(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】組成物の製造方法、及び、組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 6/06 20060101AFI20240919BHJP
C08F 16/24 20060101ALI20240919BHJP
C08L 29/10 20060101ALI20240919BHJP
C09D 129/10 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C08F6/06
C08F16/24
C08L29/10
C09D129/10
(21)【出願番号】P 2023091039
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2021516333の分割
【原出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019085980
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019184441
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019209162
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】石原 寿美
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】青山 博一
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038827(WO,A1)
【文献】特許第7295456(JP,B1)
【文献】特開2001-226436(JP,A)
【文献】国際公開第2004/018527(WO,A1)
【文献】特開2013-245237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08L 1/00-101/14
C09D101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、及び、フルオロポリマーを含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程Aを含み、
前記フルオロポリマーは、一般式(1):
CX
2=CY(-CZ
2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO
3M、-OSO
3M又は-C(CF
3)
2OM(Mは、-H、金属原子、-NR
7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
7は、
H又はC
1-4
のアルキル基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であ
り、
前記フルオロポリマーにおいて、構造単位M3の含有量が、全重合単位に対して、90モル%以上である
ことを特徴とする組成物の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)中、Xの少なくとも1つが-Hである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
一般式(1)中、Xの両方が-Hである請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
一般式(1)中、Rfが炭素数1~10の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数2~12の含フッ素アルキレン基である請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
構造単位M3は、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく構造単位(1A)である請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
CH
2=CF(-CF
2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
【請求項6】
構造単位M3は、下記一般式(1a)で表されるフルオロアリルエーテル化合物に基づく構造単位(1a)である請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
CX
2=CFCF
2-O-(CF(CF
3)CF
2O)
n5-CF(CF
3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
【請求項7】
Aは、-COOMである請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
Mが-H、-Na、-K、-Li又は-NH
4である請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記フルオロポリマーは、前記構造単位M3が全重合単位に対して
90~100モル%であり、前記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位N3が全重合単位に対して
0~10モル%である重合体である請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記構造単位N3は、テトラフルオロエチレン由来の構造単位である請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記フルオロポリマーは、数平均分子量が0.5×10
4~75.0×10
4である重合体である請求項1~10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体である請求項1~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であ
り、前記水溶性重合体は、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない重合体である請求項1~12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理は、20℃以上の温度で行う請求項1~
13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
前記限外濾過は、分画分子量が1.5×10
4Da以上の限外濾過膜を用いて行う請求項1~
14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
水、及び、一般式(1):
CX
2=CY(-CZ
2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO
3M、-OSO
3M又は-C(CF
3)
2OM(Mは、-H、金属原子、-NR
7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
7は、
H又はC
1-4
のアルキル基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であるフルオロポリマーを含み、
前記フルオロポリマーにおいて、構造単位M3の含有量が、全重合単位に対して、90モル%以上であり、
分子量700以上3000以下の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して3.5%以下である
ことを特徴とする組成物。
【請求項17】
分子量400以上3000以下の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して3.7%以下である請求項
16に記載の組成物。
【請求項18】
分子量700以上10000未満の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して5.0%以下である請求項
16に記載の組成物。
【請求項19】
一般式(1)中、Xの少なくとも1つが-Hである請求項
16~
18のいずれか記載の組成物。
【請求項20】
一般式(1)中、Xの両方が-Hである請求項
16~
19のいずれか記載の組成物。
【請求項21】
一般式(1)中、Rfが炭素数1~10の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数2~12の含フッ素アルキレン基である請求項
16~
20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
構造単位M3は、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく構造単位(1A)である請求項
16~
21のいずれかに記載の組成物。
CH
2=CF(-CF
2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
【請求項23】
構造単位M3は、下記一般式(1a)で表されるフルオロアリルエーテル化合物に基づく構造単位(1a)である請求項
16~
22のいずれかに記載の組成物。
CX
2=CFCF
2-O-(CF(CF
3)CF
2O)
n5-CF(CF
3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
【請求項24】
Aは、-COOMである請求項
16~
23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
Mが-H、-Na、-K、-Li又は-NH
4である請求項
16~
24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記フルオロポリマーは、前記構造単位M3が全重合単位に対して
90~100モル%であり、前記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位N3が全重合単位に対して
0~10モル%である重合体である請求項
16~
25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
前記フルオロポリマーは、数平均分子量が0.5×10
4~75.0×10
4である重合体である請求項
16~
26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である請求項
16~
27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であ
り、前記水溶性重合体は、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない重合体である請求項
16~
28のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
水、及び、一般式(1):
CX
2=CY(-CZ
2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO
3M、-OSO
3M又は-C(CF
3)
2OM(Mは、-H、金属原子、-NR
7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
7は、
H又はC
1-4
のアルキル基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であるフルオロポリマーを含み、
前記フルオロポリマーにおいて、構造単位M3の含有量が、全重合単位に対して、90モル%以上であり、
前記フルオロポリマーを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記フルオロポリマーに対して2.0%以下であることを特徴とする組成物。
【請求項31】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体である請求項
30記載の組成物。
【請求項32】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であ
り、前記水溶性重合体は、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない重合体である請求項
30又は
31記載の組成物。
【請求項33】
コーティング剤である請求項
16~
32のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組成物の製造方法、及び、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホン酸基やカルボキシル基を有するフルオロポリマーは、近年、燃料電池、化学センサー等の電解質膜等の材料として注目されており、検討が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、含フッ素ポリマー前駆体を含む水系分散体に酸を添加して限外濾過を行う酸処理工程を有する含フッ素ポリマー分散体製造方法であって、
前記含フッ素ポリマー前駆体は、-SO3X1及び/又は-COOZ1(X1は、M1
1/L又はNR1R2R3R4を表し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。Z1は、M2
1/L又はNR5R6R7R8を表し、R5、R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子若しくは炭素数1~4のアルキル基を表す。M1及びM2は、同一又は異なって、L価の金属を表し、前記L価の金属は、周期表の1族、2族、4族、8族、11族、12族、13族に属する金属である。)を有するものであり、前記酸処理工程は、前記-SO3X1を-SO3Hに変化させるもの、及び/又は、前記-COOZ1を-COOHに変化させるものであることを特徴とする含フッ素ポリマー分散体製造方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、式(M-3):
-(M3)-(N3)- (M-3)
[式中、構造単位M3は式(5-1):
CH2=CFCF2-ORf10-COOH (5-1)
(式中、Rf10は炭素数1~40の2価の含フッ素アルキレン基または炭素数2~100のエーテル結合を有する2価の含フッ素アルキレン基)で表わされる単量体由来の構造単位;構造単位N3は前記式(5-1)の含フッ素単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位]で示され、構造単位M3を55~100モル%、構造単位N3を0~45モル%含み、数平均分子量が3.1×104~75.0×104であるカルボキシル基を有する含フッ素重合体(A1)を含むフォトレジスト上層反射防止膜形成用コーティング組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-75979号公報
【文献】特開2009-122700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、低分子量体を効率的に除去することができる組成物の製造方法を提供する。また、低分子量体が低減された組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程Aを含み、
前記フルオロポリマーは、一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体である
ことを特徴とする組成物の製造方法である。
【0008】
一般式(1)中、Xの少なくとも1つが-Hであることが好ましい。
一般式(1)中、Xの両方が-Hであることが好ましい。
一般式(1)中、Rfが炭素数1~10の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数2~12の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。
構造単位M3は、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく構造単位(1A)であることが好ましい。
CH2=CF(-CF2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
構造単位M3は、下記一般式(1a)で表されるフルオロアリルエーテル化合物に基づく構造単位(1a)であることが好ましい。
CX2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
Aは、-COOMであることが好ましい。
Mが-H、-Na、-K、-Li又は-NH4であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、前記構造単位M3が全重合単位に対して5~100モル%であり、前記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位N3が全重合単位に対して0~95モル%である重合体であることが好ましい。
前記構造単位N3は、テトラフルオロエチレン由来の構造単位であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、数平均分子量が0.5×104~75.0×104である重合体であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であることが好ましい。
【0009】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程A1を含むことを特徴とする組成物の製造方法である。
【0010】
前記重合体は、数平均分子量が0.5×104~75.0×104である重合体であることが好ましい。
前記重合体は、水溶性重合体であることが好ましい。
【0011】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程A2を含むことを特徴とする組成物の製造方法である。
【0012】
前記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理は、20℃以上の温度で行うことが好ましい。
前記限外濾過は、分画分子量が1.5×104Da以上の限外濾過膜を用いて行うことが好ましい。
【0013】
本開示はまた、水、及び、一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であるフルオロポリマーを含み、
分子量700以上3000以下の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して3.5%以下である
ことを特徴とする組成物である。
【0014】
分子量400以上3000以下の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して3.7%以下であることが好ましい。
分子量700以上10000未満の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して5.0%以下であることが好ましい。
一般式(1)中、Xの少なくとも1つが-Hであることが好ましい。
一般式(1)中、Xの両方が-Hであることが好ましい。
一般式(1)中、Rfが炭素数1~10の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数2~12の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。
構造単位M3は、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく構造単位(1A)であることが好ましい。
CH2=CF(-CF2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
構造単位M3は、下記一般式(1a)で表されるフルオロアリルエーテル化合物に基づく構造単位(1a)であることが好ましい。
CX2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
Aは、-COOMであることが好ましい。
Mが-H、-Na、-K、-Li又は-NH4であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、前記構造単位M3が全重合単位に対して5~100モル%であり、前記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位N3が全重合単位に対して0~95モル%である重合体であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、数平均分子量が0.5×104~75.0×104である重合体であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であることが好ましい。
【0015】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を含み、
分子量700以上3000以下の化合物の含有量が前記重合体に対して3.5%以下である
ことを特徴とする組成物である。
【0016】
分子量400以上3000以下の化合物の含有量が前記重合体に対して3.7%以下であることが好ましい。
分子量700以上10000未満の化合物の含有量が前記重合体に対して5.0%以下であることが好ましい。
前記重合体は、数平均分子量が0.5×104~75.0×104である重合体であることが好ましい。
前記重合体は、水溶性重合体であることが好ましい。
【0017】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含み、
分子量700以上3000以下の化合物の含有量が前記水溶性重合体に対して3.5%以下である
ことを特徴とする組成物である。
【0018】
分子量400以上3000以下の化合物の含有量が前記水溶性重合体に対して3.7%以下であることが好ましい。
分子量700以上10000未満の化合物の含有量が前記水溶性重合体に対して5.0%以下であることが好ましい。
【0019】
本開示はまた、水、及び、一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であるフルオロポリマーを含み、
前記フルオロポリマーを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記フルオロポリマーに対して2.0%以下であることを特徴とする組成物である。
【0020】
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体であることが好ましい。
前記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であることが好ましい。
【0021】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を含み、
前記重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記重合体に対して2.0%以下であることを特徴とする組成物である。
【0022】
前記重合体は、水溶性重合体であることが好ましい。
【0023】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含み、
前記水溶性重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記水溶性重合体に対して2.0%以下であることを特徴とする組成物である。
【0024】
本開示の組成物は、コーティング剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本開示の製造方法は、組成物中の低分子量体を効率的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
本開示の製造方法は、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程Aを含み、上記フルオロポリマーは、一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であることを特徴とする組成物の製造方法(以下「本開示の第1の製造方法」ともいう)である。
【0028】
上記フルオロポリマーの製造では、上記フルオロポリマー以外に低分子量体を含むフルオロポリマーの組成物が得られる。本開示の第1の製造方法は、上記特定のフルオロポリマーを含む組成物に対して限外濾過、精密濾過又は透析膜処理が特に有効であり、低分子量体(例えば、分子量700以上3000以下の化合物、分子量400以上3000以下の化合物、分子量700以上10000未満の化合物、構造単位M3を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する重合体αを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する水溶性重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーなど)を効率的に除去することができることを見いだし完成されたものである。
本開示の第1の製造方法により得られる組成物は、水溶液であってよい。
【0029】
上記一般式(1)において、Xは-H又は-Fである。Xは、両方が-Fであってもよいし、少なくとも1つが-Hであってよい。例えば、片方が-Fで他方が-Hであってもよいし、両方が-Hであってもよい。
【0030】
上記一般式(1)において、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Yとしては、-H、-F又は-CF3が好ましく、-Fがより好ましい。
【0031】
上記一般式(1)において、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Zとしては、-H、-F又は-CF3が好ましく、-Fがより好ましい。
【0032】
上記一般式(1)において、上記X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。例えば、Xが-Hであり、Y及びZが-Fであってよい。
【0033】
上記一般式(1)において、上記Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、上記含フッ素アルキレン基の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、-CF2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CF2CH2-、-CF2CF2CH2-、-CF(CF3)-、-CF(CF3)CF2-、-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0034】
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基としては、例えば、下記式:
【化1】
(式中、Z
1はFまたはCF
3;Z
2及びZ
3はそれぞれHまたはF;Z
4はH、FまたはCF
3;p1+q1+r1が1~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数)で表される2価の基であることも好ましい。
【0035】
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)-、-(CF(CF3)CF2-O)n-CF(CF3)-(式中、nは1~10の整数)、-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)CH2-、-(CF(CF3)CF2-O)n-CF(CF3)CH2-(式中、nは1~10の整数)、-CH2CF2CF2O-CH2CF2CH2-、-CF2CF2CF2O-CF2CF2-、-CF2CF2CF2O-CF2CF2CH2-、-CF2CF2O-CF2-、-CF2CF2O-CF2CH2-等が挙げられる。上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0036】
上記一般式(1)において、Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。
R7としては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記Mとしては、-H、金属原子又は-NR7
4が好ましく、-H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は-NR7
4がより好ましく、-H、-Na、-K、-Li又は-NH4が更に好ましく、-Na、-K又は-NH4が更により好ましく、-Na又は-NH4が特に好ましく、-NH4が最も好ましい。
上記Aとしては、-COOM又は-SO3Mが好ましく、-COOMがより好ましい。
【0037】
上記構造単位M3としては、例えば、下記一般式(1a):
CX2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、上記定義と同じ。)で表されるフルオロアリルエーテル化合物に基づく構造単位(1a)が好適なものとして例示される。
上記一般式(1a)において、上記n5は一次粒子径が小さいフルオロポリマー粒子を得ることができる点で0又は1~5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。上記Aは、適度な水溶性と界面活性が得られる点で-COOMであることが好ましく、上記Mは、不純物として残留しにくく、得られた成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNH4であることが好ましい。
【0038】
上記構造単位M3は、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく構造単位(1A)であることが好ましい。
CH2=CF(-CF2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
【0039】
一般式(1A)で表される単量体として具体的には、下記式
【0040】
【0041】
(式中、Z1はFまたはCF3;Z2及びZ3はそれぞれHまたはF;Z4はH、FまたはCF3;p1+q1+r1が0~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数、ただし、Z3及びZ4がともにHの場合、p1+q1+r1+s1が0でない;Aは上記定義と同じ)で表される単量体が挙げられる。より具体的には、
【0042】
【0043】
などが好ましく挙げられ、なかでも
【0044】
【0045】
であることが好ましい。
【0046】
上記一般式(1A)で表される単量体としては、式(1A)中のAが-COOMであることが好ましく、特に、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOM、及び、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOMがより好ましい。
【0047】
また、一般式(1)で表される単量体としては、下記式で表される単量体等も挙げられる。
【0048】
CF2=CFCF2-O-Rf-A
(式中、Rf及びAは上記と同じ)
【0049】
【0050】
上記構造単位M3はまた、下記一般式(1’)で表される単量体に基づく構造単位(1’)であることも好ましい。
CH2=CFCF2-ORf10-COOH (1’)
(式中、Rf10は、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。)
【0051】
上記一般式(1’)において、上記Rf10は炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、-CF2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CF2CH2-、-CF2CF2CH2-、-CF(CF3)-、-CF(CF3)CF2-、-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0052】
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基としては、例えば、下記式:
【化6】
(式中、Z
1はFまたはCF
3;Z
2及びZ
3はそれぞれHまたはF;Z
4はH、FまたはCF
3;p1+q1+r1が1~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数)で表される2価の基であることも好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、-CF(CF
3)CF
2-O-CF(CF
3)-、-(CF(CF
3)CF
2-O)
n-CF(CF
3)-(式中、nは1~10の整数)、-CF(CF
3)CF
2-O-CF(CF
3)CH
2-、-(CF(CF
3)CF
2-O)
n-CF(CF
3)CH
2-(式中、nは1~10の整数)、-CH
2CF
2CF
2O-CH
2CF
2CH
2-、-CF
2CF
2CF
2O-CF
2CF
2-、-CF
2CF
2CF
2O-CF
2CF
2CH
2-、-CF
2CF
2O-CF
2-、-CF
2CF
2O-CF
2CH
2-等が挙げられる。上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0053】
一般式(1’)で表される単量体として具体的には、下記式
【0054】
【0055】
(式中、Z1はFまたはCF3;Z2及びZ3はそれぞれHまたはF;Z4はH、FまたはCF3;p1+q1+r1が0~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数、ただし、Z3及びZ4がともにHの場合、p1+q1+r1+s1が0でない)で表される単量体が挙げられる。より具体的には、
【0056】
【0057】
などが好ましく挙げられ、なかでも
【0058】
【0059】
であることが好ましい。
【0060】
一般式(1’)で表される単量体としては、中でも、下記一般式(1a’):
CH2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-COOH
(1a’)
(式中、n5は0又は1~10の整数を表す。)で表されるフルオロアリルエーテル化合物が好適なものとして例示される。
上記式(1a’)において、上記n5は0又は1~5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
【0061】
上記一般式(1a’)で表される単量体としては、特に、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOH、及び、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOHからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOHがより好ましい。
【0062】
上記フルオロポリマーは、上記構造単位M3のみからなる単独重合体であってもよいし、上記構造単位M3と、一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位N3とを含む共重合体であってもよい。重合媒体への溶解性の観点からは、構造単位M3のみからなる単独重合体が好ましい。上記構造単位M3は、各出現において、同一または異なっていてもよく、上記フルオロポリマーは、2種以上の異なる一般式(1)で表される単量体由来の構造単位M3を含んでいてもよい。
【0063】
上記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体としては、炭素数2又は3の含フッ素エチレン性単量体が好ましく、例えば、CF2=CF2、CF2=CFCl、CH2=CF2、CFH=CH2、CFH=CF2、CF2=CFCF3、CH2=CFCF3、CH2=CHCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)などが挙げられる。
なかでも、共重合性が良好である点で、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2)、クロロトリフルオロエチレン(CF2=CFCl)及びフッ化ビニリデン(CH2=CF2)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、テトラフルオロエチレンがより好ましい。従って、上記構造単位N3は、テトラフルオロエチレン由来の構造単位であることが好ましい。上記構造単位N3は、各出現において、同一または異なっていてもよく、上記フルオロポリマーは、2種以上の異なる一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位N3を含んでいてもよい。
【0064】
上記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体としては、また、下記式(n1-2):
【0065】
【0066】
(式中、X1、X2は同じかまたは異なりHまたはF;X3はH、F、Cl、CH3またはCF3;X4、X5は同じかまたは異なりHまたはF;aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rf3は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される単量体が挙げられる。
【0067】
具体的には、CH2=CFCF2-O-Rf3、CF2=CF-O-Rf3、CF2=CFCF2-O-Rf3、CF2=CF-Rf3、CH2=CH-Rf3、CH2=CH-O-Rf3(式中、Rf3は前記式(n1-2)と同じ)などが好ましく挙げられる。
【0068】
上記他の単量体としては、式(n2-1):
【0069】
【0070】
(式中、X9はH、FまたはCH3;Rf4は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素アクリレート単量体も挙げられる。上記Rf4基は、
【0071】
【0072】
(式中、d3は1~4の整数;e3は1~10の整数)などが挙げられる。
【0073】
上記一般式(1)で表される単量体と共重合可能な単量体としては、式(n2-2):
CH2=CHO-Rf5 (n2-2)
(式中、Rf5は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素ビニルエーテルも挙げられる。
【0074】
式(n2-2)の単量体として具体的には、
【0075】
【0076】
(式中、e6は1~10の整数)などが好ましく挙げられる。
【0077】
より具体的には、
【0078】
【0079】
などが挙げられる。
【0080】
その他、式(n2-3):
CH2=CHCH2O-Rf6 (n2-3)
(式中、Rf6は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素アリルエーテル、式(n2-4):
CH2=CH-Rf7 (n2-4)
(式中、Rf7は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素ビニル単量体等も挙げられる。
【0081】
上記式(n2-3)、(n2-4)で表される単量体として具体的には、
【0082】
【0083】
などの単量体が挙げられる。
【0084】
上記フルオロポリマーは、構造単位M3の含有量が全重合単位に対して1.0モル%以上が好ましく、3.0モル%以上がより好ましく、5.0モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が更により好ましく、20モル%以上が殊更好ましく、30モル%以上が特に好ましい。より好ましくは、40モル%以上であり、更に好ましくは、60モル%以上であり、更により好ましくは、80モル%以上であり、特に好ましくは、90モル%以上であり、実質的に100モル%であることが殊更に好ましく、構造単位M3のみからなることが最も好ましい。
【0085】
上記フルオロポリマーにおいて、構造単位N3の含有量は、全重合単位に対して99.0モル%以下が好ましく、97.0モル%以下がより好ましく、95.0モル%以下が更に好ましく、90モル%以下が更により好ましく、80モル%以下が殊更好ましく、70モル%以下が特に好ましい。より好ましくは、60モル%以下であり、更に好ましくは40モル%以下であり、更により好ましくは20モル%以下であり、特に好ましくは10モル%以下であり、実質的に0モル%が殊更に好ましく、構造単位N3を含まないことが特に殊更好ましい。
【0086】
上記フルオロポリマーにおいて、構造単位M3は、下記式(1a):
CH2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-COOH (1a)
(式中、n5は0又は1~10の整数を表す。)で表されるフルオロアリルエーテル化合物由来の構造単位であり、構造単位N3はテトラフルオロエチレン由来の構造単位であることが特に好ましい態様の一つである。
【0087】
上記フルオロポリマーにおいて、式(1a)で表されるフルオロアリルエーテル化合物由来の構造単位の含有量は、全重合単位に対して10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上が更に好ましく、40モル%以上が更により好ましく、60モル%以上が殊更に好ましく、80モル%以上が特に好ましく、90モル%以上が特に好ましく、実質的に100モル%であることが特に好ましい。
【0088】
また、上記フルオロポリマーにおいて、テトラフルオロエチレン由来の構造単位の含有量は全重合単位に対して90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下が更に好ましく、60モル%以下が更により好ましく、40モル%以下が殊更に好ましく、20モル%以下が特により好ましく、10モル%以下が特に好ましく、実質的に0モル%が特に好ましい。
【0089】
上記フルオロポリマーの数平均分子量は、0.1×104以上が好ましく、0.2×104以上がより好ましく、0.3×104以上が更に好ましく、0.4×104以上が更により好ましく、0.5×104以上が殊更に好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、3.0×104以上が殊更特に好ましく、3.1×104以上が最も好ましい。また、75.0×104以下が好ましく、50.0×104以下がより好ましく、40.0×104以下が更に好ましく、30.0×104以下が殊更に好ましく、20.0×104以下が特に好ましい。
数平均分子量が低すぎると、分散性(他の成分を安定に分散させる性質)が低下し、分散剤として使用できないおそれがある。数平均分子量が高すぎると、粘度が高くなってしまい、ハンドリングが煩雑になるおそれがある。
【0090】
上記フルオロポリマーの重量平均分子量は、0.2×104以上が好ましく、0.4×104以上がより好ましく、0.6×104以上が更に好ましく、0.8×104以上が更により好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、5.0×104以上がより特に好ましく、10.0×104以上が更に特に好ましく、15.0×104以上が殊更に好ましく、20.0×104以上が殊更特に好ましく、25.0×104以上が最も好ましい。また、150.0×104以下が好ましく、100.0×104以下がより好ましく、60.0×104以下が更に好ましく、50.0×104以下が特に好ましく、40.0×104以下が殊更に好ましい。
【0091】
上記数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、東ソー社製およびAgilent社製単分散ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)を標準として分子量を算出する値である。また、GPCによる測定ができない場合には、NMR、FT-IR等により得られた末端基数から計算された数平均分子量とメルトフローレートとの相関関係により、フルオロポリマーの数平均分子量を求めることができる。メルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して測定できる。
【0092】
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であることが好ましい。「炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合」は、炭素原子に結合する水素原子と、炭素原子に結合するハロゲン原子(フッ素原子を含む)との合計数に対するフッ素原子数の割合として求められる。上記フルオロポリマーにおける、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合は、特に限定されないが、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは100%である。
上記フルオロポリマーは、イオン性基を含むことが好ましい。
上記フルオロポリマーは、53以下のイオン交換率(IXR)を有することが好ましい。上記IXRは、イオン性基に対するポリマー主鎖中の炭素原子数と定義される。加水分解によりイオン性となる前駆体基(例えば、-SO2F)は、IXRを決定する目的ではイオン性基と見なされない。
上記IXRは、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更により好ましく、5以上が殊更に好ましく、8以上が特に好ましい。また、IXRは43以下が好ましく、33以下がより好ましく、23以下が更に好ましい。
上記フルオロポリマーにおいて、イオン性基は、典型的に、ポリマー主鎖に沿って分布している。上記フルオロポリマーは、ポリマー主鎖を、この主鎖に結合された繰り返し側鎖とともに含み、この側鎖はイオン性基を有することが好ましい。
フルオロポリマーは、10未満、より好ましくは7未満のpKaを有するイオン性基を含むことが好ましい。フルオロポリマーのイオン性基は、好ましくは、スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、及び、ホスファートからなる群から選択される。
用語「スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、およびホスファート」は、それぞれの塩、または塩を形成し得るそれぞれの酸をいうことが意図される。塩が用いられる場合、好ましくは、その塩はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。好ましいイオン性基は、スルホナート基である。
上記フルオロポリマーは、水溶性重合体であることが好ましい。「水溶性」とは、容易に水性媒体に溶解又は分散する性質を意味する。水溶性を有する重合体は、例えば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない。一方、非水溶性を有する重合体は、例えば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定することができる。
【0093】
上記フルオロポリマーは上記の単量体を用いること以外は従来公知の方法により製造することができる。
【0094】
水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物において、上記フルオロポリマーの濃度は特に限定されず、例えば、0.1~20質量%であってよい。
低分子量体の除去効率がより効率的になることから、組成物における上記フルオロポリマーの濃度は18.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは15.0質量%以下であり、更に好ましくは12.0質量%以下であり、特に好ましくは10.0質量%以下である。上記フルオロポリマーの濃度を上記範囲にすることでより効率的に低分子量体を除去することができる。上記フルオロポリマーの濃度は、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上が更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。
水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物は、1種の単一のフルオロポリマーを含んでいてもよいし、2種以上の異なるフルオロポリマーを含んでいてもよい。
【0095】
水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物は、pHが0~11であることが好ましく、0.5~8.0がより好ましい。上記pHはpH調整剤を用いて調整することができる。pH調整剤としては、酸又はアルカリであってよく、例えば、リン酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が挙げられる。
本開示の第1の製造方法は、工程Aの前に、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物のpHを1.0~7.0にする工程を含むことも好ましい。
【0096】
水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物は、例えば、一般式(1)で表される単量体を重合することで得られるものであってよい。本開示の第1の製造方法は、一般式(1)で表される単量体を重合する工程(以下「重合工程」ともいう)を含むことも好ましい態様の一つである。上記重合工程は水性媒体中で行うことが好ましい。すなわち、本開示の第1の製造方法は、水性媒体中で、一般式(1)で表される単量体を重合することにより、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物を得る工程を含むことも好ましい。
上記重合工程は、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物が得られるものであれば限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0097】
水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物は、重合で得られた重合上がりの組成物であってもよいし、重合で得られた重合上がりの組成物を希釈又は濃縮したものであってもよいし、分散安定化処理等を行ったものであってもよい。限外濾過、精密濾過又は透析膜処理を円滑に進めるために、これらの処理によって、フルオロポリマーを含む組成物の粘度を調整することも好ましい。
工程Aにおいて用いる、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物の粘度は、限外濾過、精密濾過又は透析膜処理が円滑に進むことから、25mPa・s以下が好ましい。組成物の粘度は、たとえば、フルオロポリマーの数平均分子量を調整する方法、組成物中のフルオロポリマーの濃度を調整する方法、組成物の温度を調整する方法などにより、調整することができる。
【0098】
上記重合により、通常、副生成物として低分子量体が生成する。本開示の第1の製造方法では、水、及び、フルオロポリマーを含む組成物に限外濾過等の処理を行うことによって低分子量体を除去することができる。
工程Aにおいて用いる、水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物は、低分子量体を含むものであってよく、例えば、低分子量体の含有量がフルオロポリマーに対して、好ましくは5.0%超であり、より好ましくは5.5%以上であり、さらに好ましくは6.0%以上であり、あるいは2.0%超である。
低分子量体としては、例えば、分子量700以上3000以下の化合物、分子量400以上3000以下の化合物、分子量700以上10000未満の化合物、構造単位M3を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する重合体αを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する水溶性重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーなどが挙げられる。
上記低分子量体の含有量は、GPCのピーク面積より算出した値および/または液体クロマトグラフィ-質量分析法(LC/MS/MS)による測定により算出した値である。
【0099】
上記限外濾過又は精密濾過は、クロスフロー方式でもデッドエンド方式でもよく限定されないが、膜の目詰まりを低減する観点からクロスフロー方式が好ましい。
【0100】
上記限外濾過は、限外濾過膜を用いて行うことができる。限外濾過は、例えば、限外濾過膜を有する限外濾過装置を用いて行うことができ、遠心式限外濾過法、回分式限外濾過法、循環式限外濾過法等を採用できる。
【0101】
上記限外濾過膜の分画分子量は、通常、0.1×104~30×104Da程度である。上記限外濾過膜の分画分子量の下限としては、膜の目詰まりを抑制し、効率的に低分子量体を低減できることから、好ましい順に、0.3×104Da以上、0.5×104Da以上、1.0×104Da以上、1.5×104Da以上、2.0×104Da以上、3.0×104Da以上、5.0×104Da以上、8.0×104Da以上である。
また、上記分画分子量は、低分子量体低減の観点から、20×104Da以下が好ましく、10×104Da以下がより好ましい。
上記限外濾過膜の分画分子量は、例えば、重量平均分子量が既知のポリスチレンを膜に通水し、90%阻止できる分子量を分画分子量とすることができる。ポリスチレンの定量は、ゲル透過クロマトグラフィを用いて行うことができる。
【0102】
特に、分子量700以上3000以下の化合物、分子量400以上3000以下の化合物、分子量700以上10000未満の化合物などを、フルオロポリマーを含む組成物から効率的に除去するためには、フルオロポリマーを含む組成物に対して限外濾過を実施することが好ましい。この際に用いる限外濾過膜の分画分子量としては、好ましくは1.0×104Da以上であり、より好ましくは1.5×104Da以上であり、好ましくは20.0×104Da以下であり、より好ましくは10.0×104Da以下である。
【0103】
上記限外濾過膜の形状としては従来公知のものが挙げられ限定されるものではないが、例えば、中空糸型、平膜型、スパイラル型、チューブラー型等が挙げられる。目詰まり抑止の観点からは、中空糸型が好ましい。
中空糸型限外濾過膜の内径は限定されないが、例えば、0.1~2mmであってよい。好ましくは、0.8~1.4mmである。
中空糸型限外濾過膜の長さは限定されないが、例えば、0.05~3mであってよい。好ましくは、0.05~2mである。
【0104】
上記限外濾過膜の材質としては、特に限定されるものではないが、セルロース、セルロースエステル、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機材料、ステンレス等の金属、又はセラミック等の無機材料が挙げられる。
限外濾過膜の材質は、有機材料であることが好ましく、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリルニトリル、ポリスルホン、又は、ポリエーテルスルホンであることがより好ましく、ポリアクリルニトリル又はポリフッ化ビニリデンが更に好ましい。
【0105】
上記限外濾過膜として具体的には、DESAL社のG-5タイプ、G-10タイプ、G-20タイプ、G-50タイプ、PWタイプ、HWS UFタイプ;KOCH社のHFM-180、HFM-183、HFM-251、HFM-300、HFM-116、HFM-183、HFM-300、HFK-131、HFK-328、MPT-U20、MPS-U20P、MPS-U20S;Synder社のSPE1、SPE3、SPE5、SPE10、SPE30、SPV5、SPV50、SOW30;旭化成株式会社製のマイクローザ(登録商標)UFシリーズ;日東電工株式会社製のNTR7410などが挙げられる。
【0106】
上記限外濾過は、低分子量体低減の観点から、0.01MPa以上の圧力で行うことが好ましい。より好ましくは、0.03MPa以上であり、更に好ましくは0.05MPa以上である。また、上記圧力は、耐圧の観点から、0.5MPa以下が好ましく、0.25MPa以下がより好ましく、0.2MPa以下が更に好ましい。
【0107】
上記限外濾過は、低分子量体低減の観点から、10mL/分以上の流速で行うことが好ましく、50mL/分以上の流速で行うことがより好ましく、また、5000mL/分以下の流速で行うことが好ましく、1000mL/分以下の流速で行うことがより好ましい。
【0108】
上記精密濾過は、精密濾過膜を用いて行うことができる。精密濾過膜は、通常、0.05~1.0μmの平均細孔径を有する。
上記精密濾過膜は、効率的に低分子量体低減できることから、平均細孔径が0.1μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.075μm以上であり、更に好ましくは0.1μm以上である。また、平均細孔径が1.00μm以下であることが好ましい。より好ましくは平均細孔径が0.50μm以下であり、更に好ましくは0.25μm以下である。
上記精密濾過膜の平均細孔径は、ASTM F 316-03(バブルポイント法)に準拠して測定することが可能である。
【0109】
上記精密濾過膜の形状としては従来公知のものが挙げられ限定されず、例えば、中空糸型、平膜型、スパイラル型、チューブラー型等が挙げられる。目詰まり抑止の観点からは、中空糸型が好ましい。
中空糸型限外濾過膜の内径は限定されないが、例えば、0.1~2mmであってよい。好ましくは、0.8~1.4mmである。
中空糸型限外濾過膜の長さは限定されないが、例えば、0.05~3mであってよい。好ましくは、0.05~2mである。
【0110】
上記精密濾過膜の材質としては、例えばセルロース系、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、セラミックス、金属等が挙げられる。中でも、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、又は、ポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリアクリルニトリル又はポリフッ化ビニリデンが特に好ましい。
【0111】
精密濾過膜として具体的には、日本ガイシ社製のCefilt;旭化成社製マイクローザUシリーズ、マイクローザPシリーズ;住友電工社製のポアフロンSPMW、ポアフロンOPMW、ポアフロンPM;東レ社製のトレフィル;マイクロダイン・ナディア社製のNADIR MP005、NADIR MV020;Norit社製のX-flow等が挙げられる。
【0112】
上記精密濾過は、低分子量体低減の観点から、0.01MPa以上の圧力で行うことが好ましい。より好ましくは、0.03MPa以上であり、更に好ましくは0.05MPa以上である。また、上記圧力は、耐圧の観点から、0.5MPa以下が好ましく、0.25MPa以下がより好ましく、0.2MPa以下が更に好ましい。
【0113】
上記精密濾過は、低分子量体低減の観点から、10mL/分以上の流速で行うことが好ましく、50mL/分以上の流速で行うことがより好ましく、また、5000mL/分以下の流速で行うことが好ましく、1000mL/分以下の流速で行うことがより好ましい。
【0114】
上記透析膜処理は、透析膜を用いて行う。透析膜は、通常、0.05×104~100×104Daの分画分子量を有する。
上記透析膜は、膜の目詰まりを抑制し、効率的に着色低減をできることから、分画分子量が0.3×104Da以上であることが好ましい。上記分画分子量は、0.5×104Da以上がより好ましく、1.0×104Da以上が更に好ましく、1.5×104Da以上が更により好ましく、2.0×104Da以上が殊更に好ましく、3.0×104Da以上が特に好ましく、5.0×104Da以上が最も好ましい。上記分画分子量は8.0×104Da以上であってもよい。
また、上記分画分子量は、着色低減の観点から、20×104Da以下が好ましく、10×104Da以下がより好ましい。
上記透析膜の分画分子量は、例えば、限外濾過膜と同じ方法で測定することができる。
【0115】
特に、構造単位M3を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する重合体αを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する水溶性重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーなどを、フルオロポリマーを含む組成物から効率的に除去するためには、フルオロポリマーを含む組成物に対して透析膜処理を実施することが好ましい。この際に用いる透析膜の分画分子量としては、好ましくは0.3×104Da以上であり、より好ましくは0.5×104Da以上であり、好ましくは8.0×104Da以下であり、より好ましくは5.0×104Da以下である。
【0116】
上記透析膜の材質としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレン、セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル系ポリマーアロイ等が挙げられる。
【0117】
透析膜として具体的には、スペクトラムラボラトリーズ社製のSpectra/Por(登録商標)Float-A-Lyzer、Tube-A-Lyzer、Dialysis tubing、6Dialysis tubing、7Dialysis tubing等が例示される。
【0118】
上記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理は、10℃以上の温度で行うことが好ましい。より好ましくは、15℃以上であり、更に好ましくは、20℃以上であり、特に好ましくは、30℃以上である。温度を上記範囲にすることでより効率的に低分子量体を低減することができる。上記温度は、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下が更に好ましく、60℃以下が特に好ましい。
【0119】
本開示の第1の製造方法において、限外濾過、精密濾過又は透析膜処理を行いながら、水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物に水を追加したり、pH調整剤を添加して水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物のpHを調整したりしてもよい。
従って、上記工程Aは、水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物に水を追加する工程を含んでもよく、上記水は、段階的に追加してもよいし、連続的に添加してもよい。また、水、及び、上記フルオロポリマーを含む組成物にpH調整剤を添加する工程を含んでもよい。
【0120】
上記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理の中でも、限外濾過又は精密濾過が好ましく、限外濾過がより好ましい。
上記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理の終点は、適宜決定すればよく限定されない。
また、上記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理は、濾過膜の耐久性向上のため、濾過工程時において1~24時間を目安に一回程度水で逆洗浄してもよい。
【0121】
本開示の第1の製造方法により、上記フルオロポリマーを含み、低分子量体の含有量が低減された組成物を得ることができる。
【0122】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体(以下「重合体α」ともいう)を含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程A1を含むことを特徴とする組成物の製造方法(以下「本開示の第2の製造方法」ともいう)をも提供する。
【0123】
本開示の第2の製造方法により得られる組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第2の製造方法において、上記工程A1は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体αを含む組成物を用いること以外は、本開示の第1の製造方法と同じ方法を全て採用できる。
なお、「炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合」は、炭素原子に結合する水素原子と、炭素原子に結合するハロゲン原子(フッ素原子を含む)との合計数に対するフッ素原子数の割合として求められる。
【0124】
上記重合体αとしては特に限定されず、上述したフルオロポリマーの中から炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基(アニオン性基)を含み、イオン交換率が53以下である重合体を用いることができるし、上述したフルオロポリマー以外の炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基(アニオン性基)を含み、イオン交換率が53以下である重合体を用いることもできる。
【0125】
上記重合体αとしては、例えば、一般式(I)で表される単量体に基づく構造単位(I)を含む重合体が挙げられる。重合体αは、構造単位(I)を2以上含むことが好ましい。
CX1X3=CX2R-CZ1Z2-A0 (I)
(式中、X1およびX3は、それぞれ独立して、F、Cl、HまたはCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1およびZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基である)
X2としては、F、Cl、H又はCF3が好ましい。また、Z1及びZ2としては、FまたはCF3が好ましく、一方がFで他方がCF3であることがさらに好ましい。
【0126】
本開示において、アニオン性基には、サルフェート基、カルボキシレート基などのアニオン性基に加えて、-COOHのような酸基、-COONH4のような酸塩基などのアニオン性基を与える官能基が含まれる。アニオン性基としては、サルフェート基、カルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基、スルホネート基、または、-C(CF3)2OM(式中、Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である。)が好ましい。
【0127】
重合体αは、一般式(I)で表される1種の単量体に基づく構造単位(I)のみを含むものであってもよいし、一般式(I)で表される2種以上の単量体に基づく構造単位(I)を含むものであってもよい。
【0128】
Rは、連結基である。本開示において「連結基」は、二価連結基を指す。連結基は、単結合であってもよく、少なくとも1個の炭素原子を含むことが好ましく、炭素原子の数は、2以上であってよく、4以上であってよく、8以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってもよい。上限は限定されないが、たとえば、100以下であってよく、50以下であってよい。
【0129】
連結基は、鎖状または分岐鎖状、環状または非環状構造、飽和または不飽和、置換または非置換であってよく、所望により硫黄、酸素、および窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、所望によりエステル、アミド、スルホンアミド、カルボニル、カーボネート、ウレタン、尿素およびカルバメートからなる群から選択される1つ以上の官能基を含んでよい。上記連結基は、炭素原子を含まず、酸素、硫黄または窒素等のカテナリーヘテロ原子であってもよい。
【0130】
Rは、たとえば、酸素、硫黄、窒素等のカテナリーヘテロ原子、または、2価の有機基であることが好ましい。
【0131】
Rが2価の有機基である場合、炭素原子に結合する水素原子は、フッ素以外のハロゲン、たとえば塩素等で置き換えられてもよく、二重結合を含んでも含まなくてもよい。また、Rは、鎖状および分岐鎖状のいずれでもよく、環状および非環状のいずれでもよい。また、Rは、官能基(たとえば、エステル、エーテル、ケトン、アミン、ハロゲン化物等)を含んでもよい。
【0132】
Rはまた、非フッ素の2価の有機基であってもよいし、部分フッ素化または過フッ素化された2価の有機基であってもよい。
【0133】
Rとしては、たとえば、炭素原子にフッ素原子が結合していない炭化水素基、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭化水素基、または、炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子で置換された炭化水素基であってもよく、これらは酸素原子を含んでいてもよく、二重結合を含んでいてもよく、官能基を含んでいてもよい。
【0134】
Rは、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~100の炭化水素基であることが好ましく、該炭化水素基は、炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がフッ素に置換されていてもよい。
【0135】
Rとして好ましくは、-(CH2)a-、-(CF2)a-、-O-(CF2)a-、-(CF2)a-O-(CF2)b-、-O(CF2)a-O-(CF2)b-、-(CF2)a-[O-(CF2)b]c-、-O(CF2)a-[O-(CF2)b]c-、-[(CF2)a-O]b-[(CF2)c-O]d-、-O[(CF2)a-O]b-[(CF2)c-O]d-、-O-[CF2CF(CF3)O]a-(CF2)b-、-[CF2CF(CF3)O]a-、-[CF(CF3)CF2O]a-、-(CF2)a-O-[CF(CF3)CF2O]a-、-(CF2)a-O-[CF(CF3)CF2O]a-(CF2)b-、および、これらの組み合わせから選択される少なくとも1種である。
式中、a、b、cおよびdは独立して少なくとも1以上である。a、b、cおよびdは独立して、2以上であってよく、3以上であってよく、4以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってよい。a、b、cおよびdの上限は、たとえば、100である。
【0136】
Rとしては、一般式(r1):
-CF2-O-(CX6
2)e-{O-CF(CF3)}f-(O)g- (r1)
(式中、X6はそれぞれ独立してH、FまたはCF3であり、eは0~3の整数であり、fは0~3の整数であり、gは0または1である)で表される2価の基が好ましく、一般式(r2):
-CF2-O-(CX7
2)e-(O)g- (r2)
(式中、X7はそれぞれ独立してH、FまたはCF3であり、eは0~3の整数であり、gは0または1である)で表される2価の基がより好ましい。
【0137】
Rとして好適な具体的としては、-CF2-O-、-CF2-O-CF2-、-CF2-O-CH2-、-CF2-O-CH2CF2-、-CF2-O-CF2CF2-、-CF2-O-CF2CH2-、-CF2-O-CF2CF2CH2-、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。なかでも、Rは、酸素原子を含んでもよい、パーフルオロアルキレン基が好ましく、具体的には、-CF2-O-、-CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF2CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-、または、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-が好ましい。
【0138】
一般式(I)の-R-CZ1Z2-としては、一般式(s1):
-CF2-O-(CX6
2)e-{O-CF(CF3)}f-(O)g-CZ1Z2- (s1)
(式中、X6はそれぞれ独立してH、FまたはCF3であり、eは0~3の整数であり、fは0~3の整数であり、gは0または1であり、Z1およびZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基である)で表されるものが好ましく、式(s1)において、Z1およびZ2は、FまたはCF3がより好ましく、一方がFで他方がCF3であることがさらに好ましい。
【0139】
また、一般式(I)において、-R-CZ1Z2-としては、一般式(s2):
-CF2-O-(CX7
2)e-(O)g-CZ1Z2- (s2)
(式中、X7はそれぞれ独立してH、FまたはCF3であり、eは0~3の整数であり、gは0または1であり、Z1およびZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基である)で表されるものが好ましく、式(s2)において、Z1およびZ2は、FまたはCF3がより好ましく、一方がFで他方がCF3であることがさらに好ましい。
【0140】
一般式(I)の-R-CZ1Z2-としては、-CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-C(CF3)2-、-CF2-O-CF2-CF2-、-CF2-O-CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2-C(CF3)2-、-CF2-O-CF2CF2-CF2-、-CF2-O-CF2CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2CF2-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)-、または、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-C(CF3)2-が好ましく、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-CF(CF3)-、または、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)-がより好ましい。
【0141】
重合体αは、高度にフッ素化されていることも好ましい。たとえば、ホスフェート基部分(たとえば、CH2OP(O)(OM)2)およびサルフェート基部分(たとえば、CH2OS(O)2OM)のようなアニオン性基(A0)を除き、重合体α中のC-H結合の80%以上、90%以上、95%以上、または100%がC-F結合で置換されていることが好ましい。重合体αにおける、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合は、50%以上であり、特に限定されないが、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは100%である。
【0142】
重合体αは、アニオン性基(A0)を除いて、C-F結合を有し、C-H結合を有していないことも好ましい。すなわち、一般式(I)において、X1、X2、およびX3の全てがFであり、Rは炭素数が1以上のパーフルオロアルキレン基であることが好ましく、上記パーフルオロアルキレン基は、鎖状および分岐鎖状のいずれでもよく、環状および非環状のいずれでもよく、少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子を含んでもよい。上記パーフルオロアルキレン基の炭素数は、2~20であってよく、4~18であってもよい。
【0143】
重合体αは、部分フッ素化されたものであってもよい。すなわち、重合体αは、アニオン性基(A0)を除いて、炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子を有し、炭素原子に結合した少なくとも1つのフッ素原子を有することも好ましい。
【0144】
アニオン性基(A0)は、-SO3M、-OSO3M、-COOM、-SO2NR’CH2COOM、-CH2OP(O)(OM)2、[-CH2O]2P(O)(OM)、-CH2CH2OP(O)(OM)2、[-CH2CH2O]2P(O)(OM)、-CH2CH2OSO3M、-P(O)(OM)2、-SO2NR’CH2CH2OP(O)(OM)2、[-SO2NR’CH2CH2O]2P(O)(OM)、-CH2OSO3M、-SO2NR’CH2CH2OSO3M、または、-C(CF3)2OMであってよい。なかでも、-SO3M、-COOMまたは-P(O)(OM)2が好ましく、-SO3Mまたは-COOMがより好ましく、-COOMがさらに好ましい。
【0145】
Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である。
【0146】
金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、KまたはLiが好ましい。
【0147】
Mとしては、-H、金属原子またはNR7
4が好ましく、-H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)またはNR7
4がより好ましく、-H、-Na、-K、-LiまたはNH4が更に好ましく、-Na、-KまたはNH4が更により好ましく、-NaまたはNH4が特に好ましく、-NH4が最も好ましい。
【0148】
重合体αにおいて、各構造単位(I)で異なるアニオン性基を有してもよいし、同じアニオン性基を有してもよい。
【0149】
重合体αは、一般式(Ia)で示される単量体に基づく構造単位(Ia)を含む重合体であることも好ましい。
CF2=CF-O-Rf0-A0 (Ia)
(式中、A0はアニオン性基であり、Rf0は、過フッ素化されており、鎖状または分岐鎖状、環状または非環状構造、飽和または不飽和、置換または非置換であってもよく、硫黄、酸素、および窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意追加的に含有する過フッ素化二価連結基である。)
【0150】
上記重合体αは、一般式(Ib)で示される単量体に基づく構造単位(Ib)を含む重合体であることも好ましい。
CH2=CH-O-Rf0-A0 (Ib)
(式中、A0はアニオン性基であり、Rf0は式Iaで定義される過フッ素化二価連結基である。)
【0151】
上記重合体αは、一般式(Ic)で示される単量体に基づく構造単位(Ic)を含む重合体であることも好ましい。
CH2=CF-O-Rf0-A0 (Ic)
(式中、A0はアニオン性基であり、Rf0は式Iaで定義される過フッ素化二価連結基である。)
【0152】
一般式(I)において、A0はサルフェート基であることが好ましい形態の一つである。A0は、たとえば、-CH2OSO3M、-CH2CH2OSO3M、または、-SO2NR’CH2CH2OSO3Mであり、式中、R’はH、または炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。
【0153】
A0がサルフェート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CF(OCF2CF2CH2OSO3M)、CH2=CH((CF2)4CH2OSO3M)、CF2=CF(O(CF2)4CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2OSO3M)、CH2=CH((CF2)4CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OSO3M)、CH2=CH(CF2CF2CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF2CF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OSO3M)、CH2=CH(CF2CF2CF2CH2OSO3M)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
【0154】
一般式(I)において、A0はスルホネート基であることも好ましい形態の一つである。A0としてはたとえば、-SO3Mであり、式中、Mは上記と同じである。
【0155】
A0がスルホネート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2SO3M)、CF2=CF(O(CF2)3SO3M)、CF2=CF(O(CF2)4SO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)SO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3M)、CH2=CH(CF2CF2SO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2CF2SO3M)、CH2=CH((CF2)4SO3M)、CH2=CH(CF2CF2SO3M)、CH2=CH((CF2)3SO3M)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
【0156】
一般式(I)において、A0はカルボキシレート基であることも好ましい形態の一つである。A0としては、たとえばCOOMまたはSO2NR’CH2COOMであり、式中、R’はHまたは炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。A0がカルボキシレート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2COOM)、CF2=CF(O(CF2)3COOM)、CF2=CF(O(CF2)5COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)O(CF2)nCOOM)(nは1より大きい)、CH2=CH(CF2CF2COOM)、CH2=CH((CF2)4COOM)、CH2=CH(CF2CF2COOM)、CH2=CH((CF2)3COOM)、CF2=CF(OCF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(O(CF2)4SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH(CF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH((CF2)4SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH(CF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH((CF2)3SO2NR’CH2COOM)等が挙げられる。上記式中、R’はHまたは炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。
【0157】
一般式(I)において、A0はホスフェート基であることも好ましい形態の一つである。A0としては、たとえば、-CH2OP(O)(OM)2、[-CH2O]2P(O)(OM)、-CH2CH2OP(O)(OM)2、[-CH2CH2O]2P(O)(OM)、[-SO2NR’CH2CH2O]2P(O)(OM)またはSO2NR’CH2CH2OP(O)(OM)2であり、式中、R’は炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。
【0158】
A0がホスフェートである場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(O(CF2)4CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF2CF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)4CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)3CH2OP(O)(OM)2)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
【0159】
一般式(I)において、A0はホスホネート基であることも好ましい形態の一つである。A0がホスホネート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2P(O)(OM)2)、CF2=CF(O(CF2)4P(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)P(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2P(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2P(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)4P(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2P(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)3P(O)(OM)2)が挙げられ、式中、Mは上記と同じである。
【0160】
上記重合体αとしては、例えば、下記一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体が挙げられる。
【0161】
重合体αに含まれる構造単位M3は、上述したフルオロポリマーに含まれる構造単位M3と同様であり、好ましい構成も同様である。
【0162】
重合体αは、一般式(2)で表される単量体に基づく構造単位(2)を含む重合体であることも好ましい。
CX2=CY(-O-Rf-A) (2)
(式中、Xは、同一または異なって、-HまたはFであり、Yは-H、-F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、または、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、前記と同じである。)
【0163】
一般式(2)において、Xは-HまたはFである。Xは、両方が-Fであってもよいし、少なくとも1つが-Hであってよい。たとえば、片方が-Fで他方が-Hであってもよいし、両方が-Hであってもよい。
【0164】
一般式(2)において、Yは-H、-F、アルキル基または含フッ素アルキル基である。アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。Yとしては、-H、-FまたはCF3が好ましく、-Fがより好ましい。
【0165】
一般式(2)において、上記XおよびYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。たとえば、Xが-Hであり、YおよびZが-Fであってよい。
【0166】
一般式(2)において、上記Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、または、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
【0167】
Rfの含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。含フッ素アルキレン基としては、-CF2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CF2CH2-、-CF2CF2CH2-、-CF(CF3)-、-CF(CF3)CF2-、-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0168】
一般式(2)で表される単量体は、一般式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
CF2=CF-O-(CF2)n1-A (2a)
(式中、n1は、1~10の整数を表し、Aは前記と同じ。)
CF2=CF-O-(CF2C(CF3)F)n2-A (2b)
(式中、n2は、1~5の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
CF2=CF-O-(CFX1)n3-A (2c)
(式中、X1は、FまたはCF3を表し、n3は、1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
CF2=CF-O-(CF2CFX1O)n4-(CF2)n6-A (2d)
(式中、n4は、1~10の整数を表し、n6は、1~3の整数を表し、AおよびX1は、前記定義と同じ。)
CF2=CF-O-(CF2CF2CFX1O)n5-CF2CF2CF2-A (2e)
(式中、n5は、1~10の整数を表し、AおよびX1は、前記定義と同じ。)
【0169】
一般式(2a)において、上記n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。
【0170】
一般式(2a)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CF-O-CF2COOM、CF2=CF(OCF2CF2COOM)、CF2=CF(OCF2CF2CF2COOM)(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
【0171】
一般式(2b)において、n2は、水溶性の点で、3以下の整数であることが好ましい。
【0172】
一般式(2c)において、n3は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Aは、-COOMであることが好ましく、上記Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
【0173】
一般式(2d)において、X1は、水溶性の点で、-CF3であることが好ましく、n4は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
【0174】
一般式(2d)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2COOM(式中、Mは、H、NH4またはアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
【0175】
一般式(2e)において、n5は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
【0176】
一般式(2e)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CFOCF2CF2CF2COOM(式中、Mは、H、NH4またはアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
【0177】
重合体αは、一般式(3)で表される単量体に基づく構造単位(3)を含む重合体であることも好ましい。
CX2=CY(-Rf-A) (3)
(式中、Xは、同一または異なって、-HまたはFであり、Yは-H、-F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、または、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、前記と同じである。)
【0178】
なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
【0179】
一般式(3)において、Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。一般式(3)において、XおよびYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。
【0180】
一般式(3)で表される単量体は、一般式(3a):
CF2=CF-(CF2)n1-A (3a)
(式中、n1は、1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)で表される単量体、および、一般式(3b):
CF2=CF-(CF2C(CF3)F)n2-A (3b)
(式中、n2は、1~5の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0181】
一般式(3a)および一般式(3b)において、Aは、-SO3MまたはCOOMが好ましく、Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであることが好ましい。R7は、Hまたは有機基を表す。
【0182】
一般式(3a)において、n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
【0183】
一般式(3a)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CFCF2COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
【0184】
一般式(3b)において、n2は、水溶性の点で、3以下の整数であることが好ましく、Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
【0185】
上記重合体αとしては、構造単位M3を含む重合体、構造単位(2)を含む重合体、および、構造単位(3)を含む重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、構造単位M3を含む重合体がより好ましい。
【0186】
また、重合体αとしては、例えば、一般式(II)で表される単量体に基づく構造単位(II)を含む重合体αも挙げられる。重合体αは、構造単位(II)を2以上含むことが好ましい。
CX1X3=CX2RII(-CZ1Z2-A0)nII (II)
(式中、X1、X2、X3、A0、Z1およびZ2は上記定義と同じ、RIIは(nII+1)価連結基であり、nIIは2以上の整数である)
【0187】
nIIは、2以上の整数であり、好ましくは2である。Z1、Z2およびA0は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0188】
一般式(II)で表される単量体としては、一般式(1-II)で表される単量体、一般式(2-II)で表される単量体などが挙げられる。
CF2=CF-CF2-O-QF1-CF(-QF2-CZ1Z2-A)2 (1-II)
(式中、Z1、Z2およびAは上記定義と同じ、QF1およびQF2は、同一又は異なって、単結合、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキレン基または炭素炭素間にエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素オキシアルキレン基である)
CF2=CF-O-QF1-CF(-QF2-CZ1Z2-A)2 (2-II)
(式中、Z1、Z2、A、QF1およびQF2は上記定義と同じ)
【0189】
一般式(II)で表される単量体としては、
【化16】
等が挙げられる。
【0190】
上記重合体αは、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等に基づく含フッ素モノマー(ただし、一般式(I)および一般式(II)で表される単量体を除く)に基づく構造単位を含んでよい。
【0191】
上記重合体αはまた、非含フッ素モノマーに基づく構造単位を含んでもよい。非含フッ素モノマーとしては、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体であればよく、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、加水分解性シリル基含有単量体、水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、α-オレフィン類等が挙げられる。上記非含フッ素モノマーとしては、なかでも、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、及び、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
また、非含フッ素モノマーとして、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種の単量体、不飽和カルボン酸類、並びに、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
そのほか、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体を併用してもよい。
【0192】
上記アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1~10のアクリル酸アルキルエステル、又は、アルキル基の炭素数が1~10のメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、上記アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの分子中に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有アクリル単量体であってもよい。
これらのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、n-ブチルアクリレート、及び、メチルメタクリレートであることが好ましい。
【0193】
上記非含フッ素モノマーとしては、なかでも、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルへキシルメタクリレート、及び、シクロヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しないものである。
【0194】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、n-ブチルアクリレートとメチルメタクリレートとの組合せ又はn-ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2-エチルへキシルメタクリレートとの組合せが更に好ましく、n-ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2-エチルへキシルメタクリレートとの組合せが特に好ましい。加えて、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有アクリル単量体を組み合わせることも好ましい。
【0195】
上記不飽和カルボン酸類の具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3-アリルオキシプロピオン酸、3-(2-アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸などがあげられる。なかでも、単独重合性が低く単独重合体ができにくい点、カルボキシル基の導入を制御しやすい点から、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3-アリルオキシプロピオン酸、及び、ウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0196】
上記加水分解性シリル基含有単量体としては、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OC2H5)2、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OC2H5)2、
CH2=C(CH3)COO(CH2)2O(CH2)3Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)11Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)11Si(CH3)(OCH3)2、
などがあげられる。これらの加水分解性シリル基含有単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0197】
上記加水分解性シリル基含有単量体としては、なかでも、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
【0198】
上記水酸基含有アルキルビニルエーテル類としては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどが挙げられる。重合反応性が優れる点で、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、及び、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0199】
カルボン酸ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ-t-ブチル安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0200】
α-オレフィン類としては、たとえばエチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン、スチレンなどがあげられる。
【0201】
上記重合体αにおいて、構造単位(I)の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更により好ましく、90質量%以上が殊更に好ましく、95質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が最も好ましい。
【0202】
上記重合体αにおいて、上記構造単位M3の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更により好ましく、90質量%以上が殊更に好ましく、95質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が最も好ましい。
【0203】
上記重合体αにおいて、含フッ素モノマーに基づく構造単位および非含フッ素モノマーに基づく構造単位の合計含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が更により好ましく、10質量%以下が殊更に好ましく、5質量%以下が特に好ましく、1質量%以下が最も好ましい。
【0204】
上記重合体αの数平均分子量は、0.1×104以上が好ましく、0.2×104以上がより好ましく、0.3×104以上が更に好ましく、0.4×104以上が更により好ましく、0.5×104以上が殊更に好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、3.0×104以上が殊更特に好ましく、3.1×104以上が最も好ましい。また、75.0×104以下が好ましく、50.0×104以下がより好ましく、40.0×104以下が更に好ましく、30.0×104以下が殊更に好ましく、20.0×104以下が特に好ましい。
数平均分子量が低すぎると、分散性が低下し、分散剤として使用できないおそれがある。数平均分子量が高すぎると、粘度が高くなってしまい、ハンドリングが煩雑になるおそれがある。
【0205】
上記重合体αの重量平均分子量は、0.2×104以上が好ましく、0.4×104以上がより好ましく、0.6×104以上が更に好ましく、0.8×104以上が更により好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、5.0×104以上がより特に好ましく、10.0×104以上が更に特に好ましく、15.0×104以上が殊更に好ましく、20.0×104以上が殊更特に好ましく、25.0×104以上が最も好ましい。また、150.0×104以下が好ましく、100.0×104以下がより好ましく、60.0×104以下が更に好ましく、50.0×104以下が特に好ましく、40.0×104以下が殊更に好ましい。
【0206】
上記数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、東ソー社製およびAgilent社製単分散ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)を標準として分子量を算出する値である。また、GPCによる測定ができない場合には、NMR、FT-IR等により得られた末端基数から計算された数平均分子量とメルトフローレートとの相関関係により、重合体αの数平均分子量を求めることができる。メルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して測定できる。
【0207】
上記重合体αは、水溶性重合体であることが好ましい。
上記重合体αは、53以下のイオン交換率(IXR)を有する。上記IXRは、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更により好ましく、5以上が殊更に好ましく、8以上が特に好ましい。また、IXRは43以下が好ましく、33以下がより好ましく、23以下が更に好ましい。上記重合体αにおいて、イオン性基(アニオン性基)は、典型的に、ポリマー主鎖に沿って分布している。上記重合体αは、ポリマー主鎖を、この主鎖に結合された繰り返し側鎖とともに含み、この側鎖はイオン性基を有することが好ましい。
重合体αは、10未満、より好ましくは7未満のpKaを有するイオン性基(アニオン性基)を含むことが好ましい。重合体αのイオン性基は、好ましくは、スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、ホスファート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
用語「スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、およびホスファート」は、それぞれの塩、または塩を形成し得るそれぞれの酸をいうことが意図される。塩が用いられる場合、好ましくは、その塩はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。好ましいイオン性基は、スルホナート基である。
【0208】
上記重合体αを含む組成物において、上記重合体αの濃度は特に限定されず、例えば、0.1~20質量%であってよい。
低分子量体の除去効率がより効率的になることから、上記重合体αの濃度18.0質量%以下であることが好ましい。より好ましくは15.0質量%以下であり、更に好ましくは12.0質量%以下であり、特に好ましくは10.0質量%以下である。上記重合体αの濃度を上記範囲にすることでより効率的に低分子量体を除去することができる。上記重合体αの濃度は、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上が更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。
上記重合体αを含む組成物は、1種の単一の重合体αを含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体αを含んでいてもよい。
【0209】
上記重合体αを含む組成物は、pHが0~11であることが好ましく、0.5~8.0がより好ましい。上記pHはpH調整剤を用いて調整することができる。pH調整剤としては、酸又はアルカリであってよく、例えば、リン酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が挙げられる。
本開示の第2の製造方法は、工程A1の前に、重合体αを含む組成物のpHを1.0~7.0にする工程を含むことも好ましい。
【0210】
上記重合体αを含む組成物は、上述した重合体αが得られる公知の重合方法で得ることができる。本開示の第2の製造方法は、モノマーを重合して重合体αを得る工程を含むことも好ましい態様の一つである。上記モノマーは、上述した重合体αを構成するモノマーから適宜選択すればよい。上記重合体αを得る工程は水性媒体中で行うことが好ましい。すなわち、本開示の第2の製造方法は、水性媒体中で、一般式(I)で表される単量体を重合することにより、重合体αを含む組成物を得る工程を含むことも好ましい。
【0211】
上記重合体αを含む組成物は、重合で得られた重合上がりの組成物であってもよいし、重合で得られた重合上がりの組成物を希釈又は濃縮したものであってもよいし、分散安定化処理等を行ったものであってもよい。限外濾過、精密濾過又は透析膜処理を円滑に進めるために、これらの処理によって、重合体αを含む組成物の粘度を調整することも好ましい。
【0212】
工程A1において用いる重合体αを含む組成物の粘度は、限外濾過、精密濾過又は透析膜処理が円滑に進むことから、25mPa・s以下が好ましい。組成物の粘度は、たとえば、重合体αの数平均分子量を調整する方法、組成物中の重合体αの濃度を調整する方法、組成物の温度を調整する方法などにより、調整することができる。
【0213】
上記重合により、通常、副生成物として低分子量体が生成する。本開示の第2の製造方法では重合体αを含む組成物に限外濾過等の処理を行うことによって低分子量体を除去することができる。
工程A1において用いる上記重合体αを含む組成物は、低分子量体を含むものであってよく、例えば、低分子量体の含有量が重合体αに対して、好ましくは5.0%超であり、より好ましくは5.5%以上であり、さらに好ましくは6.0%以上であり、あるいは2.0%超である。
【0214】
低分子量体としては、例えば、分子量700以上3000以下の化合物、分子量400以上3000以下の化合物、分子量700以上10000未満の化合物、構造単位M3を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する重合体αを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマー、後述する水溶性重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーなどが挙げられる。
上記低分子量体の含有量は、GPCのピーク面積より算出した値および/または液体クロマトグラフィ-質量分析法(LC/MS/MS)による測定により算出した値である。
【0215】
また、本開示の第2の製造方法を用いることによって、重合体αを含む組成物中から、重合体αを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーを除去することもできる。
【0216】
ダイマーおよびトリマーとしては、一般式(I)で表される単量体(以下、単量体(I)ということがある)のダイマーおよびトリマーが好ましい。ダイマーおよびトリマーは、一般式(I)で表される単量体(I)として、1種の単量体(I)から形成される重合体であってもよいし、構造の異なる2種以上の単量体(I)から形成される共重合体であってもよい。また、ダイマーおよびトリマーとしては、重合体αを構成する好適な構造単位を形成する単量体として、上述した単量体のダイマーおよびトリマーが挙げられる。
【0217】
上述したとおり、重合体αを含む組成物は、たとえば、単量体(I)を重合することにより、製造することができる。
【0218】
単量体(I)を重合することにより得られる組成物には、単量体(I)の重合体として、通常、単量体(I)の重合体の質量に対して、合計で1.0%超のダイマーおよびトリマーが含まれる。単量体(I)の重合体中のダイマーおよびトリマーの含有量としては、たとえば、単量体(I)の重合体に対して、2.0%以上であってもよく、3.0%以上であってもよく、30.0%以下であってもよく、20.0%以下であってもよい。組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量は、組成物のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を行い、GPC分析により得られるクロマトグラムの各ピークの総面積に対する、ダイマーおよびトリマーのピーク面積の合計の割合(面積百分率)を算出することにより、特定することができる。
【0219】
単量体(I)の重合により単量体(I)のダイマーおよびトリマーが生成し、結果として、単量体(I)のダイマーおよびトリマーが、重合体α中に含まれてしまうことは、従来知られていなかった。単量体(I)のダイマーおよびトリマーが生成される機構は必ずしも明らかではないが、特に、重合系に存在する単量体のうち、単量体(I)が大半を占める重合系における重合反応によって、単量体(I)の二量化および三量化が無視できない頻度で生じているものと推測される。本開示において重合体α中の単量体(I)のダイマーおよびトリマーの存在が初めて明らかにされ、重合体α中の単量体(I)のダイマーおよびトリマーが、限外濾過、精密濾過および透析膜処理からなる群より選択される少なくとも1種の手段により、重合体αから高効率で除去されることが初めて見出された。
【0220】
ダイマーおよびトリマーを除去する際には、通常、未反応の単量体(I)も同時に組成物から除去される。
【0221】
ダイマーおよびトリマーを含有する組成物からダイマーおよびトリマーを除去することにより、ダイマーおよびトリマーを実質的に含有しない組成物が得られる。
【0222】
本開示の第2の製造方法により得られる組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量は、重合体αに対して、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下であり、特に好ましくは0.001%以下であり、最も好ましくは0.0001%以下である。
【0223】
組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量は、組成物のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を行い、GPC分析により得られるクロマトグラムの各ピークの総面積に対する、ダイマーおよびトリマーのピーク面積の合計の割合(面積百分率)を算出することにより、特定することができる。
【0224】
また、組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量が、重合体αに対して、0.5%未満の場合には、液体クロマトグラフィ-質量分析法(LC/MS/MS)による測定により、特定することができる。
具体的には、単量体(I)の5水準以上の含有量の組成物を作成し、それぞれの含有量のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積(ピークの積分値)との関係をプロットし、単量体(I)の検量線を作成する。さらに、単量体(I)の検量線から、単量体(I)のダイマーおよびトリマーの検量線を作成する。
重合体αにメタノールを加えて混合物を調製し、遠心分離により混合物から抽出液(上澄み液)を回収し、得られた抽出液をLC/MS/MS分析する。
そして、検量線を用いて、単量体(I)のダイマーおよびトリマーのクロマトグラムのエリア面積(ピークの積分値)を、ダイマーおよびトリマーの含有量に換算することができる。
【0225】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含む組成物を限外濾過、精密濾過又は透析膜処理、若しくは、それらの組合せを実施する工程A2を含むことを特徴とする組成物の製造方法(以下「本開示の第3の製造方法」ともいう)にも関する。
本開示の第3の製造方法により得られる組成物は、水溶液であってよい。
【0226】
本開示の第3の製造方法において、上記工程A2は、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含む組成物を用いること以外は、本開示の第1の製造方法と同じ方法を全て採用できる。
上記工程A2において、上記限外濾過、精密濾過又は透析膜処理は、10℃以上の温度で行うことが好ましい。より好ましくは、15℃以上であり、更に好ましくは、20℃以上であり、特に好ましくは、30℃以上である。温度を上記範囲にすることでより効率的に低分子量体を低減することができる。上記温度は、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下が更に好ましく、60℃以下が特に好ましい。
限外濾過は、分画分子量が1.5×104Da以上の限外濾過膜を用いて行うことが好ましい。
【0227】
上記水溶性重合体としては特に限定されず、例えば、上述したフルオロポリマーの中から炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を用いることができるし、上述した重合体αの中から炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を用いることができる。
【0228】
本開示はまた、水、及び、一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であるフルオロポリマーを含み、分子量700以上3000以下の化合物の含有量が上記フルオロポリマーに対して3.5%以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第1の組成物」ともいう)にも関する。
【0229】
本開示の第1の組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第1の組成物は、分子量400以上3000以下の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して3.7%以下であることが好ましい。
また、本開示の第1の組成物は、分子量700以上10000未満の化合物の含有量が前記フルオロポリマーに対して5.0%以下であることが好ましい。
本開示の第1の組成物は、低分子量体が低減されていることによって、ポリマー分散体への分散剤として用いた場合に、分散性(他の成分を分散させる性質)を向上させることができる。
また、本開示の第1の組成物から得られたコーティング剤は、透明性、撥水性、反射防止性に優れる。
本開示の第1の組成物は、好適には本開示の第1の製造方法により、製造することができる。
【0230】
本開示の第1の組成物は水を含む。水の含有量は限定されず、フルオロポリマーが分散又は溶解できる量であることが好ましい。
【0231】
本開示の第1の組成物におけるフルオロポリマーとしては、本開示の第1の製造方法で記載したものが挙げられる。また、好適な態様を全て採用できる。
例えば、上記一般式(1)において、Xは少なくとも1つが-Hであってよいし、両方が-Hであってもよい。上記Rfは炭素数1~10の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素数2~12の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。Aは、-COOMが好ましく、Mは、-H、-Na、-K、-Li又は-NH4が好ましい。
上記構造単位M3としては、例えば、下記一般式(1a):
CX2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、上記定義と同じ。)で表されるフルオロアリルエーテル化合物に基づく構造単位(1a)が好ましく、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく構造単位(1A)であることも好ましい。
CH2=CF(-CF2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
【0232】
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、イオン性基を含むことが好ましく、イオン交換率が53以下であることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、水溶性重合体であることが好ましい。
【0233】
本開示の第1の組成物において、上記フルオロポリマーの含有量(濃度)は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0質量%であってよい。
本開示の第1の組成物は、上述した本開示の第1の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第1の組成物は、1種の単一のフルオロポリマーを含んでいてもよいし、2種以上の異なるフルオロポリマーを含んでいてもよい。
【0234】
本開示の第1の組成物において、上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して3.5%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量を上記範囲にすることで分散性に優れる。好ましくは、3.0%以下であり、更に好ましくは、2.5%以下であり、なお更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0235】
本開示の第1の組成物において、上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して3.7%以下であることが好ましい。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量を上記範囲にすることで一層分散性に優れる。好ましくは、3.2%以下であり、更に好ましくは、2.7%以下であり、なお更に好ましくは1.7%以下であり、殊更に好ましくは1.2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が400以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0236】
本開示の第1の組成物において、上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して5.0%以下であることが好ましい。上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量を上記範囲にすることで一層分散性に優れる。好ましくは、4.0%以下であり、より好ましくは、2.0%以下であり、更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上10000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0237】
本開示の第1の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上3000未満の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して好ましくは、3.5%以下であり、より好ましくは、3.0%以下であり、更に好ましくは、2.5%以下であり、なお更に好ましくは2.0%以下であり、殊更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上3000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上3000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0238】
本開示の第1の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上5000未満の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して好ましくは、4.0%以下であり、より好ましくは、3.5%以下であり、更に好ましくは、3.0%以下であり、なお更に好ましくは2.0%以下であり、殊更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上5000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上5000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上5000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0239】
本開示の第1の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上20000未満の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して好ましくは、11.0%以下であり、より好ましくは、10.0%以下であり、更に好ましくは、9.0%以下であり、特に好ましくは7.8%以下である。上記分子量が700以上20000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。上記分子量が700以上20000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上20000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0240】
本開示の第1の組成物は、該組成物をそのまま使用してもよいし、希釈又は濃縮を行って使用してもよい。
また、本開示の第1の組成物からフルオロポリマーを分離して使用してもよい。例えば、上記フルオロポリマーを分離して分散剤として使用することができる。分散剤は、例えば、ポリマーを重合する際に使用することができるし、ポリマーを重合した後に添加する分散剤として使用することもできる。
【0241】
特に、本開示の第1の組成物から得られるフルオロポリマーの存在下でフルオロモノマーを重合して、上記フルオロポリマー以外の他のフルオロポリマーを製造することができる。
上記フルオロモノマーとしては、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
【0242】
上記他のフルオロポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
【0243】
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0質量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記他のフルオロポリマーとしては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0244】
本開示の第1の組成物は、コーティング剤として使用することができる。本開示の第1の組成物は分子量が分子量700以上3000以下の化合物の含有量が低減されたものであるため、分散性(他の成分を分散させる性質)に優れる。
【0245】
本開示の第1の組成物がコーティング剤である場合、組成物は、上記他のフルオロポリマー及び水等を含んでよい。
【0246】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体(以下「重合体α」ともいう)を含み、分子量700以上3000以下の化合物の含有量が上記重合体αに対して3.5%以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第2の組成物」ともいう)にも関する。
【0247】
本開示の第2の組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第2の組成物は、分子量400以上3000以下の化合物の含有量が重合体αに対して3.7%以下であることが好ましい。
また、本開示の第2の組成物は、分子量700以上10000未満の化合物の含有量が重合体αに対して5.0%以下であることが好ましい。
本開示の第2の組成物は、低分子量体が低減されていることによって、ポリマー分散体への分散剤として用いた場合に、分散性(他の成分を分散させる性質)を向上させることができる。
【0248】
また、本開示の第2の組成物から得られたコーティング剤は、透明性、撥水性、反射防止性に優れる。
本開示の第2の組成物は、好適には本開示の第2の製造方法により、製造することができる。
本開示の第2の組成物は水を含む。水の含有量は限定されず、フルオロポリマーが分散又は溶解できる量であることが好ましい。
本開示の第2の組成物における重合体αとしては、本開示の第2の製造方法で記載したものが挙げられる。また、好適な態様を全て採用できる。
上記重合体αは、水溶性重合体であることが好ましい。
【0249】
本開示の第2の組成物において、上記重合体αの含有量は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0質量%であってよい。
本開示の第2の組成物は、上述した本開示の第2の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第2の組成物は、1種の単一の重合体αを含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体αを含んでいてもよい。
【0250】
本開示の第2の組成物において、上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量は重合体αに対して3.5%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量を上記範囲にすることで分散性に優れる。好ましくは、3.0%以下であり、更に好ましくは、2.5%以下であり、なお更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0251】
本開示の第2の組成物において、上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量は重合体αに対して3.7%以下であることが好ましい。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量を上記範囲にすることで一層分散性に優れる。好ましくは、3.2%以下であり、更に好ましくは、2.7%以下であり、なお更に好ましくは1.7%以下であり、殊更に好ましくは1.2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が400以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0252】
本開示の第2の組成物において、上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量は重合体αに対して5.0%以下であることが好ましい。上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量を上記範囲にすることで分散性に一層優れる。好ましくは、4.0%以下であり、より好ましくは、2.0%以下であり、更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上10000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0253】
本開示の第2の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上3000未満の化合物の含有量は重合体αに対して好ましくは、3.5%以下であり、より好ましくは、3.0%以下であり、更に好ましくは、2.5%以下であり、なお更に好ましくは2.0%以下であり、殊更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上3000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上3000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0254】
本開示の第2の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上5000未満の化合物の含有量は重合体αに対して好ましくは、4.0%以下であり、より好ましくは、3.5%以下であり、更に好ましくは、3.0%以下であり、なお更に好ましくは2.0%以下であり、殊更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上5000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上5000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上5000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0255】
本開示の第2の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上20000未満の化合物の含有量は重合体αに対して好ましくは、11.0%以下であり、より好ましくは、10.0%以下であり、更に好ましくは、9.0%以下であり、なお更に好ましくは7.8%以下である。上記分子量が700以上20000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上20000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上20000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0256】
本開示の第2の組成物は、該組成物をそのまま使用してもよいし、希釈又は濃縮を行って使用してもよい。
また、本開示の第2の組成物から重合体αを分離して使用してもよい。例えば、上記重合体αを分離して分散剤として使用することができる。分散剤は、例えば、ポリマーを重合する際に使用することができるし、ポリマーを重合した後に添加する分散剤として使用することもできる。
【0257】
特に、本開示の第2の組成物から得られる重合体αの存在下でフルオロモノマーを重合して、上記重合体α以外の他の重合体を製造することができる。
上記フルオロモノマーとしては、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
【0258】
上記他の重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
【0259】
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0質量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記他の重合体としては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0260】
本開示の第2の組成物は、コーティング剤として使用することができる。本開示の第2の組成物は分子量が700以上3000以下の化合物の含有量が低減されたものであるため、分散性(他の成分を分散させる性質)に優れる。
【0261】
本開示の第2の組成物がコーティング剤である場合、組成物は、上記他の重合体及び水等を含んでよい。
【0262】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含み、分子量700以上3000以下の化合物の含有量が前記水溶性重合体に対して3.5%以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第3の組成物」ともいう)にも関する。
【0263】
本開示の第3の組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第3の組成物は、分子量400以上3000以下の化合物の含有量が水溶性重合体に対して3.7%以下であることが好ましい。
分子量700以上10000未満の化合物の含有量が水溶性重合体に対して5.0%以下であることが好ましい。
本開示の第3の組成物は、低分子量体が低減されていることによって、ポリマー分散体への分散剤として用いた場合に、分散性(他の成分を分散させる性質)を向上させることができる。
【0264】
また、本開示の第3の組成物から得られたコーティング剤は、透明性、撥水性、反射防止性に優れる。
本開示の第3の組成物は、好適には本開示の第3の製造方法により、製造することができる。
本開示の第3の組成物は水を含む。水の含有量は限定されず、水溶性重合体が分散又は溶解できる量であることが好ましく、水溶性重合体が溶解できる量であることが好ましい。
本開示の第3の組成物における水溶性重合体としては、本開示の第3の製造方法で記載したものが挙げられる。また、好適な態様を全て採用できる。
【0265】
本開示の第3の組成物において、上記水溶性重合体の含有量は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0質量%であってよい。
本開示の第3の組成物は、上述した本開示の第3の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第3の組成物は、1種の単一の水溶性重合体を含んでいてもよいし、2種以上の異なる水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0266】
本開示の第3の組成物において、上記水溶性重合体の含有量は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0質量%であってよい。
本開示の第3の組成物は、上述した本開示の第3の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第3の組成物は、1種の単一の水溶性重合体を含んでいてもよいし、2種以上の異なる水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0267】
本開示の第3の組成物において、上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量は水溶性重合体に対して3.5%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量を上記範囲にすることで分散性に優れる。好ましくは、3.0%以下であり、更に好ましくは、2.5%以下であり、なお更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0268】
本開示の第3の組成物において、上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量は水溶性重合体に対して3.7%以下であることが好ましい。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量を上記範囲にすることで一層分散性に優れる。好ましくは、3.2%以下であり、更に好ましくは、2.7%以下である。さらに好ましくは1.7%以下であり、なおさらに好ましくは1.2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が400以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0269】
本開示の第3の組成物において、上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量は水溶性重合体に対して5.0%以下であることが好ましい。上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量を上記範囲にすることで一層分散性に優れる。好ましくは、4.0%以下であり、より好ましくは、2.0%以下であり、更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上10000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上10000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0270】
本開示の第3の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上3000未満の化合物の含有量は水溶性重合体に対して好ましくは、3.5%以下であり、より好ましくは、3.0%以下であり、更に好ましくは、2.5%以下であり、なお更に好ましくは2.0%以下であり、殊更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上3000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上3000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0271】
本開示の第3の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上5000未満の化合物の含有量は水溶性重合体に対して好ましくは、4.0%以下であり、より好ましくは、3.5%以下であり、更に好ましくは、3.0%以下であり、なお更に好ましくは2.0%以下であり、殊更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上5000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上5000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上5000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0272】
本開示の第3の組成物において、分散性の観点で分子量が700以上20000未満の化合物の含有量は水溶性重合体に対して好ましくは、11.0%以下であり、より好ましくは、10.0%以下であり、更に好ましくは、9.0%以下であり、特に好ましくは7.8%以下である。上記分子量が700以上20000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
上記分子量が700以上20000未満の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
上記分子量が700以上20000未満の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0273】
本開示の第3の組成物は、該組成物をそのまま使用してもよいし、希釈又は濃縮を行って使用してもよい。
また、本開示の第3の組成物から水溶性重合体を分離して使用してもよい。例えば、上記水溶性重合体を分離して分散剤として使用することができる。分散剤は、例えば、ポリマーを重合する際に使用することができるし、ポリマーを重合した後に添加する分散剤として使用することもできる。
【0274】
特に、本開示の第3の組成物から得られる水溶性重合体の存在下でフルオロモノマーを重合して、上記水溶性重合体以外の他の重合体を製造することができる。
上記フルオロモノマーとしては、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
【0275】
上記他の重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
【0276】
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0質量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記他の重合体としては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0277】
本開示の第3の組成物は、コーティング剤として使用することができる。本開示の第3の組成物は分子量が700以上3000以下の化合物の含有量が低減されたものであるため、分散性(他の成分を分散させる性質)に優れる。
【0278】
本開示の第3の組成物がコーティング剤である場合、組成物は、上記他の重合体及び水等を含んでよい。
【0279】
本開示はまた、水、及び、一般式(1):
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)で表わされる単量体由来の構造単位M3を含む重合体であるフルオロポリマーを含み、前記フルオロポリマーを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記フルオロポリマーに対して2.0%以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第4の組成物」ともいう)にも関する。
【0280】
本開示の第4の組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第4の組成物は、ダイマーおよびトリマーの含有量が低減されていることから、本開示の第4の組成物を水性媒体中でのモノマーの重合に用いることによって、ダイマーおよびトリマーの含有量が低減されたポリマーを得ることができる。
本開示の第4の組成物は、好適には本開示の第1の製造方法により、製造することができる。
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、イオン性基を含むことが好ましく、イオン交換率が53以下であることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、水溶性重合体であることが好ましい。
【0281】
本開示の第4の組成物は水を含む。水の含有量は限定されず、フルオロポリマーが分散又は溶解できる量であればよい。
【0282】
本開示の第4の組成物におけるフルオロポリマーとしては、本開示の第1の製造方法で記載したものが挙げられる。また、好適な態様を全て採用できる。
【0283】
本開示の第4の組成物において、上記フルオロポリマーの含有量は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0%であってよい。
本開示の第4の組成物は、上述した本開示の第1の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第4の組成物は、1種の単一のフルオロポリマーを含んでいてもよいし、2種以上の異なるフルオロポリマーを含んでいてもよい。
【0284】
本開示の第4の組成物において、ダイマーおよびトリマーとしては、一般式(I)で表される単量体(以下、単量体(I)ということがある)のダイマーおよびトリマーが好ましい。ダイマーおよびトリマーは、一般式(I)で表される単量体(I)として、1種の単量体(I)から形成されるものであってもよいし、構造の異なる2種以上の単量体(I)から形成されるものであってもよい。また、ダイマーおよびトリマーとしては、フルオロポリマーを構成する好適な構造単位を形成する単量体として、上述した単量体のダイマーおよびトリマーが挙げられる。
【0285】
本開示の第4の組成物中の、ダイマー、及びトリマーの含有量としては、フルオロポリマーに対して、好ましい順に、2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.1%以下、0.01%以下、0.001%以下、0.0001%以下である。
【0286】
組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量の測定方法は、上述したとおりである。
【0287】
本開示の第4の組成物において、分子量が700以上1000未満の化合物の含有量フルオロポリマーに対して、好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1.0%以下であり、なお更に好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上1000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0288】
本開示の第4の組成物において、分子量が700以上3000以下の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して、好ましくは3.5%以下であり、より好ましくは3.0%以下であり、更に好ましくは2.5%以下であり、なお更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0289】
本開示の第4の組成物において、分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はフルオロポリマーに対して、好ましくは3.7%以下であり、より好ましくは3.2%以下であり、更に好ましくは2.7%以下であり、なお更に好ましくは1.7%以下であり、殊更に好ましくは1.2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0290】
分子量が700以上1000未満の化合物、分子量が700以上3000以下の化合物および分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
分子量が700以上1000未満の化合物、分子量が700以上3000以下の化合物および分子量が400以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0291】
特に、本開示の第4の組成物から得られるフルオロポリマーの存在下でフルオロモノマーを重合して、上記フルオロポリマー以外の他の重合体を製造することができる。
上記フルオロモノマーとしては、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
【0292】
上記他の重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
【0293】
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0質量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記他の重合体としては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0294】
本開示の第4の組成物は、コーティング剤として使用することができる。本開示の第4の組成物がコーティング剤である場合、組成物は、上記他の重合体及び水等を含んでよい。
【0295】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体αを含み、前記重合体αを構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記重合体αに対して2.0%以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第5の組成物」ともいう)にも関する。
【0296】
本開示の第5の組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第5の組成物は、ダイマーおよびトリマーの含有量が低減されていることから、本開示の第5の組成物を水性媒体中でのモノマーの重合に用いることによって、ダイマーおよびトリマーの含有量が低減されたポリマーを得ることができる。
本開示の第5の組成物は、好適には本開示の第2の製造方法により、製造することができる。
【0297】
本開示の第5の組成物は水を含む。水の含有量は限定されず、重合体αが分散又は溶解できる量であればよい。
【0298】
本開示の第5の組成物における重合体αとしては、本開示の第2の製造方法で記載したものが挙げられる。また、好適な態様を全て採用できる。
上記重合体αは、水溶性重合体であることが好ましい。
【0299】
本開示の第5の組成物において、上記重合体αの含有量は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0質量%であってよい。
本開示の第5の組成物は、上述した本開示の第2の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第5の組成物は、1種の単一の重合体αを含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体αを含んでいてもよい。
【0300】
本開示の第5の組成物において、ダイマーおよびトリマーとしては、一般式(I)で表される単量体(以下、単量体(I)ということがある)のダイマーおよびトリマーが好ましい。ダイマーおよびトリマーは、一般式(I)で表される単量体(I)として、1種の単量体(I)から形成されるものであってもよいし、構造の異なる2種以上の単量体(I)から形成されるものであってもよい。また、ダイマーおよびトリマーとしては、重合体αを構成する好適な構造単位を形成する単量体として、上述した単量体のダイマーおよびトリマーが挙げられる。
【0301】
本開示の第5の組成物中の、ダイマー、及びトリマーの含有量としては、重合体αに対して、好ましい順に、2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.1%以下、0.01%以下、0.001%以下、0.0001%以下である。
【0302】
組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量の測定方法は、上述したとおりである。
【0303】
本開示の第5の組成物において、分子量が700以上1000未満の化合物の含有量は重合体αに対して、好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1.0%以下であり、なお更に好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上1000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0304】
本開示の第5の組成物において、分子量が700以上3000以下の化合物の含有量は重合体αに対して、好ましくは3.5%以下であり、より好ましくは3.0%以下であり、更に好ましくは2.5%以下であり、なお更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0305】
本開示の第5の組成物において、分子量が400以上3000以下の化合物の含有量は重合体αに対して、好ましくは3.7%以下であり、より好ましくは3.2%以下であり、更に好ましくは2.7%以下であり、なお更に好ましくは1.7%以下であり、殊更に好ましくは1.2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0306】
分子量が700以上1000未満の化合物、分子量が700以上3000以下の化合物および分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
分子量が700以上1000未満の化合物、分子量が700以上3000以下の化合物および分子量が400以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0307】
特に、本開示の第5の組成物から得られる重合体αの存在下でフルオロモノマーを重合して、上記重合体α以外の他の重合体を製造することができる。
上記フルオロモノマーとしては、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
【0308】
上記他の重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
【0309】
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0質量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記他の重合体としては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0310】
本開示の第5の組成物は、コーティング剤として使用することができる。本開示の第5の組成物がコーティング剤である場合、組成物は、上記他の重合体及び水等を含んでよい。
【0311】
本開示はまた、水、及び、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含み、前記水溶性重合体を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーの含有量が前記水溶性重合体に対して2.0%以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第6の組成物」ともいう)にも関する。
【0312】
本開示の第6の組成物は、水溶液であってよい。
本開示の第6の組成物は、ダイマーおよびトリマーの含有量が低減されていることから、本開示の第6の組成物を水性媒体中でのモノマーの重合に用いることによって、ダイマーおよびトリマーの含有量が低減されたポリマーを得ることができる。
本開示の第6の組成物は、好適には本開示の第3の製造方法により、製造することができる。
【0313】
本開示の第6の組成物は水を含む。水の含有量は限定されず、水溶性重合体が分散又は溶解できる量であることが好ましく、水溶性重合体が溶解できる量であることが好ましい。
【0314】
本開示の第6の組成物における水溶性重合体としては、本開示の第3の製造方法で記載したものが挙げられる。また、好適な態様を全て採用できる。
【0315】
本開示の第6の組成物において、上記水溶性重合体の含有量は特に限定されないが、例えば、組成物に対して0.1~10.0質量%であってよい。
本開示の第6の組成物は、上述した本開示の第3の製造方法で得られた組成物を希釈又は濃縮したものであってもよい。
本開示の第6の組成物は、1種の単一の水溶性重合体を含んでいてもよいし、2種以上の異なる水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0316】
本開示の第6の組成物において、ダイマーおよびトリマーとしては、一般式(I)で表される単量体(以下、単量体(I)ということがある)のダイマーおよびトリマーが好ましい。ダイマーおよびトリマーは、一般式(I)で表される単量体(I)として、1種の単量体(I)から形成されるものであってもよいし、構造の異なる2種以上の単量体(I)から形成されるものであってもよい。また、ダイマーおよびトリマーとしては、水溶性重合体を構成する好適な構造単位を形成する単量体として、上述した単量体のダイマーおよびトリマーが挙げられる。
【0317】
本開示の第6の組成物中の、ダイマー、及びトリマーの含有量としては、水溶性重合体に対して、好ましい順に、2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.1%以下、0.01%以下、0.001%以下、0.0001%以下である。
【0318】
組成物中のダイマーおよびトリマーの含有量の測定方法は、上述したとおりである。
【0319】
本開示の第6の組成物において、分子量が700以上1000未満の化合物の含有量は水溶性重合体に対して、好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.5%以下であり、更に好ましくは1.0%以下であり、なお更に好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上1000未満の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば0.01%である。
【0320】
本開示の第6の組成物において、分子量が700以上3000以下の化合物の含有量は水溶性重合体に対して、好ましくは3.5%以下であり、より好ましくは3.0%以下であり、更に好ましくは2.5%以下であり、なお更に好ましくは1.5%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が700以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0321】
本開示の第6の組成物において、分子量が400以上3000以下の化合物の含有量は水溶性重合体に対して、好ましくは3.7%以下であり、より好ましくは3.2%以下であり、更に好ましくは2.7%以下であり、なお更に好ましくは1.7%以下であり、殊更に好ましくは1.2%以下であり、特に好ましくは1.0%以下であり、最も好ましくは0.6%以下である。上記分子量が400以上3000以下の化合物の含有量の下限は限定されるものではないが、例えば、0.01%である。
【0322】
分子量が700以上1000未満の化合物、分子量が700以上3000以下の化合物および分子量が400以上3000以下の化合物の含有量はGPCのピーク面積により算出した値である。
分子量が700以上1000未満の化合物、分子量が700以上3000以下の化合物および分子量が400以上3000以下の化合物は限定されず、上記分子量を有する化合物であれば全て含まれる。
【0323】
特に、本開示の第6の組成物から得られる水溶性重合体の存在下でフルオロモノマーを重合して、上記水溶性重合体以外の他の重合体を製造することができる。
上記フルオロモノマーとしては、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
【0324】
上記他の重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
【0325】
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0質量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記他の重合体としては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、特にPTFEが好ましい。
【0326】
本開示の第6の組成物は、コーティング剤として使用することができる。本開示の第6の組成物がコーティング剤である場合、組成物は、上記他の重合体及び水等を含んでよい。
【0327】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例】
【0328】
次に本開示の製造方法を実験例をあげて説明するが、本開示の製造方法はかかる実験例のみに限定されるものではない。
【0329】
実験例の各数値は以下の方法により測定した。
【0330】
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量700以上3000以下の低分子量体、分子量400以上3000以下の低分子量体、分子量700以上10000未満の低分子量体の含有量の測定方法
フルオロポリマー(水溶性重合体)のMw、Mn及び分子量700以上10000未満の低分子量体の含有量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、東ソー社製およびAgilent社製単分散ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)を標準として分子量を算出して求めた。
【0331】
重合体(重合体E,Fなど)中のダイマー、及びトリマーの含有量の測定方法
(1)水溶液からの抽出
重合体の水溶液の濃度を測定し、重合体の固形分0.2gに相当する量の水溶液を秤量した。その後、水溶液中に含まれている水と合わせ、水とメタノールとの体積比が50/50(体積%)となるように、水とメタノールを加え、重合体ならびに水およびメタノールを含有する混合液を得た。その後、得られた混合液を用いて、4000rpmで1時間遠心分離を行い、重合体を含む上澄み液を抽出液として回収した。
液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC-MS ACQUITY UPLC/TQD)を用いて、抽出液の分析を行い、抽出液のクロマトグラムを得た。
抽出液に含まれる単量体のダイマーおよびトリマーの含有量は、抽出液のクロマトグラムに現れる単量体のダイマーおよびトリマーに由来するピークの積分値を、検量線を用いて、単量体のダイマーおよびトリマーの含有量に換算することにより求めた。
【0332】
(2)単量体の検量線
1ng/mL~100ng/mLの含有量既知の単量体のメタノール標準溶液を5水準調製し、液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC-MS ACQUITY UPLC/TQD)を用いて測定を行った。それぞれの単量体の含有量と、その含有量に対するピークの積分値との関係をプロットし、各単量体の検量線(一次近似)を作成した。次に、各単量体の検量線(一次近似)を用いて、各単量体のダイマーおよびトリマーの検量線を作成した。
【0333】
【0334】
この測定機器構成における定量限界は1ng/mLである。
【0335】
重合体水溶液の濃度(固形分濃度)
重合体水溶液約1gを、減圧乾燥機中で60℃、60分の条件で乾燥し、加熱残分の質量を測定し、重合体水溶液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
【0336】
[合成例1]
CH2=CFCF2OCF(CF3)COOHで表される単量体140g、水260g、APS(0.5mol%)を加え、窒素雰囲気下にて60℃で17時間加熱撹拌し、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOHの単独重合体であるフルオロポリマーを含むフルオロポリマー水溶液A-1を得た。GPC分析した結果、フルオロポリマーのMw32万、Mn10万、分子量700以上10000未満の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して7.1%であった。また、分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して3.7%であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して3.9%であった。
【0337】
[実験例1]
フルオロポリマー水溶液A-1に水を加えて、フルオロポリマーの濃度を2.0質量%に調整したのちに、限外ろ過膜(分画分子量50000Da)を用いて限外濾過を実施した。適宜注水を行いながら限外濾過を実施した。限外濾過後の水溶液をGPC分析した結果、フルオロポリマーのMw36万、Mn14万、分子量700以上10000未満の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.7%であった。以上より低分子量体の除去は本方法が有効であったことが分かった。また、分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.6%以下であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.6%以下であった。
【0338】
[実験例2]
フルオロポリマー水溶液A-1に水を加えて調製した、フルオロポリマーの濃度が2.0質量%の水溶液(固形分35g)に10%塩酸を50g加え、フルオロポリマーを析出させ、析出したフルオロポリマーをアセトンに溶解させたものをn-ヘキサンに注ぎ、分離、真空乾燥させ、無色透明な重合体34.7gを得た。得た重合体をGPC分析した結果、フルオロポリマーのMw35万、Mn13万、分子量700以上10000未満の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して6.8質量%であった。また、分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して3.6%であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して3.8%であった。
以上より、水溶液からフルオロポリマーを析出して回収する従来の方法では、低分子量体をほとんど除去できないことが分かった。
【0339】
[合成例2]
CF2=CFOCF2CF2COOHで表される単量体E10g、水30g、APS(単量体Eに対して6.0mol%)を反応器に加え、窒素雰囲気下にて80℃で23時間加熱撹拌し、CF2=CFOCF2CF2COOHの単独重合体である重合体Eを含む重合体E水溶液E-1を得た。得られた重合体E水溶液E-1をGPC分析した結果、重合体Eは、Mw0.7万、Mn0.5万であった。分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して4.6%であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して4.6%であった。
【0340】
[実験例3]
得られた重合体E水溶液E-1に水を加えて、透析膜(分画分子量35000Da、ポリエチレン製)に、30℃で接触させ濾過を実施し、重合体E水溶液E-2を得た。得られた重合体E水溶液E-2をGPC分析およびLC-MS分析した結果、重合体Eは、Mw0.7万、Mn0.6万、ダイマー、及びトリマーの含有量が、重合体Eに対して1質量ppm未満であった。得られた重合体E水溶液E-2の濃度は、3.6質量%であった。分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.05%以下であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.05%以下であった。
【0341】
[合成例3]
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOHで表される単量体F4.1gとCF2=CF25.2g、APS(単量体Fに対して8.8mol%)を加え、窒素雰囲気下にて80℃で7時間加熱撹拌し、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOHで表される単量体FとCF2=CF2の共重合体(重合体F)を含む重合体F水溶液F-1を得た。得られた重合体F水溶液F-1をGPC分析した結果、重合体Fは、Mw0.7万、Mn0.4万であった。分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して4.5%であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して4.6%であった。
【0342】
[実験例4]
得られた重合体F水溶液F-1に、透析膜(分画分子量35000Da、ポリエチレン製)に、30℃で接触させ濾過を実施し、重合体F水溶液F-2を得た。得られた重合体F水溶液F-2をGPC分析およびLC-MS分析した結果、重合体Fは、Mw0.9万、Mn0.6万、ダイマー、及びトリマーの含有量が、重合体Fに対して1質量ppm未満であった。得られた重合体F水溶液F-2の濃度は、2.0質量%であった。分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.05%以下であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.05%以下であった。
【0343】
[合成例3]
CF2=CFOCF2CF2COOHで表される単量体E10g、水30g、APS(単量体Eに対して2.5mol%分割)を反応器に加え、窒素雰囲気下にて50℃で76時間加熱撹拌し、CF2=CFOCF2CF2COOHの単独重合体である重合体Eを含む重合体E水溶液E-1を得た。得られた重合体E水溶液E-1をGPC分析およびLC-MS分析した結果、重合体Eは、Mw1.3万、Mn0.8万であった。分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して3.9%であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して4.0%であった。
【0344】
[実験例5]
得られた重合体E水溶液E-1に水を加えて、透析膜(分画分子量35000Da、ポリエチレン製)に、30℃で接触させ濾過を実施し、重合体E水溶液E-2を得た。得られた重合体E水溶液E-2をGPC分析およびLC-MS分析した結果、重合体Eは、Mw1.3万、Mn1.0万、ダイマー、及びトリマーの含有量が、重合体Eに対して1質量ppm未満であった。得られた重合体E水溶液E-2の濃度は、3.5質量%であった。分子量700以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.05%以下であった。また、分子量400以上3000以下の低分子量体の含有量が、フルオロポリマーに対して0.05%以下であった。