IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 坂東電線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図1
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図2
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図3
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図4
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図5
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図6
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図7
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図8
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図9
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図10
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図11
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図12
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図13
  • 特許-フラット導体ケーブルの接続端末構造 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】フラット導体ケーブルの接続端末構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/59 20110101AFI20240919BHJP
【FI】
H01R12/59
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021017400
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120483
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】391025534
【氏名又は名称】坂東電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】亀岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】萩原 昭生
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523310(JP,A)
【文献】米国特許第10591114(US,B1)
【文献】実開平05-062966(JP,U)
【文献】特開2003-031299(JP,A)
【文献】特開2013-038040(JP,A)
【文献】特開2006-085928(JP,A)
【文献】特開平06-215831(JP,A)
【文献】特開2003-092160(JP,A)
【文献】特開平06-260249(JP,A)
【文献】特開平11-329620(JP,A)
【文献】国際公開第2007/131537(WO,A1)
【文献】特開2002-117923(JP,A)
【文献】特開2005-259560(JP,A)
【文献】特開2008-186706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15-9/28
H01R 12/00-12/91
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の導体線と前記導体線を覆う絶縁被覆とを備えるフラット導体ケーブルの接続端末構造であって、
前記フラット導体ケーブルの端部に複数本の導体線が平行となって前記絶縁被覆の端面より剥き出しになって突出した突出端部と、
隣り合う前記導体線の間に位置させて前記絶縁被覆の端部に形成されるスリットと、
前記フラット導体ケーブルの端部に設けられる絶縁性材料からなり、コネクタとしての機能を有する端子部材とを備え、
前記端子部材は、前記フラット導体ケーブルの一方面に配置される第1接続部と、前記第1接続部にヒンジ部を介して開閉自在に接続され、前記フラット導体ケーブルの他方面に配置される第2接続部とを備えており、前記第1接続部と前記第2接続部の一方に前記導体線の突出端部を露出させる露出部を設け、
前記導体線が剥き出しになった突出端部の間の全長に亘った箇所と前記スリットとに挿入される遮蔽突起部を前記端子部材に設けたことを特徴とするフラット導体ケーブルの接続端末構造。
【請求項2】
前記絶縁被覆の端部の両面のうち少なくとも一方の面に保護フィルムを設けたことを特徴とする請求項1記載のフラット導体ケーブルの接続端末構造。
【請求項3】
前記フラット導体ケーブルの長手方向中央部に向けて突出する補強片を前記保護フィルムに設け、前記フラット導体ケーブルを屈曲させてときに前記フラット導体ケーブルへの応力集中を前記補強片に分散させるようにしたことを特徴とする請求項2記載のフラット導体ケーブルの接続端末構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品や電子機器に接続されるフラット導体ケーブルの接続端末構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器製品や自動車の電気系統の配線等においては、多くの電線つまり導体線が使用される。限られたスペースに複数本の導体線を集合して配置する場合には、それぞれ平型の複数本の導体線と導体線を覆う可撓性の絶縁被覆とを有するフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCとも略称する)が使用される。一方、電子機器機器相互間を電気的に接続するために、導体線を備えた電気回路パターンと電気回路パターンを覆う可撓性の絶縁被覆とを有するフレキシブルプリント基板(以下、FPCとも略称する)が使用される。FFCやFPCのように、平型つまりフラットな導体線が絶縁部材の中に組み込まれた形態のフラット導体ケーブルの接続端末は、電子機器等の接続端子に接続される。
【0003】
FFCの導体線を電子機器の導体線に接続するために、特許文献1に記載されるFFCの接続端部にはコネクタが取り付けられ、特許文献2に記載されるFFCの導体端子部は電子部品の導体端子部にハンダで接続される。特許文献2に記載されるように、FFCの接続端子部を電子部品の接続端子部にハンダ接続するために、絶縁被覆であるベースフィルムには、FFCの接続端子部の間に位置させてスリットが設けられている。FFCの接続端子部と電子部品の接続端子部とを密着させて予備ハンダを溶融させてハンダ付けを行うときに、ハンダが接続端子部の間から流出しても、ハンダをスリットから下方に流すようにしている。これにより、FFCの接続端子部同士がハンダによりショートすることを防止することができる。
【0004】
特許文献3には、本体プリント基板に電気的に接続される表示部を有する電子機器用表示装置が記載されており、液晶に設けられたFPCの接続端子としてのコネクタ用ランドが、本体プリント基板の接続端子としての接点バネコネクタに接続される。FPCの端部を折り曲げ加工することなく、段差に追従することができるように、端部にはスリットが設けられている。特許文献4には表示用ガラス基板とFPCとを接続する電気コネクタが記載されており、ガラス基板に設けられた位置決めピンが挿入される長円穴がFPCの端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-112584号公報
【文献】実開昭60-147175号公報
【文献】特開2001-350422号公報
【文献】特開2001-351703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FFCは、可撓性の樹脂からなる帯状の絶縁被覆の中にフラットな導体線が組み込まれており、容易に屈曲できるという屈撓性を有している。これにより、例えば、プリンターのヘッド等の可動部と固定側の本体機器との間で電気信号を送受信するためのケーブルとしてFFCは多く使用されている。FFCは、複数本の導体線が平面上に配置された状態となって絶縁被覆の中に組み込まれており、ケーブルの端末の導体線露出部も同様に平面上に配置されることから、導体間寸法は使用する電圧・電流規格をもとに短い距離に配置して全幅の拡大をさえることで小型化している。このため、低電圧、低電流での伝送に用いられることが多く、一般の円形断面電線のような電圧・電流値で用いられることが少ない。
【0007】
導体線に印加することができる電圧・電流値の許容を広げることができれば、実装機の摺動部や可動部、例えば、ロボットの回転部などの可動部分へのFFCの使用も可能になるが、導体断面積と同様に導体間距離を拡大しなければ短絡等の問題があり、それに伴い、FFCの幅寸法が拡大することから、FFCを搭載機器の電線配策空間に納めることができないという問題がある。
【0008】
電子機器を製造する製造設備や通信設備等を構成する電子機器においては、従来、小型化や軽量化があまり求められていなかった。しかし、機器動作の高速化や機能増加により機能部品が追加されており、電線本数増加により電線配置空間が不足し、電線自体の軽量化や薄型化が必要となっている。
【0009】
本発明は、複数本の導体線が絶縁被覆に組み込まれるフラット導体ケーブの幅寸法を小さくすることができるフラット導体ケーブルの接続端末構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のフラット導体ケーブルの接続端末構造は、複数本の導体線と前記導体線を覆う絶縁被覆とを備えるフラット導体ケーブルの接続端末構造であって、前記フラット導体ケーブルの端部に複数本の導体線が平行となって前記絶縁被覆の端面より剥き出しになって突出した突出端部と、隣り合う前記導体線の間に位置させて前記絶縁被覆の端部に形成されるスリットと、前記フラット導体ケーブルの端部に設けられる絶縁性材料からなり、コネクタとしての機能を有する端子部材とを備え、前記端子部材は、前記フラット導体ケーブルの一方面に配置される第1接続部と、前記第1接続部にヒンジ部を介して開閉自在に接続され、前記フラット導体ケーブルの他方面に配置される第2接続部とを備えており、前記第1接続部と前記第2接続部の一方に前記導体線の突出端部を露出させる露出部を設け、前記導体線が剥き出しになった突出端部の間の全長に亘った箇所と前記スリットとに挿入される遮蔽突起部を前記端子部材に設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の本発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記絶縁被覆の端部の両面のうち少なくとも一方の面に保護フィルムを設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の本発明は、上記請求項2に記載の発明において、前記フラット導体ケーブルの長手方向中央部に向けて突出する補強片を前記保護フィルムに設け、前記フラット導体ケーブルを屈曲させてときに前記フラット導体ケーブルへの応力集中を前記補強片に分散させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フラット導体ケーブルの絶縁被覆の端部に導体線の間に位置させてスリットを形成し、フラット導体ケーブルの端部に設けられる端子部材に、導体線の突出端部の間の全長に亘った箇所とスリットとに挿入される遮蔽突起部が設けられているので、剥き出しになった導体線相互間の沿面距離を長くすることができ、導体線相互の間隔を狭くすることができる。これにより、フラット導体ケーブルの幅寸法を狭くして、フラット導体ケーブルを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】スリットが絶縁被覆の端部に形成されたフラット導体ケーブルの端部を示す斜視図である。
図2】端子部材が設けられたフラット導体ケーブルの接続端末を示す斜視図である。
図3】端子部材に設けられた遮蔽突起部をハッチングで示す斜視図である。
図4】(A)は比較例としてのフラット導体ケーブルを示す平面図であり、(B)は図2に示したフラット導体ケーブルを示す平面図である。
図5】絶縁被覆の端部両面に保護フィルムが設けられた変形例としてのフラット導体ケーブルを示す斜視図である。
図6】(A)は図5の平面図であり、(B)は図5の側面図であり、(C)は変形例であるフラット導体ケーブルを示す側面図である。
図7】変形例であるフラット導体ケーブルの端部とこれに装着される端子部材とを分離した状態で示す斜視図である。
図8図7に示した端部に端子部材が装着されたフラット導体ケーブルの接続端末を示す斜視図である。
図9】他の変形例であるフラット導体ケーブルの端部とこれに装着される端子部材とを分離した状態で示す斜視図である。
図10図9に示した端部に端子部材が装着されたフラット導体ケーブルの接続端末を示す斜視図である。
図11図9および図10に示した端子部材における遮蔽突起部の1つをハッチングで示す斜視図である。
図12】さらに他の変形例であるフラット導体ケーブルの接続端部を示す斜視図である。
図13】(A)は比較例としてのフラット導体ケーブルを示す側面図であり、(B)は図12に示すように、保護フィルムに補強片が設けられたフラット導体ケーブルを示す側面図である。
図14】変形例である補強片を備えたフラット導体ケーブルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例としての実施の形態につて、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
図1はフラット導体ケーブルの一例としてのフレキシブルフラットケーブル(FFC)を構成するフラット導体ケーブル10の接続端末構造を示している。フラット導体ケーブル10は、平型の複数本の導体線11と導体線11を覆う可撓性つまり柔軟性の絶縁被覆12とを有している。このフラット導体ケーブル10は3本の導体線11を備えているが、絶縁被覆12の幅寸法に応じて絶縁被覆12の内部に組み込まれる導体線11の本数は3本に限られることなく、任意の本数の導体線11を絶縁被覆12の中に組み込むことができる。
【0020】
それぞれの導体線11は、絶縁被覆12の端面13よりも外部に突出して形成される突出端部14を有しており、それぞれの突出端部14は相互に平行となっている。絶縁被覆12の端部には、隣り合う導体線11の間に位置させて絶縁被覆12の端部にはスリット15が形成されている。3本の導体線11が組み込まれた絶縁被覆12には、2つのスリット15が導体線11に沿って平行に形成されている。絶縁被覆12の幅方向両側には切欠き部16が形成されている。なお、この切り欠き部16は、フラット導体ケーブル10が嵌合相手のコネクタ(図示せず)と嵌合したときに当該コネクタに設けられた防止突起が嵌まり込んで抜け止めを防止する機能を有している。
【0021】
図2は、図1に示しれたフラット導体ケーブル10の端部に絶縁性材料からなる端子部材21が設けられたフラット導体ケーブル10の接続端末構造を示す斜視図であり、フラット導体ケーブル10の端部には端子部材21が一体に成形されている。端子部材21は絶縁材料からなり、成形金型を用いてフラット導体ケーブル10とともに一体に成形される。端子部材21は突出端部14を外部に露出させる接続用の露出部22を有しており、露出部22において露出された突出端部14は、図示しないケーブルや電子機器の接続端子に接続される。このように、端子部材21はコネクタとしての機能を有している。さらに、絶縁被覆12に形成された切欠き部16に対応させて、端子部材21には切欠き部23が形成されている。なお、この切り欠き部23も、前述した切り欠き部16と同様、フラット導体ケーブル10が嵌合相手のコネクタ(図示せず)と嵌合したときに当該コネクタに設けられた防止突起が嵌まり込んで抜け止めを防止する機能を有している。
【0022】
図1に示しれたフラット導体ケーブル10の端部に端子部材21を一体に成形すると、図3に示すように、スリット15には遮蔽突起部24が挿入されるとともに遮蔽突起部24は突出端部14の間にも挿入される。図3においては、端子部材21に設けられた遮蔽突起部24をハッチングで示している。
【0023】
このように、フラット導体ケーブル10の導体線11の突出端部14を露出させる部分ではなく、導体露出部分よりもフラット導体ケーブル10の長手方向中央部側の根元の部分をトリミングしてスリット15を設け、端子部材21に導体線11の突出端部14の間の全長に亘った箇所とスリット15に挿入される遮蔽突起部24を設けたので、剥き出しになった導体線間の沿面距離を長くすることができる。沿面距離は1本の導体線11とこれに隣り合う最も近い他の導体線11との間における遮蔽突起部24に沿った最短の距離であり、沿面距離を長くすると、空中線間距離も長くすることができ、電気的機能を低下させずに幅寸法を短くして、フラット導体ケーブル10を備えたFFCの小型化が可能となる。
【0024】
図4(A)は比較例として示すフラット導体ケーブル10aを示す平面図であり、図4(B)は図1に示した本発明のフラット導体ケーブル10を示す平面図である。図4(A)に示す比較例としての従来のフラット導体ケーブル10aにおいては、電気的仕様から導体間寸法Wを3mmに設定する必要がある場合には、全幅寸法はDとなる。これに対して、スリット15と突出端部14の相互間とに遮蔽突起部24を挿入するようにすると、導体間の沿面距離を長くすることができるので、図4(B)に示すように、導体間寸法wを1mmと小さくすることができ、3本の導体線11を備えたフラット導体ケーブル10においては、全幅寸法dを(D-4)mmとすることができる。なお、図4(B)のフラット導体ケーブル10において、スリット15の長さ寸法eは1mmである。
【0025】
このように、フラット導体ケーブル10の接続端部に、図3に示すような形状の端子部材21をインサート成形により設けると、スリット15に挿入される遮蔽突起部24により導体線11の間に壁が形成されることになり、電気的仕様を変更することなく、フラット導体ケーブル10の小型化が可能となる。
【0026】
図5は変形例であるフラット導体ケーブルを示しており、絶縁被覆12の端部の両方の表面には、図5および図6(B)に示すように、保護フィルム17が設けられている。保護フィルム17は、絶縁被覆12の端部の両面に設けることなく、図3(C)に示すように、端部の一方の面に設けるようにしてもよく、絶縁被覆12の少なくとも一方の面に設けられる。
【0027】
このように、絶縁被覆12の端部に保護フィルム17を設けると、インサート成型により端子部材21を成型するときに絶縁被覆12が熱の影響を受けることを防止することができ、ケーブルの接続端末の品質を高めることができる。
【0028】
図7は変形例であるフラット導体ケーブル10の端部とこれに装着される端子部材21とを分離した状態で示す斜視図であり、図8図7に示した端部に端子部材21が組付けられたフラット導体ケーブル10の接続端末を示す斜視図である。
【0029】
この端子部材21はフラット導体ケーブル10の一方面に突き当てられて配置される第1接続部25と、他方面に突き当てられて配置される第2接続部26とを備えた成型品であり、両方の接続部25,26はヒンジ部27を介して開閉自在に接続されている。第1接続部25の開閉端には係合爪28が幅方向両側に設けられており、それぞれの係合爪28が係合する係合溝29が第2接続部26に設けられている。
【0030】
第1接続部25には、導体線11の突出端部14を露出させるための露出部22が形成されており、露出部22に連通する連通孔30が第1接続部25に形成されている。フラット導体ケーブル10の端部に端子部材21を装着するときには、突出端部14を連通孔30に挿入させた状態で第1接続部25と第2接続部26とを組み合わせると、フラット導体ケーブル10の接続端末は、図8に示すように、突出端部14が露出部22に露出された状態となる。突出端部14は、図示しないケーブルや電子機器の接続端子に接続される。なお、露出部22を第2接続部26に設けるようにしてもよい。
【0031】
第1接続部25と第2接続部26の一方には、図3に示した一体成型タイプの端子部材21と同様に、遮蔽突起部24が設けられ、他方には遮蔽突起部24が入り込む凹部が設けられている。ただし、図7および図8においては、遮蔽突起部24は図示省略されている。このように、別工程で加工された開閉式の端子部材21をフラット導体ケーブル10の端部に装着するようにした形態においても、遮蔽突起部24がスリット15と突出端部14相互間とに挿入されることから、導体線11の間の沿面距離を長くすることができ、空中線間距離も長くすることができる。これにより、電気的機能を低下させずに、フラット導体ケーブル10の幅寸法を短くして、フラット導体ケーブルを備えたFFCの小型化が可能となる。
【0032】
さらに、図7に示すように、絶縁被覆12の端部の両面に保護フィルム17を設けると、成型品である端子部材21のフラット導体ケーブル10の端部への装着作業において絶縁被覆12に大きな荷重が加えられても、絶縁被覆12や導体線11が損傷することを抑制できる。
【0033】
図9は変形例であるフラット導体ケーブル10の端部とこれに装着される端子部材21とを分離した状態で示す斜視図であり、図10は端部に端子部材21が組付けられたフラット導体ケーブル10の接続端末を示す斜視図である。
【0034】
この端子部材21は、絶縁材料からなる端子本体31と、導電性材料からなり端子本体31に取り付けられるコネクタ端子32とを備えている。コネクタ端子32は3本の導体線11に対応させて3つ設けられており、端子部材21は専用端子台としての端子部材である。それぞれのコネクタ端子32には、フラット導体ケーブル10の突出端部14と、コネクタ端子32を介して図示しない電子機器の接続端子33とが接続される。
【0035】
突出端部14をコネクタ端子32に締結するための第1のねじ部材34が端子部材21の端子本体31に設けられ、接続端子33をコネクタ端子32に締結する第2のねじ部材35が端子本体31に設けられている。突出端部14とコネクタ端子32との締結方式としては、突出端部14をコネクタ端子32との間で挟み込むようにしてもよく、突出端部14にねじ部材34が貫通する取付孔を設けるようにしてもよい。同様に、ねじ部材35が貫通する取付孔を接続端子33に設けるようにしてもよい。
【0036】
図9および図10に示すように、端子本体31には上述した端子部材21と同様に、遮蔽突起部24が設けられており、それぞれの遮蔽突起部24に一直線状に連なって、接続端子33の相互間を遮蔽する遮蔽壁36が端子本体31に設けられるとともに、一直線状に配置される遮蔽突起部24と遮蔽壁36との間には補強壁37が設けられている。
【0037】
図11は、図9および図10に示しれた2つの遮蔽突起部24の1つの断面形状を示す図面であり、断面形状がハッチングを付して示している。このように、専用品である端子部材21においても、遮蔽突起部24がスリット15と突出端部14相互間とに挿入されることから、導体線11の間の沿面距離を長くすることができ、空中線間距離も長くすることができる。さらに、絶縁被覆12の端部の両面に保護フィルム17を設けると、端子部材21のFFC10の端部への装着作業において絶縁被覆12に大きな荷重が加えられても、絶縁被覆12や導体線11が損傷することを抑制できる。
【0038】
図12は、さらに他の変形例であるフレキシブルフラットケーブルの接続端部を示す斜視図であり、絶縁被覆12の両面に設けられた保護フィルム17にはフラット導体ケーブル10の長手方向中央部に向けて突出する補強片18が設けられている。フラット導体ケーブル10の端部に設けられる端子部材21は図2に示したものと同様に一体成型されているが、図7および図8に示したように成型品としてもよく、図9および図10に示したように専用品としてもよい。
【0039】
図12に示すように、補強片18をフラット導体ケーブル10の端部に設けると、端子部材21に折り曲げ荷重を加えたときのケーブル強度を高めることができる。
【0040】
図13(A)は比較例として補強片18が設けられていないフラット導体ケーブル10を示す側面図であり、図13(B)は図12に示すように、保護フィルム17に補強片18が設けられたフラット導体ケーブル10を示す側面図である。
【0041】
図13(B)に示すように、補強片18を設けると、端子部材21からフラット導体ケーブル10に対して折り曲げる屈曲力が加えられても、図13(A)に示す場合に比して、フラット導体ケーブルの湾曲半径は大きくなり、フラット導体ケーブルに加えられる応力集中が分散され、フラット導体ケーブルの劣化を抑制することができる。
【0042】
図14は変形例である補強片を備えたフラット導体ケーブル10を示す斜視図である。図14に示す補強片18は、突出端に向かうに従って幅方向中央部が狭くなるように、山形形状となっており、フラット導体ケーブル10の幅方向中央部の強度が高められている。
【0043】
上述のように、フラット導体ケーブル10は、絶縁に薄いフィルムを用いており、円形断面の電線と比較して断面積を小型化できる利点がある。産業機器、設備等のように、円形断面積の電線を用いて配策している電子機器において、機器の機能追加等により電気接続数の増加を、電線配策部の空間が既に電線で占有されている場合でも、フラット導体ケーブルの使用により空間を拡大することなく実施することができる。このような場合において、フラット導体ケーブルの全幅が大きく拡大してしまうと、所定の空間内にケーブルを配置できなくなる。これに対して、上述したフラット導体ケーブル10を使用すると、全幅を小型化することができる。これにより、配策空間を拡大したり、電子機器の外部や内部構造を変更したりすることなく、機器の機能を増加することができるという利点を得ることができる。
【0044】
例えば、通信機器においても通信速度の増加等により電子機器の各ユニットは大型化が続いており、機能増加によりユニット間の空間も狭くなっている。このような状況のもとで、本発明の小型のフラット導体ケーブル10を適用すると、各ユニット間の接続の増加による機能追加にも寄与することができる。さらに、電子化が進んでいる車載機器の接続にも活用することができ、軽量化による燃費性能の向上はもとより、地球環境に配慮した構造設計にも寄与することができる。
【0045】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0046】
例えば、図示するフラット導体ケーブル10は、FFCとして適用されるが、これに限られず、FPCつまりフレキシブルプリント基板としても本発明のフラット導体ケーブルを適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、電子機器や自動車などの電気配線における配線材として適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 フラット導体ケーブル
11 導体線
12 絶縁被覆
13 端面
14 突出端部
15 スリット
17 保護フィルム
18 補強片
21 端子部材
24 遮蔽突起部
25 第1接続部
26 第2接続部
27 ヒンジ部
28 係合爪
29 係合溝
31 端子本体
32 コネクタ端子
33 接続端子
34 第1のねじ部材
35 第2のねじ部材
36 遮蔽壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14