(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20240918BHJP
G01R 31/327 20060101ALI20240918BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01R31/12 Z
G01R31/327
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2023178427
(22)【出願日】2023-10-16
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】202310151301.3
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523367668
【氏名又は名称】国網江蘇省電力有限公司南京供電分公司
【氏名又は名称原語表記】State Grid Nanjing Power Supply Company
【住所又は居所原語表記】No. 1, Aoti street, Jianye District, Nanjing City, Jiangsu Province, P. R. CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 昊
(72)【発明者】
【氏名】蒋 涛
(72)【発明者】
【氏名】張 鋭
(72)【発明者】
【氏名】鄒 宇
(72)【発明者】
【氏名】許 洪華
(72)【発明者】
【氏名】張 海華
(72)【発明者】
【氏名】徐 晶冉
(72)【発明者】
【氏名】湯 宗堯
(72)【発明者】
【氏名】虞 宋楠
(72)【発明者】
【氏名】銭 其隆
(72)【発明者】
【氏名】呉 暁欣
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101387683(CN,A)
【文献】特開2011-242368(JP,A)
【文献】特開2006-170815(JP,A)
【文献】特開2002-118912(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0038719(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0709694(KR,B1)
【文献】特表2012-530254(JP,A)
【文献】山口 大輔 ほか,灰色理論による構造化モデルの提案,情報処理学会研究報告 Vol.2004 No.76,日本,社団法人情報処理学会 ,2004年07月27日,第2004巻,P.25-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12
G01R 31/327
G01R 29/24
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の検知点について断路器の空間電界測量モデルを構築し、環境要素に基づいて空間電界測量モデルによる測量結果を修正し、断路器の検知点行列空間電界を取得するステップ1、
グレー関係理論を用いて、断路器の検知点行列空間電界から、欠陥無し空間電界との関係度が第一関係度閾値を超えない検知点行列を最適検知点行列として取得するステップ2、及び、
最適検知点行列に基づいて、グレー関係理論を用いて、断路器の空間電界測量モデルによる測量結果と劣化空間電界との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、劣化空間電界と対応する劣化のタイプに従って断路器の絶縁欠陥を警告する、ステップ3を含む、ことを特徴とする行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項2】
空間電界測量モデルは、d-dot電界プローブ、増幅フィルタモジュール、Lora通信モジュール、MCUモジュール、リチウムイオン電池、電池電圧采集モジュール及び充電保護モジュールを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項3】
誘導電圧修正値は、
となり、
式において、
【請求項4】
環境要素修正係数は、
となり、
式において、
基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項5】
ステップ2は、
絶縁が合格である断路器について、ステップ1を実行した検知点行列欠陥無し空間電界
点行列のタイプ数であるステップ2.1、
となり、
式において、
となり、
式において、
度であるステップ2.3、及び、
取関係度が第一関係度閾値を超えない査定すべき検知点行列を断路器の最適検知点行列とするステップ2.4、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項6】
ステップ2.1は、断路器における検知点行列空間電界の初期データを規格化処理することをさらに含む、ことを特徴とする請求項5に記載の行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項7】
第一関係度閾値は、値が0.2である、ことを特徴とする請求項5に記載の行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項8】
ステップ3は、
絶縁劣化のタイプが異なる断路器について、最適検知点行列に基づいて、ステップ1を実行した最適検知点行列劣化空間電界により第二参照序列を構成し、最適検知点行列において、空間電界測量モデルの取得した断路器の空間電界実際測定データにより検知序列を構成するステップ3.1
ステップ2.2乃至ステップ2.3により、第二参照序列と検知序列との第二関係度を算出するステップ3.2
検知序列と第二参照序列との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、第二参照序列と対応する絶縁劣化のタイプを検知序列の絶縁欠陥として警告を行うステップ3.3を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項9】
第二関係度閾値は、値が0.9である、ことを特徴とする請求項8に記載の行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の方法を実現するための、行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知システムであって、
空間電界測量モデルモジュール、最適検知点行列モジュール及び絶縁欠陥警告モジュールを含み、
空間電界測量モデルモジュールは、単一の検知点について断路器の空間電界測量モデルを構築し、環境要素に基づいて空間電界測量モデルの測量結果を修正し、断路器の検知点行列空間電界を取得するためのものであり、
最適検知点行列モジュールは、グレー関係理論を用いて、断路器の検知点行列空間電界から欠陥無し空間電界との関係度が第一関係度閾値を超えない検知点行列を最適検知点行列として取得するためのものであり、
絶縁欠陥警告モジュールは、最適検知点行列に基づいて、グレー関係理論を用いて、断路器の空間電界測量モデルによる測量結果と劣化空間電界との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、劣化空間電界と対応する劣化のタイプに従って断路器の絶縁欠陥を警告するためのものである、ことを特徴とする行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧と絶縁との技術分野に関し、特に、行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力システムにおける核心となるスイッチ装置としては、高圧断路器が、電力システムが正常に稼働する電流を断続する役割と、短絡の際に故障ランプを急速で閉じたり故障の際に電流を切ったりする作動とを担い、制御と保護との両方の役割を図るものである。長時間にわたって稼働している際には、高圧断路器が、悪い電磁気、熱エネルギーや機械などの様々な要素により影響されてしまい、内部に絶縁が劣化になり、電気接点が発熱によりアブレーションになるなどの問題を避けることができず、深刻である場合に、断路器における操作機構が動けなく、誤って動き、スイッチや磁器ブッシングが爆発し、コンタクトが不具合に接触し、発熱が深刻になり、金属が熔解することにより接地して短絡が発生し、碍子が炸裂してしまうなどの事故がある。故に、高圧断路器の状態を検知して査定することは重要になり、電力システムが安全に稼働できるかということにとって重要な意味を持っている。
【0003】
高圧断路器は、内部に絶縁が劣化してしまうということが、一般的に、SF6に微水などの電解質を具備し、スイッチにコンタクトが破壊になり、又は、断面や密封箇所が濡れてしまうなどとして現れる。劣化の現象によってその全体において誘電特性や導電特性が変わること、ひいては、空間に分布する電界にも影響を与えてしまう。従来技術において、高圧断路器の状態を査定する方法は、主に、三つの手段によるものがある。まず、周期的に、絶縁抵抗の測量、漏れ電流の測量などを含んだ予防試験を行う。しかし、それは、現場操作が面倒くさく、ひいては、停電する上で処理しなければならず、潜在的な問題をも即時で見つけることができない。次に、現場に電気検測を行い、それにも、紫外線イメージング検測と赤外線イメージングとの両者が含まれる。しかしなら、それらは、内部における絶縁の劣化やコンタクトの故障などの問題を検測できない。三番目は、音、光、熱や電磁気などのセンサーにより、信号を直接的や間接的に取得する上で、断路器の稼働する状態を査定して判定する。現在、断路器における絶縁の状態を識別することができる主な検知手段は、例えば、オン・オフにより電流を検知することが知られており、侵入式測量方法を用いると、一般的に、電流センサーを電流回路に直列接続して電気回路を変更することが必要になる。故に、この方法は、一般的に、停電する上で作業が必要になり、組み立てや配線をするための作業が膨大になり、一旦破壊されると保守することが面倒くさい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に存在している不足を克服するために、行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法及びシステムを提供しており、電界検知装置は、磁気吸着という形態により、断路器においてスレーブにおけるフランジの外部又は伝動機構のハウジングに取り付けられる。三相操作機構におけるハウジングの付近に位置する作動周波数の電界幅値を検知することにより、非接触式という形態に従って高圧断路器に絶縁の劣化を即時かつ正確に検知し、内部に絶縁が故障になったと明確に検測した場合に、その旨を端末の利用者に報告することにより、変電保守担当者が早期に装置の欠陥を解消するように促す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術手段を採用する。
行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法は、
単一の検知点について断路器の空間電界測量モデルを構築し、環境要素に基づいて空間電界測量モデルによる測量結果を修正し、断路器の検知点行列空間電界を取得するステップ1、
グレー関係理論を用いて、断路器の検知点行列空間電界から、欠陥無し空間電界との関係度が第一関係度閾値を超えない検知点行列を最適検知点行列として取得するステップ2、及び、
最適検知点行列に基づいて、グレー関係理論を用いて、断路器の空間電界測量モデルによる測量結果と劣化空間電界との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、劣化空間電界と対応する劣化タイプに従って、断路器の絶縁欠陥を警告するステップ3を含む。
【0006】
空間電界測量モデルは、d-dot電界プローブ、増幅フィルタモジュール、Lora通信モジュール、MCUモジュール、リチウムイオン電池、電池電圧采集モジュール及び充電保護モジュールを含む。
【0007】
次元よりも大きくないベクトルであり、
誘導電圧修正値は、
となり、
式において、
環境要素修正係数は、
となり、
式において、
【0008】
ステップ2は、
絶縁が合格である断路器について、ステップ1を実行した検知点行列欠陥無し空間電界
検知点行列のタイプ数である、ステップ2.1、
となり、
式において、
となり、
式中、
度である、ステップ2.3、及び、
関係度が第一関係度閾値を超えない査定すべき検知点行列を断路器の最適検知点行列とするステップ2.4、を含む。
【0009】
好ましくは、ステップ2.1は、断路器における検知点行列空間電界の初期データを規格化処理することをさらに含む。ただし、第一関係度閾値は、値が0.2である。
【0010】
ステップ3は、
絶縁劣化のタイプが異なる断路器について、最適検知点行列に基づいて、ステップ1を実行した最適検知点行列劣化空間電界により第二参照序列を構成し、最適検知点行列において、空間電界測量モデルの取得した断路器の空間電界実際測定データにより検知序列を構成するステップ3.1、
ステップ2.2乃至2.3により、第二参照序列と検知序列との第二関係度を算出するステップ3.2、
検知序列と第二参照序列との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、第二参照序列と対応する絶縁劣化タイプを検知序列の絶縁欠陥として警告を行うステップ3.3、を含む。
ただし、第二関係度閾値は、値が0.9である。
【0011】
行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知システムは、空間電界測量モデルモジュール、最適検知点行列モジュール及び絶縁欠陥警告モジュールを含み、
空間電界測量モデルモジュールは、単一の検知点について断路器の空間電界測量モデルを構築し、環境要素に基づいて空間電界測量モデルの測量結果を修正し、断路器の検知点行列空間電界を取得するためのものであり、
最適検知点行列モジュールは、グレー関係理論に基づいて、断路器の検知点行列空間電界から、欠陥無し空間電界との関係度が第一関係度閾値を超えない検知点行列を最適検知点行列として取得するためのものであり、
絶縁欠陥警告モジュールは、最適検知点行列に基づいて、グレー関係理論を用いて、断路器の空間電界測量モデルによる測量結果と劣化空間電界との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、劣化空間電界と対応する劣化タイプに従って、断路器の絶縁欠陥を警告するためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明による有益な効果は、従来技術に比べると、多点の行列空間電界に基づく非接触式絶縁検知方法により、高圧断路器における劣化状態を識別して査定することから、従来の検知手段の不足を補って高圧断路器の非接触式絶縁検知という技術の不足を補足できるのみならず、高圧断路器に劣化を即時かつ効果よく検測すると共に、潜在的な故障の欠陥を即時で見つけ、管轄する領域において電力システムが安全かつ安定に稼働するようにするということにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明が提供する行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例に係るd-dot電界プローブを示す原理図である。
【
図3】本発明の実施例において空間電界検知点行列を構築するポリシーを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例において絶縁劣化を識別するフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例において第二関係度を算出した結果の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、技術手段や利点をより明確にするためには、以下、本発明の実施例と共に図面を参照しながら、本発明に係る技術手段を明確かつ完全に説明する。本願は、記載する実施例が本発明の実施例の一部に過ぎず、実施例の全てでない。本発明の趣旨に基づいて当業者が創造性を持った労働がない限りになされた他のあらゆる実施例は、いずれも本発明の保護範囲に所属される。
【0015】
本発明は、行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知方法を提供しており、
図1に示すように、以下のステップを含む。
ステップ1が、単一の検知点について断路器の空間電界測量モデルを構築し、環境要素に基づいて空間電界測量モデルの測量結果を修正し、断路器の検知点行列空間電界を取得する。
具体的に、いずれかのタイミングでも、単一の検知点に測量したのは検知点における電界であり、繰り返して測量すると、時間帯にわたって取得したのは検知点における電界の序列である。
【0016】
限制性を持たない好ましい実施例では、空間電界測量モデルにd-dot(微分という形式とされるコンデンサ分圧器)電界プローブ、増幅フィルタモジュール、Lora通信モジュール、MCUモジュール、リチウムイオン電池、電池電圧采集モジュール及び充電保護モジュールが含まれる。
【0017】
d-dot電界プローブのメカニズムは、
図2に示される。中空とされる金属製球形ケースを上限に二つの部分に分け、分けられた上半球と下半球を空間電界センサーの二つの電極として絶縁物質により貼り合わせる。空間電界センサーは、内部において測量コンデ
【0018】
【0019】
多次元差異化補正方法に従って、環境要素データとそれと対応する修正方法を用いて、積極的な環境要素により影響される測量信号結果を取得する。
【0020】
あれば、温度、湿度、空気圧、露点温度、磁界強度などの複数の次元指標を含むが、それらの限りでない。この時、誘導電圧修正値が以下の式(1)を満たす。
式において、
式において、
【0021】
て一つの測量点とされ、一年間は、365日として算出する。
温度という次元に、一年間の統計データの平均値を算出すると、
となり、
電圧修正値が式(4)を満たし、
となり、
【0022】
また、均一の電界であれ、均一でない電界であれ、本発明に採用されるd-dot電界プローブは、球形として構成されている空間電界センサーである。それは、いずれかのタイプとされる作動周波数の電界を測量し、測量電圧がいずれも検知点の電界強度と正比例になる。故に、誘導電圧を測量して修正することにより、正確な電界測量値を取得することができ、絶縁検知に正確性と安定性を高めることに役立つことができる。
【0023】
ステップ2は、グレー関係理論を用いて、断路器の検知点行列空間電界から、欠陥無し空間電界との関係度が第一関係度閾値を超えない検知点行列を最適検知点行列として取得する。
【0024】
具体的に、
図3に示すように、ステップ2は、以下のステップを含む。
ステップ2.1は、絶縁が合格である断路器について、ステップ1を実行した検知点行
評価すべき検知点行列のタイプ数である。
【0025】
【0026】
好ましくは、断路器の検知点行列空間電界の初期データを規格化処理する。
【0027】
限制性を持たない好ましい実施例では、採集を必要にするのは、異なる空間位置に位置する電界参照データである。各電界参照データは、単位が一致するものの、数値に相違が比較的大きい。故に、データオーダーによる影響を除去することが必要になる。つまり、初期データを規格化処理すると、式(5)を満たす。
式においては、
【0028】
【0029】
て、平均値法に基づいて比較数列と第一参照数列との第一関係度を特定すると、式(7)を満たす。
との第一関係度である。
【0030】
【0031】
ステップ2.4は、関係度が第一関係度閾値を超えない査定すべき検知点行列を断路器の最適検知点行列とする。ただし、第一関係度閾値は、値が0.2である。
【0032】
ステップ3は、最適検知点行列に基づいて、グレー関係理論を用いて、断路器の空間電界測量モデルによる測量結果と劣化空間電界との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、劣化空間電界と対応する劣化タイプに従って、断路器の絶縁欠陥を警告する。
【0033】
具体的に、
図4に示すように、ステップ3は、以下のステップを含む。
ステップ3.1は、絶縁劣化のタイプが異なる断路器について、最適検知点行列に基づいて、ステップ1を実行した最適検知点行列劣化空間電界により第二参照序列を構成し、最適検知点行列において空間電界測量モデルの取得した断路器の空間電界実際測定データにより検知序列を構成する。
具体的に、空間電界測量モデルは、最適検知点行列において、断路器における空間電界実際測定データを取得する時に、d-dot電界プローブにより実施される。
ステップ3.2は、ステップ2.2乃至ステップ2.3により第二参照序列と検知序列との第二関係度を算出する。
具体的に、第二関係度は、稼働状態に断路器の絶縁状況と絶縁欠陥サンプルとの関係程度を示すものであり、関係程度が大きいほど、絶縁劣化が現れる見込みが高い。
ステップ3.3は、検知序列と第二参照序列との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、第二参照序列と対応する絶縁劣化のタイプを検知序列の絶縁欠陥として警告を行う。
【0034】
注意すべきことは、本発明の実施例において、数値が0.9よりも小さくない第二関係度閾値と対応する検知序列を選んで警告を行うことは、限制性を持たない好ましい選択である。当業者にとって理解可能なことは、プロジェクトにおける実際のニーズと装置の安全性への要求に従って、異なる第二関係度閾値を選んでもよい。
【0035】
さらに、絶縁に欠陥があったサンプルについて、タイプが異なる絶縁の欠陥サンプルの欠陥レベルを三つに分ける。警告を行う場合には、絶縁の故障タイプについて警告をすることができるし、絶縁の故障レベルを判断して、異なるレベルとされる故障を処置する形態に備えることもできる。
【0036】
本発明は、グレー関係理論を二回だけ採用し、ステップ2において、グレー関係理論を一回目で最適検知点行列を特定するポリシーとして採用し、ただし、最適検知点行列がd-dot電界プローブを配置する行列であり、ステップ3において、グレー関係理論を二回目で絶縁検知向けの絶縁評価方法として採用する。
【0037】
ある変電所における220kVの少油量遮断器についてある相の劣化の程度を検知することを例に説明する。それは、10月13日の午前10時間に軽度の劣化を警告した。本実施案例において、三つの種類の欠陥(コンタクトが破壊され、絶縁が破壊され、絶縁が濡れてしまう)を選択し、三つのレベル(1が軽度、2がミドル、3が深刻である)に従って警告を行い、警告を行う際に検知結果が
図5に示され、絶縁が濡れてしまうことは、レベルが1である警告を示す。
【0038】
本発明は、多点の行列空間電界に基づく非接触式の高圧断路器絶縁検知方法により、その劣化状態を識別して査定する。この方法は、従来の検知手段に不足を補って、高圧断路器による非接触式現場検知技術の不足を補足できるのみならず、高圧断路器に劣化を即時かつ効果よく検測すると共に、潜在的な故障の欠陥を即時で見つけ、管轄する領域において電力システムが安全かつ安定に稼働するようにすることができる。
【0039】
本発明は、空間電界測量モデルモジュール、最適検知点行列モジュール、絶縁欠陥警告モジュールを含み、
空間電界測量モデルモジュールは、単一の検知点について断路器の空間電界測量モデルを構築し、環境要素に基づいて空間電界測量モデルの測量結果を修正し、断路器の検知点行列空間電界を取得するためのものであり、
最適検知点行列モジュールは、グレー関係理論に基づいて、断路器の検知点行列空間電界から、欠陥無し空間電界との関係度が第一関係度閾値を超えない検知点行列を最適検知点行列として取得するためのものであり、
絶縁欠陥警告モジュールは、最適検知点行列に基づいて、グレー関係理論を用いて、断路器の空間電界測量モデルによる測量結果と劣化空間電界との関係度が第二関係度閾値よりも小さくない場合に、劣化空間電界と対応する劣化タイプに従って、断路器絶縁欠陥を警告するためのものである、行列空間電界に基づく断路器の非接触式絶縁検知システムをさらに提供する。
【0040】
本開示は、システム、方法及び/又はコンピューターアプリケーションの製品であってもよい。コンピューターアプリケーションの製品は、コンピューター読み取り可能媒体であって、その中にプロセッサーにより、本開示における各局面のコンピューター読み取り可能プログラムを実現する命令が記憶されているものであってもよい。
【0041】
コンピューター読み取り可能記憶媒体は、命令実行装置に使用される命令を保持して記憶する物理的装置。コンピューター読み取り可能記憶媒体は、例えば、電気記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置又は上記の何れかの組み合わせであってもよいが、それらの限りでない。コンピューター読み取り可能記憶媒体についてのより詳しい例(網羅的に挙げられたリストでない)は、プログラマブルコンピューターディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、電気的に消去・プログラムが可能な読み取り専用メモリー(EPROM又はフラッシュ)、スタティックなランダムアクセスメモリー(SRAM)、プログラマブルコンパクトディスク読み取り専用メモリー(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、記憶棒、ソフトディスク、機械エンコーダーデバイス(例えば、命令を記憶した穴付きカード又は溝に凸となる構成)及び上記の何れかの相応しい組み合わせを含む。ここで使用されるコンピューター読み取り可能記憶媒体は、一瞬信号そのもの、例えば、無線電波又は自在で転送される他の電磁波、導波管や他の転送媒体を介して転送される電磁波(例えば、光ファイバーを介する光パルス)、或いは、電気配線を介して送信される電気信号として解釈するわけでない。
【0042】
ここで説明するコンピューター読み取り可能プログラム命令は、コンピューター読み取り可能記憶媒体から各算出/処理向けの装置にダウンロードしてもよいし、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルネットワーク、広域ネットワーク及び/又は無線ネットワークから外部のコンピューターや外部記憶装置にダウンロードしてもよい。ネットワークは、銅転送ケーブル、光ファイバー、無線転送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ネットワークゲートウェイコンピューター及び/又は周辺サーバー装置であってもよい。各算出/処理向け装置におけるネットワークカード又はネットワークインターフェースがネットワークからコンピューター読み取り可能プログラム命令を受信しながら、このコンピューター読み取り可能プログラム命令を転送し、各算出/処理向けの装置におけるコンピューター読み取り可能記憶媒体に記憶する。
【0043】
本開示に係る操作を実行するためのコンピュータープログラム命令は、アセンブリ言語命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械関連命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設置データ、又は、一つ又は複数のプログラミング言語による何れかの組み合わせによりプログラミングされたソースコードやオブジェクトコードであってもよい。前記プログラミング言語には、対象向けプログラミング言語、例えばSmalltalk、C++など、及び、通常通りの手続き型プログラミング言語、例えば、C言語や類似する他のプログラミング言語が含まれてもよい。コンピューター読み取り可能プログラム命令は、全て利用者のコンピューターに実行されてもよいし、その一部だけが利用者のコンピューターに実行されてもよい。独立するソフトウェアパッケージとして実行されてもよいし、一部だけが利用者のコンピューターに実行されるが他の部分が遠隔コンピューターに実行されてもよいし、全てが遠隔コンピューターやサーバー装置実行されてもよい。係る遠隔コンピューターである場合に、遠隔コンピューターは、任意の種類とされるネットワーク(ローカルネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む)を介して、利用者のコンピューター、又は、外部のコンピューター(例えば、インターネットサプライヤーによるインターネットを介して接続)に接続される。本実施例では、コンピューター読み取り可能プログラム命令の状態情報を用いて電子回路を必要に応じてカスタマイズし、例えば、プログラマブルロジックデバイス、現場で書き換え可能な論理回路の多数配列(FPGA)又はプログラマブルロジックデバイス(PLA)をカスタマイズしもよい。当該電子回路は、コンピューター読み取り可能プログラム命令を実行して本開示における各局面を実現することができる。
【0044】
最後に説明すべきことは、以上の実施例が、本発明の技術手段を限定するものでなく、それを説明する者に過ぎない。上記の実施例を参照しながら本発明を詳しく説明したが、当業者にとって理解可能なことは、依然として本発明における具体的な実施形態を補正したり均等置換を行ったりすることも可能であり、本発明の趣旨や範囲を逸脱しない限り如何なる補正や均等置換があれば本発明の請求の範囲に含まれる。