IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-17
(45)【発行日】2024-09-26
(54)【発明の名称】分析物検出のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61B5/1473
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2023537075
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021064208
(87)【国際公開番号】W WO2022133313
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】63/127,848
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン、ベンジャミン ジェイ.
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0237276(US,A1)
【文献】特表2015-527132(JP,A)
【文献】特開平07-209242(JP,A)
【文献】特開2018-027758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/145-5/1495
G01N 27/327
G01N 27/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビボアルコールセンサから信号を受信し、
ある期間にわたって前記インビボアルコールセンサから受信した前記信号のピーク信号の幅であって、前記信号が前記信号のバックグラウンドまたは閾値レベルを超える前記期間であるピーク信号の幅を決定し、
前記受信した信号の前記ピーク信号の幅、および、ピーク信号の振幅とピーク信号の幅との比に部分的に基づいて血中アルコール濃度を決定するように構成された1つ以上のプロセッサを備える、装置。
【請求項2】
前記比は、前記インビボアルコールセンサの初期装着期間に決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記初期装着期間が、前記インビボアルコールセンサの挿入後1、2、3、4、または5日である、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、前記インビボアルコールセンサの感度に基づいて前記血中アルコール濃度を決定するようにさらに構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記インビボアルコールセンサの前記感度は、較正に基づいて工場で設定される、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記インビボアルコールセンサは1つ以上の活性エリアを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の活性エリアは1つ以上の酵素を含み、前記酵素は前記インビボアルコールセンサの寿命にわたって劣化する、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記インビボアルコールセンサの前記1つ以上の活性エリアは、2つ以上の分析物を検出し、前記2つ以上の分析物は、エタノール、グルコース、または乳酸塩を含む、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、リーダデバイスである前記装置上に前記血中アルコール濃度を表示するようにさらに構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、前記血中アルコール濃度に基づいて、視覚的、聴覚的、または振動性の警告を出力するようにさらに構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記警告は、口腔電解質溶液を消費することを推奨することを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
インビボアルコールセンサから信号を1つ以上のプロセッサによって受信することと、
ある期間にわたって前記インビボアルコールセンサから受信された前記信号のピーク信号の幅であって、前記信号が前記信号のバックグラウンドまたは閾値レベルを超える前記期間であるピーク信号の幅を1つ以上のプロセッサによって決定することと、
受信された前記信号の前記ピーク信号の幅、および、受信された前記信号のピーク信号の振幅とピーク信号の幅との比に部分的に基づいて血中アルコール濃度を1つ以上のプロセッサによって決定することとを含む、方法。
【請求項13】
前記比は、前記インビボアルコールセンサの初期装着期間に決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記初期装着期間は、前記インビボアルコールセンサの挿入後1、2、3、4、または5日である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記インビボアルコールセンサの感度に基づいて前記血中アルコール濃度を決定することをさらに含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記インビボアルコールセンサの前記感度は、較正に基づいて工場で設定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インビボアルコールセンサは1つ以上の活性エリアを含む、請求項1216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の活性エリアは1つ以上の酵素を含み、前記酵素は前記インビボアルコールセンサの寿命にわたって劣化する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インビボアルコールセンサの前記1つ以上の活性エリアは、2つ以上の分析物を検出し、前記2つ以上の分析物は、エタノール、グルコース、または乳酸塩を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記血中アルコール濃度をリーダデバイス上に表示することをさらに含む、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記血中アルコール濃度に基づいて、視覚的、聴覚的、または振動性の警告を出力することをさらに含む、請求項12から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記警告は、口腔電解質溶液を消費することを推奨することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上のプロセッサは、
【数1】

(式中、BACは血中アルコール濃度であり、K1は較正から決定された前記インビボアルコールセンサの工場感度であり、K2はピーク信号の振幅とピーク信号の幅との比であり、Width peak はピーク信号の幅である)
によって前記血中アルコール濃度を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記血中アルコール濃度を決定することが、
【数2】

(式中、BACは血中アルコール濃度であり、K1は較正から決定された前記インビボアルコールセンサの工場感度であり、K2はピーク信号の振幅とピーク信号の幅との比であり、Width peak はピーク信号の幅である)
を用いることを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、分析物センサおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分析物の検出を使用して、健康状態のモニタリングを助けることができる。分析物の検出は、とりわけ、生理学的状態を示し得る分析物レベルの変化を決定するために使用され得る。例えば、モニタリングされるグルコースレベルは、分析物レベルまたは傾向に基づいて適切な時間にインスリンを投与したり、または特定の食品もしくは飲料を消費したりする等の適切な行動をとることによって、そのグルコースレベルを管理するために使用され得る。他の生理学的状態をモニタリングするために他の分析物が望ましい場合があり、または場合によっては、複数の生理学的状態をモニタリングするために複数の分析物を同時に使用することがある。
【0003】
分析物のモニタリングは、所与の期間にわたって周期的にまたは連続的に行うことができる。連続的なモニタリングのために、1つ以上のセンサは、分析をインビボで行うことができるように、個体の組織内(例えば、皮膚、皮下、または静脈内)に少なくとも部分的に埋め込まれたままである。埋め込まれたセンサは、個体の特定のヘルスニードおよび/または以前に測定された分析物レベルに応じて、オンデマンドで、設定されたスケジュールで、または連続的に分析物データを収集することができる。例えば、インビボ酵素ベースの電流測定センサは、1つ以上の分析物をアッセイし、個体の健康をモニタリングするように構成され得る。分析物センサは、特定の基質に対する特異性または感度を有する酵素を使用してもよい。モニタリングされる分析物としては、例えば、グルコース、乳酸塩、酸素、およびケトンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0004】
比較すると、限定するものではないが、定期的な分析物モニタリングは、血液または尿などの体液のサンプルを採取し、サンプルをエクスビボで分析することによって行うことができる。エクスビボ分析物モニタリングは十分であり得るが、エクスビボ分析物モニタリングに関連するいくつかの課題がある。例えば、サンプルを採取することは、不便であるかまたは痛みを伴う可能性があり、データを失うリスクが増大する可能性がある。インビボで埋め込まれたセンサを使用するそのようなモニタリングを含む、連続的分析物モニタリングは、そのような課題を克服することができる。
【0005】
モニタリングすることができる分析物の別の例はアルコールである。個体のインビボアルコールレベルに関する情報は、例えば、目的の別の分析物のレベルを予測またはモニタリングするために使用され得る。例えば、アルコールは、そのグルコースレベルが生まれつき調節不全であるか、またはそうでなければ介入しないと恒常性を欠く個体の血糖制御を変化させ得る。アルコールによって調節不全になり得る他の分析物としては、トリグリセリド(例えば、心疾患、脳卒中、血圧、肥満に関連する)、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)(例えば、癌、肝炎、骨疾患に関連する)、およびコルチゾール(例えば、ストレス、炎症に関連する)を挙げることができる。アルコールモニタリングはまた、例えば、アルコール消費を抑制するために使用されてもよい。したがって、個体のアルコールレベルを連続的または周期的にモニタリングすることが有用であり得る。
【発明の概要】
【0006】
開示される主題の目的および利点は、以下の説明に記載されるとともに以下の説明から明らかであり、開示される主題の実施によって習得される。開示される主題のさらなる利点は、記載された説明およびその特許請求の範囲において特に挙げられたデバイスによって、ならびに添付の図面から、実現および達成されるであろう。
【0007】
これらの利点および他の利点を達成するために、開示される主題の目的に従って、具体化され広く説明されるように、開示される主題は、アルコールセンサに通信可能に接続され得る装置、アルコールセンサを含み得るシステム、またはアルコールセンサからデータまたは信号を受信することを含み得る方法を対象とする。たとえば、装置は、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。1つ以上のプロセッサは、分析物センサから信号を受信するように構成されてもよい。分析物センサは、例えば、アルコールセンサでもよい。分析物センサの少なくとも一部は、体液と接触して配置される。1つ以上のプロセッサはまた、ある期間にわたって分析物センサから受信した信号のピーク信号の幅を決定するように構成される。加えて、1つ以上のプロセッサは、受信した信号のピーク信号の幅に部分的に基づいて血中アルコール濃度を決定するように構成される。
【0008】
本明細書で具体化されるように、方法は、少なくとも一部が体液と接触して配置される分析物センサから信号を受信することを含んでもよい。方法はまた、ある期間にわたって分析物センサから受信した信号のピーク信号の幅を決定することを含んでもよい。さらに、方法は、信号のピーク信号の幅に部分的に基づいて血中アルコール濃度を決定することを含んでもよい。
【0009】
本明細書で具体化されるように、ピーク信号の幅が決定される期間は、分析物センサの初期装着期間でもよい。初期装着期間は、例えば、分析物センサの挿入後1、2、3、4、または5日である。
【0010】
本明細書で具体化されるように、1つ以上のプロセッサは、ピーク信号の振幅とピーク信号の幅との比に基づいて血中アルコール濃度を決定するように構成されてもよい。
本明細書で具体化されるように、1つ以上のプロセッサは、アルコールセンサの感度に基づいて血中アルコール濃度を決定するように構成されてもよい。アルコールセンサの感度は、較正に基づいて工場で設定されてもよい。
【0011】
本明細書で具体化されるように、分析物センサは、1つ以上の活性エリアを含む。活性エリアは、1つ以上の酵素を含んでもよく、酵素はアルコールセンサの寿命にわたって劣化する。いくつかの例では、分析物センサの1つ以上の活性エリアは、2つ以上の分析物を検出する。2つ以上の分析物は、エタノール、グルコース、または乳酸塩を含んでもよい。
【0012】
本明細書で具体化されるように、1つ以上のプロセッサは、リーダデバイスである装置上に血中アルコール濃度を表示してもよい。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、血中アルコール濃度に基づいて、視覚的、聴覚的、または振動性の警告の出力を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】センサアプリケータ、リーダデバイス、モニタリングシステム、ネットワーク、および遠隔システムのシステム概観である。
図1B】本明細書に説明される技術とともに使用するための例示的な分析物モニタリングシステムの動作環境を示す図である。
図2A】リーダデバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図2B】開示された主題の例示的な実施形態による、センサと通信するための例示的なデータ受信デバイスを示すブロック図である。
図2C】センサ制御デバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。
図2D】同上。
図2E】開示された主題の例示的な実施形態による、例示的な分析物センサを示すブロック図である。
図3A】組み立てに向けてユーザがトレイを準備する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3B】組み立てに向けてユーザがアプリケータデバイスを準備する例示的な実施形態を示す側面図である。
図3C】組み立て中にユーザがアプリケータデバイスをトレイ内に挿入する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3D】組み立て中にユーザがアプリケータデバイスをトレイから取り外す例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3E】アプリケータデバイスを使用してセンサを適用する患者の例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図3F】センサが適用された患者および使用済みアプリケータデバイスの例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図4A】キャップと連結されたアプリケータデバイスの例示的な実施形態を示す側面図である。
図4B】分離されたアプリケータデバイスおよびキャップの例示的な実施形態を示す側面斜視図である。
図4C】アプリケータデバイスの遠位端および電子機器ハウジングの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図4D】開示される主題による、例示的なアプリケータデバイスの上面斜視図である。
図4E図4Dのアプリケータデバイスの底面斜視図である。
図4F図4Dのアプリケータデバイスの分解図である。
図4G図4Dのアプリケータデバイスの側面切断図である。
図5】滅菌蓋が結合されたトレイの例示的な実施形態を示す近位斜視図である。
図6A】センサ送達構成要素を伴うトレイの例示的な実施形態を示す近位斜視切断図である。
図6B】センサ送達構成要素を示す近位斜視図である。
図7A】例示的なセンサ制御デバイスの等角分解上面図である。
図7B】例示的なセンサ制御デバイスの等角分解底面図である。
図8A図8A~8Cは、センサアセンブリのための統合したコネクタを含む、オンボディデバイスの組立ておよび断面図である。
図8B】同上。
図8C】同上。
図9A図2Cのキャップが結合された図1Aのセンサアプリケータの例示的な実施形態の側面図である。
図9B図2Cのキャップが結合された図1Aのセンサアプリケータの例示的な実施形態の断面側面図である。
図10A】別の例示的なセンサ制御デバイスの等角図である。
図10B】別の例示的なセンサ制御デバイスの側面図である。
図11A図11A~11Cは、図10A~10Bのセンサ制御デバイスを伴うセンサアプリケータの組立てを示す漸進的な断面側面図である。
図11B】同上。
図11C】同上。
図12A図12A~12Cは、図10A~10Bのセンサ制御デバイスを伴うセンサアプリケータの例示的な実施形態の組立および分解を示す進行断面側面図である。
図12B】同上。
図12C】同上。
図13A】展開段階中のアプリケータの例示的な実施形態を示す断面図を示す。
図13B】同上。
図13C】同上。
図13D】同上。
図13E】同上。
図13F】同上。
図14】分析物センサのインビトロ感度の例を示すグラフである。
図15】開示される主題の例示的な実施形態によるセンサの例示的な動作状態を示す図である。
図16】開示される主題によるセンサの無線プログラミングのための例示的な動作およびデータフローを示す図である。
図17】は、開示される主題による2つのデバイス間のデータの確実な交換のための例示的なデータフローを示す図である。
図18A】本明細書で具体化される単一の活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。
図18B】同上。
図18C】同上。
図19】本明細書で具体化される2つの活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。
図20】本明細書で具体化される2つの活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。
図21A】本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。
図21B】同上。
図22】本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。
図23】本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。
図24】本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。
図25図24の例示的な分析物センサを使用して、信号ピークにおいて測定された血中アルコール濃度(BAC)と、対応する電流ピークの幅との間の相関を示す図である。
図26図24の例示的な分析物センサを使用して、信号ピークにおいて測定された総アルコール消費(BAC)と、対応する電流ピークの幅との間の相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本主題を詳細に説明する前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに別段の指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
本明細書において説明される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、本開示が、先行開示を理由としてそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、独立して確認される必要があり得る実際の刊行日とは異なることがある。
【0017】
全般的に、本開示の実施形態は、インビボ分析物モニタリングシステムとともに使用するための分析物センサ挿入アプリケータの使用のためのシステム、デバイス、および方法を含む。アプリケータは、センサ制御デバイスの電子機器ハウジングが収容された無菌パッケージでユーザに提供することができる。いくつかの実施形態によれば、容器などのアプリケータとは別個の構造も、センサモジュールおよび鋭利物モジュールが収容された無菌パッケージとしてユーザに提供することができる。ユーザは、センサモジュールを電子機器ハウジングに結合することができ、アプリケータを指定された方法で容器に挿入することを含む組立プロセスによって、鋭利物をアプリケータに結合することができる。他の実施形態では、アプリケータ、センサ制御デバイス、センサモジュール、および鋭利物モジュールは、単一パッケージ内に提供されてもよい。アプリケータを使用して、センサが装着者の体液と接触した状態でセンサ制御デバイスを人体上に配置してもよい。本明細書で提供される実施形態は、センサが不適切に挿入されるかもしくは損傷され、または有害な生理学的応答を誘発する可能性を低減するための改善である。他の改善および利点も同様に提供される。これらのデバイスの様々な構成は、単なる例である実施形態によって詳細に説明される。
【0018】
さらに、多くの実施形態は、身体の少なくとも1つの分析物に関する情報を取得するために、センサの少なくとも一部がユーザの身体内に配置されるか、または位置付けられ得るように構造的に構成される、インビボ分析物センサを含む。しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、インビトロ機能を組み込むインビボ分析物モニタリングシステム、ならびに完全に非侵襲性であるシステムを含む、単なるインビトロまたはエクスビボ分析物モニタリングシステムとともに使用されてもよいことに留意されたい。
【0019】
さらに、本明細書に開示される方法のありとあらゆる実施形態について、それらの実施形態の各々を実行することができるシステムおよびデバイスは、本開示の範囲内に包含される。例えば、センサ制御デバイスの実施形態が開示されるが、これらのデバイスは、1つ以上のセンサ、分析物モニタリング回路(例えば、アナログ回路)、メモリ(例えば、命令を記憶するため)、電源、通信回路、送信機、受信機、プロセッサ、および/またはコントローラ(例えば、命令を実行するため)を有してもよく、これらは、任意および全ての方法ステップを実行するか、または任意および全ての方法ステップの実行を容易にすることができる。これらのセンサ制御デバイスの実施形態は、本明細書で説明される方法のいずれかおよび全てからセンサ制御デバイスによって実行されるステップを実装するために使用されてもよく、使用することが可能であってもよい。
【0020】
さらに、本明細書に提示されるシステムおよび方法は、ウェルネス、フィットネス、食事、研究、情報、または経時的な分析物感知に関する任意の目的等であるが、それらに限定されない、分析物モニタリングシステムにおいて使用されるセンサの動作のために使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「分析物センサ」または「センサ」は、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意のデバイスを指し得、例示を目的として、体温センサ、血圧センサ、脈拍もしくは心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、分析物センサ、身体活動センサ、身体運動センサ、または物理的もしくは生物学的情報を収集するための任意の他のセンサを含むが、これらに限定されない。分析物センサによって測定される分析物としては、限定ではなく例として、グルコース、ケトン、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク質、尿酸などを挙げることができる。
【0021】
上述したように、インビボ分析物モニタリングシステムと共に使用するための皮膚センサ挿入デバイスの改善された組立ておよび使用を提供するシステム、デバイス、および方法のいくつかの実施形態が本明細書で説明される。特に、本開示のいくつかの実施形態は、インビボ分析物モニタリングシステムに関してセンサ挿入の方法を改善するように、特に、センサ挿入プロセス中に挿入鋭利物が早まって後退することを防止するように設計される。いくつかの実施形態は、例えば、発射速度を増加させ、かつ鋭利物の後退を遅らせた、皮膚センサ挿入機構を含む。他の実施形態では、鋭利物後退機構は、ユーザがアプリケータを皮膚から引き離すまで、鋭利物が後退されないように、運動作動されてもよい。結果として、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げると、センサ挿入プロセス中に挿入鋭利物を早まって引き抜く可能性を低減し、不適切なセンサ挿入の可能性を低減し、センサ挿入プロセス中にセンサを損傷する可能性を低減することができる。本開示のいくつかの実施形態はまた、小規模の皮膚センサおよび対象の真皮層に存在する比較的浅い挿入経路を考慮した、改良された挿入鋭利物モジュールを提供する。加えて、本開示のいくつかの実施形態は、センサ挿入中のアプリケータ構成要素の望ましくない軸線方向および/または回転の移動を防止するように設計される。したがって、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げると、配置された皮膚センサの不安定性、挿入部位における刺激、周囲組織への損傷、および血液による皮膚流体の汚損をもたらす毛細血管の破損の可能性を低減することができる。加えて、挿入部位における外傷によって引き起こされ得る不正確なセンサ読み取り値を軽減するために、本開示のいくつかの実施形態は、挿入中のセンサ先端に対する針の端部侵入深さを低減することができる。
【0022】
しかしながら、実施形態のこれらの態様を詳細に説明する前に、例えばインビボ分析物モニタリングシステム内に存在し得るデバイスの例、ならびにそれらの動作の例をまず説明することが望ましく、それらの全ては、本明細書に説明される実施形態とともに使用され得る。
【0023】
様々なタイプのインビボ分析物モニタリングシステムが存在する。「連続的分析物モニタリング」システム(または「連続的グルコースモニタリングシステム」システム)は、例えば、データをセンサ制御デバイスからリーダデバイスに、指示することなく連続的に、例えば、スケジュールに従って自動的に送信してもよい。別の例として、「フラッシュ分析物モニタリング」システム(または「フラッシュグルコースモニタリング」システムまたは単に「フラッシュ」システム)は、近距離無線通信(NFC)または無線周波数識別(RFID)プロトコル等を用いて、リーダデバイスによるデータのスキャンまたは要求に応答して、センサ制御デバイスからデータを転送してもよい。インビボ分析物モニタリングシステムはまた、指先穿刺による較正を必要とせずに動作してもよい。
【0024】
インビボ分析物モニタリングシステムは、体外(または「エクスビボ」)で生体サンプルと接触し、典型的には、ユーザの血糖レベルを決定するために分析され得るユーザの体液を運ぶ分析物検査ストリップを受け入れるためのポートを有する測定デバイスを含む「インビトロ」システムと区別することができる。
【0025】
インビボモニタリングシステムは、インビボに配置されている間、ユーザの体液と接触し、その中に含まれる分析物レベルを感知するセンサを含んでもよい。センサは、ユーザの身体上に存在し、分析物感知を可能にするとともに制御する電子機器および電源を含むセンサ制御デバイスの一部であり得る。センサ制御デバイスおよびその変形はまた、いくつか例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「オンボディ電子機器」デバイスもしくはユニット、「オンボディ」デバイスもしくはユニット、または「センサデータ通信」デバイスもしくはユニットと称され得る。
【0026】
インビボモニタリングシステムはまた、感知された分析物データをセンサ制御デバイスから受信し、その感知された分析物データを任意の数の形態で処理および/またはユーザに表示するデバイスを含んでもよい。このデバイスおよびその変形は、いくつか例を挙げると、「ハンドヘルドリーダデバイス」、「リーダデバイス」(または単に「リーダ」)、「ハンドヘルド電子機器」(または単に「ハンドヘルド」)、「ポータブルデータ処理」デバイスもしくはユニット、「データ受信機」、「受信機」デバイスもしくはユニット(または単に「受信機」)、または「遠隔」デバイスもしくはユニットと称され得る。パーソナルコンピュータなどの他のデバイスもまた、インビボおよびインビトロモニタリングシステムとともに利用されてきたか、またはインビボおよびインビトロモニタリングシステムに組み込まれてきた。
【0027】
図1Aは、センサアプリケータ150、センサ制御デバイス102、およびリーダデバイス120を含む分析物モニタリングシステム100の例示的な実施形態を示す概念図である。ここで、センサアプリケータ150は、センサ制御デバイス102をユーザの皮膚上のモニタリング場所に送達するために使用されることができ、そこで、分析物センサ110は、接着パッチ105によってある期間にわたって定位置に維持される。センサ制御デバイス102は、図2Bおよび2Cでさらに説明され、有線または無線技術を使用して通信経路140を介してリーダデバイス120と通信することができる。例示的な無線プロトコルとしては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth低エネルギー(BLE、BTLE、Bluetooth SMARTなど)、近距離無線通信(NFC)などが挙げられる。ユーザは、画面122および入力121を使用して、リーダデバイス120上のメモリにインストールされたアプリケーションをモニタリングすることができ、デバイスバッテリは、電力ポート123を使用して再充電することができる。リーダデバイス120についてのさらなる詳細は、以下の図2Aに関して記載される。リーダデバイス120は、有線または無線技術を使用して通信経路141を介してローカルコンピュータシステム170と通信することができる。ローカルコンピュータシステム170は、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、セットトップボックス、ビデオゲーム機、または他のコンピューティングデバイスのうちの1つ以上を含んでもよく、無線通信は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth低エネルギー(BTLE)、Wi-Fi、またはその他を含む、いくつかの適用可能な無線ネットワーキングプロトコルのうちのいずれかを含んでもよい。ローカルコンピュータシステム170は、リーダデバイス120が通信経路142を介してネットワーク190と通信できる方法と同様に、前述の有線または無線技術によって、通信経路143を介してネットワーク190と通信できる。ネットワーク190は、プライベートネットワークおよびパブリックネットワーク、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークなど、いくつかのネットワークのうちのいずれかとすることができる。信頼できるコンピュータシステム180は、サーバを含んでもよく、認証サービスおよび安全なデータストレージを提供することができ、通信経路144を介して有線または無線技術によってネットワーク190と通信することができる。
【0028】
図1Bは、本明細書に説明される技術を具体化することができる分析物モニタリングシステム100aの動作環境を示す。分析物モニタリングシステム100aは、人間または動物の身体の分析物レベルなどのパラメータのモニタリングを提供するように設計された構成要素のシステムを含んでもよく、または様々な構成要素の構成に基づいて他の動作を提供してもよい。本明細書で具体化されるように、システムは、ユーザによって装着されるかもしくは情報が収集されている身体に取り付けられる、低電力分析物センサ110または単に「センサ」を含んでもよい。本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、所定の有効使用寿命(例えば、1日、14日、30日など)を有する密閉された使い捨てデバイスであってもよい。センサ110は、ユーザ身体の皮膚に適用され、センサ寿命の持続時間にわたって付着されたままであり得るか、または選択的に取り外され、再適用されたときに機能したままであるように設計され得る。低電力分析物モニタリングシステム100aは、分析物センサ110からの分析物データを含むデータの検索および送達を容易にするために、本明細書で説明されるように構成されたデータ読み取りデバイス120または多目的データ受信デバイス130をさらに含んでもよい。
【0029】
本明細書で具体化されるように、分析物モニタリングシステム100aは、例えば遠隔アプリケーションサーバ150またはアプリケーションストアフロントサーバ160を介して第三者に提供され、通信リンクを介して分析物センサ110と通信することができる携帯電話、タブレット、パーソナルコンピューティングデバイス、または他の同様のコンピューティングデバイスなどの多目的ハードウェアデバイス130に組み込まれたソフトウェアまたはファームウェアライブラリまたはアプリケーションを含んでもよい。多目的ハードウェアは、分析物センサ110と通信するように構成された組み込み型ライブラリを有する、インスリンポンプまたはインスリンペンを含むがこれらに限定されない組み込み型デバイスをさらに含んでもよい。分析物モニタリングシステム100aの図示された実施形態は、図示されたデバイスの各々を1つだけ含むが、本開示は、分析物モニタリングシステム100aが、システム全体にわたって相互作用する複数の各構成要素を組み込むことを企図する。例えば、限定するものではないが、本明細書で具体化されるように、データ読み取りデバイス120および/または多目的データ受信デバイス130は、複数の各々を含んでもよい。本明細書で具体化されるように、複数のデータ受信デバイス130は、本明細書で説明されるようにセンサ110と直接通信してもよい。加えて、またはあるいは、データ受信デバイス130は、二次データ受信デバイス130と通信し、ユーザまたは他の承認された当事者への二次表示のために、分析物データ、またはデータの可視化もしくは分析を提供してもよい。
【0030】
図2Aは、スマートフォンとして構成されたリーダデバイスの例示的な実施形態を示すブロック図である。ここで、リーダデバイス120は、ディスプレイ122と、入力構成要素121と、メモリ223に結合された通信プロセッサ222およびメモリ225に結合されたアプリケーションプロセッサ224を含む処理コア206とを含んでもよい。別個のメモリ230と、アンテナ229を有するRFトランシーバ228と、電力管理モジュール238を有する電源226と、も含まれてよい。Wi-Fi、NFC、Bluetooth(登録商標)、BTLE、およびGPSを介してアンテナ234によって通信することができる多機能トランシーバ232をさらに含んでもよい。当業者によって理解されるように、これらの構成要素は、機能デバイスを作製する方法で電気的かつ通信可能に結合される。
【0031】
限定ではなく例示の目的で、図2Bに示されるような開示された主題とともに使用するためのデータ受信デバイス120の例示的な実施形態が参照される。データ受信デバイス120および関連する多目的データ受信デバイス130は、分析物センサ110およびその動作の説明に密接に関係する構成要素を含み、追加の構成要素を含んでもよい。特定の実施形態では、データ受信デバイス120および多目的データ受信デバイス130は、第三者によって提供される構成要素であるか、またはそれを含んでもよく、センサ110と同じ製造業者によって作製されたデバイスを含むように必ずしも制限されない。
【0032】
図2Bに示すように、データ受信デバイス120は、マイクロコントローラ4010と、メモリ4020と、ストレージ4030とを含み、通信モジュール4040と通信可能に結合されたASIC4000を含む。データ受信デバイス120の構成要素のための電力は、本明細書で具体化されるように、充電式バッテリを含んでもよい電力モジュール4050によって送達されてもよい。データ受信デバイス120は、分析物センサ110または他のデバイス(例えば、ユーザデバイス140または遠隔アプリケーションサーバ150)から受信した分析物データのレビューを容易にするためのディスプレイ4070をさらに含んでもよい。データ受信デバイス120は、別個のユーザインタフェース構成要素(たとえば、物理キー、光センサ、マイクロフォンなど)を含んでもよい。
【0033】
通信モジュール4040は、BLEモジュール4041およびNFCモジュール4042を含んでもよい。データ受信デバイス120は、分析物センサ110と無線でつながり、分析物センサ110にコマンドを送信し、分析物センサ110からデータを受信するように構成されてもよい。本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120は、本明細書で説明されるような分析物センサ110に関して、通信モジュール4040の特定のモジュール(例えば、BLEモジュール4042またはNFCモジュール4043)を介してNFCスキャナおよびBLEエンドポイントとして動作するように構成されてもよい。例えば、データ受信デバイス120は、通信モジュール4040の第1のモジュールを使用して、コマンド(例えば、センサのデータブロードキャストモードのための起動コマンド、データ受信デバイス120を識別するためのペアリングコマンド)を分析物センサ110に発行するとともに、通信モジュール4040の第2のモジュールを使用して、分析物センサ110からデータを受信し、分析物センサ110にデータを送信してもよい。データ受信デバイス120は、通信モジュール4040のユニバーサルシリアルバス(USB)モジュール4045を介してユーザデバイス140と通信するように構成されてもよい。
【0034】
別の例として、通信モジュール4040は、例えば、セルラー無線モジュール4044を含んでもよい。セルラー無線モジュール4044は、限定はしないが、第3世代(3G)、第4世代(4G)、および第5世代(5G)ネットワークを含むブロードバンドセルラーネットワークを使用して通信するための1つ以上の無線トランシーバを含んでもよい。さらに、データ受信デバイス120の通信モジュール4040は、IEEE802.11規格(たとえば、802.11a、802.11b、802.11g、802.11n(Wi-Fi4としても知られる)、802.11ac(Wi-Fi5としても知られる)、802.11ax(Wi-Fi6としても知られる))のうちの1つ以上に従ってワイヤレスローカルエリアネットワークを使用して通信するためのWi-Fi無線モジュール4043を含んでもよい。セルラー無線モジュール4044またはWi-Fi無線モジュール4043を使用して、データ受信デバイス120は、遠隔アプリケーションサーバ150と通信することで、分析物データを受信するか、またはユーザから受信した更新もしくは入力を提供してもよい(例えば、1つ以上のユーザインタフェースを通して)。図示されていないが、分析物センサ120の通信モジュール5040は、同様に、セルラー無線モジュールまたはWi-Fi無線モジュールを含んでもよい。
【0035】
本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120のオンボードストレージ4030は、分析物センサ110から受信した分析物データを記憶してもよい。さらに、データ受信デバイス120、多目的データ受信デバイス130、またはユーザデバイス140は、ワイドエリアネットワークを介して遠隔アプリケーションサーバ150と通信するように構成されてもよい。本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、データ受信デバイス120または多目的データ受信デバイス130にデータを提供してもよい。データ受信デバイス120は、データをユーザコンピューティングデバイス140に送信してもよい。次に、ユーザコンピューティングデバイス140(または多目的データ受信デバイス130)は、処理および分析のために、そのデータを遠隔アプリケーションサーバ150に送信してもよい。
【0036】
本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120は、分析物センサ110の感知ハードウェア5060と同様の、またはそれから拡張された感知ハードウェア4060をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、データ受信デバイス120は、分析物センサ110と連動して、分析物センサ110から受信した分析物データに基づいて動作するように構成されてもよい。一例として、分析物センサ110がグルコースセンサである場合、データ受信デバイス120は、インスリンポンプもしくはインスリン注射ペンであるか、またはインスリンポンプもしくはインスリン注射ペンを含んでもよい。連動して、互換性のあるデバイス130が、分析物センサから受信したグルコース値に基づいて、ユーザのためのインスリン用量を調整してもよい。
【0037】
図2Cおよび図2Dは、分析物センサ110と、ユーザへの表示に適した最終結果データをレンダリングするための処理能力の大部分を有し得るセンサ電子機器160(分析物モニタリング回路を含む)とを有するセンサ制御デバイス102の例示的な実施形態を示すブロック図である。図2Cでは、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC)でもよい単一の半導体チップ161が示されている。ASIC161内に示されるのは、アナログフロントエンド(AFE)162、電力管理(または制御)回路164、プロセッサ166、および通信回路168(送信機、受信機、トランシーバ、受動回路、または通信プロトコルに従う他のものとして実装され得る)を含む、特定の高レベル機能ユニットである。この実施形態では、AFE162およびプロセッサ166の両方が分析物モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態では、どちらかの回路が分析物モニタリング機能を実行してもよい。プロセッサ166は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを含んでもよく、それらの各々は、別個のチップであるか、またはいくつかの異なるチップの間(およびその一部)で分散されてもよい。
【0038】
メモリ163もASIC161内に含まれ、ASIC161内に存在する様々な機能ユニットによって共有されてもよく、またはそれらのうちの2つ以上の間で分散されてもよい。メモリ163は、別個のチップであってもよい。メモリ163は、揮発性および/または不揮発性メモリであってよい。この実施形態では、ASIC161は、電源170に結合され、この電源は、コイン電池バッテリなどでもよい。AFE162は、インビボ分析物センサ110と相互作用し、そこから測定データを受信し、そのデータをデジタル形式でプロセッサ166に出力し、次に、プロセッサはそのデータを処理して、最終結果グルコース離散値および傾向値などに到達する。次いで、このデータは、例えば、データを表示するために常駐ソフトウェアアプリケーションによって最小限のさらなる処理が必要とされる場合、アンテナ171を経由してリーダデバイス120(図示せず)に送信するために、通信回路168に提供されてもよい。
【0039】
図2Dは、図2Cと同様であるが、代わりに、2つの別個の半導体チップ162および174を含み、それらは一緒にパッケージ化されても、または別々にパッケージ化されてもよい。ここで、AFE162は、ASIC161上に存在する。プロセッサ166は、チップ174上の電力管理回路164および通信回路168と統合される。AFE162はメモリ163を含み、チップ174はメモリ165を含み、これらは内部で分離または分散されてもよい。1つの例示的な実施形態では、AFE162は、1つのチップ上で電力管理回路164およびプロセッサ166と組み合わされ、通信回路168は別個のチップ上にある。別の例示的な実施形態では、AFE162および通信回路168の両方が1つのチップ上にあり、プロセッサ166および電力管理回路164が別のチップ上にある。3つ以上のチップを含む他のチップの組合せが可能であり、各チップは、説明した別々の機能を担うか、またはフェイルセーフ冗長性のために1つ以上の機能を共有することに留意されたい。
【0040】
限定ではなく例示の目的で、図2Eに示されるような開示された主題とともに使用するための分析物センサ110の例示的な実施形態が参照される。図2Eは、本明細書で説明されるセキュリティアーキテクチャおよび通信スキームに適合する例示的な実施形態による例示的な分析物センサ110のブロック図を示す。
【0041】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、通信モジュール5040と通信可能に結合された特定用途向け集積回路(「ASIC」)5000を含んでもよい。ASIC5000は、マイクロコントローラコア5010、オンボードメモリ5020、およびストレージメモリ5030を含んでもよい。ストレージメモリ5030は、認証および暗号化セキュリティアーキテクチャにおいて使用されるデータを記憶してもよい。ストレージメモリ5030は、センサ110のためのプログラミング命令を記憶してもよい。本明細書で具体化されるように、特定の通信チップセットは、ASIC5000(例えば、NFCトランシーバ5025)に組み込まれてもよい。ASIC5000は、オンボードバッテリなどの電力モジュール5050から、またはNFCパルスから電力を受け取ってもよい。ASIC5000のストレージメモリ5030は、識別および追跡目的のためにセンサ110の識別子などの情報を含むようにプログラムされてもよい。ストレージメモリ5030はまた、センサ110およびその様々な構成要素による使用のための構成または較正パラメータを用いてプログラムされてもよい。ストレージメモリ5030は、書き換え可能またはワンタイムプログラミング(OTP)メモリを含んでもよい。本明細書に説明される技術を使用してストレージメモリ5030を更新することで、センサ110の有用性を拡張してもよい。
【0042】
本明細書で具体化されるように、センサ100の通信モジュール5040は、分析物センサ110が分析物モニタリングシステム100の他のデバイスと通信することをサポートするための1つ以上のモジュールであるか、またはそれを含んでもよい。限定ではなく単なる例として、例示的な通信モジュール5040は、Bluetooth低エネルギー(「BLE」)モジュール5041を含んでもよい。本開示全体を通して使用されるように、Bluetooth低エネルギー(「BLE」)は、エンドユーザにとって単純なBluetoothデバイスのペアリングを行うように最適化された短距離通信プロトコルを指す。通信モジュール5040は、データ受信デバイス120またはユーザデバイス140の同様に可能な通信モジュールとの相互作用を介して、データおよびコマンドを送信および受信してもよい。通信モジュール5040は、IEEE802.15プロトコルに従うパーソナルエリアネットワーク、IEEE802.11プロトコル、赤外線データ協会規格(IrDA)に従う赤外線通信など、同様の短距離通信スキームとともに使用するための追加または代替のチップセットを含んでもよい。
【0043】
その機能を実行するために、センサ100は、その機能に適した適切な感知ハードウェア5060をさらに含んでもよい。本明細書で具体化されるように、感知ハードウェア5060は、対象の体液と接触して経皮的または皮下的に配置された分析物センサを含んでもよい。分析物センサは、体液中の1つ以上の分析物のレベルに対応する値を含むセンサデータを生成してもよい。
【0044】
センサ制御デバイス102の構成要素は、適切なユーザ場所への送達前にユーザによる最終的な組立てを必要とする複数のパッケージでユーザによって入手されてもよい。図3A図3Dは、送達に向けてセンサを準備するために構成要素を結合する前に別個の構成要素の準備を含む、ユーザによるセンサ制御デバイス102のための組立プロセスの例示的な実施形態を示す。図3E~3Fは、適切な送達場所を選択し、デバイス102をその場所に適用することによる、適切なユーザ場所へのセンサ制御デバイス102の送達の例示的実施形態を示す。
【0045】
図3Aは、組立てプロセスに向けてユーザが(他のパッケージが使用されてもよいが)ここではトレイとして構成された容器810を準備する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。ユーザは、例えば、蓋812の接着部分が取り外されるように蓋812の非接着部分をトレイ810から剥がすことによって、蓋812をトレイ810から取り外してプラットフォーム808を露出させることによって、この準備を達成してもよい。蓋812の取り外しは、プラットフォーム808がトレイ810内で適切に露出される限り、様々な実施形態において適切であり得る。その後、蓋812を脇に置くことができる。
【0046】
図3Bは、組立てに向けてユーザがアプリケータデバイスを準備する例示的な実施形態を示す側面図である。アプリケータデバイス150は、キャップ708によって密閉された滅菌パッケージ内に提供されてもよい。アプリケータデバイス150の準備は、キャップ708からハウジング702を分離してシース704を露出させることを含んでもよい(図3C)。これは、キャップ708をハウジング702から回して外す(または他の方法で分離する)ことによって達成され得る。その後、キャップ708を脇に置くことができる。
【0047】
図3Cは、組立て中にユーザがアプリケータデバイス150をトレイ810内に挿入する例示的な実施形態を示す近位斜視図である。最初に、ユーザは、ハウジング配向部分1302(またはスロットもしくは凹部)およびトレイ配向部分924(当接部または戻り止め)を整合させた後、シース704をトレイ810の内側のプラットフォーム808の中に挿入してもよい。シース704をプラットフォーム808に挿入すると、シース704がハウジング702に対して一時的にロック解除され、プラットフォーム808がトレイ810に対して一時的にロック解除される。この段階で、トレイ810からアプリケータデバイス150を取り外すことにより、トレイ810へのアプリケータデバイス150の最初の挿入の前と同じ状態が生じるであろう(すなわち、プロセスは、この時点で逆転または中断され、次いで、何も起こることなく繰り返されることができる)。
【0048】
シース704は、ハウジング702が遠位に前進される間、ハウジング702に対するプラットフォーム808内の位置を維持することで、プラットフォーム808と結合してプラットフォーム808をトレイ810に対して遠位に前進させることができる。このステップは、プラットフォーム808をロック解除し、トレイ810内に折り畳む。シース704は、ハウジング702に対してシース704をロック解除し、ハウジング702がプラットフォーム808を遠位方向に前進させ続ける間にシース704が(相対的に)移動するのを防止する、トレイ810内のロック部分(図示せず)に接触し、係合解除することができる。ハウジング702およびプラットフォーム808の前進の終わりに、シース704は、ハウジング702に対して恒久的にロック解除される。トレイ810内の鋭利物およびセンサ(図示せず)は、ハウジング702の遠位前進の終わりに、ハウジング702内の電子機器ハウジング(図示せず)と結合されてもよい。アプリケータデバイス150およびトレイ810の動作および相互作用は、以下でさらに説明される。
【0049】
図3Dは、組立て中にユーザがアプリケータデバイス150をトレイ810から取り外す例示的な実施形態を示す近位斜視図である。ユーザは、トレイ810に対してハウジング702を近位に前進させることによって、またはアプリケータ150とトレイ810とを分離するという同じ最終効果を有する他の運動によって、アプリケータ150をトレイ810から取り外すことができる。アプリケータデバイス150は、その中に完全に組み立てられ(鋭利物、センサ、電子機器)、送達のために配置されたセンサ制御デバイス102(図示せず)とともに取り外される。
【0050】
図3Eは、アプリケータデバイス150を使用してセンサ制御デバイス102を皮膚の標的エリア、例えば、腹部または他の適切な場所に適用する患者の例示的な実施形態を示す、近位斜視図である。ハウジング702を遠位方向に前進させることにより、ハウジング702内でシース704が折り畳まれ、センサ制御デバイス102の底部側の接着層が皮膚に接着するように、センサが標的位置に適用される。鋭利物は、ハウジング702が完全に前進させられた時、自動的に後退させられるが、センサ(図示せず)は、定位置に残されて分析物レベルを測定する。
【0051】
図3Fは、適用された位置にセンサ制御デバイスを有する患者の例示的な実施形態を示す近位斜視図である。次に、ユーザは、アプリケータ150を適用部位から取り外すことができる。
【0052】
図3A図3Fおよび本明細書の他の箇所に関して説明されるシステム100は、従来技術のシステムと比較して、アプリケータ構成要素の偶発的な破損、恒久的な変形、または不正確な組立ての可能性を低減または排除することができる。シース704を介した間接的な係合ではなく、シース704がロック解除されている間にアプリケータハウジング702がプラットフォーム808に直接係合するので、シース704とハウジング702との間の相対的な角度は、アームまたは他の構成要素の破損または恒久的な変形をもたらさない。組立て中の(従来のデバイスにおけるような)比較的大きな力の可能性が低減され、ひいては、ユーザによる組立てが失敗する可能性が低減される。
【0053】
図4Aは、スクリュキャップ708と連結されたアプリケータデバイス150の例示的な実施形態を示す側面図である。これは、ユーザによってセンサと組み立てられる前に、アプリケータ150がどのようにユーザに出荷され、どのようにユーザによって受け取られるかの例である。図4Bは、分離された後のアプリケータデバイス150およびキャップ708を示す側面斜視図である。図4Cは、電子機器ハウジング706および接着パッチ105が、キャップ708が定位置にある時にそれらが保持されるシース704のセンサキャリア710内の位置から取り外された状態のアプリケータデバイス150の遠位端の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【0054】
限定ではなく例示の目的で図4D~Gを参照すると、アプリケータデバイス20150は、単一の一体化アセンブリとしてユーザに提供され得る。図4Dおよび4Eは、アプリケータデバイス20150の斜視上面図および斜視底面図をそれぞれ提供し、図4Fは、アプリケータデバイス20150の分解図を提供し、図4Gは、側面切断図を提供する。斜視図は、アプリケータ20150がユーザにどのように出荷され、ユーザによってどのように受け取られるかを示す。分解図および切断図は、アプリケータデバイス20150の構成要素を示す。アプリケータデバイス20150は、ハウジング20702、ガスケット20701、シース20704、鋭利物キャリア201102、ばね205612、センサキャリア20710(「パックキャリア」とも呼ばれる)、鋭利物ハブ205014、センサ制御デバイス(「パック」とも呼ばれる)20102、接着パッチ20105、乾燥剤20502、キャップ20708、シリアルラベル20709、およびタンパーエビデンス部分20712を含んでもよい。ユーザによって受け取られるとき、ハウジング20702、キャップ20708、タンパーエビデンス部分20712、およびラベル20709のみが見える。タンパーエビデンス部分20712は、例えば、ハウジング20702およびキャップ20708の各々に結合されたステッカーでもよく、タンパーエビデンス部分20712は、ハウジング20702およびキャップ20708を分離することによって、例えば修復不能に損傷し得、それによって、ハウジング20702およびキャップ20708が以前に分離されたことをユーザに示す。これらの特徴は、以下でより詳細に説明される。
【0055】
図5は、滅菌蓋812が取り外し可能に結合されたトレイ810の例示的な実施形態を示す近位斜視図であり、これは、パッケージが組立て前にどのようにユーザに出荷され、どのようにユーザによって受け取られるかを表し得る。
【0056】
図6Aは、トレイ810内のセンサ送達構成要素を示す近位斜視切断図である。プラットフォーム808は、トレイ810内に摺動可能に結合される。乾燥剤502は、トレイ810に対して静止している。センサモジュール504は、トレイ810内に取り付けられる。
【0057】
図6Bは、センサモジュール504をより詳細を示す近位斜視図である。ここで、プラットフォーム808の保持アーム延長部1834は、センサモジュール504を定位置に解放可能に固定する。モジュール2200は、コネクタ2300、鋭利部モジュール2500、およびセンサ(図示せず)と結合されるので、組立て中にセンサモジュール504として一緒に取り外すことができる。
【0058】
再び図1および図3A図3Gを簡単に参照すると、ツーピースアーキテクチャシステムの場合、センサトレイ202およびセンサアプリケータ102は、別個のパッケージとしてユーザに提供され、したがって、ユーザは、各パッケージを開封し、最終的にシステムを組み立てる必要がある。いくつかの用途では、別個の密封パッケージは、センサトレイ202およびセンサアプリケータ102が、各パッケージの内容物に特有であり、他のものの内容物と適合しない別個の滅菌プロセスにおいて滅菌されることを可能にする。より具体的には、センサ110および鋭利物220を含むプラグアセンブリ207を含むセンサトレイ202は、電子ビーム(または「eビーム」)照射等の放射線滅菌を使用して滅菌されてもよい。適切な放射線滅菌プロセスとしては、電子ビーム(e-ビーム)照射、ガンマ線照射、X線照射、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、放射線滅菌は、センサ制御デバイス102の電子機器ハウジング内に配置された電気部品を損傷することがある。その結果、センサ制御デバイス102の電子機器ハウジングを含むセンサアプリケータ102を滅菌する必要がある場合、例えばエチレンオキシドを使用する気体化学滅菌などの別の方法によって滅菌することがある。しかしながら、気体化学滅菌は、センサ110上に含まれる酵素または他の化学物質および生物製剤を損傷する可能性がある。この滅菌不適合により、センサトレイ202およびセンサアプリケータ102は、通常、別個の滅菌プロセスにおいて滅菌され、その後、別個に包装されるが、これは、ユーザが使用のために構成要素を最終的に組み立てることを必要とする。
【0059】
図7Aおよび7Bは、1つ以上の実施形態によるセンサ制御デバイス3702の、それぞれ等角分解上面図および等角底面図である。シェル3706およびマウント3708は、センサ制御デバイス3702の様々な電子部品を封入するか、または別様に実質的にカプセル化する、対向するクラムシェル半体として動作する。図示のように、センサ制御デバイス3702は、複数の電子モジュール3806が結合されたプリント回路基板(PCB)3804を含むプリント回路基板アセンブリ(PCBA)3802を含んでもよい。例示的な電子モジュール3806は、抵抗器、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、ダイオード、およびスイッチを含むが、これらに限定されない。従来のセンサ制御デバイスは、通常、PCBの一方の側のみにPCB構成要素を積み重ねる。対照的に、センサ制御デバイス3702内のPCB構成要素3806は、PCB3804の両側(すなわち、上面および底面)の表面積の周りに分散されてもよい。
【0060】
電子モジュール3806に加えて、PCBA3802は、PCB3804に取り付けられたデータ処理ユニット3808も含んでよい。データ処理ユニット3808は、例えば、センサ制御デバイス3702の動作に関連付けられた1つ以上の機能またはルーチンを実装するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を備えてもよい。より具体的には、データ処理ユニット3808は、データ処理機能を実行するように構成されてもよく、そのような機能は、各々がサンプリングされたユーザの分析物レベルに対応するデータ信号のフィルタリングおよび符号化を含んでもよいが、これらに限定されない。データ処理ユニット3808はまた、リーダデバイス106(図1)と通信するためのアンテナを含んでもよく、または別の方法でそれと通信してもよい。
【0061】
バッテリ用開口3810は、PCB3804内に画定され、センサ制御デバイス3702に電力を供給するように構成されたバッテリ3812を受け入れて据え付けるようなサイズであってもよい。軸線方向のバッテリコンタクト3814aおよび半径方向のバッテリコンタクト3814bは、PCB3804に結合され、バッテリ用開口3810内に延びて、バッテリ3812からPCB3804への電力の伝送を容易にすることができる。それらの名前が示唆するように、軸線方向のバッテリコンタクト3814aは、バッテリ3812のための軸線方向のコンタクトを提供するように構成されてもよく、一方、半径方向のバッテリコンタクト3814bは、バッテリ3812のための半径方向のコンタクトを提供してもよい。バッテリコンタクト3814a、bを有するバッテリ用開口3810内にバッテリ3812を配置することは、センサ制御デバイス3702の高さHを減少させるのに役立ち、これは、PCB3804が中央に配置され、その構成要素が両側(すなわち、上面および底面)に分散されることを可能にする。これはまた、電子機器ハウジング3704上に設けられた面取り部3718を容易にするのに役立つ。
【0062】
センサ3716は、PCB3804に対して中心に配置されてもよく、尾部3816と、フラグ3818と、尾部3816およびフラグ3818を相互接続するネック3820とを含んでもよい。尾部3816は、マウント3708の中心開口3720を通って延在し、ユーザの皮膚の下に経皮的に受容されるように構成されてもよい。さらに、尾部3816は、分析物モニタリングを容易にするのに役立つように、その上に含まれる酵素または他の化学物質を有してもよい。
【0063】
フラグ3818は、その上に配置された1つ以上のセンサコンタクト3822(図7Bには3つが示されている)を有するほぼ平坦な表面を含んでもよい。センサコンタクト3822は、PCB3804上に設けられた対応する1つ以上の回路コンタクト3824(図7Aには3つが示されている)と整列して係合するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、センサコンタクト3822は、フラグ3818に印刷されるか、または他の方法でデジタル的に適用された炭素含浸ポリマーを含んでもよい。従来のセンサ制御デバイスは、典型的には、センサとPCBとの間の導電性コンタクトとして機能する1つ以上のコンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを封入するシリコーンゴム製のコネクタを含む。対照的に、本開示のセンサコンタクト3822は、センサ3716とPCB3804接続との間の直接接続を提供し、これは、従来技術のコネクタの必要性を排除し、有利に高さHを減少させる。さらに、コンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを排除することにより、著しい回路抵抗が排除され、したがって、回路導電率が改善される。
【0064】
センサ制御デバイス3702は、フラグ3818とシェル3706の内面との間に配置され得るコンプライアント部材3826をさらに含んでもよい。より具体的には、シェル3706およびマウント3708が互いに組み立てられるとき、コンプライアント部材3826は、センサコンタクト3822を対応する回路コンタクト3824と連続的に係合させる受動的付勢負荷をフラグ3818に対して提供するように構成されてもよい。図示される実施形態では、コンプライアント部材3826は、エラストマー製Oリングであるが、代替として、本開示の範囲から逸脱することなく、圧縮ばね等の任意の他のタイプの付勢デバイスまたは機構を備えることができる。
【0065】
センサ制御デバイス3702は、第1のシールド3828aおよび第2のシールドとして示されている1つ以上の電磁シールドをさらに含んでもよい。シェル3706は、第1のクロッキングレセプタクル3830a(図7B)および第2のクロッキングレセプタクル3830b(図7B)を提供または画定してもよく、マウント3708は、第1のクロッキングポスト3832a(図7A)および第2のクロッキングポスト3832b(図7A)を提供または画定してもよい。第1および第2のクロッキングレセプタクル3830a、bを第1および第2のクロッキングポスト3832a、bとそれぞれ嵌合させることにより、シェル3706がマウント3708に適切に位置合わせされる。
【0066】
特に図7Aを参照すると、マウント3708の内面は、シェル3706がマウント3708に嵌合されたときに、センサ制御デバイス3702の様々な構成要素を収容するように構成された複数のポケットまたは凹部を提供または画定してもよい。例えば、マウント3708の内面は、センサ制御デバイス3702が組み立てられたときにバッテリ3812の一部を収容するように構成されたバッテリロケータ3834を画定してもよい。隣接するコンタクトポケット3836は、軸線方向のコンタクト3814aの一部を収容するように構成されてもよい。
【0067】
さらに、PCB3804の底部に配置された様々な電子モジュール3806を収容するために、マウント3708の内面に複数のモジュールポケット3838が画定されてもよい。さらに、センサ制御デバイス3702が組み立てられるときに第2のシールド3828bの少なくとも一部を収容するために、シールドロケータ3840がマウント3708の内面に画定されてもよい。バッテリロケータ3834、コンタクトポケット3836、モジュールポケット3838、およびシールドロケータ3840はすべて、マウント3708の内面内に短い距離だけ延在し、その結果、センサ制御デバイス3702の全体の高さHは、従来のセンサ制御デバイスと比較して減少され得る。モジュールポケット3838はまた、PCB構成要素が両側(すなわち、上面および底面)に配置されることを可能にすることによって、PCB3804の直径を最小限にするのに役立ち得る。
【0068】
さらに図7Aを参照すると、マウント3708は、マウント3708の外周の周りに画定された複数のキャリアグリップ部分3842(2つが示されている)をさらに含んでもよい。キャリアグリップ部分3842は、マウント3708の底部3844から軸線方向にオフセットされており、組み立て中にマウントの底部に転写接着剤(図示せず)を塗布することができる。マウントの底部と交差する円錐形キャリアグリップ部分を通常含む従来のセンサ制御デバイスとは対照的に、本開示のキャリアグリップ部分3842は、転写接着剤が塗布される平面(すなわち、底部3844)からオフセットされる。これは、組み立て中に送達システムが転写接着剤に不注意に張り付かないことを確実にするのを助けることにおいて有利であることが分かる。さらに、本開示のキャリアグリップ部分3842は、波形の転写接着剤の必要性を排除し、これは、転写接着剤の製造を単純化するとともに、マウント3708に対して転写接着剤を正確にクロックする必要性を排除する。これはまた、接合面積、したがって接合強度を増加させる。
【0069】
図7Bを参照すると、マウント3708の底部3844は、複数の溝3846を提供または別の方法で画定してもよく、それらは、マウント3708の外周にまたはその近傍に画定され、互いから等距離に離間されてもよい。転写接着剤(図示せず)が底部3844に結合されてもよく、溝3846は、使用中にセンサ制御デバイス3702から離れてマウント3708の周囲に向かって水分を運ぶ(移動させる)のを助けるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、溝3846の間隔は、マウント3708の反対側(内面)に画定されたモジュールポケット3838(図7A)を間に挟んでもよい。理解されるように、溝3846およびモジュールポケット3838の位置を交互にすることは、マウント3708のどちらかの側の対向する特徴が互いの中に延在しないことを確実にする。これは、マウント3708への材料の使用を最大化することに役立ち、それによって、センサ制御デバイス3702の最小の高さHを維持することに役立ち得る。モジュールポケット3838はまた、モールドシンクを著しく低減し、転写接着剤が接合する底部3844の平坦度を改善することができる。
【0070】
さらに図7Bを参照すると、シェル3706の内面もまた、シェル3706がマウント3708に嵌合されたときに、センサ制御デバイス3702の様々な構成要素を収容するように構成された複数のポケットまたは凹部を提供または画定してもよい。例えば、シェル3706の内面は、マウント3708のバッテリロケータ3834(図7A)に対向して配置可能であり、センサ制御装置3702が組み立てられたときにバッテリ3812の一部を収容するように構成された対向するバッテリロケータ3848を画定してもよい。対向するバッテリロケータ3848は、シェル3706の内面内に短い距離だけ延在し、センサ制御デバイス3702の全体の高さHを減少させるのに役立つ。
【0071】
鋭利物およびセンサロケータ3852はまた、シェル3706の内面によって提供されてもよく、またはそうでなければその上に画定されてもよい。鋭利物およびセンサのロケータ3852は、鋭利物(図示せず)とセンサ3716の一部との両方を受容するように構成されてもよい。さらに、鋭利物およびセンサのロケータ3852は、マウント3708の内面上に設けられた対応する鋭利物およびセンサのロケータ2054(図7A)と整列および/または嵌合するように構成されてもよい。
【0072】
本開示の実施形態によれば、代替のセンサアセンブリ/電子機器アセンブリ接続手法が図8A図8Cに示されている。示されるように、センサアセンブリ14702は、センサ14704と、コネクタ支持体14706と、鋭利物14708とを含む。特に、凹部またはレセプタクル14710は、電子機器アセンブリ14712のマウントの底部に画定されてもよく、センサアセンブリ14702が受容されて電子機器アセンブリ14712に結合され得る場所を提供し、それによってセンサ制御デバイスを完全に組み立てることができる。センサアセンブリ14702の外形は、レセプタクル14710に対して相補的に適合または成形されてもよく、それは、エラストマー製封止部材14714(回路基板に結合され、センサ14704の電気コンタクトと整列される導電性材料を含む)を含む。したがって、センサアセンブリ14702を電子機器アセンブリ14712内に一体的に形成された凹部14710内に駆動することによって、センサアセンブリ14702が電子機器アセンブリ14712にスナップ嵌めされるかまたは他の方法で接着されると、図8Cに示すオンボディデバイス14714が形成される。この実施形態は、電子機器アセンブリ14712内のセンサアセンブリ14702のための統合コネクタを提供する。
【0073】
センサアセンブリに関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2013/0150691号明細書および米国特許出願公開第2021/0204841号明細書に提供されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0074】
本開示の実施形態によれば、センサ制御デバイス102は、ワンピースアーキテクチャセンサ制御デバイスのために特別に設計された滅菌技術を受けることができるワンピースアーキテクチャを提供するように修正され得る。ワンピースアーキテクチャは、センサアプリケータ150およびセンサ制御デバイス102が、いかなる最終ユーザ組立ステップも必要としない単一の密閉パッケージでユーザに出荷されることを可能にする。むしろ、ユーザは、1つのパッケージを開封し、その後、センサ制御デバイス102を標的モニタリング場所に送達することのみを必要とする。本明細書で説明されるワンピースシステムアーキテクチャは、構成部品、様々な製作プロセスステップ、およびユーザ組立ステップを排除する点で有利であることが証明され得る。結果として、包装および廃棄物が減少するとともに、ユーザエラーまたはシステムへの汚染の可能性が軽減される。
【0075】
図9Aおよび図9Bは、アプリケータキャップ210が結合されたセンサアプリケータ102の例示的な実施形態の、それぞれ側面図および断面側面図である。より具体的には、図9Aは、センサアプリケータ102がどのようにユーザに出荷され、どのようにユーザによって受け取られるかを示し、図9Bは、センサアプリケータ102内に配置されたセンサ制御デバイス4402を示す。したがって、完全に組み立てられたセンサ制御デバイス4402は、ユーザに送達される前に、すでに組み立てられ、センサアプリケータ102内に設置されてもよく、したがって、そうでなければユーザが実行しなければならないであろう任意の追加の組み立てステップを除去する。
【0076】
完全に組み立てられたセンサ制御デバイス4402は、センサアプリケータ102内に装填されてもよく、アプリケータキャップ210は、その後、センサアプリケータ102に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210は、ハウジング208に螺合されてもよく、タンパーリング4702を含んでもよい。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる(例えば、ねじを緩める)と、タンパーリング4702はせん断し、それによってアプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102から解放することができる。
【0077】
本開示によれば、センサアプリケータ102内に装填されている間、センサ制御デバイス4402は、電子機器ハウジング4404およびセンサ制御デバイス4402の任意の他の露出部分を滅菌するように構成された気体化学滅菌4704を受けてもよい。これを達成するために、化学物質が、センサアプリケータ102および相互接続されたキャップ210によって協働して画定される滅菌チャンバ4706内に注入されてもよい。いくつかの用途では、化学物質は、アプリケータキャップ210の近位端610に画定された1つ以上の通気孔4708を介して滅菌チャンバ4706内に注入されてもよい。気体化学滅菌4704のために使用され得る例示的な化学物質は、エチレンオキシド、気化過酸化水素、窒素酸化物(例えば、亜酸化窒素、二酸化窒素等)、および蒸気を含むが、それらに限定されない。
【0078】
センサ4410および鋭利物4412の遠位部分は、センサキャップ4416内に密閉されるので、気体化学滅菌プロセス中に使用される化学物質は、尾部4524および分析物流入を調節する膜コーティング等の他のセンサ構成要素上に提供される酵素、化学物質、および生物製剤と相互作用しない。
【0079】
滅菌チャンバ4706内で所望の滅菌保証レベルが達成されると、気体溶液が除去されてもよく、滅菌チャンバ4706が通気されてもよい。通気は、一連の真空引き、続いて滅菌チャンバ4706を通してガス(例えば、窒素)または濾過空気を循環させることによって達成されてもよい。滅菌チャンバ4706が適切に通気されると、通気口4708は、シール4712(破線で示される)で閉塞されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、シール4712は、互いに異なる材料の2つ以上の層を備えてもよい。第1の層は、DuPont(登録商標)から入手可能なTyvek(登録商標)等の合成材料(例えば、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維)から作製されてもよい。Tyvek(登録商標)は、高度に耐久性および耐穿刺性であり、蒸気の透過を可能にする。Tyvek(登録商標)層は、気体化学滅菌プロセスの前に適用されてもよく、気体化学滅菌プロセスに続いて、ホイルまたは他の蒸気および耐湿性材料層が、滅菌チャンバ4706の中への汚染物質および湿気の進入を防止するために、Tyvek(登録商標)層を覆ってシール(例えば、ヒートシール)されてもよい。他の実施形態では、シール4712は、アプリケータキャップ210に適用される単一の保護層のみを備えてもよい。そのような実施形態では、単一層は、滅菌プロセスのためにガス透過性であってもよいが、滅菌プロセスが完了すると、湿気および他の有害要素から保護することも可能であってもよい。
【0081】
シール4712が定位置にある状態で、アプリケータキャップ210は、外部汚染に対する障壁を提供し、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を取り外す(螺合解除)まで、組み立てられたセンサ制御デバイス4402のための滅菌環境を維持する。アプリケータキャップ210はまた、接着パッチ4714が汚れることを防止する、輸送および保管中の無塵環境を生成してもよい。
【0082】
図10Aおよび図10Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、別の例示的なセンサ制御デバイス5002の、それぞれ等角図および側面図である。センサ制御デバイス5002は、図1のセンサ制御デバイス102といくつかの点で類似していてもよく、したがって、図1を参照することによって最もよく理解することができる。さらに、センサ制御デバイス5002は、図1のセンサ制御デバイス102を置き換えることができ、したがって、センサ制御デバイス5002をユーザの皮膚上の標的モニタリング位置に送達することができる図1のセンサアプリケータ102と共に使用してもよい。
【0083】
しかしながら、図1のセンサ制御デバイス102とは異なり、センサ制御デバイス5002は、適用前にユーザが複数のパッケージを開いて最終的にセンサ制御デバイス5002を組み立てることを必要としないワンピースシステムアーキテクチャを備えることができる。むしろ、ユーザによって受け取られると、センサ制御デバイス5002は、すでに完全に組み立てられており、センサアプリケータ150(図1)内に適切に位置付けられていてもよい。センサ制御デバイス5002を使用するために、ユーザは、使用のための標的モニタリング場所にセンサ制御デバイス5002を迅速に送達する前に、1つの障壁(例えば、図3Bのアプリケータキャップ708)を開放することのみを必要とする。
【0084】
図示されるように、センサ制御デバイス5002は、おおむねディスク形状であり、円形断面を有し得る電子機器ハウジング5004を含む。しかしながら、他の実施形態では、電子機器ハウジング5004は、本開示の範囲から逸脱することなく、卵形または多角形等の他の断面形状を呈してもよい。電子機器ハウジング5004は、センサ制御デバイス5002を動作させるために使用される様々な電気構成要素を収容するか、または別の方法で含有するように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、接着パッチ(図示せず)が、電子機器ハウジング5004の底部に配置されてもよい。接着パッチは、図1の接着パッチ105と同様であってもよく、したがって、使用のためにセンサ制御デバイス5002をユーザの皮膚に接着することを助けてもよい。
【0085】
図示されるように、センサ制御デバイス5002は、シェル5006と、シェル5006に嵌合可能なマウント5008とを含む電子機器ハウジング5004を含む。シェル5006は、スナップ嵌め係合、締まり嵌め、ソニック溶接、1つ以上の機械的締結具(例えば、ねじ)、ガスケット、接着剤、またはそれらの任意の組み合わせ等の様々な方法を介して、マウント5008に固定されてもよい。場合によっては、シェル5006はマウント5008に固定されることにより、それらの間に密閉された接合部分が生成されてもよい。
【0086】
センサ制御デバイス5002は、センサ5010(部分的に可視)と、センサ制御デバイス5002の適用中にユーザの皮膚の下にセンサ5010を経皮的に送達するのを助けるために使用される鋭利物5012(部分的に可視)とをさらに含んでもよい。図示されるように、センサ5010および鋭利物5012の対応する部分は、電子機器ハウジング5004の底部(例えば、マウント5008)から遠位に延在する。鋭利物5012は、鋭利物5012を固定および担持するように構成される、鋭利物ハブ5014を含んでもよい。図10Bに最もよく見られるように、鋭利物ハブ5014は、嵌合部材5016を含むか、または別の方法で画定してもよい。鋭利物5012をセンサ制御デバイス5002に結合するために、鋭利物5012は、鋭利物ハブ5014がシェル5006の上面に係合し、嵌合部材5016がマウント5008の底部から遠位に延在するまで、電子機器ハウジング5004を通して軸線方向に前進させられてもよい。鋭利物5012が電子機器ハウジング5004を貫通すると、センサ5010の露出部分は、鋭利物5012の中空または陥凹(弓状)部分内に受容されてもよい。センサ5010の残りの部分は、電子機器ハウジング5004の内部に配置される。
【0087】
センサ制御デバイス5002は、図10A図10Bにおいて電子機器ハウジング5004から分解されてまたは取り外されて示されているセンサキャップ5018をさらに含んでもよい。センサキャップ5016は、マウント5008の底部またはその近くでセンサ制御デバイス5002(例えば、電子機器ハウジング5004)に取り外し可能に結合されてもよい。センサキャップ5018は、センサ5010および鋭利物5012の露出部分を取り囲み、気体化学滅菌から保護する密閉障壁を提供するのに役立ち得る。図示されるように、センサキャップ5018は、第1の端部5020aと、第1の端部5020aの反対側の第2の端部5020bとを有する略円筒形のボディを備えてもよい。第1の端部5020aは、ボディ内に画定された内側チャンバ5022内へのアクセスを提供するように開いていてもよい。対照的に、第2の端部5020bは、閉鎖されてもよく、係合部分5024を提供または別の方法で画定してもよい。本明細書で説明するように、係合部分5024は、センサキャップ5018をセンサアプリケータ(例えば、図1および図3A図3Gのセンサアプリケータ150)のキャップ(例えば、図3Bのアプリケータキャップ708)に嵌合させるのに役立ち得るとともに、キャップをセンサアプリケータから取り外す際にセンサキャップ5018をセンサ制御デバイス5002から取り外すのに役立ちうる。
【0088】
センサキャップ5018は、マウント5008の底部またはその近くで電子機器ハウジング5004に取り外し可能に結合されてもよい。より具体的には、センサキャップ5018は、マウント5008の底部から遠位に延在する嵌合部材5016に取り外し可能に結合されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、例えば、嵌合部材5016は、センサキャップ5018によって画定される一組の雌ねじ山5026b(図10A)と嵌合可能な一組の雄ねじ山5026a(図10B)を画定してもよい。いくつかの実施形態では、雄ねじ山および雌ねじ山5026a、bは、部品を成形する際に有利であることを証明し得る、平坦なねじ山設計(例えば、螺旋曲率の欠如)を備えてもよい。あるいは、雄ねじ山および雌ねじ山5026a、bは、螺旋状のねじ山係合を含んでもよい。したがって、センサキャップ5018は、鋭利物ハブ5014の嵌合部材5016においてセンサ制御デバイス5002に螺合されてもよい。他の実施形態では、センサキャップ5018は、締まり嵌めもしくは摩擦嵌め、また最小の分離力(例えば、軸線方向もししくは回転の力)で破壊され得る脆弱部材もしくは物質を含むがこれらに限定されない他のタイプの係合を介して嵌合部材5016に取り外し可能に結合されてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、センサキャップ5018は、第1および第2の端部5020a、bの間に延在するモノリシック(単一)構造を備えてもよい。しかしながら、他の実施形態では、センサキャップ5018は、2つ以上の構成部品を備えてもよい。図示の実施形態では、例えば、センサキャップ5018は、第1の端部5020aに位置決めされた封止リング5028と、第2の端部5020bに配置された乾燥剤キャップ5030とを含んでもよい。封止リング5028は、以下でより詳細に説明するように、内部チャンバ5022を密閉するのに役立つように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、封止リング5028は、エラストマー製Oリングを含んでもよい。乾燥剤キャップ5030は、内部チャンバ5022内の好ましい湿度レベルを維持するのに役立つように乾燥剤を収容するか、または含むことができる。乾燥剤キャップ5030はまた、センサキャップ5018の係合部分5024を画定または別の方法で提供してもよい。
【0090】
図11A図11Cは、1つ以上の実施形態による、センサアプリケータ102とセンサ制御デバイス5002との組立てを示す漸進的な断面側面図である。センサ制御デバイス5002が完全に組み立てられると、センサ制御デバイスはセンサアプリケータ102内に装填されてもよい。図11Aを参照すると、鋭利物ハブ5014は、センサ制御デバイス5002をセンサアプリケータ102に結合するのに役立つように構成されたハブスナップ爪5302を含むか、または他の方法で画定してもよい。より具体的には、センサ制御デバイス5002は、センサアプリケータ102の内部に前進させられてもよく、ハブスナップ爪5302は、センサアプリケータ102内に位置付けられた鋭利物キャリア5306の対応するアーム5304によって受容されてもよい。
【0091】
図11Bでは、鋭利物キャリア5306によって受容され、したがって、センサアプリケータ102内に固定されたセンサ制御デバイス5002が示される。センサ制御デバイス5002がセンサアプリケータ102内に装填されると、アプリケータキャップ210は、センサアプリケータ102に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210およびハウジング208は、アプリケータキャップ210をハウジング208上に時計回り(または反時計回り)方向にねじ込み、それによって、アプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102に固定することを可能にする、対向する嵌合可能な一組のねじ山5308を有してもよい。
【0092】
図示されるように、シース212はまた、センサアプリケータ102内に位置付けられ、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃事象中に早まって折り畳まれないことを確実にするように構成される、シースロック機構5310を含んでもよい。図示される実施形態では、シースロック機構5310は、アプリケータキャップ210とシース212との間の螺合を含んでもよい。より具体的には、1つ以上の雌ねじ山5312aは、アプリケータキャップ210の内面上に画定されるか、または別の方法で提供されてもよく、1つ以上の雄ねじ山5312bは、シース212上に画定されるか、または別の方法で提供されてもよい。雌ねじ山5312aおよび雄ねじ山5312bは、アプリケータキャップ210がねじ山5308においてセンサアプリケータ102に螺合されるときに螺合するように構成され得る。雌ねじ山5312aおよび雄ねじ山5312bは、アプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれることを可能にするねじ山5308と同じねじ山ピッチを有してもよい。
【0093】
図11Cでは、ハウジング208に完全に螺合された(結合された)アプリケータキャップ210が示される。図示されるように、アプリケータキャップ210はさらに、アプリケータキャップ210の内部の中心に位置し、その底部から近位に延在するキャップポスト5314を提供し、別の方法で画定してもよい。キャップポスト5314は、アプリケータキャップ210がハウジング208上にねじ込まれるときに、センサキャップ5018の少なくとも一部分を受容するように構成されてもよい。
【0094】
センサ制御デバイス5002がセンサアプリケータ102内に装填され、アプリケータキャップ210が適切に固定された状態で、センサ制御デバイス5002は、次いで、電子機器ハウジング5004およびセンサ制御デバイス5002の任意の他の露出部分を滅菌するように構成される気体化学滅菌に供されてもよい。センサ5010および鋭利物5012の遠位部分は、センサキャップ5018内に密閉されるので、気体化学滅菌プロセス中に使用される化学物質は、尾部5104および分析物流入を調節する膜コーティング等の他のセンサ構成要素上に提供される酵素、化学物質、および生物製剤と相互作用できない。
【0095】
図12A図12Cは、1つ以上の追加の実施形態による、センサ制御デバイス5002を有するセンサアプリケータ102の代替的な実施形態の組立ておよび分解を示す漸進的な断面側面図である。完全に組み立てられたセンサ制御デバイス5002は、全般的に上述したように、ハブスナップ爪5302をセンサアプリケータ102内に位置づけられた鋭利物キャリア5306のアーム5304に結合することによって、センサアプリケータ102内に装填されてもよい。
【0096】
図示される実施形態では、シース212のシースアーム5604は、ハウジング208の内部に画定される第1の戻り止め5702aおよび第2の戻り止め5702bと相互作用するように構成されてもよい。第1の戻り止め5702aは、代わりに、「ロック」戻り止めと称されてもよく、第2の戻り止め5702bは、代わりに、「発射」戻り止めと称されてもよい。センサ制御デバイス5002が最初にセンサアプリケータ102内に設置されるとき、シースアーム5604は、第1の戻り止め5702a内に受容されてもよい。以下に説明するように、シース212は、シースアーム5604を第2の戻り止め5702bに移動させるように作動されてもよく、これによりセンサアプリケータ102が発射位置に配置される。
【0097】
図12Bでは、アプリケータキャップ210は、シース212がアプリケータキャップ210内に受容されるように、ハウジング208と位置合わせされ、ハウジング208に向かって前進させられる。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる代わりに、アプリケータキャップ210のねじ山をハウジング208の対応するねじ山にスナップ留めして、アプリケータキャップ210をハウジング208に結合してもよい。アプリケータキャップ210内に画定された軸線方向の切れ目またはスロット5703(1つが示されている)は、アプリケータキャップ210のねじ山の近くの部分が外向きに撓んでハウジング208のねじ山とスナップ係合することを可能にし得る。アプリケータキャップ210がハウジング208にスナップ留めされると、センサキャップ5018は、それに対応してキャップポスト5314内にスナップ留めされ得る。
【0098】
図11A図11Cの実施形態と同様に、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃事象中に早まって折り畳まれないことを確実にするように構成されたシースロック機構を含んでもよい。図示された実施形態では、シースロック機構は、アプリケータキャップ210のベースの近くに画定される1つ以上のリブ5706(2つが示される)および肩部5708と相互作用するように構成される、シース212のベースの近くに画定される1つ以上のリブ5704(1つが示される)を含む。リブ5704は、アプリケータキャップ210をハウジング208に取り付けている間、リブ5706と肩部5708との間で相互ロックするように構成されてもよい。より具体的には、いったんアプリケータキャップ210がハウジング208上にスナップ留めされると、アプリケータキャップ210は、回転させられてもよく(例えば、時計回りに)、それは、シース212のリブ5704をアプリケータキャップ210のリブ5706と肩部5708との間に位置付け、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を逆回転させることで使用のためにアプリケータキャップ210を取り外すまで、アプリケータキャップ210を定位置に「ロック」する。アプリケータキャップ210のリブ5706と肩部5708との間のリブ5704の係合はまた、シース212が早まって折り畳まれることを防止し得る。
【0099】
図12Cでは、アプリケータキャップ210がハウジング208から取り外されている。図21A図21Cの実施形態と同様に、アプリケータキャップ210は、アプリケータキャップ210を逆回転させることによって取り外すことができ、これに対応して、キャップポスト5314を同じ方向に回転させ、概して上述したように、センサキャップ5018を嵌合部材5016から螺合解除する。さらに、センサキャップ5018をセンサ制御デバイス5002から取り外すと、センサ5010および鋭利物5012の遠位部分が露出する。
【0100】
アプリケータキャップ210がハウジング208から螺合解除されるとき、シース212上に画定されたリブ5704は、アプリケータキャップ210上に画定されたリブ5706の上部に摺動係合し得る。リブ5706の上部は、アプリケータキャップ210が回転されるにつれて、シース212の上方移動をもたらす対応する傾斜表面を提供してもよく、シース212を上方に移動させることにより、シースアーム5604が第1の戻り止め5702aとの係合から外れて屈曲し、第2の戻り止め5702b内に受容される。シース212が第2の戻り止め5702bに移動すると、半径方向の肩部5614が移動してキャリアアーム5608との半径方向係合から外れ、これにより、ばね5612の受動的なばね力が鋭利物キャリア5306を上方に押し上げ、キャリアアーム5608を溝5610との係合から外すことが可能になる。鋭利物キャリア5306がハウジング208内で上方に移動すると、嵌合部材5016は、センサ制御デバイス5002の底部と同一平面、実質的に同一平面、または準同一平面になるまで、対応して後退してもよい。この時点で、センサアプリケータ102は発射位置にある。したがって、この実施形態では、アプリケータキャップ210を取り外すと、それに対応して嵌合部材5016が後退する。
【0101】
図13A~13Fは、アプリケータ216を「発射」してセンサ制御デバイス222をユーザに適用し、鋭利物1030を使用済みアプリケータ216内に安全に後退させることを含む、内部デバイス機構の実施形態の例示的な詳細を示す。全部合わせて、これらの図面は、鋭利物1030(センサ制御デバイス222に結合されるセンサを支持する)をユーザの皮膚の中に駆動するステップと、センサをユーザの間質液と動作して接触させたまま鋭利物を引き抜くステップと、センサ制御デバイスを接着剤によってユーザの皮膚に接着させるステップとの例示的シーケンスを表す。代替的なアプリケータアセンブリの実施形態および構成要素とともに使用するためのそのようなアクティビティの修正を、それを参照して、当業者が理解できる。さらに、アプリケータ216は、本明細書に開示されるようなワンピースアーキテクチャまたはツーピースアーキテクチャを有するセンサアプリケータであってもよい。
【0102】
ここで図13Aを参照すると、センサ1102は、鋭利物1030内で、ユーザの皮膚1104のすぐ上に支持される。シース318に対するアプリケータ216の動きを制御するために、上側ガイド部1108のレール1106(任意選択で、そのうちの3つ)が設けられてもよい。シース318は、アプリケータ216の長手方向軸線に沿った適切な下向きの力が、戻り止め部分1110によって提供される抵抗に打ち勝つようにアプリケータ216内の戻り止め部分1110によって保持されるので、鋭利物1030およびセンサ制御デバイス222は、長手方向軸線に沿ってユーザの皮膚1104の中へ(および上へ)平行移動できる。加えて、センサキャリア1022のキャッチアーム1112は、鋭利部分後退アセンブリ1024に係合して、鋭利部分1030をセンサ制御デバイス222に対する位置に維持する。
【0103】
図13Bでは、ユーザの力が加えられて戻り止め部分1110に打ち勝ちまたは無効にし、シース318がハウジング314内に折り畳まれて、センサ制御デバイス222を(関連する部品とともに)駆動することで、矢印Lによって示されるように長手方向軸に沿って下方に平行移動させる。シース318の上部ガイドセクション1108の内径は、センサ/鋭利物挿入プロセスの全ストロークを通してキャリアアーム1112の位置を制約する。鋭利物後退アセンブリ1024の相補的な面1116に対するキャリアアーム1112の停止表面1114の保持は、戻しばね1118が完全に付勢された状態で部材の位置を維持する。実施形態によれば、矢印Lによって示されるように長手方向軸に沿って下方に平行移動するように、ユーザの力を使用してセンサ制御デバイス222を駆動するのではなく、ハウジング314は、センサ制御デバイス222を駆動するために駆動ばね(例えば、限定ではないが、コイルばね)を作動させるボタン(例えば、限定ではないが、押しボタン)を含んでもよい。
【0104】
図13Cでは、センサ1102および鋭利物1030は、完全挿入深さに到達している。その際、キャリアアーム1112は上部ガイド部1108の内径をクリアする。次いで、コイル戻しばね1118の圧縮された力は、角度付き停止表面1114を半径方向外向きに駆動し、力を解放することで鋭利物後退アセンブリ1024の鋭利物キャリア1102を駆動し、図13Dの矢印Rによって示されるように、(スロット付きまたは別の方法で構成された)鋭利物1030をユーザから外へ、センサ1102から引き離す。
【0105】
図13Eに示されるように、鋭利物1030が完全に後退させられると、シース318の上部ガイド部1108は、最終ロック部分1120とともに設定される。図13Fに示されるように、使用済みアプリケータアセンブリ216は、センサ制御デバイス222を残して挿入部位から除去され、鋭利物1030は、アプリケータアセンブリ216の内側に安全に固定される。使用済みアプリケータアセンブリ216は、このとき処分の準備ができている。
【0106】
センサ制御デバイス222を適用するときのアプリケータ216の動作は、鋭利物1030の挿入および後退の両方がアプリケータ216の内部機構によって自動的に行われるという感覚をユーザに提供するように設計される。換言すれば、本発明は、ユーザが、鋭利物1030を手動で皮膚に駆動しているという感覚を経験することを回避する。したがって、ユーザがアプリケータ216の戻り止め部分からの抵抗に打ち勝つのに十分な力を加えると、結果として生じるアプリケータ216の動作は、アプリケータが「トリガ」されることに対する自動応答であると認識される。ユーザは、全ての駆動力がユーザによって提供され、鋭利物1030を挿入するために追加の付勢/駆動手段が使用されないにもかかわらず、鋭利物1030を駆動して皮膚を穿刺するためにユーザが追加の力を供給していることを知覚しない。図13Cにおいて上で詳述したように、鋭利物1030の後退は、アプリケータ216のコイル戻しばね1118によって自動化される。
【0107】
本明細書に説明されるアプリケータの実施形態のいずれか、ならびに鋭利物、鋭利物モジュール、およびセンサモジュールの実施形態を含むが、それらに限定されないその構成要素のいずれかに関して、当業者は、前記実施形態が、対象の表皮、真皮、または皮下組織内の体液中の分析物レベルを感知するように構成されるセンサとともに使用するために定寸および構成されてもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に開示される分析物センサの鋭利物および遠位部分は、両方とも、特定の端部深さ(すなわち、対象の身体の組織または層内、例えば、表皮、真皮、または皮下組織内の貫通の最も遠い点)に位置付けられるように定寸および構成されてもよい。いくつかのアプリケータの実施形態に関して、当業者は、鋭利物のある実施形態が、分析物センサの最終端部深さに対して、対象の身体内の異なる端部深さに位置付けられるように定寸および構成されてもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、鋭利物は、後退の前に、対象の表皮内の第1の端部深さに位置付けられてもよく、分析物センサの遠位部分は、対象の真皮内の第2の端部深さに位置付けられてもよい。他の実施形態では、鋭利物は、後退の前に、対象の真皮内の第1の端部深さに位置付けられてもよく、分析物センサの遠位部分は、対象の皮下組織内の第2の端部深さに位置付けられてもよい。さらに他の実施形態では、後退前に鋭利物を第1の端部深さに位置付けてもよく、分析物センサを第2の端部深さに位置付けてもよく、第1の端部深さおよび第2の端部深さは両方とも、対象の身体の同じ層または組織にある。
【0108】
加えて、本明細書に説明されるアプリケータの実施形態のいずれかに関して、当業者は、分析物センサ、ならびに1つ以上のばね機構を含むがそれに限定されない分析物センサに結合される1つ以上の構造構成要素が、アプリケータの1つ以上の軸線に対して中心から外れた位置でアプリケータ内に位置づけられてもよいことを理解するであろう。いくつかのアプリケータの実施形態では、例えば、分析物センサおよびばね機構は、アプリケータの第1の側面上のアプリケータの軸線に対して第1の中心から外れた位置に配置されてもよく、センサ電子機器は、アプリケータの第2の側面上のアプリケータの軸線に対して第2の中心から外れた位置に配置されてもよい。他のアプリケータの実施形態では、分析物センサ、ばね機構、およびセンサ電子機器は、同じ側のアプリケータの軸線に対して中心から外れた位置に配置されてもよい。当業者は、分析物センサ、ばね機構、センサ電子機器、およびアプリケータの他の構成要素のうちのいずれかまたは全てが、アプリケータの1つ以上の軸線に対して中心または中心から外れた位置に配置される、他の順列および構成が可能であり、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0109】
適切なデバイス、システム、方法、構成要素、および関連する部分とのそれらの動作のさらなる詳細は、Raoらの国際公開第WO2018/136898号、Thomasらの国際公開第WO2019/236850号、Thomasらの国際公開第WO2019/236859号、Thomasらの国際公開第WO2019/236876号、および2019年6月6日に出願された米国特許出願公開第2020/0196919号明細書に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。アプリケータ、それらの構成要素、およびそれらの変形例の実施形態に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2013/0150691号明細書、同第2016/0331283号明細書、および同第2018/0235520号明細書に記載されており、これらの各々は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。鋭利物モジュール、鋭利物、それらの構成要素、およびそれらの変形例の実施形態に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2014/0171771号明細書に説明されており、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0110】
生化学センサは、1つ以上の感知特性によって説明することができる。一般的な感知特性は、生化学センサの感度と呼ばれ、これは、センサが検出するように設計された化学物質または組成物の濃度に対するセンサの応答性の尺度である。電気化学センサの場合、この応答は、電流(電流測定)または電荷(電量測定)の形態であり得る。他のタイプのセンサでは、応答は、光子強度(例えば、光学光)等の異なる形態でもよい。生化学分析物センサの感度は、センサがインビトロ状態にあるかインビボ状態にあるかを含む、いくつかの要因に応じて変化し得る。
【0111】
図14は、電流測定分析物センサのインビトロ感度を示すグラフである。インビトロ感度は、様々な分析物濃度でセンサをインビトロ試験し、次いで、得られたデータに対して回帰(例えば、線形または非線形)または他の曲線当てはめを行うことによって得ることができる。この例では、分析物センサの感度は線形または実質的に線形であり、式y=mx+bに従ってモデル化することができる。式中、yはセンサの電気出力電流であり、xは分析物レベル(または濃度)であり、mは感度の勾配であり、bは感度の切片であり、切片は一般にバックグラウンド信号(例えば、ノイズ)に対応する。線形または実質的に線形の応答を有するセンサの場合、所与の電流に対応する分析物レベルは、感度の勾配および切片から決定することができる。非線形感度を有するセンサは、センサの出力電流から生じる分析物レベルを決定するために追加の情報を必要とし、当業者は、非線形感度をモデル化する方法に精通している。インビボセンサの特定の実施形態では、インビトロ感度はインビボ感度と同じであり得るが、他の実施形態では、伝達(または変換)関数を使用して、インビトロ感度を、センサの意図されたインビボ使用に適用可能なインビボ感度に変換する。
【0112】
較正は、センサの測定出力を調整してセンサの予想出力との差を減少させることによって正確さを改善または維持するための技術である。センサの感度のようなセンサの感知特性を説明する1つ以上のパラメータが、較正調整における使用のために確立される。
【0113】
特定のインビボ分析物モニタリングシステムは、ユーザの介在によって、または自動化された方式でシステム自体によって、センサをユーザまたは患者に埋め込んだ後に較正を行うことを必要とする。例えば、ユーザの介在が必要とされるとき、ユーザは、分析物センサが埋め込まれている間に、インビトロ測定(例えば、指先穿刺およびインビトロ試験ストリップを使用した血糖(BG)測定)を行い、これをシステムに入力する。次いで、システムは、インビトロ測定値をインビボ信号と比較し、その差を使用して、センサのインビボ感度の推定値を決定する。次いで、インビボ感度をアルゴリズムプロセスで使用することで、センサによって収集されたデータを、ユーザの分析物レベルを示す値に変換することができる。較正を実行するためにユーザアクションを必要とするこのプロセスおよび他のプロセスは、「ユーザ較正」と呼ばれる。システムは、感度が経時的にドリフトまたは変化するようなセンサの感度の不安定性に起因して、ユーザ較正を必要とすることがある。したがって、正確さを維持するために、複数のユーザ較正(例えば、周期的(例えば、毎日)スケジュール、可変スケジュール、または必要に応じて)が必要とされ得る。本明細書で説明される実施形態は、特定の実装形態のためにある程度のユーザ較正を組み込むことができるが、全般的に、これは、ユーザが痛みを伴うかまたは他の厄介なBG測定を実行することを必要とし、ユーザエラーを導入する可能性があるため、好ましくない。
【0114】
いくつかのインビボ分析物モニタリングシステムは、システム自体(例えば、ソフトウェアを実行する処理回路)によって行われるセンサの特性の自動測定の使用を通して、較正パラメータを定期的に調整することができる。システム(ユーザではない)によって測定された変数に基づくセンサの感度の繰り返し調整は、全般的に「システム」(または自動)較正と呼ばれ、早期BG測定などのユーザ較正とともに、またはユーザ較正なしで実行することができる。繰り返されるユーザ較正の場合と同様に、繰り返されるシステム較正は、典型的には、経時的なセンサの感度のドリフトによって必要とされる。したがって、本明細書に説明される実施形態は、ある程度の自動システム較正とともに使用されてもよいが、好ましくは、センサの感度は、埋め込み後の較正が必要とされないように、経時的に比較的安定している。
【0115】
いくつかのインビボ分析物モニタリングシステムは、工場で較正されたセンサを用いて動作する。工場較正は、ユーザまたは医療専門家(HCP)に配布する前の1つ以上の較正パラメータの決定または推定を指す。較正パラメータは、センサ製造業者(または2つの実体が異なる場合、センサ制御デバイスの他の構成要素の製造業者)によって決定されてもよい。多くのインビボセンサ製造プロセスは、生産ロット、製造段階ロット、または単にロットと呼ばれるグループまたはバッチでセンサを製造する。単一ロットは、何千ものセンサを含んでもよい。
【0116】
センサは、較正コードまたはパラメータを含んでもよく、較正コードまたはパラメータは、1つ以上のセンサ製造プロセス中に導出または決定され、製造プロセスの一部として、分析物モニタリングシステムのデータ処理デバイス内でコード化またはプログラムされるか、またはセンサ自体に、例えば、バーコード、レーザタグ、RFIDタグ、もしくはセンサに提供される他の機械可読情報として提供されてもよい。コードが受信機(または他のデータ処理デバイス)に提供される場合、センサのインビボ使用中のユーザ較正を不要にすることができ、またはセンサ装着中のインビボ較正の頻度を低減することができる。較正コードまたはパラメータがセンサ自体に提供される実施形態では、センサ使用の開始前または開始時に、較正コードまたはパラメータを分析物モニタリングシステム内のデータ処理デバイスに自動的に送信または提供してもよい。
【0117】
いくつかのインビボ分析物モニタリングシステムは、工場較正、システム較正、および/またはユーザ較正のうちの1つ以上をされ得るセンサを用いて動作する。例えば、センサは、工場較正を可能にし得る較正コードまたはパラメータを備えてもよい。情報が受信機に提供される(例えば、ユーザによって入力される)場合、センサは、工場較正センサとして動作してもよい。情報が受信機に提供されない場合、センサは、ユーザ較正センサおよび/またはシステム較正センサとして動作してもよい。
【0118】
さらなる態様では、プログラミングまたは実行可能命令は、分析物モニタリングシステムのデータ処理デバイスおよび/または受信機/コントローラユニットに提供または記憶されて、使用中にインビボセンサに時変調整アルゴリズムを提供してもよい。例えば、インビボで使用される分析物センサの遡及的統計分析および対応するグルコースレベルフィードバックに基づいて、時間ベースである所定のもしくは分析曲線またはデータベースを生成することができ、1つ以上のインビボセンサパラメータに追加の調整を提供することで安定性プロファイルまたは他の要因における潜在的なセンサドリフトを補償するように構成してもよい。
【0119】
開示される主題によれば、分析物モニタリングシステムは、センサドリフトプロファイルに基づいてセンサ感度を補償または調整するように構成されてもよい。時変パラメータβ(t)は、インビボ使用中のセンサ挙動の分析に基づいて定義または決定することができ、時変ドリフトプロファイルを決定することができる。特定の態様では、センサ感度に対する補償または調整は、センサデータが分析物センサから受信されたときに補償もしくは調整またはその両方が自動的におよび/または反復的に実行され得るように、分析物モニタリングシステムの受信機ユニット、コントローラまたはデータプロセッサにおいてプログラムされ得る。開示される主題によれば、調整または補償アルゴリズムは、分析物センサ感度プロファイルに対する調整または補償が、対応する機能またはルーチンのユーザ開始または起動時に、あるいはユーザがセンサ較正コードを入力する時に実施または実行されるように、(自己開始または実行ではなく)ユーザによって開始または実行されることができる。
【0120】
開示される主題によれば、センサロット内の各センサ(いくつかの事例では、インビトロ試験に使用されるサンプルセンサを含まない)は、センサの1つ以上の点における膜厚さ等のその特性を判定または測定するために、非破壊的に検査されてもよく、活性エリアの表面積/体積等の物理的特性を含む他の特性が、測定または判定されてもよい。そのような測定または決定は、例えば、光学スキャナまたは他の好適な測定デバイスもしくはシステムを使用して、自動化された様式で行われてもよく、センサロット内の各センサに対する決定されたセンサ特性は、各センサに割り当てられた較正パラメータまたはコードの可能な補正のために、サンプルセンサに基づく対応する平均値と比較される。例えば、センサ感度として定義される較正パラメータの場合、感度は膜厚さにほぼ反比例し、例えば、そのセンサと同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均膜厚さよりも約4%大きい測定膜厚さを有するセンサの場合、一実施形態においてそのセンサに割り当てられる感度は、サンプリングされたセンサから決定される平均感度を1.04で除算したものである。同様に、感度はセンサの活性エリアにほぼ比例するので、同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均活性エリアよりも約3%低い測定活性エリアを有するセンサの場合、そのセンサに割り当てられた感度は、平均感度に0.97を乗じたものである。割り当てられた感度は、センサの各検査または測定に対する複数の連続的な調整によって、サンプリングされたセンサからの平均感度から決定され得る。特定の実施形態では、各センサの検査または測定は、活性感知エリアの膜厚さおよび/または表面積もしくは体積に加えて、膜の一貫性またはテクスチャの測定をさらに含んでもよい。
【0121】
センサ較正に関するさらなる情報は、米国特許出願公開第2010/002302851号明細書および米国特許出願公開第2019/0274598号明細書に提供されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0122】
センサ110のストレージメモリ5030は、通信モジュールの通信プロトコルに関連するソフトウェアブロックを含んでもよい。例えば、ストレージメモリ5030は、BLEモジュール5041をセンサ110のコンピューティングハードウェアに利用可能にするためのインタフェースを提供する機能を有するBLEサービスソフトウェアブロックを含んでもよい。これらのソフトウェア機能は、BLE論理インタフェースおよびインターフェースパーサを含んでもよい。通信モジュール5040によって提供されるBLEサービスは、汎用アクセスプロファイルサービス、汎用属性サービス、汎用アクセスサービス、デバイス情報サービス、データ伝送サービス、およびセキュリティサービスを含んでもよい。データ伝送サービスは、センサ制御データ、センサ状態データ、分析物測定データ(過去および現在)、およびイベントログデータなどのデータを伝送するために使用される一次サービスであり得る。センサ状態スデータは、エラーデータ、現在アクティブ時間、およびソフトウェア状態を含んでもよい。分析物測定データは、現在および過去の生の測定値、適切なアルゴリズムまたはモデルを使用して処理した後の現在および過去の値、測定レベルの予測および傾向、他の値と患者固有の平均との比較、アルゴリズムまたはモデルによって決定された行動喚起、および他の同様のタイプのデータなどの情報を含んでよい。
【0123】
開示される主題の態様によれば、本明細書で具体化されるように、センサ110は、センサ110のハードウェアおよび無線機によってサポートされる通信プロトコルまたは媒体の特徴を適合させることによって、複数のデバイスと同時に通信するように構成され得る。一例として、通信モジュール5040のBLEモジュール5041は、ソフトウェアまたはファームウェアを備えることで、中央デバイスとしてのセンサ110と周辺デバイスとしての他のデバイスとの間の、または別のデバイスが中央デバイスである周辺デバイスとしての複数の同時接続を可能にすることができる。
【0124】
BLEなどの通信プロトコルを使用する2つのデバイス間の接続および後続の通信セッションは、2つのデバイス(例えば、センサ110およびデータ受信デバイス120)間で動作する同様の物理チャネルによって特徴付けることができる。物理チャネルは、単一のチャネルまたは一連のチャネルを含んでもよく、たとえば、限定はしないが、共通クロック、およびチャネルもしくは周波数ホッピングシーケンスによって決定される合意された一連のチャネルを使用することを含む。通信セッションは、同様の量の利用可能な通信スペクトルを使用してもよく、複数のそのような通信セッションが近接して存在してもよい。特定の実施形態では、通信セッションにおけるデバイスの各集合は、異なる物理チャネルまたは一連のチャネルを使用して、同じ近さにあるデバイスの干渉を管理する。
【0125】
限定ではなく例示を目的として、開示される主題とともに使用するためのセンサ-受信機接続のための手順の例示的な実施形態が参照される。第1に、センサ110は、データ受信デバイス120の探索において、その接続情報をその環境に繰り返しアドバタイズする。センサ110は、接続が確立されるまで定期的にアドバタイジングを繰り返してもよい。データ受信デバイス120は、アドバタイジングパケットを検出し、センサ120がアドバタイジングパケット内に提供されたデータを通して接続するためにスキャンおよびフィルタリングを行う。次に、データ受信デバイス120はスキャン要求コマンドを送信し、センサ110は、追加の詳細を提供するスキャン応答パケットで応答する。次に、データ受信デバイス120は、データ受信デバイス120に関連付けられたBluetoothデバイスアドレスを使用して接続要求を送信する。データ受信デバイス120はまた、特定のBluetoothデバイスアドレスを有するセンサ110への接続を確立するように連続的に要求してもよい。次に、デバイスは初期接続を確立して、データ交換を開始することができる。デバイスは、データ交換サービスを初期化するプロセスを開始し、相互認証手順を実行する。
【0126】
センサ110とデータ受信デバイス120との間の第1の接続中に、データ受信デバイス120は、サービス、特性、および属性発見手順を初期化してもよい。データ受信デバイス120は、センサ110のこれらの特徴を評価し、後の接続中に使用するためにそれらを記憶してもよい。次に、デバイスは、センサ110およびデータ受信デバイス120の相互認証に使用されるカスタマイズされたセキュリティサービスについての通知を可能にする。相互認証手順は自動化することができ、ユーザの介在を必要としない。相互認証手順の成功した完了に続いて、センサ110は、接続パラメータ更新を送信して、データ受信デバイス120に、センサ110によって好まれるとともに、寿命を最大にするように構成された接続パラメータ設定を使用するように要求する。
【0127】
次いで、データ受信デバイス120は、センサ制御手順を実行して、過去のデータ、現在のデータ、イベントログ、および工場データをバックフィルする。一例として、データの各タイプについて、データ受信デバイス120は、バックフィルプロセスを開始する要求を送信する。要求は、必要に応じて、例えば、測定値、タイムスタンプなどに基づいて定義された記録の範囲を指定してもよい。センサ110は、センサ110のメモリ内のすべての以前に送信されていないデータがデータ受信デバイス120に配信されるまで、要求されたデータで応答する。センサ110は、データ受信デバイス120からのバックフィル要求に対して、すべてのデータがすでに送信されていることを応答することができる。バックフィルが完了すると、データ受信デバイス120は、定期的な測定値を受信する準備ができていることをセンサ110に通知することができる。センサ110は、反復ベースで複数の通知結果にわたって測定値を送信することができる。本明細書で具体化されるように、複数の通知は、データが正しく送信されることを保証するための冗長な通知であり得る。あるいは、複数の通知が単一のペイロードを構成してもよい。
【0128】
限定ではなく例示の目的で、シャットダウンコマンドをセンサ110に送信する手順の例示的な実施形態を参照する。シャットダウン動作は、例えば、センサ110がエラー状態、挿入失敗状態、またはセンサ期限切れ状態である場合に実行される。センサ110がそれらの状態にない場合、センサ110は、コマンドを記録し、センサ110がエラー状態またはセンサ期限切れ状態に遷移したときにシャットダウンを実行することができる。データ受信デバイス120は、適切にフォーマットされたシャットダウンコマンドをセンサ110に送信する。センサ110が別のコマンドをアクティブに処理している場合、センサ110は、センサ110がビジーであることを示す標準エラー応答で応答する。そうでない場合、センサ110は、コマンドが受信されると応答を送信する。さらに、センサ110は、センサ110がコマンドを受信したことを確認するために、センサ制御特性を介して成功通知を送信する。センサ110はシャットダウンコマンドを登録する。次の適切な機会に(例えば、本明細書で説明されるように、現在のセンサ状態に応じて)、センサ110はシャットダウンする。
【0129】
限定ではなく例示の目的で、図15に示されるようなセンサ110によって行われ得るアクションの状態機械表現6000の高レベル描写の例示的な実施形態が参照される。初期化後、センサは、センサ110の製造に関連する状態6005に入る。製造状態6005において、センサ110は、動作のために構成されてもよく、例えば、ストレージメモリ5030は書き込まれることができる。状態6005にある間の様々な時間に、センサ110は、ストレージ状態6015に進むための受信されたコマンドをチェックする。ストレージ状態6015に入ると、センサはソフトウェア完全性チェックを実行する。ストレージ状態6015にある間、センサはまた、挿入検出状態6025に進む前に起動要求コマンドを受信することができる。
【0130】
状態6025に入ると、センサ110は、起動中に設定されたセンサと通信するために認証されたデバイスに関する情報を記憶することができ、または感知ハードウェア5060からの測定値を導き、解釈することに関するアルゴリズムを初期化することができる。センサ110はまた、センサ110の動作時間のアクティブカウントを維持することに関与するライフサイクルタイマを初期化し、認証されたデバイスとの通信を開始して記録されたデータを送信することができる。挿入検出状態6025にある間、センサは状態6030に入ることができ、状態6030でセンサ110は、動作時間が所定の閾値に等しいかどうかをチェックする。この動作時間の閾値は、挿入が成功したかどうかを判定するためのタイムアウト機能に対応し得る。動作時間が閾値に達した場合、センサ110は状態6035に進み、そこで、センサ110は、平均データ読み取りが、成功した挿入の検出をトリガするための予想データ読み取り量に対応する閾値量よりも大きいか否かをチェックする。状態6035にある間にデータ読み取り量が閾値よりも低い場合、センサは、失敗した挿入に対応する状態6040に進む。データ読み取り量が閾値を満たす場合、センサは、アクティブペア状態6055に進む。
【0131】
センサ110のアクティブペア状態6055は、センサ110が測定値を記録し、測定値を処理し、それらを適宜報告することによって正常に動作している間の状態を反映する。アクティブペア状態6055にある間、センサ110は、測定結果を送信するか、または受信デバイス120との接続を確立しようと試みる。センサ110はまた、動作時間をインクリメントする。センサ110が所定の閾値動作時間に達すると(例えば、動作時間が所定の閾値に達すると)、センサ110は、アクティブ期限切れ状態6065に遷移する。センサ110のアクティブ期限切れ状態6065は、センサ110がその最大所定時間量にわたって動作している間の状態を反映する。
【0132】
アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、全般的に、終局に向かう動作に関連する動作を実行し、収集された測定値が必要に応じて受信デバイスに安全に送信されたことを確実にすることができる。たとえば、アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、収集されたデータを送信することができ、接続が利用可能でない場合、近くの認証されたデバイスを発見し、それとの接続を確立するための努力を増加させることができる。アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、状態6070においてシャットダウンコマンドを受信することができる。シャットダウンコマンドが受信されない場合、センサ110はまた、状態6075において、動作時間が最終動作閾値を超えたかどうかをチェックすることができる。最終動作閾値は、センサ110のバッテリ寿命に基づき得る。正常終了状態6080は、センサ110の最終動作に対応し、最終的にセンサ110をシャットダウンする。
【0133】
センサが起動される前に、ASIC5000は、低電力ストレージモード状態にある。起動プロセスは、例えば、受信するRF場(例えば、NFC場)が、ASIC5000への電源の電圧を、リセット閾値を上回るように駆動し、それによってセンサ110がウェイクアップ状態に入るときに開始することができる。ウェイクアップ状態にある間、ASIC5000は起動シーケンス状態に入る。次に、ASIC5000は、通信モジュール5040を起動する。通信モジュール5040が初期化され、電源投入時自己診断テストをトリガする。電源投入時自己診断テストは、ASIC5000が、データを読み書きする規定のシーケンスを使用して通信モジュール5040と通信することで、メモリおよびワンタイムプログラマブルメモリが破損されていないことを検証することを含んでもよい。
【0134】
ASIC5000が最初に測定モードに入るとき、挿入検出シーケンスが実行されることで、適切な測定が行われ得る前に、センサ110が患者の身体上に適切に設置されていることを検証する。まず、センサ110は、コマンドを解釈して測定構成プロセスを起動し、ASIC5000を測定コマンドモードに入らせる。次いで、センサ110は、一時的に測定ライフサイクル状態に入り、いくつかの連続測定を実行して、挿入が成功したかどうかをテストする。通信モジュール5040またはASIC5000は、測定結果を評価して挿入の成功を判定する。挿入が成功したと見なされると、センサ110は測定状態に入り、センサ110は、感知ハードウェア5060を使用して定期的な測定を行い始める。センサ110が、挿入が成功しなかったと決定する場合、センサ110は、挿入失敗モードにトリガされ、ASIC5000は、ストレージモードに戻るように命令される一方、通信モジュール5040は、それ自体を無効にする。
【0135】
図1Aは、本明細書で説明する技術とともに使用するためのオーバージエア(「OTA」)更新を提供するための例示的な動作環境をさらに示す。分析物モニタリングシステム100のオペレータは、データ受信デバイス120またはセンサ110の更新を、多目的データ受信デバイス130上で実行されるアプリケーションの更新にバンドルしてもよい。データ受信デバイス120と、多目的データ受信デバイス130と、センサ110との間の利用可能な通信チャネルを使用して、多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110の定期的な更新を受信し、データ受信デバイス120またはセンサ110への更新のインストールを開始することができる。多目的データ受信デバイス130が分析物センサ110、データ受信デバイス120、および/または遠隔アプリケーションサーバ150と通信することを可能にするアプリケーションは、広域ネットワーキング機能なしでデータ受信デバイス120またはセンサ110上のソフトウェアまたはファームウェアを更新することができるので、多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110のためのインストールまたは更新プラットフォームとして機能する。
【0136】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110の製造業者および/または分析物モニタリングシステム100のオペレータによって操作される遠隔アプリケーションサーバ150は、分析物モニタリングシステム100のデバイスにソフトウェアおよびファームウェア更新を提供することができる。特定の実施形態では、遠隔アプリケーションサーバ150は、更新されたソフトウェアおよびファームウェアをユーザデバイス140に、または直接多目的データ受信デバイスに提供することができる。本明細書で具体化されるように、遠隔アプリケーションサーバ150はまた、アプリケーションストアフロントによって提供されるインタフェースを使用して、アプリケーションソフトウェア更新をアプリケーションストアフロントサーバ160に提供することができる。多目的データ受信デバイス130は、更新をダウンロードしてインストールするために、アプリケーションストアフロントサーバ160に定期的にコンタクトしてもよい。
【0137】
多目的データ受信デバイス130が、データ受信デバイス120またはセンサ110のためのファームウェアまたはソフトウェア更新を含むアプリケーション更新をダウンロードした後、データ受信デバイス120またはセンサ110および多目的データ受信デバイス130は、接続を確立する。多目的データ受信デバイス130は、ファームウェアまたはソフトウェアの更新がデータ受信デバイス120またはセンサ110に利用可能であると判定する。多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110への配信のためにソフトウェアまたはファームウェア更新を準備することができる。一例として、多目的データ受信デバイス130は、ソフトウェアもしくはファームウェア更新に関連付けられたデータを圧縮もしくはセグメント化してもよく、またはファームウェアもしくはソフトウェア更新を暗号化もしくは解読してもよく、またはファームウェアもしくはソフトウェア更新の完全性チェックを実行してもよい。多目的データ受信デバイス130は、ファームウェアまたはソフトウェア更新のためのデータをデータ受信デバイス120またはセンサ110に送信する。多目的データ受信デバイス130は、データ受信デバイス120またはセンサ110にコマンドを送信して、更新を開始してもよい。追加的にまたは代替的に、多目的データ受信デバイス130は、多目的データ受信デバイス130のユーザに通知を提供してもよく、更新が完了するまで、データ受信デバイス120および多目的データ受信デバイス130を電源に接続して近接させておく命令など、更新を容易にする命令を含んでもよい。
【0138】
データ受信デバイス120またはセンサ110は、更新のためのデータおよび更新を開始するためのコマンドを多目的データ受信デバイス130から受信する。次いで、データ受信デバイス120は、ファームウェアまたはソフトウェア更新をインストールすることができる。更新をインストールするために、データ受信デバイス120またはセンサ110は、それ自体を、動作能力が制限されたいわゆる「安全」モードに置くか、または再起動してもよい。更新が完了すると、データ受信デバイス120またはセンサ110は、標準動作モードに再び入るか、またはリセットされる。データ受信デバイス120またはセンサ110は、ファームウェアまたはソフトウェア更新が正常にインストールされたことを判定するために、1つ以上の自己テストを実行してもよい。多目的データ受信デバイス130は、更新成功の通知を受信することができる。次に、多目的データ受信デバイス130は、更新成功の確認を遠隔アプリケーションサーバ150に報告することができる。
【0139】
特定の実施形態では、センサ110のストレージメモリ5030は、ワンタイムプログラマブル(OTP)メモリを含む。OTPメモリという用語は、メモリ内の特定のアドレスまたはセグメントへの所定の回数の書込みを容易にするためのアクセス制限およびセキュリティを含むメモリを指し得る。メモリ5030は、複数の事前に割り振られたメモリブロックまたはコンテナに事前配置されてもよい。コンテナは、固定サイズに予め割り当てられている。ストレージメモリ5030がワンタイムプログラミングメモリである場合、コンテナは、非プログラム可能状態にあるとみなすことができる。まだ書き込まれていない追加のコンテナは、プログラム可能または書込み可能な状態に置くことができる。このようにストレージメモリ5030をコンテナ化することで、ストレージメモリ5030に書き込むコードやデータの搬送性を向上させることができる。OTPメモリに記憶されたデバイス(例えば、本明細書で説明されるセンサデバイス)のソフトウェアを更新することは、メモリ内のコード全体を置き換えるのではなく、特定の以前に書き込まれた1つまたは複数のコンテナ内のコードのみを、新しい1つまたは複数のコンテナに書き込まれた更新されたコードで置き換えることによって実行され得る。第2の実施形態では、メモリは予め準備されていない。代わりに、データのために割り振られる空間は、必要に応じて動的に割り振られるかまたは決定される。更新が予想される様々なサイズのコンテナを画定することができるので、増分更新を発行することができる。
【0140】
図16は、開示される主題による、センサデバイス100内のストレージメモリ5030のオーバージエア(OTA)プログラミング、ならびにセンサデバイス110によるプロセスの実行におけるOTAプログラミング後のメモリの使用のための例示的な動作およびデータフローを示す図である。図5に示される例示的なOTAプログラミング500では、OTAプログラミング(または再プログラミング)を開始する要求が外部デバイス(たとえば、データ受信デバイス130)から送信される。511において、センサデバイス110の通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドを受信する。通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドをセンサデバイス110のマイクロコントローラ5010に送信する。
【0141】
531において、OTAプログラミングコマンドを受信した後、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングコマンドを検証する。マイクロコントローラ5010は、例えば、OTAプログラミングコマンドが適切なデジタル署名トークンで署名されているかどうかを判定してもよい。OTAプログラミングコマンドが有効であると判定すると、マイクロコントローラ5010は、センサデバイスをOTAプログラミングモードに設定することができる。532において、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングデータを検証することができる。533において、マイクロコントローラ5010は、センサデバイス110をリセットして、センサデバイス110をプログラミング状態に再初期化することができる。センサデバイス110がOTAプログラミング状態に遷移すると、マイクロコントローラ5010は、534においてセンサデバイスの書換え可能メモリ540(例えば、メモリ5020)にデータを書き込み始め、535においてセンサデバイスのOTPメモリ550(例えば、ストレージメモリ5030)にデータを書き込むことができる。マイクロコントローラ5010によって書き込まれるデータは、検証されたOTAプログラミングデータに基づいてもよい。マイクロコントローラ5010は、データを書き込んで、OTPメモリ550の1つ以上のプログラミングブロックまたは領域を無効またはアクセス不能とマーク付けしてもよい。OTPメモリの空きまたは未使用部分に書き込まれたデータは、OTPメモリ550の無効化されたまたはアクセス不可能なプログラミングブロックを置換するために使用され得る。マイクロコントローラ5010が534および535でそれぞれのメモリにデータを書き込んだ後、マイクロコントローラ5010は、1つ以上のソフトウェア完全性チェックを実行して、書き込みプロセス中にプログラミングブロックにエラーが導入されなかったことを保証してもよい。マイクロコントローラ5010が、データがエラーなしに書き込まれたと判断することができると、マイクロコントローラ5010は、センサデバイスの標準動作を再開することができる。
【0142】
実行モードでは、536において、マイクロコントローラ5010は、書換え可能メモリ540からプログラミングマニフェストまたはプロファイルを取り出すことができる。プログラミングマニフェストまたはプロファイルは、有効なソフトウェアプログラミングブロックのリストを含んでもよく、センサ110のためのプログラム実行へのガイドを含んでもよい。プログラミングマニフェストまたはプロファイルに従うことによって、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550のどのメモリブロックが実行するのに適切であるかを決定し、期限切れもしくは無効化されたプログラミングブロックの実行または期限切れデータへの参照を回避することができる。537において、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550からメモリブロックを選択的に取り出すことができる。538において、マイクロコントローラ5010は、メモリに格納されたプログラミングコードを実行することによって、またはメモリに格納された変数を使用することによって、取り出されたメモリブロックを使用することができる。
【0143】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110と他のデバイスとの間の通信のためのセキュリティの第1の層は、通信のために使用される通信プロトコルによって指定され、その通信プロトコルに組み込まれたセキュリティプロトコルに基づいて確立され得る。別のセキュリティ層は、通信デバイスの近接性を必要とする通信プロトコルに基づいてもよい。さらに、パケット内の他のパケットおよび/またはデータは、別の方法で暗号化されるか、または暗号化されないまま、パケット内に含まれる特定のパケットおよび/または特定のデータを暗号化してもよい。加えて、または代替として、アプリケーション層の暗号化は、1つ以上のブロック暗号またはストリーム暗号とともに使用され、分析物モニタリングシステム100内の他のデバイスとの相互認証および通信暗号化を確立してもよい。
【0144】
分析物センサ110のASIC5000は、ストレージメモリ5030内に保持されたデータを使用して認証キーおよび暗号化キーを動的に生成するように構成されてもよい。ストレージメモリ5030はまた、有効な認証キーおよび暗号化キーのセットで事前にプログラムされて、特定のクラスのデバイスとともに使用してもよい。ASIC5000は、受信されたデータを使用して他のデバイスとの認証手順を実行し、機密データを送信する前に、生成されたキーを機密データに適用するようにさらに構成されてもよい。生成されたキーは、分析物センサ110に固有のもの、デバイスのペアに固有のもの、分析物センサ110と他のデバイスとの間の通信セッションに固有のもの、通信セッション中に送信されるメッセージに固有のもの、またはメッセージ内に含まれるデータのブロックに固有のものとすることができる。
【0145】
センサ110およびデータ受信デバイス120の両方は、例えば、コマンドを発行するか、またはデータを受信するために、通信セッションにおける他方の当事者の承認を確実にすることができる。特定の実施形態では、アイデンティティ認証は、2つの特徴を通じて実行されてもよい。第1に、そのアイデンティティを主張する当事者は、デバイスの製造業者または分析物モニタリングシステム100のオペレータによって署名された有効な証明書を提供する。第2に、認証は、パブリックキーおよびプライベートキー、ならびにそれらから導出されるか、分析物モニタリングシステム100のデバイスによって確立されるか、または分析物モニタリングシステム100のオペレータによって確立される共有の秘密を使用することによって実施されてもよい。他の当事者のアイデンティティを確認するために、当事者は、当事者がそのプライベートキーの制御権を有することの証明を提供することができる。
【0146】
分析物センサ110、データ受信デバイス120の製造業者、または多目的データ受信デバイス130のためのアプリケーションの提供者は、デバイスが安全なプログラミングおよび更新を通して安全に通信するために必要な情報およびプログラミングを提供することができる。例えば、製造業者は、必要に応じて、デバイス、セッション、またはデータ伝送に固有の暗号値を生成するために、デバイス特有の情報および動作データ(例えば、エントロピーベースのランダム値)と組み合わせて使用され得る分析物センサ110および随意にデータ受信デバイス120のための安全なルートキーを含む、各デバイスのための暗号キーを生成するために使用され得る情報を提供してもよい。
【0147】
ユーザに関連付けられた分析物データは、少なくとも部分的に機密データであり、その理由は、この情報が、健康モニタリングおよび薬剤投与決定を含む様々な目的のために使用され得るからである。ユーザデータに加えて、分析物モニタリングシステム100は、リバースエンジニアリングに対する外部当事者による努力に対してセキュリティ強化を実施してもよい。通信接続は、デバイス固有またはセッション固有の暗号化キーを使用して暗号化することができる。任意の2つのデバイス間の暗号化された通信または暗号化されていない通信は、通信に組み込まれた送信完全性チェックを用いて検証され得る。分析物センサ110の動作は、通信インタフェースを介したメモリ5020への読み出しおよび書き込み機能へのアクセスを制限することによって、改ざんから保護することができる。センサは、「ホワイトリスト」内に提供される既知のもしくは「信頼できる」デバイスのみに、または製造業者もしくはそうでなければ認証されたユーザに関連付けられた所定のコードを提供することができるデバイスのみに、アクセスを許可するように構成されてもよい。ホワイトリストは、ホワイトリストに含まれる接続識別子以外の接続識別子が使用されないことを意味する排他的範囲、またはホワイトリストが最初に探索されるが、他のデバイスが依然として使用され得る好ましい範囲を表し得る。センサ110はさらに、要求者が所定の時間内(例えば、4秒以内)に通信インタフェースを介してログイン手順を完了することができない場合、接続要求を拒否し、シャットダウンしてもよい。これらの特性は、特定のサービス妨害攻撃、特にBLEインタフェースに対するサービス妨害攻撃に対して保護する。
【0148】
本明細書で具体化されるように、分析物モニタリングシステム100は、キーの漏洩および搾取の可能性をさらに低減するために、周期的なキーローテーションを採用してもよい。分析物モニタリングシステム100によって採用されるキーローテーション戦略は、現場配備されたデバイスまたは分散型デバイスの下位互換性をサポートするように設計され得る。一例として、分析物モニタリングシステム100は、上流側デバイスによって使用される複数世代のキーと互換性があるように設計された下流側デバイス(例えば、現場にあるか、または更新を実行可能に提供することができないデバイス)用のキーを使用することができる。
【0149】
限定ではなく例示の目的で、図17に示され、デバイスのペア、特にセンサ110とデータ受信デバイス120との間の例示的なデータ交換を示す、開示された主題とともに使用するためのメッセージシーケンス図600の例示的な実施形態を参照する。データ受信デバイス120は、本明細書で具体化されるように、データ受信デバイス120または多目的データ受信デバイス130であり得る。ステップ605において、データ受信デバイス120は、例えば短距離通信プロトコルを介して、センサ起動コマンド605をセンサ110に送信することができる。センサ110は、ステップ605の前に、主に休止状態にあることで、完全な起動が必要とされるまで、そのバッテリを温存してもよい。ステップ610中の起動後、センサ110は、センサ110の感知ハードウェア5060に適切なように、データを収集するか、または他の動作を実行することができる。ステップ615において、データ受信デバイス120は、認証要求コマンド615を開始することができる。認証要求コマンド615に応答して、センサ110およびデータ受信デバイス120の両方が、相互認証プロセス620に関与することができる。相互認証プロセス620は、センサ110およびデータ受信デバイス120が、他方のデバイスが本明細書で説明される合意されたセキュリティフレームワークに十分に準拠することができることを保証することを可能にするチャレンジパラメータを含むデータの転送を伴ってもよい。相互認証は、チャレンジ-レスポンスを介して秘密キーの確立を検証するために、オンラインの信頼された第三者の有無にかかわらず、2つ以上の存在を互いに認証するための機構に基づいてもよい。相互認証は、2、3、4、もしくは5パス認証、またはそれらの類似のバージョンを使用して実行され得る。
【0150】
成功した相互認証プロセス620に続いて、ステップ625において、センサ110は、データ受信デバイス120にセンサ秘密625を提供することができる。センサ秘密は、センサ固有値を含んでもよく、製造中に生成されたランダム値から導出することができる。センサ秘密は、送信前または送信中に暗号化されることで、第三者が秘密にアクセスすることを防止することができる。センサ秘密625は、相互認証プロセス620によって、またはそれに応答して生成されたキーのうちの1つ以上を介して暗号化されてもよい。ステップ630において、データ受信デバイス120は、センサ秘密からセンサ固有の暗号化キーを導出することができる。センサ固有の暗号化キーはさらに、セッション固有であり得る。したがって、センサ固有の暗号化キーは、センサ110またはデータ受信デバイス120の間で送信されることなく、各デバイスによって決定され得る。ステップ635において、センサ110は、ペイロードに含まれるデータを暗号化することができる。ステップ640において、センサ110は、センサ110とデータ受信デバイス120との適切な通信モデル間に確立された通信リンクを使用して、暗号化されたペイロード640をデータ受信デバイス120に送信することができる。ステップ645において、データ受信デバイス120は、ステップ630の間に導出されたセンサ固有の暗号化キーを使用してペイロードを解読することができる。ステップ645に続いて、センサ110は、追加の(新たに収集されたものを含む)データを配信することができ、データ受信デバイス120は、受信したデータを適切に処理することができる。
【0151】
本明細書で説明されるように、センサ110は、制限された処理電力、バッテリ供給、およびストレージを有するデバイスであり得る。センサ110によって使用される暗号化技術(例えば、暗号アルゴリズムまたはアルゴリズムの実装の選択)は、これらの制限に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。データ受信デバイス120は、この性質の制限がより少ない、より強力なデバイスであり得る。したがって、データ受信デバイス120は、暗号アルゴリズムおよび実装などの、より高度で計算集約的な暗号化技術を採用することができる。
【0152】
分析物センサ110は、その発見可能性挙動を変更することで、受信デバイスが適切なデータパケットを受信する確率を増加させ、および/または確認応答信号を提供するか、またはそうでなければ確認応答信号を受信できなくさせ得る制限を低減するように試みるように構成されてもよい。分析物センサ110の発見可能性挙動を変更することは、例えば、限定するものではないが、接続データがデータパケットに含まれる頻度を変更すること、データパケットが全般的にどのくらいの頻度で送信されるかを変更すること、データパケットのブロードキャストウィンドウを延長または短縮すること、分析物センサ110と以前に通信した1つ以上のデバイスおよび/またはホワイトリスト上の1つ以上のデバイスへの(例えば、1つ以上の試みられた送信を通して)直接送信を含むブロードキャスト後に分析物センサ110が確認応答信号またはスキャン信号をリッスンする時間量を変更すること、(例えば、ブロードキャストの範囲を増加させるか、消費されるエネルギーを減少させ、分析物センサのバッテリの寿命を延ばすために)データパケットをブロードキャストするときに通信モジュールに関連付けられた送信電力を変更すること、データパケットを準備およびブロードキャストする速度を変更すること、または1つ以上の他の変更の組み合わせを含んでよい。追加または代替として、受信デバイスは、接続データを含むデータパケットを受信する可能性を増加させるために、デバイスのリスニング挙動に関するパラメータを同様に調整してもよい。
【0153】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110は、2つのタイプのウィンドウを使用してデータパケットをブロードキャストするように構成されてもよい。第1のウィンドウは、分析物センサ110が通信ハードウェアを動作させるように構成されるレートを指す。第2のウィンドウは、分析物センサ110が能動的にデータパケットを送信する(例えば、ブロードキャストする)ように構成されるレートを指す。一例として、第1のウィンドウは、分析物センサ110が通信ハードウェアを動作させて、各60秒間の最初の2秒間にデータパケット(接続データを含む)を送信および/または受信することを示してもよい。第2のウィンドウは、各2秒ウィンドウの間に、分析物センサ110が60ミリ秒ごとにデータパケットを送信することを示してもよい。2秒のウィンドウ中の残りの時間、分析物センサ110はスキャンしている。分析物センサ110は、どちらかのウィンドウを長くしたり短くしたりして、分析物センサ110の発見可能性挙動を修正することができる。
【0154】
特定の実施形態では、分析物センサの発見可能性挙動を発見可能性プロファイルに記憶することができ、分析物センサ110の状態などの1つ以上の要因に基づいて、および/または分析物センサ110の状態に基づいてルールを適用することによって、変更を行うことができる。例えば、分析物センサ110のバッテリレベルが特定の量を下回るとき、そのルールは、分析物センサ110に、ブロードキャストプロセスによって消費される電力を減少させることができる。別の例として、パケットをブロードキャストまたは別の方法で送信することに関連付けられた構成設定は、周囲温度、分析物センサ110の温度、または分析物センサ110の通信ハードウェアの特定の構成要素の温度に基づいて調整され得る。送信電力を修正することに加えて、分析物センサ110の通信ハードウェアの送信能力またはプロセスに関連する他のパラメータを修正することができ、これには、送信速度、周波数、およびタイミングが含まれるが、これらに限定されない。別の例として、対象が負の健康事象を経験しているか、または経験しつつあることを分析物データが示すとき、ルールは、分析物センサ110に、その発見可能性を増加させて、負の健康事象を受信デバイスに警告することができる。
【0155】
本明細書で具体化されるように、分析物センサ110の感知ハードウェア5060のための特定の較正特徴は、外部または間隔の環境特徴に基づいて、ならびに使用されていない期間(例えば、使用前の「保管時間」)の間の感知ハードウェア5060の減衰を補償するように、調節され得る。感知ハードウェア5060の較正特徴は、センサ110によって(例えば、メモリ5020またはストレージ5030内の特徴を修正するためのASIC5000の動作によって)自律的に調整されてもよく、または分析物モニタリングシステム100の他のデバイスによって調整されてもよい。
【0156】
一例として、感知ハードウェア5060のセンサ感度は、外部温度データまたは製造からの時間に基づいて調整され得る。センサの保管中に外部温度がモニタリングされるとき、開示される主題は、デバイスが保管条件の変化を経験するときに、経時的にセンサ感度に対する補償を適応的に変更してもよい。限定ではなく例示を目的として、分析物センサ110が周期的にウェイクアップして温度を測定する「アクティブ」ストレージモードにおいて、適応感度調整を実行することができる。これらの特徴は、分析物デバイスのバッテリを節約し、分析物センサの寿命を延ばすことができる。各温度測定において、分析物センサ110は、測定された温度に基づいて、その期間の感度調整を計算することができる。次いで、温度重み付けされた調整値は、アクティブストレージモード期間にわたって累積されて、アクティブストレージモードの終了時(例えば、挿入時)に総センサ感度調整値を計算することができる。同様に、挿入時に、センサ110は、センサ110(ASIC5000のストレージ5030に書き込むことができる)または感知ハードウェア5060の製造間の時間差を決定し、1つ以上の既知の減衰率または式に従ってセンサ感度または他の較正特徴を修正することができる。
【0157】
加えて、限定ではなく例示の目的で、本明細書で具体化されるように、センサ感度調整は、センサドリフトなどの他のセンサ状態を考慮してもよい。センサ感度調整は、例えば、センサドリフトの場合、平均センサがどれだけドリフトするかの推定に基づいて、製造中にセンサ110にハードコードされ得る。センサ110は、センサオフセットおよびゲインのための時変関数を有する較正関数を使用してもよく、これは、センサの装着期間にわたるドリフトを考慮することができる。したがって、センサ110は、経時的なセンサ110のドリフトを記述するデバイス依存関数を利用して、間質電流を間質グルコースに変換するために使用される関数を利用することができ、これは、センサ感度を表し得るとともに、グルコースプロファイルのベースラインと組み合わされたデバイス固有であり得る。センサ感度およびドリフトを考慮するためのそのような関数は、ユーザ較正を伴うことなく、装着期間にわたってセンサ110の正確さを改善することができる。
【0158】
センサ110は、感知ハードウェア5060から生の測定値を検出する。生の測定値を解釈するように訓練された1つ以上のモデルなどによって、オンセンサ処理を実行することができる。モデルは、生の測定値を検出、予測、または解釈して1つ以上の分析物のレベルを検出、予測、または解釈するようにオフデバイスで訓練された機械学習モデルでもよい。追加の訓練されたモデルは、生の測定値と相互作用するように訓練された機械学習モデルの出力に作用し得る。一例として、モデルは、生の測定値、および感知ハードウェア5060によって検出された分析物のタイプに基づいて事象を検出、予測、または推奨するために使用され得る。事象は、身体活動の開始または完了、食事、医療処置または投薬の適用、緊急の健康事象、および同様の性質の他の事象を含み得る。
【0159】
モデルは、製造中またはファームウェアもしくはソフトウェア更新中に、センサ110、データ受信デバイス120、または多目的データ受信デバイス130に提供され得る。モデルは、センサ110の製造業者または分析物モニタリングシステム100のオペレータなどによって、センサ110から受信したデータおよび個々のユーザまたは集団で複数のユーザのデータ受信デバイスに基づいて、定期的に精緻化することができる。特定の実施形態では、センサ110は、センサ110が取り付けられるユーザ固有の特徴に基づくなど、機械学習モデルのさらなる訓練または改良を支援するために十分なコンピュータ構成要素を含む。機械学習モデルは、限定ではなく例として、決定木分析、勾配ブースティング、アダブースティング(ada boosting)、人工ニューラルネットワークまたはその変形、線形判別分析、最近傍分析、サポートベクターマシン、教師ありまたは教師なし分類などを使用または包含して訓練されたモデルを含んでもよい。モデルはまた、機械学習モデルに加えて、アルゴリズムまたはルールベースのモデルを含んでもよい。モデルベースの処理は、センサ110(または他の下流デバイス)からデータを受信すると、データ受信デバイス120または多目的データ受信デバイス130を含む他のデバイスによって実行され得る。
【0160】
センサ110とデータ受信デバイス120との間で送信されるデータは、生の測定値または処理された測定値を含んでもよい。センサ110とデータ受信デバイス120との間で送信されるデータは、ユーザに表示するためのアラームまたは通知をさらに含んでもよい。データ受信デバイス120は、生の測定値または処理された測定値に基づいてユーザに通知を表示するか、または他の方法で伝えてもよく、あるいはセンサ110から受信されたときにアラームを表示してもよい。ユーザへの表示のためにトリガされ得るアラームは、直接分析物値(例えば、閾値を超える、または閾値を満たさない1回読み取り)、分析物値傾向(例えば、閾値を超える、または閾値を満たさない設定期間にわたる平均読み取り、勾配)、分析物値予測(例えば、分析物値に基づくアルゴリズム計算が閾値を超える、または閾値を満たさない)、センサ警告(例えば、疑わしい誤動作が検出される)、通信警告(例えば、閾値期間にわたってセンサ110とデータ受信デバイス120との間に通信がないこと、未知のデバイスがセンサ110との通信セッションを開始しようとしているか、開始し損なっていること)、リマインダ(例えば、データ受信デバイス120を充電するリマインダ、薬剤を服用する、または他の活動を行うリマインダ)、および同様の性質の他の警告に基づくアラームを含む。限定ではなく例示の目的で、本明細書で具体化されるように、本明細書で説明されるアラームパラメータは、ユーザによって構成可能であってもよく、または製造中に固定されてもよく、またはユーザ設定可能および非ユーザ設定可能パラメータの組み合わせでもよい。
【0161】
開示される主題の態様によれば、エタノールレベルを含むがこれに限定されないアルコールレベルを検出するためのインビボ分析物センサおよび方法が提供される。
本明細書で使用される場合、「アルコール」という用語およびその文法上の変形は、任意の第一級、第二級、または第三級アルコールを指す。例えば、本開示のアルコールセンサは、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど、およびそれらの任意の組み合わせを検出することができる。
【0162】
本明細書で使用される「参照電極」という用語は、参照電極、または参照電極および対電極の両方として機能する電極のどちらかを指し得る。同様に、本明細書で使用される「対電極」という用語は、対電極と、参照電極としても機能する対電極との両方を指し得る。
【0163】
本明細書に説明されるセンサ110は、体液中の1つ以上の分析物レベルを検出するように構成された1つ以上の電極を含む感知要素を含んでもよく、その例が図18A図20に示されている。1つ以上の電極は、1つ以上の酵素応答要素を含み得る。例えば、本明細書で具体化されるように、センサ110は、体液中のアルコールレベルを検出することができる。別の例では、センサ110は、体液中のアルコールレベルおよびグルコースレベルを検出することができる。さらに別の例では、センサ110は、体液中のアルコールレベルおよびケトンレベルを検出することができる。センサ110は、アルコールを検出することができる1つの作用電極、ならびに/またはグルコース、ケトン、乳酸塩、および/もしくは任意の他の分析物レベルを検出することができる別の作用電極を含んでもよい。いくつかの例では、センサ110は、体液中の2つ以上の分析物レベルを検出するように構成された2つ以上の感知要素を含んでもよい。センサ110は、「分析物センサ」と呼ばれ得る。
【0164】
個体のインビボアルコール濃度は、アルコール消費または様々な生理学的要因に基づいて劇的に変化し得る。例えば、アルコールは、個体によって異なる速度で代謝され得、これは、体重当たり同じ用量のアルコールを消費する個体間でアルコールレベルを変動させ得る。アルコールの平衡濃度は、少なくとも含水量、血流速度、および体重に依存する。アルコールが生体膜を通過することを考えると、アルコールは血流からすべての組織および流体に流れることができる。その流量は、組織および流体の含水量に比例し得る。さらに、上記のように、アルコール濃度は、個体の1つ以上の他の分析物の機能に影響を及ぼすことがあり、それによって、個体の健康または生理学的状態に影響を及ぼす。例えば、以下に説明されるセンサシステムおよび分析物センサ構成のいずれも、アルコールを検出するために使用される1つ以上の酵素を特徴とすることができる。
【0165】
エクスビボアルコール測定は、物理的な血液サンプル、尿サンプル、唾液サンプル、発汗もしくは汗サンプル、または呼気検査を採取することによって行われ得る。しかしながら、これらの測定は時間的に静的であり、場合によっては、誤った結果または不正確な結果を反映することがある。一方、分析物センサは、動的であり、経時的に更新される。アルコールセンサは、インビボアルコールレベルに応答し、「連続」測定を提供することができる。アルコールセンサは、数秒、数分、または数時間から数日、数週間、または数ヶ月などの連続的な期間にわたって複数のアルコール濃度測定を提供することができる。
【0166】
連続アルコールセンサを装着している個体は、リアルタイムアルコールレベル情報にアクセスし、それに基づいて、車両を運転するかどうか、および/またはグルコース等の他の分析物レベルがアルコールレベルに基づいて調節不全であるかどうか等の様々な決定を行うことができる。例えば、アルコールセンサは、アルコールの誤用、乱用、または依存症に苦しむ個体におけるアルコールレベルをモニタリング、試験、および/または評価するために使用されてもよい。アルコールレベルは、個体自身によって、医療従事者によって、または法執行専門家によってモニタリングされ得る。
【0167】
センサまたはリーダデバイスのディスプレイユニットを使用して、アルコール濃度に関連付けられたまたは対応する指示、提案、ガイダンス、推奨、および/または任意の他の出力を提供することができる。適切な処理アルゴリズム、プロセッサ、メモリ、電子構成要素などは、信頼できるコンピュータシステム、遠隔端末、クラウドサーバ、リーダデバイス、および/またはセンサ自体のハウジングのいずれかに存在し得る。ガイダンス、推奨、出力、および/または同等物は、センサまたはセンサシステムの1つ以上の構成要素と電子通信するディスプレイユニットまたはグラフィカルユーザインターフェース上に示され得る。ディスプレイユニットまたはデバイスは、専用リーダデバイス、またはモバイルデバイスなどのユーザ機器でもよい。代替として、ディスプレイユニットまたはデバイスは、医療専門家がアクセスできる、様々なソフトウェアアプリケーションと通信する第三者サーバ、クラウドサーバ、または遠隔端末でもよい。専用リーダデバイス、ユーザ機器、またはサーバのうちの1つは、スマートホームデバイス、ウェアラブルウォッチまたはデバイス、パーソナルヘルスモニタなどの1つ以上の2次デバイスにデータまたは出力をさらに中継してもよい。
【0168】
本明細書で具体化されるように、リーダデバイスは、プロセッサ、メモリ、入力/出力インタフェース、および通信インタフェースを含み得る。プロセッサは、コンピュータプログラムを構成する命令などの命令を実行するためのハードウェアを含む。限定ではなく、例として、命令を実行するために、プロセッサは、内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ、またはストレージから命令を取り出し(またはフェッチし)、それらを復号および実行し、次いで、1つ以上の結果を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ、またはストレージに書き込むことができる。プロセッサはまた、データ、命令、またはアドレスのための1つ以上の内部キャッシュを含んでもよい。1つ以上のプロセッサは、1つ以上の算術論理演算ユニット(ALU)を含んでもよく、またはマルチコアプロセッサであってよい。
【0169】
本明細書で具体化されるように、メモリは、プロセッサが実行するための命令またはプロセッサが動作するためのデータを記憶するためのメインメモリを含む。限定ではなく、例として、リーダデバイスは、ストレージまたは別のソースからメモリに命令をロードしてもよい。次いで、プロセッサは、メモリから内部レジスタまたは内部キャッシュに命令をロードすることができる。命令を実行するために、プロセッサは、内部レジスタまたは内部キャッシュから命令を取り出し、それらを復号することができる。命令の実行中または実行後に、プロセッサは、1つ以上の結果(中間結果または最終結果であり得る)を内部レジスタまたは内部キャッシュに書き込むことができる。プロセッサは、次いで、それらの結果のうちの1つ以上をメモリに書き込むことができる。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでもよい。このRAMは、揮発性メモリ、ダイナミックRAM(DRAM)、またはスタティックRAM(SRAM)であり得る。RAMは、シングルポートまたはマルチポートRAMであってもよく、メモリは、1つ以上のメモリを含んでもよい。
【0170】
図1Aを参照して本明細書で説明されるように、センサ110は、皮膚の真皮層または皮下層内に少なくとも部分的に挿入され得る。センサ110は、間質液内の所望の深さまで挿入するのに十分な長さのセンサ尾部を含むことができる。センサ尾部は、少なくとも1つの作用電極と、その上に配置され、アルコール(または場合によっては1つ以上の追加の分析物)を感知するために活性である1つ以上の活性エリア(感知領域/スポットまたは感知層)とを含んでもよい。例えば、活性エリアは、1つ以上の別個のスポットの形態であり得る。別個のスポットの数は、例えば、1~十数個のスポットの範囲であり得る。1つ以上の別個のスポットは、約0.1mm~約0.5mm、約0.25mm~約0.75mm、約0.05mm~約0.2mmなど、約0.01平方ミリメートル(mm)~約1.00mmの範囲であってもよく、または任意の他のより小さいもしくはより大きい値を有してもよい。
【0171】
1つ以上の活性エリアは、アルコールの検出を容易にするために使用される1つ以上の酵素を含んでもよい。活性エリアは、例えば、1つ以上の酵素が化学的に結合(例えば、共有結合、イオン結合など)されるか、または他の方法で固定化(例えば、マトリックス中で結合されない)されるポリマー材料を含み得る。例えば、各活性エリアは、少なくともアルコールの検出を容易にするために、質量制限生体適合性膜、および/または電子移動剤でオーバーコートされ得る。
【0172】
本明細書で具体化されるように、アルコールレベルは、真皮液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水などの対象となる任意の生体液中でモニタリングされ得る。
【0173】
図1Aに示されるように、センサ制御ユニット102は、センサ110によって取得されたデータをリーダデバイス120に手動でまたは自動的に転送することができる。例えば、アルコール濃度データは、自動的に、または特定の期間が経過した後に周期的に通信され得、データは、送信までメモリに記憶される(例えば、数秒毎、1分毎、5分毎、または他の所定の期間毎)。センサ制御ユニット102はまた、装着者またはユーザのアクションまたは要求に基づく非設定スケジュールに従って、リーダデバイス120と通信してもよい。例えば、センサ電子機器がリーダ装置120の通信範囲内に持ち込まれると、NFCまたはRFID技術を使用してセンサ制御ユニット102からデータを通信することができる。加えて、または代替として、Bluetooth(登録商標)が、センサ制御ユニット102からリーダデバイス120へのデータの通信を容易にするために使用されてもよい。データがリーダデバイス120に通信されるまで、データは、センサ制御デバイス102のメモリに記憶されたままでもよい。一例では、データは、センサ制御デバイス102のメモリに最大8時間記憶され得る。他の例では、データは、最大0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、10時間、12時間、24時間、または任意の他の時間数にわたって記憶され得る。次いで、センサ制御デバイス102がリーダデバイス120から所与の距離内にあるときに、データをセンサ制御デバイス102からリーダデバイス120に送信することができる。
【0174】
限定ではなく例示の目的で、本明細書で具体化されるように、例示的なアルコールセンサは、単一の作用電極の片側もしくは両側に、または2つ以上の別個の作用電極の片側もしくは両側に位置する活性エリアを含んでもよい。他の例では、アルコールセンサは、1つ以上の作用電極と、参照電極などの1つ以上の他の電極とを使用してもよい。単一の作用電極を有するセンサ構成を、図18A図18Cを参照して以下に説明する。これらのセンサ構成の各々は、1つ以上のアルコール応答性活性エリアを適切に組み込み得る。複数の作用電極を有するセンサ構成は、この後、図19および20を参照して説明される。複数の作用電極が存在する場合、1つ以上のアルコール応答性活性エリアは、複数の作用電極のうちの1つ以上に配置され、1つ以上の作用電極は、アルコールレベルの検出と協調して別の対象分析物を検出するために使用され得る。
【0175】
単一の作用電極がアルコールセンサに含まれる場合、対電極および参照電極もアルコールセンサに含まれ得る。したがって、アルコールセンサは、単一の作用電極と共に合計3つの電極を含み得る。例えば、作用電極と、対電極または参照電極などの第2の電極とが含まれ得る。一例では、対電極および参照電極は、1つの第2の電極に組み合わされ得る。2つまたは3つの電極を含む例では、アルコールセンサの1つ以上の活性エリアは、作用電極と接触し得る。1つ以上の活性エリアは、例えば、1つ以上の酵素を含んでもよい。
【0176】
様々な電極は、少なくとも部分的に互いに積み重ねられるかまたは層状にされ得る。例えば、様々な電極は、センサ尾部上で互いに横方向に離間され得る。同様に、各電極上の関連する活性エリアは、互いの最上部に垂直に積み重ねられてもよく、または横方向に離間されてもよい。様々な電極は、誘電材料または同様の絶縁体によって互いに電気的に絶縁されてもよい。
【0177】
図18Aは、本明細書で具体化される単一の活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。例えば、図18Aは、2電極センサ構成を示す。図18Aに示される分析物センサは、例えば、少なくともアルコールレベルを検出することができる。図18Aのセンサ1800は、図1Aに示されるセンサ110と同様であり得る。センサ1800は、作用電極1814と対/参照電極1816との間に配置された基材1812を含んでもよい。いくつかの例では、作用電極1814および対/参照電極1816は、基材1812の同じ側(例えば、表または裏)に配置することができ、その間に誘電材料が挿入される。活性エリア1818は、作用電極1814の一部の上に1つ以上の層として配置され得る。さらに、活性エリア1818は、1つ以上の対象分析物の検出用に構成された単一のスポットまたは複数のスポットでもよい。1つ以上の酵素は、活性エリア1818の単一スポットまたは複数のスポット上に存在し得る。
【0178】
加えて、図18Aに示すように、膜1820は、少なくとも活性エリア1818をオーバーコートすることができる。膜1820はまた、作用電極1814、対/参照電極1816、または分析物センサ1800全体の一部または全部をオーバーコートすることができる。分析物センサ1800の片面または両面は膜1820でオーバーコートされてもよい。膜1820は、活性エリア1818への分析物の流れを制限することができる1つ以上のポリマー膜材料を含んでもよい。例えば、センサ1800は、電量分析検出、電流測定検出、ボルタンメトリー検出、電位差電気化学検出、またはイオン泳動(逆イオン泳動を含む)検出のうちの少なくとも1つを使用することによって、アルコールをアッセイすることができる。
【0179】
図18Bは、本明細書で具体化される単一の活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。図18Cは、本明細書で具体化される単一の活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。例えば、図18Bおよび18Cは、3電極センサ構成を示す。図18Bおよび18Cの両方は、作用電極1814、対電極または参照電極1816、および追加の電極1817を示す。追加の電極1817は、別の対電極/参照電極または別の作用電極のどちらかであり得る。追加の電極1817は、作用電極1814または対電極/参照電極1816のどちらかの上に配置することができ、誘電材料の分離層がそれらの間に配置される。図18Bに示すように、誘電体層1819a、1819b、および1819cは、電極1814、1816、および1817を互いに分離して、電気的絶縁を提供する。一方、図18Cに示すように、電極1814、1816、および1817のうちの少なくとも1つは、基材1812の反対面上に位置してもよい。したがって、作用電極1814および対電極1816は、基材1812の反対側の面上に配置されてもよく、参照電極1817は、電極1814または1816のうちの1つの上に配置され、誘電材料によってそこから離間される。
【0180】
本明細書で具体化されるように、作用電極1814と参照電極1816とは、基材1812の反対側の面上に配置されてもよく、対電極1817は、電極1814または1816のうちの1つの上に配置され、誘電材料によってそこから離間される。さらに別の実施形態では、参照電極または対電極1816を基材1812の一方の面上に配置し、作用電極1814を反対側の面上に配置してもよい。銀(Ag)または塩化銀(AgCl)から構成され得る参照材料層1830は、電極1817上に存在し得る。参照材料層1830は、電極1817、電極1814、または電極1816上の任意の他の場所に位置してもよい。
【0181】
図18Bおよび図18Cに示すように、分析物センサ1801および1802は、活性エリア1818内に1つ以上の酵素を含んでもよい。いくつかの例では、活性エリア1818は、少なくともアルコールの検出用に構成された複数のスポットまたは単一のスポットを含み得る。分析物センサ1801および1802は、例えば、アルコール、または1つ以上の追加の分析物を、電量分析検出技術、電流測定検出技術、ボルタンメトリー検出技術、電位差電気化学検出技術、またはイオン泳動検出技術によってアッセイすることができる。
【0182】
引き続き図18Bおよび18Cを参照すると、膜1820は、センサ1801および1802において、活性エリア1818ならびに他のセンサ構成要素をオーバーコートしてもよい。追加の電極1817もまた、膜1820でオーバーコートされ得る。図18Bおよび18Cは、電極1814、1816、および1817のすべてが膜1820でオーバーコートされているものとして示されているが、他の例では、作用電極1814のみがオーバーコートされてもよく、または作用電極1814および1つの他の電極のみがオーバーコートされてもよい。電極1814、1816、および/または1817の各々における膜1820の厚さは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、膜1820がオーバーコートする電極1814、1816、および/または1817のそれぞれの表面積の量は、同じであっても異なっていてもよい。分析物センサ1801および1802の片面または両面は膜1820でオーバーコートされてもよい。あるいは、分析物センサ1801および1802の全体がオーバーコートされてもよい。
【0183】
図19は、本明細書で具体化される2つの活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。図19に示されるように、アルコールセンサ1900は、2つの作用電極、参照電極、および対電極を有する。センサ1900は、基材1902の反対側の面上に配置された作用電極1904および1906を含む。活性エリア1910は、作用電極1904の表面上に配置され、活性エリア1912は、作用電極1906の表面上に配置される。アルコールを検出するように構成された1つ以上の酵素が、活性エリア1910および1912内に存在し得る。例えば、1つ以上の活性エリア1910または1912は、アルコール濃度、およびグルコース、乳酸塩、またはケトンなどの別の対象分析物を検出するように構成されてもよい。対電極1920は、誘電体層1922によって作用電極1904から電気的に絶縁することができ、参照電極1921は、誘電体層1923によって作用電極1906から電気的に絶縁することができる。外側誘電体層1930および1932は、参照電極1921および対電極1920上にそれぞれ配置される。膜1940は、少なくとも活性エリア1910および1912をオーバーコートすることができる。分析物センサ1900の他の構成要素は、膜1940でオーバーコートされてもよく、および/または分析物センサ1900の片面もしくは両面、またはその一部は、膜1940でオーバーコートされてもよい。図18A~18Cに示される分析物センサ1800、1801、および1802と同様に、センサ1900は、電量分析技術、電流測定技術、ボルタンメトリー技術、電位差電気化学技術、またはイオン泳動技術を介して少なくともアルコールをアッセイするように動作可能であり得る。
【0184】
本明細書で具体化されるように、図19に示されるものとは異なる代替センサ構成は、別個の対電極および参照電極1920および1921の代わりに、複数の作用電極および組み合わせられた対/参照電極を含んでもよい。他の例では、対電極1920および参照電極1921の位置決めは、図19に示されたものと逆にしてもよい。さらに、作用電極1904および1906は、基材1902の同じ側に存在してもよい。
【0185】
図18A図18Cおよび図19に関する上記の説明は、1つまたは2つの作用電極を有する分析物センサ構成を主に対象としているが、他の例では、分析物センサによって2つより多くの作用電極を使用されてもよい。追加の作用電極は、追加の活性エリアおよび対応する感知能力を提供し得る。
【0186】
さらに、図18A~18Cおよび19は、電極およびその上に配置された活性エリアを有する平面基材(例えば、実質的に平坦)を示すが、分析物センサは、様々な他の構成を有してもよい。例えば、基材は、実質的に非平面(例えば、湾曲状、準半球状(semi-hemispherical)、または球状)、円筒状、螺旋状、その他の不規則な形状、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。同様に、1つ以上の電極は、実質的に非平面(例えば、比較的湾曲状、準半球状、または球状)、円筒状、螺旋状、その他の不規則な形状、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。電極は、層状に、同心円状に、または任意の他の配置で配置することができる。作用電極上に配置された感知領域は、単一層として、または正方形、円形、半円形、弓形、長方形、多角形、もしくは他の不規則な形状などの様々な形状の個別領域として、作用電極の少なくとも一部を覆うことができる。
【0187】
本明細書で具体化されるように、電子移動剤は、アルコールセンサの活性エリアの1つ以上に存在し得る。好適な電子移動剤は、アルコール分析物が酸化還元反応を受けるときに、作用電極への電子の伝達を容易にするのに役立ち得る。各活性エリア内の電子移動剤は、アルコール分析物について観察される酸化還元電位を決定づけ得る。
【0188】
図20は、本明細書で具体化される2つの活性エリアを含む例示的な分析物センサを示す断面図である。図20の分析物センサ構成は、図18Cと同様としてもよく、図20は、2つの活性エリア2018a、2018bを含む。図20に示すように、分析物センサ2000は、作用電極2014の表面上に活性エリア2018aおよび2018bを含む。活性エリア2018aは、活性エリア2018aに結合した第1の電子移動剤および第1の分析物応答性酵素を含む。活性エリア2018bは、同様に、活性エリア2018bに結合した第2の電子移動剤および第2の分析物応答性酵素を含む。本明細書で具体化されるように、第1および第2の電子移動剤は、第1の活性エリア2018aおよび第2の活性エリア2018bの酸化還元電位の分離を提供するように、組成が異なり得る。例えば、活性エリア2018bは、ケトンレダクターゼなどのアルコール応答性酵素を含んでもよく、一方、活性エリア2018aは、グルコースオキシダーゼなどのグルコース応答性酵素を含んでもよい。
【0189】
第1の活性エリア2018aおよび第2の活性エリア2018bの酸化還元電位は、第1の独立した信号が第1の活性エリア2018aによって生成され、第2の独立した信号が第2の活性エリア2018bによって生成されることを可能にするように十分に分離され得る。したがって、分析物センサ2000は、酸化還元反応が第1の活性エリア2018a内で起こるが、第2の活性エリア2018b内では起こらない第1の電位で動作し得る。グルコースなどの第1の分析物は、印加された電位が第2の活性エリア2018bとのケトンレダクターゼ反応を促進するのに十分高くないという条件で、第1の活性エリア2018aの酸化還元電位以上で選択的に検出することができる。第1の分析物の濃度は、ルックアップテーブルまたは較正曲線を参照することによって、生成された信号から決定することができる。
【0190】
同様に、第2の活性エリア2018bの酸化還元電位は、第1の活性エリア2018aおよび第2の活性エリア2018bの両方内で同時にまたはほぼ同時に生じ得る。結果として、第2の活性エリア2018bの酸化還元電位以上で生成される信号は、第1の活性エリア2018aおよび第2の活性エリア2018bの両方からの信号寄与を有する複合信号を含み得る。複合信号からアルコールなどの第2の分析物の濃度を決定するために、対応する酸化還元電位以上の第1の活性エリア2018aからの信号を複合信号から減算して、第2の活性エリア2018bのみに関連する差信号を提供することができる。第2の活性エリア2018bに関連する差信号が決定されると、ルックアップテーブルまたは較正曲線を使用して、第2の分析物の濃度を決定することができる。
【0191】
アルコールセンサの活性エリアは、例えば、感知層内に捕捉されたニコチンアミド-アデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を自由に拡散させることによってケトンレダクターゼ(KRED)に結合したX7-ワイヤードジアホラーゼに基づいてもよい。このような活性エリアは、低い酵素活性の好例となり得、センサ性能を向上させることができる。低い酵素活性は、例えば、正常に作用する分析物センサよりも約10~約10,000倍低い活性であり得る。低い酵素活性を有する活性エリアについては、酵素の固有の熱安定性が、レンダリングされた信号に対してますます重要な影響を有し得る。例えば、低酵素活性条件下では、酵素負荷を増加させることによって酵素の不安定性を補うことは困難であり得る。これは、センサの埋め込み期間にわたって、および/またはセンサの保管寿命中に、安定した感度(アルコール濃度に対する電流の比)を達成することを困難にする。安定した感度は、例えば、酵素の熱安定性を増加させることによって、および/または膜制限センサの使用によって達成することができる。提案されるピークの幅の測定の使用は、安定した感度を達成することが困難であるにもかかわらず、センサからのデータを使用してアルコール定量化を可能にすることができる。埋め込み期間は、数時間、数日、数週間、または数ヶ月であり得る。例えば、埋め込み期間は2時間~14日の範囲であり得る。
【0192】
図21Aおよび21Bは、本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。図21Aおよび図21Bは、同じ電流出力を示すが、図21Aは、1日目(9/21)から14日目(10/5)までの電流出力を示し、図21Bは、7日目(9/27)から12日目(10/2)までの電流出力に注目する。分析物センサは、例えば、エタノールセンサ2102でもよい。図21Aは、2週間にわたるエタノールセンサ2102の電流出力2104を示す。エタノールセンサ2102を装着した最初の5日間にわたって、センサを装着した個人は、様々な量および濃度のアルコール飲料を消費し、そのたびに、アルコールセンサによって生成される信号出力において識別可能なピークを生成した。このピークは、本明細書で互換的に使用されるピークの高さまたはピークの振幅によって定義することができる。ピーク信号出力は、例えば、電流、電圧、電荷、エネルギー、電位、電位差、または任意の他の信号出力であり得る。例えば、1日目(9/21)に、個体は、7%アルコール含量を有する約680g(24オンス)のビールを消費した。対応する電流出力は約5200ピコアンペアであった。2日目(9/22)に、個体は、5%アルコール含量を有する約680g(24オンス)のビールを消費し、3日目(9/23)に、個体は、7%アルコール含量を有する約680g(24オンス)のビールを消費した。対応する電流出力は、それぞれ約5100ピコアンペアおよび約3700ピコアンペアであった。4日目(9/24)に、センサを装着した個体は、アルコールを全く消費せず、5日目(9/25)に、個体は、7%のアルコール含有量を有する約453g(16オンス)のビールを消費した。5日目の対応する電流出力は約3200ピコアンペアであった。
【0193】
6~14日目(9/26~10/5)の残りの期間、個体は、アルコールを消費しなかった12日目を除いて、毎日7%のアルコール含量を有する約340g(12オンス)のビールを消費した。アルコールの量および含量は6日目~14日目の間で一貫したままであったが、電流出力は6日目の約2800ピコアンペアから14日目の約1100ピコアンペアまで変化した。示されるように、電流出力は、6日目から14日目まで着実に減少または減衰した。この減衰は、図21Aだけでなく、図22に示される電流出力(アルコール消費に起因しないバックグラウンド電流の減算後)でも見ることができる。
【0194】
図22は、本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。図22に示されるように、アルコールセンサのピーク電流の高さ2202は、図21Aの6日目から14日目のピーク電流の高さと同じであり、閾値またはバックグラウンド信号レベルが減算または除去されている。閾値またはバックグラウンド信号レベルは、ノイズレベルとも呼ばれ得る。例示的な閾値またはバックグラウンド信号レベル2106が図21Aに示されている。図21Aに示されるように、閾値またはバックグラウンド信号レベルは、1~3日目に約1000ピコアンペアで推移し、次いで、14日目の約500ピコアンペアまで直線的に減少する。閾値またはバックグラウンド信号レベルは、例えば、分析物センサの寿命の少なくとも一部の間、線形または非線形のどちらかで低下し得る。閾値またはバックグラウンド信号レベルは、例えば、分析物センサの寿命の少なくとも一部の間、線形または非線形のどちらかで傾くこともある。閾値またはバックグラウンド信号レベルは、初期装着期間後に安定化または平衡化し得る。初期装着期間は、例えば、2日、3日、4日、5日、6日、または7日であり得る。閾値またはバックグラウンド信号レベルは、例えば、分析物の非存在下で電気化学的アッセイにおいて通過した電荷に対応し得る。
【0195】
図22に示されるように、ピークの高さおよび面積は、9日間にわたって減衰し、その間、個体は、一貫した量のアルコールを消費した。例えば、6日目では、ピークの高さは約1700ピコアンペアであり、14日目では、ピークの高さは約550ピコアンペアである。しかしながら、電流出力のピークの高さは、13日目に400ピコアンペアの低さに達する。したがって、最高値から最低値へのピークの高さの全体的な減少は、約75%であり得、これは、本明細書で具体化されるように、個体が毎日一貫した量のアルコールを消費するときに起こり得る。減衰は、少なくとも部分的に、アルコールセンサ上の活性エリアの酵素の劣化によって引き起こされ得る。図21Aでは、13日目のピークの高さは14日目よりも高く現れているが、図22では、13日目のピークの高さは14日目よりも低く現れている。図22における13日目のより低いピークの高さは、13日目の、14日目よりも高い閾値またはバックグラウンド信号レベルの結果であり得る。
【0196】
ピークの高さ以外の、またはピークの高さに加えた要因に基づいて血中アルコール濃度(BAC、血中アルコール含有量とも呼ばれる)を決定することは、少なくとも部分的には経時的なピークの高さの減衰により、そのような決定の正確さを改善し得る。例えば、限定するものではないが、本明細書において具体化されるように、分析物センサは、経時的な電流信号におけるピーク信号の幅を考慮することによってBACを決定してもよい。ピーク信号の幅は、信号が閾値信号レベル、バックグラウンド信号レベル、またはノイズレベルを超える時間量であり得る。時間量は、分、時間、または日で測定することができる。ピーク信号の計算は、感知システム100またはリーダデバイス120のどちらかで実行されてもよい。例えば、図21Bに示されるように、10日目(9/30)のピーク信号の幅は、時間2108および時間2110において閾値またはバックグラウンド信号レベル2106と交差する。したがって、ピーク信号の幅は、時間2108から時間2110に及び、約2時間15分であり得る。
【0197】
アルコール分析物測定のピーク信号の幅は、アルコール代謝の他の態様と相関させることができる。例えば、アルコール排出速度(アルコールが人体によって代謝または吸収される速度を意味する)は、所与の個体について一定であり得、これは、速度が、消費されるアルコールの量とは無関係であり得ることを意味する。他の薬物は、薬物濃度に比例する排出速度を有することがあり、したがって半減期排出パターンを有するが、アルコール代謝または排出速度は、消費されたアルコールの量とは無関係であると考えることができる。したがって、ピークの幅がピークに比例し得るように、BACは線形速度で減少する。
【0198】
図23は、本明細書で具体化される例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。例えば、図23は、アルコールセンサの電流出力のピークの幅(時間単位)2304とピークの高さ(ピコアンペア単位)2302との比較を示す。図23に示すように、ピークの幅2304は約3時間で始まり、およそ33%の減衰である約2時間まで減少する。一方、ピークの高さ2302は、約1800ピコアンペアのピークで始まり、およそ75%の減衰である約400ピコアンペアまで減少する。したがって、BACは、ピーク信号の幅を考慮することによって決定することができる。さらに、限定ではなく例示のみを目的として、ピークの幅と組み合わせてピークの振幅を使用してBACを決定してもよい。
【0199】
本明細書で議論されるように、アルコール排出速度は個体間で変動し得る。ピークの幅とBACとの間の関係もまた、個体間で変動し得る。例えば、BAC決定は、例えば、限定されないが、初期装着期間であり得る較正期間中に、ピークの幅の情報をピークの振幅の情報と組み合わせることによって、そのような変動に対して調整することができる。例えば、個体のピークの幅および振幅は、装着期間の最初の10日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日間、または1日の間に測定されてもよい。個体のピークの幅および振幅は、最初の24時間の装着期間内、例えば、最初の12時間、6時間、3時間、2時間、または1時間以内に測定されてもよい。初期装着期間中にデータを捕捉することによって、測定されたピークの幅および振幅に対する酵素の劣化の影響を最小限に抑えるかまたは排除しながら、個体のピーク信号の幅および振幅を捕捉することができる。初期装着期間に測定されたこれらのピーク信号の幅および/またはピーク信号の振幅は、初期ピーク信号の幅または初期ピーク信号の振幅と呼ばれ得る。
【0200】
例えば、BACは、以下の式を使用して決定することができる。
【0201】
【数1】
【0202】
式中、BACは、血中アルコール濃度であり、K1は、較正から決定されたアルコールセンサの工場感度であり、ipeakは、ピーク信号である。アルコールセンサの較正は、アルコールセンサの製造または設計段階中に行われてもよい。例えば、較正は、ビーカー較正でもよい。工場感度は、例えば、所与の製造バッチまたはアルコールセンサに関連付けられる所定の数または係数であり得る。アルコールセンサを装着している個体は、アルコールセンサに関連付けられた識別またはコードをリーダデバイスに入力することができ、そのアルコールセンサに対応する工場感度を、アルコールセンサによって生成された信号に適用することができる。あるいは、工場感度は、装着者または別のユーザからのさらなる入力なしに、アルコールセンサ自体にプログラムされてもよい。したがって、血中アルコール濃度決定は、限定ではなく例示の目的で、各個々のアルコールセンサまたはアルコールセンサの製造バッチの感度に基づいて調整され得る。
【0203】
本明細書で具体化されるように、ピーク信号は、以下の式に基づいて決定することができる。
【0204】
【数2】
【0205】
式中、K2は、ピーク信号の幅に対するピーク信号の高さまたは振幅の比であり、ipeakは、ピーク信号であり、Widthpeakは、ピーク信号の幅である。初期装着期間中にK1およびK2が決定されると、アルコールセンサの酵素の劣化によってもたらされるピークを含む後続のピークのBACは、以下の式を使用して決定することができる。
【0206】
【数3】
【0207】
K1およびK2に基づいて決定されるBACは、ピーク信号の振幅のみに依存するのではなく、改善された、より安定したBACレベルをもたらすことができる。
したがって、血中アルコール濃度は、部分的にピーク信号の幅に基づいて決定することができる。血中アルコール濃度は、ピーク信号の振幅とピーク信号の幅との比に基づいて決定されてもよい。
【0208】
図24は、同時に装着された、本明細書で具体化される2つの例示的な分析物センサの電流出力を示すグラフである。図24は、1日目(3/28)から15日目(4/11)までの2つのセンサの電流出力、ならびに対応する血中アルコール濃度(BAC)を示す。分析物センサは、例えば、2つのエタノールセンサ2102でもよい。図24は、15日間にわたる第1のエタノールセンサの電流出力S3-1および第2のエタノールセンサの電流出力S3-2を示す。図24に示すように、出力S3-1およびS3-2は、アルコールの検出において一貫したパターンを示す。2つのエタノールセンサの装着期間中、センサを装着している個体は、様々な量のアルコール飲料を消費し、毎回、信号出力において識別可能なピークを生成した。このピークは、本明細書で互換的に使用されるピークの高さまたはピークの振幅によって定義することができる。ピーク信号出力は、例えば、電流、電圧、電荷、エネルギー、電位、電位差、または任意の他の信号出力であり得る。限定ではなく例示の目的で、1日目(3/28)に、個体は、約28g(0.98oz)の総アルコール摂取を有した。対応する電流出力ピーク2405は、約3488ピコアンペアであった。対応する血中アルコール濃度(BAC)は約0.046%である。説明のために、ピークの半分の高さで測定された対応するピーク信号の幅は、122分である。5日目(4/1)に、個体は、約28g(0.98oz)の総アルコール摂取を有した。対応する電流出力ピーク2410は、約2390ピコアンペアであった。対応する血中アルコール濃度(BAC)は約0.043%である。対応するピーク信号の幅は138分である。8日目(4/1)に、個体は、約55g(1.95oz)の総アルコール摂取を有した。対応する電流出力ピーク2415は、約3430ピコアンペアであった。対応する血中アルコール濃度(BAC)は約0.057%である。対応するピーク信号の幅は320分である。12日目(4/8)に、個体は、約23g(0.82oz)の総アルコール摂取を有した。対応する電流出力ピーク2420は、約1339ピコアンペアであった。対応する血中アルコール濃度(BAC)は約0.015%である。対応するピーク信号の幅は80分である。14日目(4/10)に、個体は、約42g(1.48oz)の総アルコール摂取を有した。対応する電流出力ピーク2425は、約2650ピコアンペアであった。対応する血中アルコール濃度(BAC)は約0.051%である。対応するピーク信号の幅は215分である。
【0209】
図25は、信号ピークで測定されたBACと、対応する電流ピークの幅との間の相関を示す図である。限定ではなく例示を目的として、線形回帰直線2505が、上述の例示的なデータ点に基づいて生成される。例えば、上述したように、アルコールセンサの酵素の劣化によってもたらされるピークを含む後続のピークのBACは、以下の式を用いて決定することができる。
【0210】
【数4】
【0211】
図26は、信号ピークで測定された総アルコール消費と、対応する電流ピークの幅との間の相関を示す図である。限定ではなく例示を目的として、線形回帰直線1005が、上述の例示的なデータ点に基づいて生成される。例えば、上述したように、総アルコール消費(TAC)およびピークの幅は線形相関する。本明細書で具体化されるように、総アルコール消費は、以下の式を用いて決定することができる。
【0212】
【数5】
【0213】
式中、K3は所定の係数とすることができる。
限定ではなく例示のみを目的として、本明細書に説明されるアルコールセンサは、個体健康モニタリング、アルコール関連のルールまたは契約の遵守の強制もしくはモニタリング、グループセラピー、および人もしくはグループの本明細書に説明されるようなBACを指し得るアルコールレベルに関する情報のための任意の他の使用を含むが、それらに限定されない、様々な目的のために使用されてもよい。例えば、限定ではないが、アルコールセンサは、ユーザによる自己モニタリング、または介護者もしくは医療提供者による遠隔モニタリングのために使用され、ユーザが、ある期間にわたって、彼らのアルコール摂取を正確にモニタリングすることを可能にし、例えば、限定ではないが、ユーザが、安全でない量のアルコール消費を識別すること、および/またはアルコール消費を所望の量に制御することを支援する。本明細書で具体化されるように、アルコールセンサは、本明細書で説明される任意の装着期間であり得る所望の期間にわたって装着され得、結果は、分析のためにユーザに報告されてもよく、および/または診察に先立って検討のためにユーザの医療提供者に報告されてもよい。
【0214】
本明細書で具体化されるように、単なる例として、アルコールセンサは、アルコールに関連する条件または制限を受ける人による犯罪罰仮釈放、執行猶予、または転用(diversion)プログラムのアルコールに関連する条件または制限の遵守を強制するために使用され得る。本明細書で具体化されるように、ユーザのアルコールレベルは、仮釈放、執行猶予もしくは転用職員、またはそのようなプログラムの条項への遵守を強制する責任を負う他のモニタリングする存在に送信され得る。追加的または代替的に、本明細書で具体化されるように、アルコールセンサを使用して、アルコールに関与する職業または職場のルールまたは規制、例えば、トラックもしくは他の自動車、機械、または他の重機の操作中または操作前のアルコールの使用に関与する安全ルールおよび規制への遵守を強制することができ、従業員のアルコールレベルを雇用者またはそのようなルールまたは規制への遵守のモニタリングを担当する他の存在に通信することができる。加えて、本明細書で具体化されるように、アルコールセンサを使用して、外部デバイス、例えば、自動車、機械、または他の重機を起動または動作停止することができ、ユーザのアルコールレベルがユーザによる安全な操作のために十分に低いことをアルコールセンサを使用して確認すると起動することができ、および/またはユーザのアルコールレベルが外部デバイスの操作のために安全でないことをアルコールセンサが示す場合、ロックまたは動作停止することができる。
【0215】
加えて、またはさらなる代替として、アルコールセンサは、アルコールの停止のためのグループサポートのために使用されてもよい。アルコール消費の停止を達成または維持することに関心がある人々の公式または非公式なグループであり得るサポートグループのメンバーは、各々がアルコールセンサを装着し、例えば、本明細書で説明されるクラウドベースのシステムおよびモニタリングアプリケーションを介して、サポートグループの他の各メンバーとアルコールセンサ情報を共有することに同意することができる。アルコールセンサ情報は、ユーザのアルコールレベルと、アクティブまたは動作しているというようなアルコールセンサの状態とを含み得る。サポートグループとアルコールセンサ情報を共有することにより、ピアサポートを通してユーザがアルコールを使用しないままでいることが奨励され得、メンバーとの奨励または介入が提供されるべきときにサポートグループに通知され得る。
【0216】
開示される主題の他の態様によれば、アルコールセンサを使用して、アルコールレベルデータに基づく個人用の洞察をユーザに提供することができる。限定ではなく例示の目的で、本明細書で具体化されるように、アルコールレベルのデータは、アルコール摂取によって引き起こされるユーザの脱水の量と相関させてもよい。アルコールレベルのデータは、例えば、本明細書で説明されるように、経時的な分析物レベルのピークの幅の測定値を使用して、経時的なユーザのBACを決定するために使用されてもよい。本明細書で具体化されるように、経時的なユーザのBACは、例えば、データ読み取りデバイス120または多目的データ受信デバイス130によって、ユーザの脱水の量と相関させてもよい。データ読み取りデバイス120または多目的データ受信デバイス130は、アルコールレベルデータから決定されたユーザの脱水の量に基づいて推奨を提供するように構成されてもよい。限定ではなく単なる例として、データ読み取りデバイス120または多目的データ受信デバイス130は、決定された脱水の量に基づいて、特定の量の口腔電解質溶液(例えば、Abbott LaboratoriesによるPedialyte(登録商標))を消費することをユーザに推奨するように構成されてもよい。そのような洞察は、他の分析物センサからのデータを含む他のデータと組み合わせて提供されてもよい。例えば、限定するものではないが、本明細書で具体化されるように、デュアルアルコール-ケトンセンサは、アルコール消費に関連する追加の洞察を提供することができる。例えば、ケトン食は、人のBACをより速く増加させることがあり、したがって、デュアルアルコール-ケトンセンサ(または別個のアルコールセンサおよびケトンセンサ)と通信するデータ読取りデバイス120または多目的データ受信デバイス130は、ユーザのケトン分析物レベルまたはケトーシスレベルが、ケトーシスでないかまたはより低いケトンレベルであるときよりも速くユーザのBACを増加させる危険があるかまたは増加させているときに、ユーザに指示を提供することができる。
【0217】
開示された主題は、限定ではなく例示の目的で特定の好ましい実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者であれば、開示された主題に対して、その範囲から逸脱することなく様々な修正および改善を行うことができることを認識するであろう。さらに、開示された主題の一実施形態の個々の特徴は、本明細書で説明され、または他の実施形態ではなく、一実施形態の図面に示され得るが、一実施形態の個々の特徴は、別の実施形態の1つ以上の特徴または複数の実施形態からの特徴と組み合わせられ得ることが容易に明らかであるはずである。
【0218】
以下で特許請求される特定の実施形態に加えて、開示される主題はまた、以下で特許請求される従属する特徴および上で開示された従属する特徴の任意の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態を対象とする。したがって、従属請求項に提示され、上で開示された特定の特徴は、他の可能な組合せで互いに組み合わせることができる。したがって、開示された主題の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。網羅的であることも、開示された主題を開示された実施形態に限定することも意図されていない。
【0219】
開示される主題の主旨または範囲から逸脱することなく、開示される主題の方法およびシステムにおいて様々な修正および変形が行われ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、開示された主題は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正品および変形品を含むことが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26