(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
(21)【出願番号】P 2022177032
(22)【出願日】2022-11-04
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】513312236
【氏名又は名称】株式会社A-gon
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】門永 清
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068998(JP,A)
【文献】特開2016-144578(JP,A)
【文献】特開2019-150396(JP,A)
【文献】特開2005-287644(JP,A)
【文献】特開2004-254894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を案内する案内ユニットと、
前記案内ユニットの下方に配置され、前記案内ユニットから少なくとも遊技球が1個通過する間隔を隔てて配置され、遊技球が通過することで遊技者に有利な特典が与えられる有利領域と、を備え、
前記案内ユニットは、
前記案内ユニットに進入してきた遊技球を滞留させることが可能な滞留部と、
前記滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に、前記滞留部に滞留している遊技球の自重によって可動し、その可動によって遊技球を前記有利領域に案内する案内率を変化させる可動体と、
を備え
、
前記可動体は、前記滞留部に遊技球が2個以上滞留している場合に、遊技球の自重によって可動することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記可動体は、前記有利領域に案内する案内率を高くすることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機において、
前記可動体は、非可動時は閉位置にあり、可動時は開位置にある羽根部材であることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1に記載の遊技機において、
前記滞留部は、遊技球が移動する速度を低下させ、遊技球を停止させることなく、一時的に遊技球を滞留させることを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項1に記載の遊技機において、
前記滞留部には、異なる2つの方向から遊技球が進入することを特徴とする遊技機。
【請求項6】
請求項1に記載の遊技機において、
前記滞留部は、すり鉢状の内周面を有し、前記内周面の底部に遊技球が通過可能な貫通孔が設けられたクルーンであることを特徴とする遊技機。
【請求項7】
請求項
6に記載の遊技機において、
前記クルーンは、傾斜が急な第1内周面と、前記第1内周面の内側に設けられ前記第1内周面よりも傾斜が緩い第2内周面と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項8】
請求項1に記載の遊技機において、
前記有利領域は、当りになる否かの抽選契機を発生させる始動口であることを特徴とする遊技機。
【請求項9】
請求項1に記載の遊技機において、
前記可動体を可動させる可動ユニットを備え、
前記可動ユニットは、
前記滞留部と、
前記滞留部を傾斜可能に支持する軸部と、
前記滞留部の裏面に配置された突起部と、
前記突起部と連結された柱部と、
前記柱部と連結され、前記可動体の方向に向かって延びたアーム部と、
前記アーム部に連結された前記可動体と、を備え、
前記滞留部に遊技球が滞留すると、前記軸部を回転中心として前記滞留部が傾斜し、前記滞留部の傾斜によって前記突起部が傾斜し、前記突起部の傾斜によって前記柱部が移動し、前記柱部の移動によって前記アーム部が移動し、前記アーム部の移動によって前記可動体が可動することを特徴とする遊技機。
【請求項10】
請求項
9に記載の遊技機において、
前記軸部は、前記滞留部の後方側に配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項11】
請求項
9に記載の遊技機において、
前記可動ユニットは、
前記柱部と対向して配置された可動しない非可動部材と、
前記柱部と前記非可動部材との間に配置され、前記柱部を前方側に付勢する付勢部材と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項12】
請求項
11に記載の遊技機において、
前記付勢部材は、前記滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に、前記付勢部材の付勢力に対抗する抵抗力が発生し、その抵抗力によって前記可動体が可動するように前記
付勢部材の付勢力が調整されていることを特徴とする遊技機。
【請求項13】
請求項1に記載の遊技機において、
前記案内ユニットは、前記案内ユニットに進入してきた遊技球を前記滞留部に向かう方向と、前記可動体に向かう方向に振分け、
前記滞留部に向かった遊技球は、前記可動体に向かうことが困難であり、
前記可動体に向かった遊技球は、前記滞留部に向かうことが困難であることを特徴とする遊技機。
【請求項14】
請求項1に記載の遊技機において、
前記滞留部は、前記滞留部に遊技球が1個も滞留していない場合には後方側に傾いて配置されており、前記滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合には水平に配置されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、手打ち用レバーを備える手打ち式の遊技機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術としては、上記のような文献が存在しているが、新規な構成を備える遊技機が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、新規な構成を備える遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段の遊技機は、遊技球を案内する案内ユニットと、前記案内ユニットの下方に配置され、前記案内ユニットから少なくとも遊技球が1個通過する間隔を隔てて配置され、遊技球が通過することで遊技者に有利な特典が与えられる有利領域と、を備え、前記案内ユニットは、前記案内ユニットに進入してきた遊技球を滞留させることが可能な滞留部と、前記滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に、前記滞留部に滞留している遊技球の自重によって可動し、その可動によって遊技球を前記有利領域に案内する案内率を変化させる可動体と、を備えることを特徴とする遊技機である。
【0008】
本解決手段の遊技機は、以下の構成を備えている。
(1)遊技球を案内する案内ユニット(下センターユニット)を備えている。
(2)案内ユニットの下方に配置され、案内ユニットから少なくとも遊技球が1個通過する間隔を隔てて配置され、遊技球が通過することで遊技者に有利な特典(出球及び抽選契機)が与えられる有利領域(第1特別図柄始動口)を備えている。
【0009】
(3)案内ユニットは、案内ユニットに進入してきた遊技球を滞留させることが可能な滞留部(クルーン)と、滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に、滞留部に滞留している遊技球の自重によって可動し、その可動によって遊技球を有利領域に案内する案内率を変化させる可動体(羽根部材)と、を備えている。
【0010】
ここで、「案内率を変化させる」とは、案内率を高くするものであってもよく、案内率を低くするものであってもよい。
例えば、20個の遊技球が案内ユニットに進入し、可動体が可動しない状態で、2個の遊技球が有利領域に案内される場合を想定する。この場合、可動体が可動しない状態の案内率は、10%(=2個案内÷20個進入×100)である。案内率を高くする場合は、20個の遊技球が案内ユニットに進入し、4個の遊技球を有利領域に案内するようにする。この場合、案内率は、20%(=4個案内÷20個進入×100)である。一方、案内率を低くする場合は、20個の遊技球が案内ユニットに進入し、1個の遊技球を有利領域に案内するようにする。この場合、案内率は、5%(=1個案内÷20個進入×100)である。
【0011】
本解決手段によれば、滞留部に遊技球が1個以上滞留すると、可動体が可動して有利領域に対する案内率が変化するといった新規な構成を有する遊技機を提供することができる。これより、遊技者が興奮する時間帯を遊技者の打ち方次第で発生させることができ、この時間帯が自動的に発生するわけではないので攻略要素も排除しつつ、案内ユニットに遊技球が進入した際に遊技球の発射を止めることがないので遊技場の稼働も向上させることができる。
【0012】
解決手段2:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記可動体は、前記有利領域に案内する案内率を高くすることを特徴とする遊技機である。
【0013】
本解決手段では、可動体は、有利領域に案内する案内率を高くする(向上させる)。
【0014】
本解決手段によれば、滞留部に遊技球を滞留させている状態を保つことにより、遊技球が有利領域に案内されやすくなるため、滞留部に遊技球を滞留させようとする動機を遊技者に対して与えることができ、遊技の促進を図ることができる。
【0015】
解決手段3:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記可動体は、前記滞留部に遊技球が2個以上滞留している場合に、遊技球の自重によって可動することを特徴とする遊技機である。
【0016】
本解決手段では、可動体は、滞留部に遊技球が2個以上滞留している場合に、遊技球の自重によって可動する。すなわち、可動体は、滞留部に遊技球が1個だけ滞留している場合には可動しない。
【0017】
本解決手段によれば、滞留部に遊技球を2個以上滞留させようとする動機を遊技者に対して与えることができ、また、滞留部に遊技球が1個しか滞留していない場合にはその1個の遊技球の滞留が終わる前にもう1個の遊技球を滞留させようとする動機を遊技者に対して与えることができ、より一層、遊技の促進を図ることができる。
【0018】
解決手段4:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記可動体は、非可動時は閉位置にあり、可動時は開位置にある羽根部材であることを特徴とする遊技機である。
【0019】
本解決手段では、可動体は、非可動時は閉位置にあり、可動時は開位置にある羽根部材である。羽根部材は、電動チューリップのような部材であるが、内部に特別図柄や普通図柄の始動領域が配置されていない点が、一般的な電動チューリップとは異なる。すなわち、羽根部材は、入口と出口を有する通路の入口を広くする役割を持っている。
【0020】
本解決手段によれば、羽根部材は、可動すると開口幅を拡大するため、遊技球を集めやすくすることができ、遊技球を効率良く下方の有利領域に案内することができる。
【0021】
解決手段5:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記滞留部は、遊技球が移動する速度を低下させ、遊技球を停止させることなく、一時的に遊技球を滞留させることを特徴とする遊技機である。
【0022】
本解決手段では、滞留部は、遊技球が移動する速度を低下させ、遊技球の進行を止めることなく、一時的に(数秒~数十秒程度にわたり)遊技球を滞留させる。
【0023】
本解決手段によれば、滞留部は、遊技球が移動する速度を低下させるので、遊技球が移動する速度を低下させない場合と比較して、より長い時間にわたり、遊技球を滞留部に滞留させることができる。また、滞留部は、遊技球の進行を止めることなく、一時的に遊技球を滞留させるため、遊技のテンポを維持しながら、遊技をスムーズに進行させることができる。
【0024】
解決手段6:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記滞留部には、異なる2つの方向から遊技球が進入することを特徴とする遊技機である。
【0025】
本解決手段では、滞留部には、異なる2つの方向(左側と右側)から遊技球が進入する。
【0026】
本解決手段によれば、滞留部には、異なる2つの方向から遊技球が進入するため、滞留部の中で遊技球同士がぶつかることがあり、遊技球の動きに変化を与えて、遊技性を向上させることができる。
【0027】
解決手段7:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記滞留部は、すり鉢状の内周面を有し、前記内周面の底部に遊技球が通過可能な貫通孔が設けられたクルーンであることを特徴とする遊技機である。
【0028】
本解決手段では、滞留部は、すり鉢状の内周面を有し、内周面の底部に遊技球が通過可能な貫通孔が設けられたクルーンである。貫通孔は1つだけ形成してもよく、複数形成してもよい。なお、滞留時間をより長くするためには、貫通孔は1つであることが好ましい。
【0029】
本解決手段によれば、滞留部に対してクルーンを採用しているため、クルーンの内部で遊技球を回転させることにより、長時間にわたり遊技球を滞留させることができる。
【0030】
解決手段8:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記クルーンは、傾斜が急な第1内周面と、前記第1内周面の内側に設けられ前記第1内周面よりも傾斜が緩い第2内周面と、を備えることを特徴とする遊技機である。
【0031】
本解決手段では、クルーンは、傾斜が急な第1内周面と、第1内周面の内側に設けられ第1内周面よりも傾斜が緩い第2内周面と、を備えている。第1内周面は、遊技球が外部に飛び出してしまうことを防止する役割を持ち、第2内周面は、遊技球をなるべく長い時間にわたり転動させる役割を持つ。
【0032】
本解決手段によれば、クルーンの内周面を第1内周面と第2内周面とに分けることよって、クルーンを平らに近い形状にすることができ、より一層、長時間にわたり遊技球を滞留させることができる。
【0033】
解決手段9:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記有利領域は、当りになる否かの抽選契機を発生させる始動口であることを特徴とする遊技機である。
【0034】
本解決手段では、有利領域は、当りになる否かの抽選契機(特別図柄抽選の抽選契機)を発生させる始動口(第1特別図柄始動口)である。
【0035】
本解決手段によれば、有利領域に対して始動口を採用しているため、遊技者にとっての1つの目標となる大当りにつながる始動口に遊技球を案内することができる。
【0036】
解決手段10:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記可動体を可動させる可動ユニットを備え、前記可動ユニットは、前記滞留部と、前記滞留部を傾斜可能に支持する軸部と、前記滞留部の裏面に配置された突起部と、前記突起部と連結された柱部と、前記柱部と連結され、前記可動体の方向に向かって延びたアーム部と、前記アーム部に連結された前記可動体と、を備え、前記滞留部に遊技球が滞留すると、前記軸部を回転中心として前記滞留部が傾斜し、前記滞留部の傾斜によって前記突起部が傾斜し、前記突起部の傾斜によって前記柱部が移動し、前記柱部の移動によって前記アーム部が移動し、前記アーム部の移動によって前記可動体が可動することを特徴とする遊技機である。
【0037】
本解決手段では、可動体を可動させる可動ユニットを備えている。この可動ユニットは、以下の構成を備えている。
(1)滞留部を備えている。
(2)滞留部を傾斜可能に支持する軸部を備えている。
(3)滞留部の裏面に配置された突起部を備えている。
(4)突起部と連結された柱部を備えている。
(5)柱部と連結され、可動体の方向に向かって延びたアーム部を備えている。
(6)アーム部に連結された可動体を備えている。
(7)そして、滞留部に遊技球が滞留すると、軸部を回転中心として滞留部が傾斜し、滞留部の傾斜によって突起部が傾斜し、突起部の傾斜によって柱部が移動し、柱部の移動によってアーム部が移動し、アーム部の移動によって可動体が可動する。
【0038】
本解決手段によれば、滞留部、軸部、突起部、柱部、アーム部、及び、可動体といった少ない部品構成で効率良く可動体を可動させることができる。
また、柱部を備えていることで、滞留部の配置位置と、可動体の配置位置とが離れている場合であっても、柱部の長さを調整する(長くしたり短くしたりする)ことで、問題なく可動体を可動させることができる。
さらに、突起部を備えていることで、滞留部に加わる力を、突起部を介して、柱部に効率良く伝達することができる。
また、アーム部を備えていることで、柱部が可動体から離れた後方位置に配置されている場合であっても、柱部からの力を無理なく、アーム部を介して可動体に伝達することができる。
【0039】
解決手段11:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記軸部は、前記滞留部の後方側に配置されていることを特徴とする遊技機である。
【0040】
本解決手段では、軸部は、滞留部の後方側に配置されている。滞留部(クルーン)は、軸部を回転中心として、遊技球の自重により、前方側(手前側)が下方側に移動する。滞留部に遊技球が滞留していない状態において、滞留部の前方側の先端は、水平位置よりも上方側の位置にあってもよく、水平位置にあってもよく、水平位置よりも下方側の位置にあってもよい。
【0041】
本解決手段によれば、軸部は、滞留部の後方側に配置されており、滞留部は、前方側が下方側に移動するため、滞留部に遊技球が滞留している場合には、遊技球が滞留している様子を視認しやすくなる。
【0042】
解決手段12:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記可動ユニットは、前記柱部と対向して配置された可動しない非可動部材と、前記柱部と前記非可動部材との間に配置され、前記柱部を前方側に付勢する付勢部材と、を備えることを特徴とする遊技機である。
【0043】
本解決手段では、可動ユニットは、以下の構成を備えている。
(1)柱部と対向して配置された可動しない非可動部材を備えている。
(2)柱部と非可動部材との間に配置され、柱部を前方側に付勢する付勢部材(バネ)を備えている。
【0044】
本解決手段によれば、付勢部材によって柱部を前方側に付勢しているので、意図せずに柱部が移動してしまうことや、意図せずに可動体が可動してしまうことを回避することができる。
【0045】
解決手段13:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記付勢部材は、前記滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に、前記付勢部材の付勢力に対抗する抵抗力が発生し、その抵抗力によって前記可動体が可動するように前記付勢部材の付勢力が調整されていることを特徴とする遊技機である。
【0046】
本解決手段では、付勢部材は、滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に、付勢部材の付勢力に対抗する抵抗力が発生し、その抵抗力によって可動体が可動する(可動部材が完全に可動する、羽根部材が開放を完了する)ように付勢部材の付勢力(バネ性、バネ力)が調整されている。
【0047】
本解決手段によれば、滞留部に遊技球が1個以上滞留すると、可動体が可動するように付勢部材の付勢力が調整されているため、滞留部に遊技球が滞留していない場合には、可動体を可動させないようにすることができる。
【0048】
解決手段14:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記案内ユニットは、前記案内ユニットに進入してきた遊技球を前記滞留部に向かう方向と、前記可動体に向かう方向に振分け、前記滞留部に向かった遊技球は、前記可動体に向かうことが困難であり、前記可動体に向かった遊技球は、前記滞留部に向かうことが困難であることを特徴とする遊技機である。
【0049】
本解決手段では、以下の構成が追加される。
(1)案内ユニットは、案内ユニットに進入してきた遊技球を滞留部に向かう方向と、可動体に向かう方向に振分ける。
(2)滞留部に向かった遊技球は、可動体に向かうことが困難である(又は、可動体には向かわない)。
(3)可動体に向かった遊技球は、滞留部に向かうことが困難である(又は、滞留部には向かわない)。
【0050】
本解決手段によれば、滞留部に向かった遊技球は、貯留部に作用する遊技球となり、可動体に向かった遊技球は、可動体に作用する遊技球となる。このため、それぞれの遊技球の役割を明確に分けることができ、遊技者にとっては分かり易い遊技性としながらも、開発者にとっては設計時のルート設計や出球設計が行いやすくなる。
【0051】
解決手段15:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記滞留部は、前記滞留部に遊技球が1個も滞留していない場合には後方側に傾いて配置されており、前記滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合には水平に配置されることを特徴とする遊技機である。
【0052】
本解決手段では、滞留部は、滞留部に遊技球が1個も滞留していない場合には後方側(奥側)に傾いて配置されており、滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合には水平(おおむね水平)に配置される。すなわち、滞留部は、遊技球の自重によって、上面(滞留面、貫通孔が形成されている面)が、傾いている状態から水平な状態に移行する。滞留部は、遊技球が1個滞留している場合に水平に配置されてもよく、遊技球が2個滞留している場合に水平に配置されてもよく、遊技球が3個以上滞留している場合に水平に配置されてもよい。
【0053】
本解決手段によれば、滞留部は、滞留部に遊技球が1個以上滞留している場合に水平に配置されるため、水平な状態の滞留部に遊技球を滞留させることができ、遊技球の滞留時間をなるべく長くすることができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、新規な構成を備える遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図3】下センターユニット100における遊技球の流れ(上振分部→左振分部、右振分部→クルーン)を示す図である。
【
図4】下センターユニット100における遊技球の流れ(上振分部→左振分部、右振分部→クルーン)を示す図である。
【
図5】下センターユニット100における遊技球の流れ(左振分部→左スロープ→中排出口)を示す図である。
【
図6】下センターユニット100における遊技球の流れ(左振分部→左スロープ→中排出口)を示す図である。
【
図7】下センターユニット100における遊技球の流れ(右振分部→中スロープ→中排出口)を示す図である。
【
図8】下センターユニット100における遊技球の流れ(右振分部→中スロープ→中排出口)を示す図である。
【
図9】盤面上の遊技球の流れ(下センターユニット→第1特別図柄始動口)を示す図である。
【
図10】クルーン54及び可動体73等の動作を示す図である。
【
図11】クルーン54及び可動体73等の動作を示す図である。
【
図12】可動体非可動時の可動ユニット200を示す図である。
【
図13】可動体可動時の可動ユニット200を示す図である。
【
図14】可動体73が可動している際の遊技球の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、遊技機1の正面図である。
本明細書では、遊技機1に向かって着席した遊技者から見て左側を左とし、遊技者から見て右側を右とし、遊技者から見て上側を上とし、遊技者から見て下側を下とし、遊技者から見て手前側を前(表)とし、遊技者から見て奥側を後(裏)として説明する。
遊技機1は、外枠2と、外枠2の後方に配置された内枠3と、を備えている。
外枠2は、遊技場内の島設備に固定される。内枠3には、後述する遊技盤10が固定される。
【0057】
外枠2の下部には、球保持部4が配置されている。球保持部4は、遊技球を貯留する部材であり、球保持部4に貯留された遊技球は、ハンドル7に案内される。
外枠2の上部には、円形状の開口部5が形成されており、この開口部5内にガラス6が取付けられている。後述する遊技盤10は、この開口部5を通じて前面側から遊技者に視認可能である。
【0058】
球保持部4の右下には、ハンドル7が設置されている。遊技者はこのハンドル7を操作することで後述する遊技盤10に形成された遊技領域12に向けて遊技球を発射することができる。
【0059】
図2は、遊技盤10の正面図である。
遊技盤10は、土台となる遊技板11を備えており、この遊技板11の前面側に遊技領域12が形成されている。
【0060】
遊技領域12の中央には、上部に上センターユニット20が配置され、中央下部寄りに下センターユニット100が配置されている。
【0061】
上センターユニットは、上センターユニット入口21と、上センターユニット誘導路22と、上ステージ23と、を備えている。
上センターユニット入口21は、上センターユニット20の上部の左右に2つ配置され、遊技球を上センターユニット20に進入させるための入口である。
上センターユニット誘導路22は、上センターユニット20の左右の両端に配置され、上センターユニット入口21に進入した遊技球を上ステージ23に案内する通路である。
上ステージ23は、上センターユニット誘導路22によって誘導されてきた遊技球を左右に転動させた後に、下センターユニット100の方向に向けて放出する部分である。上ステージ23の中央には、遊技球1個分の切り欠き24が形成されており、遊技球が真下に落下しやすいようになっている。なお、真下に落下した遊技球は、基本的には、下センターユニット100に進入しやすくなっているが、横から進行してきた遊技球に弾かれて下センターユニット100に進入しないこともある。
下センターユニット100の詳細は、後述する。
【0062】
遊技領域12の左側には、3個の普通入賞口25が配置されている。また、遊技領域12の下センターユニット100の下側には、第1特別図柄始動口26(有利領域)が配置されている。
また、遊技領域12の右側には、上から順番に、普通図柄始動ゲート27、普通電動役物28(第2特別図柄始動口29)、上アタッカー30(第1大入賞口31)、下アタッカー32(第2大入賞口33)、普通入賞口25が配置されている。
普通電動役物28や上アタッカー30、下アタッカー32は、電動チューリップタイプの装置であってもよく、長方形の開閉部材を備えるタイプの装置であってもよい。
【0063】
普通入賞口25は、遊技球が入賞した場合に、第1規定数(例えば、5個)の遊技球を払出す入賞口である。
第1特別図柄始動口26は、遊技球が入賞した場合に、第2規定数(例えば、3個)の遊技球を払出しつつ、第1特別図柄抽選の抽選契機を発生させる(当りになる否かの抽選契機を発生させる)ための入賞口である。
【0064】
また、第1特別図柄始動口26は、下センターユニット100の下方に配置され、下センターユニット100の下端部から少なくとも遊技球が1個通過する間隔(距離L参照)を隔てて配置され、遊技球が通過することで遊技者に有利な特典(遊技球の払出し及び第1特別図柄の抽選契機の発生)が与えられる始動口である。
距離Lは、少なくとも遊技球が1個通過する(下センターユニット100と第1特別図柄始動口26との間を左右に遊技球が1個通過する)ことが可能な距離であればよく、遊技球が2個通過することが可能な距離であってもよく、遊技球が3個以上通過することが可能な距離であってもよい。
【0065】
普通図柄始動ゲート27は、遊技球が通過した場合に、普通図柄抽選の抽選契機を発生させるためのゲートである。
普通電動役物28は、普通図柄抽選で当選した場合に作動し、内部にある第2特別図柄始動口29を開放する。
第2特別図柄始動口29は、遊技球が入賞した場合に、第3規定数(例えば、3個)の遊技球を払出しつつ、第2特別図柄抽選の抽選契機を発生させるための入賞口である。なお、第1特別図柄及び普通図柄の保留数はそれぞれ4個とし、第2特別図柄の保留数は0個(なし)とすることができる。ただし、第2特別図柄の保留数は遊技の仕様に応じて1~4個としてもよい。
【0066】
上アタッカー30は、特定領域を備える特別電動役物であり、第2特別図柄抽選で小当りに当選した場合に作動し、内部にある第1大入賞口31を開放する。第1大入賞口31は、第1規定時間(例えば、最大1.8秒)が経過するか規定数(例えば10個)の入賞があるまで開放し、遊技球が入賞した場合に、第4規定数(例えば、1個につき15個)の遊技球を払出す。
【0067】
下アタッカー32は、特定領域を備えない特別電動役物であり、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選で大当りに当選した場合や、遊技球が上アタッカー30の内部にある特定領域を通過した場合に作動し、内部にある第2大入賞口33を開放する。
第2大入賞口33は、第2規定時間(例えば、30秒未満)が経過するか規定数(例えば10個)の入賞があるまで開放し、遊技球が入賞した場合に、第5規定数(例えば、1個につき15個)の遊技球を払出す。
【0068】
遊技領域12の左側部分は、通常遊技状態(非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域)である。遊技領域12の右側部分は、特殊遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域)である。
【0069】
遊技領域12の下部にはアウト口34が形成されており、各種入賞口に入賞しなかった遊技球はアウト口34を通じて遊技盤10の裏側へ回収される。なお、各種入賞口に入賞した遊技球も、遊技盤10の裏側へ回収される。
【0070】
また、遊技盤10の右下には、メイン表示器35が配置されている。メイン表示器35には、普通図柄の変動及び停止を行う普通図柄表示装置、普通図柄の保留数を表示する普通図柄保留ランプ、第1特別図柄の変動及び停止を行う第1特別図柄表示装置、第1特別図柄の保留数を表示する第1特別図柄保留ランプ、第2特別図柄の変動及び停止を行う第2特別図柄表示装置、第2特別図柄の保留数を表示する第2特別保留ランプ、時間短縮状態表示ランプ、ラウンドランプ、右打ちランプ等が設けられおり、LEDの点灯又は消灯により必要な情報を表示する。
【0071】
さらに、上センターユニット20の中央には、ドット表示器36が配置されている。ドット表示器36では、ドットの表示によって左演出図柄、中演出図柄、右演出図を表示し、これらの演出図柄を用いて変動表示演出を実行する。これにより、第1特別図柄抽選の結果や、第2特別図柄抽選の結果を表示することができる。
【0072】
例えば、演出図柄が3つ揃いしなかった場合には、抽選結果がはずれであること示し、演出図柄が奇数の演出図柄で3つ揃いした場合には、抽選結果が大当りでありかつ時間短縮状態に突入する当選図柄に該当したことを示し、演出図柄が偶数の演出図柄で3つ揃いした場合には、抽選結果が大当りでありかつ時間短縮状態に突入しない当選図柄に該当したことを示すことができる。なお、小当りに当選した場合は、Vの文字情報を表示することができる。
【0073】
次に、下センターユニット100の詳細について説明する。
図3及び
図4は、下センターユニット100における遊技球の流れ(上振分部→左振分部、右振分部→クルーン)を示す図である。
下センターユニット100(案内ユニット)は、遊技球を案内するユニット(構造物)である。下センターユニット100の内部には、入賞口が配置されていない。このため、下センターユニット100は、遊技球が進行する方向を単純に変化させる(振分ける)ためのユニットとなる。
【0074】
下センターユニット100は、下センターユニット入口50と、上振分部51と、左振分部52と、右振分部53と、クルーン54(滞留部)と、落下球案内通路55と、を備えている。
【0075】
下センターユニット入口50は、下センターユニット100の上部に配置され、遊技球を下センターユニット100に進入させるための部分である。下センターユニット入口50には、遊技球が下センターユニット入口50を通過したことを検出する下センターユニット入口スイッチ56が設けられている。
【0076】
上振分部51は、下センターユニット入口50の下部に配置され、下センターユニット入口50に進入した遊技球を左右に振分ける部分である。具体的には、上振分部51は、左右方向に延びて配置された板状部材57と、上下方向に延びて配置された扇形部材58と、扇形部材58を駆動する上振分部ソレノイド59を備えている。そして、上振分部ソレノイド59を動作させて扇形部材58を円弧上で左右に可動させることにより、板状部材57が左右に交互に傾くようになっている。上振分部51は、1対1の割合で遊技球を左右に振分けてもよく、いずれかに偏った割合で遊技球を左右に振分けてもよい。
【0077】
左振分部52は、上振分部51の左下に配置され、左振分部遊技釘60を備えており、上流から進行してきた遊技球(上振分部51によって左側に振分られた遊技球)を、左振分部遊技釘60に衝突させることによって、左右に振分ける。
右振分部53は、上振分部51の右下に配置され、右振分部遊技釘61を備えており、上流から進行してきた遊技球(上振分部51によって右側に振分られた遊技球)を、右振分部遊技釘61に衝突させることによって、左右に振分ける。
【0078】
クルーン54は、上振分部51の下方に配置され、下センターユニット100に進入してきた遊技球を滞留させることが可能な部材である。クルーン54は、遊技球が移動する速度を低下させ、遊技球を停止させることなく、一時的に遊技球を滞留させる。クルーン54の後方には、クルーンに対する進入角度が異なる2つの案内通路62、63(遊技球を左斜め上からクルーン54に案内する案内通路62、遊技球を右斜め上からクルーン54に案内する案内通路63)が形成されており、クルーン54には、異なる2つの方向から遊技球が進入する(
図4参照)。
【0079】
クルーン54は、すり鉢状の内周面を有し、内周面の底部に遊技球が通過可能な貫通孔64が設けられた部材である。また、クルーン54は、傾斜が急な第1内周面65と、第1内周面65の内側に設けられ第1内周面よりも傾斜が緩い第2内周面66と、を備えている。貫通孔64は、クルーン54の中心(第2内周面66の中心)に設けられている。
【0080】
落下球案内通路55は、クルーン54の下方に配置され、クルーン54の貫通孔64から落下してきた遊技球を下センターユニット100の内部の右端に案内する部材である。
【0081】
図3に示すように、遊技球が下センターユニット入口50から、下センターユニット100に入球すると(矢印A1)、遊技球は、上振分部51(常時一定のソレノイド可動)によって左右のルートに振分けられる(矢印A2、矢印A3)。左ルートへ振分けられた遊技球は、左振分部52の左振分部遊技釘60によって、内側ルート(矢印A4)と外側ルート(矢印A5)とに振分けられる。右ルートも同じように、右振分部53の右振分部遊技釘61によって、内側ルート(矢印A6)と外側ルート(矢印A7)に振分けられる。
【0082】
図4に示すように、左振分部52や、右振分部53から内側ルート(矢印A4、矢印A6)に振分けられた遊技球は、中央上部に配置されているクルーン54に案内され、クルーン54内を回転する(矢印A7)。ある程度時間が経過し、遊技球に勢いがなくなると(遊技球の速度が低下すると)、クルーン54の中央に配置された貫通孔64に近づき、最終的には、貫通孔64から下方に落下する。そして、落下した遊技球は、落下球案内通路55によって下センターユニット100の内部の右端に案内され、その後、下ステージの右側から盤面上へ排出される(矢印A8)。
【0083】
矢印A8のルートを辿る遊技球は、可動体73が可動していても、基本的には、可動体73に拾われることはない。ただし、遊技球が複数連なって矢印A8のルートに進行している場合には、遊技球同士の衝突によって、可動している可動体73に拾われる可能性はある。
【0084】
図5及び
図6は、下センターユニット100における遊技球の流れ(左振分部→左スロープ→中排出口)を示す図である。
下センターユニット100は、左スロープ70と、下ステージ71と、リブ72と、可動体73と、左排出口74と、中排出口75と、右排出口76と、を備えている。
左スロープ70は、下センターユニット100の左下であって、下ステージ71の左側に配置され、傾斜角度を変更可能な通路である。左スロープ70は、図示しないモータによって駆動する。
下ステージ71は、上面に左右方向に延びた遊技球の転動面を備えており、転動面は手前側(遊技者側)に傾斜している。
リブ72は、下ステージ71よりも手前側に配置された上下方向に延びた2つの板状の部材である。リブ72は、可動体73の上部に位置している。
【0085】
可動体73は、クルーン54に遊技球が2個以上滞留している場合に、クルーン54に滞留している遊技球の自重によって可動し、その可動によって遊技球を第1特別図柄始動口26(
図1参照)に案内する案内率を変化させる部材である。
本実施形態では、可動体73は、可動することによって、第1特別図柄始動口26に遊技球を案内する案内率を向上させる。可動体73は、非可動時は閉位置(
図10参照)にあり、可動時は開位置(
図11参照)にある2つの羽根部材である。
【0086】
図5に示すように、左排出口74は、2つの可動体73の間を通過せずに、左側に流れた遊技球が通過する部分であり、遊技球が左排出口74を通過したこと検出する左排出口スイッチ77が設けられている。
中排出口75は、2つの可動体73の間を通過した遊技球が通過する部分であり、遊技球が中排出口75を通過したこと検出する中排出口スイッチ78が設けられている。
右排出口76は、2つの可動体73の間を通過せずに、右側に流れた遊技球が通過する部分であり、遊技球が右排出口76を通過したこと検出する右排出口スイッチ79が設けられている。
【0087】
図5に示すように、左振分部52にて外側に振分けられた遊技球は、左スロープ70へ案内される(矢印A5)。左スロープ70は、モータの駆動により常時傾斜角度が可変する。遊技球が左スロープ70に落下したタイミングの傾斜角度により、中排出口75の入口(2つのリブ72の間:X参照)に向かう遊技球の勢いに変化が生まれる。いずれにしても、左スロープ70に落下した遊技球は、中排出口75の入口(X参照)に向かって進行していく(矢印A9)。
【0088】
図6に示すように、左スロープ70を経由した遊技球は、下ステージ71上を中央方向へ向かって転がる。下ステージ71は、遊技者側に傾斜しており、遊技球の勢いが弱いと、中排出口75の入口(X参照)に到達する前に手前に転がり、左排出口74へ落下する(矢印A10)。逆に、遊技球の勢いが強いと中排出口75の入口(X参照)を超えて右排出口76へ落下する(矢印A11)。遊技球の勢いが丁度よいと、中排出口75の入口(X参照)から2つの可動体73の間を通って、中排出口75へ落下する(矢印A12)。
【0089】
図7及び
図8は、下センターユニット100における遊技球の流れ(右振分部→中スロープ→中排出口)を示す図である。
下センターユニット100は、中スロープ80と、回転体81と、を備えている。
中スロープ80は、下センターユニット100の中央であって、回転体81の奥側に配置され、傾斜角度を変更可能な傾斜した通路である。中スロープ80は、図示しないモータによって駆動する。
回転体81は、中スロープ80と可動体73との間に配置され、十字状の溝が形成された部材である。回転体81は、図示しないモータによって駆動する。
【0090】
図7に示すように、右振分部53にて外側に振分けられた遊技球は、中スロープ80へ案内される(矢印A7)。中スロープ80は、モータの駆動により常時傾斜角度が可変する。遊技球が中スロープ80に落下したタイミングの傾斜角度により、中排出口75の入口(X参照)に向かう球の勢いに変化が生まれる。
【0091】
図8に示すように、中スロープ80へ落下した遊技球は、回転体81へ向かう。回転体81は、モータ駆動により常時回転しており、回転体81の角度、遊技球の勢い等の影響によって、遊技球は下流の各排出口(左排出口74、中排出口75、右排出口76)へ向かう(矢印A20、矢印A21、矢印A22)。
【0092】
このように、下センターユニット100は、下センターユニット100に進入してきた遊技球をクルーン54に向かう方向と(
図4参照)、可動体73に向かう方向に振分ける(
図5~
図8参照)。そして、クルーン54に向かった遊技球は、可動体73に向かうことが困難である。一方、可動体73に向かった遊技球は、クルーン54に向かうことが困難である。
【0093】
図9は、盤面上の遊技球の流れ(下センターユニット→第1特別図柄始動口)を示す図である。
左スロープ70や回転体81を経由した遊技球は、左排出口74、中排出口75、右排出口76のいずれかから、下センターユニット100の外部に排出される。各排出口によって、盤面上の第1特別図柄始動口26に対する入賞率に違いが生まれる。
【0094】
例えば、左排出口74や右排出口76から下センターユニット100の外部に排出された遊技球は(矢印A30)、盤面上を流下するその他の遊技球と衝突でもしない限り、第1特別図柄始動口26に入賞することは困難である。
一方、中排出口75から下センターユニット100の外部に排出された遊技球は(矢印A31)、ほとんどの遊技球が、第1特別図柄始動口26に入賞する。
【0095】
なお、盤面上の遊技釘の配置は、任意の位置に配置することができるが、左排出口74や右排出口76を通過した遊技球が第1特別図柄始動口26に向かいにくく、中排出口75を通過した遊技球が第1特別図柄始動口26に向かいやすい釘構成とすることができる。ただし、左排出口74や右排出口76を通過した遊技球が、第1特別図柄始動口26に向かう可能性を高めるために、左排出口74や右排出口76の下方には遊技釘を配置しないようにしてもよい。
【0096】
図10及び
図11は、クルーン54及び可動体73等の動作を示す図である。
クルーン54に数個(本実施形態では2個以上)の遊技球が滞留した場合、遊技球の重さで(遊技球の自重により)、クルーン54がわずかに沈む。そして、その動きに連動して、中排出口75の上部に配置されている可動体73が可動する(
図10→
図11)。ある程度の時間が経過し、クルーン54内の遊技球がすべて貫通孔64から落下すると、バネの力により、クルーン54が元に位置に戻り、可動体73も元に位置に戻る(
図11→
図10)。
【0097】
図12は、可動体非可動時の可動ユニット200を示す図である。
図13は、可動体可動時の可動ユニット200を示す図である。両図の(A)は、可動ユニット200を右斜め上から見た斜視図を示しており、両図の(B)は、可動ユニット200を右斜め下から見た斜視図を示している。
可動ユニット200は、可動体73を可動させるユニットであり、下センターユニット100の内部に配置されている。
図12に示すように、可動ユニット200は、クルーン54と、軸部90と、突起部91と、柱部92と、アーム部93と、可動体73と、非可動部材94と、バネ95(付勢部材)と、を備えている。
【0098】
クルーン54の詳細は、上述した通りである。
軸部90は、クルーン54を傾斜可能に支持する円柱形状の部材である。また、軸部90は、クルーン54の後方側に配置されている。
突起部91は、クルーン54の裏面に配置された側面視三角形形状の部材である。突起部91は、クルーン54の後端部の裏面に設置され、クルーン54と一体化されている。
【0099】
柱部92は、突起部91と連結された部材であり、上下方向に延びている。突起部91と柱部92とは、ピンやボルト等で接合されている。柱部92の下端部は二股になっており、その二股の間にアーム部93の後端に配置された部材が入り込んでいる。このため、柱部92が後方側に移動すると、柱部92にアーム部93が引っ張られて、アーム部93も後方側に移動する。
【0100】
アーム部93は、柱部92と連結され、可動体73の方向に向かって延びた部材(前後方向に延びた部材)であり、前方側が上面視Y字型の部材となっている。アーム部93の前方側の先端には、上面視C字型の把持部96が、ピンや棒状部材により構成されたリンク機構97を介して取付けられている。
【0101】
可動体73は、アーム部93に連結されている。可動体73は、可動体73の下部に配置された回転軸部材73aと、可動体73の裏面からアーム部93側に向かって延びるピン73bと、を備えており、2つの把持部96がそれぞれ左右に移動することによって、ピン73bが左右に引っ張られ、回転軸部材73aを回転中心として可動体73が可動する(羽根部材が開放する)。
【0102】
非可動部材94は、柱部92と対向して配置された可動しない部材である。すなわち、柱部92が移動しても、非可動部材94は移動しない。なお、非可動部材94は、実際には図示のものよりも大きい部材であるが、説明の便宜のため大きさを小さくして表示している。
【0103】
バネ95は、柱部92と非可動部材94との間に配置され(取付けられ)、柱部92を前方側に付勢する部材である。また、バネ95は、クルーン54に遊技球が2個以上滞留している場合に、バネ95の付勢力に対抗する抵抗力が発生し、その抵抗力によって可動体73が可動する(完全に可動する)ようにバネ95の付勢力が調整されている。
【0104】
図12に示すように、クルーン54に遊技球が滞留していない状態では、可動体73は可動しない。なお、クルーン54に遊技球が1個だけ滞留している状態でも、可動体73は可動しない。
一方、
図13に示すように、クルーン54に遊技球が2個以上滞留すると、軸部90を回転中心としてクルーン54が下側に傾斜し、クルーン54の傾斜によって突起部91が傾斜し(突起部91が後方に押され)、突起部91の傾斜によって柱部92が移動し(柱部92が後方に移動し)、柱部92の移動によってアーム部93が移動し(アーム部93が後方に移動し)、アーム部93の移動によって可動体73が可動する。
【0105】
クルーン54は、クルーン54に遊技球が1個も滞留していない場合には後方側に傾いて配置されており(
図10、
図12)、クルーン54に遊技球が2個以上滞留している場合には水平に配置される(
図11、
図13)。すなわち、クルーン54は、通常時(クルーン54に遊技球が滞留していない非滞留時)は奥側に傾いており、クルーン54に遊技球が2個以上滞留すると、クルーン54が水平(遊技機の設置に関する傾斜は含まない)になるような形状になっている。具体的には、クルーン54の前方側の先端は、クルーン54に遊技球が1個も滞留していない場合には、クルーン54が水平となる位置よりも上側に位置しており、クルーン54に遊技球が2個以上滞留している場合には、遊技球の自重によってクルーン54が水平となる位置まで移動する。
【0106】
図14は、可動体73が可動している際の遊技球の流れを示す図である。
可動体73が可動している間は、左スロープ70、中スロープ80のいずれのルートを通過してきた遊技球も、中排出口75に向かいやすくなっており、結果として、第1特別図柄始動口26に対する入賞率が向上するようになっている。
【0107】
すなわち、左スロープ70から流れてくる遊技球は、勢いが弱い遊技球であっても(矢印A41)、勢いが強い遊技球であっても(矢印A42)、可動している可動体73に拾われて中排出口75に向かいやすくなっている。ただし、極端に勢いが弱い遊技球や、極端に勢いが強い遊技球は、可動体73が可動していても、可動体73に拾われない可能性もある。
【0108】
また、中スロープ80から流れてくる遊技球は、進行方向が左にそれた遊技球であっても(矢印A43)、進行方向が右にそれた遊技球であっても(矢印A44)、可動している可動体73に拾われて中排出口75に向かいやすくなっている。ただし、極端に進行方向が左にそれた遊技球や、極端に進行方向が右にそれた遊技球は、可動体73が可動していても、可動体73に拾われない可能性もある。
なお、回転体81の前方側の左右に直立壁を配置して、中スロープ80から流れてくる遊技球を可動体73の方向に向かいやすいようにすることもできる。
【0109】
図15は、遊技機1のブロック図である。
遊技機1は、主制御基板300と、演出制御基板400と、払出制御基板500と、を備えている。
主制御基板300は、遊技の進行に関する内容を制御する。演出制御基板400は、遊技の演出に関する内容を制御する。払出制御基板500は、遊技球の払出しに関する内容や遊技球の発射に関する内容を制御する。また、払出制御基板500は、ハンドル7の制御も行う。主制御基板300は、演出制御基板400及び払出制御基板500と通信可能である。演出制御基板400は、主制御基板300と通信可能であるが、この通信は、主制御基板300から演出制御基板400に対する片方向のみである。
【0110】
主制御基板300には、各種スイッチ301、メイン表示器35、各種ソレノイド302、各種モータ303が接続されている。各種スイッチ301には、普通図柄始動ゲート27、第1特別図柄始動口26、第2特別図柄始動口29、大入賞口、特定領域、普通入賞口(一般入賞口)に対応するスイッチや、下センターユニット100に配置された下センターユニット入口スイッチ56、中排出口スイッチ78、左排出口スイッチ77、右排出口スイッチ79等が含まれている。
【0111】
主制御基板300は、各種スイッチ301の情報に基づいて遊技を制御し(第1特別図柄抽選処理、第2特別図柄抽選処理、普通図柄抽選処理、第1特別図柄変動・停止処理、第2特別図柄変動・停止処理、普通図柄変動・停止処理、当選図柄決定処理、遊技状態移行処理、大当り遊技実行処理、小当り遊技実行処理、メイン表示器制御処理、エラー処理等を実行し)、必要に応じて演出制御基板400や払出制御基板500にコマンドを送信する。
【0112】
下センターユニット入口スイッチ56、中排出口スイッチ78、左排出口スイッチ77、右排出口スイッチ79は、音や光による演出用として使用したり、入球数と排出数とを管理してエラー報知用として使用したりすることができる。
【0113】
メイン表示器35には、上述したように、普通図柄表示装置や特別図柄表示装置等が含まれている。各種ソレノイド302には、普通電動役物や特別電動役物を作動させるソレノイドや、上振分部51を作動させるソレノイドが含まれている。各種モータ303には、回転体81を回転させるモータや、左スロープ70、中スロープ80を可動させるモータが含まれている。なお、モータに関しては、1つのモータで複数の可動物を可動させてもよく、1のモータで1つの可動物を可動させてもよい。
【0114】
演出制御基板400には、ドット表示器36、スピーカ401及びランプ402が接続されている。演出制御基板400は、主制御基板300から送信されたコマンドを受信し、受信したコマンドに基づいて演出の内容を決定し、ドット表示器36、スピーカ401及びランプ402を用いて演出を実行する。
【0115】
図16は、遊技機1の仕様を示す図である。
〔大当り確率、小当り確率、はずれ確率〕
第1特別図柄抽選での大当り確率は1/50であり、第2特別図柄抽選での大当り確率は1/50である。
第1特別図柄抽選では小当りに当選することはなく、第2特別図柄抽選での小当り確率は48/50(ほぼ1/1)である。
第1特別図柄抽選でのはずれ確率は49/50であり、第2特別図柄抽選でのはずれ確率は1/50である。なお、第2特別図柄抽選では、はずれに該当しないようにしてもよく、この場合、第2特別図柄抽選での小当り確率は49/50(ほぼ1/1)となる。
【0116】
〔当選図柄〕
第1特別図柄抽選で大当りに当選した場合、50%の確率で10ラウンド時短有大当り図柄が選択され、50%の確率で3ラウンド時短無大当り図柄が選択される。
第2特別図柄抽選で大当りに当選した場合、80%の確率で10ラウンド時短有大当り図柄が選択され、20%の確率で10ラウンド時短無大当り図柄が選択される。
第2特別図柄抽選で小当りに当選した場合、80%の確率で10ラウンド時短有小当り図柄が選択され、20%の確率で10ラウンド時短無小当り図柄が選択される。
【0117】
〔時短回数〕
時短有の当選図柄で当選した場合、時短回数は100回となる(時間短縮状態に移行する)。一方、時短無の当選図柄で当選した場合、時短回数は0回となる(時間短縮状態には移行しない)。時間短縮状態に移行すると、非時間短縮状態と比較して、普通図柄や特別図柄の変動時間が短くなり、普通電動役物の開放時間も延長される。
【0118】
大当りに当選した場合は、下アタッカー32が作動する。3ラウンドの大当りの場合は、約450個(=3ラウンド×1ラウンドの出球(150=10回入賞×15球払出し))の遊技球が払出され、10ラウンドの大当りの場合は、約1500個(=10ラウンド×1ラウンドの出球(150=10回入賞×15球払出し))の遊技球が払出される。
【0119】
小当りに当選した場合は、1ラウンド目では上アタッカー30が作動し、上アタッカー30の内部にある特定領域を遊技球が通過すると、2ラウンド目から10ラウンド目までは下アタッカー32が作動する。なお、1ラウンド目で遊技球が特定領域を通過しなかった場合は、いわゆるパンクとなって小当り遊技は終了し、再び、第2図柄抽選からやり直しとなる。小当りの開放時間は、最大1.8秒であるが、上アタッカー30に、傾斜の緩い幅広のスライドアタッカを採用し、小当り中に上アタッカー30を1.8秒以内の時間で複数回開放することで、小当り中にもしっかりと出球を得ることが可能である。結果として、10ラウンドの小当りの当選図柄に該当した場合にも、約1500個(=10ラウンド×1ラウンドの出球(150=10回入賞×15球払出し))の遊技球が払出される。
【0120】
本実施形態では、下センターユニット100の通過率は1/10程度となっており(下センターユニット100に10個の遊技球が進入すると、そのうちの1個程度が第1特別図柄始動口26に入賞するようになっており)、実質的な大当り確率(初当り確率)は、1/500程度となっている。ただし、これらの具体的な数値はあくまで例示であり、遊技の仕様に応じて任意に変更することができる。
【0121】
図17は、遊技機1のゲームフローを示す図である。
遊技機1で遊技を開始する場合、通常状態(非時間短縮状態)から遊技を開始する(F01)。
ハンドル7を用いて遊技球を発射し、上センターユニット20及び下センターユニット100を通過させる(F02)。
第1特別図柄始動口26に遊技球が入賞すると、第1特別図柄抽選が実行され、第1特別図柄が変動する(F03)。
第1特別図柄がはずれの態様で停止表示されると、F01に戻ってやり直しとなる(F04)。
【0122】
第1特別図柄が大当りの態様で停止表示され(F05)、時短無の当選図柄に該当していた場合、大当り遊技が実行された後に、F01に移行する(F06)。
一方、第1特別図柄が大当りの態様で停止表示され(F05)、時短有の当選図柄に該当していた場合、大当り遊技が実行された後に、連荘状態(時間短縮状態)に移行する(F07)。
【0123】
連荘状態(時間短縮状態)では、通常状態(非時間短縮状態)と比較して、普通電動役物28が高頻度で作動する状態となるため、普通電動役物28に向かって遊技球を発射することにより、第2特別図柄始動口29に遊技球を入賞させることができる。
【0124】
第2特別図柄始動口29に遊技球が入賞すると、第2特別図柄抽選が実行され、第2特別図柄が変動する(F09)。
第2特別図柄がはずれの態様で停止表示されると(F10)、F08に戻ってやり直しとなる。
【0125】
第2特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示され(F11)、時短無の当選図柄に該当していた場合(F12)、大当り遊技が実行された後に、F01に移行する。
一方、第2特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示され(F11)、時短有の当選図柄に該当していた場合(F13)、大当り遊技が実行された後に、再び、F08の連荘状態(時間短縮状態)に移行する。
【0126】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態によれば、クルーン54に遊技球が2個以上滞留すると、可動体73が可動して第1特別図柄始動口26に対する案内率が変化するといった新規な構成を有する遊技機1を提供することができる。これより、遊技者が興奮する時間帯を遊技者の打ち方次第で発生させることができ、この時間帯が自動的に発生するわけではないので攻略要素も排除しつつ、下センターユニット100に遊技球が進入した際に遊技球の発射を止めることがないので遊技場の稼働も向上させることができる。
【0127】
(2)本実施形態によれば、クルーン54に遊技球を滞留させている状態を保つことにより、遊技球が第1特別図柄始動口26に案内されやすくなるため、クルーン54に遊技球を滞留させようとする動機を遊技者に対して与えることができ、遊技の促進を図ることができる。
【0128】
(3)本実施形態によれば、クルーン54に遊技球を2個以上滞留させようとする動機を遊技者に対して与えることができ、また、クルーン54に遊技球が1個しか滞留していない場合にはその1個の遊技球の滞留が終わる前にもう1個の遊技球を滞留させようとする動機を遊技者に対して与えることができ、より一層、遊技の促進を図ることができる。
【0129】
(4)本実施形態によれば、可動体73の羽根部材は、可動すると開口幅を拡大するため、遊技球を集めやすくすることができ、遊技球を効率良く下方の第1特別図柄始動口26に案内することができる。
【0130】
(5)本実施形態によれば、クルーン54は、遊技球が移動する速度を低下させるので、遊技球が移動する速度を低下させない場合と比較して、より長い時間にわたり、遊技球をクルーン54に滞留させることができる。また、クルーン54は、遊技球の進行を止めることなく、一時的に遊技球を滞留させるため、遊技のテンポを維持しながら、遊技をスムーズに進行させることができる。
【0131】
(6)本実施形態によれば、クルーン54には、異なる2つの方向から遊技球が進入するため、クルーン54の中で遊技球同士がぶつかることがあり、遊技球の動きに変化を与えて、遊技性を向上させることができる。
【0132】
(7)本実施形態によれば、滞留部に対してクルーン54を採用しているため、クルーン54の内部で遊技球を回転させることにより、長時間にわたり遊技球を滞留させることができる。
【0133】
(8)本実施形態によれば、クルーン54の内周面を第1内周面65と第2内周面66とに分けることよって、クルーン54を平らに近い形状にすることができ、より一層、長時間にわたり遊技球を滞留させることができる。
【0134】
(9)本実施形態によれば、有利領域に対して第1特別図柄始動口26を採用しているため、遊技者にとっての1つの目標となる大当りにつながる第1特別図柄始動口26に遊技球を案内することができる。
【0135】
(10)本実施形態によれば、クルーン54、軸部90、突起部91、柱部92、アーム部93、及び、可動体73といった少ない部品構成で効率良く可動体73を可動させることができる。また、柱部92を備えていることで、クルーン54の配置位置と、可動体73の配置位置とが離れている場合であっても、柱部92の長さを調整する(長くしたり短くしたりする)ことで、問題なく可動体73を可動させることができる。さらに、突起部91を備えていることで、クルーン54に加わる力を、突起部91を介して、柱部92に効率良く伝達することができる。また、アーム部93を備えていることで、柱部92が可動体73から離れた後方位置に配置されている場合であっても、柱部92からの力を無理なく、アーム部93を介して可動体73に伝達することができる。
【0136】
(11)本実施形態によれば、軸部90は、クルーン54の後方側に配置されており、クルーン54は、前方側が下方側に移動するため、クルーン54に遊技球が滞留している場合には、遊技球が滞留している様子を視認しやすくなる。
【0137】
(12)本実施形態によれば、バネ95によって柱部92を前方側に付勢しているので、意図せずに柱部92が移動してしまうことや、意図せずに可動体73が可動してしまうことを回避することができる。
【0138】
(13)本実施形態によれば、クルーン54に遊技球が2個以上滞留すると、可動体73が可動するようにバネ95の付勢力が調整されているため、クルーン54に遊技球が滞留していない場合やクルーン54に遊技球が1個だけ滞留している場合には、可動体73を可動させないようにすることができる。
【0139】
(14)本実施形態によれば、クルーン54に向かった遊技球は、クルーン54に作用する遊技球となり、可動体73に向かった遊技球は、可動体73に作用する遊技球となる。このため、それぞれの遊技球の役割を明確に分けることができ、遊技者にとっては分かり易い遊技性としながらも、開発者にとっては設計時のルート設計や出球設計が行いやすくなる。
【0140】
(15)本実施形態によれば、クルーン54は、クルーン54に遊技球が2個以上滞留している場合に水平に配置されるため、水平な状態のクルーン54に遊技球を滞留させることができ、遊技球の滞留時間をなるべく長くすることができる。なお、傾いたクルーン54よりも水平なクルーン54の方が、遊技球の勢いが弱くなりにくい、又は、遊技球が貫通孔64を通過するために必要となる時間が長くなるので、遊技球の滞留時間を長くすることができる。
【0141】
〔変形形態〕
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、様々な変形が可能である。
(1)有利領域は、第1特別図柄始動口26の例で説明したが、第2特別図柄始動口であってもよく、普通図柄ゲートであってもよく、特定領域(遊技球が通過すると大当りとなる領域)であってもよく、確変領域(遊技球が通過すると確率変動状態に移行する領域)であってもよい。
(2)滞留部は、クルーン54の例で説明したが、その他の構造物(単なる通路、傾斜がゆるい通路、左右に蛇行する通路等)であってもよい。
【0142】
(3)可動体73は、クルーン54に遊技球が2個以上滞留した場合に可動する例で説明したが、遊技球が1個以上滞留した場合に可動するようにしてもよく、遊技球がn個(nは3以上の自然数)以上滞留した場合に可動するようにしてもよい。この場合は、構造的な変更は必要なく、滞留させたい遊技球の数に合わせてバネ95の種類やバネ定数を変更するだけで対応可能である。
(4)可動体は、有利領域に案内する案内率を低くしてもよい。上述した実施形態ででは、中排出口75の下方に第1特別図柄始動口26を配置する例で説明したが、中排出口75の下方には第1特別図柄始動口26を配置せず、左排出口74と、右排出口76との下方に第1特別図柄始動口26を配置するようにする。このようにすれば、可動体73は、第1特別図柄始動口26に案内する案内率を低くする可動体として機能するようになる。
【0143】
(5)可動体73は、羽根部材の例で説明したが、その他の部材(例えば、シーソーや移動部材等)であってもよい。
(6)クルーン54には、異なる2つの方向から遊技球を進入させる例で説明したが、1つの方向からのみ遊技球を進入させてもよく、異なる3つ以上の方向から遊技球を進入させてもよい。
【0144】
(7)滞留部(クルーン54)は、下方に傾く例で説明したが、傾かずに下方に沈み込むような構造であってもよい。
(8)付勢部材は、バネの例で説明したが、その他の弾性部材(ゴムなど)であってもよい。
【0145】
(9)滞留部(クルーン54)に向かった遊技球を、可動体73に向かわせるようにしてもよい。このようにすれば、滞留部(クルーン54)に向かった遊技球に対しても有利領域を通過するチャンスを与えることができる。
(10)落下球案内通路55は、右下の方向に傾いて、遊技球を下センターユニット100の内部の右端に案内する例で説明したが、落下球案内通路55を右下の方向ではなく左下の方向に傾かせて、遊技球を下センターユニット100の内部の左端に案内するようにしてもよい。このようにすれば、下センターユニット100の内部の左端には、左スロープ70があるため、滞留部(クルーン54)に向かった遊技球に対しても第1特別図柄始動口26に入賞するチャンスを与えることができる。
(11)案内ユニットは、普通電動役物の内部や特別電動役物の内部に配置されていてもよい。また、案内ユニットは、遊技領域の任意の場所に配置することができる。
【0146】
(12)クルーン54は、通常時は奥側に傾いており、クルーン54に遊技球が滞留すると、水平になる例で説明したが、通常時は水平であり、クルーン54に遊技球が滞留すると、手前側に傾くようにしてもよい。このようにすれば、クルーン54に遊技球が滞留している場合には、遊技球が滞留している様子をより一層視認しやすくなる。また、このような状況で、クルーン54の貫通孔64をクルーン54の中心に配置した場合には、クルーン54の前方側が下方側に傾くことにより、クルーン54の貫通孔64も下方側に傾くため、クルーン54が傾いていない場合と比較して、遊技球が貫通孔64に進入しにくくなり、遊技球の動きに変化を与えることができる。
【符号の説明】
【0147】
1 遊技機
10 遊技盤
20 上センターユニット
25 普通入賞口
26 第1特別図柄始動口
27 普通図柄始動ゲート
28 普通電動役物
29 第2特別図柄始動口
30 上アタッカー
31 第1大入賞口
32 下アタッカー
33 第2大入賞口
34 アウト口
35 メイン表示器
36 ドット表示器
50 下センターユニット入口
51 上振分部
52 左振分部
53 右振分部
54 クルーン
55 落下球案内通路
56 下センターユニット入口スイッチ
57 板状部材
58 扇形部材
59 上振分部ソレノイド
60 左振分部遊技釘
61 右振分部遊技釘
62、63 案内通路
64 貫通孔
65 第1内周面
66 第2内周面
70 左スロープ
71 下ステージ
72 リブ
73a 回転軸部材
73b ピン
74 左排出口
75 中排出口
76 右排出口
77 左排出口スイッチ
78 中排出口スイッチ
79 右排出口スイッチ
80 中スロープ
81 回転体
90 軸部
91 突起部
92 柱部
93 アーム部
94 非可動部材
95 バネ
97 リンク機構
100 下センターユニット
200 可動ユニット
300 主制御基板
400 演出制御基板
500 払出制御基板