(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】皮膚外用剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/045 20060101AFI20240919BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20240919BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240919BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240919BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240919BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240919BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240919BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240919BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240919BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240919BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240919BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240919BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240919BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A61K31/045
A01N31/02
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/81
A61K8/86
A61K9/08
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/34
A61P17/00 101
A61P31/00
A61Q17/00
(21)【出願番号】P 2020136034
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】八木 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 悠生
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-094026(JP,A)
【文献】特開2017-001993(JP,A)
【文献】特開2018-065799(JP,A)
【文献】特開2006-241073(JP,A)
【文献】特開平11-079968(JP,A)
【文献】特開2003-012440(JP,A)
【文献】特開2016-210751(JP,A)
【文献】特開2020-007370(JP,A)
【文献】特開2011-219410(JP,A)
【文献】特開2004-155712(JP,A)
【文献】特開2018-184377(JP,A)
【文献】ミンテル情報,InfinesseWhite-WhiteSurgeSolution成分情報,Albion社,1,https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/5599753/from_search/M7rPeE0U5P/?page=1
【文献】ミンテル情報,KracieHomeProducts社 KracieHadabiseiWrinkleCare-FacialSerum成分情報,https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/5392787/from_search/TAdWoGbpZT/?page=1
【文献】ミンテル情報,Dr.Ci:Labo社Aqua-in-Derm-DounyuEssenceEXSpecial成分情報,https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/6410225/from_search/Zbatd8OpJT/?page=1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
A01N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A:エタノール
成分B:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
及び/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
成分C:多価アルコール
成分D:油剤
成分E:水溶性増粘剤
を含有してなり、
前記エタノールの含有量が45~65質量%であり、
前記多価アルコールが
成分C1:グリセリン、及び
成分C2:1,3-ブチレングリコール
であり、
前記成分C1と前記成分C2の質量含有比(C1/C2)が0.2~4である皮膚外用剤組成物(ただし、抗真菌剤を含有する爪及び/又は爪周り用医薬組成物を除く)。
【請求項2】
さらに、下記成分Fを含有してなる請求項
1に記載の皮膚外用剤組成物。
成分F:皮膜形成ポリマー(ただし、成分Eを除く)
【請求項5】
乳化剤型である請求項1~4の何れか一項に記載の皮膚外用剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
身体に適用する外用剤に求められる主な機能の一つに潤いの付与がある。このような保湿効果は、肌が乾燥し易い冬場において特に期待されている。しかし、皮膚外用剤の中でも、手や指先などの消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄に用いる皮膚外用剤においては、泡立てて汚れや菌等を洗い落とし、使用後の肌に潤いを付与する従来の皮膚外用剤に置き換わり、近年では、手軽に消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄ができ、かつ、速乾性に優れた効果を発揮する洗い流し不要の皮膚外用剤が主流となりつつある。
【0003】
このような簡便な皮膚外用剤の多くは、塗布後の速乾性を高めるとともに、消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄といった効果を十分に発揮させるべく、エタノールが高配合されている(例えば、特許文献1~4を参照)。しかしながら、エタノールを高配合した場合には、消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄といった効果に優れる反面、塗布時に液垂れが生じ易く、使用感が悪くなるといった問題がある。また、エタノールによる過度な脱脂により、使用後の肌がカサつき、肌荒れを引き起こし易くなり、肌状態を悪化させるといった問題もある。
【0004】
これら種々の問題を解決するために、肌のカサつきや肌荒れを改善し、十分な潤いを付与することのできる量の油分を配合すると、消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄といった効果が十分に得られ難くなるだけでなく、速乾性が著しく悪化し、使用後の肌にヌルつきやベタつきが生じてしまうといった問題がある。さらに、油分の配合量しだいでは製剤中に安定に配合することができず、分離や離液が生じ易くなり、製剤安定性に劣るといった問題も生じる。そのため、速乾性と、肌状態の悪化を抑える潤いを付与し、十分なエモリエント効果を発揮する皮膚外用剤を開発することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-143878号公報
【文献】特開2011-219410号公報
【文献】特開2014-224160号公報
【文献】特開2015-078171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、塗布後の速乾性に優れるだけでなく、過度な脱脂を抑え、かつ、十分なエモリエント効果を発揮することができる皮膚外用剤組成物を提供することを課題とする。加えて、製剤安定性に格段に優れた皮膚外用剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、下記成分A、下記成分B、下記成分C、下記成分D、並びに下記成分Eを含有してなる皮膚外用剤組成物を提供する。
成分A:エタノール
成分B:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
成分C:多価アルコール
成分D:油剤
成分E:水溶性増粘剤
【0008】
上記成分Aの含有量が、40~75質量%であることが好ましい。
【0009】
上記成分Cが、グリセリンおよび/又は1,3-ブチレングリコールであることが好ましい。
【0010】
上記皮膚外用剤組成物は、さらに、下記成分Fを含有することが好ましい。
成分F:皮膜形成ポリマー(ただし成分Eを除く)
【0011】
上記皮膚外用剤組成物は、洗い流さないことが好ましい。
【0012】
上記皮膚外用剤組成物は、手指の消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の皮膚外用剤組成物は、上記構成要件を満たすことにより、製剤の分離や離液がなく、格段に優れた製剤安定性を発揮させることができるという効果を奏する。また、本発明の皮膚外用剤組成物は、塗布時の垂れ落ちがなく、塗布後の速乾性に優れた効果を発揮する。加えて、本発明の皮膚外用剤組成物は、延展時にみずみずしい使用感があり、優れたエモリエント効果を発揮し、過度な脱脂を抑えることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の皮膚外用剤組成物は、記成分A、下記成分B、下記成分C、下記成分D、並びに下記成分Eを含有することを特徴とする。
成分A:エタノール
成分B:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル
成分C:多価アルコール
成分D:油剤
成分E:水溶性増粘剤
【0015】
以下、本発明の皮膚外用剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0016】
[成分A]
上記成分Aは、エタノールである。本発明では、成分Aを用いることにより、消毒効果、殺菌効果、殺ウイルス効果、又は洗浄効果を発揮させ、かつ、塗布後の速乾性を高めることができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Aの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、消毒効果、殺菌効果、殺ウイルス効果又は洗浄効果を発揮させる観点、並びに速乾性を付与する観点から、組成物100質量%中、40質量%以上が好ましく、より好ましくは45質量%以上である。また、過度な脱脂を抑える観点、並びに製剤安定性の観点から、組成物100質量%中、75質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。これらの観点から、成分Aの含有量は、好ましくは40~75質量%、より好ましくは45~70質量%である。なお、上記成分Aの含有量は、純分に換算した量である。
【0018】
[成分B]
上記成分Bは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油および/又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルである。本発明では、成分Bを用いることにより、皮膚外用剤組成物を安定な乳化物とすることができる。これら成分Bは1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。なお、本発明において、上記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を「成分B1」と称することがある。また、上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルを「成分B2」と称することがある。
【0019】
上記成分B1における酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、製剤安定性の観点、並びに乳化組成物とする観点から、30以上、100以下であることが好ましく、40以上、80以下であることがより好ましい。上記成分B1における酸化エチレンの平均付加モル数が上記範囲内であると、本発明の皮膚外用剤組成物を安定な乳化物とすることができ、優れた製剤安定性を付与することができる。本発明においては、格段に優れた製剤安定性を発揮する観点から、酸化エチレンの平均付加モル数が60であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることが最も好ましい。
【0020】
上記成分B1は市販品を用いることができる。具体的な市販品としては、例えば、商品名「HCO-40」、商品名「HCO-60」、商品名「HCO-80」(以上、何れも日本サーファクタント工業株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
上記成分B2における酸化エチレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、製剤安定性の観点、並びに乳化組成物とする観点から、10以上、40以下であることが好ましく、20以上、30以下であることがより好ましい。また、酸化プロピレンの平均付加モル数は、特に限定されないが、製剤安定性の観点、並びに乳化組成物とする観点から、3以上、8以下であることが好ましく、4以上、6以下であることがより好ましい。上記成分B2における酸化エチレンおよび酸化プロピレンの平均付加モル数が上記範囲内であると、本発明の皮膚外用剤組成物を安定な乳化物とすることができ、優れた製剤安定性を付与することができる。本発明においては、格段に優れた製剤安定性を発揮する観点から、酸化エチレンの平均付加モル数が30であり、かつ、酸化プロピレンの平均付加モル数が6であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルを用いることが最も好ましい。
【0022】
上記成分B2は市販品を用いることができる。具体的な市販品としては、例えば、商品名「NIKKOL SG-C420」、商品名「NIKKOL SG-DTD620」、商品名「NIKKOL SG-DTD630」(以上、何れも日本ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
【0023】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Bの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、乳化物とすることで優れた製剤安定性を付与する観点から、組成物100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.3質量%以上である。また、ヌルつきやベタつきを抑える観点から、組成物100質量%中、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。これらの観点から、成分Bの含有量は、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.3~3質量%である。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量であり、本発明の皮膚外用剤組成物中に配合される全ての成分Bの含有量の合計量である。
【0024】
[成分C]
上記成分Cは、多価アルコールである。本発明では、成分Cを用いることにより、延展時にみずみずしい感触が得られるだけでなく、塗布後の肌に適度な潤いを付与することができ、過度な脱脂による肌のカサつきや肌荒れを防ぐことができる。
【0025】
上記成分Cとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールおよびポリオキシプロピレンメチルグルコシドなどが挙げられる。これら成分Cは1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。本発明において「グリセリン」とは、「グリセリン」と「濃グリセリン」の双方を意味する。
【0026】
上記した成分Cの中でも、優れた製剤安定性を付与する観点から、グリセリンおよび/又は1,3-ブチレングリコールを用いることが好ましく、グリセリンおよび1,3-ブチレングリコールの双方を用いることがより好ましい。グリセリンと1,3-ブチレングリコールとを併用することにより、格段に優れた製剤安定性を付与することが可能となる。なお、本発明において、上記グリセリンを「成分C1」と称することがある。また、上記1,3-ブチレングリコールを「成分C2」と称することがある。
【0027】
上記成分C1と成分C2とを併用する場合、それぞれの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、格段に優れた製剤安定性を発揮させる観点から、上記成分C1と成分C2の質量含有比(C1/C2)が、0.2~4の範囲を満たし調製されることが好ましく、0.5~3の範囲を満たし調製されることがより好ましい。
【0028】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Cの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、優れた製剤安定性を付与する観点、並びにみずみずしい使用感を発揮させる観点から、組成物100質量%中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上である。また、ヌルつきやベタつきを抑える観点から、組成物100質量%中、15質量%以下が好ましく、より好ましくは12質量%以下である。これらの観点から、成分Cの含有量は、好ましくは1~15質量%、より好ましくは3~12質量%である。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量であり、本発明の皮膚外用剤組成物中に配合される全ての成分Cの含有量の合計量である。
【0029】
[成分D]
上記D成分は、油剤である。本発明では、成分Dを用いることにより、塗布後の肌に最適なエモリエント効果をもたらすことができる。
【0030】
用いられる成分Dは、室温で液状であっても、室温でペースト状であっても、室温で固形であっても特に限定されずに用いることができ、例えば、油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル油、シリコーン油などが挙げられる。これら成分Dは1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。なお、本発明において「室温」とは、1~30℃の温度を言う。
【0031】
なお、本発明において、上記油脂を「成分D1」と称することがある。上記ロウ類を「成分D2」と称することがある。上記炭化水素油を「成分D3」と称することがある。上記高級脂肪酸を「成分D4」と称することがある。上記高級アルコールを「成分D5」と称することがある。上記脂肪酸エステル油を「成分D6」と称することがある。上記シリコーン油を「成分D7」と称することがある。
【0032】
上記成分D1としては、例えば、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、オリーブ果実油、ヤシ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ホホバ油、椿油、ミンク油、シアバターなどが挙げられる。これら成分D1は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0033】
上記成分D2としては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリンなどが挙げられる。これら成D2は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0034】
上記成分D3としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソヘキサドデカン、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、流動イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン末、ポリエチレンワックス、ワセリン、フィッシャー・トロプシュワックスなどが挙げられる。これら成分D3は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0035】
上記成分D4としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。これら成分D4は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0036】
上記成分D5としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、オクチルデカノール、デシルテトラデカノールなどが挙げられる。これら成分D5は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0037】
上記成分D6としては、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル/カプリン酸)プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油、テトラミリスチン酸ペンタエリスリチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。これら成分D6は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0038】
上記成分D7としては、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール、25℃における粘度が例えば1mPa・s以上10mPa・s未満のジメチルポリシロキサン、25℃における粘度が例えば10mPa・s以上6,000mPa・s未満のジメチルポリシロキサン、25℃における粘度が例えば6,000mPa・s以上20,000,000mPa・s以下であり、かつ数平均重合度が650以上である高重合ジメチルポリシロキサンなど鎖状シリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などアミノ変性シリコーン油;カルボキシ変性シリコーン油、脂肪酸エステル変性シリコーン油、アルコール変性シリコーン油、エポキシ変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油などが挙げられる。これら成分D7は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0039】
本発明の皮膚外用剤組成物においては、速乾性に悪影響を及ぼさずに、肌に最適なエモリエント効果を付与する観点から、上記した成分Dの中でも、油脂、ロウ類、炭化水素油および脂肪酸エステル油から選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。これら好適な成分Dの中でも、流動パラフィン(ミネラルオイル)、ワセリン、スクワラン、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルおよびトリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)の群から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
【0040】
上記好ましい成分は市販品を用いることができる。パラフィン(ミネラルオイル)の市販品としては、例えば、商品名「モレスコホワイト P-70」(MORESCO社製)などが挙げられる。ワセリンの市販品としては、例えば、商品名「CROLATUM V-SO-(JP)」(クローダジャパン株式会社製)などが挙げられる。スクワランの市販品としては、例えば、商品名「SQUALANE」(株式会社岸本特殊肝油工業所製)などが挙げられる。ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルの市販品としては、例えば、商品名「コスモール168ARV」(日清オイリオ株式会社製)などが挙げられる。トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルの市販品としては、例えば、商品名「MYRITOL GTEH」(BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
【0041】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Dの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最適なエモリエント効果を付与する観点から、組成物100質量%中、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、ヌルつきやベタつきを抑える観点、並びに製剤安定性の観点から、組成物100質量%中、10質量%以下が好ましく、より好ましくは8質量%以下である。これらの観点から、成分Dの含有量は、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~8質量%である。なお、上記成分Dの含有量は、純分に換算した量であり、本発明の皮膚外用剤組成物中に配合される全ての成分Dの含有量の合計量である。
【0042】
[成分E]
上記成分Eは、水溶性増粘剤である。本発明では、成分Eを用いることにより、最適な皮膜感が得られ、エモリエント効果を向上させることができるようになる。
【0043】
上記成分Eとしては、例えば、陰イオン性増粘剤、酸性多糖増粘剤、非イオン性多糖増粘剤などが挙げられる。これら成分Eは1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。なお、本発明において、上記陰イオン性増粘剤を「成分E1」と称することがある。上記酸性多糖増粘剤を「成分E2」と称することがある。上記非イオン性多糖増粘剤を「成分E3」と称することがある。
【0044】
上記成分E1としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマーなどが挙げられる。これら成分(D1)は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0045】
上記成分E1は、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基;アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが挙げられる。また、塩基性物質の添加量は、上記成分E1を中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0046】
上記成分E2としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、寒天、カラヤガム、ガッティガム、アラビアガムなどが挙げられる。これら成分E2は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0047】
上記成分E3としては、例えば、デキストラン、プルラン、アラビノガラクタン、グァーガム、ヒドロキシプロピルグァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、スクレロチウムガム、タマリンド種子ガムなどが挙げられる。これら成分E3は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0048】
上記成分Eの中でも、エモリエント効果をより一層向上観点から、成分E1を用いることが好ましく、カルボキシビニルポリマーおよび/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを用いることがより好ましい。
【0049】
上記カルボキシビニルポリマーおよび/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは市販品を用いることができる。カルボキシビニルポリマーの具体的な市販品としては、例えば、商品名「Carbopol 940 Polymer」、商品名「Carbopol 941 Polymer」、商品名「Carbopol 980 Polymer」、商品名「Carbopol 981 Polymer」(以上、何れもLubrizol社製)などが挙げられる。
【0050】
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーの具体的な市販品としては、例えば、商品名「Pemulen TR-1」、商品名「Pemulen TR-2」、商品名「Carbopol ETD 2020 Polymer」、商品名「Carbopol Ultrez 20 Polymer」(以上、何れもLubrizol社製)などが挙げられる。
【0051】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Eの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最適な皮膜感により、エモリエント効果を向上させる観点から、組成物100質量%中、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、使用感の観点から、組成物100質量%中、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下である。これらの観点から、成分Eの含有量は、好ましくは0.05~2質量%、より好ましくは0.1~1質量%である。なお、上記成分Eの含有量は、純分に換算した量であり、本発明の皮膚外用剤組成物中に配合される全ての成分Eの含有量の合計量である。
【0052】
[成分F]
本発明の皮膚外用剤組成物には、成分Fとして皮膜形成ポリマーを含有させることが好ましい。上記成分Fを用いることにより、エモリエント効果を更に一層向上させることができるようになる。なお、本発明において上記成分Fは、上記成分Eである水溶性増粘剤を含まない。
【0053】
上記成分Fとしては、例えば、陰イオン性皮膜形成ポリマー、陽イオン性皮膜形成ポリマー、両性皮膜形成ポリマー、非イオン性皮膜形成ポリマーなどが挙げられる。これら成分Fは1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。なお、本発明において、上記陰イオン性皮膜形成ポリマーを「成分F1」と称することがある。上記陽イオン性皮膜形成ポリマーを「成分F2」と称することがある。上記両性皮膜形成ポリマーを「成分F3」と称することがある。上記非イオン性皮膜形成ポリマーを「成分F4」と称することがある。
【0054】
上記成分F1としては、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、ウレタン-アクリル系共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これら成分F1は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味する。
【0055】
上記成分F2としては、例えば、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体などが挙げられる。これら成分F2は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0056】
上記成分F3としては、例えば、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、N,Nジメチル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)アミン=N-オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、(イソブチレン/ジエチルアミノプロピルマレイミド/マレイン酸)共重合体などが挙げられる。これら成分F3は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0057】
上記成分F4としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルカプロラクタムなどが挙げられる。これら成分F4は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0058】
上記成分Fの中でも、最も良好な皮膜感を与え、エモリエント効果を最大限に発揮させる観点から、成分F4を用いることが好ましく、ポリビニルピロリドンを用いることがより好ましい。
【0059】
上記ポリビニルピロリドンは市販品を用いることができる。具体的な市販品としては、例えば、商品名「ルビスコールK17」、商品名「ルビスコールK30」、商品名「ルビスコールK90」、商品名「コリドン12PF」、商品名「コリドン17PF」、商品名「コリドン25」、商品名「コリドン30」、商品名「コリドン90F」(以上、何れもBASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
【0060】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Fの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、最も良好な皮膜感を付与する観点から、組成物100質量%中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、皮膜による突っ張り感を抑える観点から、組成物100質量%中、3質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下である。これらの観点から、成分Fの含有量は、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.1~2質量%である。なお、上記成分Fの含有量は、純分に換算した量であり、本発明の皮膚外用剤組成物中に配合される全ての成分Fの含有量の合計量である。
【0061】
[成分G]
本発明の皮膚外用剤組成物には、上記した成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eおよび成分Fに加えて、消毒、殺菌、殺ウイルスといった効果をより一層高める観点から、成分Gとして殺菌成分および/又は殺ウイルス成分(ただし、成分Aを除く)を含有させることができる。
【0062】
用いられる成分Gは、化粧品、医薬部外品、指定医薬部外品、医薬品、雑貨に配合することができ、かつ、殺菌作用および/又は殺ウイルス作用を奏する成分であれば特に限定されないが、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化リゾチウム、ハロカルバン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、フェノールスルホン酸アルミニウム、トリクロサン、グルコン酸クロルヘキシジン、ミョウバン、酸化チタン、酸化銀、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ、クワエキス、ユーカリエキス、ローズマリーエキス、緑茶エキス(チャ葉エキス)、ブドウ種子エキス、グレープフルーツ種子エキスなどが挙げられる。これら成分Gは1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0063】
本発明の皮膚外用剤組成物中の成分Gの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、消毒効果、殺菌効果、殺ウイルス効果を更に高める観点から、組成物100質量%中、0.0001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.001質量%以上である。また、製剤安定性の観点から、組成物100質量%中、5質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下である。これらの観点から、成分Gの含有量は、好ましくは0.0001~5質量%、より好ましくは0.001~4質量%である。
【0064】
[その他成分]
本発明の皮膚外用剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に、例えば、上記成分B以外の界面活性剤、上記成分Cおよび成分D以外の保湿剤、清涼剤、香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0065】
本発明の皮膚外用剤組成物の残部には精製水が用いられる。精製水の含有量は、特に限定されないが、速乾性の観点、並びに潤い付与の観点から、15~50質量%であることが好ましく、より好ましくは20~45質量%である。
【0066】
本発明の皮膚外用剤組成物の性状は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、塗布時の液垂れを抑える観点から、ジェル状、ジェルクリーム状、乳液状、若しくはクリーム状の剤型とすることが好ましく、中でも、塗布後のエモリエント効果を十分に発揮させる観点から、ジェルクリーム状、乳液状又はクリーム状の乳化剤型とすることがより好ましい。
【0067】
本発明の皮膚外用剤組成物は、乳化剤型をとり得るのであれば、O/Wエマルション(水中油型)、W/Oエマルション(油中水型)、W/O/Wエマルション(水中油中水型)、O/W/Oエマルション(油中水中油型)の何れの形態であっても特に限定されないが、塗布後のエモリエント効果を十分に発揮させる観点から、O/Wエマルション(水中油型)であることが好ましく、中でも、延展時のみずみずしい使用感を発揮させる観点から、D相乳化法により調製したO/Wエマルション(水中油型)であることがより好ましい。
【0068】
D相乳化法によるO/Wエマルション(水中油型)の調製方法は、公知の方法を用いて調製することができる。具体的には、精製水と多価アルコールを含んだ界面活性剤相(D相)に油相を分散させることによってO/Dゲルエマルションを形成させ、当該ゲルエマルションに水相を添加することによりO/Wエマルションとする調製方法が挙げられる。
【0069】
本発明の皮膚外用剤組成物においても、上記したD相乳化法によりO/Wエマルション(水中油型)を調製することで、より微細なO/Wエマルション(水中油型)の乳化組成物とすることができ、延展時のみずみずしい使用感と、塗布後のエモリエント効果とを最大限に発揮させることができるようになる。
【0070】
本発明の皮膚外用剤組成物の粘度は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、延展時のみずみずしい使用感と、塗布後のエモリエント効果とを十分に発揮させる観点から、例えば、5,000~15,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0071】
本発明の皮膚外用剤組成物は、洗い流しを行っても、洗い流しを行わなくとも、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、塗布後の速乾性に優れ、かつ、速乾性を阻害することなく、優れたエモリエント効果を付与することができることから、洗い流しを行わずに使用することが望ましい。
【0072】
本発明の皮膚外用剤組成物は、上記した成分Aであるエタノールの効果を最大限に発揮させる観点、並びに使用感に優れる観点から、手指の消毒、殺菌、殺ウイルス又は洗浄に用いることが最も好ましい。また、本発明の皮膚外用剤組成物は、化粧品、医薬部外品、指定医薬部外品、医薬品、雑貨の何れの形態であっても良い。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。また、評価はすべて、20℃、湿度50%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0074】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1~7および比較例1~4の皮膚外用剤組成物を、D相乳化法によりO/Wエマルション(水中油型)の剤型に調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に併記する。なお、表中の配合量は、全て純分に換算した 値である。
【0075】
(試験例1:製剤安定性の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を、140mL容の透明ガラス容器にそれぞれ封入し、40℃の恒温槽に夫々2週間保存したときの剤の状態を目視観察して、以下の評価基準に従って評価した。
【0076】
<製剤安定性の評価基準>
○(良好):分離や離液が認められず、製造直後の性状を維持している
△(不十分):若干の分離や離液が認められるが、性状を維持している
×(不良):性状を維持していない、又は明らかな分離や離液が認められる
【0077】
(試験例2:塗布時の「垂れ落ち」と「使用感」の評価)
官能評価パネル10名により、実施例および比較例で得られた各試料1gを、左右何れか一方の手の平に塗布後、残る一方の手を用いてすり合わせるように両手の平、甲、指先に馴染ませてもらい、その時の「垂れ落ち」「使用感」について下記評価基準に従い官能評価した。
なお、試験例1の製剤安定性の評価にて「×(不良)」の試料については、試験に供することができないため、下記評価試験を実施していない。
【0078】
<垂れ落ちの評価基準>
○(良好):10名中8名以上が、手からの垂れ落ちがないと回答
△(不十分):10名中5~7名が、手からの垂れ落ちがないと回答
×(不良):10名中4名以下が、手からの垂れ落ちがないと回答
【0079】
<使用感の評価基準>
○(良好):10名中8名以上が、延展時にみずみずしい感触があると回答
△(不十分):10名中5~7名が、延展時にみずみずしい感触があると回答
×(不良):10名中4名以下が、延展時にみずみずしい感触があると回答
【0080】
(試験例3:速乾性の評価)
上記試験例2のパネルと同じ評価パネル10名により、試験例2の評価直後の肌状態について下記評価基準に従い官能評価した。
なお、試験例1の製剤安定性の評価にて「×(不良)」の試料については、試験に供することができないため、下記評価試験を実施していない。
【0081】
<速乾性の評価基準>
○(良好):10名中8名以上が、延展時の濡れた感じがなく、乾くのが早い(速乾性に優れる)と回答
△(不十分):10名中5~7名が、延展時の濡れた感じがなく、乾くのが早い(速乾性に優れる)と回答
×(不良):10名中4名以下が、延展時の濡れた感じがなく、乾くのが早い(速乾性に優れる)と回答
【0082】
(試験例4:肌状態の評価)
上記試験例2のパネルと同じ評価パネル10名により、試験例3の評価3分後の肌状態について下記評価基準に従い官能評価した。
なお、試験例1の製剤安定性の評価にて「×(不良)」の試料については、試験に供することができないため、下記評価試験を実施していない。
【0083】
<肌状態の評価基準>
○(良好):10名中8名以上が、カサカサ感(過度に脱脂された感)がなく、エモリエント効果が持続していると回答
△(不十分):10名中5~7名が、カサカサ感(過度に脱脂された感)がなく、エモリエント効果が持続していると回答
×(不良):10名中4名以下が、カサカサ感(過度に脱脂された感)がなく、エモリエント効果が持続していると回答
【0084】
【0085】
【0086】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた皮膚外用剤組成物は、各比較例で得られたものと対比して、製剤の分離や離液がなく、格段に優れた製剤安定性を発揮していることが分かる。また、塗布時の液垂れがなく、塗布後の速乾性に優れた効果を発揮していることも分かる。加えて、延展時の使用感が良好であり、速乾性を阻害することなく、良好なエモリエント効果が付与されていることも分かる。
【0087】
これら結果からも明らかな通り、本発明の皮膚外用剤組成物は、従来の試みでは困難であった、速乾性と、エモリエント効果を付与するという双方の効果に十分に満足のいくものであることが分かる。
【0088】
以下、本発明の皮膚外用剤組成物の処方例を示す。なお、配合量は「質量%」を表す。
【0089】
【0090】
【0091】