(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】スキャンミラーとトランスレーションステージとを使用したフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20240918BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20240918BHJP
G02B 21/26 20060101ALI20240918BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240918BHJP
G03H 1/04 20060101ALI20240918BHJP
G03H 1/22 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
G02B21/26
G02B21/36
G03H1/04
G03H1/22
(21)【出願番号】P 2023515160
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 KR2021012003
(87)【国際公開番号】W WO2022055194
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0114666
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523079082
【氏名又は名称】キュービクセル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CUBIXEL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】キム テグン
(72)【発明者】
【氏名】キム テウォン
(72)【発明者】
【氏名】リム スンレム
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンボム
(72)【発明者】
【氏名】リ ウンチュン
(72)【発明者】
【氏名】イム ドンフアン
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105204311(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107835074(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0081127(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1523173(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1830785(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G03H 1/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から分割された
第1ビーム及び第2ビームのうち、前記第1ビームの位相を変調して第1レンズを通じて第1球面波に変換し、
前記第2ビームを第2レンズを通じて第2球面波に変換した後、前記第1及び第2球面波を干渉させてスキャンビームを形成するスキャンビーム生成部と、
物体に対する前記スキャンビームのスキャニング位置を水平及び垂直方向に制御するように、入射された前記スキャンビームを水平方向に制御して投射部に伝達するスキャンミラーと、前記投射部の後端から前記物体を垂直方向に移動させるトランスレーションステージと、を含むスキャン部と、
複数のレンズ系と対物レンズとを含み、前記スキャン部から伝達されたスキャンビームを前記物体が位置した対物面に投射する投射部と、
前記物体から反射または蛍光された後、再び前記対物レンズを通過したビームを検出する集光部と、を含み、
前記対物面に投射されるスキャンビームは、
前記スキャンミラーに結ばれる前記第1及び第2球面波の各焦点位置及び錐角の条件によって、前記対物面で収束する球面波と平面波との干渉構造(第1パターン)、前記対物面で発散する球面波と平面波との干渉構造(第2パターン)、前記対物面で発散する2つの球面波間の干渉構造(第3パターン)、そして、前記対物面で収束する球面波と発散する球面波との干渉構造(第4パターン)のうち何れか1つのパターンで決定される、フライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置。
【請求項2】
前記投射部は、
前記スキャン部と前記対物面との間に順次配された第1レンズ系、第2レンズ系及び前記対物レンズを含み、
前記第1レンズ系の入射瞳は、前記スキャンミラーに位置する、請求項1に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置。
【請求項3】
前記条件が第1条件
である場合、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して平面波及び収束する球面波になって、前記対物面に投射されたスキャンビームは、前記対物面で収束する球面波と平面波との干渉構造を有し、
前記第1条件は、
第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同一であり、第2球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同じか、より前端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ
1、θ
2)は、θ
2≦θ
1を満足する条件である、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置。
【請求項4】
前記条件が第2条件
である場合、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して平面波及び発散する球面波になって、前記対物面に投射されたスキャンビームは、前記対物面で発散する球面波と平面波との干渉構造を有し、
前記第2条件は、
第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同一であり、第2球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同じか、より後端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ
1、θ
2)は、θ
2≦θ
1≦2θ
2を満足する条件である、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置。
【請求項5】
前記条件が第3条件
である場合、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対していずれも発散する球面波になって、前記対物面に投射されたスキャンビームは、前記対物面で発散する2つの球面波間の干渉構造を有し、
前記第3条件は、
第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳よりも後端に位置し、第2球面波の焦点位置は、第1球面波の焦点位置よりも後端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ
1、θ
2)は、θ
2≦θ
1を満足する条件である、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置。
【請求項6】
前記条件が第4条件
である場合、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して収束する球面波及び発散する球面波になって、前記対物面に投射されるスキャンビームは、前記対物面で収束する球面波と発散する球面波との干渉構造を有し、
前記第4条件は、
第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳よりも前端に位置し、第2球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳よりも後端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ
1、θ
2)は、θ
2<θ
1である同時に下記の数式を満足する条件である、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置。
【請求項7】
前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足する、請求項
3に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【請求項8】
前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足する、請求項
4に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【請求項9】
前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足する、請求項
5に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【請求項10】
前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足する、請求項
6に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【請求項11】
第1球面波と対応した前記対物面での平面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での収束する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じである、請求項
7に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、θ
1及びθ
2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θ
Sは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、F
objは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f
0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f
1及びf
2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【請求項12】
第1球面波と対応した前記対物面での平面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での発散する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じである、請求項
8に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、θ
1及びθ
2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θ
Sは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、F
objは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f
0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f
1及びf
2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【請求項13】
前記第1球面波に対応した前記対物面での発散する球面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での発散する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じである、請求項
9に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、θ
1及びθ
2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θ
Sは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、F
objは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f
0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f
1及びf
2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【請求項14】
前記第1球面波に対応した前記対物面での収束する球面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での発散する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じ条件を満足する、請求項
10に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、θ
1及びθ
2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θ
Sは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、F
objは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f
0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f
1及びf
2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【請求項15】
前記第1及び第2レンズ系の光学的不変性は、下記の数式のように、前記対物レンズの光学的不変性よりも大きいか、同じである、請求項
11から請求項
14のうち何れか一項に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、I
1、I
2、I
objは、それぞれ第1レンズ系、第2レンズ系及び対物レンズの光不変性を示す。
【請求項16】
前記集光部は、
前記第2レンズ系と前記対物レンズとの間に配されて、前記第2レンズ系を通過したビームを前記対物レンズに伝達し、前記物体から反射して、再び前記対物レンズを通過したビームを外部に反射させる光分割器と、
前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系と、
前記第3レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、
前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足する、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、F
pdは、前記光検出器の検出面のサイズ、θ
Sは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、f
1ないしf
3は、第1ないし第3レンズ系の有効焦点距離、f
0は、前記対物レンズの有効焦点距離、F
oは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径を示す。
【請求項17】
前記集光部は、
前記第1レンズ系と前記第2レンズ系との間に配されて、前記第1レンズ系を通過したビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記物体から反射して、前記対物レンズを通じて前記第2レンズ系を通過したビームを外部に反射させる光分割器と、
前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系と、
前記第3レンズ系を通過したビームを入射される第4レンズ系と、
前記第4レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、
前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足する、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
ここで、F
pdは、前記光検出器の検出面のサイズ、θ
Sは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、f
1ないしf
4は、第1ないし第4レンズ系の有効焦点距離、f
0は、前記対物レンズの有効焦点距離、F
oは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径を示す。
【請求項18】
前記集光部は、
前記第2レンズ系と前記対物レンズとの間に配されて、前記第2レンズ系を通過したビームを前記対物レンズに伝達し、前記物体から反射して、再び前記対物レンズを通過したビームを外部に反射させる光分割器と、
前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系と、
前記第3レンズ系を通過したビームを入射される第4レンズ系と、
前記第4レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、
前記光検出器の検出面には、前記対物レンズの対物面にある像の空間周波数変換された光の分布が生成され、前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足する、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【請求項19】
前記集光部は、
前記第1レンズ系と前記第2レンズ系との間に配されて、前記第1レンズ系を通過したビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記物体から反射して、前記対物レンズを通じて前記第2レンズ系を通過したビームを外部に反射させる光分割器と、
前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系と、
前記第3レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、
前記光検出器の検出面には、前記対物レンズの対物面にある像の空間周波数変換された光の分布が生成され、前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足する、請求項
2に記載のフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャンミラーとトランスレーションステージとを使用したフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置に係り、より詳細には、高速で高解像度のスキャニングホログラム顕微鏡を具現することができるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光スキャニングホログラム顕微鏡は、干渉計を用いてフレネルゾーンプレート(Fresnel zone plate)の空間分布を有するビームパターンを形成し、該形成したビームパターンを対物レンズを通じて対物面で高解像度のフレネルゾーンパターン(Fresnel zone pattern)で形成して物体に投射し、物体が置かれている対物板を機械的な方法で動く方式で物体をスキャンする。そして、物体から再び反射または蛍光されたビームを集光レンズのフーリエ面で集光する方式で物体のホログラムを獲得する。
【0003】
しかし、このような従来の方式は、対物板を機械的な方法で動くことによって、ホログラム獲得速度が遅いだけではなく、生体のような流体のホログラムを獲得し難かった。
【0004】
本発明の背景となる技術は、大韓民国登録特許第1304695号(2013.09.06公告)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高速で高解像度のスキャニングホログラム顕微鏡を具現することができるスキャンミラーとトランスレーションステージとを使用したフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光源から分割された第1ビームの位相を変調して第1レンズを通じて第1球面波に変換し、第2ビームを第2レンズを通じて第2球面波に変換した後、前記第1及び第2球面波を干渉させてスキャンビームを形成するスキャンビーム生成部;物体に対する前記スキャンビームのスキャニング位置を水平及び垂直方向に制御するように、入射された前記スキャンビームを水平方向に制御して投射部に伝達するスキャンミラーと、前記投射部の後端から前記物体を垂直方向に移動させるトランスレーションステージと、を含むスキャン部;複数のレンズ系と対物レンズとを含み、前記スキャン部から伝達されたスキャンビームを前記物体が位置した対物面に投射する投射部;及び前記物体から反射または蛍光された後、再び前記対物レンズを通過したビームを検出する集光部;を含み、前記対物面に投射されるスキャンビームは、前記スキャンミラーに結ばれる前記第1及び第2球面波の各焦点位置及び錐角の条件によって異なるパターンを有するフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を提供する。
【0007】
また、前記対物面に投射されるスキャンビームは、前記スキャンミラーに結ばれる前記第1及び第2球面波の各焦点位置及び錐角の条件によって、前記対物面で収束する球面波と平面波との干渉構造(第1パターン)、前記対物面で発散する球面波と平面波との干渉構造(第2パターン)、前記対物面で発散する2つの球面波間の干渉構造(第3パターン)、そして、前記対物面で収束する球面波と発散する球面波との干渉構造(第4パターン)のうち何れか1つのパターンで決定される。
【0008】
また、前記投射部は、前記スキャン部と前記対物面との間に順次配された第1レンズ系、第2レンズ系及び前記対物レンズを含み、前記第1レンズ系の入射瞳は、前記スキャンミラーに位置しうる。
【0009】
また、前記条件が第1条件であれば、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して平面波及び収束する球面波になって、前記対物面に投射されたスキャンビームは、前記対物面で収束する球面波と平面波との干渉構造を有し、前記第1条件は、第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同一であり、第2球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同じか、より前端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ1、θ2)は、θ2≦θ1を満足する条件である。
【0010】
また、前記条件が第2条件であれば、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して平面波及び発散する球面波になって、前記対物面に投射されたスキャンビームは、前記対物面で発散する球面波と平面波との干渉構造を有し、前記第2条件は、第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同一であり、第2球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳の位置と同じか、より後端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ1、θ2)は、θ2≦θ1≦2θ2を満足する条件である。
【0011】
また、前記条件が第3条件であれば、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対していずれも発散する球面波になって、前記対物面に投射されたスキャンビームは、前記対物面で発散する2つの球面波間の干渉構造を有し、前記第3条件は、第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳よりも後端に位置し、第2球面波の焦点位置は、第1球面波の焦点位置よりも後端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ1、θ2)は、θ2≦θ1を満足する条件である。
【0012】
また、前記条件が第4条件であれば、前記第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して収束する球面波及び発散する球面波になって、前記対物面に投射されるスキャンビームは、前記対物面で収束する球面波と発散する球面波との干渉構造を有し、前記第4条件は、第1球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳よりも前端に位置し、第2球面波の焦点位置は、前記第1レンズ系の入射瞳よりも後端に位置し、第1及び第2球面波の錐角(θ1、θ2)は、θ2<θ1である同時に下記の数式を満足する条件である。
【0013】
【0014】
また、前記第1条件に対応して、前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足するフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置:
【0015】
【0016】
【0017】
また、前記第2条件に対応して、前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足することができる。
【0018】
【0019】
【0020】
また、前記第3条件に対応して、前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足することができる。
【0021】
【0022】
【0023】
また、前記第4条件に対応して、前記第1レンズ系は、伝達されたスキャンビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記第1及び第2レンズ系は、下記の数式の条件を満足することができる。
【0024】
【0025】
【0026】
また、前記第1条件に対応して、第1球面波と対応した前記対物面での平面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での収束する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野(field of view)の半径よりも小さいか、同じである。
【0027】
【0028】
ここで、θ1及びθ2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θSは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、Fobjは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f1及びf2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【0029】
また、前記第2条件に対応して、第1球面波と対応した前記対物面での平面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での発散する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じである。
【0030】
【0031】
ここで、θ1及びθ2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θSは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、Fobjは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f1及びf2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【0032】
また、前記第3条件に対応して、前記第1球面波に対応した前記対物面での発散する球面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での発散する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じである。
【0033】
【0034】
ここで、θ1及びθ2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θSは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、Fobjは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f1及びf2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【0035】
また、前記第4条件に対応して、前記第1球面波に対応した前記対物面での収束する球面波の半径と、前記第2球面波と対応した前記対物面での発散する球面波の半径は、いずれも下記の数式のように、前記対物レンズの視野の半径よりも小さいか、同じ条件を満足することができる。
【0036】
【0037】
ここで、θ1及びθ2は、第1及び第2球面波の錐角(収束半角)、θSは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、Fobjは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径、f0は、前記対物レンズの有効焦点距離、f1及びf2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【0038】
また、前記第1及び第2レンズ系の光学的不変性(optical invariance)は、下記の数式のように、前記対物レンズの光学的不変性よりも大きいか、同じである。
【0039】
【0040】
ここで、I1、I2、Iobjは、それぞれ第1レンズ系、第2レンズ系及び対物レンズの光不変性を示す。
【0041】
また、前記集光部は、前記第2レンズ系と前記対物レンズとの間に配されて、前記第2レンズ系を通過したビームを前記対物レンズに伝達し、前記物体から反射して、再び前記対物レンズを通過したビームを外部に反射させる光分割器と、前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系、及び前記第3レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足することができる。
【0042】
【0043】
ここで、Fpdは、前記光検出器の検出面のサイズ、θSは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、f1ないしf3は、第1ないし第3レンズ系の有効焦点距離、f0は、前記対物レンズの有効焦点距離、Foは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径を示す。
【0044】
また、前記集光部は、前記第1レンズ系と前記第2レンズ系との間に配されて、前記第1レンズ系を通過したビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記物体から反射して、前記対物レンズを通じて前記第2レンズ系を通過したビームを外部に反射させる光分割器と、前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系、前記第3レンズ系を通過したビームを入射される第4レンズ系、及び前記第4レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足することができる。
【0045】
【0046】
ここで、Fpdは、前記光検出器の検出面のサイズ、θSは、前記スキャン部のスキャンミラーでのスキャン角、f1ないしf4は、第1ないし第4レンズ系の有効焦点距離、f0は、前記対物レンズの有効焦点距離、Foは、前記対物レンズの前焦点面で視野の半径を示す。
【0047】
また、前記集光部は、前記第2レンズ系と前記対物レンズとの間に配されて、前記第2レンズ系を通過したビームを前記対物レンズに伝達し、前記物体から反射して、再び前記対物レンズを通過したビームを外部に反射させる光分割器と、前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系と、前記第3レンズ系を通過したビームを入射される第4レンズ系、及び前記第4レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、前記光検出器の検出面には、前記対物レンズの対物面にある像の空間周波数変換された光の分布が生成され、前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足することができる。
【0048】
【0049】
【0050】
また、前記集光部は、前記第1レンズ系と前記第2レンズ系との間に配されて、前記第1レンズ系を通過したビームを前記第2レンズ系に伝達し、前記物体から反射して、前記対物レンズを通じて前記第2レンズ系を通過したビームを外部に反射させる光分割器と、前記光分割器から反射させたビームを入射される第3レンズ系、及び前記第3レンズ系を通過したビームを検出する光検出器と、を含み、前記光検出器の検出面には、前記対物レンズの対物面にある像の空間周波数変換された光の分布が生成され、前記光検出器の検出面のサイズは、下記の数式を満足することができる。
【0051】
【0052】
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、対物レンズを通じて対物面で高解像度のフレネルゾーンパターンをスキャニングビームパターンで形成し、当該パターンが物体上を飛び回るスキャン(flying-over scan)を行いながら、物体から反射したビームを対物レンズを通じて光検出器の検出面でイメージングすることにより、高速で高解像度のスキャニングホログラム顕微鏡を具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明の第1実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面である。
【
図2】
図1のCASE 1による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【
図3A】レンズ系を一般光学系及びアプラナティック光学系にそれぞれモデリングしたものを示す図面である。
【
図3B】レンズ系を一般光学系及びアプラナティック光学系にそれぞれモデリングしたものを示す図面である。
【
図4】本発明の第2実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面である。
【
図5】
図4のCASE 2による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【
図6】本発明の第3実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面である。
【
図7】
図6のCASE 3による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【
図8】本発明の第4実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面である。
【
図9】
図8のCASE 4による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【
図10】
図1に示された集光部の変形例を示す図面である。
【
図11】
図1に示された集光部の変形例を示す図面である。
【
図12】
図1に示された集光部の変形例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな異なる形態として具現され、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたって類似した部分については、類似した図面符号を付ける。
【0056】
明細書の全体において、ある部分が、他の部分と「連結」されているとする時、これは、「直接連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分が、ある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対される記載のない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
【0057】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について当業者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな異なる形態として具現され、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたって類似した部分については、類似した図面符号を付ける。
【0058】
明細書の全体において、ある部分が、他の部分と「連結」されているとする時、これは「直接連結」されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分が、ある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対される記載のない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
【0059】
本発明は、フライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置に関するものであって、スキャンビーム生成部から生成されたビームをスキャン対象となる物体に投射し、物体から反射または蛍光された光を集光して光検出器に伝達する光学系構造を提案する。
【0060】
このような本発明は、対物レンズを通じて対物面で高解像度のフレネルゾーンパターンをスキャニングビームパターンで形成して、当該パターンが物体上を飛び回るスキャンを行い、スキャニングビームパターンが照射された物体から再び反射または蛍光されたビームを対物レンズを通じて光検出器の検出面でイメージングすることにより、スキャン対象体である物体の像を形成させ、光検出器の検出面で像の光度を空間的に集積する。
【0061】
このような本発明は、大きく第1ないし第4実施形態(CASE 1~4)を含むが、それぞれの実施形態は、対物面(物体が位置した面)に入るビームの形態によって区分される。
【0062】
第1及び第2実施形態(CASE 1、CASE 2)は、対物面に球面波と平面波とが干渉されて入る形態である。但し、第1実施形態は、収束する球面波と平面波とで形成されたスキャンビームが対物面に印加され、第2実施形態は、発散する球面波と平面波とで形成されたスキャンビームが対物面に印加される。
【0063】
そして、第3及び第4実施形態(CASE 3、CASE 4)は、対物面に球面波と球面波が干渉されて入る形態である。但し、第3実施形態は、発散する2つの球面波によって形成されたスキャンビームが対物面に印加され、第4実施形態は、収束する球面波と発散する球面波とで形成されたスキャンビームが対物面に印加される。このような4種の実施形態は、スキャンビーム生成部での第1及び第2球面波の生成条件によって異なるように決定される。
【0064】
以下、本発明の実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を図面を通じてさらに具体的に説明する。
【0065】
図1は、本発明の第1実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面である。
【0066】
図1のように、本発明の第1実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置100は、大きくスキャンビーム生成部110、スキャン部120、投射部130及び集光部140を含む。このような基本構造は、残りの第2ないし第4実施形態でも適用される。
【0067】
まず、スキャンビーム生成部110は、光源から分割された第1及び第2ビームのうち、第1ビームを周波数遷移させて第1レンズ115を通じて第1球面波に変換し、第2ビームを第2レンズ116を通じて第2球面波に変換した後、第1及び第2球面波を干渉させてスキャンビームを形成する。
【0068】
スキャンビーム生成部110は、光源を第1及び第2ビームに分割して第1及び第2球面波を生成後、生成された2つのビームを再び結合するマッハツェンダー干渉計の構造を使用する。
【0069】
スキャンビーム生成部110は、光源、第1ミラー(M1)、第1光分割器111、周波数遷移手段112、第2及び第3ミラー(M2、M3)、第1及び第2ビーム拡大器113、114、第1及び第2レンズ115、116、そして、干渉手段117を含む。
【0070】
光源は、電磁波を発生させる部分である。光源は、電磁波の発生が可能なレーザ発生器、LED(light emitting diode)、コヒーレンス長(coherence length)が短いハロゲン光のように可干渉性(Coherence)が低いビームなどの多様な手段を含みうる。以下、光源をレーザ発生器として具現したものを代表例示とする。
【0071】
光源から出力されたビームは、第1ミラー(M1)に伝達された後、反射して第1光分割器111に入力される。
【0072】
第1光分割器111は、入射されるビームを第1ビームと第2ビームとに分離して、第1ビームを位相変調手段112(音響-光変調器)に伝達し、第2ビームを第3ミラー(M3)に伝達する。すなわち、第1光分割器111で第1ビームの経路に沿うビームは、位相変調手段112に伝達され、第2ビームの経路に沿うビームは、第3ミラー(M3)に伝達される。
【0073】
ここで、第1光分割器111は、光ファイバーカプラー(optical fiber coupler)、ビームスプリッタ(beam splitter)、幾何位相レンズ(geometric phase lens)などで構成され、自由空間を導波してビームを外部に伝達する方式で具現可能である。ここで、幾何位相レンズなど共軸上(in-line)でビームを分割することができる手段を用いる場合、共軸上で第1ビームと第2ビームとに分割することができる。以下、それぞれの光分割器をビームスプリッタとして具現したものを仮定する。
【0074】
位相変調手段112は、第1ビームを周波数遷移させた後、第2ミラー(M2)に伝達する。位相変調手段112は、関数発生器(図示せず)から発生した周波数を用いて、第1ビームの周波数をΩほど遷移させて第2ミラー(M2)に伝達することができる。ここで、位相変調手段112は、音響光変調器(acousto-optic modulator)、電子光変調器(electro-optic modulator)を含んだ電気信号によって光の位相を変調する多種の変調器として具現可能である。
【0075】
第2ミラー(M2)から反射した第1ビームは、第1ビーム拡大器113によって拡張された後、第1レンズ115に伝達される。第3ミラー(M3)から反射した第2ビームは、第2ビーム拡大器114によって拡張された後、第2レンズ116に伝達される。ビーム拡大器は、コリメーターとして具現可能である。
【0076】
第1レンズ115は、第1ビーム拡大器113と干渉手段117との間に位置し、拡張された第1ビームを第1球面波(spherical wave)に変換して干渉手段117に伝達する。すなわち、第1レンズ115は、第1ビームの空間分布を変調して第1ビームから第1球面波を生成する。
【0077】
第2レンズ116は、第2ビーム拡大器114と干渉手段117との間に位置し、拡張された第2ビームを第2球面波に変換して干渉手段117に伝達する。すなわち、第2レンズ116は、第2ビームの空間分布を変調して第2ビームから第2球面波を生成する。
【0078】
生成された第1及び第2球面波は、干渉手段117を通過しながら互いに干渉されてスキャン部120に伝達される。干渉手段117は、ビームスプリッタとして具現可能である。
【0079】
干渉手段117は、第1レンズ115を通過した第1ビーム(第1球面波)と第2レンズ116を通過した第2ビーム(第2球面波)とを互いに重畳し、干渉させてフレネルゾーンパターンの干渉パターンを有するスキャンビームを形成する。
【0080】
このように、スキャンビーム生成部110は、光源から分離された第1ビームと第2ビームとを第1及び第2球面波に変換後、干渉手段117を通じて互いに重畳させてスキャンビームを形成し、該形成したスキャンビームをスキャン部120に伝達する。
【0081】
次は、
図1に示されたスキャン部の構成をさらに詳しく説明する。
【0082】
スキャンビーム生成部110で生成した第1及び第2球面波の間に発生した干渉パターン(スキャンビーム)は、スキャン部120に入射される。スキャン部120に入射されたビームは、スキャンミラー121(x-スキャンミラー)を経て投射部130の第1レンズ系131に伝達される。
【0083】
スキャン部120は、物体に対するスキャンビームのスキャニング位置を水平及び垂直方向に制御するように、スキャンビーム生成部110の後端に設けられて物体をx方向にスキャンするためのスキャンミラー121と投射部130の後端に設けられて物体をy方向にスキャンするためのトランスレーションステージ(translation stage)122とを含む。
【0084】
スキャンミラー121は、スキャンビーム生成部110から入射されるスキャンビームを水平方向に制御して投射部130に伝達する。トランスレーションステージ122は、投射部130の後端でスキャンビームを入射される物体を直接垂直方向に移動させて、スキャンビームを通じた物体のy方向スキャンも可能にする。
【0085】
このようなトランスレーションステージ122は、物体が置かれる対物板をy軸方向に移動可能に具現したものであって、移動する対物板に該当する。このようなトランスレーションステージ122は、スキャンミラー121と物理的に離れているが、物体に対するビームのスキャニング位置を制御する手段に該当するので、スキャンミラー121と共にスキャン部120の構成要素として含まれる。
【0086】
このように、スキャン部120は、スキャンミラー121とトランスレーションステージ122とを用いて物体を基準にスキャンビームを水平方向(x方向)と垂直方向(y方向)とに制御する。
【0087】
本発明の実施形態において、スキャン部120は、ミラースキャナーを使用する。ミラースキャナーは、物体をy軸を中心にx方向(左右方向)にスキャンするx-スキャンミラー121を有する。本発明の場合、スキャン部がミラースキャナーに限定されるものではなく、これと類似した手段または公知の他のスキャン手段が使われることもある。
【0088】
スキャン部120は、電子処理部(図示せず)内のスキャン制御部(図示せず)からスキャニング制御信号を受けで動作する。スキャン制御部(図示せず)は、スキャン部120のスキャニング位置を制御するためのスキャニング制御信号を発生させる。ここで、スキャニング制御信号は、スキャンミラー121及びトランスレーションステージ122を水平方向及び垂直方向にそれぞれ制御するための水平スキャン信号及び垂直スキャン信号を含みうる。
【0089】
この際、水平スキャン信号は、水平方向(x軸方向)に対してスキャン位置を既定の距離単位ずつ順に移動させるための信号であって、任意距離単位のスキャン移動のための周期(T)を有している。トランスレーションステージ122を垂直方向に動く信号である垂直スキャン信号は、任意のy位置に対するx軸方向の水平スキャン動作が完了すれば、次のy位置に対する水平スキャン動作を可能にするトランスレーションステージ制御信号であって、その周期は、水平スキャン信号よりも大きい。
【0090】
このような制御信号に対応して、スキャンミラー121の回転によって第1球面波と第2球面波との光軸が回転し、光軸が回転したスキャンビームパターンは、投射部130の第1レンズ系131に伝達される。
【0091】
ここで、回転していない基準光軸と回転した光軸との間の半角をスキャン角(θS)と称する。例えば、スキャンミラー121の面が、z軸方向を眺める状態でスキャンミラー121が回転した角度を意味する。
【0092】
スキャン部120は、スキャンミラー121を用いて第1及び第2球面波間の干渉ビーム(スキャンビーム)を投射部130に伝達して第1レンズ系131に入力させる。
【0093】
投射部130は、スキャン部120と対物面との間に順次配された第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を含み、スキャン部120から伝達されたスキャンビームを物体が位置した対物面に投射する。
【0094】
このような投射部130は、対物レンズ133を通じて対物面で高解像度のフレネルゾーンパターンをスキャニングビームパターンで形成してパターンが物体上を飛び回るスキャンを行う。
【0095】
集光部140は、スキャンビームが照射された物体から反射または蛍光された後、再び対物レンズ133を通過したビームを検出する。この際、集光部140は、第3レンズ系142及び光検出器143(フォトディテクター;photo detector)を含む。集光部140は、物体から反射したビームを対物レンズ133を通じて光検出器143の検出面でイメージングして物体の像を形成させ、検出面にイメージングされた像の光度を空間的に集積して集光する。ここで、検出面は、イメージングされた像の焦点面だけではなく、イメージングされた像の脱焦点された面に位置しても良いということはいうまでもない。
【0096】
集光部140は、光検出器143の検出面で像の光度を光の総和に比例する電気信号を生成する方式で集光して検出することができる。集光部140の構造は、多様な実施形態を有することができるが、
図1のように、第2レンズ系132と対物レンズ133との間に配される第2光分割器141、そして、その後端にそれぞれ配される第3レンズ系142及び光検出器143を含んで構成することができる。
【0097】
物体から反射または蛍光されたビームは、対物レンズ133を通じて第2光分割器141に入り、このビームは、第2光分割器141を通じて反射して上端の第3レンズ系142及び光検出器143に伝達される。
【0098】
集光部140のさらに多様な構造については、再び後述する。また、集光部の多様な構造は、第1ないし第4実施形態にいずれも適用可能である。
【0099】
以下、
図1、
図4、
図6、
図8を通じて本発明の第1ないし第4実施形態を詳しく説明する。
【0100】
本発明の実施形態において、対物面に投射されるスキャンビームのパターンは、スキャンミラー121に結ばれる第1及び第2球面波の各焦点位置と錐角の条件とによって互いに変わり、これにより、本発明は、第1ないし第4実施形態に区分される。
【0101】
このような第1ないし第4実施形態別にスキャンミラー121に結ばれる第1及び第2球面波の生成条件が、それぞれ異なり(
図2、
図5、
図7、
図9)、これにより、実際の対物面に入るビームの形態も変わる(
図1、
図4、
図6、
図8)。
【0102】
図1の第1実施形態の場合、収束する球面波と平面波とが対物面に入り、
図4の第2実施形態は、発散する球面波と平面波とが対物面に入り、
図6の第3実施形態は、発散する2つの球面波が対物面に入り、
図8の第4実施形態は、収束する球面波と発散する球面波とが対物面に入る。
【0103】
したがって、本発明の実施形態において、対物面に投射されるスキャンビームは、スキャンミラー121に結ばれる第1及び第2球面波の各焦点位置と錐角の条件とによって、4種の干渉構造のうち何れか1つに決定されることが分かる。
【0104】
具体的に、対物面に投射される最初の干渉構造は、対物面に対して収束する球面波と平面波との干渉構造(第1パターン;
図1のCASE 1)であり、二番目の干渉構造は、発散する球面波と平面波との干渉構造(第2パターン;
図4のCASE 2)である。また、三番目の干渉構造は、発散する2つの球面波間の干渉構造(第3パターン;
図6のCASE 3)であり、四番目の干渉構造は、収束する球面波と発散する球面波との干渉構造(第4パターン;
図8のCASE 4参照)である。
【0105】
次は、CASE 1ないしCASE 4をそれぞれ具現するためのスキャンビーム生成部110の球面波の生成条件をより具体的に説明する。
【0106】
[CASE 1]収束する球面波と平面波との干渉パターン
【0107】
図2は、
図1のCASE 1による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【0108】
第1実施形態(CASE 1)において、第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して平面波及び収束する球面波になって、対物面に投射されたスキャンビームは、対物面で収束する球面波と平面波との干渉構造を有する。
【0109】
このように、CASE 1の場合、対物面に対して収束する球面波と平面波とが干渉されたビームのパターンを物体スキャニングのためのスキャンビームパターンで使用する構造であって、対物レンズの分解能と同じか、低いが、対物面で物体が位置しうる深さ領域が大きくなることを特徴とする。
【0110】
このために、スキャンビーム生成部110は、
図2に示された焦点距離及び錐角の条件で第1球面波及び第2球面波を生成する。
【0111】
図2を参照すれば、CASE 1で第1球面波の焦点位置は、第1レンズ系131の入射瞳の位置と同一であり、第2球面波の焦点位置は、第1レンズ系131の入射瞳の位置と同じか、より前端に位置する。また、それと同時に第1球面波の錐角(θ
1)は、下記のように第2球面波の錐角(θ
2)よりも大きいか、同じ条件を有する。
【0112】
【0113】
ここで、もちろん、第1及び第2球面波のそれぞれの焦点位置及び錐角は、スキャンビーム生成部110に含まれた第1及び第2レンズ115、116の各焦点距離などの仕様によって決定される。
【0114】
投射部130は、スキャン部120から伝達された光軸が回転した第1球面波と第2球面波とを対物レンズ133に伝達し、対物レンズ133は、伝達された第1球面波と第2球面波とを対物レンズ133の対物面に伝達する。
【0115】
この際、第1レンズ系131の入射瞳(entrance pupil)は、スキャンミラー121のスキャン面に位置する。
【0116】
2つの球面波によるスキャンビームは、スキャンミラー121を通じて第1レンズ系131に伝達される。第1レンズ系131は、伝達されたスキャンビームを第2レンズ系132に伝達する。ここで、第2レンズ系132の入射瞳は、第1レンズ系131の出射瞳(exit pupil)と同じ位置になるように位置することが望ましい。第2レンズ系132は、スキャンビームを対物レンズ133に伝達する。対物レンズ133は、伝達されたスキャンビームを対物面に投射する。この際、対物レンズ133の入射瞳の位置は、第2レンズ系132の出射瞳の位置のような場所に位置させることが望ましい。
【0117】
物体が位置した対物面には、前述した構造を有する第1及び第2レンズ系131、132によって平面波に変換された第1ビームと、収束する球面波に変換された第2ビームと、が互いに重畳される。この際、スキャン部120のスキャニングによって平面波である第1ビームと球面波である第2ビームとの重畳で形成された干渉パターンであるフレネルゾーンパターンは、物体上を飛び回りながら物体をスキャンする。
【0118】
【0119】
また、
図2に示した第1及び第2球面波の焦点位置及び錐角の条件(第1条件)に加えて、それに対する従属条件で第1及び第2レンズ系131、132は、下記の数式2を満足することが望ましい。
【0120】
【0121】
【0122】
ここで、第1レンズ系131の入射瞳のサイズと受光角とによって対物面に投射される平面波と球面波とのサイズは制限されるが、これによるホログラムの分解能の低下及び視野低下を防ぐために、スキャン部120のスキャンミラー121でのスキャン角(θS)、各球面波の収束半角(θ1、θ2)、第1レンズ系131の入射瞳面での各球面波の半径(rsph1、rsph2)は、前記の数式2を満足することが望ましい。
【0123】
ここで、レンズ系を構成した各パラメータに対する定義は、以下の
図3を参照すれば良い。本発明の実施形態に含まれたそれぞれの光学系は、
図3Aまたは
図3Bの形態でモデリングされる。
【0124】
図3A及び
図3Bは、レンズ系を一般光学系及びアプラナティック(aplanatic)光学系にそれぞれモデリングしたものを示す図面である。
【0125】
まず、
図3Aの場合、レンズ系を一般光学係のカーディナル点(cardinal point)とカーディナル面(cardinal plane)とでモデリングしたものであり、
図3Bは、アプラナティック光学系のカーディナル点とカーディナル面とでモデリングしたものである。
【0126】
【0127】
【0128】
第1レンズ系131は、スキャン部120から伝達された第1球面波と第2球面波とを第2レンズ系132に伝達するが、この際、第1球面波と第2球面波とを位相歪曲なしに伝達するために、第2レンズ系132の入射瞳は、第1レンズ系131の出射瞳と同じ位置であることが望ましい。
【0129】
第2レンズ系132は、第1レンズ系131から伝達された第1球面波と第2球面波とを第2光分割器141を通じて対物レンズ133に伝達する。この際、第1球面波と第2球面波とを位相歪曲なしに伝達し、第1球面波が対物レンズの対物面に平行光で入射させるために、対物レンズ133の入射瞳は、第2レンズ系132の出射瞳と同じ位置であることが望ましい。
【0130】
【0131】
第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第1球面波は、対物レンズ133の対物面で平面波になるが、この際、スキャンによる分解能の低下を防ぐために、平面波の半径は、対物レンズ133の視野の半径と同じか、小さいことが望ましく、これは、下記の数式3のように表現される。
【0132】
【0133】
ここで、θ1は、第1球面波の収束半角、θSは、スキャン角、Fobjは、対物レンズ133の前焦点面で視野の半径、f0は、対物レンズ133の有効焦点距離、f1及びf2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【0134】
また、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第2球面波は、対物レンズ133の対物面で収束する球面波になるが、この際、スキャンによる分解能の低下を防ぐために、対物面で収束する球面波の半径は、対物レンズ133の視野の半径と同じか、小さいことが望ましく、これは、下記の数式4のように表現される。
【0135】
【0136】
ここで、θ2は、第2球面波の収束半角を示し、残りのパラメータは、前記数式3と同一である。
【0137】
このように、CASE 1を具現するためには、数式2の条件と共に数式3と数式4との条件を満足しなければならない。
【0138】
すなわち、第1球面波と対応した対物面での「平面波」の半径と第2球面波と対応した対物面での「収束する球面波」の半径は、いずれも対物レンズ133の視野の半径(Fobj)よりも小さいか、同じでなければならない。
【0139】
ここで、第1及び第2レンズ系131、132は、対物レンズ133の分解能と視野角とに最大限符合するスキャンビームを伝達できるように、第1及び第2レンズ系131、132の光学的不変性は、対物レンズ133の光学的不変性よりも大きいか、同じである下記の数式5の条件をさらに満足することが望ましい。
【0140】
【0141】
ここで、I1、I2、Iobjは、それぞれ第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133の光不変性を示す。
【0142】
【0143】
[CASE 2]発散する球面波と平面波との干渉パターン
【0144】
図4は、本発明の第2実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面であり、
図5は、
図4のCASE 2による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【0145】
図4のように、本発明の第2実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置200は、大きくスキャンビーム生成部210、スキャン部120、投射部130及び集光部140を含む。
図1と同じ符号を有する構成要素についての重複説明は、省略する。
【0146】
前述したように、第2実施形態の場合も、装置の基本構造は、第1実施形態と同一であるが、生成されるスキャンビームパターンは異なる。すなわち、スキャンビーム生成部210の第1及び第2レンズ215、216を通じて導出された第1及び第2球面波の条件が異なり、その原理は、次の通りである。
【0147】
第2実施形態(CASE 2)において、第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して平面波及び発散する球面波になって、対物面に投射されたスキャンビームは、対物面で発散する球面波と平面波との干渉構造を有する。
【0148】
このように、CASE 2の場合、対物面に対して発散する球面波と平面波とが干渉されたビームのパターンを物体スキャニングのためのスキャンビームパターンで使用する構造であって、対物レンズの分解能と同じか、高い分解能を有することを特徴とする。
【0149】
このために、スキャンビーム生成部210は、
図5のような焦点距離及び錐角の条件で第1球面波及び第2球面波を生成する。
【0150】
【0151】
2つの球面波によるスキャンビームは、スキャン部120を通じて第1レンズ系131に伝達される。第1レンズ系131は、伝達されたスキャンビームを第2レンズ系132に伝達する。第2レンズ系132の入射瞳は、第1レンズ系131の出射瞳と同じ位置になるように位置する。第2レンズ系132は、スキャンビームを対物レンズ133に伝達する。対物レンズ133は、伝達されたスキャンビームを対物面に投射する。この際、対物レンズ133の入射瞳の位置は、第2レンズ系132の出射瞳の位置のような場所に位置させる。
【0152】
物体が位置した対物面には、前述した構造を有する第1及び第2レンズ系131、132によって、平面波に変換された第1ビームと、発散する球面波に変換された第2ビームと、を重畳させる。この際、スキャンミラーのスキャニングによって平面波である第1ビームと球面波である第2ビームとの重畳で形成された干渉パターンであるフレネルゾーンパターンは、対象体上を飛び回りながら物体をスキャンする。
【0153】
ここで、分解能の低下を防ぐために、対物面で第1ビームである平面波のサイズが発散する球面波のサイズよりも大きいことが望ましく、そのためには、前記数式1のように、第1球面波の錐角(θ1)は、第2球面波の錐角(θ2)よりも大きいか、同じ条件を満足することが望ましい。
【0154】
このような第2実施形態(CASE 2)の残りの条件(数式2ないし数式5)は、前記第1実施形態(CASE 1)と同様に適用される。
【0155】
但し、このような第2実施形態において、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第1球面波は、対物レンズ133の対物面で平面波になり、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第2球面波は、対物レンズ133の対物面で発散する球面波になる。
【0156】
したがって、このような第2実施形態の場合、数式3、数式4の意味は、第1球面波と対応した対物面での「平面波」の半径と第2球面波と対応した対物面での「発散する球面波」の半径は、いずれも対物レンズ133の視野の半径(Fobj)よりも小さいか、同じでなければならないことを意味する。
【0157】
[CASE 3]発散する球面波と発散する球面波との干渉パターン
【0158】
図6は、本発明の第3実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面であり、
図7は、
図6のCASE 3による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【0159】
図6のように、本発明の第3実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置300は、大きくスキャンビーム生成部310、スキャン部120、投射部130及び集光部140を含む。
図1と同じ符号を有する構成要素についての重複説明は、省略する。
【0160】
前述したように、第3実施形態の場合も、装置の基本構造は、第1実施形態と同一であるが、生成されるスキャンビームパターンは異なる。すなわち、スキャンビーム生成部310の第1及び第2レンズ315、316を通じて導出された第1及び第2球面波の条件が異なり、その原理は、次の通りである。
【0161】
第3実施形態(CASE 3)において、第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対していずれも発散する球面波になって、対物面に投射されたスキャンビームは、対物面で発散する2つの球面波間の干渉構造を有する。
【0162】
このように、CASE 3の場合、対物面に対して発散する球面波と球面波が干渉されたビームのパターンを物体スキャニングのためのスキャンビームパターンで使用する構造であって、深度領域が増大することが特徴である。
【0163】
このために、スキャンビーム生成部310は、
図7に示された焦点距離及び錐角の条件で第1球面波及び第2球面波を生成する。
【0164】
【0165】
2つの球面波によるスキャンビームは、スキャン部120を通じて第1レンズ系131に伝達される。第1レンズ系131は、伝達されたスキャンビームを第2レンズ系132に伝達する。第2レンズ系132の入射瞳は、第1レンズ系131の出射瞳と同じ位置になるように位置する。第2レンズ系132は、スキャンビームを対物レンズ133に伝達する。対物レンズ133は、伝達されたスキャンビームを対物面に投射する。この際、対物レンズ133の入射瞳の位置は、第2レンズ系132の出射瞳の位置のような場所に位置させる。
【0166】
物体が位置した対物面には、前述した構造を有する第1及び第2レンズ系131、132によって発散する球面波に変換された第1ビームと、発散する球面波に変換された第2ビームと、を重畳させる。この際、スキャンミラーのスキャニングによって球面波である第1ビームと球面波である第2ビームとの重畳で形成された干渉パターンであるフレネルゾーンパターンは、対象体上を飛び回りながら物体をスキャンする。
【0167】
ここで、分解能の低下を防ぐために、対物面で第1ビームである球面波のサイズが第2ビームである球面波のサイズよりも大きいことが望ましく、そのためには、前記数式1のように、第1球面波の錐角(θ1)は、第2球面波の錐角(θ2)よりも大きいか、同じ条件を満足することが望ましい。
【0168】
このような第3実施形態(CASE 3)の残りの条件(数式2ないし数式5)は、前記第1実施形態(CASE 1)と同一である。また、ここで、第1球面波と第2球面波とを位相歪曲なしに伝達し、第1球面波を対物レンズの対物面に球面波に入射させるために、対物レンズ133の入射瞳は、第2レンズ系132の出射瞳と同じ位置であることが望ましい。
【0169】
但し、このような第3実施形態の場合、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第1球面波は、対物レンズ133の対物面で「発散する球面波」になる。また、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第2球面波も、対物レンズ133の対物面で「発散する球面波」になる。
【0170】
したがって、第3実施形態の場合、数式3、数式4の意味は、第1球面波と対応した対物面での「発散する球面波」の半径と第2球面波と対応した対物面での「発散する球面波」の半径は、いずれも対物レンズ133の視野の半径(Fobj)よりも小さいか、同じでなければならないことを意味する。
【0171】
[CASE 4]収束する球面波と発散する球面波との干渉パターン
【0172】
図8は、本発明の第4実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置を示す図面であり、
図9は、
図8のCASE 4による干渉構造を対物面に形成するためのスキャンビーム生成部の第1及び第2球面波の生成条件を示す図面である。
【0173】
図8のように、本発明の第4実施形態によるフライングオーバービームパターンスキャニングホログラム顕微鏡装置300は、大きくスキャンビーム生成部410、スキャン部120、投射部130及び集光部140を含む。
図1と同じ符号を有する構成要素についての重複説明は、省略する。
【0174】
前述したように、第4実施形態の場合も、装置の基本構造は、第1実施形態と同一であるが、生成されるスキャンビームパターンは異なる。すなわち、スキャンビーム生成部410の第1及び第2レンズ415、416を通じて導出された第1及び第2球面波の条件が異なり、その原理は、次の通りである。
【0175】
第4実施形態(CASE 4)において、第1及び第2球面波は、それぞれ対物面に対して収束する球面波と発散する球面波とになって、対物面に投射されたスキャンビームは、対物面で収束する球面波と発散する球面波との干渉構造を有する。
【0176】
このように、CASE 4の場合、対物面で収束する球面波と発散する球面波とが干渉されたビームのパターンを物体スキャニングのためのスキャンビームパターンで使用する構造であって、分解能を対物レンズの分解能よりも増大させることが特徴である。
【0177】
このために、スキャンビーム生成部410は、
図9に示された焦点距離及び錐角の条件で第1球面波及び第2球面波を生成する。
【0178】
図9の場合、第1球面波の焦点位置は、第1レンズ系131の入射瞳よりも前端に位置させ、第2球面波の焦点位置は、第1レンズ系131の入射瞳よりも後端に位置させる。また、それと同時に第1及び第2球面波の錐角(θ
1、θ
2)は、θ
2<θ
1を満足させる。
【0179】
2つの球面波によるスキャンビームは、スキャン部120を通じて第1レンズ系131に伝達される。第1レンズ系131は、伝達されたスキャンビームを第2レンズ系132に伝達する。第2レンズ系132の入射瞳は、第1レンズ系131の出射瞳と同じ位置になるように位置する。第2レンズ系132は、スキャンビームを対物レンズ133に伝達する。対物レンズ133は、伝達されたスキャンビームを対物面に投射する。この際、対物レンズ133の入射瞳の位置は、第2レンズ系132の出射瞳の位置のような場所に位置させる。
【0180】
物体が位置した対物面には、前記構造の第1及び第2レンズ系131、132によって「収束する球面波」に変換された第1ビームと、「発散する球面波」に変換された第2ビームと、を重畳させる。この際、スキャンミラーのスキャニングによって球面波である第1ビームと球面波である第2ビームとの重畳で形成された干渉パターンであるフレネルゾーンパターンは、対象体上を飛び回りながら物体をスキャンする。
【0181】
この際、分解能の低下を防ぐために、対物面で第1ビームである球面波のサイズが第2ビームである球面波のサイズよりも大きいことが望ましい。そのためには、下記の数式6のように、第1球面波の錐角(θ1)と第2球面波の錐角(θ2)との差の絶対値が、第1球面波の錐角(θ1)と第2球面波の錐角(θ2)との和の絶対値の1/2よりも小さいことが望ましい。
【0182】
【0183】
また、
図8に示した2つの球面波の焦点位置及び錐角の条件(第4条件)に加えて、それに対する従属条件で、第1及び第2レンズ系131、132は、下記の数式7を満足しなければならない。
【0184】
【0185】
【0186】
第1レンズ系131の入射瞳のサイズと受光角による対物面に投射される2つの球面波のサイズ制限による分解能の低下及び視野低下を防ぐために、第1レンズ系131の入射瞳面での第1及び第2球面波の半径(rsph1、rsph2)は、数式7を満足することが望ましい。
【0187】
第1レンズ系131は、スキャン部120から伝達された第1球面波と第2球面波とを第2レンズ系132に伝達するが、この際、第1球面波と第2球面波とを位相歪曲なしに伝達するために、第2レンズ系132の入射瞳は、第1レンズ系131の出射瞳と同じ位置であることが望ましい。
【0188】
第2レンズ系132は、第1レンズ系131から伝達された第1球面波と第2球面波とを第2光分割器141を通じて対物レンズ133に伝達する。この際、第1球面波と第2球面波とを位相歪曲なしに伝達し、第1球面波を対物レンズの対物面に球面波に入射させるために、対物レンズ133の入射瞳は、第2レンズ系132の出射瞳と同じ位置であることが望ましい。
【0189】
また、このような第4実施形態において、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第1球面波は、対物レンズ133の対物面で収束する球面波になる。この際、スキャンによる分解能の低下を防ぐために、球面波の半径は、対物レンズ133の視野の半径と同じか、小さいことが望ましく、これは、下記の数式8のように表現される。
【0190】
【0191】
ここで、θ1は、第1球面波の収束半角、θSは、スキャン角、Fobjは、対物レンズ133の前焦点面で視野の半径、f0は、対物レンズ133の有効焦点距離、f1及びf2は、第1及び第2レンズ系の有効焦点距離を示す。
【0192】
また、第1レンズ系131、第2レンズ系132及び対物レンズ133を通過した第2球面波は、対物レンズ133の対物面で「発散する球面波」になるが、この際、スキャンによる分解能の低下を防ぐために、対物面で発散する球面波の半径は、対物レンズ133の視野の半径よりも小さいか、同じであることが望ましく、これは、下記の数式9のように表現される。
【0193】
【0194】
ここで、θ2は、第2球面波の収束半角を示し、残りの要素は、前記数式3と同一である。
【0195】
したがって、第4実施形態の場合、第1球面波と対応した対物面での「収束する球面波」の半径と第2球面波と対応した対物面での「発散する球面波」の半径は、いずれも対物レンズ133の視野の半径(Fobj)よりも小さいか、同じでなければならない。
【0196】
第4実施形態の場合も、数式5のように、第1及び第2レンズ系131、132の光学的不変性は、対物レンズ133の光学的不変性よりも大きいか、同じ条件を有する。
【0197】
一方、
図1、
図4、
図6、
図8のあらゆる実施形態において、第1レンズ系と第2レンズ系は、一般的なレンズ、平凸(Plano-convex)レンズ、ダブレット(doublet)、複合アクロマティックダブレット(achromatic doublet)として具現可能であるだけではなく、スキャンによる光軸歪曲を最小化するために、テレセントリックレンズ系であることが望ましい。
【0198】
これにより、第1レンズ系と第2レンズ系は、米国登録特許第4,482,217号のPlossl型対眼レンズで構成され、テレセントリックレンズで構成することができる。それだけではなく、第1レンズ系は、複合スキャンレンズ(compound scan lens)、第2レンズ系は、複合チューブレンズ(compound tube lens)で構成することができる。
【0199】
次は、第1ないし第4実施形態に共通して適用可能な集光部の構造を
図1を参照してより詳しく説明する。
図1の第1実施形態の発明に示された集光部の構成は、第2ないし第4実施形態も、共通適用可能なので、以下、
図1を代表例示として説明する。
【0200】
[集光部]空間面集光法
【0201】
図1を参照すれば、スキャンビーム生成部120から生成されたスキャンビームパターンは、対物レンズ133を通じて高解像度のフレネルゾーンパターンに変更されて、スキャンミラーの回転によって指定されるスキャン位置で物体を照射する。照射されたビームパターンは、物体から反射して対物レンズ133に伝達される。対物レンズ133は、反射したビームを第2光分割器141を通じて第3レンズ系142に伝達する。
【0202】
このように、
図1の集光部140は、第2光分割器141、第3レンズ系142、光検出器143を含み、空間面集光を行う。
【0203】
第2光分割器141は、第2レンズ系132と対物レンズ133との間に配されて、第2レンズ系132を通過したビームは、対物レンズ133に伝達し、物体から反射して再び対物レンズ133を通過したビームは、第3レンズ系142に反射させる。光検出器143は、第3レンズ系142を通過したビームを検出し、フォトディテクターとして具現可能である。
【0204】
【0205】
対物レンズ133と第3レンズ系142は、スキャンミラーの回転によって指定されるスキャン位置でフレネルゾーンプレートが照射された対象体の像を光検出器143の検出面方向に生成させる。この際、対物レンズ133が無限補正された(infinite corrected)対物レンズである場合、第3レンズ系142の入射瞳の位置は、対物レンズ133の入射瞳の位置と同じであることが望ましい。第3レンズ系142の出射瞳の位置には、スキャンビームパターンによって照射された物体の像が形成される。
【0206】
ここで、像が形成される位置に光検出器143の検出面が位置することが望ましく、光検出器143の検出面のサイズは、スキャニングによって、スキャンビームが照射する全領域から反射したビームの検出面での像のサイズと同じか、大きいことが望ましく、照射領域は、対物レンズ133の視野を越えることができない。
【0207】
したがって、
図1に示された集光部140の構造で、光検出器143の検出面のサイズ(F
pd)は、下記の数式10を満足することが望ましい。
【0208】
【0209】
ここで、θSは、スキャン部120のスキャンミラー121でのスキャン角、f1ないしf3は、第1ないし第3レンズ系131、132、142の各有効焦点距離、f0は、対物レンズ133の有効焦点距離、Foは、対物レンズ133の前焦点面で視野の半径を示す。
【0210】
光検出器143は、検出面で像の光度の総和に比例する電気信号を生成して電子処理部(図示せず)に伝達する。電子処理部(図示せず)は、光検出器143から検出された電気信号を処理して物体のホログラムを生成する。
【0211】
各構造による電子処理部(図示せず)は、異なることができ、これは、本出願人による既出願特許である出願番号第10-2012-0002121号を参照することができる。
【0212】
例えば、電子処理部(図示せず)は、ヘテロダイン検出器、ADコンバータ、信号処理部、保存部、そして、スキャン制御部を含みうる。ヘテロダイン検出器は、光検出器から伝達された電気信号と関数発生器から生成された周波数Ωを有するヘテロダイン変調信号とを用いて同位相出力信号及び四分位相出力信号を生成することができる。
【0213】
ADコンバータは、同位相信号と四分位相信号とを各チャネルを通じて入力されてデジタル信号に変換する。変換されたデジタル電流信号は、スキャン手段のスキャニング位置と共に信号処理部に提供される。信号処理部は、変換されたデジタル信号から対象物(物体)の複素数ホログラムを生成し、保存部は、生成された複素数ホログラムを保存する。そして、スキャン制御部は、対象物の任意位置に対するホログラム処理が完了する度にスキャン手段のスキャン位置を変更させる制御信号を生成してスキャン部120に伝達する。
【0214】
図1において、検出面の位置は、第3レンズ系142の出射瞳の位置であって、物体の上面であることが望ましいが、検出面の位置は、必ずしもこれに限定されるものではなく、上面前後に位置しうることはいうまでもない。この場合にも、検出面のサイズは、数式10を満足することが望ましい。
【0215】
一方、本発明の実施形態は、
図1のように、ベストモード(Best mode)で第1レンズ系131と第2レンズ系132とを用いてスキャンビームを伝達すると説明したが、
図1において、第1レンズ系131と第2レンズ系132なしにスキャン部120、第2光分割器141、対物レンズ133、第3レンズ系142で構成できるということはいうまでもない。このような構造の場合、検出面のサイズは、数式11を満足することが望ましい。
【0216】
【0217】
本発明の実施形態は、
図1のように、ベストモードで対物レンズ133と第3レンズ系142とを用いて物体の像を検出面に生成するものとしたが、第3レンズ系142なしに対物レンズ133のみで検出面に物体の像を形成できるということはいうまでもない。
【0218】
また、本発明の実施形態は、ベストモードで第2光分割器141を第2レンズ系132と対物レンズ133との間に位置させた。しかし、本発明が、必ずしもこれに限定されるものではなく、以下の
図10ないし
図12のような変形された構造(総3種)を追加的に提案することができる。
【0219】
図10ないし
図12は、
図1に示された集光部の第1ないし第3変形例をそれぞれ示す図面である。もちろん、このような
図10ないし
図12に示された集光部の変形構造も、本発明の第1ないし第4実施形態にいずれも適用可能な構造に該当する。
【0220】
まず、
図10の第1変形例の場合、集光部150は、第2光分割器151、第3レンズ系152、第4レンズ系153、光検出器154を含む。この際、
図1とは異なって、第2光分割器151を第1レンズ系131と第2レンズ系132との間に位置させ、第3レンズ系152と第4レンズ系153とを用いて光検出器154の検出面に像を形成する。
【0221】
すなわち、第2光分割器151は、第1レンズ系131と第2レンズ系132との間に配されて、第1レンズ系131を通過したビームを第2レンズ系132に伝達し、物体から反射して対物レンズ133を通じて第2レンズ系132を通過して受信されたビームを第3レンズ系152に再び反射させる。
【0222】
第3レンズ系152は、光分割器から反射させたビームを入射されて第4レンズ系153に伝達する。第4レンズ系153は、第3レンズ系152を通過したビームを入射されて光検出器154に伝達する。そうすると、光検出器154は、第4レンズ系153を通過したビームを検出する。
【0223】
【0224】
このような
図10のような集光部150の構造で、光検出器154の検出面のサイズ(F
pd)は、下記の数式12を満足することが望ましい。
【0225】
【0226】
ここで、Fpdは、光検出器154の検出面のサイズ、θSは、スキャン部120のスキャンミラー121でのスキャン角、f1ないしf4は、第1ないし第4レンズ系132、132、152、153の有効焦点距離、f0は、対物レンズ133の有効焦点距離、Foは、対物レンズ133の前焦点面で視野の半径を示す。
【0227】
前述した
図1及び
図10に開示された集光部140、150の場合、空間面集光技法を利用した方式を示す。これとは異なって、以下の
図11及び
図12に開示された集光部160、170は、空間周波数面集光法を用いる方式に該当する。
【0228】
[集光部]空間周波数面集光法
【0229】
まず、
図11の第2変形例の場合、集光部160は、第2光分割器161、第3レンズ系162、第4レンズ系163、光検出器164を含み、
図1とは異なって、第3レンズ系と光検出器との間に第4レンズ系が追加されたことが分かる。
【0230】
スキャンビーム生成部120から生成されたスキャンビームパターンは、対物レンズ133を通じて高解像度のフレネルゾーンパターンに変更されて、スキャンミラーの回転によって指定されるスキャン位置で物体を照射する。照射されたビームパターンは、物体から反射して対物レンズ133に伝達される。
【0231】
すなわち、第2光分割器161は、第2レンズ系131を通過したビームを対物レンズ133に伝達し、物体から反射して再び対物レンズ133を通過したビームを反射させて第3レンズ系162に伝達する。第3レンズ系162は、それを伝達されて第4レンズ系163に伝達し、第4レンズ系163は、伝達されたビームを光検出器164の検出面に伝達する。
【0232】
この際、対物レンズ133の出射瞳と第3レンズ系162の入射瞳とを同じ面に位置させ、第3レンズ系162の出射瞳を第4レンズ系163の入射瞳と同じ位置に位置させ、光検出器164の検出面を第4レンズ系163の出射瞳に位置させることが望ましい。すなわち、対物レンズ133、第3レンズ系162、第4レンズ系163を共焦点システム(afocal system)に位置することが望ましい。
【0233】
このような光検出構造を有する光検出器164の光検出面には、対物レンズ133の対物面にある像の空間周波数変換された光の分布が生成される。
【0234】
この際、光検出器の検出面のサイズ(Fpd)は、下記の数式13のように、対物面に伝達されたスキャンビームの有効開口数と第4レンズ系163の焦点距離との積の0.1倍よりも大きいか、同じであることが望ましい。
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
次に、
図12の第4変形例の場合、集光部170は、第2光分割器171、第3レンズ系172、光検出器173を含む。この際、
図1とは異なって、第2光分割器171が、第1レンズ系131と第2レンズ系132との間に位置する。
【0243】
スキャンビーム生成部120から生成されたスキャンビームパターンは、対物レンズ133を通じて高解像度のフレネルゾーンパターンに変更されて、スキャンミラーの回転によって指定されるスキャン位置で物体を照射する。照射されたビームパターンは、物体から反射して対物レンズ133に伝達される。
【0244】
対物レンズ133は、反射したビームを第2レンズ系132を通じて第2光分割器171に伝達する。第2光分割器171は、伝達されたビームを再び反射させて第3レンズ系172に伝達し、第3レンズ系172は、それを伝達されて光検出器173の検出面に伝達する。
【0245】
この際、対物レンズ133の出射瞳と第2レンズ系132の入射瞳とを同じ面に位置させ、第2レンズ系132の出射瞳を第3レンズ系172の入射瞳と同じ位置に位置させ、光検出器164の検出面を第3レンズ系172の出射瞳に位置させることが望ましい。すなわち、対物レンズ133、第2レンズ系132、第3レンズ系172を共焦点システムに位置することが望ましい。
【0246】
このような光検出構造を有する光検出器173の光検出面には、対物レンズ133の対物面にある像の空間周波数変換された光の分布が生成される。
【0247】
この際、光検出器の検出面のサイズ(Fpd)は、下記の数式14のように、対物面に伝達されたスキャンビームの有効開口数(NAeff)と第3レンズ系172の焦点距離(f3)との積の0.1倍よりも大きいか、同じであることが望ましい。
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
一方、
図1の構造を例とすれば、物体が蛍光体である場合、二色性ミラー(dichronic mirror)を第2光分割器141の代わりに使用することができる。二色性ミラーは、スキャン部120と蛍光体との間に配されて、スキャン部120によって入射された干渉ビームを透過させて蛍光体に伝達し、蛍光体から入射された蛍光されたビームを反射させて光検出器164に伝達することができる。二色性ミラーは、光伝達手段であって、蛍光体をスキャニングする過程で蛍光体から発散された蛍光されたビームを光検出器に伝達する。二色性ミラーは、スキャン部と蛍光体との間に設定角度に斜めに配される。二色性ミラーは、波長によって選別的に光を反射するように設計されるミラーであって、本実施形態の場合、干渉ビームは透過させ、蛍光ビームは反射させるように設計される。すなわち、二色性ミラーは、スキャン部によって入射された干渉ビームを透過させて蛍光体に伝達し、蛍光体から入射された蛍光されたビームを反射させて光検出器に伝達する。このように、二色性ミラーは、干渉ビームの波長は透過させ、蛍光体によって蛍光されたビームの波長は反射させるように具現される。ここで、もちろん、干渉ビームと蛍光ビームのそれぞれの波長範囲は、あらかじめ知っている値に該当する。
【0254】
これによれば、蛍光体をスキャニングするための干渉ビーム(干渉パターン)は、二色性ミラーを透過して蛍光体に伝達される。また、スキャニング中に蛍光体から発散される蛍光ビームは、二色性ミラーに到達する直ちに反射して第3レンズ系を通じて光検出器に伝達される。
【0255】
以上のような本発明によれば、対物レンズを通じて対物面で高解像度のフレネルゾーンパターンをスキャニングビームパターンで形成し、当該パターンが物体上を飛び回るスキャンを行いながら、物体から反射したビームを対物レンズを通じて光検出器の検出面でイメージングすることにより、高速で高解像度のスキャニングホログラム顕微鏡を具現することができる。
【0256】
本発明は、図面に示された実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。