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特許7557060LNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物並びに足場構造物の設置方法及び解体方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】LNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物並びに足場構造物の設置方法及び解体方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 73/60 20200101AFI20240918BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240918BHJP
   F17C 3/04 20060101ALN20240918BHJP
   B63C 5/02 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
B63B73/60
B63B25/16 102
F17C3/04 Z
B63C5/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023521409
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2020018836
(87)【国際公開番号】W WO2022080591
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0130889
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0130890
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0130892
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517430897
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ フン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ナ,サン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ キュ
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-331989(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2092727(KR,B1)
【文献】特開昭51-033497(JP,A)
【文献】特公昭50-000399(JP,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1985143(KR,B1)
【文献】実開昭52-091625(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0116225(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0042347(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1008793(KR,B1)
【文献】国際公開第2005/085554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 73/60
B63B 25/16
B63B 25/26
B63B 35/24
B63C 5/02
F17C 3/04
E04G 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うために前記貨物倉の内部空間に設置される足場構造物において、
前記貨物倉の内部空間にモジュール形態で大型化され、その上部または下部に支柱が連結されて複数の階が形成される複数のスタンダード・モジュール;と
モジュール形態で大型化され、前記貨物倉の内側壁面と隣接して配置される、前記複数のスタンダード・モジュールの夫々の一方側に連結されて、前記支柱と連結されないカンチレバー・モジュールとを備える、足場構造物。
【請求項2】
前記スタンダード・モジュールは、
一方向に離間して設けられる一対のメインフレーム;と、
前記メインフレームの両端部に連結されて、前記一対のメインフレームを一体に連結する一対の連結フレーム;と、
前記一対のメインフレームの間で前記メインフレームの長さ方向に離間して、前記連結フレームと平行に配置される連結部材とを備える、請求項1に記載の足場構造物。
【請求項3】
前記メインフレームは、
前記支柱と同じ外径を有する一対の垂直部材;と、
前記一対の垂直部材が対向する方向で水平に延長して形成される第1水平部材;と、
前記第1水平部材と同じ長さを有し、前記第1水平部材の下方に離間して両端が前記一対の垂直部材の外周面に連結される第2水平部材;と、
前記第1水平部材と前記第2水平部材との間に形成される傾斜部材とを備える、請求項2に記載の足場構造物。
【請求項4】
前記メインフレームは、
前記一対の垂直部材のいずれか1つから前記一対の垂直部材が対向する方向の反対側外周面に突出して形成されて、その端部がフランジ形状を有する一対のフランジ部;と、
前記垂直部材の端部から、前記支柱の外径に対応する内径を有するように直径が拡張されて、その内部に前記支柱が挿設されるソケット部とを備える、請求項3に記載の足場構造物。
【請求項5】
複数の階を形成する前記複数のスタンダード・モジュールのいずれか1つと上部または下部に位置する他の1つのスタンダード・モジュールとを傾斜方向に連結する対角ブレースをさらに備え、
前記対角ブレースの一方側端部は、前記第2水平部材と前記垂直部材が相接する角に設けられたブラケットに連結され、前記対角ブレースの他方側端部は、前記ソケット部の外周面から水平方向に突出する部分に連結される、請求項4に記載の足場構造物。
【請求項6】
前記カンチレバー・モジュールは、
一方向に離間して設けられる一対の第1サブフレーム;と、
前記一対の第1サブフレームの間で前記一対の第1サブフレームを連結して一体化し、前記第1サブフレームの長さ方向に沿って連結される支持部材とを備える、請求項4に記載の足場構造物。
【請求項7】
前記第1サブフレームは、
水平方向に延長して形成される上弦部材;と、
前記上弦部材の下方に離間して形成される下弦部材;と、
前記上弦部材と前記下弦部材とを連結するブレース部材とを備える、請求項6に記載の足場構造物。
【請求項8】
前記フランジ部は、
前記垂直部材の上部外周面から突出して形成されて、前記上弦部材の一方側端部と連結される上部突出部;と、
前記上部突出部の下方に離間して前記垂直部材の下部外周面に突出して形成され、前記下弦部材の一側端部と連結される下部突出部;とを備え、
前記上弦部材と前記下弦部材との一方側端部は、夫々前記上部突出部と前記下部突出部との末端に対応するフランジ形状を有する、請求項7に記載の足場構造物。
【請求項9】
前記貨物倉の上部中央に設置されて、前記足場構造物の解体作業時に前記スタンダード・モジュール及び前記カンチレバー・モジュールを前記貨物倉の下部に移送するための移送手段;と、
前記貨物倉の中央部横断面の両側壁面に配置された前記スタンダード・モジュールから前記貨物倉の中央を向くように設置されて、前記移送手段を利用した前記足場構造物の解体作業時に、前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールとのランディング区域に提供されるモジュール・ランディング部とをさらに備える、請求項1に記載の足場構造物。
【請求項10】
モジュール形態で大型化され、前記貨物倉の角部から前記貨物倉の内側壁面に隣接して前記スタンダード・モジュールの他方側に連結されて、前記支柱と連結されない縦方向カンチレバー・モジュール;と、
前記カンチレバー・モジュールと前記縦方向カンチレバー・モジュールとを連結し、前記貨物倉の角部に隣接して配置されるセグメント部材とをさらに備える、請求項6に記載の足場構造物。
【請求項11】
前記縦方向カンチレバー・モジュールは、
前記第1サブフレームよりも短い長さを有して離間して設けられる一対の第2サブフレーム;と
前記一対の第2サブフレームの間の中央で前記一対の第2サブフレームと水平に延長して形成される中間支持台;と、
前記一対の第2サブフレームと前記中間支持台とを連結して足場板を支持する第2支持部材とを備える、請求項10に記載の足場構造物。
【請求項12】
前記貨物倉の角部に、前記足場構造物の曲げとねじれ変形を防止するために、前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールとに連結される補強トラス部;と、
前記セグメント部材のたわみを防止するために前記セグメント部材または前記カンチレバー・モジュールの一方側に連結される、たわみ防止ポストとをさらに備える、請求項10に記載の足場構造物
【請求項13】
貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うために、前記貨物倉の内部空間に設けられる足場構造物の設置方法において、
前記貨物倉の内側壁面から離間した位置にモジュール形態で大型化された複数のスタンダード・モジュールを設置する工程;と、
前記スタンダード・モジュールの上部または下部に支柱を連結させて複数の階を形成する工程;と、
前記貨物倉の内側壁面と隣接して前記スタンダード・モジュールの一方側にモジュール形態で大型化されたカンチレバー・モジュールを前記支柱と連結せずに設置する工程;とを含む、足場構造物の設置方法。
【請求項14】
前記貨物倉の内部空間の角部から前記貨物倉の内側壁面に隣接して配置される前記スタンダード・モジュールの他方側に、モジュール形態で大型化された縦方向カンチレバー・モジュールを前記支柱と連結せずに設置する工程;と、
前記カンチレバー・モジュールと前記縦方向カンチレバー・モジュールとを連結し、前記貨物倉の角部に隣接するセグメント部材を配置する工程;とをさらに含む、請求項13に記載の足場構造物の設置方法。
【請求項15】
前記貨物倉の角部に、前記スタンダード・モジュールと、前記カンチレバー・モジュールの曲げとねじれ変形を防止するために、前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールとに1つ以上の補強トラス部を連結させる工程;と、
前記セグメント部材のたわみを防止するため、前記セグメント部材または前記カンチレバー・モジュールの一方側にたわみ防止ポストを連結させる工程;とをさらに含む、請求項14に記載の足場構造物の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場構造物に関する。より詳細には、LNG貨物倉の断熱層の施工作業において、貨物倉の内部に設置される足場構造物の設置作業または解体作業時の作業者の作業時間を削減し、断熱層の施工作業に要する時間を短縮することができる、LNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物並びに足場構造物の設置方法及び解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、船舶の環境汚染に対する規制基準が強化され、液化天然ガス(LNG;Liquefied Natural Gas)や液化石油ガス(LPG;Liquefied Petroleum Gas)などの環境性能に優れた高効率燃料に対する関心が高まっている。
【0003】
液化天然ガスは、ガス田から採取した天然ガスを精製して得られるメタンを冷却して液化させたものである。また、液化石油ガスは、油田から石油と共に産出されるプロパンとブタンを主成分とするガスを、常温で圧縮して液化させた燃料である。
【0004】
特に、液化天然ガス(以下、「LNG」という)は、天然ガスを極低温(約-163℃)に冷却して得られるものであり、気体状態の天然ガスと比べて体積が約1/600まで減少することから、海上の遠距離輸送に非常に適している。
【0005】
LNGを積載して海上を運航し、陸上の需要先で液化ガスを荷下ろしする液化ガス運搬船(LNG carrier)や、LNGを積載して海上を運航し、陸上の需要先に到着後、貯蔵されたLNGを再気化させて天然ガスの状態で荷下ろしするLNG RV(LNG Regasification Vessel)は、LNGの極低温に耐え得るLNG貨物倉を備える。
【0006】
また、生産された天然ガスを海上で液化させて貯蔵し、必要時に貯蔵されたLNGをLNG運搬船に移し載せるために使用されるLNGーFPSO(Floating Production Storage and Offloading)や、海上でLNG運搬船に荷役されたLNGを貯蔵して、必要時にLNGを気化させて陸上の需要先に供給するLNGーFSRU(Floating Storage and Regasification Unit)などの浮遊式の海上構造物にも、LNG運搬船やLNGーRVが備えるLNG貨物倉が設けられている。
【0007】
このようなLNG貨物倉は、LNGを極低温状態で貯蔵するための断熱材が貨物の荷重に直接作用するか否かよって、メンブレン型(Membrane Type)と独立タンク型(Independent Type)とに分類される。
【0008】
メンブレン型の貨物倉はNo-96型とMark-III型とに分けられる。また、独立タンク型の貨物倉には、球型(spherical type)のMOSSタンクと角型(prismatic type)のSPBタンクとがある。
【0009】
図1は、一般的な貨物倉の構造を概略的に示す図である。
【0010】
貨物倉10は、図1に示すように、船体の床面を構成する床面ブロック11が貨物倉10の床面を構成するように形成されている。また、船体の側壁を形成する、床面ブロック11の左右横方向の両側端部に連結されるサイドシェル・ブロック12が、貨物倉10の側壁を構成するように形成される。
【0011】
サイドシェル・ブロック(side shell block)12の上端には、貨物倉10の内部空間を密閉及び遮断するトランクデッキ・ブロック(trunk deck block)13が連結され、トランクデッキ・ブロック13が貨物倉10の天井面を構成する。
【0012】
床面ブロック11の前後縦方向の両側端部には、別のバルクヘッド・ブロック(bulkhead block、図示せず)が連結され、上記のような構造によって貨物倉10は1つの密閉された内部空間を有することになる。
【0013】
一方、貨物倉10の内側壁面には、外部熱を遮断するための別の断熱層ILが形成される。また、当該断熱層ILを施工するため、LNG貨物倉10の内部には、断熱層ILを施工作業するための別の足場構造物(Scaffold)30が設置される。
【0014】
本発明に関連する先行技術文献には、韓国登録特許公報第10-1083440号、韓国登録特許公報第10-1526369号、及び韓国登録特許公報第10-1526370号などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の足場構造物は、作業者が手作業(Manual handling)の可能な範囲内で、四角形または円形パイプ形状の鋼管部材を、互いにボルトまたはピンで連結されて設置される。
【0016】
この足場構造物の解体時には、足場を構成する各部材が解体され、貨物倉の内部に設置される作業用エレベーター(Cageのサイズ、3x1m)を利用して、最上階から一階ずつ足場が解体される。然し、従来は、単品で構成される各部材を設置及び解体することから、作業時間や施工日程が増加して非効率的であるばかりか、足場部材が相当の重量を有するため、作業者の筋骨格系疾患と各種労災事故の発生率が増加する恐れがあった。
【0017】
また、貨物倉内に設置されるエレベーターのケージの大きさや重量制限などにより、足場部材のサイズに制約が多く、貨物倉の設計サイズや断熱システムを変更する場合に、貨物倉の形状またはサイズなどに応じた足場の設置位置や部材の配置構造の変更が必要となり、既存の足場部材だけでは互換性が悪いという問題もあった。
【0018】
さらに、従来の足場構造物は、ねじれや曲げが発生しやすい構造であるため、機械自動化装置の設置及び運用に制限が多く、特に、コーナー(角部)に設置される足場には、たわみが発生しやすく、作業者の墜落や部材の落下などによる事故の危険性が高い。
【0019】
本発明は、LNG貨物倉の断熱層の施工作業において、貨物倉の内部に設置される足場構造物の一部をモジュール化し、足場構造物の設置作業または解体作業時の作業者の作業時間の削減し、断熱層の施工作業に要する時間を短縮することができる、LNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物並びに足場構造物の設置方法及び解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の実施形態では、貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うために前記貨物倉の内部空間に設置される足場構造物において、前記貨物倉の内部空間にモジュール形態で大型化され、その上部または下部に支柱が連結されて複数の階が形成される複数のスタンダード・モジュールと、モジュール形態で大型化され、前記貨物倉の内側壁面と隣接して配置される、前記複数のスタンダード・モジュールの夫々の一方側に連結されて、前記支柱と連結されないカンチレバー・モジュールとを備える、足場構造物が提供される。
【0021】
前記スタンダード・モジュールは、前記スタンダード・モジュールは、一方向に離間して設けられる一対のメインフレームと、前記メインフレームの両端部に連結されて、前記一対のメインフレームを一体に連結する一対の連結フレームと、前記一対のメインフレームの間で前記メインフレームの長さ方向に離間して、前記連結フレームと平行に設置される連結部材とを備える。
【0022】
また、前記メインフレームは、前記メインフレームは、前記支柱と同じ外径を有する一対の垂直部材と、前記一対の垂直部材が対向する方向で水平に延長して形成される第1水平部材と、前記第1水平部材と同じ長さを有し、前記第1水平部材の下方に離間して両端が前記一対の垂直部材の外周面に連結される第2水平部材と、前記第1水平部材と前記第2水平部材との間に形成される傾斜部材とを備える。
【0023】
また、前記メインフレームは、前記一対の垂直部材のいずれか1つから前記一対の垂直部材が対向する方向の反対側外周面に突出して形成されて、その端部がフランジ形状を有する一対のフランジ部と、前記垂直部材の端部から、前記支柱の外径に対応する内径を有するように直径が拡張されて、その内部に前記支柱が挿設されるソケット部とを備える。
【0024】
また、複数の階を形成する前記複数のスタンダード・モジュールのいずれか1つと上部または下部に位置する他の1つのスタンダード・モジュールとを傾斜方向に連結する対角ブレースをさらに備える。
【0025】
また、前記対角ブレースの一方側端部は、前記第2水平部材と前記垂直部材が相接する角に設けられたブラケットに連結され、前記対角ブレースの他方側端部は、前記ソケット部の外周面から水平に突出する部分に連結される。
【0026】
また、前記カンチレバー・モジュールは、一方向に離間して設けられる一対の第1サブフレームと、前記一対の第1サブフレームの間で前記一対の第1サブフレームを連結して一体化し、前記第1サブフレームの長さ方向に沿って連結される支持部材とを備える。
【0027】
また、前記第1サブフレームは、水平方向に延長して形成される上弦部材と、前記上弦部材の下方に離間して形成される下弦部材と、前記上弦部材と前記下弦部材とを連結するブレース部材とを備える。
【0028】
また、前記フランジ部は、前記垂直部材の上部外周面から突出して形成されて、前記上弦部材の一方側端部と連結される上部突出部と、前記上部突出部の下方に離間して前記垂直部材の下部外周面に突出して形成され、前記下弦部材の一側端部と連結される下部突出部とを備える。
【0029】
また、前記上弦部材と前記下弦部材との一方側端部は、夫々前記上部突出部と前記下部突出部との末端に対応するフランジ形状を有する。
【0030】
また、前記貨物倉の上部中央に設置され、前記足場構造物を解体作業する時、前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールを前記貨物倉の下部に移送するための移送手段;と、前記貨物倉の中央部横断面の両側壁面に配置された前記スタンダード・モジュールから前記貨物倉の中央を向くように設置され、前記移送手段を利用して前記足場構造物を解体作業する時に前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールのランディング区域に提供されるモジュール・ランディング部をさらに備え得る。
【0031】
また、モジュール形態で大型化され、前記貨物倉の角部から前記貨物倉の内側壁面に隣接して前記スタンダード・モジュールの他方側に連結されて、前記支柱と連結されない縦方向カンチレバー・モジュールと、前記カンチレバー・モジュールと前記縦方向カンチレバー・モジュールとを連結し、前記貨物倉の角部に隣接して配置されるセグメント部材とをさらに備える。
【0032】
また、前記第1サブフレームよりも短い長さを有して離間して設けられる一対の第2サブフレームと、前記一対の第2サブフレームの間の中央で前記一対の第2サブフレームと水平に延長して形成される中間支持台と、前記一対の第2サブフレームと前記中間支持台とを連結して足場板を支持する第2支持部材とを備える。
【0033】
また、前記貨物倉の角部に、前記足場構造物の曲げとねじれ変形を防止するために、前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールとに連結される補強トラス部と、前記セグメント部材のたわみを防止するために前記セグメント部材または前記カンチレバー・モジュールの一方側に連結される、たわみ防止ポストとをさらに備える。
【0034】
本発明の他の実施形態では、貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うために、前記貨物倉の内部空間に設けられる足場構造物の設置方法において、前記貨物倉の内側壁面から離間した位置にモジュール形態で大型化された複数のスタンダード・モジュールを設置する工程と、前記スタンダード・モジュールの上部または下部に支柱を連結させて複数の階を形成する工程と、前記貨物倉の内側壁面と隣接して前記スタンダード・モジュールの一方側にモジュール形態で大型化されたカンチレバー・モジュールを前記支柱と連結せずに設置する工程とを含む、足場構造物の設置方法が提供される。
【0035】
前記貨物倉の内部空間の角部から前記貨物倉の内側壁面に隣接して配置される前記スタンダード・モジュールの他方側にモジュール形態で大型化された縦方向カンチレバー・モジュールを前記支柱と連結せずに設置する工程と、前記カンチレバー・モジュールと前記縦方向カンチレバー・モジュールとを連結し前記貨物倉の角部に隣接するセグメント部材を配置する工程をさらに備え得る。
【0036】
また、前記貨物倉の角部に、前記スタンダード・モジュールと、前記カンチレバー・モジュールの曲げとねじれ変形を防止するために、前記スタンダード・モジュールと前記カンチレバー・モジュールとに1つ以上の補強トラス部を連結させる工程と、前記セグメント部材のたわみを防止するため、前記セグメント部材または前記カンチレバー・モジュールの一方側にたわみ防止ポストを連結させる工程とをさらに含む。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、LNG貨物倉の断熱層の施工作業を行うために貨物倉の内部に設置される足場構造物の一部をモジュール形態で大型化したことで、足場構造物の設置作業または解体作業時の作業者の作業時間を削減し、貨物倉の内部の断熱層の施工作業に要する時間を短縮することができる。
【0038】
また、モジュール形態(Module type)で大型化された各スタンダード・モジュール及び各カンチレバー・モジュールは、別の解体手段を利用して簡単に解体することができる。このため、足場構造物の設置作業または解体作業の過程で、作業者の手作業や重量物の取扱いが最小限に抑えられるため、作業者の筋骨格系疾患を予防し、各種労災事故の危険性を低減することができる点で有利である。
【0039】
また、各スタンダード・モジュール及び各カンチレバー・モジュールは、トラス構造(Truss structure)を有するため、軽量化を介して組立と設置が簡単になるだけでなく、上下曲げまたはねじり変形に対して足場構造物の構造的な安定性を向上させることができる。
【0040】
また、複数のカンチレバー・モジュールのうちいずれか1つに隣接して配置される他の1つのカンチレバー・モジュールを連結する中詰め調整部によって、サイズの異なる貨物倉に適用する場合でも、一定の大きさでモジュール化されたスタンダード・モジュールとカンチレバー・モジュールとを継続して使用することができる。また、各間隔調整部材の長さを変更することで、他の船舶でも容易に互換適用することができる。
【0041】
さらに、構造的にねじれや曲げが発生しやすい貨物倉の角部領域に、たわみ防止ポストと補強トラス部とを追加設置したことで、足場構造物の変形や自由端のたわみを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】一般的な貨物倉の構造を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の解体作業を行う移送手段が設置される貨物倉の中央部の横断面を示す概略図である。
図4図3に図示した移送手段の変形例を示す斜視図である。
図5図3に図示した移送手段に回転防止手段を追加設置したことを示す図面である。
図6図5に図示した移送手段の変形例を示す斜視図である。
図7図5に図示した移送手段を利用した足場構造物の解体方法を説明するための図面である。
図8】本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の主要な構成を分解して示す斜視図である。
図9図8の概略的な側面図である。
図10図8のA領域の拡大図である。
図11図8のB領域の拡大図である。
図12図8のC領域の拡大図である。
図13図8に図示したスタンダード・モジュールが積層された様子を示す斜視図である。
図14図13の側面図である。
図15】本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の解体作業過程の一部を説明するための図である。
図16図3のX―X線の断面を示す概略図である。
図17図16に図示した足場構造物の平面を基準に、貨物倉の内部空間の角部に設置された足場構造物を分解して示す斜視図である。
図18図17に図示した足場構造物の背面を示す斜視図である。
図19図18に図示したD領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明及び本発明の動作上の利点並びに本発明の実施によって達成される目的を説明するため、本発明の実施形態を例示する添付図面及び添付図面に記載された内容を参照する。
【0044】
以下、本発明の実施形態を、添付した図面を参照して詳細に説明する。まず、各図面の構成要素の参照符号に関し、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されていても可能な限り同一の符号を付している。また、本発明の説明において、関連した公知の構成または機能に対する具体的な説明が、本発明の要旨を逸脱すると判断されるものについては、その詳細な説明を省略する。なお、以下において本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的思想はこれに限定または制限されなく、当業者によって様々な変更が可能である。
【0045】
図2は、本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物を示す概略図である。図3は、本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の解体作業を行う移送手段が設置される貨物倉の中央部の横断面を示す概略図である。図4は、図3に図示した移送手段の変形例を示す斜視図である。
【0046】
また、図5は、図3に図示した移送手段に回転防止手段を追加設置したことを示す図面である。図6は、図5に図示した移送手段の変形例を示す斜視図である。図7は、図5に図示した移送手段を利用した足場構造物の解体方法を説明するための図である。
【0047】
まず、図2及び図3に図示した貨物倉の横断面を基準にして、本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物について説明する。
【0048】
本発明の実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、貨物倉10の内部に断熱層の施工作業を行うための足場構造物である。図2及び図3に図示した貨物倉10の横断面を基準にして、貨物倉10内部の両側壁面に夫々隣接して配置されて、複数の階が形成されるメイン構造物MSと、メイン構造物MSとの間で横方向に延長して形成されるプラットフォーム構造物350と、貨物倉10内部の床面に設置されてメイン構造物MSを支持するサポート構造物370とを備える。
【0049】
本実施形態のメイン構造物MSは、図2及び図3に示すように、複数のスタンダード・モジュール(Standard module)100と、各スタンダード・モジュール100の一方側または他方側に連結される、複数のカンチレバー・モジュール(Cantilever module)200とを備える。
【0050】
本実施形態は、各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200は、モジュール形態(Module type)で大型化して設けられ、機械的な自動化装置などの別の解体手段を利用して解体作業が実施される。
【0051】
スタンダード・モジュール100は、貨物倉10内部の両側壁面から離間した位置の上部または下部で、複数の支柱(Post)310が連結されて複数の階を形成し、後述するカンチレバー・モジュール200を構造的に支持する役割を担う。
【0052】
本実施形態では、複数のスタンダード・モジュール100の少なくとも一部は、軽量化と共に構造的安定性を確保し、上下の曲げ変形に十分耐えられるトラス構造(Truss structure)を有する。
【0053】
支柱310は、スタンダード・モジュール100の両端部に連結されて、スタンダード・モジュール100の上部または下部まで延長される。また、支柱310によって、各スタンダード・モジュール100及びこのスタンダード・モジュール100の一方側または他方側に連結される複数のカンチレバー・モジュール200が、貨物倉10内部で上下方向に所定の間隔を存して複数の階を形成する。
【0054】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、足場構造物が設置される貨物倉10の高さに応じて、階数(例えば、9階から10階に変更)または支柱310の長さを変更することで、他の船舶にも容易に適用することができる。
【0055】
一方、本実施形態のメイン構造物MSは、図2及び図3に示すように、複数の階を形成する複数のスタンダード・モジュール100のいずれか1つと上部または下部に連結された他の1つのスタンダード・モジュール100とを、傾斜方向に連結する対角ブレース(Diagonal brace)330をさらに備える。
【0056】
対角ブレース330は、複数のスタンダード・モジュール100及び複数のカンチレバー・モジュール200からなるメイン構造物MS全体で、ねじれ及び変形を最小限に抑える役割を担い、支柱310と共にメイン構造物MSの構造的な剛性及び強度を増加させる。
【0057】
カンチレバー・モジュール200は、貨物倉10の両側壁面に隣接して配置されると共に、スタンダード・モジュール100の一方側または他方側に連結されて、支柱310と連結されないカンチレバー(Cantilever)形態を有する。カンチレバー・モジュール200は、貨物倉10の内壁の断熱保温材の設置作業が行われる主な場所として提供される。
【0058】
また、複数のカンチレバー・モジュール200の少なくとも一部は、スタンダード・モジュール100と同様に、軽量化と構造的安定性を向上させるため、トラス構造の形態を有する。
【0059】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、足場構造物の一部をモジュール形態で大型化する。これにより、足場構造物の設置作業または解体作業時の作業者の作業時間を削減し、貨物倉10内部の断熱層の施工作業に要する時間を短縮することができる。
【0060】
また、足場構造物の設置作業または解体作業において、作業者の手作業と重量物の取扱いとを最小限に抑え、作業者の筋骨格系疾患の予防し、各種労災事故の危険性を低減させることができ、有利である。
【0061】
プラットフォーム構造物350は、メイン構造物MS間で横方向に延長して形成され、別の下部支持構造物がなく、長いスパン(span)を有する脚(Bridge)形態で設けられる。プラットフォーム構造物350は、貨物倉10内部の断熱層の施工時に断熱材を保管したり、事前に加工作業を行う場所として提供される。
【0062】
プラットフォーム構造物350は、複数の階が形成されるメイン構造物MSの最上部の階の間に配置される上部ブリッジデッキ(Upper bridge deck)351と、上部ブリッジデッキ351の下部に配置される下部ブリッジデッキ(Lower bridge deck)353とを備える。
【0063】
図2及び図3を参照して、本実施形態のメイン構造物MSは、複数のスタンダード・モジュール100と支柱310との連結によって、貨物倉10の内部の上下方向に、貨物倉10の床面を含めて10個の階が形成される。また、上部ブリッジデッキ351と下部ブリッジデッキ353とは、各メイン構造物MSの最上部である10階と3階に、横方向に平行して配置される。
【0064】
ここで、下部ブリッジデッキ353は、メイン構造物MSの3階と同じ高さに配置されると共に、貨物倉10の一側壁に設けられたサイド開口部10a(図7参照)へのアクセスが可能である。このため、足場構造物の設置作業または解体作業時、複数のスタンダード・モジュール100及び複数のカンチレバー・モジュール200を、貨物倉10の外部まで移送可能とする部材移送台の役割を担う。
【0065】
サポート構造物370は、貨物倉10内部の床面に設置される。サポート構造物370は、メイン構造物MSを支持し、貨物倉10内部の床面に支持される複数のサポートユニット371を備える。
【0066】
複数のサポートユニット371の夫々は、貨物倉10内部の床面に一次的に設置(図2参照)されて、メイン構造物MSを支持するように構成されると共に、貨物倉10内部の床面への断熱層の施工が完了した後、貨物倉10内部の床面に形成された断熱層で、二次的に支持(図3参照)される構成を有する。
【0067】
ここで、複数のサポートユニット371は、メインの構造物MSを含む足場構造物の全体荷重が貨物倉10内部の床面または床面に設置される断熱層へ均等に伝達されるように、夫々の高さが調節され、足場構造物の過度な荷重による断熱層の破損を防止する。
【0068】
本実施形態では、サポート構造物370の設置場所は、貨物倉10のサイズや貨物倉10に設置される断熱システムに応じて適宜調整される。
【0069】
一方、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、プラットフォーム構造物350の横方向の両端部でメイン構造物MSとプラットフォーム構造物350とを連結し、メイン構造物MSとプラットフォーム構造物350との間の距離を調節する横方向距離調節部390をさらに備える。
【0070】
横方向距離調節部390は、図2及び図3に示すように、メイン構造物MSとプラットフォーム構造物350とを水平方向または対角方向に連結する複数の距離調節部材391を備える。また、各距離調節部材391の長さを変更することで、メイン構造物MSとプラットフォーム構造物350との間の横方向距離を調節することができる。
【0071】
本実施形態では、メイン構造物MSとプラットフォーム構造物350との間は、構造的特性によりモジュール化が困難である。このため、各距離調節部材391は単品で構成され、作業者の手作業により設置または解体される。
【0072】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物には、メイン構造物MSとプラットフォーム構造物350との間に横方向距離調節部390が設けられている。そして、サイズの異なる貨物倉10に適用する場合でも、各距離調節部材391の長さを変更することで、一定の大きさでモジュール化されたスタンダード・モジュール100及びカンチレバー・モジュール200を継続して使用することができ、他の船舶に容易に互換適用することができる。
【0073】
以下、図2及び図3に図示した貨物倉の横断面を基準にして、本実施形態の足場構造物の設置方法について簡単に説明する。
【0074】
本実施形態の貨物倉内部断熱層の施工作業を行うための足場構造物の設置方法は、貨物倉10内部の床面にサポート構造物370を設置する工程と、サポート構造物370上に複数の階を有するメイン構造物MSを設置する工程と、メイン構造物MS間にトラス構造を有して横方向に延長して形成されるプラットフォーム構造物350を設置する工程とを含む。
【0075】
本実施形態では、メイン構造物MSを設置する工程は、貨物倉10内部の両側壁面から離間した位置に複数のスタンダード・モジュール100を設置する工程と、各スタンダード・モジュール100の上部または下部に各支柱310を連結して複数の階を形成する工程と、複数のスタンダード・モジュール100のいずれか1つと上部または下部に連結された他の1つのスタンダード・モジュール100とを傾斜方向に相互に連結する対角ブレース330を設置する工程と、各スタンダード・モジュール100の一方側または他方側で貨物倉10内部の両側壁面に隣接して配置される各カンチレバー・モジュール200を設置する工程とを含む。
【0076】
一方、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、図3に示すように、貨物倉10の上部中央に設置されて、足場構造物の解体作業を行うための移送手段400と、移送手段400を用いて足場構造物の解体作業時に、各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200のランディング区域(Landing zone)に提供されるモジュール・ランディング部500をさらに備える。
【0077】
本実施形態では、モジュール・ランディング部500は、図3に示す貨物倉10の中央部の横断面を基準にして、メイン構造物MS、すなわち、貨物倉10内部の両側壁面に配置されたスタンダード・モジュール100から貨物倉10の中央を向くように設置され、複数の階を形成する。
【0078】
ここで、モジュール・ランディング部500は、メイン構造物MSと同様に、複数のスタンダード・モジュール100と、各スタンダード・モジュール100の上部または下部に連結される支柱310と、対角ブレース330とで構成される。
【0079】
以下、図3図7を参照して、本実施形態の移送手段400の詳細を説明する。
【0080】
移送手段400は、図3に示すように、貨物倉10の上部中央に設置される。また、移送手段400は、足場構造物の解体作業時、各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200などを下部ブリッジデッキ353に移送するために設けられる。移送手段400は、貨物倉10の横断面の上部中央に配置されて、複数のモノレール(Monorail)413を備えるモジュール移送部410と、モジュール移送部410を貨物倉10の上部トランクデッキ(Trunk deck)Tdに連結する連結マスト部430とを備える。
【0081】
モジュール移送部410は、貨物倉10の横断面の上部中央に位置し、各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200などを、貨物倉10の下部に下降させる、または貨物倉10の上部に上昇させる役割を担う。
【0082】
具体的に、モジュール移送部410は、貨物倉10の横断面の上部中央から横方向に延長して形成されるモノレール・プラットフォーム411と、モノレール・プラットフォーム411の下部に連結されるモノレール(MonorailまたはRunway beam)413と、モノレール413の長さ方向に摺動可能に設けられる複数のトロリー・ホイスト(Trolley hoist)415とを備える。
【0083】
モノレール・プラットフォーム411は、円形または四角形のパイプ形状の複数の鋼管を、縦・横及び斜め方向に溶接またはボルト結合して設けられる。
【0084】
本実施形態のモノレール・プラットフォーム411は、貨物倉10内部の断熱層の施工作業時に、足場構造物の最上部階の内部に既に設置されていても良い。
【0085】
すなわち、足場構造物の最上部階を構成する上部ブリッジデッキ351の内部に凹部構造(Recess structure)を形成した後、その位置にモノレール・プラットフォーム411を載置することで、足場構造物の最上部階の一部になる。
【0086】
本実施形態のモノレール・プラットフォーム411は、足場構造物の解体作業の完了時、貨物倉10の一方側に形成されたサイド開口部(Side opening)10aを介して貨物倉10の外部に移動できるように、適切な大きさに分割して設けられる。
【0087】
モノレール413は、モノレール・プラットフォーム411の下部に連結されて、後述するトロリー・ホイスト415が摺動する走行経路として提供される。
【0088】
トロリー・ホイスト415は、モノレール413の長さ方向の両側端部と中央部との間を摺動移動すると共に、モジュール形態で大型化されて600kg程の重量を有する高重量のスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を、3階に設けられた下部ブリッジデッキ353に移送できるように設けられる。
【0089】
ここで、移送手段400は、貨物倉10の内部、すなわち、上部ブリッジデッキ351上には、既に設置されたモジュール移送部410を昇降させて、連結マスト部430と連結させるための昇降手段がさらに設けられている。
【0090】
例えば、昇降手段は、後述する連結マスト部430に連結または支持される複数のワイヤ(Wire)W(図4参照)、またはホイストである。
【0091】
本実施形態では、足場構造物の解体作業が開始されると、足場構造物の最上部階に位置したモノレール・プラットフォーム411に昇降手段を連結することで、モノレール・プラットフォーム411が支持され、足場構造物の最上部階が除去されてもマスト部340で安定的に支持された状態を保持する。
【0092】
また、足場構造物の解体作業が完了すると、モノレール・プラットフォーム411は昇降手段によって貨物倉10の下部まで下降する。
【0093】
本実施形態のモジュール移送部410は、モノレール・プラットフォーム411の長さ方向の両側にトロリー・ホイスト415が1つずつ設置されるが、足場構造物の解体時間を短縮するため、各モノレール・プラットフォーム411の両側にトロリー・ホイスト415を複数個設けることが好ましい。
【0094】
例えば、図4に示すように、モノレール・プラットフォーム411は貨物倉の縦方向及び横方向に所定の幅を有して形成され、モノレール・プラットフォーム411の下部で縦方向及び横方向に間隔を存して、4つのモノレール413が設置される。また、トロリー・ホイスト415は、各モノレール413に摺動可能に設けられる。
【0095】
本実施形態では、モノレール・プラットフォーム411に4つのモノレール413を設置したことで、解体された各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200を、4つで一度に下部ブリッジデッキ353に下降させることができる。これにより、足場構造物の解体作業に要する時間が短縮される。
【0096】
各モノレール413に設けられたトロリー・ホイスト415を個別に制御して、スタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200などの構造物を貨物倉10の下部または上部に昇降させるように設けてもよい。然し、モノレール・プラットフォーム411上に、荷重が一方側に偏って作用することを防止するため、各モノレール413の昇降操作を同時に行うように制御することが好ましい。
【0097】
マスト部430は、モジュール移送部410を支持するためのものであり、貨物倉10の上部トランクデッキTdに形成されたガスドーム(Gas dome)Gdの内部から貨物倉10の内部に延設される。
【0098】
具体的に、マスト部430は、図3及び図4に示すように、ガスドームGdの内部でガスドームの長さ方向に沿ってのびて配置される複数のベースマスト部材431と、各ベースマスト部材431を縦・横及び斜め方向に連結する連結マスト部材433と、各ベースマスト部材431の下端部から貨物倉10の内側方向に放射されるように延長されて、モジュール移送部410の各モノレール・プラットフォーム411と連結される延長マスト部材435を備える。
【0099】
各ベースマスト部材431は、ガスドームGdの内部と貨物倉10の上部の一方側に上端部と下端部が、溶接またはボルトで夫々連結されるか、またはガスドームGdのハッチにベースマスト部材431の上端部が連結される。
【0100】
このとき、複数のベースマスト部材431は、ガスドームGdのハッチ開放を妨げないように連結されることが好ましい。
【0101】
連結マスト部430をガスドームGdの内部領域に設置する場合、貨物倉10の外部に設けられる別の岸壁クレーン(図示せず)を利用して、連結マスト部430がガスドームGdの内部に挿設される。そして、足場構造物の解体作業が完了すると、モジュール移送部410を連結マスト部430から分離して、再び岸壁クレーンを利用してガスドームGdの外部まで移動させることができる。
【0102】
一方、本実施形態の移送手段400は、モノレール・プラットフォーム411が連結マスト部430によって支持される構造である。然し、モノレール・プラットフォーム411の中央から偏心した方向から作用する応力には脆弱である。
【0103】
モノレール・プラットフォーム411上で荷重が一方側に偏って作用すると、モノレール・プラットフォーム411は荷重が加わる方向に傾くか回転してしまい、モノレール・プラットフォーム411に連結された連結マスト部430が破損したり、連結マスト部430からモノレール・プラットフォーム411が離脱して、落下する危険がある。
【0104】
本実施形態の移送手段400は、図5及び図6に示すように、モノレール・プラットフォーム411が傾くまたは回転することを防止するため、モノレール・プラットフォーム411の上部から上方に延長して形成されて、上端部が貨物倉10の上部内壁に密着される回転防止手段450が追加設置される。
【0105】
回転防止手段450は、モノレール・プラットフォーム411上で、縦方向及び横方向に離間して設置される複数の密着部材451で構成される。
【0106】
各密着部材451は、モノレール・プラットフォーム411に非対称荷重が作用する場合に、貨物倉10の上部内壁を加圧してモノレール・プラットフォーム411が傾くことや回転することを防止する。
【0107】
ここで、貨物倉10の上部内壁には断熱層が形成されるが、このような断熱層に局部応力が作用すると断熱層が破損する恐れがある。このため、各密着部材451の上端部を、横断面が下端部の幅よりも広く拡張されて貨物倉10の上部内壁または断熱層と面接触するように構成することで、回転防止部材450の押圧力による貨物倉10の内壁または断熱層の損傷を最小限に抑えることができる。
【0108】
本実施形態では、密着部材451は、円柱や多角柱の形状を有する。また、密着部材451は、モノレール・プラットフォーム411と同様にパイプ形状の鋼管であることが好ましい。
【0109】
また、密着部材451が中空のパイプ形状である場合、所定の面積を有する別のプレート(符号なし)がボルト締結または溶接方式などによって回転防止部材450の上端部に連結されることが好ましい。
【0110】
図6を参照して、本実施形態の密着部材451は、モノレール・プラットフォーム411の各角部領域に1つずつ設置されて、合計4つが設けられた例を図示しているが、密着部材451の設置位置や個数はこれに限定されない。モノレール・プラットフォーム411の各角部領域に複数の密着部材451を設置することもでき、モノレール・プラットフォーム411の傾きや回転を防止することができるものであれば、その他の様々な構造を採用することができる。
【0111】
以下、上述した移送手段400を利用して、足場構造物を解体する方法について簡単に説明する。
【0112】
本実施形態の貨物倉10内部の断熱層の施工作業を行うための足場構造物の解体方法は、貨物倉10の上部中央に各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200を移送する移送手段400を設置する工程と、移送手段400にスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を連結し、スタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を貨物倉10の下部に移送する工程と、下部ブリッジデッキ353に移送されたスタンダード・モジュール100及びカンチレバー・モジュール200を、貨物倉10の一方側に設けられたサイド開口部10aを介して貨物倉10の外部に移動させる工程を含む。
【0113】
移送手段400を設置する工程は、貨物倉10のガスドームGdの内部に連結マスト部430を設置する工程と、ワイヤWなどの別の昇降手段を利用して、複数のモノレール413を備えるモジュール移送部410を連結マスト部430に連結する工程とを含む。
【0114】
モジュール移送部410を連結マスト部430に連結する工程は、連結マスト部430の下部にモジュール移送部410を昇降させるための昇降手段を設置した後、貨物倉10の内部に設置される足場のうち最上部の足場に配置されるモノレール・プラットフォーム411を昇降させて連結マスト部430と連結する。
【0115】
スタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュールを貨物倉10の下部に移送する工程の前に、別の解体手段を利用して各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200を、移送手段400が設置される貨物倉10の横方向中央部に移動させる工程をさらに含む。
【0116】
すなわち、貨物倉10の内部で足場構造物の一部を解体し、解体されたスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200をモジュール・ランディング部500に移動させて、移送手段400のトロリー・ホイスト415と連結させる。
【0117】
本実施形態の足場構造物の解体方法は、移送手段400を利用した足場構造物の解体作業の完了後、モジュール移送部410を連結マスト部430から分離して貨物倉10の外部まで移動させる工程をさらに含む。
【0118】
すなわち、モジュール移送部410を分離する工程は、連結マスト部430の下部に設置された昇降手段を利用して、モジュール移送部410を下部ブリッジデッキ353に移動させる。そして、下部ブリッジデッキ353上でモジュール移送部410を解体した後、貨物倉10の一方側に設けられたサイド開口部10aを介して解体したモジュール移送部410を貨物倉10の外部に移動させる。
【0119】
また、モジュール移送部410を分離した連結マスト部430を、岸壁クレーンを利用してガスドームGdの外部に移動させる。
【0120】
本実施形態の足場構造物の解体方法は、貨物倉10の内部に設置されるモジュール移送部410を利用して、モジュール形態で大型化した足場構造物の一部を移送することができる。このため、足場構造物の解体作業に要する時間を大幅に削減できる。
【0121】
図8は、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の主要な構成を分解して示す斜視図である。図9は、図8の概略的な側面を示す図である。図10図12は、図8のA,B,C領域を夫々拡大して示す図である。
【0122】
また、図13及び図14は、図8に図示したスタンダード・モジュールが積層された状態を示す図である。図15は、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物を解体する過程の一部を説明するための図面である。図16は、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の平面配置構造(図3中のX―X線の断面)を概略的に示す図である。
【0123】
上述したように、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、貨物倉10内部の断熱層の施工作業を行うための足場構造物であり、貨物倉10の内側壁面から離間して、複数の階が形成される複数のスタンダード・モジュール100と、貨物倉10の内側壁面と隣接して配置される各スタンダード・モジュール100に連結されるカンチレバー・モジュール200とを備える。
【0124】
以下、各スタンダード・モジュール100と各カンチレバー・モジュール200とを詳細に説明する。
【0125】
スタンダード・モジュール100は、図8に示すように、一方向に間隔を存して設けられる一対のメインフレーム110と、メインフレーム110の両端部に連結され、一対のメインフレーム110を一体に連結する一対の連結フレーム130と、一対のメインフレーム110の間でメインフレーム110の長さ方向に離間して、連結フレーム130と平行に設置される複数の連結部材150とを備える。
【0126】
一対のメインフレーム110と一対の連結フレーム130とが連結されて、四角形のフレームを形成する。また、メインフレーム110、連結フレーム130及び連結部材150の上面には、足場板が追加設置される。
【0127】
足場板は、合板(plywood)や鉄板(steel plate)などの材質で構成される。足場板は、スタンダード・モジュール100に固設されて、スタンダード・モジュール100と共に一体に設けられることが好ましい。
【0128】
また、足場板はスタンダード・モジュール100の標準化されたサイズと同一または類似の寸法を有する単一の板材からなる。なお、足場板は、一定に分割されたまたは様々な寸法を有する複数の板材を設けて、スタンダード・モジュール100に形成された足場固定具(符号なし)に夫々固設することもできる。
【0129】
ここで、一対のメインフレーム110は、図8及び図9に示すように、軽量化を達成すると共に、構造的安定性を確保して上下曲げ変形に十分耐え得るようにトラス構造を有する。また、一対の連結フレーム130と各連結部材150とは、四角形の断面を有する角パイプ形状の鋼管(または、角管)である。
【0130】
具体的に、メインフレーム110は、支柱310に連結される一対の垂直部材111と、一対の垂直部材111が対向する方向に水平に延長して形成される第1水平部材112と、第1水平部材112と同じ長さを有して第1水平部材112の下方に離間して、両端が一対の垂直部材111の外周面に連結される第2水平部材113と、第1水平部材112と第2水平部材113との間に形成される複数の傾斜部材114とを備える。
【0131】
垂直部材111は、支柱310と同じ外径を有する丸パイプ形状の鋼管で設けられる。また、垂直部材111の外周面の一方側には、フレーム結合具(Coupler)c1が形成され、一対の連結フレーム130の端部がボルト締結方法によって連結されている。
【0132】
また、各連結部材150は、連結フレーム130と同様に、一対のメインフレーム110が対向する方向から第1水平部材112の長さ方向に沿って離間して形成される複数の連結棒結合具(符号なし)にボルト締結方法により連結される。
【0133】
本実施形態では、垂直部材111、第1水平部材112、第2水平部材113及び傾斜部材114は、ボルト締結方式または溶接方式などによって一体に連結されることが好ましい。
【0134】
垂直部材111以外の第1水平部材112、第2水平部材113及び複数の傾斜部材114は、連結フレーム130や連結部材150と同様に、四角形の断面を有する四角パイプ形状の鋼管であることが好ましい。
【0135】
ここで、第1水平部材112、第2水平部材113及び傾斜部材114の断面積は夫々異なっていても良い。例えば、第1水平部材112は、連結フレーム130や連結部材150と同じ断面積を有し、第2水平部材113と傾斜部材114は、第1水平部材112と比べて断面積が小さい鋼管で設けられる。
【0136】
図9を参照して、本実施形態のメインフレーム110は、垂直部材111の上端部または下端部に、支柱310の外径に対応する内径を有するように直径が拡張され、その内部に支柱310の一側端部が挿設されるソケット部115をさらに備える。また、支柱310の一側端部をソケット部115に内挿した状態で、ソケット部115の外周面に垂直方向にボルトを締結することで、支柱310がスタンダード・モジュール100に固定される。
【0137】
ここで、支柱310は、ソケット部115の内部に一側端部が挿設されてスタンダード・モジュール100の上部または下部まで延長され、支柱310によって各スタンダード・モジュール100及び各スタンダード・モジュール100の一方側に連結されるカンチレバー・モジュールが、貨物倉10の内部で上下方向に所定の間隔を存して複数の階を形成する。
【0138】
また、支柱310の他方側端部には、垂直部材111の一方側端部に形成されるソケット部115と同様に、垂直部材111の外径に対応する内径を有するように直径が拡張された雌ソケット部311が形成され、雌ソケット部311の内部に垂直部材111の端部が挿設される。
【0139】
本実施形態のスタンダード・モジュール100は、図13及び図14に示すように、支柱310と分離した状態でソケット部115によって多段積載が可能である。その結果、足場構造物の設置作業及び解体作業時に、野積場としてのスタンダード・モジュール100の積載空間を最小限に抑えることができる。
【0140】
本実施形態のメインフレーム110は、図10に示すように、一対の垂直部材111のいずれか1つから一対の垂直部材111が対向する方向の反対側の外周面に突出して形成され、その端部がフランジ形状を有する一対の横方向フランジ部117をさらに備える。
【0141】
一対の横方向フランジ部117は、垂直部材111の上部外周面から突出して形成される上部突出部117aと、上部突出部117aの下方に離間して垂直部材111の下部外周面から突出して形成される下部突出部117bとを備える。
【0142】
ここで、上部突出部117aと下部突出部117bとには夫々、移送手段400の密着部材451と同様に、その端部に所定の広さを有する別のプレート(符号なし)がボルト締結または溶接により連結されてフランジを形成する。
【0143】
また、本実施形態のメインフレーム110は、特に図示しないが、垂直部材111に連結フレーム130が連結する方向の反対側の外周面、すなわち、垂直部材111の外周面から横方向フランジ部117と直交する位置に突出して形成されて、その端部がフランジ形状を有する一対の縦方向フランジ部(符号なし)をさらに備える。
【0144】
本実施形態では、横方向フランジ部117及び縦方向フランジ部は、スタンダード・モジュール100にカンチレバー・モジュール200を連結するために設けられている。また、カンチレバー・モジュール200との詳細な連結構造については後述する。
【0145】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物の主要構成であるスタンダード・モジュール100に作用する荷重条件を変えて、スタンダード・モジュール100の最大荷重容量(Capacity)及び階高の変化に伴う構造的安定性を評価する実験を行った。
【0146】
本実験では、カンチレバー・モジュール200の大きさは標準化されて寸法(size)、約2500mmの幅(width)及び3700mmの長さ(length)を有し、カンチレバー・モジュール200に単位面積当たり250kg/mの荷重が作用すると仮定した。
【0147】
また、一方側にカンチレバー・モジュール200が連結されたスタンダード・モジュール100の他方側に設置された一対の支柱310の夫々には、上部構造物から2tonの荷重がかかると仮定し、機械の自動化装置を運用することによるカンチレバー・モジュール200上に作用する様々な荷重条件を考慮して実験を行った。
【0148】
下記の表1には、本実験に適用された比較群、Case1~Case4に適用された荷重条件を夫々表示した。
【0149】
【表1】
本実験は、表1に示すように、スタンダード・モジュール100にカンチレバー・モジュール200自体による分布荷重が適用された場合(表1のCase1)と、複数の第1支持部材230のうちカンチレバー・モジュール200の自由端から夫々3つの長さ方向の中央部に荷重が集中して作用した場合(表1のCase2)と、上記3つの第1支持部材230の夫々の長さ方向で3分の1地点と3分の2地点に荷重が分散されて作用した場合(表1のCase3)と、一対の第1上弦部材211の先端に荷重が集中して作用した場合(表1のCase4)とに分けて実験を行った。
【0150】
機械の自動化装置、すなわち、解体手段の荷重を3tonであると仮定し、Case2~Case4で限定された場所で均一に荷重が分散されて作用したと仮定した。
【0151】
また、カンチレバー・モジュール200に単位面積当たり250kg/mの荷重が作用する場合、カンチレバー・モジュール200によってスタンダード・モジュール100には2.3ton(250kg/m×2.5m×3.7m=2312.5kg)の分布荷重が作用することがわかる。
【0152】
表1のCase1~Case4に記載された荷重条件で実施された構造解析の結果、スタンダード・モジュール100の最大荷重容量(Capacity)及びカンチレバー・モジュール200の自由端側の最大たわみ量が下記の表2のように求められた。
【0153】
【表2】
本実施形態の足場構造物を構成する各部材に要求される強度は、実際の構造解析の結果によって決定され、これは公称強度よりも小さい必要がある。
【0154】
表2のUC(Utilization Capacity)は、各部材に要求される強度を公称強度で割った数値であり、UCが1以下であれば強度的安定性があることを意味し、逆にUCが1よりも高い場合には強度的安定性がないことを意味する。
【0155】
また、カンチレバー・モジュール200の自由端側の最大たわみ量が34mm以下であれば、構造的に安定性を有すると判断することができる。Case1~Case4では、全て最大UCが1以下であり、また、カンチレバー・モジュール200の自由端側の最大たわみ量は34mm以下であり、安定性を有することが分かる。
【0156】
一方、本実験では、同じ荷重条件で既存の部材を利用し、階高の変化による支柱310の強度を併せて評価し、階高の変化に伴う支柱310のUCを下記の表3に示した。
【0157】
【表3】
表3を参照して、同じ荷重条件で、階高が2.75m~4.5mの間で最大UC値は全て1以下であり、安定性があると判断できる。
【0158】
上記実験による評価を総合的に検討すると、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は構造的に安定性を有し、従来技術によるシステム足場の最大階高3.47m(9階)に比べて階高を最大4.5mまで変更しても安定性を保持できることが分かった。
【0159】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、足場構造物が設置される貨物倉10の高さに応じて支柱310の長さを最大4.5mまで適用しても安定性を保持することができる。これによって、他の船舶でも容易に適用できる効果がある。
【0160】
本実施形態のスタンダード・モジュール100は、作業者の安全のために足場板P1の端部、すなわち、長方形のフレーム構造を構成するメインフレーム110または連結フレーム130の外側面に安全手すり(または、Handrail)170が追加設置される。
【0161】
本実施形態の安全手すり170は、スタンダード・モジュール100のメインフレーム110または連結フレーム130の一方側に折り畳み式(Folding type)で設置される。また、図13に示すように、スタンダード・モジュール100の多段積載時には、安全手すり170を畳んでスタンダード・モジュール100の足場板の上面に置くように構成される。
【0162】
一方、カンチレバー・モジュール200は、図16に図示した貨物倉10の平面を基準にして、貨物倉10の内部の左舷側または右舷側の壁面に隣接して配置される横方向カンチレバー・モジュール(Transverse cantilever module)である。また、本実施形態の足場構造物は、貨物倉10内部の船首側または船尾側の壁面に隣接して配置される縦方向カンチレバー・モジュール(Longitudinal cantilever module)700をさらに備える。
【0163】
本発明の説明では、図8及び図9を参照して、横方向カンチレバー・モジュール200を先に説明し、縦方向カンチレバー・モジュール700を後述する。
【0164】
再び図8を参照して、横方向カンチレバー・モジュール200は、一方向に離間して設けられる一対の第1サブフレーム210と、一対の第1サブフレーム210の間で一対の第1サブフレーム210を互いに連結して一体化するための第1支持部材230を備える。
【0165】
本実施形態の横方向カンチレバー・モジュール200は、スタンダード・モジュール100と同様に、一対の第1サブフレーム210と各第1支持部材230の上面とに足場板が固設される。また、横方向カンチレバー・モジュール20と共に一体に設けることもできる。
【0166】
一対の第1サブフレーム210は、スタンダード・モジュール100のメインフレーム110と同様に、軽量化及び構造的安定性を向上させるためにトラス構造を有する。また、各第1支持部材230は四角形の断面を有する四角パイプ形状の鋼管で設けられる。
【0167】
第1サブフレーム210は、水平方向に延長して形成される第1上弦部材211と、第1上弦部材211の下方に離間して形成される第1下弦部材213と、第1上弦部材211と第1下弦部材213とを連結する第1ブレース部材215を複数備える。
【0168】
第1上弦部材211は、第1支持部材230と同じ断面積を有する四角パイプ形状の鋼管である。また、第1下弦部材213及び第1ブレース部材215は、第1上弦部材211よりも断面積が小さい四角形パイプ形状の鋼管である。
【0169】
各第1支持部材230は、一対の第1サブフレーム210が対向する方向から第1上弦部材211の長さ方向に沿って互いに離間して形成される各支持台結合具c3によりボルト締結方式で連結される。
【0170】
本実施形態では、第1上弦部材211、第1下弦部材213及び複数の第1ブレース部材215は、ボルト締結方式または溶接方式などによって一体に連結される。
【0171】
一方、第1上弦部材211と第1下弦部材213との各一方側端部は、メインフレーム110に形成される横方向フランジ部117の上部突出部117aと下部突出部117bとの端部に対応するフランジ形状を有する。
【0172】
本実施形態では、第1上弦部材211と第1下弦部材213との各一方側端部は、横方向フランジ部117の上部突出部117と下部突出部117bとの夫々に形成されたフランジに対応する広さを有する別のプレート(符号なし)が、ボルト締結または溶接されてフランジを形成することが好ましい。
【0173】
すなわち、本実施形態の横方向カンチレバー・モジュール200は、第1上弦部材211と第1下弦部材213との一方側端部を、横方向フランジ部117の上部突出部117aと下部突出部117bとの夫々にフランジを突き合わせてボルト締結方法により連結される。また、これらの連結方式によりカンチレバー形態で設けられる横方向カンチレバー・モジュール200の自重と、貨物倉10の断熱保温作業時に横方向カンチレバー・モジュール200に作用する荷重とを、スタンダード・モジュール100に伝達するだけでなく、横方向カンチレバー・モジュール200の先端のたわみを最小限に抑えることができる効果がある。
【0174】
このとき、第1下弦部材213は第1上弦部材211の長さよりも短い長さを有するように設けられる。これにより、横方向カンチレバー・モジュール200は、その先端で側面が上部から下部までテーパー形状を有することになる。
【0175】
一方、本実施形態のメイン構造物MSは、図16に図示した貨物倉10の平面を基準にして、複数の横方向カンチレバー・モジュール200のいずれか1つと隣接して配置される他の1つの横方向カンチレバー・モジュール200とを連結して、複数の横方向カンチレバー・モジュール200と共に貨物倉10の内側壁面を囲むように設けられる複数の横方向中詰め(Infill)調整部610をさらに備える。
【0176】
また、本実施形態のメイン構造物MSは、複数の縦方向カンチレバー・モジュール700のいずれか1つと隣接して配置される他の1つの縦方向カンチレバー・モジュール700とを連結し、複数の横方向カンチレバー・モジュール200、複数の縦方向カンチレバー・モジュール700及び複数の横方向中詰め調整部610と共に貨物倉10の内側壁面を囲むように設けられる複数の縦方向中詰め調整部810をさらに備える。また、縦方向中詰め調整部810に関しては、縦方向カンチレバー・モジュール700と共に後述する。
【0177】
横方向中詰め調整部610は、図9に示すように、バー(Bar)形状を有し、一対の第1サブフレーム210が対向する反対方向から一対の第1サブフレーム210の夫々に連結される横方向間隔調整部材611を複数備える。
【0178】
横方向中詰め調整部610は、横方向距離調節部390の距離調節部材391と同様に、作業者の手作業による設置または解体ができるように、各横方向間隔調整部材611は単品で設けられる。
【0179】
すなわち、本実施形態の横方向中詰め調整部610は、サイズが異なる貨物倉10に適用する場合でも、一定の大きさでモジュール化したスタンダード・モジュール100及び横方向カンチレバー・モジュール200を継続的に使用できるように、各横方向間隔調整部材611の長さを変更することで緩衝の役割を担い、他の船舶でも容易に互換適用することができる。
【0180】
各横方向間隔調整部材611は、一対の第1サブフレーム210の間に設置される各第1支持部材230の長さ方向の延長線上に位置される。
【0181】
本実施形態では、各横方向間隔調整部材611は各第1支持部材230と同一または均等の強度を有するように設計される。
【0182】
図12を参照して、横方向間隔調整部材611の両端には、単品で設けられる各横方向間隔調整部材611の解体が容易となるように、くさび型(Wedge type)の固定ピン611aが設けられる。また、横方向間隔調整部材611の両端は、第1上弦部材211から支持台結合具c3が形成された部位の反対側方向の側面に形成された各固定ピン結合具c4に引き掛け固定される。
【0183】
このとき、対角ブレース330の両端部は、メインフレーム110の第2水平部材113と垂直部材111が相接する角とソケット部115の外周面に形成されたブラケットc5に夫々連結される。
【0184】
一方、本実施形態で、各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200は、上述したように、モジュール形態(Module type)で大型化されて設けられるものであり、別の解体手段を利用して解体作業が行われる。
【0185】
本実施形態の解体手段は、図15に示すように、複数の階が形成された足場構造物内で移動ができるように、走行手段を有する本体部上に持ち上げ(Lifting)機能を有する昇降部を備えるモバイルカートMcであり得る。
【0186】
スタンダード・モジュール100を説明すると、例えば、モバイルカートMcが分離しようとするスタンダード・モジュール100の下部に進入し(図15(a)参照)、スタンダード・モジュール100の連結部材150を持ち上げる(約200mm、図15(b)参照)。その後、スタンダード・モジュール100のソケット部115と支柱310とを分離(図15(C)参照)し、モバイルカートMcの走行が可能な高さでスタンダード・モジュール100を下降(モバイルカートMcのLift strokeを活用、図15(d)参照)させて、モジュール・ランディング部500に移動させる。
【0187】
本実施形態では、モジュール形態(Module type)で大型化されて設けられる各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュールは、モバイルカートMcを利用して簡単に解体することができ、足場構造物の設置作業または解体作業の過程で、作業者の手作業と重量物の取扱いを最小限に抑え、作業者の筋骨格系疾患の予防及び各種労災事故の危険性を低減させる有利な効果がある。
【0188】
以下、図2図15を参照し、本発明の実施形態において、貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うために足場構造物の解体方法について簡単に説明する。
【0189】
貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うために貨物倉の内側壁面に設置される足場構造物の解体方法は、貨物倉10の内側壁面に設置される各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200を分離する工程と、貨物倉10の上部中央に設置された移送手段400にスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を連結して、スタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を貨物倉10の下部に移送する工程と、貨物倉10の下部に移送されたスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を貨物倉10の一方側に設けられたサイド開口部10aを介して貨物倉10の外部に移動させる工程を含む。
【0190】
本実施形態は、スタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を貨物倉10の下部に移送する工程の前に、貨物倉10の左舷側と右舷側の壁面中央に配置されたスタンダード・モジュール100から貨物倉10の中央部を向くようにモジュール・ランディング部500を設置する工程をさらに含む。
【0191】
ここで、モジュール・ランディング部500は、上述したように、複数のスタンダード・モジュール100と、スタンダード・モジュール100の上部または下部に連結される支柱310と、対角ブレース330とで構成され、貨物倉10の上部中央に設置される移送手段400、具体的には、モノレール・プラットフォーム411の縦方向と横方向への幅、またはモノレール・プラットフォーム411に連結されるトロリー・ホイスト415の数に応じて、モジュール・ランディング部500の上部面積を多様に変更して設けることができる。
【0192】
例えば、移送手段400が4つのトロリー・ホイスト415を備える場合には(図5または図7参照)、図16に図示した貨物倉の平面を基準にして、モジュール・ランディング部500の船首側または船尾側に、複数のスタンダード・モジュール100がさらに設置される。
【0193】
各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200を分離する工程は、分離しようとするスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200の下部にモバイルカートMcを進入させる工程と、モバイルカートMcを利用して上部に位置しているスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を持ち上げる(Lifting)工程と、分離されたスタンダード・モジュール100またはカンチレバー・モジュール200を貨物倉10の中央部横断面の両側に設置されるモジュール・ランディング部500に移動させる工程を含む。
【0194】
各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュール200を分離する工程は、複数のスタンダード・モジュール100のいずれか1つを分離する場合に、スタンダード・モジュール100に連結された支柱310を分離する工程をさらに含む。
【0195】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、複数の階が形成されたスタンダード・モジュール100の最下階から最上階まで作業者のアクセスを可能にするための階段構造物630と、エレベーター部650とをさらに備える。
【0196】
本実施形態の階段構造物630は、図16に示すように、複数のスタンダード・モジュール100のうち貨物倉10の中央部横断面の両側(左右舷側)壁面に配置されたスタンダード・モジュール100の間に設置される。また、階段構造物630は、モジュール・ランディング部500に近接して配置され、貨物倉10の内部の左舷側と右舷側とに夫々1つ以上設置される。
【0197】
エレベーター部650は、図16に示すように、貨物倉10の平面を基準にして、貨物倉10の船尾側に設けられた複数のカンチレバー・モジュール700のうちの一部で、船首方向に設置される。
【0198】
このとき、エレベーター部650は貨物倉10の上部トランクデッキTdにハンギング(hanging)されて、後述する縦方向カンチレバー・モジュール700と連結される。貨物倉10の船尾側に設置される複数のスタンダード・モジュール100の一部は、縦方向カンチレバー・モジュール700と連結されたエレベーター部650の一方側を除いた他方側を囲むように配置される。
【0199】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、エレベーター部650を介して、複数の階が形成されたスタンダード・モジュール100の最下階から最上階まで作業者のアクセスが可能であるだけでなく、足場構造物の解体作業時に、単品で設けられた部材の移送が可能になる。
【0200】
以下、図16を参照して、本実施形態の足場構造物の設置方法について追加説明する。
【0201】
上述したように、本実施形態の貨物倉の内部の断熱層の施工作業を行うための足場構造物の設置方法は、貨物倉10の内側壁面から離間した位置に各スタンダード・モジュール100を設置する工程と、貨物倉10の内側壁面に隣接して配置される各スタンダード・モジュール100に各カンチレバー・モジュール200、700を連結する工程と、複数のカンチレバー・モジュール200,700のいずれか1つと隣接して配置される他の1つのカンチレバー・モジュールとの間に、各中詰め調整部610,810を設置する工程を含む。
【0202】
本実施形態の足場構造物の設置方法は、貨物倉10の左舷側及び右舷側の壁面中央に配置されるスタンダード・モジュール100から貨物倉10の中央部を向くようにモジュール・ランディング部500を設置する工程と、複数の階が形成されたスタンダード・モジュール100の最下階に最上部階まで作業者のアクセスが可能となるように、貨物倉10の中央部横断面の両側壁面に配置されるスタンダード・モジュール100との間で、モジュール・ランディング部500に近接させて階段構造物630を設置する工程と、貨物倉10の平面を基準にして、貨物倉10の船尾側に設けられた複数のカンチレバー・モジュール700のうち一部に、船首方向にエレベーター部650を設置する工程をさらに含む。
【0203】
エレベーター部650を設置する工程は、貨物倉10の船尾側に設置される複数のスタンダード・モジュール100の一部を、カンチレバー・モジュール700と連結されたエレベーター部650の一方側を除いた他方側を囲むように配置される。
【0204】
図17は、図16に図示した足場構造物の平面を基準にして、貨物倉の内部空間の角部に設置される足場構造物を分解して斜視図で示した図である。図18は、図17に図示した足場構造物の背面を斜視図で示した図である。図19は、図18に図示したD領域を拡大して示した図である。
【0205】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、図16に図示した貨物倉10の平面を基準にして、貨物倉10の内部空間の角部に離間して設置されるスタンダード・モジュール100の一方側と他方側で夫々横方向カンチレバー・モジュール200と縦方向カンチレバー・モジュール700が一緒に設置される。
【0206】
すなわち、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、図16に図示した貨物倉10の平面を基準にして、貨物倉10の内部空間の角部に離間して位置される上部または下部に複数の支柱310が連結されて複数の階を形成するスタンダード・モジュール100と、スタンダード・モジュール100の一方側に連結されて貨物倉10の角部から貨物倉10の内部の左舷側または右舷側の壁面に隣接して配置される横方向カンチレバー・モジュール200と、貨物倉10の角部から貨物倉10の内部の船首側または船尾側の壁面に隣接してスタンダード・モジュール100の他方側に連結される縦方向カンチレバー・モジュール700とを備える。
【0207】
また、貨物倉10の内部空間の角部に設置される複数のスタンダード・モジュール100のうちいずれか1つと上部または下部に位置する他の1つのスタンダード・モジュール100との間には、対角ブレース330が同様に設置される。
【0208】
ここで、スタンダード・モジュール100及び横方向カンチレバー・モジュール200は、上述した構成と同一であるため、これに対する詳細な説明は省略し、縦方向カンチレバー・モジュール700について先に簡単に説明する。
【0209】
縦方向カンチレバー・モジュール700は、図18に示すように、横方向カンチレバー・モジュール200の第1サブフレーム210よりも短い長さを有し、離間して設けられる一対の第2サブフレーム710と、一対の第2サブフレーム710の間の中央で一対の第2サブフレーム710と水平に延長して形成される中間支持台750と、一対の第2サブフレーム710と中間支持台750とを連結する複数の第2支持部材750とを備える。
【0210】
本実施形態の縦方向カンチレバー・モジュール700は、横方向カンチレバー・モジュール200と同様に、一対の第2サブフレーム710、中間支持台750及び複数の第2支持部材750の上面に足場板が固設され、一対の第2サブフレーム710は軽量化及び構造的安定性を向上させるため、トラス構造を有する。
【0211】
第2サブフレーム710は、第1サブフレーム210と同様に、第2上弦部材711、第2下弦部材713及び複数の第2ブレース部材715で構成される。第2上弦部材711、第2下弦部材713及び複数の第2ブレース部材715は、ボルト締結方式または溶接方式などで一体に連結される。
【0212】
第2上弦部材711、中間支持台750及び複数の第2支持部材750は、同じ断面積を有する四角パイプ形状の鋼管で設けられる。また、第2下弦部材713及び複数の第2ブレース部材715は、第2上弦部材711よりも小さい断面積を有する四角パイプ形状の鋼管で設けられる。
【0213】
また、第2下弦部材713は第2上弦部材711の長さよりも短い長さを有し、これによって縦方向カンチレバー・モジュール700はその先端で側面が上部から下部までテーパー形状を有することになる。
【0214】
各第2支持部材750は、第1支持部材230と同様に、一対の第2サブフレーム710が対向する方向から第2上弦部材711の長さ方向に沿って形成される各支持台結合具c3にボルト締結方法により連結される。
【0215】
また、第2上弦部材711と第2下弦部材713との一側端部は夫々、メインフレーム110に形成される縦方向フランジ部の上部突出部117aと下部突出部117bとの端部に対応したフランジ形状を有する。
【0216】
すなわち、本実施形態の縦方向カンチレバー・モジュール700は、横方向カンチレバー・モジュール200と同様に、第2上弦部材711と第2下弦部材713との一側端部を縦方向フランジ部(符号なし)の上部突出部117aと下部突出部(117b)との夫々に、フランジを突き合わせてボルト締結方法により連結される。これにより、縦方向カンチレバー・モジュール700の自重と縦方向カンチレバー・モジュール700とに作用する作業者の負荷をスタンダード・モジュール100に伝達するだけでなく、先端のたわみを最小限に抑えることができる効果がある。
【0217】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、図16に図示した貨物倉10の平面を基準にして、複数の縦方向カンチレバー・モジュール700のいずれか1つと隣接して配置される他の1つの縦方向カンチレバー・モジュール700とを連結する複数の縦方向中詰め調整部810をさらに備える。
【0218】
縦方向中詰め調整部810は、横方向中詰め調整部610と同様に、バー(Bar)形状を有する一対の第2サブフレーム710が対向する反対方向から一対の第2サブフレーム710の夫々に連結される複数の縦方向間隔調整部材(符号なし)を備える。
【0219】
縦方向中詰め調整部810は、設置位置を除けば、横方向中詰め調整部610と構成及び機能が同一であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0220】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、図18及び図19に示すように、横方向カンチレバー・モジュール200と縦方向カンチレバー・モジュール700とを連結し、貨物倉10の角部に隣接して配置されるコーナー連結部830をさらに備える。
【0221】
本実施形態のコーナー連結部830は単品で設けられる複数のセグメント部材831,832,833,834,835(図19参照)で構成される。
【0222】
本実施形態で、コーナー連結部830が配置される区域は、解体手段のアクセスが困難であるだけでなく、空間的特性によってモジュール化が難しいため、単品で設けられる各セグメント部材831,832,833,834,835を作業者の手作業で設置または解体することになる。
【0223】
コーナー連結部830は、図18及び図19に示すように、I字型、L字型、F字型などの様々な形態を有する各セグメント部材831,832,833,834,835で構成され、各セグメント部材831,832,833,834,835の端部はフランジ形状を有する(図19の図面符号831~835を参照)。
【0224】
ここで、各セグメント部材831,832,833,834,835の端部または両側には、別のプレート(符号なし)がボルト締結または溶接されてフランジが形成される。
【0225】
本実施形態で、複数のセグメント部材831,832,833,834,835のいずれか1つは、隣接して配置されるセグメント部材831,832,833,834,835や横方向カンチレバー・モジュール200または縦方向カンチレバー・モジュール700にフランジを突き合わせてボルト締結される(図19参照)。
【0226】
一方、貨物倉10の角部領域に設置される足場構造物は、構造的にねじれや曲げが発生しやすく、カンチレバー形態の横方向カンチレバー・モジュール200及び縦方向カンチレバー・モジュール700並びに横方向カンチレバー・モジュール200及び縦方向カンチレバー・モジュール700を連結する複数のセグメント部材830の自由端は、たわみに最も脆弱である。
【0227】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、複数のセグメント部材830のたわみを防止するため、各セグメント部材831,832,833,834,835または横方向カンチレバー・モジュール200の一方側に連結されるたわみ防止ポスト850をさらに備える。
【0228】
たわみ防止ポスト850は、支柱310と同じ外径と形状を有する。また、たわみ防止ポスト850が連結される部位には、メインフレーム110の垂直部材111とソケット部115の構成と同様に、たわみ防止ポスト850の一側端部が挿設されるようにポスト連結部(符号なし)が追加設置される。
【0229】
また、本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、このような貨物倉10の角部での足場構造物の曲げとねじれ変形を防止するために、スタンダード・モジュール100と横方向カンチレバー・モジュール200とに連結される1つ以上の補強トラス部870をさらに備える。
【0230】
補強トラス部870は、図17及び図18に示すように、スタンダード・モジュール100の連結フレーム130と第1支持部材230の下方に離間して水平方向に延長して形成される水平補強材871と、水平補強材871と連結フレーム130または水平補強材871と第1支持部材230とを連結する複数の斜線補強材873とを備える。
【0231】
一例において、図18に示すように、貨物倉10の角部領域でスタンダード・モジュール100に2つの補強トラス部870が設置され、横方向カンチレバー・モジュール200に1つの補強トラス部870が設置される。
【0232】
水平補強材871と各斜線補強材873とは、第2水平部材113または下弦部材と同じ断面積を有する四角パイプ形状の鋼管で設けられる。また、水平補強材871と各斜線補強材873とはボルト締結方式または溶接方式などによりスタンダード・モジュール100の連結フレーム130または横方向カンチレバー・モジュール200の第1支持部材230と一体に連結される。
【0233】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、構造的にねじれや曲げが発生しやすい貨物倉10の角部領域に、たわみ防止ポスト850と補強トラス部870とを追加設置することにより、足場構造物の変形や自由端のたわみを防止することができる効果がある。
【0234】
以下、上述した貨物倉10の角部領域での足場構造物の設置方法について簡単に説明すると、貨物倉10の内部空間の角部から離間した位置でスタンダード・モジュール100を設置する工程と、スタンダード・モジュール100の一方側で貨物倉10の角部から貨物倉10内部の左舷側または右舷側壁面に隣接して横方向カンチレバー・モジュール200を設置する工程と、貨物倉10の角部から貨物倉10内部の船首側または船尾側の壁面に隣接してタンダード・モジュール100の他方側に縦方向カンチレバー・モジュール700を連結する工程とを含む。
【0235】
スタンダード・モジュール100を設置する工程は、スタンダード・モジュール100の曲げとねじれ変形を防止するために複数の補強トラス部870を設置する工程と、スタンダード・モジュール100の上部または下部に複数の支柱310を連結する工程とを含む。
【0236】
本実施形態の足場構造物の設置方法は、貨物倉10の角部領域で横方向カンチレバー・モジュール200と縦方向カンチレバー・モジュール700とを連結し、貨物倉10の角部に隣接してコーナー連結部830を設置する工程をさらに含む。
【0237】
コーナー連結部830を設置する工程で、複数のセグメント部材831,832,833,834,835のいずれか1つと隣接して配置されるセグメント部材831,832,833,834,835、横方向カンチレバー・モジュール200または縦方向カンチレバー・モジュール700を連結する工程と、コーナー連結部830のたわみを防止するために複数のセグメント部材831,832,833,834,835のいずれか1つ、または横方向カンチレバー・モジュール200の一方側にたわみ防止ポスト850を連結する工程とを含む。
【0238】
本実施形態のLNG貨物倉の断熱作業用の足場構造物は、足場構造物の一部がモジュール形態で大型化されることにより、足場構造物の設置作業または解体作業時の作業者の作業時間を削減し、貨物倉の内部断熱層の設置作業に要する日程を短縮できる効果がある。
【0239】
また、モジュール形態(Module type)で大型化された各スタンダード・モジュール100及び各カンチレバー・モジュールは、別の解体手段を利用して簡単に解体することができるため、足場構造物の設置作業または解体作業を行う過程で、作業者の手作業と重量物の取扱いを最小化し、作業者の筋骨格系疾患の予防及び各種労災事故の危険性を低減させる有利な効果がある。
【0240】
また、スタンダード・モジュール100と各カンチレバー・モジュールとはトラス構造(Truss structure)を有することで、軽量化による組立と設置が簡単になるだけでなく、上下曲げやねじり変形に対する足場構造物の構造的な安定性が改善する効果がある。
【0241】
また、メイン構造物とプラットフォーム構造物との間に横方向距離調節部を設けたことで、サイズの異なる貨物倉に適用する場合でも、複数の距離調節部材の夫々の長さを変更することにより、一定の大きさでモジュール化されたスタンダード・モジュール100とカンチレバー・モジュールとを継続的に使用でき、他の船舶でも容易に互換適用することができる。
【0242】
さらに、複数のカンチレバー・モジュールのいずれか1つと隣接して配置される他の1つのカンチレバー・モジュールとを連結するための中詰め調整部を介することで、サイズの異なる貨物倉に適用する場合でも、一定の大きさにモジュール化したスタンダード・モジュール100とカンチレバー・モジュールとを継続的に使用でき、複数の間隔調整部材の長さを変更して緩衝の役割をすることができ、他の船舶でも容易に互換適用することができる。
【0243】
さらに、構造的にねじれや曲げが発生しやすい貨物倉の角部領域に、たわみ防止ポストと補強トラス部を追加設置することで、足場構造物の変形や自由端のたわみを防止する有利な効果がある。
【0244】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更、及び置換が可能ある。したがって、本発明に開示された実施形態及び添付図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施形態及び添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されることではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものであると解釈しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図15(a)】
図15(b)】
図15(c)】
図15(d)】
図16
図17
図18
図19