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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6571 20140101AFI20240918BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240918BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240918BHJP
【FI】
H01M10/6571
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M10/6568
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022575310
(86)(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2021098082
(87)【国際公開番号】W WO2021249272
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】202010515671.7
(32)【優先日】2020-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼亮▲穏▼
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼晶
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼文会
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-515414(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02343769(EP,A1)
【文献】特開2011-181224(JP,A)
【文献】中国実用新案第210403972(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0151924(US,A1)
【文献】特開2019-114460(JP,A)
【文献】特開2017-027938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6571
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/625
H01M 10/6554
H01M 10/6556
H01M 10/6563
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口部を有する収容空間を有するトレイと、
前記トレイに接続されて前記トレイの上部開口部を封止する封止カバーと、
前記収容空間の上部開口部であって、前記封止カバーの下に設置される均温板を含み、
前記均温板は、前記収容空間に面する内表面及び前記内表面の反対側に位置する外表面を含み、前記均温板の外表面に順に配列された複数の冷却管路が設置され、隣接する2つの冷却管路の間に加熱部材が設置される、ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記均温板は、反対側に位置する2つの第1の縁部を含み、前記冷却管路は、長尺状の管路であり、前記冷却管路の長さは、一方の前記第1の縁部から他方の前記第1の縁部までの方向に沿って延伸する、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記均温板の幅は、第1の方向に沿って延伸し、前記均温板の長さは、第2の方向に沿って延伸し、2つの前記第1の縁部は、均温板の第2の方向に沿った反対側に位置する両側辺であり、複数の前記冷却管路は、第1の方向沿って順に配列され、
前記冷却管路の一端は、一方の第1の縁部に設置され、前記冷却管路の他端は、他方の前記第1の縁部に設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
電池パックは、給水管路、出水管路及び中継管路をさらに含み、複数の前記冷却管路は、少なくとも1つの冷却ユニットに分けられ、各前記冷却ユニットは、2つの冷却管路を含み、2つの冷却管路は、それぞれ第1の冷却管路と第2の冷却管路であり、
第1の冷却管路の入口は、前記給水管路に連通し、第1の冷却管路の出口と第2の冷却管路の入口の両方は、同一の前記中継管路に連通し、前記第2の冷却管路の出口は、前記出水管路に連通し、
前記冷却ユニットは、複数あり、複数の前記冷却ユニットは、第1の方向に沿って順に配列され、冷却ユニットが2つで一組であり、
同一組の2つの冷却ユニットの第1の冷却管路は、同一の給水管路に連通し、同一組の2つの冷却ユニットの第2の冷却管路は、同一の出水管路に連通し、異なる組の冷却ユニットの第1の冷却管路は、異なる給水管路に連通し、異なる組の冷却ユニットの第2の冷却管路は、異なる出水管路に連通し、かつ各冷却ユニットは、1つの中継管路に対応する、ことを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
電池パックは、前記収容空間内に配置された、第2の方向に沿って順に配列された複数の単電池をさらに含み、前記単電池の長さは、第1の方向に沿って延伸する、ことを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
【請求項6】
前記加熱部材は、長尺状の加熱部材であり、前記加熱部材の長さは、一方の前記第1の縁部から他方の前記第1の縁部までの方向に沿って延伸し、
前記加熱部材は、加熱膜である、ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項7】
前記冷却管路の厚さは、前記加熱部材の厚さより大きく、
前記均温板は、冷却管路と一体に押出成形される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記トレイは、前記収容空間を囲むための2つの第1の側部梁と2つの第2の側部梁とを含み、前記2つの第1の側部梁は、前記トレイの第2の方向に沿った対向する両側に位置し、2つの前記第2の側部梁は、トレイの第1の方向に沿った対向する両側に位置し、
前記トレイは、前記収容空間内に設置され、かつ第1の側部梁に平行である補強梁をさらに含み、前記均温板は、前記補強梁に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記均温板は、前記冷却管路及び加熱部材を配置するための載置領域と前記載置領域以外の接続領域とを含み、
前記接続領域の厚さは、前記載置領域の厚さより大きく、かつ前記均温板と補強梁との接続部位は、前記接続領域に位置し、
前記均温板の収容空間に向く内表面に、2つのボスが設置され、前記2つのボスは、前記補強梁のそれぞれ2つの第2の側部梁に隣接する端面に、それぞれ当接する、ことを特徴とする請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記均温板は、反対側に位置する2つの第2の縁部をさらに含み、前記2つの第2の縁部は、それぞれ2つの第2の側部梁に取り付けられる、ことを特徴とする請求項9に記載の電池パック。
【請求項11】
前記第2の側部梁と第2の縁部のうちの一方の前記収容空間に向く内表面に係止溝が設置され、前記第2の側部梁と第2の縁部のうちの他方は、前記係止溝内に挿入される、ことを特徴とする請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記第2の縁部は、前記第2の側部梁に接着固定される、ことを特徴とする請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
前記均温板に車両の車体に接続するための接続部材が設置され、前記接続部材は、前記車両のシートの横方向梁に接続される、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項14】
請求項1に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディーカンパニーリミテッドが2020年6月9日に提出した、発明の名称が「電池パック及び電気自動車」の中国特許出願第「202010515671.7」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、特に、電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
電池パックは、新エネルギー電気自動車の主な動力源として、その品質が電気自動車の使用性能及び安全性能に直接的に影響を与える。電池パックの構造において、一般的にはトレイを用いて動力電池を載置し、次にトレイカバーでトレイを封止することにより、電池パックを形成して、電池パックを電気自動車に取り付ける。
【0004】
電池パックは、動作中に発熱の問題が存在するため、電池パックを放熱して、電池パック内の電池の耐用年数を延ばす必要があり、また、電池パックの動作環境温度が低いと、低温環境下で電池の耐用年数も大幅に減衰する。従来技術において、一般的には電池パック内に冷却システムを追加的に搭載して放熱し、かつ加熱モジュールを配置して電池パックを加熱し、冷却システム及び加熱モジュールの増加により電池パックの空間利用率が低下する。したがって、どのようにして冷却及び加熱の機能を確保する前提で電池パックの空間利用率を向上させるかは、早急に解決する必要がある技術的問題となる。
【発明の概要】
【0005】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決することを目的とし、電池パックの放熱需要を満たすだけでなく、電池パックの低温環境下での加熱需要を満たすことができ、同時に電池パックの空間利用率を向上させることができるように、電池パックを提供する。
【0006】
このため、本願は、車両に動力を提供するために、
上部開口部を有する収容空間を有するトレイと、前記収容空間の上部開口部に設置され、前記収容空間に面する内表面及び前記内表面の反対側に位置する外表面を含む均温板と、を含み、前記均温板の外表面に順に配列された複数の冷却管路が設置され、隣接する2つの冷却管路の間に加熱部材が設置される電池パックを提供する。
【0007】
本願の実施例では、前記均温板は、反対側に位置する2つの第1の縁部を含み、前記冷却管路は、長尺状の管路であり、前記冷却管路の長さは、一方の前記第1の縁部から他方の前記第1の縁部までの方向に沿って延伸する。
【0008】
本願の実施例では、前記均温板の幅は、第1の方向に沿って延伸し、前記均温板の長さは、第2の方向に沿って延伸し、2つの前記第1の縁部は、均温板の第2の方向に沿った反対側に位置する両側辺であり、複数の前記冷却管路は、第1の方向沿って順に配列され、
前記冷却管路の一端は、一方の第1の縁部に設置され、前記冷却管路の他端は、他方の前記第1の縁部に設置され、前記冷却管路は、連通して冷却回路を形成する。
【0009】
本願の実施例では、前記電池パックは、給水管路、出水管路及び中継管路をさらに含み、複数の前記冷却管路は、少なくとも1つの冷却ユニットに分けられ、各前記冷却ユニットは、2つの冷却管路を含み、2つの冷却管路は、それぞれ第1の冷却管路と第2の冷却管路であり、
第1の冷却管路の入口は、前記給水管路に連通し、第1の冷却管路の出口と第2の冷却管路の入口の両方は、同一の前記中継管路に連通し、前記第2の冷却管路の出口は、前記出水管路に連通する。
【0010】
本願の実施例では、前記冷却ユニットは、複数あり、複数の前記冷却ユニットは、第1の方向に沿って順に配列され、冷却ユニットが2つで一組であり、
同一組の2つの冷却ユニットの第1の冷却管路は、同一の給水管路に連通し、同一組の2つの冷却ユニットの第2の冷却管路は、同一の出水管路に連通し、異なる組の冷却ユニットの第1の冷却管路は、異なる給水管路に連通し、異なる組の冷却ユニットの第2の冷却管路は、異なる出水管路に連通し、かつ各冷却ユニットは、1つの中継管路に対応する。
【0011】
本願の実施例では、前記電池パックは、前記収容空間内に配置され、第2の方向に沿って順に配列された複数の単電池をさらに含み、前記単電池の長さは、第1の方向に沿って延伸する。
【0012】
本願の実施例では、前記加熱部材は、長尺状の加熱部材であり、前記加熱部材の長さは、一方の前記第1の縁部から他方の前記第1の縁部までの方向に沿って延伸し、
前記加熱部材は、加熱膜である。
【0013】
本願の実施例では、前記冷却管路の厚さは、前記加熱部材の厚さより大きく、
前記均温板は、冷却管路と一体に押出成形される。
【0014】
本願の実施例では、前記トレイは、前記収容空間を囲むための2つの第1の側部梁と2つの第2の側部梁とを含み、前記2つの第1の側部梁は、前記トレイの第2の方向に沿った対向する両側に位置し、2つの前記第2の側部梁は、トレイの第1の方向に沿った対向する両側に位置し、
前記トレイは、前記収容空間内に設置され、かつ第1の側部梁に平行である補強梁をさらに含み、前記均温板は、前記補強梁に接続される。
【0015】
本願の実施例では、前記均温板は、前記冷却管路及び加熱部材を配置するための載置領域と前記載置領域以外の接続領域とを含み、
前記接続領域の厚さは、前記載置領域の厚さより大きく、かつ前記均温板と補強梁との接続部位は、前記接続領域に位置し、
前記均温板の収容空間に向く内表面に、前記補強梁のそれぞれ2つの第2の側部梁に隣接する端面にそれぞれ当接する2つのボスが設置される。
【0016】
本願の実施例では、前記均温板は、それぞれ2つの第2の側部梁に取り付けられた反対側に位置する2つの第2の縁部をさらに含み、
前記第2の側部梁と第2の縁部のうちの一方の前記収容空間に向く内表面に係止溝が設置され、前記第2の側部梁と第2の縁部のうちの他方は、前記係止溝内に挿入される。
【0017】
本願の実施例では、前記第2の側部梁と第2の縁部のうちの一方の前記収容空間に向く内表面に係止溝が設置され、前記第2の側部梁と第2の縁部のうちの他方は、前記係止溝内に挿入される。
【0018】
本願の実施例では、前記第2の縁部は、前記第2の側部梁に接着固定される。
【0019】
本願の実施例では、電池パックは、前記均温板上に位置し、かつ前記トレイに接続されて前記トレイの上部開口部を封止する封止カバーをさらに含む。
【0020】
本願の実施例では、電池パックは、前記封止カバーと前記トレイとの間に位置する封止フォームをさらに含む。
【0021】
本願の実施例では、前記第1の側部梁と前記第2の側部梁の前記封止カバーに面する天面に第1のネジ孔が設置され、前記封止カバーに前記第1のネジ孔に対応する第2のネジ孔が設置される。
【0022】
本願の実施例では、前記均温板に車両の車体に接続するための接続部材が設置され、前記接続部材は、前記車両のシートの横方向梁に接続される。
【0023】
本願の実施例では、前記トレイにラグが設置され、前記ラグに締結具が貫通するための取付孔が設置され、締結具は、前記取付孔を貫通して前記トレイを前記車両の車体に固定する。
【0024】
本願の実施例では、前記第2の側部梁は、互いに接続された垂直フレームと水平フレームとを含み、前記単電池の底部は、構造接着剤により前記水平フレームに接続される。
【0025】
本願に係る電気自動車は、上記いずれか一項に記載の電池パックを含む。
【0026】
本願の実施例に係る電池パックでは、均温板に順に配列された複数の冷却管路が設置されるため、冷却管路を利用することで電池パックに対する放熱機能を実現することができ、隣接する冷却管路の間に加熱部材が設置されるため、電池パックに対する加熱機能を実現することができ、冷却管路と加熱部材が均温板に集積され、加熱部材が冷却管路の間に設置されるため、均温板の空間を十分に利用し、冷却管路と加熱部材が占めた電池パックの空間を低減することができ、電池パックの空間利用率を向上させることに役立つ。
【0027】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか、又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願の実施例に係る電池パックの概略構造図である。
図2図1に示す電池パックのAB方向に沿った断面図である。
図3図2における楕円破線C部の拡大概略図である。
図4】本願の実施例に係る電池パックの分解概略図である。
図5】本願の実施例に係る冷却管路が均温板に集積された場合の概略図である。
図6】本願の実施例に係る冷却管路及び加熱部材が均温板に集積された場合の概略図である。
図7】本願の実施例に係るトレイの概略構造図である。
図8】本願の実施例に係る車両の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似する部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0030】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部材が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解してはならない。また、「第1の」、「第2の」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含むことができる。本願の説明では、別に説明しない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0031】
なお、本願の説明では、別に明らかな規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」及び「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、取り外し可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接接続であっても、中間媒体を介した接続であってもよく、2つの部品の間の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
以下、図1~図を参照して本願の実施例に係る電池パックを詳細に説明する。
【0033】
図1図7を参照し、本願に係る電池パックの実施例では、電池パック100は、電気自動車に動力を提供し、トレイ11と均温板12とを含む。トレイ11は、上部開口部を有する収容空間110を有し、収容空間110は、単電池13を収容する。均温板12は、収容空間110の上部開口部に設置されるため、均温板12は、収容空間110の上部開口部をカバーすることができる。電池パック100は、収容空間110内に配置された複数の単電池13をさらに含む。
【0034】
均温板12は、収容空間110に面する内表面と該内表面の反対側に位置する外表面とを含み、均温板12の外表面に順に配列された複数の冷却管路14が設置され、隣接する2つの冷却管路14の間に加熱部材15が設置される。これにより、冷却管路14の作用により電池パック100に対する放熱を実現することができ、加熱部材15の作用により低温環境にあるときに電池パック100を加熱することができ、それにより単電池の性能及び耐用年数を保証し、また、本願の実施例では、冷却管路14と加熱部材15が均温板12に集積され、冷却管路14の間の空間が十分に利用されて加熱部材15が設置されるため、冷却管路14と加熱部材15が占めた電池パック100の空間を低減することができ、電池パック100の空間利用率を向上させることに役立つ。
【0035】
電池パック100は、均温板12の内表面と単電池13との間に接続された熱伝導構造接着剤20をさらに含んでもよく、単電池13の熱量を均温板12に伝達することに役立つ。
【0036】
加熱部材15は、加熱膜であってもよく、接着の方式で均温板12に固定される。
【0037】
本願のいくつかの実施例では、電池パック100は、方形電池パックであり、それに応じて、トレイ11と均温板12は、いずれも方形である。図4に示すように、均温板12は、反対側に位置する2つの第1の縁部121を含み、冷却管路14は長尺状の管路であり、冷却管路14の長さは、一方の第1の縁部121から他方の第1の縁部121までの方向に沿って延伸し、すなわち、冷却管路14は、第2の方向Zに実質的には均温板12を被覆する。
【0038】
均温板12の幅は、トレイ11の幅方向である第1の方向に沿って延伸し、図4に示すように、第1の方向は、方向Xであり、均温板12の長さは、トレイ11の長さ方向である第2の方向に沿って延伸し、図4に示すように、第2の方向は、方向Zである。2つの第1の縁部121は、均温板12の第2の方向Zに沿って反対側に位置する両側辺であり、複数の冷却管路14は、第1の方向Xに沿って順に配列される。
【0039】
冷却管路14の一端は、一方の第1の縁部121に設置され、冷却管路14の他端は、他方の第1の縁部121に設置される。冷却管路14同士は連通して、冷却回路を形成する。
【0040】
具体的には、電池パック100は、給水管路161、出水管路162及び中継管路163をさらに含み、複数の冷却管路14は、少なくとも1つの冷却ユニットに分けられ、各冷却ユニットは、2つの冷却管路を含み、それぞれ第1の冷却管路と第2の冷却管路であり、図5に示すように、複数の冷却管路14は、共に4つの冷却ユニットに分けられる。第1の冷却管路の入口は、給水管路161に連通し、第1の冷却管路の出口と第2の冷却管路の入口の両方は、同一の中継管路163に連通し、第2の冷却管路の出口は、出水管路162に連通するため、冷却液は給水管路161から第1の冷却管路に入り、次に中継管路163を介して第2の冷却管路に流れ、さらに出水管路162から流出し、それにより電池パック100に対する冷却作用を実現する。
【0041】
複数の冷却ユニットは、第1の方向Xに沿って順に配列され、冷却ユニットが2つで一組であり、同一組の2つの冷却ユニットの第1の冷却管路は、同一の給水管路161に連通し、同一組の2つの冷却ユニットの第2の冷却管路は、同一の出水管路162に連通し、異なる組の冷却ユニットの第1の冷却管路は、異なる給水管路に連通し、異なる組の冷却ユニットの第2の冷却管路は、異なる出水管路に連通し、かつ各冷却ユニットは、1つの中継管路に対応する。上記方式により、冷却液による循環冷却を実現することができ、かつ冷却液の給水管路161から出水管路162までの流通経路において、2つのみの冷却管路を通過し、通過した冷却管路が少ないため、冷却液が次の冷却管路に流入するときに低い温度を維持することができ、冷却液の冷却効果を向上させることに役立つ。
【0042】
本願の実施例では、冷却管路14は、アルミニウム材料を用いて均温板12と一体に押出成形されてもよく、冷却管路14と均温板12は、別体として設置されてもよく、別体として設置される場合、冷却管路14は、熱伝導接着剤により均温板12に接続されてもよい。
【0043】
本願の実施例では、複数の単電池13は、第2の方向Zに沿って順に配列され、すなわち、複数の単電池13は、トレイ11の長さ方向に沿って順に配列され、単電池13の長さは、第1の方向Xに沿って延伸する。したがって、各冷却管路14に対して、各冷却管路14は、全ての単電池13を被覆し、放熱効果を向上させることに役立つ。当然のことながら、他の実施例では、複数の単電池13は、第1の方向Xに沿って順に配列されてもよく、単電池13の長さは、第2の方向Zに沿って延伸する。
【0044】
本願の実施例では、図6に示すように、加熱部材15は、長尺状の加熱部材であり、加熱部材15の長さは、一方の第1の縁部121から他方の第1の縁部121までの方向に沿って延伸し、すなわち、加熱部材15は、第2の方向Zに実質的には均温板12を被覆する。
【0045】
本願の実施例では、冷却管路14の厚さは、加熱部材15の厚さより大きく、なお、冷却管路14と加熱部材15の厚さは、第3の方向Yにおける厚さであり、第3の方向は、トレイ11の高さ(厚さ)方向であり、すなわち、図4に示す図面を基準とし、冷却管路14の厚さと加熱部材15の厚さは、第3の方向Yに沿って延伸する。冷却管路14の厚さを加熱部材15の厚さより大きくすることで、封止カバー17と加熱部材15との間の摩擦を効果的に回避することができ、加熱部材15に対して保護作用を果たす。
【0046】
本願の実施例では、図4に示すように、電池パック100は、封止カバー17と、封止フォーム18とをさらに含む。封止カバー17は、均温板12上に位置し、かつトレイ11に接続されてトレイ11の上部開口部をカバーする。封止フォーム18は、封止カバー17とトレイ11との間に位置し、それにより封止カバー17とトレイ11との間の封止性を向上させる。さらに、封止カバー17は、ボルト171によりトレイ11に固定されてもよく、又は封止カバー17とトレイ11との間は、さらにリベット又は溶接等の方式により固定されてもよい。封止フォーム18は、反発特性を有するため、封止カバー17の取り外し及びメンテナンスの需要を満たすことができる。
【0047】
本願の実施例では、図4図5及び図7を参照し、トレイ11は、収容空間110を囲む2つの第1の側部梁111と2つの第2の側部梁112とを含み、2つの第1の側部梁111は、トレイ11の第2の方向Zに沿った対向する両側に位置し、2つの第2の側部梁112は、トレイ11の第1の方向Xに沿った対向する両側に位置し、第1の側部梁111は、第2の側部梁112に接続され、それにより方形のトレイ11を形成する。また、均温板12は、反対側に位置する2つの第2の縁部122をさらに含み、均温板12の2つの第1の縁部121の位置は、トレイ11の2つの第1の側部梁111の位置に一対一で対応し、2つの第2の縁部122の位置は、トレイ11の2つの第2の側部梁112の位置に一対一で対応し、第2の縁部122は、対応する第2の側部梁112に取り付けられる。
【0048】
第1の側部梁111と第2の側部梁112の、封止カバー17に面する天面にネジ孔を設置し、封止カバー17にも対応するネジ孔を設置し、それによりボルト171が第1の側部梁111及び第2の側部梁112のネジ孔と封止カバー17のネジ孔と嵌合することで、封止カバー17とトレイ11を固定することができる。
【0049】
トレイ11は、収容空間110内に設置され、かつ第1の側部梁111に平行に設置された補強梁113をさらに含む。さらに、補強梁113の数量は2つであってもよく、一方の補強梁113は、一方の第1の側部梁111に隣接して設置され、他方の補強梁113は、他方の第1の側部梁111に隣接して設置され、補強梁113の作用によりトレイ11の強度を向上させることができる。
【0050】
均温板12は、補強梁113に接続され、ここでの接続は、均温板12の内表面と補強梁113の均温板12に向く天面との間の接続であり、例えば、両者は、ボルト21により固定されてもよく、すなわち、補強梁113の天面に対応する均温板12の部位にネジ孔を設置し、補強梁113の天面にも対応するネジ孔を設置し、それによりボルト21との嵌合により両者を固定する。或いは、他の実施例では、均温板12と補強梁113との間は、溶接されてもよい。
【0051】
本願の実施例では、均温板12は、冷却管路14及び加熱部材15を配置するための載置領域と載置領域以外の接続領域とを含み、接続領域の厚さは、載置領域の厚さより大きく、換言すれば、均温板12は、2つの一部領域に分けられ、一部領域は、冷却管路14及び加熱部材15を配置し、他の一部領域は、接続領域とされ、均温板12と補強梁113との接続部位は、厚さの大きい接続領域に位置し、均温板12と補強梁113の接続箇所の強度を向上させることに役立ち、単電池13の複数回の充放電後の膨張を効果的に抑制することができる。
【0052】
均温板12に車両の車体と接続するための接続部材123がさらに設置され、車両の車体は、電気自動車の電池パック以外の他の構造であってもよく、他の構造は、いずれも車体の一部であると考えられ、例えば接続部材123は、車両のシートの横方向梁に接続されて電池パック100の振動モードを向上させる。より具体的には、図4に示すように、均温板12の接続部材123に対応する封止カバー17の位置に貫通孔172が設置され、接続部材123が該貫通孔172を貫通して、電池パック100外に伸び出し、さらに車体に接続される。接続部材123は、例えば固定ナットであってもよく、各固定ナットに封止リングが嵌着され、固定ナットと車体との間は、ろう付けにより接続されてもよい。
【0053】
また、接続部材123は、均温板12の接続領域に設置されてもよく、すなわち、均温板12と車体との接続部位は、厚さの大きい接続領域に位置し、電池パック100が車両に搭載された安定性を向上させることに役立つ。
【0054】
本願の実施例では、図7に示すように、トレイ11にラグ114がさらに設置され、ラグ114に取付孔が設置され、取付孔により車両の車体に固定され、例えばボルトにより固定され、さらにトレイ11を車体に取り付ける。これにより、トレイ11が車体に固定され、均温板12が車体に固定され、電池パック100が車両に搭載された安定性をさらに向上させ、車両の走行中に電池パックに生じた揺れをさらに低減することができる。
【0055】
本願の実施例では、図5に示すように、均温板12の収容空間110に向く内表面に、それぞれ2つの第2の縁部122に位置し、補強梁113のそれぞれ2つの第2の側部梁112に隣接する端面1131にそれぞれ当接する2つのボス124が設置される。具体的には、補強梁113は、それぞれ第2の側部梁112に面する2つの端面1131を含み、均温板12の一方のボス124は、一方の端面1131に当接し、他方のボス124は、他方の端面1131に当接し、これにより、均温板12の側辺が外部作用力による押圧及び衝突を受けるとき、一部の力を補強梁113に伝達することができ、均温板12が接線方向に変位することを防止することができる。
【0056】
ボス124は、均温板12の内表面が外向きに突起するボス構造であり、すなわち、ボス124は、均温板12と一体成形される。
【0057】
図3に示すように、第2の側部梁112の収容空間110に向く内表面に係止溝1121が設置され、均温板12の第2の縁部122は、係止溝1121内に挿入される。図に示すように、該係止溝1121は、例えば直角係止溝であってもよく、又は凹溝構造であってもよい。これにより、係止溝1121を設置して、均温板12の縁部が該係止溝1121内に挿入されることにより、第2の側部梁112に押圧衝突が発生するとき、第2の側部梁112により力を均温板12に伝達して、均温板12を利用して第2の側部梁112の耐圧壊能力を向上させ、第2の側部梁112が押圧されて変形する確率を低減することができる。
【0058】
本願では、均温板12の第2の縁部122と第2の側部梁112との間は、さらに接着剤により接着される。
【0059】
また、本願の単電池13の長さは、第1の方向Xに沿って延伸し、単電池13は、電流を引き出すための極柱を含み、極柱は、単電池13の第1の方向に沿った端部に位置し、正負極柱は、単電池13の第1の方向Xに沿った同じ端部に位置してもよく、単電池13の第1の方向Xに沿って反対側に位置する両端に位置してもよく、すなわち、単電池13の極柱が第2の側部梁112に向くように設置され、第2の側部梁112に係止溝1121を設置して均温板12に接続されることにより、第2の側部梁112に押圧衝突が発生するとき、衝突力を均温板12に伝達することができ、均温板12が熱伝導構造接着剤20により衝突力を単電池13のケースに伝達するため、第2の側部梁112の耐圧壊能力を向上させ、第2の側部梁112が変形して単電池13の極柱を押圧することを回避し、単電池13の間に短絡が発生することを防止する。
【0060】
別の実施例では、均温板12の第2の縁部122に係止溝を設置してもよく、第2の側部梁112の上部が第2の縁部122の係止溝内に挿入され、同様に第2の側部梁112が受けた衝突力を均温板12に伝達して、第2の側部梁112の耐圧壊能力を向上させることができる。
【0061】
本願の実施例では、第2の側部梁112は、L字状の構造であってもよく、垂直フレーム1122と水平フレーム1123とを含み、水平フレーム1123は、収容空間110の底部開口部に位置し、2つの第2の側部梁112の水平フレーム1123が対向して設置されて、共に収容空間110の底部開口部を囲み、収容空間110の上部開口部と底部開口部は、第3の方向に沿って対向して設置され、第3の方向は、図4に示す方向Yである。電池パック100は、底板22と保護板23とをさらに含み、底板22は、水平フレーム1123に接続されて収容空間110の底部開口部を密閉し、底板22は、水平フレーム1123と同じ平面に位置し、共に単電池13を載置する。
【0062】
電池パック100は、構造接着剤24及び25をさらに含み、単電池13の底部は、構造接着剤25により水平フレーム1123に接続され、底板22は、構造接着剤24により水平フレーム1123に接続され、それにより収容空間110の底部開口部を封止する。保護板23は、底板22の単電池13に背向する面に位置し、かつ水平フレーム1123に固定され、例えばボルト26により水平フレーム1123に螺着される。
【0063】
単電池13を底板22に接着し、さらに底板22を水平フレーム1123に接着することにより、第2の側部梁112が受けた押圧力を単電池13のケースに伝達することができ、トレイ11の耐圧壊能力をさらに向上させることができる。
【0064】
本願の実施例に係る電気自動車は、上記いずれかの実施例に記載の電池パックを含む。
【0065】
本明細書の説明では、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を示すことではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0066】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。
【符号の説明】
【0067】
100 電池パック
11 トレイ
110 収容空間
111 第1の側部梁
112 第2の側部梁
1121 係止溝
1122、 垂直フレーム
1123 水平フレーム
113 補強梁
1131 端面
114 ラグ
12 均温板
121 第1の縁部
122 第2の縁部
123 接続部材
124 ボス
13 単電池
14 冷却管路
15 加熱部材
161 給水管路
162 出水管路
163 中継管路
17 封止カバー
171、21、26 ボルト
172 貫通孔
18 封止フォーム
20 熱伝導構造接着剤
22 底板
23 保護板
24、25 構造接着剤
1000 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8