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特許7557043酸素濃縮装置、制御方法及び制御プログラム
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  • 特許-酸素濃縮装置、制御方法及び制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】酸素濃縮装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20240918BHJP
   C01B 13/02 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B01D53/047
C01B13/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023503847
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2022008493
(87)【国際公開番号】W WO2022186174
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2021032687
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 規寛
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-179133(JP,A)
【文献】特開昭63-166702(JP,A)
【文献】特開2005-111019(JP,A)
【文献】特開2013-052021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/047
C01B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒と、
前記吸着筒に加圧空気を供給する加圧空気供給部と、
前記加圧空気供給部と前記各吸着筒とを接続し、加圧空気のガス流路を開閉する供給流路開閉部と、
前記各吸着筒から排気するガス流路を開閉する排気流路開閉部と、
前記複数の吸着筒によって生成された濃縮酸素ガスを貯留する濃縮酸素ガスタンクと、
前記各吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部同士を接続し、生成された濃縮酸素ガスの一部を連通する連通流路開閉部と、を有する酸素濃縮装置であって、
吸着筒のそれぞれと濃縮酸素ガスタンクとの間には逆止弁が配置され、
前記酸素濃縮装置は、前記供給流路開閉部、前記排気流路開閉部、及び前記連通流路開閉部の開閉制御を行なう流路開閉制御部を有し、
前記流路開閉制御部は、前記各吸着筒において、
(a)加圧空気が供給されることによって、前記吸着筒内の吸着剤が、加圧空気中の窒素を吸着し、吸着されなかった酸素を前記吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部より取り出される加圧吸着工程、
(b)前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、
(c)前記吸着筒を減圧し、吸着した窒素を脱着し外気へ排出する減圧脱着工程、
(d)減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始する事前加圧工程、及び
(e)前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、を順に繰り返すように制御し、
一方またはある群の吸着筒において(a)加圧吸着工程を行っている間に、他方または他の群の吸着筒において、(c)減圧脱着工程、及び(d)事前加圧工程を行うよう制御し、
前記流路開閉制御部は、(d)事前加圧工程中、事前加圧中の吸着筒からの前記排気流路開閉部を閉状態に制御する酸素濃縮装置。
【請求項2】
前記流路開閉制御部は、(b)(e)均圧工程中、前記複数の吸着筒に対する前記供給流路開閉部をいずれも開状態に制御する、請求項1に記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
前記流路開閉制御部は、(c)減圧脱着工程の後半に、減圧脱着中の吸着筒に対し、加圧吸着中の吸着筒で生成された濃縮酸素ガスの一部をパージするよう制御する請求項1または2に記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
前記流路開閉制御部は、(c)減圧脱着工程中、前記連通流路開閉部を、閉状態に制御する、請求項1~3のいずれかに記載の酸素濃縮装置。
【請求項5】
前記流路開閉制御部は、(b)(e)均圧工程中、前記連通流路開閉部を開状態に制御する請求項4に記載の酸素濃縮装置。
【請求項6】
吸着筒のそれぞれと濃縮酸素ガスタンクとの間に逆止弁が配置されている酸素濃縮装置において、濃縮酸素ガスタンク内の圧力の低下が抑制されるように、複数の吸着筒内の圧力を制御する酸素濃縮装置の制御方法であって、前記各吸着筒において、
加圧空気供給部から前記吸着筒へ加圧空気を供給することによって、前記吸着筒内の吸着剤が、加圧空気中の窒素を吸着し、吸着されなかった酸素を前記吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部より取り出す加圧吸着工程、
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、
前記吸着筒を減圧し、吸着した窒素を脱着し外気へ排出する減圧脱着工程、
減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始する事前加圧工程、及び
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、を順に繰り返すように制御し、
一方またはある群の吸着筒において加圧吸着工程を行っている間に、他方または他の群の吸着筒において、減圧脱着工程、及び事前加圧工程を行うよう制御し、
事前加圧工程中、事前加圧中の吸着筒からの排気流路を閉状態に制御する酸素濃縮装置の制御方法。
【請求項7】
吸着筒のそれぞれと濃縮酸素ガスタンクとの間に逆止弁が配置されている酸素濃縮装置において、濃縮酸素ガスタンク内の圧力の低下が抑制されるように、複数の吸着筒内の圧力を制御する酸素濃縮装置の制御プログラムであって、前記各吸着筒において、
加圧空気供給部から前記吸着筒へ加圧空気を供給することによって、前記吸着筒内の吸着剤が、加圧空気中の窒素を吸着し、吸着されなかった酸素を前記吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部より取り出す処理(加圧吸着処理)、
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する処理(均圧処理)、
前記吸着筒を減圧し、吸着した窒素を脱着し外気へ排出する処理(減圧脱着処理)、
減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始する処理(事前加圧処理)、及び
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する処理(均圧処理)、を順に繰り返す処理を実行させ、
一方またはある群の吸着筒において加圧吸着処理を実行している間に、他方または他の群の吸着筒において、減圧脱着処理、及び事前加圧処理を実行させ、
事前加圧処理中、事前加圧中の吸着筒からの排気流路を閉状態に制御する処理を実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の酸素を分離濃縮し使用者に供給する酸素濃縮装置に関する。さらに詳細には、濃縮酸素ガスタンク内の圧力の低下が抑制されるように、複数の吸着筒内の圧力を制御することが可能な酸素濃縮装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、喘息、閉塞性慢性肺疾患等の呼吸器疾患患者に対する療法の1つとして、酸素ガス又は酸素濃縮ガスを患者に吸入させる療法である酸素療法が行われている。近年では、患者のQOL(QOL:Quality of Life)を向上させるために、患者の自宅で酸素療法を行う在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)が主流になっている。在宅酸素療法では、患者に酸素ガスを供給する酸素供給源として、空気に含有される酸素を濃縮して酸素ガスを生成し、生成した酸素ガスを供給する酸素濃縮装置が使用される。
【0003】
酸素濃縮装置として、圧力変動吸着式(以下、PSA式:Pressure Swing Adsorption)酸素濃縮装置、及びVPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)式又はVSA(Vacuum Swing Adsorption)式酸素濃縮装置が広く採用されている。
【0004】
酸素濃縮装置は、窒素ガスを選択的に吸着する吸着剤が充填された複数の吸着筒を有し、複数の吸着筒のそれぞれが吸着工程と脱着工程を繰り返すことで濃縮酸素ガスを生成し、生成した濃縮酸素ガスを濃縮酸素ガスタンクに貯蔵する。吸着工程は、吸着筒に取り込んだ加圧空気中の窒素ガスを吸着剤に吸着させて加圧空気から酸素ガスを生成し、生成した濃縮酸素ガスを濃縮酸素ガスタンクに貯蔵する工程である。脱着工程は、吸着筒内を大気開放することで減圧し、吸着工程で吸着剤に吸着した窒素ガスを大気に排出する工程である。酸素濃縮装置は、吸着工程及び脱着工程を複数の吸着筒の間で交互に繰り返すことで、濃縮酸素ガスを連続的に生成することができる。
【0005】
酸素濃縮装置においては、脱着工程においてその脱着効率を高めるため、吸着工程中の吸着筒にて生成した濃縮酸素ガスを、濃縮酸素導出側の端部側からパージ弁を介して脱着工程中の吸着筒へ、パージガスとして逆流させ、ついで、高濃度の酸素濃縮ガスを効率良く生成するために、吸着筒を減圧して窒素を排気させた後、その吸着筒と加圧工程中の吸着筒とを均圧弁を介して連通させ均圧化することが提案されている(特許文献1および2)。また一方で、酸素濃縮装置の消費電力を抑制するため、コンプレッサ回転数を制御し供給空気量を調整することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-79030号公報
【文献】特開平11-207128号公報
【文献】特開2008-173283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2に記載の酸素濃縮装置のように、減圧された吸着筒と加圧工程中の吸着筒とを連通させ均圧化する場合、両吸着筒が均圧される圧力まで筒圧が低下するため、その結果、濃縮酸素ガスタンク内の圧力も低下してしまう。詳述すると、稼動中の酸素濃縮装置は、濃縮酸素ガスタンクから常に設定流量分の濃縮酸素ガスが抜出されるが、吸着筒内圧が濃縮酸素ガスタンク内圧より高い状態であれば、自動的に、吸着筒と濃縮酸素ガスタンクの間に設けられている逆止弁を通って吸着筒から濃縮酸素ガスタンクにガスが流れる結果、吸着筒内圧と濃縮酸素ガスタンク内圧は同じ圧力で保たれることになるが、均圧化により吸着筒内圧が、濃縮酸素ガスタンク内の圧力よりも低下した場合、吸着筒から濃縮酸素ガスタンクへのガスの流れは停止し、濃縮酸素ガスタンク内の圧力は設定流量分の濃縮酸素ガスが抜出され続けることにより低下し、濃縮酸素ガスタンク内の圧力は低下した吸着筒内圧まで低下することになる。すなわち、濃縮酸素ガスタンク内圧は、濃縮酸素ガスを設定流量で抜出するためには、濃縮酸素ガスタンク後に設けられた調圧弁二次側圧力が、流量に応じて発生する、調圧弁からカニューラ等流路末端までの圧力損失以上に保てる圧力に保持されていなければならない(圧力損失未満になると、設定どおりの流量が得られなくなる。)。そのため、消費電力を抑制するため、コンプレッサ回転数を制御し供給空気量を調整することが可能であるものの、均圧工程時の濃縮酸素ガスタンク内圧を、濃縮酸素ガスを設定流量とするために必要な圧力以上を保持できる条件を満たせるところまでしかコンプレッサ回転数を下げることができないという弊害が生じていた。また、濃縮酸素ガスタンク内圧は、その圧力変動が大きいほど製品流量変動が大きくなってしまうため、できるだけ圧力変動を小さくすることが求められる。
【0008】
濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制するため、特許文献3では、濃縮酸素ガスタンク体積を大きくする方法が提案されている。しかし、この場合、濃縮酸素ガスタンクの体積を大きくするためのスペースが必要になる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、濃縮酸素ガスタンクの体積を大きくすることなく省スペースのまま、濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制することで、濃縮酸素ガスタンク内の圧力を、濃縮酸素ガスを設定流量とするために必要な圧力以上に保つという課題を解決することである。それにより、コンプレッサ回転数の制御を可能とすることで消費電力の抑制を可能とする、または、濃縮酸素ガスタンクの圧力変動を小さくすることを可能とする酸素濃縮装置、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、均圧工程前に、減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始することで、減圧されていた吸着筒の筒圧を高めた状態から均圧することにより、均圧工程時の両筒圧の低下を抑制し、その結果濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制することが可能な酸素濃縮装置であり、以下の実施形態を含む。
【0011】
本発明の実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置は、
酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒と、
前記吸着筒に加圧空気を供給する加圧空気供給部と、
前記加圧空気供給部と前記各吸着筒とを接続し、加圧空気のガス流路を開閉する供給流路開閉部と、
前記各吸着筒から排気するガス流路を開閉する排気流路開閉部と、
前記複数の吸着筒によって生成された濃縮酸素ガスを貯留する濃縮酸素ガスタンクと、
前記各吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部同士を接続し、生成された濃縮酸素ガスの一部を連通する連通流路開閉部と、を有する酸素濃縮装置であって、
前記酸素濃縮装置は、前記供給流路開閉部、前記排気流路開閉部、及び前記連通流路開閉部の開閉制御を行なう流路開閉制御部を有し、
前記流路開閉制御部は、前記各吸着筒において、
(a)加圧空気が供給されることによって、前記吸着筒内の吸着剤が、加圧空気中の窒素を吸着し、吸着されなかった酸素を前記吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部より取り出される加圧吸着工程、
(b)前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、
(c)前記吸着筒を減圧し、吸着した窒素を脱着し外気へ排出する減圧脱着工程、
(d)減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始する事前加圧工程、及び
(e)前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、を順に繰り返すように制御し、
一方またはある群の吸着筒において(a)加圧吸着工程を行っている間に、他方または他の群の吸着筒において、(c)減圧脱着工程、及び(d)事前加圧工程を行うよう制御する。
【0012】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置において、前記流路開閉制御部は、(d)事前加圧工程中、事前加圧中の吸着筒からの前記排気流路開閉部を閉状態に制御することが好ましい。
【0013】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置において、前記流路開閉制御部は、(b)(e)均圧工程中、前記複数の吸着筒に対する前記供給流路開閉部をいずれも開状態に制御することが好ましい。
【0014】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置において、前記流路開閉制御部は、(c)減圧脱着工程の後半に、減圧脱着中の吸着筒に対し、加圧吸着中の吸着筒で生成された濃縮酸素ガスの一部をパージするよう制御することが好ましい。
【0015】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置において、前記流路開閉制御部は、(c)減圧脱着工程中、前記連通流路開閉部を閉状態に制御することが好ましい。
【0016】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置において、前記流路開閉制御部は、(b)(e)均圧工程中、前記連通流路開閉部を閉状態に制御してもよい。
【0017】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置の制御方法は、
濃縮酸素ガスタンク内の圧力の低下が抑制されるように、複数の吸着筒内の圧力を制御する酸素濃縮装置の制御方法であって、前記各吸着筒において、
加圧空気供給部から前記吸着筒へ加圧空気を供給することによって、前記吸着筒内の吸着剤が、加圧空気中の窒素を吸着し、吸着されなかった酸素を前記吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部より取り出す加圧吸着工程、
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、
前記吸着筒を減圧し、吸着した窒素を脱着し外気へ排出する減圧脱着工程、
減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始する事前加圧工程、及び
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程、を順に繰り返すように制御し、
一方またはある群の吸着筒において加圧吸着工程を行っている間に、他方または他の群の吸着筒において、減圧脱着工程、及び事前加圧工程を行うよう制御する。
【0018】
実施形態の一側面に係る酸素濃縮装置の制御プログラムは、
濃縮酸素ガスタンク内の圧力の低下が抑制されるように、複数の吸着筒内の圧力を制御する酸素濃縮装置の制御プログラムであって、前記各吸着筒において、
加圧空気供給部から前記吸着筒へ加圧空気を供給することによって、前記吸着筒内の吸着剤が、加圧空気中の窒素を吸着し、吸着されなかった酸素を前記吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部より取り出す処理(加圧吸着処理)、
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する処理(均圧処理)、
前記吸着筒を減圧し、吸着した窒素を脱着し外気へ排出する処理(減圧脱着処理)、
減圧されていた吸着筒に対し加圧を事前に開始する処理(事前加圧処理)、及び
前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する処理(均圧処理)、を順に繰り返す処理を実行させ、
一方またはある群の吸着筒において加圧吸着処理を実行している間に、他方または他の群の吸着筒において、減圧脱着処理、及び事前加圧処理を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本実施形態によれば、タンク体積を大きくすることなく濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制できるため、省スペース化が可能となる。また、濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制できるため、コンプレッサ回転数の制御を可能とすることで消費電力の抑制が可能となる。また、濃縮酸素ガスの流量変動、及び濃縮酸素ガスタンクの圧力変動の抑制が可能となる。
【0020】
本発明の目的及び効果は、特に特許請求の範囲において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る酸素濃縮装置の機能ブロック図である。
図2】実施形態に係る酸素濃縮装置において制御される供給流路開閉部、排気流路開閉部、及び連通流路開閉部の開閉動作を表す図である。2(a)は、一般的な既存技術の開閉動作を示し、2(b)は本発明の実施形態における酸素濃縮装置の開閉動作の一例を示す。
図3】実施形態に係る酸素濃縮装置において、供給流路開閉部、排気流路開閉部、及び連通流路開閉部の開閉部が制御されることによるガスの流れを示す図である。3(a)は一般的な既存技術のガスの流れを示し、3(b)は本発明の実施形態に係る酸素濃縮装置の開閉動作のガスの流れの一例を示す。
図4】実施形態に係る酸素濃縮装置において、供給流路開閉部、排気流路開閉部、及び連通流路開閉部の開閉部が制御されることによる、加圧空気供給部吐出圧(Comp吐出圧)、各吸着筒内圧、及び濃縮酸素ガスタンク内圧の変化を示す図である。4(a)は一般的な既存技術における各圧力変化を示し、4(b)は本発明の実施形態に係る酸素濃縮装置における各圧力変化の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の一側面に係る酸素濃縮装置、制御方法及び制御プログラムについて、図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。尚、以下の説明及び図において、同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[実施形態に係る酸素濃縮装置の概要]
図1は、実施形態に係る酸素濃縮装置の機能ブロック図である。
【0023】
酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着筒(4A及び4B)と、前記吸着筒に加圧空気を供給する加圧空気供給部(1)と、前記加圧空気供給部と前記各吸着筒とを接続し、加圧空気のガス流路を開閉する一対の供給流路開閉部(2A、2B)と、前記各吸着筒を外気に開放し、吸着筒から排気するガス流路を開閉する一対の排気流路開閉部(3A、3B)と、前記複数の吸着筒によって生成された濃縮酸素ガスを貯留する濃縮酸素ガスタンク(7)と、前記各吸着筒の濃縮酸素ガス導出側の端部同士を接続し、生成された濃縮酸素ガスの一部を連通する連通流路開閉部(均圧/パージ)(5)と、供給流路開閉部(2A、2B)、排気流路開閉部(3A、3B)、及び前記連通流路開閉部(均圧/パージ)(5)の開閉制御を行なう流路開閉制御部とを有する。ここでは、連通流路開閉部として一つの流路で示しているが、均圧用とパージ用それぞれ独立した流路を持つ構成でも構わない。
【0024】
供給流路開閉部(2A、2B)、排気流路開閉部(3A、3B)、連通流路開閉部(均圧/パージ)(5)の開閉は、流路開閉制御部によって制御される。供給流路開閉部(2A、2B)、排気流路開閉部(3A、3B)、及び連通流路開閉部(均圧/パージ)(5)は、例えば電磁弁やコントロールバルブ(ソレノイドバルブ、ピエゾバルブ)等であり、流路開閉制御部から入力される信号に従って制御される。流路開閉制御部は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。流路開閉制御部は、酸素濃縮装置の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、MCU(Micro Control Unit)等のプロセッサである。
【0025】
酸素濃縮装置は、原料空気から濃縮酸素ガスを生成し、生成した濃縮酸素ガスを、酸素濃縮装置を使用する患者である使用者の鼻孔に出力する酸素ガス生成処理を実行する。
【0026】
図1には、濃縮酸素ガス生成機能に関する構成要素を図示しているが、酸素濃縮装置は、外部空気取り込みフィルタ、逆止弁、調圧弁、流量設定部、加湿器及びフィルタ等を備えていてもよい。
【0027】
まず、外部から取り込まれる原料空気は、塵埃などの異物を取り除くための外部空気取り込みフィルタなどを備えた空気取り込み口から取り込まれる。外部空気取入フィルタを通して取り込まれた空気を、加圧空気供給部(1)が、圧縮して加圧空気を生成し、生成した加圧空気を供給流路開閉部(2A、2B)を介して一対の吸着筒(4A及び4B)の何れか一方に供給する。加圧空気供給部(1)は、コンプレッサとも称され、例えば、揺動型空気圧縮機、並びにスクリュー式、ロータリー式及びスクロール式等の回転型空気圧縮機がある。
【0028】
一対の吸着筒(4A及び4B)は、加圧空気中の酸素ガスよりも窒素ガスを選択的に吸着するゼオライトが吸着剤として充填されている。ゼオライトは、加圧空気供給部(1)から供給される加圧空気に約77%含有される窒素ガスを選択的に吸着する。
【0029】
一対の吸着筒(4A及び4B)は、加圧空気供給部(1)から供給流路開閉部(2A、2B)を介して供給される加圧空気から窒素ガスを吸着して、酸素ガスを生成する。吸着筒(4A)が酸素ガスを生成する間、吸着筒(4B)は吸着した窒素ガスを排気流路開閉部(3B)を介して酸素濃縮装置の外部に排出する。吸着筒(4A)が吸着した窒素ガスを排気流路開閉部(3A)を介して酸素濃縮装置の外部に排出する間、吸着筒(4B)は酸素ガスを生成する。一対の吸着筒(4A及び4B)が交互に酸素ガスを生成することで、酸素濃縮装置は、連続して酸素ガスを生成することができる。なお、酸素濃縮装置は、一対の吸着筒(4A及び4B)を例に説明するが、実施形態に係る酸素濃縮装置は、3つ以上の吸着筒を有してもよい。3つ以上の吸着筒を有する場合、複数の吸着筒の間で吸着工程と脱着工程を順番に繰り返せるよう動作を行う。例えば、3つの吸着筒(4A、4B及び4C)による3筒式である場合、吸着筒(4A)が吸着工程の時、吸着筒(4B及び4C)の群は脱着工程;吸着筒(4B)が吸着工程の時、吸着筒(4C及び4A)の群は脱着工程;吸着筒(4C)が吸着工程の時、吸着筒(4A及び4B)の群は脱着工程のように、順に切り替わるように制御される。
【0030】
一対の逆止弁(6A及び6B)は、一対の吸着筒(4A及び4B)のそれぞれと濃縮酸素ガスタンク(7)との間に配置される。吸着筒(4A及び4B)と濃縮酸素ガスタンク(7)の間に逆止弁(6A、6B)が配置されることにより、濃縮酸素ガスタンク内圧が吸着筒内圧より高くなった場合に、濃縮酸素ガスが吸着筒側に逆流するのを防止される。すなわち、逆止弁(6A)は、吸着筒(4A)が酸素ガスを生成する間、開状態になり、吸着筒(4A)により生成された濃縮酸素ガスを濃縮酸素ガスタンク(7)に流入させる。また、逆止弁(6B)は、吸着筒(4B)が吸着した窒素ガスを排気流路開閉部(3B)を介して酸素濃縮装置の外部に排出する間、閉状態になり、濃縮酸素ガスタンク(7)に貯蔵された濃縮酸素ガスが吸着筒(4B)を介して酸素濃縮装置の外部に排出することを防止する。
【0031】
濃縮酸素ガスタンク(7)は、製品タンクとも称され、一対の吸着筒(4A及び4B)のそれぞれで生成された酸素ガスを貯蔵する。濃縮酸素ガスタンク(7)の内圧は、濃縮酸素ガスの生成に伴う吸着筒(4A及び4B)のそれぞれの内圧の変化に応じて変動する。濃縮酸素ガスの生成に伴い内圧が変動する濃縮酸素ガスタンク(7)から出力される濃縮酸素ガスの圧力を所定の圧力に保つために、例えば減圧弁などの調圧弁が設けられる。
【0032】
濃縮酸素ガスタンク(7)から抜出される濃縮酸素ガスは、制御部から入力される流量出力信号に従って、電磁弁である流量調整部の開度を調整して、濃縮酸素ガスは設定流量に流量が調整される。
【0033】
設定流量に流量が調整された濃縮酸素ガスは、エアフィルタにより濃縮酸素ガス生成過程で生じた塵埃などの異物を取り除かれ、使用者の鼻孔乃至気道内の乾燥を防ぐため、加湿器によって適度に加湿されて、カニューラ等流路末端より使用者に供給される。
【0034】
出口フィルタのエアフィルタと加湿器の間の濃縮酸素ガスの流路には、濃度センサや流量センサを接続することにより、濃縮酸素ガスの濃度を計測や流量を計測することができる。
[制御]
実施形態に係る酸素濃縮装置は、濃縮酸素ガスタンク内の圧力の低下が抑制されるように、吸着筒内の圧力の制御がなされるが、そのために供給流路開閉部(2A、2B)、排気流路開閉部(3A、3B)、及び連通流路開閉部(5)の開閉制御を行なう流路開閉制御部を有する。吸着筒内の圧力の制御に関して、図2乃至図4に沿って説明する。
【0035】
前述の通り、酸素濃縮装置は、吸着工程及び脱着工程を複数の吸着筒の間で交互に繰り返すことで、濃縮酸素ガスを連続的に生成することができるものである。まず、図2及び図3に沿って、実施形態に係る酸素濃縮装置において制御される供給流路開閉部、排気流路開閉部、及び連通流路開閉部の開閉動作、ならびに実施形態に係る酸素濃縮装置において、供給流路開閉部、排気流路開閉部、及び連通流路開閉部の開閉が制御されることによるガスの流れについて説明する。
【0036】
図2(a)は、一般的な既存技術の開閉動作を示すのに対し、図2(b)は本発明の実施形態における酸素濃縮装置の開閉動作の一例を示す。
【0037】
T1、T4は、図2(b)の例では、吸着筒(4A及び4B)いずれも均圧工程であり、供給流路開閉部(2A、2B)はいずれも開状態であり、排気流路開閉部(3A、3B)はいずれも閉状態であり、連通流路開閉部(5)は開状態である。供給流路開閉部(2A、2B)及び連通流路開閉部(5)が連通することにより(図3(b)参照)、吸着筒(4A及び4B)内の圧力は均圧化する。連通流路開閉部(5)を閉状態として、両方の供給流路開閉部(2A、2B)を開状態にすることのみで均圧化することもできる。ここで、連通流路開閉部(5)のみを開状態、供給流路開閉部のいずれか一方のみを開状態とすることで均圧化することも可能ではあるが、両方の供給流路開閉部(2A、2B)を開状態にすると、均圧スピードを速くすることができる。なお、T1、T4は、特許請求の範囲中の表現では、「(b)/(e)前記複数の吸着筒内の圧力を均圧化する均圧工程」に相当する。T1、T4の時間は、吸着筒(4A)と吸着筒(4B)の圧力が同一になるまでが好ましいが、それよりも短い時間でもよい。
【0038】
T2、T5は、図2(b)に示す通り、一方の吸着筒(T2:4A、T5:4B)は減圧脱着工程で、他方の吸着筒(T2:4B、T5:4A)は加圧吸着工程である。この場合、減圧脱着工程中の吸着筒(T2:4A、T5:4B)に対応する供給流路開閉部(T2:2A、T5:2B)は閉状態、排気流路開閉部(T2:3A、T5:3B)は開状態であり、連通流路開閉部(5)は閉状態である。一方、加圧吸着工程中の吸着筒(T2:4B、T5:4A)に対応する供給流路開閉部(T2:2B、T5:2A)は開状態、排気流路開閉部(T2:3B、T5:3A)は閉状態である。減圧脱着工程中の吸着筒(T2:4A、T5:4B)では、供給流路開閉部(T2:2A、T5:2B)が閉状態、排気流路開閉部(T2:3A、T5:3B)が開状態となり大気開放されることで、吸着筒(T2:4A、T5:4B)内は減圧し、吸着剤に吸着した窒素ガスを脱着し外気へ排出する(図3(b)参照)。加圧吸着工程中の吸着塔(T2:4B、T5:4A)においては、加圧空気が送り込まれることで加圧され、吸着塔(T2:4B、T5:4A)内で空気中の窒素を吸着剤に吸着させることにより濃縮酸素ガスが生成され、生成された濃縮酸素ガスは逆止弁(T2:6B、T5:6A)を介して、濃縮酸素ガスタンク(7)に送られる(図3(b)参照)。T2、T5の時間は、必要酸素濃度が得られるのであれば特に問わないが、吸着した窒素をより脱着するには、吸着筒内圧をできるだけ低くするところまで時間を長くするとよい。
【0039】
T3-1、T6-1は、図2(b)に示す通り、一方の吸着筒(T3-1:4A、T6-1:4B)はパージ工程で、減圧脱着中の吸着筒に、加圧吸着中の吸着筒で生成された濃縮酸素ガスの一部が供給される。他方の吸着筒(T3-1:4B、T6-1:4A)は前工程から引き続き加圧吸着工程である。この場合、パージ工程中の吸着筒(T3-1:4A、T6-1:4B)に対応する供給流路開閉部(T3-1:2A、T6-1:2B)は閉状態、排気流路開閉部(T3-1:3A、T6-1:3B)は開状態であり、連通流路開閉部(5)は開状態である。一方、加圧吸着工程中の吸着筒(T3-1:4B、T6-1:4A)は引き続き、対応する供給流路開閉部(T3-1:2B、T6-1:2A)は開状態、排気流路開閉部(T3-1:3B、T6-1:3A)は閉状態である。パージ工程中の吸着筒(T3-1:4A、T6-1:4B)では、連通流路開閉部(5)は開状態に変化することで、吸着筒(4A)と吸着筒(4B)の濃縮酸素ガス導出側の端部同士が接続され、加圧吸着工程にて濃縮酸素ガスが生成された吸着筒(T3-1:4B、T6-1:4A)から、濃縮酸素ガスの一部がパージガスとして他方の吸着筒(T3-1:4A、T6-1:4B)に逆流することによって、脱着した窒素を外部に押し出し、減圧脱着工程による吸着剤からの窒素ガスの脱着効率を高められる(図3(b)参照)。加圧吸着工程中の吸着塔(T3-1:4B、T6-1:4A)においては、前工程からガスの流れは変わらないが、加圧空気が送り込まれ続けることで、吸着塔(T3-1:4B、T6-1:4A)内の吸着剤への窒素の吸着が進行し濃縮酸素ガスが生成され、生成された濃縮酸素ガスは逆止弁(T3-1:6B、T6-1:6A)を介して、濃縮酸素ガスタンク(7)に送られる(図3(b)参照)。T3-1、T6-1の時間は、必要酸素濃度が得られるのであれば、どのような時間でもよいが、加圧側吸着筒では酸素生成が継続、かつ、減圧側吸着筒では、吸着した窒素をより脱着し、脱着した窒素が完全に排出される時間にするのが好ましい。
【0040】
なお、図2ではより好ましい例として、減圧脱着工程の後半に、パージを行う例を示しているが、必要酸素濃度が得られるのであれば、パージ工程(T3-1、T6-1)を省略してもよい。また、パージ工程(T3-1、T6-1)は、減圧脱着中の吸着筒に、加圧吸着中の吸着筒で生成された濃縮酸素ガスの一部が供給される工程であるため、必要酸素濃度が得られるのであれば、減圧脱着のみの減圧脱着工程(T2、T5)の時間を省略し、減圧脱着とパージを同時に行う、パージ工程(T3-1、T6-1)として制御してもよい。その場合も、加圧側吸着筒では酸素生成が継続、かつ、減圧側吸着筒では脱着した窒素が完全に排出される時間にするのが好ましい。なお、図2では、減圧脱着工程(T2、T5)の後、パージ工程(T3-1、T6-1)を行うとして、「パージ工程」を「減圧脱着工程」と区別して図示しているが、パージとは、減圧脱着中の吸着筒に対し、加圧吸着中の吸着筒で生成された濃縮酸素ガスの一部をパージすることであるから、パージ工程は減圧脱着工程に含まれる一態様とも言えるため、「減圧脱着工程の後半に、パージを行う」として表現する場合もある。
【0041】
T3-2、T6-2は、図2(b)に示す通り、一方の吸着筒(T3-2:4A、T6-2:4B)は事前加圧工程で、他方の吸着筒(T3-2:4B、T6-2:4A)は前工程から引き続き加圧吸着工程である。事前加圧工程中の吸着筒(T3-2:4A、T6-2:4B)では、前工程(減圧脱着工程~パージ工程)の間開状態であった排気流路開閉部(T3-2:3A、T6-2:3B)が閉状態に切り替わる。排気流路開閉部(T3-2:3A、T6-2:3B)が閉状態に変化することにより、減圧されていた吸着筒(T3-2:4A、T6-2:4B)に対し、次工程である均圧工程前に加圧を開始することになり、減圧状態であった吸着筒(T3-2:4A、T6-2:4B)の筒圧を事前に高めることができる(図4(b)参照)。加圧吸着工程中の吸着塔(T3-1:4B、T6-1:4A)においては、前工程からガスの流れは変わらないが、加圧空気が送り込まれ続けることで、吸着塔(T3-2:4B、T6-2:4A)内の圧力は維持され、吸着剤への窒素の吸着が進行し濃縮酸素ガスが生成され、生成された濃縮酸素ガスは逆止弁(T3-2:6B、T6-2:6A)を介して、濃縮酸素ガスタンク(7)に送られる(図3(b)参照)。T3-2、T6-2の時間は、必要な事前加圧量に応じて調整可能であり、必要酸素濃度が得られるのであれば、その時間は問わない。
【0042】
T1~T6-2の工程により、1つの吸着筒において、吸着と脱着の1サイクルが終了し、この工程を繰り返すことにより、濃縮酸素ガスを連続的に生成することができる。生成される酸素濃度が規定値に達しさえすれば、サイクル時間は特に問わない。図4(b)に示す通り、事前加圧工程により減圧されていた吸着筒(T1:4B、T4:4A)の筒圧が事前に加圧された結果、減圧側吸着筒の筒圧が高まった状態から均圧が開始されることにより、均圧工程時の両筒圧の低下が抑制される。その結果、減圧されていた吸着筒(T1:4B、T4:4A)と加圧されていた吸着筒(T1:4A、T4:4B)が均圧となる圧力が、従来に比べて高まることによって、濃縮酸素ガスタンク内圧の低下が抑制される。さらに、濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制することできるようになることで、濃縮酸素ガスを設定流量とするために必要な圧力以上を保持できることとなるため、コンプレッサ回転数を下げることが可能である場面においては、濃縮酸素ガスタンク内圧の制約を気にすることなく、コンプレッサ回転数を下げ、消費電力を抑制することができる。また、濃縮酸素ガスタンク内圧の低下を抑制することできるようになることで、濃縮酸素ガスタンク内圧変動が小さくなり、製品流量の変動も抑制される。
【0043】
本技術は、連続流の酸素濃縮装置であれば、酸素濃縮装置が据置器、携帯器に関わらず、応用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 加圧空気供給部
2A、2B 供給流路開閉部
3A、3B 排気流路開閉部
4A、4B 吸着筒
5 連通流路開閉部
6A、6B 逆止弁
7 濃縮酸素ガスタンク
図1
図2
図3
図4