IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図1
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図2
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図3
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図4
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図5
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図6
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図7
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図8
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図9
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図10
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図11
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図12
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図13
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図14
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図15
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図16
  • 特許-射出成形装置及び三次元造形装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】射出成形装置及び三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240919BHJP
   B29C 64/20 20170101ALI20240919BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240919BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C64/20
B33Y30/00
B22D17/20 L
B22D17/20 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020052912
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151739
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】笹川 翔
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-001576(JP,A)
【文献】特開2003-112352(JP,A)
【文献】特開2000-120989(JP,A)
【文献】特開2018-187777(JP,A)
【文献】特開平09-220751(JP,A)
【文献】特開2000-052394(JP,A)
【文献】特開平11-320643(JP,A)
【文献】特開平04-312823(JP,A)
【文献】特開2008-261394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/17
B29C 64/20
B33Y 30/00
B22D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、
前記溶融部から供給された前記造形材料を金型に射出するノズルと、を備え、
前記溶融部は、
溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、
前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、
前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、
駆動モーターと、
前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、
第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、
一方端から他方端まで貫通し前記第1注入経路に繋がる貫通孔が設けられるとともに、前記貫通孔に逆止弁が設けられるグリースニップルと、
を有し、
前記駆動モーターは、基体部に取り付けられ、
前記第1ギアは、外側の太陽ギアと、内側の遊星ギアとを有し、
前記第1注入経路は、前記第1注入口から前記太陽ギアと前記遊星ギアとの間の領域まで至る経路であり、
前記基体部と前記第1ギアとの間には中間部材が設けられており、前記第1注入経路は、前記基体部及び前記中間部材に孔を開けることで構成されており、
前記基体部には、前記第1ギアに注入された前記第1潤滑剤のうち不要な前記第1潤滑剤を、前記第1ギアと前記中間部材との隙間、もしくは前記中間部材と前記基体部との隙間の少なくともいずれかを介して排出可能な排出口が形成されている、ことを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】
請求項に記載の射出成形装置において、
射出シリンダーと、
前記射出シリンダー内で摺動し、前記造形材料を前記射出シリンダー内に計量する計量操作と、前記造形材料を前記ノズルに送る射出操作と、を行う射出プランジャーと、
射出モーターと、
前記射出モーターの駆動力を前記射出プランジャーに伝え、前記射出プランジャーを射出シリンダー内で摺動させる第2ギアと、を備え、
第2潤滑剤を注入する第2注入口と、前記第2注入口から前記第2ギアに至る第2注入経路と、を有する第2注入部と、
を有することを特徴とする射出成形装置。
【請求項3】
請求項に記載の、射出成形装置において、
第1タイマーと、前記第1注入口に連通し前記第1潤滑剤を収容した第1収容部と、
第2タイマーと、前記第2注入口に連通し前記第2潤滑剤を収容した第2収容部と、を備え、
前記第1注入部は、前記第1タイマーにより第1所定時間経過したことが計測されると、前記第1収容部から前記第1注入口に前記第1潤滑剤を自動で注入し、
前記第2注入部は、前記第2タイマーにより第2所定時間経過したことが計測されると、前記第2収容部から前記第2注入口に前記第2潤滑剤を自動で注入する、ことを特徴とする射出成形装置。
【請求項4】
固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、
前記溶融部から供給された前記造形材料を金型に射出するノズルと、を備え、
前記溶融部は、
溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、
前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、
前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、
駆動モーターと、
前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、
第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、
一方端から他方端まで貫通し前記第1注入経路に繋がる貫通孔が設けられるとともに、前記貫通孔に逆止弁が設けられるグリースニップルと、
を有し、
射出シリンダーと、
前記射出シリンダー内で摺動し、前記造形材料を前記射出シリンダー内に計量する計量操作と、前記造形材料を前記ノズルに送る射出操作と、を行う射出プランジャーと、
射出モーターと、
前記射出モーターの駆動力を前記射出プランジャーに伝え、前記射出プランジャーを射出シリンダー内で摺動させる第2ギアと、を備え、
第2潤滑剤を注入する第2注入口と、前記第2注入口から前記第2ギアに至る第2注入経路と、を有する第2注入部と、
を有し、
第1タイマーと、前記第1注入口に連通し前記第1潤滑剤を収容した第1収容部と、
第2タイマーと、前記第2注入口に連通し前記第2潤滑剤を収容した第2収容部と、を備え、
前記第1注入部は、前記第1タイマーにより第1所定時間経過したことが計測されると、前記第1収容部から前記第1注入口に前記第1潤滑剤を自動で注入し、
前記第2注入部は、前記第2タイマーにより第2所定時間経過したことが計測されると、前記第2収容部から前記第2注入口に前記第2潤滑剤を自動で注入する、ことを特徴とする射出成形装置。
【請求項5】
請求項に記載の射出成形装置において、
前記第1ギアの振動及び前記駆動モーターのトルクの少なくともいずれかに基づいて注入タイミングを検知する第1検知部備え、
前記第1注入部は、前記第1検知部が前記注入タイミングを検知すると、前記第1収容部から前記第1注入口に前記第1潤滑剤を自動で注入する自動注入部を有する、ことを特徴とする射出成形装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の射出成形装置において、
前記第1注入口及び前記第1注入経路の少なくともいずれか一方に第1フィルターを備えることを特徴とする射出成形装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の射出成形装置において、
前記金型は、固定型、及び、前記固定型に対して移動する可動型を有し、
前記可動型を移動させる可動型移動部と、
型開閉モーターと、
前記型開閉モーターの駆動力を前記可動型移動部に伝える第3ギアと、
第3潤滑剤を注入する第3注入口と、前記第3注入口から前記第3ギアに至る第3注入経路と、を有する第3注入部と、
を有することを特徴とする射出成形装置。
【請求項8】
固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、
前記溶融部から供給された前記造形材料をステージに向けて射出するノズルと、を備え、
前記溶融部は、
溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、
前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、
前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、
駆動モーターと、
前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、
第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、
一方端から他方端まで貫通し前記第1注入経路に繋がる貫通孔が設けられるとともに、前記貫通孔に逆止弁が設けられるグリースニップルと、
を有し、
前記駆動モーターは、基体部に取り付けられ、
前記第1ギアは、外側の太陽ギアと、内側の遊星ギアとを有し、
前記第1注入経路は、前記第1注入口から前記太陽ギアと前記遊星ギアとの間の領域まで至る経路であり、
前記基体部と前記第1ギアとの間には中間部材が設けられており、前記第1注入経路は、前記基体部及び前記中間部材に孔を開けることで構成されており、
前記基体部には、前記第1ギアに注入された前記第1潤滑剤のうち不要な前記第1潤滑剤を、前記第1ギアと前記中間部材との隙間、もしくは前記中間部材と前記基体部との隙間の少なくともいずれかを介して排出可能な排出口が形成されている、ことを特徴とする三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形装置及び三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スクリューを回転させつつ固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、該溶融部から供給された造形材料を射出するノズルと、を備える装置が使用されている。例えば、特許文献1には、ローターを回転させつつ成形材料を可塑化し、可塑化された成形材料をノズルから射出する射出成形機が開示されている。また、特許文献2には、モーターにより回転するフラットスクリューで材料を可塑化して溶融材料を形成し、該溶融材料をノズルから射出する三次元造形装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-24101号公報
【文献】特開2018-187777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スクリューを回転させつつ固形材料を溶融して造形材料にする溶融部を備える装置においては、駆動モーターの駆動力をスクリューに伝えるギアが摩耗するので、メンテナンス処理を行う必要がある。しかしながら、メンテナンス処理には手間がかかるため、メンテナンス処理を実行してから次にメンテナンス処理を実行するまでの期間であるメンテナンス周期は長いほうが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の射出成形装置は、固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、前記溶融部から供給された前記造形材料を金型に射出するノズルと、を備え、前記溶融部は、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、駆動モーターと、前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の三次元造形装置は、固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、前記溶融部から供給された前記造形材料を射出するノズルと、を備え、前記溶融部は、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、駆動モーターと、前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1の射出成形装置の概略構成を示す断面図。
図2】本発明の実施例1の射出成形装置におけるフラットスクリューの構成を示す概略斜視図。
図3】本発明の実施例1の射出成形装置におけるバレルの構成を示す概略図。
図4】本発明の実施例1の射出成形装置のノズル周辺を説明するための断面図であって、図1の領域Ar1を拡大して示す拡大図。
図5】本発明の実施例1の射出成形装置のゲート開口周辺の寸法を説明するための断面図。
図6】本発明の実施例1の射出成形装置の材料生成部の概略構成を示す断面図。
図7】本発明の実施例1の射出成形装置の第1注入部の概略構成を示す断面図。
図8】本発明の実施例1の射出成形装置の材料生成部の概略構成を示す概略図であって、グリースニップルを取り外した状態を表す図。
図9】本発明の実施例1の射出成形装置のグリースニップルを示す斜視図。
図10】本発明の実施例1の射出成形装置の第1ギアを示す斜視図。
図11】本発明の実施例1の射出成形装置の第2注入部の概略構成を示す斜視図。
図12】本発明の実施例1の射出成形装置の第2注入部の概略構成を示す断面図。
図13】本発明の実施例1の射出成形装置の金型開閉部の概略構成を示す断面図。
図14】本発明の実施例1の射出成形装置の第3注入部の概略構成を示す断面図。
図15】本発明の実施例2の射出成形装置の材料生成部の概略構成を示す断面図。
図16】本発明の実施例2の射出成形装置の材料生成部の概略構成を示す概略図。
図17】本発明の実施例3の三次元造形装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の射出成形装置は、固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、前記溶融部から供給された前記造形材料を金型に射出するノズルと、を備え、前記溶融部は、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、駆動モーターと、前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、溶融部は、第1潤滑剤を注入する第1注入口と、第1注入口から第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部を有する。このため、装置の外部から第1注入口及び第1注入経路を介して第1ギアに第1潤滑剤を簡単に注入することができる。第1ギアに第1潤滑剤を注入することで第1ギアの摩耗を抑制でき、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0010】
本発明の第2の態様の射出成形装置は、前記第1の態様において、第1タイマーと、前記第1注入口に連通し前記第1潤滑剤を収容した第1収容部と、を備え、前記第1注入部は、前記第1タイマーにより所定時間経過したことが計測されると、前記第1収容部から前記第1注入口に前記第1潤滑剤を自動で注入する自動注入部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、所定時間経過するごとに第1潤滑剤を自動で注入することができる。このため、ユーザーが第1潤滑剤を注入し忘れることにより第1ギアの摩耗が早くなることを抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様の射出成形装置は、前記第1の態様において、前記第1ギアの振動、前記駆動モーターのトルク及び前記第1注入経路の圧力の少なくともいずれかに基づいて注入タイミングを検知する第1検知部と、前記第1注入口に連通し前記第1潤滑剤を収容した第1収容部と、を備え、前記第1注入部は、前記第1検知部が前記注入タイミングを検知すると、前記第1収容部から前記第1注入口に前記第1潤滑剤を自動で注入する自動注入部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
ギアが摩耗しメンテナンス処理の実行が必要になると、ギアの振動や、駆動モーターのトルク上昇や、第1潤滑剤の注入経路の圧力変動などが生じる。しかしながら、本態様によれば、第1ギアの振動、駆動モーターのトルク及び第1注入経路の圧力の少なくともいずれかに基づいて注入タイミングを検知するので、第1ギアに関してメンテナンス処理の実行が必要なときを適切に判断でき、適切なタイミングでメンテナンス処理を実行することができる。
【0014】
本発明の第4の態様の射出成形装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記第1注入口及び前記第1注入経路の少なくともいずれか一方に第1フィルターを備えることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、第1注入口及び第1注入経路の少なくともいずれか一方に第1フィルターを備える。このため、第1潤滑剤の注入経路が異物で詰まることを抑制でき、適切に第1ギアに第1潤滑剤を至らせることができる。
【0016】
本発明の第5の態様の射出成形装置は、前記第1から第4のいずれか1つの態様において、射出シリンダーと、前記射出シリンダー内で摺動し、前記造形材料を前記射出シリンダー内に計量する計量操作と、前記造形材料を前記ノズルに送る射出操作と、を行う射出プランジャーと、射出モーターと、前記射出モーターの駆動力を前記射出プランジャーに伝え、前記射出プランジャーを射出シリンダー内で摺動させる第2ギアと、を備え、第2第2潤滑剤を注入する第2注入口と、前記第2注入口から前記第2ギアに至る第2注入経路と、を有する第2注入部と、を有することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、第2潤滑剤を注入する第2注入口と、第2注入口から第2ギアに至る第2注入経路と、を有する第2注入部を有する。このため、装置の外部から第2注入口及び第2注入経路を介して第2ギアに第2潤滑剤を簡単に注入することができる。第2ギアに第2潤滑剤を注入することで第2ギアの摩耗を抑制でき、第1ギアだけでなく第2ギアについてもメンテナンス周期を長くすることができる。
【0018】
本発明の第6の態様の射出成形装置は、前記第1から第5のいずれか1つの態様において、前記金型は、固定型、及び、前記固定型に対して移動する可動型を有し、前記可動型を移動させる可動型移動部と、型開閉モーターと、前記型開閉モーターの駆動力を前記可動型移動部に伝える第3ギアと、第3潤滑剤を注入する第3注入口と、前記第3注入口から前記第3ギアに至る第3注入経路と、を有する第3注入部と、を有することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、第3潤滑剤を注入する第3注入口と、第3注入口から第3ギアに至る第3注入経路と、を有する第3注入部を有する。このため、装置の外部から第3注入口及び第3注入経路を介して第3ギアに第3潤滑剤を簡単に注入することができる。第3ギアに第3潤滑剤を注入することで第3ギアの摩耗を抑制でき、第1ギアだけでなく第3ギアについてもメンテナンス周期を長くすることができる。
【0020】
本発明の第7の態様の三次元造形装置は、固形材料を溶融して造形材料にする溶融部と、前記溶融部から供給された前記造形材料を射出するノズルと、を備え、前記溶融部は、溝が形成された溝形成面を有するスクリューと、前記溝形成面に対向する対向面を有し、前記ノズルと連通する連通孔が設けられたバレルと、前記スクリューと前記バレルとの間に供給された前記固形材料を加熱する加熱部と、駆動モーターと、前記駆動モーターの駆動力を前記スクリューに伝え、前記スクリューを回転させる第1ギアと、第1潤滑剤を注入する第1注入口と、前記第1注入口から前記第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部と、を有することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、溶融部は、第1潤滑剤を注入する第1注入口と、第1注入口から第1ギアに至る第1注入経路と、を有する第1注入部を有する。このため、装置の外部から第1注入口及び第1注入経路を介して第1ギアに第1潤滑剤を簡単に注入することができる。第1ギアに第1潤滑剤を注入することで第1ギアの摩耗を抑制でき、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
[実施例1]
(射出成形装置の全体構成)
図1は、本発明の実施例1の射出成形装置10の概略構成を示す断面図である。図1は、概略図であるので、一部の構成部材を省略、簡略化または変形して表している。図1は、ホットランナー100に形成された流路150の軸線AXを含む断面において、鉛直方向に沿って射出成形装置10を切断した断面を模式的に示している。図1には、相互に直交するX軸、Y軸およびZ軸が示されており、+Z方向が鉛直上方向に相当する。軸線AXは、X軸と平行である。図1のX軸、Y軸およびZ軸は、他の図のX軸、Y軸およびZ軸にそれぞれ対応する。射出成形装置10は、熱可塑性樹脂等の造形材料を金型内へと射出して、成形品を製造する。射出成形装置10は、材料生成部20と、射出部30と、射出成形用金型40と、金型開閉部50と、制御装置90とを備える。
【0023】
材料生成部20は、鉛直上方に配置された図示しないホッパーから供給される固形材料の少なくとも一部を可塑化又は溶融化させることにより、流動性を有する造形材料を生成し、射出部30側へと供給する。かかる固体材料は、ペレットや粉末等の種々の粒状の形態でホッパーへと投入される。材料生成部20は、フラットスクリュー21と、バレル25と、駆動モーター29とを有する。なお、材料生成部20は、駆動モーター29の駆動力をフラットスクリュー21に伝える第1ギア210と、第1潤滑剤としてのグリースを第1ギア210に注入することが可能な第1注入部200と、を有しているが、第1注入部200の構成についての詳細は後述する。
【0024】
フラットスクリュー21は、軸線AXに沿った長さが直径よりも小さい略円柱状の外観形状を有する。フラットスクリュー21は、ホットランナー100に形成された流路150の軸線AXとフラットスクリュー21の軸線AXとが一致するように配置されている。フラットスクリュー21の、バレル25と対向する側の端面である溝形成面11には、溝22が形成され、外周面には、材料流入口23が形成されている。溝22は、材料流入口23まで連続している。材料流入口23は、ホッパーから供給される固体材料を受け入れる。
【0025】
図2は、フラットスクリュー21の溝形成面11の構成を示す概略斜視図である。フラットスクリュー21の溝形成面11の中央部12は、溝22の一端が接続されている凹部として構成されている。中央部12は、図1に示すバレル25の連通孔26に対向する。本実施例において、中央部12は、軸線AXと交差する。フラットスクリュー21の溝22は、いわゆるスクロール溝で構成され、軸線AXの位置する中央部からフラットスクリュー21の外周面側に向かって弧を描くように渦状に形成されている。溝22は、螺旋状に構成されていてもよい。溝形成面11には、溝22の側壁部を構成し、各溝22に沿って延びている凸状部13が設けられている。
【0026】
本実施例におけるフラットスクリュー21の溝形成面11には、3つの溝22と3つの凸状部13とが形成されているが、3つに限らず、1つまたは2つ以上の任意の数の溝22と凸状部13とがそれぞれ形成されていてもよい。また、溝22の数に合わせて任意の数の凸状部13が設けられてもよい。また、本実施例におけるフラットスクリュー21の外周面には、3つの材料流入口23が周方向に沿って等間隔に並んで形成されている。なお、3つに限らず、1つまたは2つ以上の任意の数の材料流入口23が形成されていてもよく、等間隔に限らず互いに異なる間隔で並んで形成されていてもよい。
【0027】
図1に示すバレル25は、略円板状の外観形状を有し、フラットスクリュー21の溝形成面11と対向して配置されている。バレル25には、材料を加熱するための加熱部としてのヒーター24が埋め込まれている。なお、バレル25に埋め込まれたヒーター24に代えて、フラットスクリュー21にヒーター24が埋め込まれていても良い。バレル25には、軸線AXに沿って貫通する連通孔26が形成されている。連通孔26は、造形材料をホットランナー100へと導く流路として機能する。バレル25には、軸線AXと直交する軸に沿って貫通する射出シリンダー32が形成されている。射出シリンダー32は、射出部30の一部分を構成し、連通孔26と連通している。
【0028】
図3は、バレル25の構成を示す概略平面図である。図3では、バレル25のうち、フラットスクリュー21の溝形成面11と対向して配置される対向面27を示している。連通孔26は、対向面27の中心に形成されている。対向面27には、連通孔26に接続され、連通孔26から外周に向かって渦状に延びる複数の案内溝28が形成されている。複数の案内溝28は、フラットスクリュー21の中央部12に流入した造形材料を連通孔26に導く機能を有する。なお、上記のように、本実施例においては複数の案内溝28を有しているが、案内溝28を有さない構成としてもよい。
【0029】
図1に示す駆動モーター29は、フラットスクリュー21の、バレル25と対向する側とは反対側の端面に接続されている。駆動モーター29は、制御部95からの指令に応じて駆動し、軸線AXを回転軸としてフラットスクリュー21を回転させる。
【0030】
材料流入口23から供給された材料の少なくとも一部は、フラットスクリュー21の溝22内においてバレル25の加熱部材により加熱されながら、フラットスクリュー21の回転によって可塑化又は溶融化して流動性が高められながら搬送されて、連通孔26へと導かれる。フラットスクリュー21の回転により、造形材料の圧縮および脱気も実現される。ここで、「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料が、ガラス転移点以上の温度に加熱されることにより軟化し、流動性を発現することを意味する。また、「溶融」とは、熱可塑性を有する材料が融点以上の温度に加熱されて液状になることのみならず、熱可塑性を有する材料が可塑化することをも意味する。
【0031】
射出部30は、材料生成部20から供給される造形材料を計量して、射出成形用金型40の可動型48に形成されたキャビティー49へと射出する。射出部30は、射出シリンダー32と、射出プランジャー34と、逆止弁36と、射出モーター38と、ホットランナー100とを有する。なお、射出部30は、射出モーター38の駆動力を射出プランジャー34に伝える第2ギア310と、第2潤滑剤としてのグリースを第2ギア300に注入することが可能な第2注入部300と、を有しているが、第2注入部300の構成についての詳細は後述する。
【0032】
射出シリンダー32は、バレル25の内部において略円筒状に形成され、連通孔26と連通している。射出プランジャー34は、射出シリンダー32内に摺動可能に配置されている。射出プランジャー34が+Y方向に摺動することにより、連通孔26内の造形材料が射出シリンダー32内に引き込まれて計量される。射出プランジャー34が-Y方向に摺動することにより、射出シリンダー32内の造形材料がホットランナー100側へと圧送されて、キャビティー49へと射出される。逆止弁36は、射出シリンダー32と連通孔26との連通箇所よりもフラットスクリュー21側において、連通孔26内に配置されている。逆止弁36は、フラットスクリュー21側からホットランナー100側への造形材料の流動を許容するとともに、ホットランナー100側からフラットスクリュー21側への造形材料の逆流を抑制する。射出プランジャー34が鉛直下方に摺動すると、逆止弁36が有する球状の弁体がフラットスクリュー21側へと移動することにより、連通孔26が閉塞される。射出モーター38は、制御部95からの指令に応じて駆動し、射出プランジャー34を射出シリンダー32内で摺動させる。射出プランジャー34の摺動速度および摺動量は、造形材料の種類やキャビティー49の大きさ等に応じて予め設定されている。ホットランナー100は、造形材料を加熱した状態でキャビティー49へと導く機能を有する。
【0033】
射出成形用金型40は、固定型41と、可動型48とを有する。固定型41の内部には、軸線AXに沿って貫通するホットランナー取り付け孔42が形成されている。ホットランナー取り付け孔42には、ホットランナー100が配置されている。
【0034】
図4は、図1の領域Ar1を拡大して示す拡大断面図である。ホットランナー取り付け孔42は、材料生成部20側から順に、内径が段階的に縮小して形成されている。ホットランナー取り付け孔42の、材料生成部20側とは反対側の端部43は、内径が次第に縮小する略円錐状に形成されている。端部43の先端側は、造形材料が流入するゲート開口45として機能する。ゲート開口45は、略円形の穴として構成されている。ゲート開口45の近傍のゲート150a(図5参照)は、いわゆるリングゲートのオープンゲート構造で構成される。
【0035】
図1および図4に示す可動型48は、固定型41と対向して配置されている。可動型48は、造形材料の射出時や冷却時を含む型閉じ及び型締めの際に固定型41と当接され、成形品の離型時を含む型開きの際に固定型41と離れる。固定型41と可動型48とが当接することにより、固定型41と可動型48との間において、ゲート開口45と連通するキャビティー49が形成される。キャビティー49は、射出成形で成形される成形品の形状に予め設計されている。本実施例において、キャビティー49は、ゲート開口45と直接連なって形成されているが、さらにランナーを介して連なって形成されていてもよい。
【0036】
本実施例において、射出成形用金型40は、インバー材により形成されている。インバー材は、熱膨張係数が極めて小さいという性質を有する。また、射出成形用金型40には、図示しない冷媒流路が形成されている。冷媒流路に冷却水等の冷媒が流されることで、射出成形用金型40の温度が樹脂の溶融温度よりも低く保たれ、キャビティー49に射出された造形材料が冷却されて硬化する。冷媒は、型締め時および型開き時のいずれにおいても流されている。造形材料の冷却及び硬化は、冷媒流路に冷媒が流されることに代えて、ペルチェ素子等の任意の冷却手段を用いて実現されてもよい。
【0037】
図1に示す金型開閉部50は、固定型41と可動型48との開閉を行なう。金型開閉部50は、型開閉モーター58と、可動型移動部51と、押出しピン59とを有する。型開閉モーター58は、制御部95からの指令に応じて駆動し、可動型48を軸線AXに沿って移動させる。これにより、射出成形用金型40の型閉じ及び型締めと型開きとが実現される。押出しピン59は、キャビティー49と連通する位置に配置されている。押出しピン59は、型開きの際に成形品を押出すことにより、成形品を離型させる。なお、金型開閉部50は、型開閉モーター58の駆動力を可動型移動部51に伝える第3ギア510と、第3潤滑剤としてのグリースを第3ギア510に注入することが可能な第3注入部500と、を有しているが、第3注入部500の構成についての詳細は後述する。
【0038】
制御装置90は、射出成形装置10全体の動作を制御して、射出成形を実行させる。制御装置90は、CPUと記憶装置と入出力インターフェイスとを有するコンピューターにより構成されている。CPUは、記憶装置に予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、制御部95として機能する。制御部95は、ホットランナー100に埋設されたヒーター130の温度を制御して、ホットランナー100の温度を調整する。射出成形装置10の使用者は、制御装置90の入出力インターフェイスであるコントローラーを操作することにより、ヒーター130の設定温度等の、射出成形条件に関する各種設定を行なうことができる。
【0039】
ここで、図1で表されるように、制御装置90は、第1タイマー61、第2タイマー62及び第3タイマー63と接続されている。また、制御装置90は、第1検知部81、第2検知部82及び第3検知部83と接続されている。
【0040】
ホットランナー100は、射出部30から供給される造形材料を、加熱した状態でゲート開口45へと導く。ホットランナー100は、固定型41のホットランナー取り付け孔42に配置されている。図4に示すように、ホットランナー100は、本体部110と、ノズル120と、ヒーター130と、断熱部140と、を有する。
【0041】
本体部110は、略円筒状の外観形状を有する。本体部110においてゲート開口45側の端部の内周面には、図示しない雌ねじが形成されている。ノズル120は、ホットランナー100においてゲート開口45側の端部に固定配置されている。ノズル120は、接続部122と、フランジ部124と、先端部126とを有する。接続部122は、ノズル120のうち材料生成部20側に位置し、略円筒状の外観形状を有する。接続部122の外周面には、図示しない雄ねじが形成されている。かかる雄ねじと本体部110に形成された雌ねじとの螺合によって、ノズル120が本体部110に固定される。フランジ部124は、接続部122の外径よりも大きな外径を有し、接続部122と連なっている。フランジ部124の材料生成部20側の端面は、本体部110のゲート開口45側の端面と当接している。先端部126は、フランジ部124と連なり、ゲート開口45側に向かって突出した略円錐状の外観形状を有する。
【0042】
本体部110の内部とノズル120の内部とには、軸線AXに沿った流路150が形成されている。流路150は、造形材料をゲート開口45へと導く機能を有する。流路150は、ノズル120の先端部126に形成されたノズル開口127において、分岐されている。ノズル開口127は、ホットランナー取り付け孔42の端部43と対向している。本実施例において、先端部126には、周方向に互いに等間隔に並んで配置された2つのノズル開口127が形成されているが、2つに限らず4つ等、任意の数のノズル開口127が形成されていてもよい。このような構造によって、流路150は、先端部126と端部43との間において、軸線AXの方向に見たときに、先端部126を中心としたリング状の形状となっている。このため、ゲート開口45は、いわゆるリングゲートとも呼ばれるオープンゲート構造で構成されている。オープンゲート構造では、造形材料の硬化時においても流路150が閉塞されず、ゲート開口45が常に開かれた状態となっている。
【0043】
本実施例において、本体部110とノズル120とは、アルミニウムにより形成されている。アルミニウムは、熱膨張係数が比較的大きく、熱伝導率が比較的大きいという性質を有する。
【0044】
ヒーター130は、本体部110に埋設されたコイルヒーターにより構成され、ホットランナー100を加熱する。ヒーター130の温度は、制御部95によって制御される。かかる加熱によって、流路150を流通する造形材料の溶融状態が維持される。ヒーター130は、第1ヒーター132と、第2ヒーター134とを含んで構成されている。第1ヒーター132は、接続部122を取り囲むようにノズル120の周囲に配置されて、ノズル120を加熱する。第2ヒーター134は、第1ヒーター132よりもノズル120から離れて配置されている。本実施例において、第2ヒーター134は、ノズル120よりも材料生成部20側において、本体部110の外周部に配置されている。第1ヒーター132および第2ヒーター134は、コイルヒーターに限らず、バンドヒーター等の任意のヒーターにより構成されていてもよい。
【0045】
図5は、ゲート開口45周辺の寸法を説明するための断面図である。図5は、図4の領域Ar2を拡大して模式的に示している。以下に示す寸法は、ホットランナー100からキャビティー49へと造形材料を射出する際の制御温度における寸法を意味する。本実施例において、軸線AXを中心とするゲート開口45の径D1は、約0.2mmに設定されている。また、軸線AXを中心とするノズル120の先端部126の径D2は、約0.05mmに設定されている。また、ノズル120の先端部126とゲート開口45との間の隙間の寸法のうち最も小さい寸法である最狭寸法L1は、約0.05mmに設定されている。本実施例において、ノズル120の先端部126とゲート開口45との間の隙間とは、ノズル120の先端部126と、固定型41に形成されたゲート開口45の縁との間の隙間を意味する。
【0046】
(造形材料)
射出成形装置10において用いられる材料について説明する。射出成形装置10では、例えば、熱可塑性を有する材料や、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料として射出成形することができる。ここで、「主材料」とは、成形品の形状を形作っている中心となる材料を意味し、成形品において50重量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した造形材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0047】
主材料として熱可塑性を有する材料を用いる場合には、材料生成部20において、当該材料が可塑化することによって造形材料が生成される。「可塑化」とは、熱可塑性を有する材料に熱が加わり溶融することを意味する。
【0048】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、下記の中から選択される1種または2種以上を組み合わせた熱可塑性樹脂材料を用いることができる。以下に、熱可塑性樹脂材料の例を挙げる。ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリアミド樹脂(PA)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの汎用エンジニアリングプラスチック、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック。
【0049】
熱可塑性を有する材料には、顔料、金属、セラミック等が混合されていてもよい。また、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混合されていてもよい。また、炭素繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、アラミド繊維等の繊維類が混合されていてもよい。
【0050】
熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でホットランナー100のノズル120から射出されることが望ましい。例えば、ガラス転移点が約120℃であるABS樹脂は、後述する第1の温度として約200℃で射出されてもよい。
【0051】
射出成形装置10では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、下記の金属材料を粉末状にした粉末材料に、造形材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、材料生成部20に供給されることが望ましい。以下に、金属材料の例を挙げる。マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金。次に、前記合金の例を挙げる。マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金。
【0052】
射出成形装置10においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックスや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックスなどが使用可能である。
【0053】
材料生成部20に供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上で例示したような熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、材料生成部20において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0054】
材料生成部20に供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、溶剤を添加することもできる。溶剤は、下記の中から選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。以下に溶剤の例を挙げる。水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等。
【0055】
その他に、材料生成部20に供給される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、バインダーを添加することもできる。以下にバインダーの例を挙げる。アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂又はPLA(ポリ乳酸)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)或いはその他の熱可塑性樹脂。
【0056】
(第1注入部)
上記のように、本実施例の射出成形装置10は、駆動モーター29の駆動力をフラットスクリュー21に伝える第1ギア210と、第1潤滑剤の一例としてのグリースを第1ギア210に注入することが可能な第1注入部200と、を有する材料生成部20を備えている。なお、本実施例の射出成形装置10は、第1潤滑剤としてグリースを使用可能な構成であるが、グリースに限定されず、グリースよりも粘度の低い液体状のものや粉体状のものなどを使用してもよい。以下に、第1注入部200について、図6から図10を参照して説明する。
【0057】
図6から図8で表されるように、材料生成部20は、駆動モーター29などが取り付けられる基体部213と、駆動モーター29の駆動力をフラットスクリュー21に伝えて該フラットスクリュー21を回転させる第1ギア210と、を備えている。また、図7で表されるように、基体部213と第1ギア210との間には中間部材214が設けられている。第1ギア210は、図10で表されるような構成をしており、軸線AXを共通の回転軸とする外側の太陽ギア211と内側の遊星ギア212とを有している。
【0058】
また、図6から図8で表されるように、基体部213には、グリースニップル220が取り付けられている。グリースニップル220は、図9で表されるような構成をしており、一方端220aから他方端220bまで貫通する貫通孔が設けられ、一方端220aから他方端220bまでグリースを流すことが可能な構成となっている。なお、該貫通孔には不図示の逆止弁が設けられており、グリースニップル220は他方端220bから一方端220aに向かってグリースが逆流することを抑制する。図9で表されるようにグリースニップル220は雄ねじ部220cを有しており、図7で表されるように基体部213に設けられた雌ねじ部である第1注入口222に嵌め合わされている。
【0059】
図7で表されるように、第1注入部200は、第1注入口222から太陽ギア211と遊星ギア212との間の領域215と対向する位置まで至る第1注入経路221が形成されている。第1注入経路221は、基体部213及び中間部材214に孔を開けることで構成されている。第1注入部200は、このような構成となっていることにより、グリースニップル220の貫通孔、第1注入口222、第1注入経路221を介して、第1ギア210にグリースを注入させることができる。また、図8で表されるように、基体部213には、排出口223が形成されており、第1ギア210に注入されたグリースのうち不要なグリースを排出口223から排出することができる。不要なグリースは、第1ギア210と中間部材214との隙間、中間部材214と基体部213との隙間など、各構成部材の隙間などを介して排出口223から排出される。また、第1注入口222から第1ギア210にグリースを注入させつつ排出口223からグリースを排出することで古いグリースを新たなグリースに置換することができる。
【0060】
なお、本実施例の射出成形装置10においては、ユーザーがグリースニップル220の一方端220aからシリンジなどでグリースを注入することにより、第1ギア210にグリースを注入させることができる。また、詳細は後述するが、本実施例の射出成形装置10においては、図7の破線で表されるように、グリースを収容した第1収容部230をグリースニップル220の一方端220aに取り付けることで、自動的に第1ギア210にグリースを注入させることもできる。
【0061】
ここで一旦まとめると、本実施例の射出成形装置10は、固形材料を溶融して造形材料にする溶融部としての材料生成部20と、材料生成部20から供給された造形材料を金型に射出するノズル120と、を備えている。そして、材料生成部20は、固形材料が供給される溝22が形成された溝形成面11を有するフラットスクリュー21と、溝形成面11に対向する対向面27を有し、ノズル120と連通する連通孔26が対向面27に設けられたバレル25と、溝22、すなわち、フラットスクリュー21とバレル25との間に供給された固形材料を加熱するヒーター24と、駆動モーター29と、駆動モーター29の駆動力をフラットスクリュー21に伝え、フラットスクリュー21を回転させる第1ギア210と、を備えている。さらに、材料生成部20は、上記のように、グリースを注入する第1注入口222と、第1注入口222から第1ギア210に至る第1注入経路221と、を有する第1注入部200と、を有している。
【0062】
このように、材料生成部20は、グリースを注入する第1注入口222と、第1注入口222から第1ギア210に至る第1注入経路221と、を有する第1注入部200を有するので、射出成形装置10の外部から第1注入口222及び第1注入経路221を介して第1ギア210にグリースを簡単に注入することができる。このため、本実施例の射出成形装置10は、第1ギア210にグリースを注入することで第1ギア210の摩耗を抑制でき、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0063】
上記のように、本実施例の射出成形装置10は、第1タイマー61を有し、第1注入口222に連通しグリースを収容した第1収容部230を取り付けることができる。ここで、第1注入部200は、制御部95の制御により、第1タイマー61により所定時間経過したことが計測されると、第1収容部230から第1注入口222にグリースを自動で注入することができる。すなわち、本実施例の射出成形装置10は、制御部95、第1タイマー61及び第1注入部200などからなる自動注入部を有し、所定時間経過するごとにグリースを自動で注入することができる。このため、本実施例の射出成形装置10はユーザーがグリースを注入し忘れることにより第1ギア210の摩耗が早くなることを抑制することができる。
【0064】
また、上記のように、本実施例の射出成形装置10は第1検知部81を有しており、第1検知部81は、第1ギア210の振動、駆動モーター29のトルク及び第1注入経路221の圧力の少なくともいずれかに基づいてグリースの注入タイミングを検知することができる。そして、上記のように、本実施例の射出成形装置10は第1注入口222に連通しグリースを収容した第1収容部230を取り付けることができるが、第1注入部200は、第1検知部81が注入タイミングを検知すると、第1収容部230から第1注入口222にグリースを自動で注入することができる。第1ギア210が摩耗しメンテナンス処理の実行が必要になると、第1ギア210の振動や、駆動モーター29のトルク上昇や、グリースの注入経路である第1注入経路221の圧力変動などが生じる。しかしながら、本実施例の射出成形装置10は、制御部95、第1検知部81及び第1注入部200などからなる自動注入部を有し、第1ギア210の振動、駆動モーター29のトルク及び第1注入経路221の圧力の少なくともいずれかに基づいて注入タイミングを検知するので、第1ギア210に関してメンテナンス処理の実行が必要なときを適切に判断でき、適切なタイミングでメンテナンス処理を実行することができる。
【0065】
また、図7で表されるように、本実施例の射出成形装置10は、第1注入経路221に第1フィルター240を備えている。このように、第1注入口222及び第1注入経路221の少なくともいずれか一方に第1フィルター240を備えることが好ましい。グリースの注入経路が異物で詰まることを抑制でき、適切に第1ギア210にグリースを至らせることができるためである。
【0066】
(第2注入部)
上記のように、本実施例の射出成形装置10は、材料生成部20から供給される造形材料を計量して、射出成形用金型40の可動型48に形成されたキャビティー49へと射出する射出部30を備えている。射出部30は、射出シリンダー32と、射出プランジャー34と、射出モーター38と、を備えている。射出プランジャー34は、射出シリンダー32内で摺動し、造形材料を射出シリンダー32内に計量する計量操作と、造形材料をノズルに送る射出操作と、を行う。そして、射出部30は、第2注入部300を備えている。以下に、第2注入部300について、図11及び図12を参照して説明する。
【0067】
射出部30は、図12で表されるように、射出モーター38の駆動力を回転部138a、ベルト138b及び回転部138cなどを介して射出プランジャー34に伝え、射出プランジャー34を射出シリンダー32内で摺動させる第2ギア310を備えている。また、第2潤滑剤の一例としてのグリースを注入する第2注入口322と、第2注入口322から第2ギア310に至る第2注入経路321と、第2注入口322に取り付けられるグリースニップル320と、を有する第2注入部300を有している。なお、グリースニップル320はグリースニップル220と同様の構成であり、第2ギア310は第1ギア210と同様の構成である。
【0068】
このように、本実施例の射出成形装置10は、グリースを注入する第2注入口322と、第2注入口322から第2ギア310に至る第2注入経路321と、を有する第2注入部300を有する。このため、射出成形装置10の外部から第2注入口322及び第2注入経路321を介して第2ギア310にグリースを簡単に注入することができる。第2ギア310にグリースを注入することで第2ギア310の摩耗を抑制でき、第1ギア210だけでなく第2ギア310についてもメンテナンス周期を長くすることができる。
【0069】
上記のように、本実施例の射出成形装置10は、第2タイマー62を有している。また、グリースニップル320はグリースニップル220と同様の構成であるため、第2注入口322に連通しグリースを収容した第2収容部330を取り付けることができる。ここで、第2注入部300は、制御部95の制御により、第2タイマー62により所定時間経過したことが計測されると、第2収容部330から第2注入口322にグリースを自動で注入することができる。すなわち、本実施例の射出成形装置10は、制御部95、第2タイマー62及び第2注入部300などからなる自動注入部を有し、所定時間経過するごとにグリースを自動で注入することができる。このため、本実施例の射出成形装置10はユーザーがグリースを注入し忘れることにより第2ギア310の摩耗が早くなることを抑制することができる。なお、第2ギア310は第1ギア210と同様の構成であるので、外側の太陽ギア311と内側の遊星ギア312とを有している。そして、グリースは、太陽ギア311と内側の遊星ギア312との間の領域315に注入される。
【0070】
また、上記のように、本実施例の射出成形装置10は第2検知部82を有しており、第2検知部82は、第2ギア310の振動、射出モーター38のトルク及び第2注入経路321の圧力の少なくともいずれかに基づいてグリースの注入タイミングを検知することができる。そして、上記のように、本実施例の射出成形装置10は第2注入口322に連通しグリースを収容した第2収容部330を取り付けることができるが、第2注入部300は、第2検知部82が注入タイミングを検知すると、第2収容部330から第2注入口322にグリースを自動で注入することができる。第2ギア310が摩耗しメンテナンス処理の実行が必要になると、第2ギア310の振動や、射出モーター38のトルク上昇や、グリースの注入経路である第2注入経路321の圧力変動などが生じる。しかしながら、本実施例の射出成形装置10は、制御部95、第2検知部82及び第2注入部300などからなる自動注入部を有し、第2ギア310の振動、射出モーター38のトルク及び第2注入経路321の圧力の少なくともいずれかに基づいて注入タイミングを検知するので、第2ギア310に関してメンテナンス処理の実行が必要なときを適切に判断でき、適切なタイミングでメンテナンス処理を実行することができる。
【0071】
また、図12で表されるように、本実施例の射出成形装置10は、第2注入経路321に第2フィルター340を備えている。このように、第2注入口322及び第2注入経路321の少なくともいずれか一方に第2フィルター340を備えることが好ましい。グリースの注入経路が異物で詰まることを抑制でき、適切に第2ギア310にグリースを至らせることができるためである。
【0072】
また、図11で表されるように、基体部313には排出口323aが形成されており、第2ギア310に注入されたグリースのうち不要なグリースを排出口323aから排出することができる。また、上側カバー部314には排出口323bが形成されている。回転部138c及び第2ギア310などからなる回転体360の回転軸中心部360aは、空洞となっており、該空洞のY軸方向(回転体360の回転軸方向)における延長線上に排出口323bに至っている。このため、第2ギア310に注入されたグリースのうち不要なグリースを排出口323bからも効率的に排出することができる。また、第2注入口322から第2ギア310にグリースを注入させつつ排出口323a及び排出口323bからグリースを排出することで古いグリースを新たなグリースに置換することができる。
【0073】
(第3注入部)
上記のように、本実施例の射出成形装置10は、固定型41と、固定型41に対して移動する可動型48と、固定型41に対して可動型48を移動させる可動型移動部51と、型開閉モーター58と、型開閉モーター58の駆動力を可動型移動部51に伝えて固定型41と可動型48とを開閉する金型開閉部50と、を備えている。そして、金型開閉部50は、第3注入部500を備えている。以下に、第3注入部500について、図13及び図14を参照して説明する。
【0074】
金型開閉部50は、型開閉モーター58の駆動力を可動型移動部51に伝える第3ギア510を有している。また、第3潤滑剤の一例としてのグリースを注入する第3注入口522と、第3注入口522から第3ギア510に至る第3注入経路521と、第3注入口522に取り付けられるグリースニップル520と、を有する第3注入部500を有している。なお、グリースニップル520はグリースニップル220及びグリースニップル320と同様の構成であり、第3ギア510は第1ギア210及び第2ギア310と同様の構成である。なお、本実施例においては、第1潤滑剤、第2潤滑剤及び第3潤滑剤はいずれも同じグリースであるが、第1潤滑剤、第2潤滑剤及び第3潤滑剤として異なる潤滑剤を使用してもよい。
【0075】
このように、本実施例の射出成形装置10は、グリースを注入する第3注入口522と、第3注入口522から第3ギア510に至る第3注入経路521と、を有する第3注入部500を有する。このため、射出成形装置10の外部から第3注入口522及び第3注入経路521を介して第3ギア510にグリースを簡単に注入することができる。第3ギア510にグリースを注入することで第3ギア510の摩耗を抑制でき、第1ギア210だけでなく第3ギア510についてもメンテナンス周期を長くすることができる。
【0076】
上記のように、本実施例の射出成形装置10は、第3タイマー63を有している。また、グリースニップル520はグリースニップル220と同様の構成であるため、第3注入口522に連通しグリースを収容した第3収容部530を取り付けることができる。ここで、第3注入部500は、制御部95の制御により、第3タイマー63により所定時間経過したことが計測されると、第3収容部530から第3注入口522にグリースを自動で注入することができる。すなわち、本実施例の射出成形装置10は、制御部95、第3タイマー63及び第3注入部500などからなる自動注入部を有し、所定時間経過するごとにグリースを自動で注入することができる。このため、本実施例の射出成形装置10はユーザーがグリースを注入し忘れることにより第3ギア510の摩耗が早くなることを抑制することができる。本実施例の射出成形装置10においては、第1注入部200、第2注入部300、第3注入部500の順にグリースの注入タイミングが短くなるよう設定されている。別の表現をすると、本実施例の射出成形装置10は、熱がかかりやすいギアほどグリースの注入タイミングが短くなるようにしている。なお、第3ギア510は第1ギア210と同様の構成であるので、外側の太陽ギア511と内側の遊星ギア512とを有している。そして、グリースは、太陽ギア511と内側の遊星ギア512との間の領域515に注入される。
【0077】
また、上記のように、本実施例の射出成形装置10は第3検知部83を有しており、第3検知部83は、第3ギア510の振動、型開閉モーター58のトルク及び第3注入経路521の圧力の少なくともいずれかに基づいてグリースの注入タイミングを検知することができる。そして、上記のように、本実施例の射出成形装置10は第3注入口522に連通しグリースを収容した第3収容部530を取り付けることができるが、第3注入部500は、第3検知部83が注入タイミングを検知すると、第3収容部530から第3注入口522にグリースを自動で注入することができる。第3ギア510が摩耗しメンテナンス処理の実行が必要になると、第3ギア510の振動や、型開閉モーター58のトルク上昇や、グリースの注入経路である第3注入経路521の圧力変動などが生じる。しかしながら、本実施例の射出成形装置10は、制御部95、第3検知部83及び第3注入部500などからなる自動注入部を有し、第3ギア510の振動、型開閉モーター58のトルク及び第3注入経路521の圧力の少なくともいずれかに基づいて注入タイミングを検知するので、第3ギア510に関してメンテナンス処理の実行が必要なときを適切に判断でき、適切なタイミングでメンテナンス処理を実行することができる。
【0078】
また、図14で表されるように、本実施例の射出成形装置10は、第3注入経路521に第3フィルター540を備えている。このように、第3注入口522及び第3注入経路521の少なくともいずれか一方に第3フィルター540を備えることが好ましい。グリースの注入経路が異物で詰まることを抑制でき、適切に第3ギア510にグリースを至らせることができるためである。
【0079】
また、図13で表されるように、基体部513には排出口523が形成されており、第3ギア510に注入されたグリースのうち不要なグリースを排出口523から排出することができる。また、第3注入口522から第3ギア510にグリースを注入させつつ排出口523からグリースを排出することで古いグリースを新たなグリースに置換することができる。
【0080】
[実施例2]
次に、実施例2の射出成形装置10について、図15及び図16を参照して説明する。図15及び図16において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の射出成形装置10は、材料生成部20の構成以外は実施例1の射出成形装置10と同様の構成をしている。
【0081】
図15及び図16で表されるように、本実施例の射出成形装置10の材料生成部20は、実施例1の射出成形装置10における材料生成部20と同様、基体部213に排出口223が形成されているが、実施例1の射出成形装置10における排出口223と同様の構成の排出口223Aに加えて、排出経路224と連通する排出口223Bを有している。本実施例の射出成形装置10は、排出経路224と連通する排出口223Bを有していることで、射出成形装置10の内部にグリースが溜まりすぎることをより効果的に抑制する。このため、本実施例の射出成形装置10は、射出成形装置10の内部にグリースが溜まりすぎ、射出成形装置10の内部のグリースを除去するメンテナンス処理の実行頻度を低減することができる。
【0082】
[実施例3]
次に、実施例3としての三次元造形装置1について、図17を参照して説明する。本実施例の三次元造形装置1は実施例1及び実施例2の射出成形装置10の材料生成部20と同様の構成部材を複数有している。このため、図17において上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0083】
図17で表されるように、本実施例の三次元造形装置1は溶融部としての可塑化部14を備えている。可塑化部14は、三次元造形物を構成する固形材料としての一例であるペレット19を収容するホッパー2を備えている。ホッパー2に収容されたペレット19は、供給管3を介して、駆動モーター29の駆動力によりZ軸方向を回転軸として回転する略円柱状のフラットスクリュー21の材料流入口23に供給される。
【0084】
フラットスクリュー21及びバレル25は、実施例1の射出成形装置10のフラットスクリュー21及びバレル25と同様の構成をしている。フラットスクリュー21及びバレル25がこのような構成をしていることにより、フラットスクリュー21を回転させることで、フラットスクリュー21の溝形成面11とバレル25の対向面27との間に形成される空間部分にペレット19は供給され、ペレット19は材料流入口23から中央部に移動する。なお、ペレット19が溝22による空間部分を移動する際、ペレット19は、ヒーター24の熱により溶融される。また、ペレット19は、狭い空間部分を移動することに伴う圧力で加圧される。こうして、ペレット19は、可塑化され、連通孔26を介してノズル120に供給されてノズル開口127から射出される。
【0085】
そして、ノズル120の周囲には、ノズル120の流路121を流れる造形材料を加熱するヒーター16と、流路121の内部圧力を測定する圧力測定部4と、流路121を流れる造形材料の流量調節機構5と、流路121の内部圧力を開放するパージ部6と、が設けられている。また、構成は実施例1の射出成形装置10の第1注入部200と同様なので詳細な説明は省略するが、実施例1の射出成形装置10の第1注入部200と同様の構成の第1注入部200を備えている。
【0086】
三次元造形装置1は、上記のように可塑化部14やノズル120などを備えており、これらを吐出ユニットとしてX軸方向及びY軸方向に沿って移動可能である。該吐出ユニットは、制御部95の制御により、X軸方向及びY軸方向に沿って移動する。なお、図17で表されるように、三次元造形装置1は、ノズル開口127と対向する位置に、三次元造形物を造形するためのテーブル7が設けられている。なお、テーブル7は、制御部95の制御により、移動機構8を介してZ軸方向に沿って移動可能である。
【0087】
ここで、上記のように、本実施例の三次元造形装置1は、実施例1の射出成形装置10の材料生成部20と同様の構成部材を複数有している。すなわち、本実施例の三次元造形装置1は、固形材料であるペレット19を溶融して造形材料にする溶融部としての可塑化部14と、可塑化部14から供給された造形材料を射出するノズル120と、を備えている。また、可塑化部14は、溝22が形成された溝形成面11を有するフラットスクリュー21と、溝形成面11に対向する対向面27を有しノズル120と連通する連通孔26が設けられたバレル25と、を備えている。さらに、フラットスクリュー21とバレル25との間に供給されたペレット19を加熱する加熱部としてのヒーター24と、駆動モーター29と、を備えている。そして、図17では詳細が省略して表されているが、実施例1の射出成形装置10の材料生成部20と同様、駆動モーター29の駆動力をフラットスクリュー21に伝えフラットスクリュー21を回転させる第1ギア210と、第1潤滑剤としてのグリースを注入する第1注入口222と、第1注入口222から第1ギア210に至る第1注入経路221と、を有する第1注入部200と、を有している。したがって、本実施例の三次元造形装置1は、外部から第1注入口222及び第1注入経路221を介して第1ギア210にグリースを簡単に注入することができる。このため、第1ギア210にグリースを注入することで第1ギア210の摩耗を抑制でき、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0088】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
1…三次元造形装置、2…ホッパー、3…供給管、4…圧力測定部、
5…流量調節機構、6…パージ部、10…射出成形装置、11…溝形成面、
12…中央部、13…凸状部、14…可塑化部(溶融部)、16…ヒーター、
19…ペレット(固形材料)、20…材料生成部(溶融部)、
21…フラットスクリュー、22…溝、23…材料流入口、
24…ヒーター(加熱部)、25…バレル、26…連通孔、27…対向面、
28…案内溝、29…駆動モーター、30…射出部、32…射出シリンダー、
34…射出プランジャー、36…逆止弁、38…射出モーター、
40…射出成形用金型、41…固定型、42…ホットランナー取り付け孔、
43…端部、45…ゲート開口、48…可動型、49…キャビティー、
50…金型開閉部、51…可動型移動部、58…型開閉モーター、59…押出しピン、
90…制御装置、95…制御部、100…ホットランナー、110…本体部、
120…ノズル、122…接続部、124…フランジ部、126…先端部、
127…ノズル開口、130…ヒーター、132…第1ヒーター、
134…第2ヒーター、200…第1注入部、210…第1ギア、211…太陽ギア、
212…遊星ギア、213…基体部、214…中間部材、215…領域、
220…グリースニップル、220a…一方端、220b…他方端、
220c…雄ねじ部、221…第1注入経路、222…第1注入口、223…排出口、
223A…排出口、223B…排出口、224…排出経路、230…第1収容部、
240…第1フィルター、300…第2注入部、310…第2ギア、
311…太陽ギア、312…遊星ギア、313…基体部、314…上側カバー部、
315…領域、320…グリースニップル、321…第2注入経路、
322…第2注入口、323a…排出口、323b…排出口、330…第2収容部、
340…第2フィルター、360…回転体、360a…回転軸中心部、
500…第3注入部、510…第3ギア、511…太陽ギア、512…遊星ギア、
513…基体部、515…領域、520…グリースニップル、521…第3注入経路、
522…第3注入口、523…排出口、530…第3収容部、
540…第3フィルター、Ar1…領域、Ar2…領域、AX…軸線、D1…径、
D2…径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17