一般的である。具体的には、低真空及び不活性ガス雰囲気で多結晶原料の溶融を行い、種結晶の接触、回転引上げにより製造される単結晶材料において、熱源は、主に黒鉛ヒーターから提供される。しかしながら、二次投入時に発生するシリコン液の飛び出し、及び高温でシリコン液の表面から飛散する一酸化ケイ素(SiO)が、炉内の気流とともに黒鉛ヒーターに接触してから反応することにより、一方でヒーター表面に炭化ケイ素(SiC)の堆積物を形成し、他方で化学反応の存在によりヒーターの厚みが使用回数の増加とともに徐々に減少し、これがヒーター表面の材料特性の変化、及び厚み変化によるヒーター自体の加熱性能の低下などの問題を招き、最終にヒーターの耐用年数が短くなり、製品品質に直接影響する。
【0020】
上記の問題を避けるために、従来の技術では、ガス排出口をサイド保温バレルの上部位置に設置することで、気流がサイドヒーター及び底部ホットゾーン部材を通過せず、ヒーター及び下部ホットゾーンを保護する目的を果たしていた。しかしながら、該方法の具体的な実施が非常に複雑であり、一方で、サイド排気孔の設計が、ホットゾーン部品の種類数及び設計難易度を大幅に増加させ、直接にコストの増加を招き、また、この構造で、一酸化ケイ素を含むガス流が液面の上方のホットゾーン部材で結晶を発生させ、該結晶が一旦に融液に落下すると、結晶が直接に単結晶としての特性を失うことになり、製品として無駄になる。
【0021】
これにより、本開示の実施例は、単結晶炉のホットゾーン構造を提供し、
図1に示すように、前記単結晶炉のホットゾーン構造は単結晶炉に適用され、前記単結晶炉は炉体13と、炉体13の内部中央に設置される坩堝と、を備え、前記単結晶炉のホットゾーン構造は、側部ヒーター3と、導流部材と、を備え、ここで、側部ヒーター3が坩堝の外周に設置され、すなわち、炉体13の内壁と坩堝との間に設置され、側部ヒーター3は坩堝の外側部で坩堝を加熱することに用いられ、導流部材が側部ヒーター3と前記坩堝の側壁との間及び前記坩堝の下方を囲んで設けられ、前記坩堝の外壁との間にガス流路を形成することに用いられ、前記ガス流路が炉体の外部に連通されて炉体13の外にガスを排出し、すなわち、導流部材と坩堝の外壁とによりガス流路が形成され、炉内にガスが流れると、ガスがガス流路から炉体13の外に排出されることで、ガス中に巻き込まれた一酸化ケイ素などの有害物質が側部ヒーター3にダメージを与えないように、導流部材により側部ヒーター3を隔離する。
【0022】
本開示の実施例において、前記導流部材は、側部伝熱バレル1と、底部伝熱板2と、排気バレル6と、を備えてもよく、ここで、側部伝熱バレル1が側部ヒーター3と坩堝との間に設置され、すなわち、側部伝熱バレル1が坩堝の外周を囲んで設けられ、底部伝熱板2が坩堝の下方に設置され、側部伝熱バレル1の底端と底部伝熱板2の辺縁とが密封接続され、かつ底部伝熱板2に少なくとも1つの排気孔が設けられ、排気バレル6が前記排気孔内に穿設され、排気バレル6の一端がガス流路に連通され、他端が炉体13に伸び出し、すなわち、側部伝熱バレル1、底部伝熱板2と坩堝の外壁との間にガス流路が形成され、側部ヒーター3が側部伝熱バレル1の外周に位置するので、ガス流路及び側部ヒーター3がそれぞれ側部伝熱バレル1の両側にそれぞれ位置して、側部伝熱バレル1により隔離され、底部伝熱板2に排気孔が設けられており、排気孔に排気バレル6を穿設してガス流路と炉体13の外部とを導通させて、ガスがガス流路から炉体13の外に円滑に流れ出すようにする。
【0023】
本開示の実施例において、単結晶炉のホットゾーン構造は、底部ヒーター4をさらに備え、底部ヒーター4が坩堝の底部から坩堝を加熱することに用いられ、底部ヒーター4が底部伝熱板2の下方に設けられることで、ガス流路及び底部ヒーター4がそれぞれ底部伝熱板2の両側に位置して、底部伝熱板2により隔離されることで、ガス中に巻き込まれた一酸化ケイ素などの有害物質が底部ヒーターにダメージを与えることを避ける。
【0024】
本開示の実施例において、底部伝熱板2に設けられる排気孔の数は、4つであってもよく、4つの排気孔が同一円周で間隔を置いて配列され、各排気孔に一つの排気バレル6が穿設されることで、ガス流路が上記の4つの排気バレル6を介してガスを炉体13の外に迅速かつ効率的に排出することができ、もちろん、異なる要求に応じて、排気孔の数を増減してもよい。
【0025】
図2、
図3に示すように、排気バレル6が底部ヒーター4が位置している平面を通過することを必要とし、具体的な配置方式は実際の底部ヒーター4の形状構造によって決定され、例えば、底部ヒーター4の加熱面積が小さい場合に、底部ヒーター4の外周に排気バレル6を設置してもよく、底部ヒーター4の加熱面積が大きい場合に、排気バレル6が通過するように、底部ヒーター4に排気孔を設けなければならない。
【0026】
本開示の一部の実施例において、前記側部伝熱バレル1及び底部伝熱板2は黒鉛材料からなり、黒鉛材料は、通常に1500W/M・Kに達する高い伝熱係数を有することで、側部ヒーター3及び底部ヒーター4が作動する時に発生する熱量が、側部伝熱バレル1及び底部伝熱板2を迅速に通過して坩堝内に到達することができ、かつ側部ヒーター3及び底部ヒーター4の加熱効率及び加熱量に影響を与えることなく、かつ側部ヒーター3及び底面ヒーター4によって発生されるホットゾーンの分布に影響を与えないことを避け、また、黒鉛材料は、高温耐性、化学的安定性、耐腐食性を有し、単結晶炉内の高温のシナリオに適応でき、耐用年数が長い。本開示の実施例において、前記黒鉛材料は、非常に優れる熱伝達特性を有するグラフェンを含んでもよい。
【0027】
本開示の一部の実施例において、前記単結晶炉ホットゾーン構造は、真空ポンプ(図示せず)をさらに備え、前記真空ポンプは、排気バレル6が前記炉体の外に伸び出す一端に接続され、前記真空ポンプが前記排気バレル6の一端で負圧を提供してガス流路内のガスを抽出することに用いられて、炉体13内のガスを迅速に炉体13の外に案内することを確保する。
【0028】
本開示の別の一部の実施例において、前記単結晶炉ホットゾーン構造は、フィルタ装置(図示せず)をさらに備え、前記フィルタ装置は、排気バレル6と真空ポンプとの間に設けられて、汚染を避けるために、流れるガス中の不純物粒子を濾過することに用いられる。
【0029】
本開示の一部の実施例において、前記単結晶炉ホットゾーン構造は、側部断熱材層71と、底部断熱材層72と、をさらに備え、側部断熱材層71が側部ヒーター3と炉体13の内側側壁との間に設けられ、底部断熱材層72が底部ヒーター4と炉体13の底壁との間に設けられ、炉体13の内部の熱量が放散されないように、側部断熱材層71及び底部断熱材層72が良好な断熱効果を果たすことができる。
図1で、最上部の側部断熱材層71も炉内のガスを遮断する役割を果たし、実際に、側部伝熱バレル1の長さを好適に伸ばして、側部断熱材層71に対しても隔離保護を行うこともできる。
【0030】
図1に示すように、本開示の一部の実施例において、前記単結晶炉ホットゾーン構造は、導流バレル14をさらに備え、導流バレル14が坩堝の上方に設けられ、前記坩堝は、黒鉛坩堝11と、前記黒鉛坩堝11内に設けられた石英坩堝10と、を備え、黒鉛坩堝11の底部は、坩堝シャフト12に接続され、坩堝シャフト12は、坩堝の内部が均一に加熱されるように、坩堝の回転を駆動することに用いられる。単結晶の作製工程で、石英坩堝10内でシリコン材料を加熱してポリシリコン融液9が得られた後、種結晶の引き上げにより結晶を成長させて結晶棒8が得られ、種結晶を引き上げる過程で、結晶棒8と導流バレル14との間の隙間に不活性ガスを導入する必要があり、図中の気流の軌跡5に示すように、不活性ガスは導流バレル14の導流作用で固液界面に流れて、固液界面の温度を制御してから、ガス流路内に流れ込み、最終に排気バレル6を介して炉体13の底部から炉外に流れ出し、これにより、不活性ガスに一酸化ケイ素等の有害物質が混雑されても、導流部材の存在により、側部ヒーター3及び底部ヒーター4に対して良好な隔離保護を行うことで、側部ヒーター3及び底部ヒーター4に対する一酸化ケイ素によるダメージを避け、側部ヒーター3及び底部ヒーター4の耐用年数を向上させ、側部ヒーター3及び底部ヒーター4の表面属性及び厚さ変化によるプロセス不安定及び製品品質に影響を与えるという問題も避け、さらに二次投入過程において融液が側部ヒーター3及び底部ヒーター4の表面に飛出すことを防止することもでき、また、ガス流路の存在により、炉内ガスの流動規律を制御することが可能で、不活性ガスにより固液界面の温度を効果的に管理することに便利である。
【0031】
本開示の別の一態様の実施例は単結晶炉をさらに提供し、前記単結晶炉は、炉体と、前記炉体の内部中央に設置される坩堝と、を備え、前記単結晶炉は、上記のような単結晶炉のホットゾーン構造をさらに備える。上記の実施例に係る単結晶炉のホットゾーン構造によれば、単結晶炉内に流入するガスを、形成されるガス流路を通じて炉外に案内して排出し、これにより炉内のヒーターに対して隔離保護を行い、ガス中に巻き込まれた一酸化ケイ素がヒーターにダメージを与えることを防止することで、炉内のヒーターの耐用年数を向上させ、ヒーターが正常に作動するように確保することができるので、本開示の実施例における単結晶炉は対応して上記有益な効果を有し、重複な記載を避けるために、ここで説明を省略する。
【0032】
本開示のさらに別の一態様の実施例は結晶棒をさらに提供し、前記結晶棒は上記のような単結晶炉で製造され、上記の単結晶炉を用いて製造される結晶棒は品質が高くて、欠陥が少ない。
【0033】
上記のような説明は、本開示の選択的な実施形態であり、当業者であれば、本開示の原理から逸脱しない前提で、さらにいくつかの改良及び修飾を実施してもよく、これらの改良及び修飾も本開示の保護範囲に属する。