(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ダブルボトル型の水素水生成器
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20230101AFI20240919BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C02F1/68 520B
C02F1/68 510B
C02F1/68 520V
C02F1/68 530F
A61M11/00 D
(21)【出願番号】P 2020028736
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】520063048
【氏名又は名称】林 賢司
(73)【特許権者】
【識別番号】520063059
【氏名又は名称】阪 彰敏
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】阪 彰敏
(72)【発明者】
【氏名】林 賢司
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-214372(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201923(JP,U)
【文献】特開2003-054657(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100763(JP,U)
【文献】特開2004-275415(JP,A)
【文献】特開2016-160144(JP,A)
【文献】特開2016-147224(JP,A)
【文献】特開2008-237978(JP,A)
【文献】特開2020-157287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48、1/66-1/68
B01F21/00-25/90
A61M11/00-11/08
C01B3/00-6/34
A23L2/00-2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と接触して水素ガスを発生する水素ガス発生原材料と、水とを収容した内容器を、飲用水を収容した外容器内に、飲用水に前記内容器が埋没するように収容させた構造であり、
前記内容器は、
注入口を有した蓋体に内容器本体を設けた構造とされ、かつ水素ガスは透過させても、水と水素ガス以外の不純物の透過を遮断させる素材で構成され
ており、
前記内容器本体は、前記水素ガス発生原材料が予め収容されており、前記内容器本体を押圧することで、水を前記注入口を通じて前記内容器本体に吸い込ませるようにしていることを特徴とする、ダブルボトル型の水素水生成器。
【請求項2】
請求項1において、
前記外容器は、携帯可能な構造体にしている、ダブルボトル型の水素水生成器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記外容器は、水素水の補給タイミングを指示、喚起する
手段として、タイマーやメッセージを表示したラベルを設けている、ダブルボトル型の水素水生成器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記外容器は、逆止弁を設けた補給口を設けている、ダブルボトル型の水素水生成器。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記外容器は、噴射ノズルを有している、ダブルボトル型の水素水生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気分解設備を使用せずに発生させた水素ガスを飲用水に溶かし込んで、水素を充分に含んだ安全で水素リッチな水素豊富水を生成するための新規で簡易な構造のダブルボトル型水素水生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
水素水が人体にもたらすプラス効果は広く知られているが、水素水は人の体内に入ると、直ぐに血中濃度は低下し、1時間を経たないうちに殆どゼロになる。そのため、少量ずつ多数回にわたって摂取しなければ効果が薄い。多くの人はこの事実を知らないでいるが、最近、知られるようになって来た。
また、水素ガスは、透過性が著しく、水素水をペットボトルなどに入れて持ち運びする場合は、水素ガスが容器を透過して水素濃度が低下するし、飲用して容器内に空間が生じると、そこに空気が入って、水素溶存濃度が低下するので、水素リッチな水素水が得られない。
【0003】
特許文献1~4には、Mg顆粒を触媒とともに収容した容器を、飲用水の中に入れて水素ガスを発生させ、発生した水素ガスを飲用水に自然に溶け込ませるようにした水素水生成器が開示され、提案されている。
しかしながら、これらの文献で提案されたものでは、水素ガスの発生に伴い生成された水酸化マグネシウムなどの不純物が飲用水に混入して、マグネシウムの摂取過多になる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-322020号
【文献】特開2004-174301号
【文献】特開2015-188797号
【文献】特開2016-02529号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、電気分解設備を使用せずに、マグネシウム摂取過多等の不安がない安全な水素豊富水を生成して、適宜飲用することができる簡易な構造の水素水生成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために提案される本発明は、水と接触して水素ガスを発生する水素ガス発生原材料と、水とを収容した内容器を、飲用水を収容した外容器内に、飲用水に前記内容器が埋没するように収容させて、使用するダブルボトル型の構造になっており、前記内容器は、注入口を有した蓋体に内容器本体を設けた構造とされ、かつ水素ガスは透過させても、水と水素ガス以外の不純物の透過を遮断させる素材で構成されている一方で、前記内容器本体は、前記水素ガス発生原材料が予め収容され、前記内容器本体を押圧することで、水を前記注入口を通じて前記内容器本体に吸い込ませるようにしている。
また、このような水素水生成器は、飲用水を収容する外容器の容量に応じて、内容器の容量や数量を特定すれば業務用として使用でき、外容器を通常の飲料水ボトルの大きさにすれば、常時携行して、水素豊富水が補給できる。
ここに、内容器は、水素ガスを通過させ、水素ガス以外の不純物の通過を阻止する構造であればよく、オレフィン系樹脂成型品などを使用して製造することができる。
また、水素水発生容器には、水素豊富水の補給タイミングを指示し、喚起する手段としてタイマーやメッセージを表示したラベルを設けるとよい。
水素水は、比重が小さく、寸法も小さいために、体内に補給しても、直ぐに血中濃度は低下し、1時間もしないうちに殆どゼロになる。このような知見から、体内に補給した後は、次に補給すべき時刻を報知するタイマーを取り付けたり、予め小まめに水素水を補給することを喚起するメッセージを表示したラベル等を取り付けるなどして、水素豊富水の正しい飲み方を教示し、水素水生成器の使い勝手を著しく向上させることができる。
更に、補給口に逆止弁を設けた構造にすると、補給口から飲用水を排出したときに、空気が入り込んで、水素溶存濃度を低下させることもないだけでなく、外容器内に必要以上の水素ガスが溜まった場合にも安全弁として機能する。
さらに、外容器を、噴射ノズルを有した構造にすれば、水素豊富水を皮膚などに噴霧して使用できる。これは人以外にも犬、猫のペット、小動物などに使用するのに好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外容器の飲用水に埋没させた内容器からは水素ガスが透過しても、水酸化マグネシウムなどの不純物が飲用水に混入することがないので、マグネシウム摂取過多などの不安がない、安全で水素リッチな水素豊富水が飲用できる。
また、外容器を携帯可能な構造体にしたものでは、常時携行して適宜飲用できる。
さらに、水素豊富水の補給時間を知らせる手段を設けたものでは、水素豊富水を飲用する時刻(時間間隔)を報知したり、喚起させるので、体内に補給された後、急激に血中濃度が低下する水素豊富水の補給を、最適なタイミングで効果的に行うことができる。
また、外容器の補給口に逆止弁を設けた構造のものでは、飲用水を注ぎ出したときに、外容器内への不要な空気の流入を防止できるので、水素溶存濃度を安定に保持できる。
更に、外容器に噴射ノズルを設けた構造のものでは、水素豊富水を皮膚などに噴霧して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のダブルボトル型の水素水生成器の一実施例を示す説明図。
【
図2】(a)、(b)は、内容器の一実施例を示す説明図。
【
図3】(a)、(b)は、水素ガス発生原材料の一例を示す説明図。
【
図4】本発明の水素水生成器の別の実施例を示す説明図。
【
図5】本発明の水素水生成器の更に別の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の水素水生成器の一実施例を示す。
水素水生成器Aは、図に見るように、外容器1は、容器本体11の上部に螺入式の上蓋12を設け、容器本体11の内部に飲用水3を満たし、3本の内容器2・・・を飲用水3に埋没するようにして収容している。内容器2の本数は限定されない。
外容器1は、内容器2から発生する水素ガスが充満しても、比較的変形に耐え得る炭酸ガス飲料容器に使用する素材や形状のものが望ましく採用される。
内容器2から発生した水素ガスの一部は、飲用水3に溶け込み、飲用水3は水素リッチな水素豊富水になる。6は内容器2内で発生した水素ガスによる泡である。
飲用水3は、浄水や、市販のミネラルウォータなどが採用される。水道水でもよいが、塩素は除いたものが望ましい。
【0011】
図2は、内容器の構造を詳細に示している。
内容器2は、
図2の(a)、(b)に示すように、水素ガス発生原材料4または4´を収容し、水5を充満させている。
容器本体21の上部には、注入口23aを形成した蓋体23を被せ、その下にネジ部22を設けてネジ山22aを形成している。水5は、常温でよいが、不純物の混入していない浄水が望ましい。
このような内容器2は、水素ガスのみを透過し、水素ガス発生原材料の収容時に粉になって発生する不純物を透過させない構造にしている。低密度のオレフィン系樹脂を素材として用いれば製造できるが、これには限定されない。
図2に示した構造によれば、内容器2の蓋体23を外し、容器本体21内に水素ガス発生原材料4または4´を投入してから、蓋体23を装着し、その後、スポイトのように容器本体21を押圧変形させながら、蓋体23の注入口23aから水5を吸い込むことで、容器本体21内に水5を充満させることができ、蓋体23の上方からネジ部22にネジ式キャップ24を被せれば、水素ガス発生原材料4または4´や水5が漏れ出ないように封入することができる。
本発明において特徴的なことは、内容器2は、水素ガスは透過させるが、容器本体21内に充填した水や水素ガスの発生に伴い生成された不純物は透過を遮断させる構造にした点にある。
このような構造によれば、内容器2からは水素ガスのみが透過し、透過した水素ガスは飲用水3に溶け込んで、水素リッチな水素豊富水が生成される。
また、本発明において使用する水素ガス発生原料は、後述する4や4´の他、種々のものが使用される。
より具体的には、予めセラミックボール、又はセラミック玉、あるいはセラミック片に成型したもの4や、Mg金属にセラミック触媒を加えた混合粒4´が使用できる。
【0012】
図3(a)に示す4は前者のイメージを示すもので、Ca,Mg,K,鉄、亜鉛などの金属ミネラルを配合し、予めセラミックボール又はセラミック玉、あるいはセラミック片にしている。常温水に触れると金属ミネラルの電位差により微量の直流電流が発生し、水を電気分解することで水素ガスを発生させることができる。このタイプのものは、洗浄も殆ど必要なく、保守が容易である。
一方、
図3(b)に示す4´は、Mg金属の他に、トルマリン、セラミック触媒などを含ませている。必要に応じて白金ナノコロイド、シリカ、ソメライトなどを混合させることができ、常温水を加えると、Mg金属が反応して水素ガスと水酸化マグネシウムを発生する。
このものは、セラミックボール又はセラミック玉、あるいはセラミック片にしたものとは違って、Mg金属が水と接触することで酸化が進むので、クエン酸を溶かした水溶液でメンテナンスが必要となる。
【0013】
図4は、本発明の別の実施例を示している。
図2と対応する部分には、同じ符号を記すことで説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
水素水生成器Bは、外容器1の上部に、逆止弁を内蔵した補給口13aと、キャップ13bとを設けた螺入式蓋体13を設けた構造になっており、これによって、外容器1に収容された飲用水4をコップなどに注ぎ出したときに、水素ガスが抜け出し、外部から空気が入り込むことで、外容器1内に残った飲用水3に加わる圧力が低下して、水素溶存濃度が低下することを防止している。
また、逆止弁は、外容器1内に水素ガスが充満したときに、キャップを開くことで安全弁として機能させることが出来る。
また、この実施例では、外容器1の表面には、水素豊富水の補給タイミングを指示、喚起する手段として「Every30minites!」なる表示ラベルが貼付されている。
本発明者によれば、人が水素水を補給しても、極めて短時間で消滅してしまうので、この知見を活用して、水素豊富水の補給効果を高める意義は高い。
すなわち、水素水は人の体内に入ると、直ぐに血中濃度は低下し、1時間も経過しないうちに殆どゼロになるので、例えば、「Every30minites!」は、補給時間の間隔を30分と設定したものであって、この時間間隔は、適宜、最適な値に調整すればよい。
本発明者によれば、人が水素水を補給するにあたって、通常の生活スタイルでは、一日に数回に分けて飲用しても、本来の効果は期待できないので、このような補給タイミングを指示、喚起する手段を設けることは極めて有効である。
水素豊富水の補給を指示、喚起する手段としては、アラームの設定可能なタイマーを設けたり、必要な表示をするなど、種々の手段が採用できることは言うまでもない。
【0014】
図5は、本発明の更に別の実施例を示している。
図2、
図3と対応する部分には、同じ符号を記すことで説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
水素水生成器Cは、外容器1の上部に噴射キャップ7を設けた構造になっており、本体1の内部に延びる吸出管71に、噴射口7aを設けている。72はノズルカバーである。
このような構造によれば、水素豊富水を皮膚や毛髪などに噴霧することができるので、このような方法で皮膚内に浸透させることができる。
このような噴霧形式で使用する態様は、人だけでなく、犬、猫、鳥などのペットや小動物に適用すれば、極めて有効である。
【0015】
以上に説明した本発明の水素水生成器では、いずれの実施例の態様も、水素水を飲用することで外容器内には空間部が生じ、このような空間部が生じてしまうと、外容器内に収容している飲用水に加わる分圧が減少して、溶存水素濃度が小さくなる。そのため、飲用水は、減少した分量だけ迅速に補充して外容器内を充満させることが望ましい。
また、溶存水素濃度は、常温・常圧では理論上は、1.6ppmが上限となるが、常温、常圧で使用する水素水生成器で水素リッチな水素豊富水を生成するには、ある程度の時間が必要となる。したがって、水素水生成器を予め複数本準備しておき、飲用水を飲用して空間が生じた水素水生成器には、すぐに飲用水を補充して次の飲用に備えることが望ましい。
【符号の説明】
【0016】
A,B,C 本発明の水素水生成器
1 外容器
12 蓋体
13a 補給口
2 内容器
3 飲用水
4,4´ 水素ガス発生原材料
5 水
6 水素
7 スプレーキャップ
7a 噴射口