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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】水田排水量調整器具
(51)【国際特許分類】
   E02B 13/02 20060101AFI20240919BHJP
   A01G 25/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
E02B13/02 Z
A01G25/00 501A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024079260
(22)【出願日】2024-05-15
【審査請求日】2024-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】724007606
【氏名又は名称】赤井 隆一
(72)【発明者】
【氏名】赤井 隆一
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-110793(JP,A)
【文献】実開昭52-083220(JP,U)
【文献】登録実用新案第3023087(JP,U)
【文献】特開平07-284348(JP,A)
【文献】実開昭59-006669(JP,U)
【文献】特開2017-023032(JP,A)
【文献】実開平07-010029(JP,U)
【文献】実開平03-032629(JP,U)
【文献】特開2019-218813(JP,A)
【文献】特開2014-132851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 13/02
A01G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水田の上向きに開口した排水口に取り付けた場合に、前記排水口に載荷部が2箇所以上形成されるとともに、排水通過口が2箇所以上形成され、かつ、前記排水通過口が前記排水口の上端面より上に位置しない第1立体形成部を備えることを特徴とする水田排水量調整器具。
【請求項2】
前記排水口に取り付けた場合に、前記第1立体形成部の端部において、前記排水通過口が2箇所以上形成されることを特徴とする請求項1に記載の水田排水量調整器具。
【請求項3】
前記排水口に取り付けた場合に、前記排水口の内側に位置する第2立体形成部を備えることを特徴とする請求項1に記載の水田排水量調整器具。
【請求項4】
水よりも比重が大きい材質であることを特徴とする請求項1に記載の水田排水量調整器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田における排水量の調節を行うための水田排水量調整器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に伴う降雨量の増加による水路や河川等の氾濫を防止するため、水田からの排水量を制限し、一時的に雨水を水田に貯留させながら徐々に下流へ排水する、「田んぼダム」の取組が全国的に推進されている。
そのため、従来、下記非特許文献1にあるような調整器具が存在している。
【0003】
非特許文献1は、田んぼダムの取り組みのためにフリードレーン式の排水口(円筒状の管を水田の上向きに開口した排水口に取り付け、これを上下に動かすことにより水田の水位調節を行う排水口の方式。)に取り付ける、漏斗の形状により排水量を制限させる水田排水量調整器具である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「田んぼダム」の手引き、農林水産省、P-41,42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フリードレーン式の排水口(フリードレーン管と呼ばれる円筒状の管を水田の排水口に取り付け、これを上下に動かすことにより水田の水位調節を行う排水口の方式。)において、従来の調整器具を設置する場合、フリードレーン管に付属した取っ手取り付け部の支障や、経年に伴う管形状の歪みにより、そのまま設置できないという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に対し、フリードレーン式排水口におけるフリードレーン管の取っ手取り付け部における支障や、経年に伴う管形状の歪みに対して対応できるほか、一般的な円形で上向きに開口した排水口全般においても、後付けでそのまま設置し水田の排水量を調整できる、汎用性の高い水田排水量調整器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
水田の上向きに開口した排水口に取り付けた場合に、前記排水口に2箇所以上の載荷部を持つとともに、排水通過口を形成する第1立体形成部を備えることで、排水量の調整を行うことができることを特徴とする。なお、前記排水通過口の面積は、一般的な田んぼダムの取り組みのための水田排水量調整器具で採用されている直径5cmの円の面積と同等程度が好ましい。
【0008】
前記排水口に取り付けた場合に、前記排水通過口が2箇所以上形成されることを特徴とする。
【0009】
前記排水口に取り付けた場合に、前記第1立体形成部の端部において、前記排水通過口が2箇所以上形成されることで、フリードレーン管の取っ手取り付け部の支障を防ぐことを特徴とする。
【0010】
前記排水口に取り付けた場合に、鉛直下方向に張り出し、前記排水口の内側に位置する第2立体形成部を備えることで、脱落防止の効果を発揮することを特徴とする。
【0011】
水よりも比重が大きい材質(例えば、セメント系、樹脂系、ゴム、金属等)であることで水田の水位が高くなった際に浮力により浮き上がらないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フリードレーン式排水口におけるフリードレーン管の取っ手取り付け部における支障や、経年に伴う管形状の歪みに対して対応できるほか、一般的な円形で上向きに開口した排水口全般においても、後付けでそのまま設置し水田の排水量を調整できる、汎用性の高い水田排水量調整器具を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例1とする。)における平面図及び側面図である。
図2】本発明の水田排水量調整器具の一例(例1)におけるフリードレーン式の排水口に設置した際の外観図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図3】本発明の水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口の状況図である。
図4】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例2とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図5】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例3とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図6】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例4とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図7】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例5とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図8】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例6とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図9】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例7とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図10】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例8とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図11】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例9とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
図12】本発明の水田排水量調整器具の一例(便宜上、例10とする。)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態の水田排水量調整器具について説明する。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために数例を上げ具体的に説明するものであり、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上の各部材の寸法比率で示しており、実際と同じであるとは限らない。
【0015】
図1は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例1)における平面図及び側面図である。円盤の縁を2箇所切り取った形状である第1立体形成部11が排水量の調整を行う効果を発揮し、第1立体形成部11の下部に付属する円盤状の第2立体形成部12が脱落防止の効果を発揮する。
【0016】
図2は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例1)におけるフリードレーン式の排水口に設置した際の外観図である。例1における第1立体形成部11が排水口に対する載荷部5を形成し、フリードレーン管1との間の排水通過口4から調整された量の排水を行うことができる。
また、前記第1立体形成部11は、フリードレーン式排水口の取っ手部2及び取っ手取り付け部3に支障しない形状となっており、第2立体形成部12は、脱落防止の効果を発揮し、かつ、前記フリードレーン管1に歪みが生じている場合でも設置できるよう、排水口の管より一回り小さい形状となっている。
加えて、フリードレーン式の排水口7以外の一般的な円形で上向きの排水口8においても、支障がなく設置できる形状となっている。
【0017】
図3は本発明の水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口の状況図である。フリードレーン式排水口7は、主にフリードレーン管1と円形で上向きに開口する排水本管6で構成されており、一般的な円形で上向きの排水口8は、円形で上向きに開口する排水本管6のみで構成されている。
【0018】
図4は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例2)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。十字型の形状である第1立体形成部21が排水口に対する載荷部5を形成し、フリードレーン管1との間の排水通過口4から調整された量の排水を行うことができる上、前記第1立体形成部21の下部に付属する複数の突起した第2立体形成部22が脱落防止の効果を発揮する。
【0019】
図5は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例3)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。円盤状の第2立体形成部32の脇から突起した第1立体形成部31が排水口に対する載荷部5を形成し、前記第2立体形成部32及び前記第1立体形成部31と、フリードレーン管1との間の排水通過口4から調整された量の排水を行うことができる上、前記第2立体形成部32は併せて脱落防止の効果を発揮する。
【0020】
図6は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例4)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。円盤状の第1立体形成部41と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から調整された量の排水を行うことができる上、前記第1立体形成部41の下部に付属する多角形の枠の形状をした第2立体形成部42が脱落防止の効果を発揮する。
【0021】
図7は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例5)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。長方形状の第1立体形成部51と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から、調整された量の排水を行うことができる上、第1立体形成部51の下部に付属する十字型の第2立体形成部52が脱落防止の効果を発揮する。また、第1立体形成部51の上部に取っ手の効果を発揮する立体形成部53を備える。
【0022】
図8は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例6)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。三角形状の第1立体形成部61と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から、調整された量の排水を行うことができる上、第1立体形成部61の下部に付属する複数の突起した第2立体形成部62が脱落防止の効果を発揮する。
【0023】
図9は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例7)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。二つに分かれた第1立体形成部71及び別れた二つの第1立体形成部71を一体化させる接合部73と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から、調整された量の排水を行うことができる上、第1立体形成部71の下部に付属する複数の枠状の突起した第2立体形成部72が脱落防止の効果を発揮する。なお、別れた二つの第1立体形成部71を一体化させる接合部73は、併せて取っ手の効果を発揮する。
【0024】
図10は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例8)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。複数の切り込みが入った第1立体形成部81と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から、調整された量の排水を行うことができる上、第1立体形成部81の下部に付属する複数の円柱状に突起した第2立体形成部82が脱落防止の効果を発揮する。また、第1立体形成部81に円柱状の取っ手の効果を発揮する立体形成部83が付属する。
【0025】
図11は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例9)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。円盤の縁を2箇所切り取った形状である第1立体形成部91と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から、調整された量の排水を行うことができる上、第1立体形成部91の底面に加工を行った滑り止め加工面92が脱落防止の効果を発揮する。
【0026】
図12は、本発明の水田排水量調整器具の一例(例10)における平面図、側面図及び、前記水田排水量調整器具と前記水田排水量調整器具を取り付ける水田排水口との関係図である。長方形が鉛直方向に膨らんだ形状に湾曲した第1立体形成部101と、フリードレーン管1の間の排水通過口4から、調整された量の排水を行うことができる上、鉛直下方向に湾曲した第2立体形成部102が脱落防止の効果を発揮する。なお、鉛直上下方向に湾曲していることから上下面どちらを下にしても同様の効果を発揮する。
【符号の説明】
【0027】
1 フリードレーン管
2 フリードレーン管の取っ手部
3 フリードレーン管の取っ手取り付け部
4 排水通過口
5 排水口に対する第1立体形成部の載荷部
6 排水本管
7 フリードレーン式排水口
8 一般的な円形で上向きの排水口
11 例1における第1立体形成部
12 例1における第2立体形成部
21 例2における第1立体形成部
22 例2における第2立体形成部
31 例3における第1立体形成部
32 例3における第2立体形成部
41 例4における第1立体形成部
42 例4における第2立体形成部
51 例5における第1立体形成部
52 例5における第2立体形成部
53 例5における取っ手の効果を発揮する立体形成部
61 例6における第1立体形成部
62 例6における第2立体形成部
71 例7における第1立体形成部
72 例7における第2立体形成部
73 別れた二つの例7における第1立体形成部を一体化させる接合部
81 例8における第1立体形成部
82 例8における第2立体形成部
83 例8における取っ手の効果を発揮する立体形成部
91 例9における第1立体形成部
92 滑り止め加工面
101 例10における第1立体形成部
102 例10における第2立体形成部
【要約】      (修正有)
【課題】水田の上向きの排水口であれば、後付けでそのまま設置し排水量を調整できる、汎用性の高い水田排水量調整器具を提供する。
【解決手段】水田排水量調整器具は、水田の上向きに開口した排水口に取り付けた場合に、排水口に載荷部5が2箇所以上形成されるとともに、排水通過口4が形成される第1立体形成部111を備え、さらに、排水通過口4が第1立体形成部11の端部の2箇所を含め、2箇所以上形成されてもよく、排水口の内側に位置する第2立体形成部12を備えることも可能に構成される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12