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特許7556969フラックスフリーろう付け用アルミニウム合金多層ブレージングシート材
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  • 特許-フラックスフリーろう付け用アルミニウム合金多層ブレージングシート材 図1
  • 特許-フラックスフリーろう付け用アルミニウム合金多層ブレージングシート材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】フラックスフリーろう付け用アルミニウム合金多層ブレージングシート材
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/22 20060101AFI20240918BHJP
   B23K 35/28 20060101ALI20240918BHJP
   C22C 21/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B23K35/22 310E
B23K35/28 310B
C22C21/00 D
C22C21/00 E
C22C21/00 J
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022546140
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 IB2021050587
(87)【国際公開番号】W WO2021152455
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】20154258.6
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20160495.6
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518412058
【氏名又は名称】ノベリス・コブレンツ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Novelis Koblenz GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】リッツ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーゲル,アルネ
(72)【発明者】
【氏名】カーカム,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】スメイヤース,アクセル アレクサンダー マリア
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/184806(WO,A1)
【文献】特表2013-505135(JP,A)
【文献】特表2006-509635(JP,A)
【文献】特開2018-197395(JP,A)
【文献】国際公開第2010/000666(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01306207(EP,A1)
【文献】特表2023-505586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/22
B23K 35/28
C22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けするための、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品であって、
0.20wt%~0.75wt%のMgを含む3xxx系アルミニウム合金製のコア層であって、前記3xxx系アルミニウム合金コア層の片面または両面にある2wt%~5wt%のSiを含むアルミニウム合金製の被覆クラッド層を備える前記コア層と、
前記3xxx系アルミニウム合金コア層と前記被覆クラッド層との間に位置する7wt%~13wt%のSiおよび最大0.5wt%のMgを含むアルミニウム合金製のAl-Siろう付け用クラッド層と、を含み、
ここで、前記被覆クラッド層はXの厚さを有し、前記Al-Siろう付け用クラッド層はXの厚さを有し、X≧2Xであり、
前記被覆クラッド層がMgフリーであり:
前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品における表面の酸化被膜が除去されている、前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項2】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層が0.20wt%~0.60wt%のMgを含む、請求項1に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項3】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層が0.20wt%~0.30wt%のMgを含む、請求項1または2に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項4】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層が0.40wt%~0.55wt%のMgを含む、請求項1または2に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項5】
前記被覆クラッド層がBiフリー及びLiフリーである、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項6】
前記被覆クラッド層がMgフリー、Biフリー及びLiフリーであり、以下:
Si(2wt%~5wt%);
Fe(最大0.5wt%);
Mn(最大0.2wt%);
Cu(最大0.1wt%);
Zn(最大0.4wt%);
Ti(最大0.1wt%);
不可避不純物(それぞれ<0.05wt%、合計<0.15wt%)、及び残部のアルミニウム、から成る、請求項1~5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項7】
前記被覆クラッド層のSi含有量が2.5wt%~4.0wt%である、請求項6に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項8】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層が以下:
Mn(0.5wt%~1.8wt%);
Mg(0.20wt%~0.75wt%);
Cu(最大1.1wt%);
Si(最大0.4wt%);
Fe(最大0.7wt%);
Cr(最大0.3wt%);
Sc(最大0.3wt%);
Zr及び/またはV(最大0.3wt%);
Ti(最大0.25wt%);
Zn(最大1.2wt%);
不可避の不純物(それぞれ最大0.05wt%、合計最大0.2wt%)、及び残部のアルミニウム、から成る、請求項1~7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項9】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層のSi含有量が0.10wt%未満である、請求項8に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項10】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層のCu含有量が最大0.15wt%である、請求項8または9に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項11】
前記3xxx系アルミニウム合金コア層のCu含有量が0.15wt%~1.1wt%の範囲にある、請求項8または9に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項12】
前記Al-Siろう付け用クラッド層が以下:
Si(7wt%~13wt%);
Mg(最大0.5wt%);
Fe(最大0.7wt%);
Cu(最大0.3wt%);
Mn(最大0.8wt%);
Zn(最大2wt%);
Bi(最大0.3wt%);
Ti(最大0.25wt%);
不可避の不純物(それぞれ<0.05wt%、合計<0.2wt%)、及び残部のアルミニウム、から成る、請求項1~11のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項13】
前記Al-Siろう付け用クラッド層が10wt%~13wt%のSiを含む、請求項12に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項14】
前記Al-Siろう付け用クラッド層が0.02wt%~0.5wt%のMgを含む、請求項12または13に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項15】
前記被覆クラッド層がXの厚さを有し、前記Al-Siろう付け用クラッド層がXの厚さを有し、X≧2.5Xである、請求項1~14のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項16】
≧3Xである、請求項15に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
【請求項17】
ろう付け熱交換器の製造プロセスであって、
請求項1~16のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品を少なくとも1つ供給する工程と、
フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)でろう付けする工程と、を含む、
記製造プロセス。
【請求項18】
フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)作業における、熱交換装置を製造するための、請求項1~16のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月29日に出願され、「Aluminium alloy multi-layered brazing sheet material for fluxfree brazing」と題された、欧州特許出願第20154258.6号、及び2020年3月2日に出願され、「Aluminium alloy multi-layered brazing sheet material for fluxfree brazing」と題された、欧州特許出願第20160495.6号の利益及び優先権を主張するものであり、それらの内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けする(「CAB」)ための、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品または材料であって、3xxx系アルミニウム合金製のコア層であり、コア層の片面または両面にある2~5wt%のSiを含む被覆クラッド層を備えるコア層と、コア層と被覆クラッド層との間に位置する6~13wt%のSiを含むAl-Siろう付け用クラッド層と、を含む、前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品または材料が記載される。また、本明細書では、ろう付け作業で製造されるろう付けアセンブリであって、様々な構成要素を含み、少なくとも1つの構成要素が本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート材から作製されている、前記ろう付けアセンブリも記載される。
【背景技術】
【0003】
シートまたは押出形材の形態におけるアルミニウムまたはアルミニウム合金の母材は、成形品または成型品を作製するために使用される。これらのプロセスの一部では、母材を含む(成形された)アルミニウムの部品が相互接続される。母材の一端が他端と相互接続されることもあれば、1つの母材が1つ以上の他の母材と組み合わされることもある。これは一般に、ろう付けによって行われる。ろう付けプロセスでは、ろう付けされる母材の少なくとも一部分に、ろう付け溶加材もしくはろう付け合金、または加熱するとろう付け合金が生成する組成物が塗布される。母材部品を組み立てた後、それらはろう付け溶加材またはろう付け合金が溶融するまで加熱される。ろう材の融点は、アルミニウム母材またはアルミニウムコアシートの融点よりも低い。
【0004】
ブレージングシート製品は、熱交換器及び他の同様の機器において、幅広い用途があることが認められている。従来のブレージングシート製品は、限定しないが、通常、3xxx系のアルミニウム合金である圧延シートをコアとし、コアシートの少なくとも1つの表面に、アルミニウムろう付け用クラッド層(アルミニウムクラッディング層としても知られている)を有している。アルミニウムろう付け用クラッド層は、4~20wt%の範囲にある量のケイ素を合金主成分として含む、4xxx系合金で作製される。アルミニウムろう付け用クラッド層は、当該技術分野において公知の様々な方法、例えば、圧延接合、クラッディング溶射成形、または半連続もしくは連続鋳造プロセスによって、アルミニウムコア合金に結合または接合され得る。
【0005】
これらのアルミニウムろう付け用クラッド層は、通常、約540℃~620℃の範囲にあり、アルミニウムコア合金の固相線温度を下回る液相線温度を有する。ほとんどのろう付けは、560℃と615℃との間の温度で行われる。
【発明の概要】
【0006】
包含される本発明の実施形態は、この発明の概要ではなく、特許請求の範囲によって定義される。この発明の概要は、本発明の様々な態様の高次の概要であり、以下の発明を実施するための形態のセクションでさらに説明されるいくつかの概念を紹介している。この発明の概要は、特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。主題は、明細書全体、図面の一部またはすべて、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0007】
本明細書では、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けするための、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品であって、0.20~0.75wt%のMgを含む3xxx合金製のコア層であり、3xxx合金コア層の片面または両面にある2~5wt%のSiを含む被覆クラッド層を備えるコア層と、3xxx合金コア層と被覆クラッド層との間に位置する7~13wt%のSiを含むAl-Siろう付け用クラッド層と、を含み、ここで、被覆クラッド層はXの厚さを有し、Al-Siろう付け用クラッド層はXの厚さを有し、X≧2Xである、前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品が記載される。所望により、3xxx合金コア層は、0.20%~0.60%のMg、0.20%~0.30%のMg、または0.40%~0.55%のMgを含む。
【0008】
場合によっては、被覆クラッド層は、Biフリー及びLiフリーである。所望により、被覆クラッド層はMgフリー、Biフリー及びLiフリーであり、以下(wt%):
Si(2%~5%);
Fe(最大0.5%);
Mn(最大0.2%);
Cu(最大0.1%);
Zn(最大0.4%);
Ti(最大0.1%);
不可避不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.15%)、及びアルミニウム、を含む。
【0009】
所望により、被覆クラッド層のSi含有量は2.5%~4.0%である。
【0010】
場合によっては、3xxx合金コア層は、Mn(0.5%~1.8%);Mg(0.20%~0.75%);Cu(最大1.1%);Si(最大0.2%);Fe(最大0.7%);Cr(最大0.3%);Sc(最大0.3%);Zr及び/またはV(最大0.3%);Ti(最大0.25%);Zn(最大1.2%);不可避の不純物(それぞれ最大0.05%、合計最大0.2%)、及びアルミニウムを含む(wt%)。場合によっては、3xxx合金コア層は、Mn(0.5%~1.8%);Mg(0.20%~0.75%);Cu(最大1.1%);Si(最大0.4%);Fe(最大0.7%);Cr(最大0.3%);Sc(最大0.3%);Zr及び/またはV(最大0.3%);Ti(最大0.25%);Zn(最大1.2%);不可避の不純物(それぞれ最大0.05%、合計最大0.2%)、及びアルミニウムを含む(wt%)。
【0011】
所望により、3xxx合金コア層のSi含有量は0.10%未満である。所望により、3xxx合金コア層のSi含有量は0.40%未満または0.30%未満である。所望により、3xxx合金コア層のCu含有量は最大0.15%であるか、またはCu含有量は0.15%~1.1%の範囲にある。
【0012】
場合によっては、Al-Siろう付け用クラッド層は以下(wt%):
Si(7%~13%);
Mg(最大0.5%);
Fe(最大0.7%);
Cu(最大0.3%);
Mn(最大0.8%);
Zn(最大2%);
Bi(最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
不可避の不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.2%)、及びアルミニウム、を含む。
【0013】
所望により、Al-Siろう付け用クラッド層は10%~13%のSiを含む。所望により、Al-Siろう付け用クラッド層は0.02%~0.5%のMgを含む。
【0014】
場合によっては、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品は、ろう付け工程の前に、アルカリ性または酸性のエッチング液で表面処理されている。所望により、被覆クラッド層はXの厚さを有し、Al-Siろう付け用クラッド層はXの厚さを有し、ここで、X≧2.5Xまたは、X≧3Xである。
【0015】
また、本明細書では、ろう付け熱交換器の製造プロセスであって、本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート製品を少なくとも1つ供給する工程と、フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(または制御雰囲気ろう付け、controlled atmosphere brazing; CAB)でろう付けする工程と、を含む、前記製造プロセスも記載される。所望により、アルミニウム合金多層ブレージングシートは、ろう付け工程の前に、アルカリ性または酸性のエッチング液で表面処理されている。
【0016】
本明細書ではさらに、フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)作業における、熱交換装置を製造するための、本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート製品の使用が記載される。
【0017】
本発明の他の目的及び利点は、以下の非限定的実施例の詳細な説明及び図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】A及びBは、本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート製品の配列を説明するものである。
図2】ろう付け熱交換器アセンブリの一部の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書で理解されるように、別段示される場合を除き、アルミニウム合金の指定及び質別の指定は、2019年にアルミニウム協会によって公開され、頻繁に更新されている、アルミニウム規格及びデータならびに登録記録におけるアルミニウム協会による指定を指し、当業者に周知である。質別の指定は、欧州規格EN515に規定されている。
【0020】
合金組成物または好ましい合金組成物の任意の記述に関して、別段示されない限り、百分率に対してはすべて重量パーセントで言及する。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「最大」または「最大約」という用語は、それが言及する特定の合金元素がゼロ重量パーセントである可能性を明示的に含むが、これに限定されない。例えば、最大約0.20%のCrには、Crを有しないアルミニウム合金が含まれ得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」の意味は、別段文脈により明確に指示されない限り、単数形及び複数形の言及を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、プレートは一般に、約15mmを超える厚さを有する。例えば、プレートは、約15mmを超える、約20mmを超える、約25mmを超える、約30mmを超える、約35mmを超える、約40mmを超える、約45mmを超える、約50mmを超える、または約100mmを超える厚さを有するアルミニウム製品を指し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、シートプレートとしても称されるシェート(shate)は、通常、約4mm~約15mmの厚さを有する。例えば、シェートは、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、または約15mmの厚さを有し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、シートは通常、約4mm未満の厚さを有するアルミニウム製品を指す。例えば、シートは、約4mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、約0.3mm未満、または約0.1mm未満の厚さを有し得る。
【0026】
本明細書に開示されるすべての範囲は、それらに包摂される任意のあらゆる部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、記載された範囲「1~10」は、最小値1及び最大値10(これらを含む)の間の、任意のあらゆる部分範囲を含むと考えられるべきであり、すなわち、すべての部分範囲は、1以上の最小値から始まり(例えば、1~6.1)、かつ10以下の最大値で終わる(例えば、5.5~10)。
【0027】
本明細書で使用される場合、「周囲温度」の意味には、約15℃~約30℃の温度、例えば、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、または約30℃が含まれ得る。
【0028】
本明細書では、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けするための、改善されたブレージングシート製品が提供される。また、本明細書では、不活性ガス雰囲気でろう付けするための、多層ブレージングシート製品も提供される。
【0029】
具体的に、本明細書では、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けするための、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品であって、0.20~0.75wt%のMgを含む3xxx合金製のコア層であり、前記3xxx合金コア層の片面または両面にある2~5wt%のSiを含む被覆クラッド層を備えるコア層と、3xxx合金コア層と被覆クラッド層との間に位置する7~13wt%のSiを含むAl-Siろう付け用クラッド層と、を含み、ここで、被覆クラッド層はXの厚さを有し、Al-Siろう付け用クラッド層はXの厚さを有し、X≧2Xである、前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品が提供される。
【0030】
3xxx系アルミニウム合金コア層は、0.20%~0.75%のMg、好ましくは0.20~0.60%のMgを含む。所望により、3xxx系アルミニウム合金コア層は、0.25%~0.75%のMg、0.30%~0.75%のMg、または0.35%~0.75%Mgを含む。一実施形態では、3xxx系アルミニウム合金コア層は、0.20%~0.30%のMgを含む。別の実施形態では、3xxx系アルミニウム合金コア層は、0.40%~0.55%のMgを含む。
【0031】
場合によっては、被覆クラッド層(本明細書では薄被覆層としても称される)は、Al-Siろう付け用クラッド層の液相線温度よりも実質的に高い液相線温度を有する。そのため、Al-Si合金ろう付け用クラッド層の液相線温度を上回り、かつ、薄被覆クラッド層の液相線温度を下回る温度で作業するその後のろう付けの間、溶融ろう材により、前記Al-Si合金ろう付け用クラッド層が溶融する一方、前記薄被覆クラッド層は部分的に固体に保たれて、溶融しているろう材の酸化が妨げられるかまたは少なくとも制限され、さらに、Al-Si合金ろう材は、体積膨張により、前記薄被覆クラッド層の偏析部から前記薄被覆クラッド層の表面上に染み出し、前記薄被覆クラッド層の表面上に広がって、ろう付け継手となる新たな表面が形成される。最終的には、被覆クラッド層は溶融した溶加材中に溶解することになる。Al-Siろう付け用クラッド層内にMgが存在することにより、表面でMgが蒸発する際に、ろう付け前のブレージングシート製品の表面上で酸化皮膜が分解されやすくなる。しかしながら、Al-Siろう付け用クラッド層内のMg含有量が多過ぎると、ろう付け前に望ましくないMg-酸化皮膜が創出され、ろう付け時の溶融材の流れに悪影響を及ぼす。Al-Siろう付け用クラッド層は、限定された量でMgを含んでいてもよく、3xxx系アルミニウム合金コア層内に制御された目的量のMgを保持することにより、ろう付け作業の加熱サイクル中、Mgの一部はAl-Siろう付け用クラッド層内に時間と共に拡散し、Mgの蒸発が遅くなる。これにより、ろう付け作業の初期段階での過剰なMg-酸化物の形成が回避され、フラックスを用いない不活性ガス雰囲気でのろう付け性が改善される。
【0032】
一実施形態では、アルミニウム合金コア層は、以下(wt%):
Mn(0.5%~1.8%、好ましくは0.6%~1.5%、より好ましくは0.8%~1.3%);
Mg(0.20%~0.75%、好ましくは0.20%~0.60%);
Cu(最大1.1%、好ましくは最大0.15%、または0.15%~1.1%、好ましくは0.20%~0.9%、より好ましくは0.20%~0.60%の範囲内);
Si(最大0.4%、例えば、最大0.2%、好ましくは<0.10%);
Fe(最大0.7%、好ましくは最大0.5%、より好ましくは0.05%~0.35%の範囲内);
Cr(最大0.3%、好ましくは最大0.20%、より好ましくは最大0.09%、最も好ましくは最大0.04%);
Sc(最大0.3%、好ましくは最大0.25%);
Zr及び/またはV(最大0.3%、好ましくは最大0.09%、より好ましくは最大0.04%);
Ti(最大0.25%、好ましくは0.01%~0.20%、より好ましくは0.01%~0.12%);
Zn(最大1.2%、好ましくは最大0.5%、最も好ましくは最大0.2%);
アルミニウム及び不純物からなる3xxx系アルミニウム合金から作製される。通常、不純物はそれぞれ最大0.05%、合計で最大約0.2%であり、好ましくは合計で約0.15%を超えない。
【0033】
アルミニウム合金コア層内のMn含有量は、約0.5%~1.8%のMn、(例えば、0.6%~1.5%、0.7%~1.4%、0.8%~1.3%、または0.9%~1.2%)であり得る。所望により、Mn含有量は、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、約1.05%、約1.1%、約1.15%、約1.2%、約1.25%、約1.3%、約1.35%、約1.4%、約1.45%、約1.5%、約1.55%、約1.6%、約1.65%、約1.7%、約1.75%、または約1.8%であり得る。
【0034】
アルミニウム合金コア層内のMg含有量は、約0.2%~0.75%のMg(例えば、0.20%~0.60%、0.25%~0.55%、0.30~0.50%、または0.35%~0.45%)であり得る。所望により、Mg含有量は、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、または約0.75%であり得る。
【0035】
アルミニウム合金コア層内のCu含有量は、最大1.1%のCu(例えば、最大0.15%、0.15%~1.1%、0.20%~0.9%、または0.20%~0.60%)であり得る。所望により、Cu含有量は、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、約1.05%、または約1.1%超であり得る。
【0036】
アルミニウム合金コア層内のSi含有量は、最大0.4%のSi、最大0.3%のSi、または最大0.2%のSi(例えば、0.10%未満、0.01%~0.2%、0.05%~0.4%、0.05%~0.3%、0.1%~0.4%、0.05%~0.2%、または0.05%~0.10%)であり得る。所望により、Si含有量は、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.11%、約0.12%、約0.13%、約0.14%、約0.15%、約0.16%、約0.17%、約0.18%、約0.19%、約0.2%、約0.21%、約0.22%、約0.23%、約0.24%、約0.25%、約0.26%、約0.27%、約0.28%、約0.29%、約0.3%、約0.31%、約0.32%、約0.33%、約0.34%、約0.35%、約0.36%、約0.37%、約0.38%、約0.39%または約0.4%であり得る。
【0037】
アルミニウム合金コア層内のFe含有量は、最大0.7%のFe(例えば、最大0.5%、0.05%~0.35%、0.06%~0.35%、0.1%~0.3%、または0.15%~0.25%)であり得る。所望により、Fe含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%または約0.7%であり得る。
【0038】
アルミニウム合金コア層内のCr含有量は、最大0.3%のCr(例えば、最大0.20%、最大0.09%、最大0.04%、0.05%~0.3%、0.1%~0.25%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Cr含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、または約0.3%であり得る。
【0039】
アルミニウム合金コア層内のSc含有量は、最大0.3%のSc(例えば、最大0.25%、最大0.20%、最大0.09%、最大0.04%、0.05%~0.3%、0.1%~0.25%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Sc含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、または約0.3%であり得る。
【0040】
アルミニウム合金コア層内のZr及び/またはV含有量は、最大0.3%のZr及び/またはV(例えば、最大0.25%、最大0.20%、最大0.09%、最大0.04%、0.05%~0.3%、0.1%~0.25%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Zr及び/またはV含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、または約0.3%であり得る。
【0041】
アルミニウム合金コア層内のTi含有量は、最大0.25%のTi(例えば、0.01%~0.20%または0.01%~0.12%)であり得る。所望により、Ti含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、または約0.25%であり得る。
【0042】
アルミニウム合金コア層内のZn含有量は、最大1.2%のZn(例えば、最大0.5%、最大0.2%、0.05%~1.2%、0.06%~1.2%、0.1%~1.0%、または0.25%~0.8%)であり得る。所望により、Zn含有量は、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1%、約1.05%、約1.1%、約1.15%、または約1.2%であり得る。
【0043】
また、アルミニウム合金コア層は、上述したように、アルミニウム及び不純物も含む。
【0044】
所望により、アルミニウム合金コア層は、以下のアルミニウム合金の指定:AA3002、AA3102、AA3003、AA3103、AA3103A、AA3103B、AA3203、AA3403、AA3004、AA3004A、AA3104、AA3204、AA3304、AA3005、AA3005A、AA3105、AA3105A、AA3105B、AA3007、AA3107、AA3207、AA3207A、AA3307、AA3009、AA3010、AA3110、AA3011、AA3012、AA3012A、AA3013、AA3014、AA3015、AA3016、AA3017、AA3019、AA3020、AA3021、AA3025、AA3026、AA3030、AA3130、及びAA3065のうちの1つによる3xxx系アルミニウム合金から作製される。
【0045】
一実施形態では、被覆クラッド層は、Ag、Be、Bi、Ca、Ce、La、Li、Na、Pb、Se、Sb、Sr、Th、及びYの群から選択される、濡れ性元素または溶融Al-Si合金の表面張力を変更する元素を含まない。「含まない(フリー)」とは、Ag、Be、Bi、Ca、Ce、La、Li、Na、Pb、Se、Sb、Sr、Th、またはYを化学組成に意図的に加えないが、不純物及び/または製造機器との接触による漏れによって、微量の元素がそれでもなお被覆材層内に達することがある、という意味である。実際には、このことは、これらの明示された元素のそれぞれが存在する場合、その存在量は最大約0.005%、通常、約0.001%未満であることを意味する。例えば、微量の一例としては、10ppm未満のSr、好ましくは5ppm未満のSrである。さらに微量の別の例としては、10ppm未満のNa、好ましくは3ppm未満のNaである。
【0046】
被覆クラッド層は、好ましくはMgを含まない、つまり、そのレベルが約0.05%より下、例えば、約0.03%より下または0.01%より下であることを意味する。「含まない(フリー)」とは、Mgを化学組成に意図的に加えないが、不純物及び/または製造機器との接触による漏れによって、微量の元素がそれでもなお被覆材層内に達することがある、という意味である。
【0047】
一実施形態では、被覆クラッド層は、以下(wt%):
Si(2%~5%、好ましくは2.5%~4.0%、より好ましくは3.0%~3.9%);
Fe(最大0.5%、好ましくは最大0.3%);
Mn(最大0.2%、好ましくは最大0.10%);
Cu(最大0.1%、好ましくは最大0.05%);
Zn(最大0.4%、好ましくは最大0.2%);
Ti(最大0.1%、好ましくは最大0.05%);
不可避不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.15%、好ましくはそれぞれ<0.02%、合計<0.05%)、及びアルミニウム、を含む、Mgフリーのアルミニウム合金である。
【0048】
被覆クラッド層内のSi含有量は、2%~5%(例えば、2.5%~4.0%、または3.0%~3.9%)であり得る。所望により、Si含有量は、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、または約0.5%であり得る。
【0049】
被覆クラッド層内のFe含有量は、最大0.5%(例えば、最大0.3%、0.05%~0.5%、0.1%~0.4%、0.15%~0.4%、または0.2%~0.35%)であり得る。所望により、Fe含有量は、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、または約0.5%であり得る。
【0050】
被覆クラッド層内のMnは、最大0.2%(例えば、最大0.10%、0.05%~0.2%、0.1%~0.2%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Mn含有量は、約0.05%、約0.1%、約0.15%、または約0.2%であり得る。
【0051】
被覆クラッド層内のCuは、最大0.1%(例えば、最大0.05%、0.01%~0.1%、0.05%~0.1%、または0.06%~0.1%)であり得る。所望により、Cu含有量は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%または約0.1%であり得る。
【0052】
被覆層内のZnは、最大0.4%(例えば、最大0.3%、最大0.2%、最大0.1%、0.01%~0.4%、0.05%~0.4%、0.06%~0.35%、0.1%~0.35%、または0.15%~0.3%)であり得る。所望により、Zn含有量は、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、または約0.4%であり得る。
【0053】
被覆クラッド層内のTiは、最大0.1%(例えば、最大0.05%、0.01%~0.1%、0.05%~0.1%、または0.06%~0.1%)であり得る。所望により、Ti含有量は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%または約0.1%であり得る。
【0054】
また、被覆クラッド層は、上述したように、アルミニウム及び不純物も含む。
【0055】
一実施形態では、被覆クラッド層は、以下(wt%):
Si(2%~5%)、
Fe(最大0.5%)、
Mn(最大0.2%)、
Cu(最大0.1%)、
Zn(最大0.4%)、
Ti(最大0.1%)、
不可避不純物(それぞれ<0.05%及び合計<0.15%)、アルミニウムからなるMgフリーのアルミニウム合金であり、本明細書に記載され、請求される所望のより狭い範囲を有する。
【0056】
いくつかの例では、Al-Siろう付け用クラッド層は、以下(wt%):
Si(7%~13%、好ましくは10%~13%、より好ましくは11%~13%);
Mg(最大0.5%、好ましくは0.02%~0.5%、より好ましくは0.02%~0.20%);
Fe(最大0.7%、好ましくは最大0.5%);
Cu(最大0.3%、好ましくは最大0.1%);
Mn(最大0.8%、好ましくは最大0.2%);
Zn(最大2%、好ましくは最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
アルミニウム、及び不可避の不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.2%)で構成される組成を有する。
【0057】
特定の実施形態では、Al-Siろう付け用クラッド層は、ろう付け時の継手形成を促進するために、最大0.3%、好ましくは0.1%~0.3%、より好ましくは0.11%~0.20%のBiをさらに含んでいてもよい。
【0058】
Al-Siろう付け用クラッド層内のSiは、7%~13%(例えば、10%~13%、11%~13%、7.5%~12.5%、または8%~12%)であり得る。所望により、Si含有量は、約7%、約7.05%、約7.1%、約7.15%、約7.2%、約7.25%、約7.3%、約7.35%、約7.4%、約7.45%、約7.5%、約7.55%、約7.6%、約7.65%、約7.7%、約7.75%、約7.8%、約7.85%、約7.9%、約7.95%、約8%、約8.05%、約8.1%、約8.15%、約8.2%、約8.25%、約8.3%、約8.35%、約8.4%、約8.45%、約8.5%、約8.55%、約8.6%、約8.65%、約8.7%、約8.75%、約8.8%、約8.85%、約8.9%、約8.95%、約9%、約9.05%、約9.1%、約9.15%、約9.2%、約9.25%、約9.3%、約9.35%、約9.4%、約9.45%、約9.5%、約9.55%、約9.6%、約9.65%、約9.7%、約9.75%、約9.8%、約9.85%、約9.9%、約9.95%、約10%、約10.05%、約10.1%、約10.15%、約10.2%、約10.25%、約10.3%、約10.35%、約10.4%、約10.45%、約10.5%、約10.55%、約10.6%、約10.65%、約10.7%、約10.75%、約10.8%、約10.85%、約10.9%、約10.95%、約11%、約11.05%、約11.1%、約11.15%、約11.2%、約11.25%、約11.3%、約11.35%、約11.4%、約11.45%、約11.5%、約11.55%、約11.6%、約11.65%、約11.7%、約11.75%、約11.8%、約11.85%、約11.9%、約11.95%、約12%、約12.05%、約12.1%、約12.15%、約12.2%、約12.25%、約12.3%、約12.35%、約12.4%、約12.45%、約12.5%、約12.55%、約12.6%、約12.65%、約12.7%、約12.75%、約12.8%、約12.85%、約12.9%、約12.95%、または約13%であり得る。
【0059】
Al-Siろう付け用クラッド層内のMgは、最大0.5%(例えば、0.01%~0.5%、0.02%~0.5%、0.02%~0.4%、0.02%~0.3%、0.02%~0.2%、0.05%~0.5%、0.1%~0.5%、0.1%~0.4%、または0.1%~0.3%)であり得る。所望により、Mg含有量は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、または約0.5%であり得る。
【0060】
Al-Siろう付け用クラッド層内のFeは、最大0.7%(例えば、最大0.5%、0.05%~0.35%、0.06%~0.35%、0.1%~0.3%、または0.15%~0.25%)であり得る。所望により、Fe含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%または約0.7%であり得る。
【0061】
Al-Siろう付け用クラッド層内のCuは、最大0.3%(例えば、最大0.2%、最大0.1%、最大0.09%、最大0.04%、0.05%~0.3%、0.1%~0.25%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Cu含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、または約0.3%であり得る。
【0062】
Al-Siろう付け用クラッド層内のMnは、最大0.8%(例えば、最大0.6%、最大0.4%、最大0.2%、0.05%~0.8%、0.1%~0.7%、0.2%~0.6%、または0.25%~0.55%)であり得る。所望により、Mn含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、または約0.8%であり得る。
【0063】
Al-Siろう付け用クラッド層内のZnは、最大2%(例えば、最大1%、最大0.5%、最大0.3%、0.01%~0.3%、0.05%~0.3%、または0.05%~0.2%)であり得る。所望により、Zn含有量は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.11%、約0.12%、約0.13%、約0.14%、約0.15%、約0.16%、約0.17%、約0.18%、約0.19%、または約0.2%であり得る。
【0064】
Al-Siろう付け用クラッド層内のTiは、最大0.25%(例えば、最大0.20%、最大0.09%、最大0.04%、0.05%~0.25%、0.1%~0.25%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Ti含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、または約0.25%であり得る。
【0065】
Al-Siろう付け用クラッド層内のBiは、最大0.3%のBi、(例えば、最大0.20%、最大0.09%、最大0.04%、0.1%~0.3%、好ましくは0.11%~0.20%、0.05%~0.3%、0.1%~0.25%、または0.15%~0.2%)であり得る。所望により、Bi含有量は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、または約0.3%であり得る。
【0066】
また、Al-Siろう付け用クラッド層は、上述したように、アルミニウム及び不純物も含む。
【0067】
いくつかの例では、Al-Siろう付け用クラッド層は、以下(wt%):
Si(7%~13%、好ましくは10%~13%、より好ましくは11%~13%);
Mg(最大0.5%、好ましくは0.02%~0.5%、より好ましくは0.02%~0.20%);
Fe(最大0.7%、好ましくは最大0.5%);
Cu(最大0.3%、好ましくは最大0.1%);
Mn(最大0.8%、好ましくは最大0.2%);
Zn(最大2%、好ましくは最大0.3%);
Bi(最大0.3%、好ましくは0.1%~0.3%);
Ti(最大0.25%);
アルミニウム、及び不可避の不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.2%)からなる組成を有する。
【0068】
本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート材のいくつかの例では、3xxx合金コア層の両面に、被覆クラッド層及びAl-Siろう付け用クラッド層が備わっている。3xxx合金コア層の両面が同様にクラッドされている場合、ブレージングシート材は5層構成からなる。
【0069】
一実施形態において、アルミニウム合金多層ブレージングシート材の3xxx合金コア層とAl-Siろう付け用クラッド層との間には、アルミニウム合金層が挿入されていないか、または含まれていない。このことにより、3xxx合金コア層からAl-Siろう付け用クラッド層へのMgの拡散が妨げられることになる。
【0070】
本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート材は、種々の技術を介して製造され得る。例えば、アルミニウム合金多層ブレージングシート材は、当業者によって理解されるように、圧延接合によって製造され得る。そのプロセスは、一般に、以下の工程:
異なるアルミニウム合金を鋳造して圧延用ブロックを得ること;
ブロックのいずれかの面を削って、鋳造プロセスに起因する表面偏析帯を除去し、製品の平坦度を向上させること;
ろう材ブロックを400℃~550℃で予熱すること;
被覆層及びAl-Siろう付け用クラッド層を形成するブロックを所望の厚さになるまで熱間圧延して、複数の熱間圧延クラッドライナーを得ること;
あるいは、被覆層及びAl-Siろう付け用クラッド層のブロックを中間の厚さまで熱間圧延し、2つの材料を中間の厚さで積層し、さらにその積層体を熱間圧延して、2層から構成される所要の厚さの熱間圧延クラッドライナーを得ること;
所望により、アルミニウムコア合金ブロックを500℃~630℃で少なくとも1時間、好ましくは1~20時間均質化すること;
コア合金ブロックを、少なくとも片面、所望により両面で、圧延クラッドライナー(複数可)と組み合わせて、サンドイッチを得ること;
サンドイッチを400℃~550℃で予熱すること;
サンドイッチを中間の厚さ、例えば2~10mmになるまで熱間圧延すること;
熱間圧延したサンドイッチを所望の最終的な厚さになるまで冷間圧延して、多層ブレージングシート製品を得ること;及び
所望により、200℃~480℃で焼鈍して、所望の質別、例えばO質別、H1x質別、H2x質別またはH3x質別の多層ブレージングシート製品を得ること、を含むことがある。
【0071】
あるいは、あまり好ましくないが、被覆クラッド層及びAl-Siろう付け用クラッド層の1層以上を、熱溶射技術によって3xxx合金コア層上に塗布することができる。他の場合、アルミニウム合金コア層及びAl-Si合金ろう付け用クラッド層は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許文書WO-2004/112992に開示されているように、鋳造技術によって製造することができ、その後、被覆クラッド層が、例えば圧延接合または熱溶射技術によって塗布され得る。
【0072】
一実施形態では、このようにして得られたアルミニウム合金多層ブレージングシート材は、フラックスフリーCABろう付け作業を容易にするために、ろう付けプロセスの前にアルカリ性または酸性のエッチング液で処理されて、表面の酸化皮膜が除去される。
【0073】
好ましくは、アルミニウム合金多層ブレージングシート材の外表面は、酸性エッチング液で処理される。酸性エッチング液は、好ましくは、10g/L~25g/L(例えば、12g/L~16g/L、または14g/L)の量でHSOを含む。酸性エッチング液は、0.5g/L~5g/L(例えば、1g/L~3g/L、または2g/LのHF(5%))の量でHFも含み得る。
【0074】
酸性エッチング液は、以下の無機酸:HSO、HPO、HCl、HF及び/またはHNOのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。好ましくは、酸性エッチング液は、HSOとHFの混合物である。酸性エッチング液は、一般に溶液の形態であり、無機酸の含有量は、一般に0.5~20wt%(例えば、1~20wt%、2~18wt%、3~16wt%、4~15wt%、5~12.5wt%、または6~10wt%)である。
【0075】
別の実施形態によれば、エッチング液はアルカリ性であってもよい。アルカリ性エッチング液は、以下:NaOH及び/またはKOHのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。アルカリ性エッチング液は、一般に溶液の形態であり、アルカリ含有量は、一般に0.5~20wt%(例えば、1~20wt%、2~18wt%、3~16wt%、4~15wt%、5~12.5wt%、または6~10wt%)である。
【0076】
アルカリ性エッチング液は、界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩などの陰イオン界面活性剤;モノアルキル第四級系などの陽イオン界面活性剤;エステル、エーテルもしくはアミド結合を有するような非イオン界面活性剤(例えばグリコールエステル);またはイミダゾリン誘導体もしくはポリペプチドのような両性界面活性剤)または錯化剤(例えばグルコン酸ナトリウム、ソルビトール、ムチン酸もしくはアラビアゴム)をさらに含んでいてもよい。
【0077】
アルカリ性エッチング液は、一般に、酸、例えば硝酸または硫酸で洗浄する必要がある。
【0078】
エッチング液による表面処理は、一般に、1秒~5分、好ましくは3秒~80秒、より好ましくは5秒~50秒にわたる。
【0079】
この表面処理時の温度は、一般に20℃~100℃、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは50℃~80℃である。
【0080】
表面処理時に除去される外側クラッド層のアルミニウム量は、片面当たり1~1000mg/m、好ましくは片面当たり5~500mg/m、より好ましくは片面当たり5~300mg/mである。
【0081】
本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート材は、約0.05mm~4mm、好ましくは約0.2mm~2mm、より好ましくは約0.2mm~1.5mmの範囲にある、最終的な規格における標準の厚さを有する。
【0082】
一実施形態では、各被覆クラッド層は、多層ブレージングシート全体の厚さの約0.5%~10%、好ましくは0.5%~5%である厚さを有し、各Al-Siろう付け用クラッド層は、アルミニウム合金多層ブレージングシート全体の厚さの約3%~25%、好ましくは約4%~15%である厚さを有する。
【0083】
一実施形態では、被覆クラッド層は、4μm~80μmの範囲、好ましくは5μm~50μmの範囲にある厚さを有する。
【0084】
被覆クラッド層の厚さは、Al-Siろう付け用クラッド層の厚さと比較して薄くしておくことが重要である。被覆クラッド層は厚さXを有し、Al-Siろう付け用クラッド層は厚さXを有し、Al-Si合金ろう付け用クラッド層と被覆クラッド層との厚さの比(X対X)は2以上対1である。一実施形態では、厚さの比は2.5以上対1であり、好ましくはX≧3.X、例えば、厚さの比は2.5対1、または3対1、または3.5対1である。
【0085】
好ましくは、合金コア層の片面に塗布された被覆クラッド層とAl-Siろう付け用クラッド層の厚さの合計は、多層ブレージングシート材全体の厚さの約5%~25%、好ましくは5%~15%の範囲にある。
【0086】
一実施形態において、アルミニウム合金多層ブレージングシート材は、O質別で提供され、完全に焼鈍したものである。
【0087】
一実施形態において、アルミニウム合金多層ブレージングシート材は、H3x質別、H2x質別またはH1x質別で提供され、ここでxは、1、2、3、4、5、6、7または8であり、例えば、H14、H18、H22、H24及びH26質別などである。
【0088】
特定の例として、アルミニウム合金多層ブレージングシート材は、H24、H16またはO質別で提供される。
【0089】
また、本明細書では、フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)作業による熱交換器(例えば自動車)の製造のための、アルミニウム合金多層ブレージングシート材または製品の使用も記載される。このように、アルミニウム合金多層ブレージングシート材は、パワートレイン及びエンジン冷却用ラジエーター、低温ラジエーター、直接的空対空チャージエアクーラー(「CAC」)またはインタークーラー、空対水CAC、水対空CAC、空対冷媒CAC、冷媒対空CAC、空対冷媒エバポレーター、空対冷媒コンデンサー、水対冷媒エバポレーター、水対冷媒コンデンサー、ヒーターコア、排ガス冷却器、排ガス再循環システム、ハイブリッド冷却システム、二相式冷却システム、油冷却器、燃料冷却器、バッテリー冷却システム用材料、チラー、コールドプレート、熱回収システムなどの熱交換器において適用されるのに適している。
【0090】
さらなる態様において、本明細書では、例えば曲げ、折り曲げ、チューブ成形または深絞りによって形成された、少なくとも2つの成形部材が、フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)作業で互いに接合されている物品であって、特に、成形部材の1つとして本発明によるアルミニウム合金多層ろう材を少なくとも組み込んでいる自動車の熱交換器である、前記物品が提供される。
【0091】
別の態様において、本明細書では、ろう付けされた構成要素のアセンブリを製造する方法であって、以下の順序での工程:構成要素を供給または形成することであって、その構成要素のうち少なくとも1つが、本明細書で記述または請求されるアルミニウム合金多層ブレージングシート製品から作製されており、好ましくは、当該多層ブレージングシートがアルカリ性または酸性のエッチング液で処理される、前記構成要素を供給または形成すること;構成要素を組み立ててアセンブリを構築することであって、好ましくは被覆クラッド層を有する本発明の多層ブレージングシートの片面をアセンブリの内側に保持して、ブレージングシートが構造物、好ましくは中空構造物を構成するように形成する、前記構成要素を組み立ててアセンブリを構築すること;溶加材と少なくとも1つの他の構成要素との間にフィレットを形成するために、アセンブリをろう付けフラックスを塗布せずに、不活性ガス雰囲気(例えばアルゴンまたは窒素)中、ろう付け温度(通常、約540℃~615℃の範囲にある温度、例えば約590℃または約600℃)にて、Al-Siろう材の溶融及び広がりに十分な長さの時間(例えば約1~10分、好ましくは1~6分、通常、約2分または4分前後の滞留時間)ろう付けすることであって、乾燥不活性ガス雰囲気の酸素含有量が、可能な限り低いレベル、好ましくは200ppmより下、より好ましくは100ppmより下、さらに好ましくは40ppmより下に制御される、前記ろう付けすること;及び、ろう付けしたアセンブリを、通常、100℃より下(例えば周囲温度)まで冷却すること、を含む、前記方法が提供される。
【0092】
理想的には、構成要素を組み立ててろう付けによる接合に適したアセンブリを構築する際に、本明細書に記載され、薄被覆クラッド層を有する多層ブレージングシート製品の片面を、アセンブリの内側に保持して、ブレージングシートが構造物を構成するように形成する。本明細書に記載されるブレージングシート製品を使用する限りは、ろう付け作業後に良好な継手を得るために、ろう付け用フラックスを塗布する必要がない。
【0093】
好ましい実施形態では、ろう付け作業時のろう付け用不活性ガス雰囲気は、乾燥しているべきであり、すなわち、露点がマイナス40℃未満、より好ましくはマイナス45℃またはそれ以下であることを意味する。
【実施例
【0094】
図1A及びBは、本明細書に記載されるアルミニウム合金多層ブレージングシート製品4の配列を説明するものである。被覆クラッド層2及びAl-Si合金ろう付け用クラッド層1は、コア層3の両面または片面のみに塗布することができ、ここで、被覆クラッド層2は、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品の外層を形成する。両面をクラッドした場合、図1Aに示したように、多層ブレージングシート製品は、合金コア層を含む5層を有する。片面をろう材でクラッドした場合、図1Bに示したように、多層ブレージングシート製品は、3層構成を有する。
【0095】
図2は、ろう付け熱交換器アセンブリの一部の等角図である。図2に示したように、本発明に基いたろう付けアルミニウム熱交換器12は、本明細書に記載される多層ブレージングシートから作製された、複数の流体輸送チューブ6を含み得る。流体輸送チューブ6の端部は、ヘッダープレート8及びタンク10に開口している(図2に、流体輸送チューブ6の一端、1枚のヘッダープレート8及び1本のタンク10を示す)。冷却液は、タンク10から流体輸送チューブ6を通り、別のタンク(図示していない)内に循環する。図示したように、複数の冷却フィン5を流体輸送チューブ6の間に配置して、そこから放熱する。それによって、チューブ内の流体を冷却する熱交換が促進される。
【0096】
実例
実例1は、フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けするための、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品であって、0.20~0.75wt%のMgを含む3xxx合金製のコア層であり、3xxx合金コア層の片面または両面にある2~5wt%のSiを含む被覆クラッド層を備えるコア層と、3xxx合金コア層と被覆クラッド層との間に位置する7~13wt%のSiを含むAl-Siろう付け用クラッド層と、を含み、ここで、被覆クラッド層はXの厚さを有し、Al-Siろう付け用クラッド層はXの厚さを有し、X≧2Xである、前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0097】
実例2は、3xxx合金コア層が0.20%~0.60%のMgを含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0098】
実例3は、3xxx合金コア層が0.20%~0.30%のMgを含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0099】
実例4は、3xxx合金コア層が0.40%~0.55%のMgを含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0100】
実例5は、被覆クラッド層がBiフリー及びLiフリーである、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0101】
実例6は、被覆クラッド層がMgフリー、Biフリー及びLiフリーであり、以下(wt%):
Si(2%~5%);
Fe(最大0.5%);
Mn(最大0.2%);
Cu(最大0.1%);
Zn(最大0.4%);
Ti(最大0.1%);
不可避不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.15%)、及びアルミニウム、を含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0102】
実例7は、被覆クラッド層のSi含有量が2.5%~4.0%である、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0103】
実例8は、3xxx合金コア層が以下(wt%):
Mn(0.5%~1.8%);
Mg(0.20%~0.75%);
Cu(最大1.1%);
Si(最大0.4%);
Fe(最大0.7%);
Cr(最大0.3%);
Sc(最大0.3%);
Zr及び/またはV(最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
Zn(最大1.2%);
不可避の不純物(それぞれ最大0.05%、合計最大0.2%)、及びアルミニウム、を含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0104】
実例9は、3xxx合金コア層が以下(wt%):
Mn(0.5%~1.8%);
Mg(0.20%~0.75%);
Cu(最大1.1%);
Si(最大0.2%);
Fe(最大0.7%);
Cr(最大0.3%);
Sc(最大0.3%);
Zr及び/またはV(最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
Zn(最大1.2%);
不可避の不純物(それぞれ最大0.05%、合計最大0.2%)、及びアルミニウム、を含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0105】
実例10は、3xxx合金コア層のSi含有量が0.10%未満である、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0106】
実例11は、3xxx合金コア層のCu含有量が最大0.15%である、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0107】
実例12は、3xxx合金コア層のCu含有量が0.15%~1.1%の範囲にある、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0108】
実例13は、Al-Siろう付け用クラッド層が以下(wt%):
Si(7%~13%);
Mg(最大0.5%);
Fe(最大0.7%);
Cu(最大0.3%);
Mn(最大0.8%);
Zn(最大2%);
Bi(最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
不可避の不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.2%)、及びアルミニウム、を含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0109】
実例14は、Al-Siろう付け用クラッド層が10%~13%のSiを含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0110】
実例15は、Al-Siろう付け用クラッド層が0.02%~0.5%のMgを含む、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0111】
実例16は、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品が、ろう付け工程の前に、アルカリ性または酸性のエッチング液で表面処理されている、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0112】
実例17は、被覆クラッド層がXの厚さを有し、Al-Siろう付け用クラッド層がXの厚さを有し、X≧2.5Xである、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0113】
実例18は、X≧3Xである、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品である。
【0114】
実例19は、ろう付け熱交換器の製造プロセスであって、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品を少なくとも1つ供給する工程と、フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)でろう付けする工程と、を含む、前記製造プロセスである。
【0115】
実例20は、アルミニウム合金多層ブレージングシートが、ろう付け工程の前に、アルカリ性または酸性のエッチング液で表面処理されている、先行実例のいずれか1項のプロセスである。
【0116】
実例21は、フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)作業における、熱交換装置を製造するための、先行または後続実例のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品の使用である。
【0117】
上で引用されているすべての特許、出版物及び要約は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的を実現させる中で説明されてきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることが認識されるべきである。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することがなく、それらの多数の改変及び適応が当業者に容易に明らかとなる。
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目20]に記載する。
[項目1]
フラックスを用いずに不活性ガス雰囲気でろう付けするための、アルミニウム合金多層ブレージングシート製品であって、
0.20wt%~0.75wt%のMgを含む3xxx合金製のコア層であって、前記3xxx合金コア層の片面または両面にある2wt%~5wt%のSiを含む被覆クラッド層を備える前記コア層と、
前記3xxx合金コア層と前記被覆クラッド層との間に位置する7wt%~13wt%のSiを含むAl-Siろう付け用クラッド層と、を含み、
ここで、前記被覆クラッド層はX の厚さを有し、前記Al-Siろう付け用クラッド層はX の厚さを有し、X ≧2X である、前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目2]
前記3xxx合金コア層が0.20%~0.60%のMgを含む、項目1に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目3]
前記3xxx合金コア層が0.20%~0.30%のMgを含む、項目1または2に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目4]
前記3xxx合金コア層が0.40%~0.55%のMgを含む、項目1または2に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目5]
前記被覆クラッド層がBiフリー及びLiフリーである、項目1~4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目6]
前記被覆クラッド層がMgフリー、Biフリー及びLiフリーであり、以下(wt%):
Si(2%~5%);
Fe(最大0.5%);
Mn(最大0.2%);
Cu(最大0.1%);
Zn(最大0.4%);
Ti(最大0.1%);
不可避不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.15%)、及びアルミニウム、を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目7]
前記被覆クラッド層のSi含有量が2.5%~4.0%である、項目6に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目8]
前記3xxx合金コア層が以下(wt%):
Mn(0.5%~1.8%);
Mg(0.20%~0.75%);
Cu(最大1.1%);
Si(最大0.4%);
Fe(最大0.7%);
Cr(最大0.3%);
Sc(最大0.3%);
Zr及び/またはV(最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
Zn(最大1.2%);
不可避の不純物(それぞれ最大0.05%、合計最大0.2%)、及びアルミニウム、を含む、項目1~7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目9]
前記3xxx合金コア層のSi含有量が0.10%未満である、項目8に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目10]
前記3xxx合金コア層のCu含有量が最大0.15%である、項目8または9に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目11]
前記3xxx合金コア層のCu含有量が0.15%~1.1%の範囲にある、項目8または9に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目12]
前記Al-Siろう付け用クラッド層が以下(wt%):
Si(7%~13%);
Mg(最大0.5%);
Fe(最大0.7%);
Cu(最大0.3%);
Mn(最大0.8%);
Zn(最大2%);
Bi(最大0.3%);
Ti(最大0.25%);
不可避の不純物(それぞれ<0.05%、合計<0.2%)、及びアルミニウム、を含む、項目1~11のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目13]
前記Al-Siろう付け用クラッド層が10%~13%のSiを含む、項目12に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目14]
前記Al-Siろう付け用クラッド層が0.02%~0.5%のMgを含む、項目12または13に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目15]
前記アルミニウム合金多層ブレージングシート製品が、ろう付け工程の前に、アルカリ性または酸性のエッチング液で表面処理されている、項目1~14のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目16]
前記被覆クラッド層がX の厚さを有し、前記Al-Siろう付け用クラッド層がX の厚さを有し、X ≧2.5X である、項目1~15のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目17]
≧3X である、項目16に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品。
[項目18]
ろう付け熱交換器の製造プロセスであって、
項目1~17のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品を少なくとも1つ供給する工程と、
フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)でろう付けする工程と、を含む、前記製造プロセス。
[項目19]
前記アルミニウム合金多層ブレージングシートが、ろう付け工程の前に、アルカリ性または酸性のエッチング液で表面処理されている、項目18に記載のプロセス。
[項目20]
フラックスフリーの制御された雰囲気でのろう付け(CAB)作業における、熱交換装置を製造するための、項目1~17のいずれか1項に記載のアルミニウム合金多層ブレージングシート製品の使用。
図1
図2