(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】非相反性導波路、アイソレータ、光スイッチ、光送受信機、及びデータセンタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20240918BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20240918BHJP
G02F 1/095 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G02B6/12 367
G02B27/28 A
G02F1/095
(21)【出願番号】P 2023127265
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2021089448の分割
【原出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】泉二 玲緒奈
(72)【発明者】
【氏名】杉田 丈也
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-021831(JP,A)
【文献】特開2007-058098(JP,A)
【文献】特開2000-162460(JP,A)
【文献】特開2020-086250(JP,A)
【文献】特開平02-157805(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0314371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 - 6/14
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 1/39
G02B 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上において、基板面に沿って位置する光伝搬性線路と、
前記基板上において、前記光伝搬性線路の長手方向の一部に沿って前記光伝搬性線路に面接触して、または前記光伝搬性線路に非相反性を付与する範囲内で該光伝搬性線路から離れて位置する磁性部材と、
前記基板上において、前記光伝搬性線路及び前記磁性部材を包含するように、位置する絶縁層と、
前記絶縁層内で、前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れて位置するマスクと、を備え、
前記マスクは、前記基板面に垂直な方向から見て、前記磁性部材が位置する範囲の周囲の前記光伝搬性線路の長手方向に沿った前記光伝搬性線路側の少なくとも一部に亘って前記光伝搬性線路の幅方向における少なくとも一部に重なって位置する
非相反性導波路。
【請求項2】
前記マスクは
、さらに前記磁性部材が位置する範囲の周囲の前記長手方向の一端および他端に
も位置する請求項1に記載の非相反性導波路。
【請求項3】
前記磁性部材は更に前記基板面に垂直な方向から見て前記光伝搬性線路
に重なるとともに、前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れる方向にも前記絶縁層を介して位置する請求項1に記載の非相反性導波路。
【請求項4】
前記磁性部材は前記基板面に垂直な方向から見て前記光伝搬性線路
に重なるとともに、前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れる方向にも前記マスクを介して位置する請求項3に記載の非相反性導波路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかの非相反性導波路を備える
アイソレータ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかの非相反性導波路を備える
光スイッチ。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかの非相反性導波路を備える
光送受信機。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかの非相反性導波路を備える
データセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非相反性導波路、アイソレータ、光スイッチ、光送受信機、及びデータセンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
非相反性導波路を、半導体基板上に形成することが検討されている。半導体基板には、他の構成要素も積層されるため、基板から比較的高い位置まで絶縁膜が成膜される。半導体基板上に非相反性導波路を形成するためには、基板上に形成されるコアとなる線路に隣接させて、磁性部材を配置する必要がある。半導体基板上の非相反性導波路は、主に半導体プロセスを適用して、製造される。一方で、磁性体は半導体特性に影響を与える汚染源である。それゆえ、磁性部材を設ける位置に、エッチングによりトレンチを形成して半導体プロセスを完了させ、形成したトレンチに磁性体を埋込むことが検討されている。
【0003】
半導体基板上の非相反性導波路の形成においては、線路に対して磁性体の埋込む位置に高い精度が要求される。しかし、半導体プロセスにおいて深いトレンチを形成する際にトレンチの側壁はテーパ状になることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、表面側のマスクやレジストにおいて磁性体の埋込む位置に対応する領域の位置精度を高めても、基板においてトレンチが形成される位置の精度を上げることは難しい。結果として、線路に対して高い位置精度で磁性部材を配置することは難しい。
【0006】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、線路に対して高い位置精度で磁性部材を配置した非相反性導波路アイソレータ、光スイッチ、光送受信機、及びデータセンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による非相反性導波路は、
基板と、
前記基板上において、基板面に沿って位置する光伝搬性線路と、
前記基板上において、前記光伝搬性線路の長手方向の一部に沿って前記光伝搬性線路に面接触して、または前記光伝搬性線路に非相反性を付与する範囲内で該光伝搬性線路から離れて位置する磁性部材と、
前記基板上において、前記光伝搬性線路及び前記磁性部材を包含するように、位置する絶縁層と、
前記絶縁層内で、前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れて位置するマスクと、を備え、
前記マスクは、前記基板面に垂直な方向から見て、前記磁性部材が位置する範囲の周囲の少なくとも一部に亘って位置する
非相反性導波路。
【0008】
第2の観点によるアイソレータは、
基板と、前記基板上において基板面に沿って位置する光伝搬性線路と、前記基板上において前記光伝搬性線路の長手方向の一部に沿って前記光伝搬性線路に面接触してまたは前記光伝搬性線路に非相反性を付与する範囲内で該光伝搬性線路から離れて位置する磁性部材と、前記基板上において、前記光伝搬性線路及び前記磁性部材を包含するように位置する絶縁層と、前記絶縁層内で前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れて位置するマスクと、を有し、前記マスクは、前記基板面に垂直な方向から見て、前記磁性部材が位置する範囲の周囲の少なくとも一部に亘って位置する非相反性導波路を備える。
【0009】
第3の観点による光スイッチは、
基板と、前記基板上において基板面に沿って位置する光伝搬性線路と、前記基板上において前記光伝搬性線路の長手方向の一部に沿って前記光伝搬性線路に面接触してまたは前記光伝搬性線路に非相反性を付与する範囲内で該光伝搬性線路から離れて位置する磁性部材と、前記基板上において、前記光伝搬性線路及び前記磁性部材を包含するように位置する絶縁層と、前記絶縁層内で前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れて位置するマスクと、を有し、前記マスクは、前記基板面に垂直な方向から見て、前記磁性部材が位置する範囲の周囲の少なくとも一部に亘って位置する非相反性導波路を備える。
【0010】
第4の観点による光送受信機は、
基板と、前記基板上において基板面に沿って位置する光伝搬性線路と、前記基板上において前記光伝搬性線路の長手方向の一部に沿って前記光伝搬性線路に面接触してまたは前記光伝搬性線路に非相反性を付与する範囲内で該光伝搬性線路から離れて位置する磁性部材と、前記基板上において、前記光伝搬性線路及び前記磁性部材を包含するように位置する絶縁層と、前記絶縁層内で前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れて位置するマスクと、を有し、前記マスクは、前記基板面に垂直な方向から見て、前記磁性部材が位置する範囲の周囲の少なくとも一部に亘って位置する非相反性導波路を備える。
【0011】
第5の観点によるデータセンタは、
基板と、前記基板上において基板面に沿って位置する光伝搬性線路と、前記基板上において前記光伝搬性線路の長手方向の一部に沿って前記光伝搬性線路に面接触してまたは前記光伝搬性線路に非相反性を付与する範囲内で該光伝搬性線路から離れて位置する磁性部材と、前記基板上において、前記光伝搬性線路及び前記磁性部材を包含するように位置する絶縁層と、前記絶縁層内で前記光伝搬性線路よりも前記基板から離れて位置するマスクと、を有し、前記マスクは、前記基板面に垂直な方向から見て、前記磁性部材が位置する範囲の周囲の少なくとも一部に亘って位置する非相反性導波路を備える。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成された本開示に係る非相反性導波路、アイソレータ、光スイッチ、光送受信機、及びデータセンタによれば、線路に対して高い位置精度で磁性部材が配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る非相反性導波路の光伝搬性線路の長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図2】
図1の非相反性導波路の変形例の断面図である。
【
図3】
図1の光伝搬性線路、磁性部材、及びマスクの位置を示すための、非相反性導波路を厚さ方向から見た上面図である。
【
図4】
図1の非相反性導波路の別の変形例の断面図である。
【
図5】
図1の非相反性導波路の別の変形例の断面図である。
【
図6】
図1の非相反性導波路の別の変形例の断面図である。
【
図7】
図1の非相反性導波路の別の変形例の断面図である。
【
図8】
図1の非相反性導波路の別の変形例の断面図である。
【
図9】
図1の非相反性導波路の別の変形例の断面図である。
【
図10】
図1の非相反性導波路の製造工程において基板上に光伝搬性線路を形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図11】
図1の非相反性導波路の製造工程において第1の絶縁体を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図12】
図1の非相反性導波路の製造工程において第1のマスク層を形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図13】
図12における中間製造物を基板面に垂直な方向から見た上面図である。
【
図14】エッチングによりテーパ状のトレンチが形成される場合の第1のトレンチ形成領域を説明するための断面図である。
【
図15】エッチングにより逆テーパ状のトレンチが形成される場合の第1のトレンチ形成領域を説明するための断面図である。
【
図16】
図8の非相反性導波路の製造工程において第1のマスク層を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図17】
図9の非相反性導波路の製造工程において第1のマスク層を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図18】
図1の非相反性導波路の製造工程において第2の絶縁体を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図19】
図1の非相反性導波路の製造工程において第2のマスク層を形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図20】
図19における中間製造物を基板面に垂直な方向から見た上面図である。
【
図21】
図9の非相反性導波路の製造工程において第2のマスク層を形成した中間製造物を基板面に垂直な方向から見た上面図である。
【
図22】
図21の中間製造物を光伝搬性線路の長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図23】
図1の非相反性導波路の製造工程の変形例において中間マスク層及び中間絶縁体を形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図24】
図1の非相反性導波路の製造工程においてトレンチを形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図25】
図9の非相反性導波路の製造工程においてトレンチを形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図26】
図25の中間製造物における光伝搬性線路におけるトレンチ側の第1の絶縁体を除去した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図27】
図1の非相反性導波路の製造工程においてトレンチの形成後に磁性体を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図28】
図27の中間製造物においてリフトオフを行った状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図29】
図27の中間製造物において変形例によりリフトオフを行った状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図30】
図1の非相反性導波路の製造工程においてトレンチの形成後に第2のマスク層を除去してから磁性体を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図31】
図30の中間製造物において第3のマスク層を形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図32】
図31の中間製造物においてエッチングを行った状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図33】
図1の非相反性導波路の製造工程においてトレンチの形成後に第2のマスク層を除去してから第4のマスク層を形成した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図34】
図33の中間製造物において磁性体を成膜した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図35】
図34の中間製造物においてリフトオフを行った状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図36】
図1の非相反性導波路の製造工程においてトレンチに磁性部材を形成した後に第3の絶縁膜によりトレンチを埋戻した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図37】
図1の非相反性導波路の製造工程においてトレンチに磁性部材を形成した後に強磁性体によりトレンチの一部を埋戻した状態における長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【
図38】マスクを設けずに製造した非相反性導波路の光伝搬性線路の長手方向に垂直な断面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示を適用した非相反性導波路の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る非相反性導波路10における光の伝搬方向に垂直な面における断面図である。非相反性導波路10は、例えば、アイソレータ、光スイッチ、光送受信機、及びデータセンタに適用されてよい。
【0016】
非相反性導波路10は、基板11、光伝搬性線路12、磁性部材13、絶縁層14、及びマスク15を含んで構成される。
【0017】
基板11は、平板状である。基板11は、主面として基板面を有する。主面とは、最も大きな面であってよい。基板11は、例えば、光伝搬性線路12を形成する物質よりも屈折率が低い物質により形成されてよい。基板11は、例えば、SiO2、SiOx、SiON等により形成される。
【0018】
光伝搬性線路12は、基板11上に位置する。光伝搬性線路12は、基板11の一方の主面である基板面に沿って位置する。主面は、基板11を画定する複数の平面の中で最も広い面であってよい。光伝搬性線路12は、長手方向を有してよい。光伝搬性線路12は、長手方向に光を伝搬してよい。
【0019】
本明細書において、長手方向に垂直且つ基板面ssに平行な方向を幅方向と呼ぶ。また、本明細書において、基板面ssに垂直な方向を厚さ方向とも呼ぶ。光伝搬性線路12の幅は、光伝搬時に高次モードが生じない範囲に含まれることが望ましく、例えば、Siで形成される場合、400nm~500nmである。光伝搬性線路12の幅は、幅方向における長さである。光伝搬性線路12の高さは、例えば、200nm~300nmである。光伝搬性線路12の高さは、厚さ方向の長さである。
【0020】
光伝搬性線路12は、前述のように、基板11を形成する物質よりも屈折率が高い物質により形成されてよい。光伝搬性線路12は、例えば、Si、SiN、SiOx等により形成される。
【0021】
図2に示すように、光伝搬性線路12は、基板面ssとともに、ストップ層16により覆われていてよい。ストップ層16は、非相反性導波路10の製造工程中のエッチング工程において基板11及び光伝搬性線路12がエッチングされることを防いでよい。ストップ層16は、例えば50nm~100nmの厚みを有してよい。
【0022】
ストップ層16は、後述する、絶縁層14を形成する物質よりも製造時における第1のマスク層又は第2のマスク層に対する選択比が小さな物質により形成されてよい。さらに、ストップ層16は、光伝搬性線路12を形成する物質よりも屈折率が低い物質により形成されてよい。ストップ層16は、例えば、SiNにより形成される。
【0023】
図1に示すように、磁性部材13は、基板11上に位置する。
図2に示すように、磁性部材13は、ストップ層16を介して、基板11上に位置してよい。
図3に示すように、磁性部材13は、光伝搬性線路12の長手方向の一部に沿って位置する。
【0024】
磁性部材13は、幅方向において、光伝搬性線路12に面接触してよい。又は、
図4に示すように、磁性部材13は、幅方向において、光伝搬性線路12に非相反性を付与する範囲内で、光伝搬性線路12から離れてよい。磁性部材13は、光伝搬性線路12の幅方向を向く面から、例えば、100nm以下の間隔をあけて位置してよい。
【0025】
厚さ方向において、磁性部材13の少なくとも一部が、光伝搬性線路12の少なくとも一部に重なっていてよい。本実施形態において、厚さ方向において、磁性部材13が光伝搬性線路12全体に重なる。
【0026】
磁性部材13は、YIG(イットリウム鉄ガーネット)、Ce置換YIG、Bi置換YIG等のその一部置換物質のような透明状磁性体、FeCo、FeNi、CoPt等の強磁性体、及び強磁性体を含む物質によって形成されてよい。又は、磁性部材13は、磁性体ナノ粒子がコンポジットされた誘電体、例えばナノグラニュラー材により形成されてよい。
【0027】
図5に示すように、磁性部材13に隣接して強磁性部材17が設けられてよい。強磁性部材17は、磁性部材13に磁場を印加してよい。強磁性部材17は、強磁性体又は強磁性体を含む物質によって形成されてよい。
【0028】
磁性部材13は、光伝搬性線路12の幅方向に並ぶ位置だけでなく、厚さ方向に並ぶ位置にも設けられていてよい。
図6に示すように、厚さ方向に並ぶ磁性部材13は、絶縁層14を介して、光伝搬性線路12に隣接してよい。又は、
図7に示すように、厚さ方向に並ぶ磁性部材13は、マスク15及び絶縁層14を介して、光伝搬性線路12に隣接してよい。
【0029】
図1に示すように、絶縁層14は、基板11上に位置する。絶縁層14は、光伝搬性線路12及び磁性部材13を包含する。
図4に示すように、光伝搬性線路12及び磁性部材13が幅方向に隣接する構成においては、絶縁層14は光伝搬性線路12及び磁性部材13の間に介在してよい。絶縁層14の厚みは、2μm~20μmであってよい。
【0030】
絶縁層14は、光伝搬性線路12を形成する物質よりも屈折率が低い物質により形成されてよい。絶縁層14は、例えば、SiO2、SiOx、SiON等により形成される。
【0031】
図1に示すように、マスク15は、絶縁層14内で、光伝搬性線路12よりも基板11から離れて位置する。マスク15は、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向から見て、光伝搬性線路12の幅方向における少なくとも一部に重なる。マスク15は、当該幅方向における磁性部材13の配置とは反対方向側から、光伝搬性線路12に重なる。
【0032】
マスク15は、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向から見て、磁性部材13に重ならなくてよい。幅方向において、マスク15は、光伝搬性線路12の磁性部材13側の端と同じ位置で終端してよい。又は、
図8に示すように、マスク15は、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向から見て、光伝搬性線路12の磁性部材13側の端部を覆わなくてよい。又は、
図9に示すように、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向から見た、マスク15の幅方向における磁性部材13側の端は、光伝搬性線路12の磁性部材13側の端を超えてよい。磁性部材13側のマスク15の端面は、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向から見て、光伝搬性線路12側の磁性部材13の端面に対応する形状を有してよい。
【0033】
図3に示すように、マスク15は、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向から見て、長手方向において磁性部材13が位置する範囲に少なくとも亘って位置する。
【0034】
図1に示すように、マスク15は、基板面ssに垂直な方向、言換えると、厚さ方向における絶縁層14の厚みの中央位置より基板11側に位置してよい。マスク15は、基板面ssから、1μm~2μmの範囲で離れた位置に位置してよい。
【0035】
マスク15は、後述する製造方法における絶縁層14を形成する反応性エッチングに対して十分な選択比を有する金属又は誘電体物質により形成されてよい。絶縁層14に適用される金属は、例えば、アルミニウム、銅等である。
【0036】
次に、本開示を適用した非相反性導波路10の製造方法の実施形態を説明する。本実施形態の製造方法においては、光伝搬性線路12にSi、基板11及び絶縁層14にSiO2を適用した例について説明するが、上述のように、基板11、光伝搬性線路12、及び絶縁層14の材料はこれらの材料に限定されない。
【0037】
まず、表面のSi層の間に、SiO
2層を有するSOI(Silicon On Insulator)基板の一方のSi層にパターニングを施すことにより、
図10に示すように、SiO
2層を有する基板11上に、基板面ssに沿った長手方向を有する光伝搬性線路12が形成される。
【0038】
なお、光伝搬性線路12が形成された基板11に、前述のように、CVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成膜法)等の公知の成膜方法により、50nm~100nmの厚みを有するSiN層を、ストップ層16として形成してもよい。
【0039】
次に、光伝搬性線路12が形成された基板面ss側から基板11に、例えば、CVDにより、第1の絶縁体を成膜する。第1の絶縁体は、非相反性導波路10における絶縁層14と同じ材料である。第1の絶縁体の成膜後に、平坦化処理を施すことにより、
図11に示すように、第1の絶縁体18の基板面ssの逆側の面が平坦化されてよい。なお、第1の絶縁体18の厚さ、言換えると、厚さ方向の長さが、非相反性導波路10における基板11及びマスク15の間隔と同じなるように成膜又は平坦化が行われてよい。
【0040】
図12に示すように、第1の絶縁体18における基板11の反対側に、第1のマスク層19を形成する。第1のマスク層19は、例えば、第1の絶縁体18に第1のマスク層19の材料を成膜した後、リソグラフィによりマスク形状を形成することにより、形成される。
【0041】
図13に示すように、第1のマスク層19は、基板面ssに垂直な方向から見て、第1のトレンチ形成領域tr1に重ならない。第1のトレンチ形成領域tr1は、磁性部材13を配置するために、後の工程において、基板面ssに垂直な方向全域に亘ってトレンチが形成される領域であってよい。例えば、
図14に示すように、基板面ssから離れるに応じて幅が広がるトレンチtrが形成されるエッチングにおいては、基板面ss側におけるトレンチtrの幅を有する領域が第1のトレンチ形成領域tr1であってよい。又は、
図15に示すように、基板面ssに近づくに応じて幅が広がるトレンチtrが形成されるエッチングにおいては、基板面ssの逆側におけるトレンチtrの幅を有する領域が第1のトレンチ形成領域tr1であってよい。
【0042】
第1のトレンチ形成領域tr1は、磁性部材13を形成する領域と略同一であってよい。言換えると、第1のトレンチ形成領域tr1は、光伝搬性線路12の長手方向の一部において、当該光伝搬性線路12の幅方向の一端側に、当該光伝搬性線路12に沿って位置する。
【0043】
図12に示すように、第1のマスク層19は、基板面ssに垂直な方向から見て、光伝搬性線路12における第1のトレンチ形成領域tr1が位置する側の一端の逆側から、当該光伝搬性線路12の幅方向における少なくとも一部に重なる。
図16に示すように、第1のマスク層19は、光伝搬性線路12における第1のトレンチ形成領域tr1が位置する側の一端側の端部に重ならなくてよい。又は、
図12に示すように、第1のマスク層19は、光伝搬性線路12の幅方向における全体に重なってよい。例えば、第1のマスク層19は、基板面ssに垂直な方向から見て、光伝搬性線路12における第1のトレンチ形成領域tr1が位置する側の端において終端してよい。又は、
図17に示すように、第1のマスク層19は、基板面ssに垂直な方向から見て、光伝搬性線路12における第1のトレンチ形成領域tr1が位置する側の端を超えて終端してよい。
【0044】
第1のマスク層19には、後述するトレンチtrを形成するためのエッチングにおける、第1のマスク層19の形成材料に対する第1の絶縁体18の形成材料の選択比が、第1のマスク層19の厚みに対する第1の絶縁体18の厚み以上となる、形成材料が適用される。第1のマスク層19の形成材料は、マスク15と同じ材料である。
【0045】
次に、第1のマスク層19を埋設させるように、第1の絶縁体18及び第1のマスク層19に、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)により、第2の絶縁体を成膜する。第2の絶縁体の成膜後に、平坦化処理を施すことにより、
図18に示すように、第2の絶縁体20の基板面ssの逆側の面が平坦化されてよい。なお、第1の絶縁体18及び第2の絶縁体20の厚さの合計が、非相反性導波路10における絶縁層14と同じ厚さになるように成膜又は平坦化が行われてよい。
【0046】
図19に示すように、第2の絶縁体20における基板11の反対側に、第2のマスク層21を形成する。第2のマスク層21は、例えば、第2の絶縁体20に第1のマスク層19の材料を成膜した後、リソグラフィによりマスク形状を形成することにより、形成される。
【0047】
図20に示すように、第2のマスク層21は、基板面ssに垂直な方向から見て、第2のトレンチ形成領域tr2以外の領域を覆う。基板面ssに垂直な方向から見て、第2のトレンチ形成領域tr2の一部又は全体が、第1のトレンチ形成領域tr1の少なくとも一部に重なる。例えば、第2のトレンチ形成領域tr2の一部が、第1のトレンチ形成領域tr1の全域に重なる。又は、
図21、22に示すように、第2のトレンチ形成領域tr2の全部が、第1のトレンチ形成領域tr1の一部に重なってよい。
【0048】
なお、
図23に示すように、第1のマスク層19及び第2のマスク層21の間に、中間マスク層22が設けられてよい。中間マスク層22は、単一であってよく、複数であってよい。第1のマスク層19及び中間マスク層22の間に中間絶縁体23が設けられてよい。中間絶縁体23及び中間マスク層22の形成方法は、それぞれ第2の絶縁体20及び第2のマスク層21の形成方法と類似していてよい。
【0049】
第2のマスク層21の形成後、例えば、CF
4ガスやCHF
3ガスを用いたドライエッチングを行い、第2のマスク層21及び第1のマスク層19に覆われない領域の第1の絶縁体18及び第2の絶縁体20を削除することにより、
図24に示すように、トレンチtrを形成する。
【0050】
前述のように、
図17、22に示すように、第1のマスク層19が基板面ssに垂直な方向から見て光伝搬性線路12の端面を超えて覆う構成においては、
図25に示すように、光伝搬性線路12とトレンチtrとの間に第1の絶縁体18が残存し得る。このようにトレンチtrと光伝搬性線路12の間に位置する、言換えると光伝搬性線路12のトレンチtr側の第1の絶縁体18を、フッ酸により除去することにより、
図26に示すように、光伝搬性線路12をトレンチtr内に露出させてよい。
【0051】
トレンチtrの形成後、トレンチtr内に磁性部材13を形成する。磁性部材13は、任意の方法によりトレンチtr内に形成されてよい。以下に、複数の形成方法を例として、磁性部材13の形成を説明する。
【0052】
第1の方法においては、
図27に示すように、第2のマスク層21における基板11の反対側から、スパッタリング、蒸着等により、磁性体24を成膜する。磁性体24の成膜後、リフトオフにより、
図28に示すように、第2のマスク層21以外の領域に被膜した磁性体24が磁性部材13として形成される。リフトオフは、例えば、第2のマスク層21を溶解可能な物質を用いて第2のマスク層21とともに、第2のマスク層21に成膜された磁性体24を除去することにより行われてよい。なお、当該物質が第1のマスク層19も溶解可能である場合、
図29に示すように、第1のマスク層19に成膜された磁性体24も除去される。
【0053】
第2の方法においては、第2のマスク層21を除去する。第2のマスク層21は、例えば、第2のマスク層21を溶解可能な物質を用いて、又はO2プラズマにより除去されてよい。第2のマスク層21の除去後に、
図30に示すように、第2の絶縁体20における基板11の反対側から、スパッタリング、蒸着等により、磁性体24を成膜する。磁性体24の成膜後、例えば、第1の絶縁体18及び第2の絶縁体20と同じ材料をスパッタリング、蒸着等により成膜する。トレンチtr内に成膜した当該材料にレジスト等でマスク掛けをしてエッチングを行うことにより、
図31に示すように、トレンチtr内に成膜される磁性体24に第3のマスク層25を形成する。第3のマスク層25の形成後、エッチングにより第3のマスク層25に覆われた範囲外の磁性体24が除去され、
図32に示すように、トレンチtr内に成膜された磁性体24が磁性部材13として形成される。
【0054】
第3の方法においては、第2のマスク層21を除去する。第2のマスク層21は、第2の方法において適用した除去方法により、除去されてよい。第2のマスク層21の除去後に、
図33に示すように、第2の絶縁体20にレジストを塗布してリソグラフィにより、第2の絶縁体20を覆いながら、第2のトレンチ形成領域tr2が開口した第4のマスク層26を形成する。第4のマスク層26の形成後に、
図34に示すように、第4のマスク層26における基板11の反対側から、スパッタリング、蒸着等により、磁性体24を成膜する。磁性体24の成膜後、リフトオフにより、
図35に示すように、第4のマスク層26以外の領域に被膜した磁性体24が磁性部材13として形成される。リフトオフは、例えば、第4のマスク層26を溶解可能な物質を用いて第4のマスク層26とともに、第4のマスク層26に成膜された磁性体24を除去することにより行われてよい。
【0055】
トレンチtr内の磁性部材13の形成後、トレンチtr内に形成された磁性部材13における基板11の反対側から、例えば、CVDを適用して、第3の絶縁体27を成膜することにより、
図36に示すように、トレンチtrを埋戻してよい。又は、トレンチtr内の磁性部材13の形成後、トレンチtr内に形成された磁性部材13における基板11の反対側から、例えば、スパッタリング、蒸着等を適用して、強磁性体28を成膜することにより、
図37に示すように、トレンチtrの一部を埋戻してよい。強磁性体28の成膜後、第3の絶縁体27により、トレンチtrを埋戻してよい。トレンチtrを埋戻すことにより、非相反性導波路10が製造される。
【0056】
以上のような構成の本実施形態の非相反性導波路10は、絶縁層14内で光伝搬性線路12よりも基板11から離れて位置するマスク15を備え、マスク15は基板面ssに垂直な方向から見て光伝搬性線路12の幅方向における磁性部材13とは反対方向側から光伝搬性線路12の幅方向における少なくとも一部に重なり且つ長手方向において磁性部材13が位置する範囲に少なくとも亘って位置する。前述のように半導体プロセスにおいて深いトレンチを形成する際にトレンチの側壁はテーパ状になることがある。それゆえ、マスク15を設けない非相反性導波路10’では、
図38に示すように、光伝搬性線路12’に対する、磁性部材13’の幅方向における配置の精度は低下する。このような事象に対し、上記の構成を有する非相反性導波路10は、製造時における最表層に一時的に設けられるマスク層よりも基板11側に位置するマスク15が磁性部材13の形成位置を調整するので、光伝搬性線路12に対して高い位置精度で磁性部材13を配置し得る。
【0057】
また、本実施形態の非相反性導波路10では、マスク15は基板面ssに垂直な方向における絶縁層14の厚みの中央位置より基板11側に位置する。このような構成により、非相反性導波路10は、光伝搬性線路12に対する磁性部材13の位置精度を向上し得る。
【0058】
また、本実施形態の非相反性導波路10では、基板面ssに垂直な方向から見た、マスク15の幅方向における磁性部材13側の端は、光伝搬性線路12の磁性部材13側の端を越える。このような構成により、非相反性導波路10は、製造時のトレンチtr形成工程において基板11側で幅が広がる逆テーパ状のトレンチtrが形成されるエッチングを行っても、光伝搬性線路12に対する磁性部材13の位置精度を向上し得る。
【0059】
また、本実施形態の非相反性導波路10では、基板面ssに垂直な方向から見た、マスク15は光伝搬性線路12の磁性部材13側の端部を覆わない。このような構成により、非相反性導波路10は、製造時のトレンチtr形成工程において基板11の逆側で幅が広がるテーパ状のトレンチtrが形成されるエッチングを行っても、光伝搬性線路12に磁性部材13を接近させ得る。
【0060】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0061】
本開示において「第1」、「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」、「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1のマスク層は、第2のマスク層と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」、「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0062】
10、10’ 非相反性導波路
11 基板
12、12’ 光伝搬性線路
13、13’ 磁性部材
14 絶縁層
15 マスク
16 ストップ層
17 強磁性部材
18 第1の絶縁体
19 第1のマスク層
20 第2の絶縁体
21 第2のマスク層
22 中間マスク層
23 中間絶縁体
24 磁性体
25 第3のマスク層
26 第4のマスク層
27 第3の絶縁体
ss 基板面
tr トレンチ
tr1 第1のトレンチ形成領域