(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】業務支援システム、業務支援方法及び業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/08 20120101AFI20240918BHJP
【FI】
G06Q40/08
(21)【出願番号】P 2023142631
(22)【出願日】2023-09-04
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 正晴
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 博将
(72)【発明者】
【氏名】上野 靖
(72)【発明者】
【氏名】舟久保 和希
(72)【発明者】
【氏名】野崎 裕嗣
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-015919(JP,A)
【文献】特開2023-112932(JP,A)
【文献】特開2022-023651(JP,A)
【文献】特開2020-106902(JP,A)
【文献】2 窮地の火災保険を救え 損害調査をAIで一新,日経コンピュータ no.1051 NIKKEI COMPUTER,日本,日経BP Nikkei Business Publications,Inc.,2021年09月16日,第26-29ページ,ISSN:0285-4619
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物についての保険の契約情報が示す複数の保険契約者のうちのいずれかの保険契約者である対象者からの申請であって、前記対象者が契約する建築物の位置である計測済地点の浸水高を示す申請を受け付ける申請受付部と、
前記複数の
保険契約者のうちの
前記申請受付部によって前記申請が受け付けされていない
保険契約者である未申請者
についての前記契約情報が示す前記未申請者が契約する建築物の位置を
示す推定地点の浸水高を
、前記推定地点を基準とする制限距離以内に制限数以上の計測済地点が存在する場合に、前記制限距離以内に存在する前記計測済地点における浸水高と、前記制限距離以内に存在する前記計測済地点の標高と、前記推定地点の標高とから推定する浸水高推定部と、
前記契約情報を参照して、前記浸水高推定部によって推定された前記推定地点の
うち推定された前記浸水
高が基準高以上である
前記推定地点に契約する建築物がある未申請者を特定する被災特定部と、
前記契約情報を参照して、前記被災特定部によって特定された前記未申請者
の連絡先を特定し、前記連絡先に対して通知する通知部と
を備える業務支援システム。
【請求項2】
前記申請受付部は、前記申請に対する承認又は非承認の入力を受け付け、
前記浸水高推定部は、承認の入力がされた前記申請が示す浸水高を用いて、前記推定地点の浸水高を推定する
請求項
1に記載の業務支援システム。
【請求項3】
前記業務支援システムは、さらに、
前記推定地点の周辺に存在する計測済地点の数と、前記推定地点から前記推定地点の周辺に存在する計測済地点までの距離とから、前記浸水高推定部によって推定された前記浸水高の精度を計算する精度計算部
を備え、
前記通知部は、前記精度計算部によって計算された前記精度に応じた通知内容を通知する
請求項1に記載の業務支援システム。
【請求項4】
前記業務支援システムは、保険の支払業務の支援を行い、
前記通知部は、前記精度が基準以上の場合には、保険金の支払を行う旨の通知を行い、前記精度が基準未満の場合には、保険金の支払の可能性がある旨の通知を行う
請求項
3に記載の業務支援システム。
【請求項5】
コンピュータが、建築物についての保険の契約情報が示す複数の保険契約者のうちのいずれかの保険契約者である対象者からの申請であって、前記対象者が契約する建築物の位置である計測済地点の浸水高を示す申請を受け付け、
コンピュータが、
前記複数の
保険契約者のうちの
前記申請が受け付けされていない
保険契約者である未申請者
についての前記契約情報が示す前記未申請者が契約する建築物の位置を
示す推定地点の浸水高を
、前記推定地点を基準とする制限距離以内に制限数以上の計測済地点が存在する場合に、前記制限距離以内に存在する前記計測済地点における浸水高と、前記制限距離以内に存在する前記計測済地点の標高と、前記推定地点の標高とから推定し、
コンピュータが、
前記契約情報を参照して、推定された前記推定地点の
うち推定された前記浸水
高が基準高以上である
前記推定地点に契約する建築物がある未申請者を特定し、
コンピュータが、
前記契約情報を参照して、特定された前記未申請者
の連絡先を特定し、前記連絡先に対して通知する業務支援方法。
【請求項6】
建築物についての保険の契約情報が示す複数の保険契約者のうちのいずれかの保険契約者である対象者からの申請であって、前記対象者が契約する建築物の位置である計測済地点の浸水高を示す申請を受け付ける申請受付処理と、
前記複数の
保険契約者のうちの
前記申請受付処理によって前記申請が受け付けされていない
保険契約者である未申請者
についての前記契約情報が示す前記未申請者が契約する建築物の位置を
示す推定地点の浸水高を
、前記推定地点を基準とする制限距離以内に制限数以上の計測済地点が存在する場合に、前記制限距離以内に存在する前記計測済地点における浸水高と、前記制限距離以内に存在する前記計測済地点の標高と、前記推定地点の標高とから推定する浸水高推定処理と、
前記契約情報を参照して、前記浸水高推定処理によって推定された前記推定地点の
うち推定された前記浸水
高が基準高以上である
前記推定地点に契約する建築物がある未申請者を特定する被災特定処理と、
前記契約情報を参照して、前記被災特定処理によって特定された前記未申請者
の連絡先を特定し、前記連絡先に対して通知する通知処理と
を行う業務支援システムとしてコンピュータを機能させる業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浸水被害に対する保険業務等を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の決壊等が発生した地域では、多くの家屋等の建築物が浸水被害を受ける。浸水被害を受けた建築物に対して保険を掛けている保険契約者は、保険会社に対して保険の支払申請を行う。保険会社では、支払申請の内容を確認の上、保険金の支払を行う。浸水被害を受けた人の生活の早期再建を実現するために、保険金の支払を迅速に行うことが望ましい。
しかし、一部の保険契約者から保険会社に対して保険の支払申請が行われないことがある。保険の支払申請が行われないと、被害状況の確認が遅れ、保険金の支払が遅くなってしまう。
【0003】
特許文献1には、上空画像から家屋の被害レベルを判定し、全損と判定された家屋の位置に基づき通知対象のユーザを選択することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、被害を受けた地域の全ての保険契約者に対して、通知を行うことが考えられる。これにより、ある程度、保険の支払申請を促すことができる。しかし、保険金の支払対象になっていないと考えている保険契約者等は、一律に行われた通知を無視してしまう可能性が高い。通知が無視されてしまい、保険の支払申請が行われないと、被害状況の確認が遅れ、保険金の支払が遅くなってしまう。
本開示は、保険金の支払等を迅速に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る業務支援システムは、
複数の人のうちの申請がされていない人である未申請者の建築物の位置である推定地点の浸水高を推定する浸水高推定部と、
前記浸水高推定部によって推定された前記浸水高が基準高以上である未申請者を特定する被災特定部と、
前記被災特定部によって特定された前記未申請者に対して通知する通知部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、浸水高を推定し、浸水高が基準高以上である未申請者に対して通知する。これにより、保険金の支払対象である可能性が高い保険契約者等に絞り込んで通知を行うことができる。そのため、保険の支払申請を強く促す通知等を行うことができる。その結果、保険の支払申請等が促進され、保険金の支払等を迅速に行えるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る業務支援システム100の構成図。
【
図2】実施の形態1に係る業務支援装置10の構成図。
【
図3】実施の形態1に係る点群処理装置20の構成図。
【
図5】実施の形態1に係る申請処理のフローチャート。
【
図6】実施の形態1に係る査定情報231の説明図。
【
図7】実施の形態1に係る査定情報231の説明図。
【
図8】実施の形態1に係る承認処理のフローチャート。
【
図9】実施の形態1に係る査定情報231の説明図。
【
図10】実施の形態1に係る通知処理のフローチャート。
【
図11】実施の形態1に係る浸水高推定処理の説明図。
【
図12】実施の形態1に係る契約情報232の説明図。
【
図13】変形例1に係る業務支援システム100の構成図。
【
図14】実施の形態2に係る点群処理装置20の構成図。
【
図15】実施の形態2に係る通知処理のフローチャート。
【
図16】実施の形態3に係る業務支援装置10の構成図。
【
図17】実施の形態3に係る点群処理装置20の構成図。
【
図18】実施の形態3に係る申請処理のフローチャート。
【
図19】実施の形態3に係る承認処理のフローチャート。
【
図20】実施の形態3に係る通知処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1では、保険の支払業務を支援する例を用いて説明する。しかし、保険の支払業務に限らず、罹災証明書の発行業務を支援すること等も可能である。
また、実施の形態1では、保険の対象となる建築物が、保険契約者が住んでいる家屋であると仮定して説明する。しかし、保険の対象となる建築物は、保険契約者が住んでいる家屋に限らず、他の建築物でもよい。
【0010】
以下の説明では、保険契約者は、建築物に対して保険を掛けている人である。対象者は、保険契約者のうち保険の支払申請を行う人である。未申請者は、保険契約者のうち保険の支払申請を行っていない人である。人は、保険契約者等に限定されない、一般的な人である。
【0011】
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る業務支援システム100の構成を説明する。
業務支援システム100は、業務支援装置10と点群処理装置20とを備える。業務支援装置10と点群処理装置20とは、ネットワーク90を介して接続されている。また、業務支援装置10及び点群処理装置20は、複数の撮影端末30とネットワーク90を介して接続されている。
【0012】
図2を参照して、実施の形態1に係る業務支援装置10の構成を説明する。
業務支援装置10は、コンピュータである。
業務支援装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0013】
業務支援装置10は、機能構成要素として、申請受付部111と、被災情報取得部112と、通知部113とを備える。業務支援装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、業務支援装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、業務支援装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0014】
図3を参照して、実施の形態1に係る点群処理装置20の構成を説明する。
点群処理装置20は、コンピュータである。
点群処理装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信インタフェース24とのハードウェアを備える。プロセッサ21は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0015】
点群処理装置20は、機能構成要素として、情報処理部211と、浸水高推定部212と、被災特定部213とを備える。点群処理装置20の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ23には、点群処理装置20の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ21によりメモリ22に読み込まれ、プロセッサ21によって実行される。これにより、点群処理装置20の各機能構成要素の機能が実現される。
【0016】
ストレージ23には、査定情報231と、契約情報232と、地理情報233とが記憶される。
【0017】
図4を参照して、実施の形態1に係る撮影端末30の構成を説明する。
撮影端末30は、保険契約者が使用するスマートフォン等のコンピュータである。
撮影端末30は、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信インタフェース34と、カメラ35と、測位装置36とのハードウェアを備える。プロセッサ31は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0018】
撮影端末30は、機能構成要素として、撮影部311と、通信部312と、計測部313とを備える。撮影端末30の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ33には、撮影端末30の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ31によりメモリ32に読み込まれ、プロセッサ31によって実行される。これにより、撮影端末30の各機能構成要素の機能が実現される。
【0019】
測位装置36は、撮影部311と連動して撮影端末30の現在位置を測位する。測位装置36は、具体例として、GPSである。GPSは、Global Positioning Systemの略である。
【0020】
プロセッサ11,21,31は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11,21,31は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0021】
メモリ12,22,32は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12,22,32は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0022】
ストレージ13,23,33は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13,23,33は、具体例としては、HDDである。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13,23,33は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0023】
通信インタフェース14,24,34は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14,24,34は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0024】
図2では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。同様に、
図3,4では、プロセッサ21,31は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ21,31は、複数であってもよく、複数のプロセッサ21,31が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0025】
***動作の説明***
図5から
図11を参照して、実施の形態1に係る業務支援システム100の動作を説明する。
実施の形態1に係る業務支援システム100の動作手順は、実施の形態1に係る業務支援方法に相当する。また、実施の形態1に係る業務支援システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る業務支援プログラムに相当する。
【0026】
業務支援システム100の動作は、申請処理と、承認処理と、通知処理とを含む。
【0027】
図5を参照して、実施の形態1に係る申請処理を説明する。
申請処理は、建築物に対して保険を掛けている複数の保険契約者のうちのいずれかの保険契約者である対象者が保険の支払申請を行う処理である。申請処理では、対象者が保険契約している建築物の位置である計測済地点の浸水高が計測される。
【0028】
(ステップS11:撮影処理)
撮影端末30の撮影部311は、カメラ35により査定対象物を撮影する。ここでは、浸水高を計測する。そのため、査定対象物は、地盤面から対象者の家屋の壁面に付いた浸水線までを含む家屋及びその周辺の領域である。
具体的には、撮影部311は、保険の支払申請用のウェブアプリケーションプログラムを起動させる。そして、撮影部311は、ウェブアプリケーションプログラムの撮影機能を利用して、査定対象物を撮影する。この際、撮影部311は、対象者の操作に従い、撮影領域が一部重なるように撮影領域を少しずつずらしながら、査定対象物を撮影して、複数の画像データを取得する。ウェブアプリケーションプログラムでは、各画像データを取得した時点におけるカメラ35の位置と撮影日時といったカメラ情報を、対応する画像データに紐づけてメモリ32に記憶する。カメラ35の位置とは、測位装置36から取得される撮影端末30の緯度経度情報である。
【0029】
(ステップS12:画像送信処理)
撮影端末30の通信部312は、対象者の識別子である契約者番号とともに、ステップS11で取得された複数の画像データを点群処理装置20に送信する。この際、通信部312は、各画像データに紐づけられたカメラ情報も、対応する画像データに紐づけて送信する。
このとき通信部312は、対象者より契約者番号の入力を受け付ける。対象者は、自分が加入している保険の契約者番号がわかっているため、保険の支払申請用のウェブアプリケーションプログラムに契約者番号を入力することができる。
【0030】
(ステップS13:点群生成処理)
点群処理装置20の情報処理部211は、ステップS12で送信された契約者番号と、複数の画像データと、各画像データに紐づけられたカメラ情報とを取得する。情報処理部211は、複数の画像データと、各画像データに紐づけられたカメラ情報とから、査定対象物の3次元点群データを生成する。具体的には、情報処理部211は、SfM技術により、3次元点群データを生成する。SfMは、Structure from Motionの略である。
情報処理部211は、保険の支払申請の識別子となる事故番号を割り振る。そして、情報処理部211は、事故番号と、取得された契約者番号と、生成された3次元点群データとを、査定情報231に登録する。また、情報処理部211は、生成された3次元点群データを撮影端末30に送信する。
【0031】
図6を参照して、実施の形態1に係る査定情報231を説明する。
査定情報231は、事故番号と、契約者番号と、3次元点群データと、査定結果と、ステータスとを含む。事故番号と契約者番号と3次元点群データとは、上述した通りである。査定結果は、浸水高を示す。ステータスは、保険の支払申請の状態を示す。
ステップS13では、
図6の事故番号“J0001”のように、事故番号と契約者番号と3次元点群データとが設定される。査定結果については空欄である。また、ステータスについては申請中が設定される。
【0032】
ここで、3次元点群データは、OBJファイルと、MTLファイルと、テキスチャーファイルと、画像ファイルと、サムネイルファイルとを含む。OBJファイルは、3次元点群の座標データ等を示す3次元データファイルである。MTLファイルは、テキスチャーマッピングを行う際に必要となる情報が記述されたファイルである。テキスチャーファイルは、MTLファイルに従い、OBJファイルが示す3次元点群に貼り付けされるテキスチャーの画像データである。画像ファイルは、ステップS12で送信された画像データである。サムネイルファイルは、画像ファイルが示す画像データを縮小したデータである。
【0033】
(ステップS14:点群取得処理)
撮影端末30の通信部312は、ステップS13で送信された3次元点群データを取得する。計測部313は、3次元点群データを表示装置に表示して、浸水線を指定させる。ここで、計測部313は、3次元点群データを表示する際、OBJファイルが示す3次元点群にテキスチャーファイルが示すテキスチャーの画像データを貼り付けて、査定対象物を復元した3次元モデルを表示する。そして、計測部313は、地盤面から浸水線までの水平方向に対する垂直方向の距離を浸水高として計測する。
【0034】
(ステップS15:計測結果表示処理)
撮影端末30の計測部313は、ステップS14で計測された結果を表示装置に表示する。
【0035】
(ステップS16:計測結果送信処理)
撮影端末30の通信部312は、ステップS14で計測された結果を点群処理装置20に送信する。
【0036】
(ステップS17:計測結果登録処理)
点群処理装置20の情報処理部211は、ステップS16で送信された結果を取得する。情報処理部211は、取得された結果を、査定情報231に登録する。例えば、
図7の事故番号“J0001”のように、計測された結果である浸水高が設定される。また、ステータスが申請済に更新される。
すると、情報処理部211は、対象者からステップS13で割り振られた事故番号が示す保険の支払申請がされたものとして、業務支援装置10に事故番号を通知する。
【0037】
図8を参照して、実施の形態1に係る承認処理を説明する。
承認処理は、保険の支払申請の稟議を行い、支払申請の承認又は非承認を行う処理である。
【0038】
(ステップS21:申請確認処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、ステップS17で事故番号が通知されると、保険の支払申請を受け付ける。申請受付部111は、点群処理装置20の査定情報231から、事故番号に対応するレコードを読み出す。
【0039】
(ステップS22:承認判定処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、ステップS21で読み出されたレコードの情報を表示して、保険の支払申請に対する承認又は非承認の入力を受け付ける。
具体的には、申請受付部111は、ステップS14の処理と同様に3次元点群データを表示して、適切に計測が行われているか否かを担当者に判定させる。適切に計測が行われている場合には、承認の入力がされ、適切に計測が行われていない場合には、非承認の入力がされる。そして、申請受付部111は、入力結果を点群処理装置20に送信する。
【0040】
(ステップS23:承認結果登録処理)
点群処理装置20の情報処理部211は、ステップS22で送信された入力結果を取得する。情報処理部211は、入力結果を査定情報231に登録する。例えば、
図9の事故番号“J0001”のように、入力結果が設定される。また、ステータスが、承認の場合には、承認済に更新され、非承認の場合には、非承認に更新される。
そして、承認の入力がされた場合には、保険金の支払に向けた処理が行われることになる。一方、非承認の入力がされた場合には、非承認の理由等が対象者に通知され、必要に応じて保険の支払申請が再度される。
【0041】
図10を参照して、実施の形態1に係る通知処理を説明する。
通知処理は、保険の支払申請を行っていない保険契約者のうち、浸水被害が発生したと推定される保険契約者に対して、通知を行い、保険の支払申請を促す処理である。
【0042】
(ステップS31:地域指定処理)
業務支援装置10の被災情報取得部112は、通知を行う対象地域を示す地域情報を点群処理装置20に送信する。
具体的には、被災情報取得部112は、浸水被害が発生したと推定される地域を指定させる。地域の指定は、市区町村等によってされてもよいし、地図を線で囲むこと等によってされてもよい。被災情報取得部112は、指定された地域を示す地域情報を点群処理装置20に送信する。
【0043】
(ステップS32:浸水高推定処理)
点群処理装置20の浸水高推定部212は、ステップS31で送信された地域情報を取得する。浸水高推定部212は、地域情報が示す地域に含まれる推定地点であって、複数の保険契約者のうちの保険の支払申請がされていない保険契約者である未申請者が保険契約している建築物の位置である推定地点の浸水高を推定する。
具体的には、浸水高推定部212は、ステップS23で承認の入力がされた支払申請が示す浸水高を用いて、推定地点の浸水高を推定する。
図11に示すように、浸水高は、浸水時の海抜高さから標高を減算することによって計算される。ここで、各地点の標高は、国土地理院の標高データ等に示されており、地理情報233に記憶されている。そのため、推定地点の近隣の浸水高が分かれば、推定地点の近隣における浸水時の海抜高さが分かる。そして、推定地点の近隣における浸水時の海抜高さから、推定地点の浸水時の海抜高さを推定することができ、推定地点の浸水高を推定することができる。
【0044】
まず、浸水高推定部212は、査定情報231及び契約情報232を参照して、未申請者を特定する。
図12に示すように、契約情報232には、各保険契約者について、契約者番号と、契約者名と、連絡先と、建物名と、建物住所とが設定されている。連絡先は、例えばメールアドレス又は電話番号である。建物名は、契約者の家屋である建物を識別する情報である。建物住所は、契約者の家屋である建物がある地点を示す情報である。したがって、浸水高推定部212は、建物住所が地域情報が示す地域に含まれ、かつ、査定情報231に保険の支払申請がない保険契約者を特定することで、未申請者を特定できる。
また、浸水高推定部212は、ステップS23で承認の入力がされた支払申請を用いて、その支払申請についての保険契約者の住所における浸水高を特定する。浸水高推定部212は、契約情報232を参照することにより、支払申請についての保険契約者の住所(建物住所)を特定することができる。
そして、浸水高推定部212は、統計的な手法、又は、AIのモデル等を用いて、未申請者の住所が示す推定地点の近隣の浸水高から、推定地点の浸水高を推定する。AIは、Artificial Intelligenceの略である。ここで、AIのモデルは、例えば、ニューラルネットワークを用いて生成されたモデルである。AIのモデルは、近隣の浸水高と、周辺における各地の標高データと等を入力として、指定した地点の浸水高を推論するモデルである。
【0045】
(ステップS33:被災特定処理)
点群処理装置20の被災特定部213は、ステップS32で推定された推定地点の浸水高から、建築物の位置の浸水高が基準高以上である未申請者を特定する。例えば、被災特定部213は、基準高を45cmとして、建築物の位置の浸水高が45cm以上である未申請者を特定する。cmは、CentiMetreの略である。
なお、床上浸水の高さにより建築物の位置の浸水高が基準高以上である未申請者を特定することも考えられる。床上浸水の高さは、ステップS32で推定された浸水高から建物の基礎の高さを減算して計算される。未申請者の建物の基礎の高さが特定されている場合には、被災特定部213は、浸水高から建物の基礎の高さを減算して、床上浸水の高さを計算すればよい。未申請者の建物の基礎の高さが特定されていない場合には、被災特定部213は、一般的な建物の基礎の高さ(例えば40cm)を用いて、床上浸水の高さを推定する。そして、被災特定部213は、床上浸水の高さが、床上浸水の基準高以上である未申請者を特定する。
被災特定部213は、特定された未申請者について、契約者番号と、特定された未申請者についてステップS32で推定された浸水高との組を業務支援装置10に送信する。
【0046】
(ステップS34:通知処理)
業務支援装置10の通知部113は、ステップS33で特定された未申請者に対して通知する。
具体的には、通知部113は、ステップS33で送信された未申請者についての契約者番号と浸水高との組を取得する。通知部113は、点群処理装置20の契約情報232を参照して、契約者番号に対応する契約者名と連絡先とを取得する。通知部113は、浸水高から保険金の支払額を特定する。ここでは、浸水高に応じて保険金の支払額が決まっているものとする。そして、通知部113は、取得された連絡先に対して、特定された支払額を目安とする保険金の支払ができる可能性があることを通知する。連絡先がメールアドレスであれば、通知部113は、電子メールにより、特定された支払額を目安とする保険金の支払ができる可能性があることを記載したメッセージを送信する。
【0047】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る業務支援装置10は、浸水高を推定し、浸水高が基準高以上である未申請者に対して通知する。これにより、保険金の支払対象である可能性が高い保険契約者に絞り込んで通知を行うことができる。そのため、保険の支払申請を強く促す通知等を行うことができる。その結果、保険の支払申請が促進され、保険金の支払を迅速に行えるようにできる。
【0048】
特に、実施の形態1に係る業務支援装置10は、未申請者についての浸水高を推定することにより、保険金の支払額を推定することができる。そして、業務支援装置10は、支払額を目安とする保険金の支払ができる可能性があることを通知する。これにより、保険の支払申請を強く促す通知等を行うことができる。その結果、保険の支払申請が促進され、保険金の支払を迅速に行えるようにできる。
【0049】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、業務支援装置10と点群処理装置20とを別の装置で構成した。しかし、
図13に示すように、業務支援装置10に点群処理装置20の機能を加えて、業務支援装置10と点群処理装置20とを1台の装置として構成して、業務支援システム100を構成してもよい。
【0050】
<変形例2>
実施の形態1では、
図10のステップS34において、業務支援装置10の通知部113は、特定された支払額を目安とする保険金の支払ができる可能性があることを通知した。また特定の条件に適応した場合は、簡素化した手続きで保険金を支払う、あるいは迅速に保険金を支払う等の対応を取る場合もありえる。ステップS34において、その旨も合わせて通知することが可能である。
【0051】
<変形例3>
実施の形態1では、
図10のステップS32において、点群処理装置20の浸水高推定部212は、既に保険の支払申請がされ、承認された保険契約者についての浸水高を用いて、推定地点の浸水高を推定した。しかし、他の方法により浸水高が特定された地点がある場合には、浸水高推定部212は、その浸水高を用いて、推定地点の浸水高を推定してもよい。
例えば、衛星等に搭載された合成開口レーダによって得られた画像データから、各地の浸水高を特定する技術がある。浸水高推定部212は、この技術により特定された浸水高を用いて、推定地点の浸水高を推定してもよい。また、浸水高推定部212は、過去基準期間の降水量を考慮して推定地点の浸水高を推定してもよい。
【0052】
<変形例4>
実施の形態1では、
図10のステップS32において、点群処理装置20の浸水高推定部212は、既に保険の支払申請がされ、承認された保険契約者についての浸水高を用いて、推定地点の浸水高を推定した。推定地点の近隣に、浸水高が計測された計測済地点がある程度存在しなければ、推定地点の浸水高を適切に推定することはできない。つまり、推定地点の近隣に、既に保険の支払申請がされ、承認された保険契約者の住所がある程度存在しなければ、推定地点の浸水高を適切に推定することはできない。
そこで、
図10のステップS32では、浸水高推定部212は、推定地点を基準とする制限距離以内に制限数以上の計測済地点が存在する場合に、推定地点の浸水高を推定するようにしてもよい。浸水高推定部212は、推定地点を基準とする制限距離以内に制限数以上の計測済地点が存在しない場合には、推定ができないことを業務支援装置10に通知してもよい。
これにより、精度が低い浸水高に基づき、未申請者に通知がされる可能性を低くすることができる。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態2は、推定された浸水高の精度を計算する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明して、同一の点については説明を省略する。
【0054】
***構成の説明***
図14を参照して、実施の形態2に係る点群処理装置20の構成を説明する。
点群処理装置20は、機能構成要素として、精度計算部214を備える点が
図3に示す点群処理装置20と異なる。精度計算部214の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェアによって実現される。
【0055】
***動作の説明***
図15を参照して、実施の形態2に係る通知処理を説明する。
ステップS41からステップS42の処理は、
図10のステップS31からステップS32の処理と同じである。また、ステップS44の処理は、
図10のステップS33の処理と同じである。
【0056】
(ステップS43:精度計算処理)
点群処理装置20の精度計算部214は、ステップS42で推定された浸水高の精度を計算する。
具体的には、精度計算部214は、推定地点の周辺に存在する計測済地点の数と、推定地点から推定地点の周辺に存在する計測済地点までの距離とから、推定された浸水高の精度を計算する。推定地点の近くに多くの計測済地点があるほど、推定された浸水高の精度は高くなる。また、精度計算部214は、推定された浸水高を他の方法で推定された浸水高と比較することにより、精度を計算してもよい。他の方法とは、合成開口レーダによって得られた画像データ等に基づく方法である。推定された浸水高が他の方法で推定された浸水高と近いほど、推定された浸水高の精度は高くなる。
【0057】
(ステップS45:通知処理)
業務支援装置10の通知部113は、ステップS43で計算された精度に応じた通知内容を通知する。例えば、通知部113は、精度が基準以上の場合には、保険金の支払を行う旨の通知を行い、精度が基準未満の場合には、保険金の支払の可能性がある旨の通知を行う。
【0058】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る業務支援システム100は、推定された浸水高の精度を計算する。そして、業務支援システム100は、精度に応じた通知内容を通知する。これにより、精度が高い場合には、より強く保険の支払申請を促す通知を行うようにすることができる。
【0059】
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1では点群処理装置20のストレージ23に記憶されていた一部の情報が業務支援装置10に記憶されている点が実施の形態1と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明して、同一の点については説明を省略する。
【0060】
実施の形態1では、業務支援装置10と点群処理装置20とを別の装置で構成した。また、変形例1では、業務支援装置10に点群処理装置20の機能を加えて、業務支援装置10と点群処理装置20とを1台の装置として構成して、業務支援システム100を構成してもよいとした。この実施の形態1及び変形例1の構成では、点群処理装置20のストレージ23に査定情報231等の機微な情報を記憶しているため、点群処理装置20は保険会社が有している前提としている。
しかしながら点群処理装置20を保険会社以外が所有して保険会社に対して、浸水高に関する情報を提供するような構成も考えられる。
【0061】
***構成の説明***
実施の形態3は、業務支援装置10を保険会社が所有し、点群処理装置20は業務支援装置10に対して浸水高の情報を提供する形態とする。
業務支援システム100の構成は
図1と同じ、撮影端末30の構成は
図4と同じである。
図16と
図17とを参照して実施の形態3に係る業務支援装置10と点群処理装置20の構成を説明する。
図16に示すように、査定情報131と、契約情報132とが、業務支援装置10のストレージ13に記憶されている。査定情報131と、契約情報132とは、実施の形態1で説明した査定情報231と、契約情報232と同じである。一方、
図17に示すように、点群処理装置20のストレージ13には、査定情報231と、契約情報232とは記憶されていない。また、点群処理装置20は、機能構成要素として、被災特定部213を備えていない。
【0062】
***動作の説明***
図18から
図20を参照して実施の形態3に係る業務支援システム100の申請処理と、承認処理と、通知処理との動作に説明する。
図18を参照して、実施の形態3に係る申請処理を説明する。ステップS51の処理は、
図5のステップS11の処理と同じである。また、ステップS56からステップS57の処理は、
図5のステップS14からステップS15の処理と同じである。
【0063】
(ステップS52:画像送信処理)
撮影端末30の通信部312は、対象者の識別子である契約者番号とともに、ステップS51で取得された複数の画像データを業務支援装置10に送信する。この際、通信部312は、各画像データに紐づけられたカメラ情報も、対応する画像データに紐づけて送信する。
【0064】
(ステップS53:点群要求処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、撮影端末30からの申請を受け付け、受信した情報のうち複数の画像データと、各画像データに紐づけられたカメラ情報とを点群処理装置20に送信し、3次元点群データの生成を要求する。ステップS52で受信した契約者番号は、一時的にメモリ12に記憶する。
【0065】
(ステップS54:点群生成処理)
点群処理装置20の情報処理部211は、ステップS53で送信された複数の画像データと、各画像データに紐づけられたカメラ情報とを取得する。情報処理部211は、複数の画像データと、各画像データに紐づけられたカメラ情報とから、査定対象物の3次元点群データを生成する。情報処理部211は、生成した3次元点群データを業務支援装置10に送信する。
【0066】
(ステップS55:査定情報登録処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、保険の支払申請の識別子となる事故番号を割り振る。そして、情報処理部211は、事故番号と、メモリ12に記憶された契約者番号と、取得された3次元点群データとを、査定情報131に登録する。また、申請受付部111は、生成された3次元点群データを撮影端末30に送信する。
図6の事故番号“J0001”のように、事故番号と契約者番号と3次元点群データとが設定される。査定結果については空欄である。また、ステータスについては申請中が設定される。
【0067】
(ステップS58:計測結果送信処理)
撮影端末30の通信部312は、ステップS56で計測された結果を業務支援装置10に送信する。
【0068】
(ステップS59:計測結果登録処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、ステップS58で送信された結果を取得する。情報処理部211は、取得された結果を、査定情報131に登録する。例えば、
図7の事故番号“J0001”のように、計測された結果である浸水高が設定される。また、ステータスが申請済に更新される。
【0069】
図19を参照して、実施の形態3に係る承認処理を説明する。
(ステップS61:申請確認処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、ステップS59で対象者からの申請受付に基づき査定情報131にステータスが申請済である新たな事件番号が蓄積されると、事故番号に対応するレコードを読み出す。この申請確認処理は、査定情報231に新たな事件番号のレコードが追加されると都度処理されるように構成してもよいし、予め定めた時間にステータスが申請済のレコードをまとめて処理するように構成してもよい。
【0070】
(ステップS62:承認判定処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、ステップS61で読み出されたレコードの情報を表示して、保険の支払申請に対する承認又は非承認の入力を受け付ける。
具体的には、申請受付部111は、ステップS56の処理と同様に3次元点群データを表示して、適切に計測が行われているか否かを担当者に判定させる。適切に計測が行われている場合には、承認の入力がされ、適切に計測が行われていない場合には、非承認の入力がされる。
【0071】
(ステップS63:承認結果登録処理)
業務支援装置10の申請受付部111は、入力結果を査定情報131に登録する。例えば、
図9の事故番号“J0001”のように、入力結果が設定される。また、ステータスが、承認の場合には、承認済に更新され、非承認の場合には、非承認に更新される。
そして、承認の入力がされた場合には、保険金の支払に向けた処理が行われることになる。一方、非承認の入力がされた場合には、非承認の理由等が対象者に通知され、必要に応じて保険の支払申請が再度される。
【0072】
図20を参照して、実施の形態3に係る通知処理を説明する。
ステップS74の処理は、
図10のステップS34と同じである。
【0073】
(ステップS71:地域指定処理)
業務支援装置10の被災情報取得部112は、通知を行う対象地域を示す地域情報を点群処理装置20に送信する。
具体的には、被災情報取得部112は、浸水被害が発生したと推定される地域を指定させる。地域の指定は、市区町村等によってされてもよいし、地図を線で囲むこと等によってされてもよい。被災情報取得部112は、指定された地域を示す地域情報を点群処理装置20に送信する。合わせて被災情報取得部112は、査定情報131及び契約情報232を参照して、地域情報内で承認が入力された住所と浸水高とを送信する。
【0074】
(ステップS72:浸水高推定処理)
点群処理装置20の浸水高推定部212は、ステップS71で送信された地域情報と、承認された住所とその浸水高とを取得する。浸水高推定部212は、地域情報が示す地域に含まれる推定地点の浸水高を推定する。
浸水高の推定方法は実施の形態1においてステップS32で説明したとおりだが、ステップS72においては、取得した地域情報の浸水高を漏れなく推定する。漏れなく推定するとは、地域情報で特定されるエリアを等間隔で区切り、区切った領域毎の浸水高を推定することを示す。どのような間隔でエリアを区切るかは地域情報の大きさ又は査定される浸水被害の大きさ等の情報に基づき、任意に設定できるものとする。これにより、地域情報が示す地域に存在する未申請者の建築物の位置を含む各地点の浸水高が推定される。点群処理装置20の浸水高推定部212は、推定した浸水高を業務支援装置10に送信する。
【0075】
(ステップS73:被災特定処理)
業務支援装置10の被災情報取得部112は、ステップS72で推定された推定地点の浸水高から、建築物の浸水高が基準高以上である未申請者を特定する。未申請者の特定方法は、実施の形態1においてステップS32で説明したとおりである。
ステップS72において、業務支援装置10から点群処理装置20に対して、申請が承認された建物住所とその建物住所に対応する浸水高の情報とが送信される。しかし、対象の契約が特定される情報を送信するだけであれば、個人情報の扱いとしては問題ないと言える。
【0076】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る業務支援システム100は、保険会社が所有する業務支援装置10に対して、点群処理装置20が浸水高の情報を提供する構成である。撮影端末30からの申請受付は業務支援装置10が受け付け、機微な情報は業務支援装置10が有している。そのため、点群処理装置20を複数の保険会社が有する複数の業務支援装置10に対して浸水高の推定情報を提供するように構成することも可能である。
【0077】
<変形例5>
以上の実施の形態では、保険の支払業務を支援する例を用いて説明した。業務支援装置10は、保険の支払業務以外にも、罹災証明書の発行の業務についても同様に支援することができる。つまり、以上の実施の形態では、業務支援装置10は、浸水被害を受けているにも関わらず保険の支払申請がされていない未申請者に通知を行った。しかし、業務支援装置10は、浸水被害を受けているにも関わらず罹災証明書の発行申請がされていない未申請者に通知を行うこともできる。
罹災証明書の発行業務を支援する場合には、以上の実施の形態における保険の支払業務に関する用語が、罹災証明書の発行業務に関する用語に読み替えられる。例えば、保険の支払申請が罹災証明書の発行申請と読み替えられる。保険契約者が住民と読み替えられる。保険会社が役所等と読み替えられる。契約情報が住民情報と読み替えられる。契約者番号が住民番号等と読み替えられる。
【0078】
実施の形態3の構成を用いて、罹災証明書の発行の業務を支援するとする。この場合には、点群処理装置20は業務支援装置10からの要求だけではなく、例えば罹災証明書の発行等に関して市町村等の役所が保有する装置からの供給に応じても浸水高の推定情報を提供するように構成することも可能である。
【0079】
<変形例6>
以上の実施の形態では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例6として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例6について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0080】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、業務支援装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0081】
同様に、各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、点群処理装置20は、プロセッサ21とメモリ22とストレージ23とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ22と、ストレージ23との機能とを実現する専用の回路である。
【0082】
同様に、各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、撮影端末30は、プロセッサ31とメモリ32とストレージ33とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ32と、ストレージ33との機能とを実現する専用の回路である。
【0083】
電子回路としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
【0084】
<変形例7>
変形例7として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0085】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0086】
また、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0087】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
複数の人のうちの申請がされていない人である未申請者の建築物の位置を含む推定地点の浸水高を推定する浸水高推定部と、
前記浸水高推定部によって推定された前記推定地点の前記浸水高から、建築物の位置の浸水高が基準高以上である未申請者を特定する被災特定部と、
前記被災特定部によって特定された前記未申請者に対して通知する通知部と
を備える業務支援システム。
(付記2)
前記業務支援システムは、さらに、
前記複数の人のうちのいずれかの人である対象者から前記申請であって、前記対象者の建築物の位置である計測済地点の浸水高を示す申請を受け付ける申請受付部
を備え、
前記浸水高推定部は、前記申請受付部によって受け付けされた前記申請が示す浸水高を用いて、前記推定地点の浸水高を推定する
付記1に記載の業務支援システム。
(付記3)
前記申請受付部は、前記申請に対する承認又は非承認の入力を受け付け、
前記浸水高推定部は、承認の入力がされた前記申請が示す浸水高を用いて、前記推定地点の浸水高を推定する
付記2に記載の業務支援システム。
(付記4)
前記浸水高推定部は、前記計測済地点における浸水高と、前記計測済地点の標高と、前記推定地点の標高とから、前記推定地点の浸水高を推定する
付記2又は3に記載の業務支援システム。
(付記5)
前記浸水高推定部は、合成開口レーダによって得られた画像データを用いて、前記推定地点の浸水高を推定する
付記4に記載の業務支援システム。
(付記6)
前記浸水高推定部は、前記推定地点を基準とする制限距離以内に制限数以上の計測済地点が存在する場合に、前記推定地点の浸水高を推定する
付記1から5までのいずれか1項に記載の業務支援システム。
(付記7)
前記業務支援システムは、さらに、
前記推定地点の周辺に存在する計測済地点の数と、前記推定地点から前記推定地点の周辺に存在する計測済地点までの距離とから、前記浸水高推定部によって推定された前記浸水高の精度を計算する精度計算部
を備え、
前記通知部は、前記精度計算部によって計算された前記精度に応じた通知内容を通知する
付記1から6までのいずれか1項に記載の業務支援システム。
(付記8)
前記業務支援システムは、保険の支払業務の支援を行い、
前記通知部は、前記精度が基準以上の場合には、保険金の支払を行う旨の通知を行い、前記精度が基準未満の場合には、保険金の支払の可能性がある旨の通知を行う
付記7に記載の業務支援システム。
(付記9)
コンピュータが、複数の人のうちの保険の支払申請がされていない人である未申請者の建築物の位置を含む推定地点の浸水高を推定し、
コンピュータが、推定された前記推定地点の前記浸水高から、建築物の位置の浸水高が基準高以上である未申請者を特定し、
コンピュータが、特定された前記未申請者に対して通知する業務支援方法。
(付記10)
複数の人のうちの申請がされていない人である未申請者の建築物の位置を含む推定地点の浸水高を推定する浸水高推定処理と、
前記浸水高推定処理によって推定された前記推定地点の前記浸水高から、建築物の位置の浸水高が基準高以上である未申請者を特定する被災特定処理と、
前記被災特定処理によって特定された前記未申請者に対して通知する通知処理と
を行う業務支援システムとしてコンピュータを機能させる業務支援プログラム。
【0088】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 業務支援システム、10 業務支援装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、111 申請受付部、112 被災情報取得部、113 通知部、20 点群処理装置、21 プロセッサ、22 メモリ、23 ストレージ、24 通信インタフェース、211 情報処理部、212 浸水高推定部、213 被災特定部、214 精度計算部、231 査定情報、232 契約情報、233 地理情報、30 撮影端末、31 プロセッサ、32 メモリ、33 ストレージ、34 通信インタフェース、35 カメラ、311 撮影部、312 通信部、313 計測部、90 ネットワーク。
【要約】 (修正有)
【課題】浸水被害を受けた被災者に対して、保険金の支払を迅速に行えるようにする業務支援システム、表無支援方法及び業務支援プログラムを提供する。
【解決手段】業務支援システムにおいて、点群処理装置は、複数の人のうちの申請がされていない人である未申請者の建築物の位置である推定地点の浸水高を推定し、未申請者のうち、推定した浸水高が基準高以上である未申請者を特定する。業務支援装置は、特定された未申請者に対して通知する。
【選択図】
図10