(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】流水もしくは漏水の判断方法、アップロード装置、サーバ、プログラム、および流水もしくは漏水の判断システム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/24 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
G01M3/24 C
(21)【出願番号】P 2024108501
(22)【出願日】2024-07-04
【審査請求日】2024-08-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 長崎NEWSWEBの掲載日 令和6年2月6日 該当するNHKウェブサイトのアドレス https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20240206/5030020073.html PRTIMESの掲載日 令和6年2月20日 該当するPRTIMESプレスリリースのアドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000133393.html ミライ企業Nagasaki推進事業におけるプレゼンテーション 令和6年2月23日 該当する最優秀賞受賞に関するサイトのアドレス https://nagasaki-mirai.com/
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522246935
【氏名又は名称】wavelogy株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090538
【氏名又は名称】西山 恵三
(72)【発明者】
【氏名】道上 竣介
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特許第6245452(JP,B2)
【文献】特開2022-122856(JP,A)
【文献】特開2008-292338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とを、作業員によって設置されるアップロードデバイスがサーバにアップロードする第1のステップと、
前記サーバにおいて、
路面の異なる位置における
可視化された前記音情報の比較を
介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するか、AIが前記音情報に関する解析を行う第2のステップと、
前記解析の結果を、前記位置情報に関連付けて、前記サーバが表示もしくは通知する第3のステップと、
を有することを特徴とする流水もしくは漏水の判断方法。
【請求項2】
前記第2のステップにおいて、前記AIによる解析の他、前記サーバにアクセス可能な専門家による前記音情報に関する音聴による解析が行われ、
前記専門家による解析の対象は、前記AIによる解析の対象の一部もしくは全部であることを特徴とする請求項1に記載の流水もしくは漏水の判断方法。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の流水もしくは漏水の判断方法の実施に直接使用するアップロード装置であって、
前記音情報および前記位置情報を検知する検知手段と、
前記検知手段および前記サーバと接続する携帯端末と、
を有し、
前記解析の結果が前記位置情報の履歴と共に前記携帯端末の表示面に表示されることを特徴とするアップロード装置。
【請求項4】
前記検知手段は、
所定の路面位置を中心とする周辺の3点の位置における前記音情報を検知する音検知ユニットと、
前記音検知ユニットと有線接続され、かつ前記携帯端末と無線接続され前記位置情報を検知する専用デバイスと、
を有することを特徴とする請求項3に記載のアップロード装置。
【請求項5】
請求項
1または2に記載の流水もしくは漏水の判断方法の実施に直接使用するサーバであって、
前記AIによる解析を行う解析部と、
それぞれの位置における前記位置情報と前記音情報がアップロードされる入力部と、
前記表示もしくは前記通知を行う出力部と、
を有することを特徴とするサーバ。
【請求項6】
請求項
1または2に記載の流水もしくは漏水の判断方法の実施に直接使用するサーバとしてコンピュータを機能することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とが、アップロードのために収集されるアップロード装置と、
それぞれの位置における前記位置情報と前記音情報がアップロードされ、
路面の異なる位置における
可視化された前記音情報の比較を
介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するか、AIが前記音情報に関する解析を行うと共に、前記解析の結果を、前記位置情報に関連付けて、表示もしくは通知するサーバと、
を有することを特徴とする流水もしくは漏水の判断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点における、位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とを、サーバにアップロードし、異なる位置における音情報の比較を基に解析を行う流水もしくは漏水の判断方法、アップロード装置、サーバ、プログラム、および流水もしくは漏水の判断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
漏水判定システムとして、配管に設置されたセンサからの振動信号を配管を識別する識別情報と共に増幅器を介した波形データとしてサーバにアップロードし、時間積分率、周波数分析、音聴分析を行うものが知られる(特許文献1)。
【0003】
また、水道管の劣化度合を自動的に判別するシステムとして、AIを用い、取得した波動データを基に、過去において水道管から取得した波動データと水道管の劣化度合の連関度を利用して水道管の劣化度合を判別するものが知られる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-142622号公報
【文献】特開2023―059364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、漏水がどこの配管で生じているかが判断できても、その配管のどこの箇所で漏水が生じているかは判断できない。
【0006】
また、特許文献2においては、過去において水道管から取得した参照用波動データが無い場合、劣化度合の判断、更には漏水の判断ができない。
【0007】
本発明の目的は、過去において水道管から取得した波動データが無くても、漏水がどこの配管で生じているかだけでなく、その配管のどこの箇所で生じているかを判断できる流水もしくは漏水の判断方法、アップロード装置、サーバ、プログラム、および流水もしくは漏水の判断システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流水もしくは漏水の判断方法は、水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とを、作業員によって設置されるアップロードデバイスがサーバにアップロードする第1のステップと、前記サーバにおいて、路面の異なる位置における可視化された前記音情報の比較を介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するか、AIが前記音情報に関する解析を行う第2のステップと、前記解析の結果を、前記位置情報に関連付けて、前記サーバが表示もしくは通知する第3のステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、前記第2のステップにおいて、前記AIによる解析の他、前記サーバにアクセス可能な専門家による前記音情報に関する音聴による解析が行われ、前記専門家による解析の対象は、前記AIによる解析の対象の一部もしくは全部である。
【0012】
AIによる解析の対象の一部である場合は、専門家による音聴解析の負荷を減らすことができる。
【0013】
また、本発明に係るアップロード装置は、前記音情報および前記位置情報を検知する検知手段と、前記検知手段および前記サーバと接続する携帯端末と、を有し、前記解析の結果が前記位置情報の履歴と共に前記携帯端末の表示面に表示される。
【0014】
そして、前記検知手段は、所定の路面位置を中心とする周辺の3点の位置における前記音情報を検知する音検知ユニットと、前記音検知ユニットと有線接続され、かつ前記携帯端末と無線接続され前記位置情報を検知する専用デバイスと、を有するようにできる。
【0015】
また、本発明に係るサーバは、前記AIによる解析を行う解析部と、それぞれの位置における前記位置情報と前記音情報がアップロードされる入力部と、前記表示もしくは前記通知を行う出力部と、を有する。
【0016】
また、本発明に係るプログラムは、上記サーバとしてコンピュータを機能することを特徴とするプログラムである。
【0017】
また、本発明に係る流水もしくは漏水の判断システムは、水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とが、アップロードのために収集されるアップロード装置と、それぞれの位置における前記位置情報と前記音情報がアップロードされ、路面の異なる位置における可視化された前記音情報の比較を介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するか、AIが前記音情報に関する解析を行うと共に、前記解析の結果を、前記位置情報に関連付けて、表示もしくは通知するサーバと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、過去において水道管から取得した波動データが無くても、漏水がどこの配管で生じているかだけでなく、その配管のどこの箇所で生じているかを判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る流水もしくは漏水の判断システムの全体構成図である。
【
図2】音情報を検知する1つの音検知ユニットの外観図である。
【
図3】所定の路面位置を中心とする周辺の3点の位置における音情報を検知するために3つの音検知ユニットが専用デバイスと有線接続されることを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る専用デバイスの内部および外観を示す図である。
【
図5】(a)、(b)は音検知ユニット、専用デバイスと共にアップロード装置を構成する携帯端末であって、表示面に異なる表示内容を示すことを示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るアップロードデバイス、プラットフォーム、漏水診断AIを示す全体概念図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るプラットフォームにおいて、漏水検査の達成状況が達成率と共に表示されることの説明図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るプラットフォームにおいて、流水音もしくは漏水音に関する音情報が集音された位置の履歴が表示されることの説明図である。
【
図9】路面の複数位置で検知された音情報をスペクトログラムとして可視化し、AIを用いて異なる位置での比較を行うことで漏水箇所を判定することの説明図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態に係るビジネスモデルの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の実施形態に係る流水もしくは漏水の判断システム、流水もしくは漏水の判断方法について以下に説明する。なお、本実施形態における音情報(集音情報)に関連する判断と、音情報(集音情報)に関連する判定、解析、検査、検知とは、同様の内容を表すものとする。
【0022】
(流水もしくは漏水の判断システム)
図1は、本発明の実施形態に係る流水もしくは漏水の判断システムの全体概要図を示す。アップロード装置としてのアップロードデバイス1は、プラットフォーム内のサーバ2と通信可能であり、水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報(集音情報)とを、サーバにアップロードするために作業者によって設置される。
【0023】
サーバ2は入力部と、AIによる解析部と、出力部を備え、各位置の解析結果を作業者へ通知可能である。そして、プラットフォームにおいて解析結果を表示し、プラットフォーム内のサーバにアクセス可能な専門家(熟練者)が解析結果を視認すると共に集音情報を聴くことができるようにしている。そして、専門家の判断結果はサーバ2の解析部に反映され、必要に応じてAIによる解析結果と、専門家による解析結果とで総合判断がなされ、総合判断の結果をプラットフォーム内のサーバ2がプラットフォームにおける表示もしくはアップロードデバイス1を用いて作業する作業者へ通知する。
【0024】
このような本発明の実施形態に係る流水もしくは漏水の判断システムについては、以下のように表すことができる。すなわち、水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とが、アップロードのために収集されるアップロード装置と、それぞれの位置における前記位置情報と前記音情報がアップロードされ、路面の異なる位置における可視化された前記音情報の比較を介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するか、AIが前記音情報に関する解析を行うと共に、前記解析の結果を、前記位置情報に関連付けて、表示もしくは通知するサーバと、を有する。
【0025】
(流水もしくは漏水の判断方法)
本発明の実施形態に係る流水もしくは漏水の判断方法については、
図10に関連して後述するが、以下のように表すことができる。すなわち、水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とを、作業員によって設置されるアップロードデバイスがサーバにアップロードする第1のステップと、前記サーバにおいて、
路面の異なる位置における
可視化された前記音情報の比較を
介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するか、AIが前記音情報に関する解析を行う第2のステップと、前記解析の結果を、前記位置情報に関連付けて、前記サーバが表示もしくは通知する第3のステップと、を有する。
【0026】
(アップロード装置)
本実施形態に係るアップロード装置としての、
図1に示すアップロードデバイス1は、音情報および位置情報を検知する検知手段と、該検知手段およびサーバと接続する携帯端末とを備える。
【0027】
より具体的には、上記検知手段として、音検知機能を備える3個の音検知ユニット5(
図2、
図3)と、3個の音検知ユニット5と有線接続されて位置検知機能を備える専用デバイス7(
図3、
図4)を備える。
【0028】
更に、専用デバイス7およびプラットフォーム内のサーバ2(
図1)と無線接続されて通信可能な携帯端末8(
図5)を備える。
【0029】
1)音検知機能を備える音検知ユニットおよび位置検知機能を備える専用デバイス
図3に示すように、三角形の連結部材4の3つの頂点にそれぞれ配置される音検知ユニット5は集音(録音)機能を備える。そして、3個の音検知ユニット5とケーブル6で有線接続される専用デバイス7は、位置測位機能(GNSS)と通信機能を備え、公知の漏水探知機(例えばフジテコム社製)に取り付けても使用できるように構成されている。
【0030】
この専用デバイス7については、
図3において外箱を外し使用時の内部回路が見えるようにした状態が示され、また
図4において使用後にケーブル6などがまとめられ、外箱と共に一体的に組み込まれた状態が示される。
【0031】
2)携帯端末
本実施形態に係るアップロード装置として、
図1に示すアップロードデバイス1を音検知ユニット5、専用デバイス7と共に構成する携帯端末8は、サーバ2(
図1)および専用デバイス7と無線接続して通信する通信部と、表示部(
図5)を備える。
【0032】
図5(a)は、本日の点検予定として複数の場所が表示された表示部を示し、
図5(b)は、点検された或る位置での漏水有無判断結果として「漏水音の可能性あり」として表示された表示部を示している。
【0033】
なお、
図5(b)に示す漏水有無判断結果は、プラットフォーム内のサーバ2から作業者の形態端末8に通知されることを示しているが、作業者がプラットフォームにアクセスしてプラットフォームに表示される解析結果(漏水有無判断結果)を認識することもできる。
【0034】
(プラットフォーム、サーバおよび漏水診断AI)
1)プラットフォーム
図6は、上述したアップロードデバイス(漏水音アップロードデバイス)、プラットフォーム(漏水音共有GISプラットフォーム)、プラットフォーム内のサーバに備わる漏水診断AI、を示した全体概念図を示す。
【0035】
漏水音アップロードデバイスでは、漏水音の集音、調査点への案内、漏水の報告(通知)がなされる。
【0036】
そして、漏水音共有プラットフォームでは、漏水箇所の診断業務、検査レポート履歴の閲覧、診断業務の担当者割り当て、全体進捗の調整などがなされ得る。このようなプラットフォームでは、集音履歴を確認したり、漏水の判断状況の確認をすることもできる。
【0037】
図7は、本発明の実施形態に係るプラットフォームにおいて、各作業者の漏水検査に係る達成状況が達成率と共に表示されることを示している。
【0038】
また
図8は、本発明の実施形態に係るプラットフォームにおいて、流水音もしくは漏水音に関する音情報が集音された位置の履歴が表示されることを示している。より具体的には、
図8の中央部および左側部で、流水音もしくは漏水音に関する音情報が集音された位置の履歴が表示される。そして、
図8の右側部では、配管の情報、ピン情報として住所、周囲の環境が表示される。また、
図8の右下部では、漏水有無の判断結果と共に、騒音度(例えば漏水可能性が有る60dBm)が表示され、録音された音情報を聴くこともできる。
【0039】
2)サーバおよび漏水診断AI
本発明の実施形態に係るサーバは、以下のように表される。すなわち、上述した流水もしくは漏水の判断方法の実施に直接使用するサーバであって、解析を行う解析部と、それぞれの位置における位置情報と音情報がアップロードされる入力部と、表示もしくは通知を行う出力部と、を有する。
【0040】
そして、
図6に示す診断AI(
図1に示すプラットフォーム内のサーバ2の解析部)では、漏水場所の判定がなされる。漏水有無判断に関しては、各漏水音との相関データ解析
を介して、漏水音特徴量との一致度判定がなされる。すなわち、路面の異なる位置における後述するスペクトログラムに関する相対的解析
を介して、漏水音に特徴的なスペクトログラムが存在するかの判定がなされる。
【0041】
なお、漏水位置の予測に加え、漏水音データの不足位置の提案(検査場所の提案)などもなされる。
【0042】
図9は、路面に設置された音検知デバイスにより検知された音情報を、アップロードされたサーバでAIによる解析をした結果を示す図である。
【0043】
具体的には、図の左側から漏水0m地点、漏水1m地点、漏水5m地点と水平方向に異なる3箇所の位置で検知された音情報の解析のため、音情報が可視化されたスペクトログラムを示す。
周知のようにスペクトログラムの縦軸は周波数であり、図9のA―1、A―2、A―3は共通の周波数を示す。
【0045】
図9の漏水0m地点におけるスペクトログラムは、周波数A-1と周波数Bが存在する特徴的なスペクトログラムであり、水道管からの漏水音があると判断される。本実施形態における漏水音は噴出音であっても良い。
【0046】
また、
図9の漏水1m地点におけるスペクトログラムは、周波数A-2と周波数Cが存在するスペクトログラムであり、車の音などが混じるが、水道管からの漏水もしくは噴出がないと判断される。
【0047】
このように、本実施形態によれば、水平方向に異なる位置におけるスペクトログラムをAIが比較することで、漏水箇所を認識することができる。
【0048】
なお、漏水診断AIの解析結果はプラットフォームにおいて表示され、プラットフォームにアクセスする専門家(熟練者)が録音された音情報を聴いて判断結果をプラットフォームに反映させることもできる。これについては、以下のフローチャートで示す。
【0049】
(フローチャート)
図10に本発明の実施形態に係るフローチャートを示す。
【0050】
先ずステップS1において、水道管の真上となるよう検知位置の調整がされる。具体的には、
図3に示した3つの音検知ユニット5からの音情報がほぼ同様にバランス良い状態となるように、三角形の連結部材4が水道管上方の路面位置における水平面内で微調整される。この微調整に関しては、作業者が音情報を自ら聴いて行うこともできるが、プラットフォームにアクセスして3つの音検知ユニット5からの音情報のバランス度をAIに判断してもらいその判断結果を参照することもできる。
【0051】
図10に戻り、ステップS2において、水道管に沿った複数の検知位置における位置情報と音情報の取得がされる(アップロードデバイス1によりプラットフォーム内のサーバ2に入力される)。
【0052】
そして、ステップS3において、複数の検知位置における音情報をスペクトログラムとして可視化がされ、ステップS4において、複数の検知位置におけるスペクトログラムの比較(
図9)に基づくAI解析がなされる。
【0053】
そして、ステップS5において、漏水の有無および漏水箇所の判定がなされ、ステップS6において、解析の結果を位置情報に関連付けて、サーバが表示および通知する。
【0054】
ここで、ステップS6において、AIが解析した結果はプラットフォームにおいて表示されるが、AIによる解析結果の一部または全部について、専門家(熟練者)が解析結果を視認すると共に、集音情報を聴くことで音聴解析を行い(ステップS7)、その結果をサーバに反映することができる。
【0055】
これにより、AIによる解析結果の信頼性を向上させることができる。
【0056】
このようなフローチャートに鑑み、本発明の実施形態に係るプログラムは、上述した流水もしくは漏水の判断方法の実施に直接使用するサーバとしてコンピュータを機能することを特徴とするプログラムと表すことができる。
【0057】
(本実施形態に係るビジネスモデルの概要)
図11は、本実施形態に係るビジネスモデルの概要を示す。本出願の出願人であるwavelogy株式会社からライセンスを受けた漏水調査会社は、水道事業体等から漏水判断を受託する。そして、漏水調査会社は、集音会社に路面集音を委託する。このとき、漏水音の集音業務に携わる作業者は、従来のような音聴棒を扱える専門家(熟練者)である必要はなく、アルバイトであっても良い。
【0058】
そして、漏水箇所が見つかった場合、水道事業体等は漏水修繕会社に委託して漏水修繕を行う。
【0059】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、音検知機能を備える音検知ユニットおよび位置検知機能を備える専用デバイスを別々のものとしたが、両者を併せ持つ1つのデバイスとすることもできる。
【0061】
また上述した実施形態において、3個の音検知ユニット5を用いたが、個数はこれに限定されず、1個であっても良い。
【0062】
また上述した実施形態において、異なる位置における音情報の比較を基に漏水箇所を判断するに際し、過去の漏水箇所データおよび修繕箇所データをも参照して行うこともできる。
【0063】
また、上述した実施形態において、専用デバイス7は、位置測位機能としてGNSSを用いたが、GPSを用いることもできる。
【0064】
また、
図10のステップS6において、サーバが表示もしくは通知の一方のみを行うようにすることもできる。
【符号の説明】
【0065】
1・・アップロードデバイス、2・・プラットフォーム内のサーバ、3・・専門家、4・・三角形の連結部材、5・・音検知ユニット、6・・ケーブル、7・・専用デバイス、8・・携帯端末
【要約】
【課題】過去において水道管から取得した波動データが無くても、漏水がどこの配管で生じているかだけでなく、その配管のどこの箇所で生じているかを判断できる流水もしくは漏水の判断方法、アップロード装置、サーバ、プログラム、および流水もしくは漏水の判断システムを提供する。
【解決手段】水道管が設置された位置の上方となる路面位置の複数点において、それぞれの位置における位置情報と、流水音もしくは漏水音に関する音情報とを、作業員によって設置されるアップロードデバイスがサーバにアップロードする第1のステップと、サーバにおいて、異なる位置における音情報の比較を基に、AIが音情報に関する解析を行う第2のステップと、解析の結果を、位置情報に関連付けて、サーバが表示もしくは通知する第3のステップと、を有する。
【選択図】
図1