(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】把持アーム及び景品取得ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
(21)【出願番号】P 2020039440
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】597009703
【氏名又は名称】北日本通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155181
【氏名又は名称】中 大介
(72)【発明者】
【氏名】松川 稔
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-201094(JP,A)
【文献】特開2019-201690(JP,A)
【文献】特開2010-188007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00-9/20,9/26-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品取得ゲーム装置に用いられる景品取得装置に取り付けられて景品を把持するための把持アームであって、
基端部を前記景品取得装置に取り付けるための取付部を有するアーム本体と、
前記アーム本体の先端部に取り付けられ
、景品に対して面で把持するための平面部を有する把持爪と、
前記アーム本体の先端部に対して前記把持爪を上下方向及び左右方向に揺動自在に軸支する軸支部とを備えたことを特徴とする把持アーム。
【請求項2】
前記把持
爪の取付位置を変更可能な取付位置変更手段を
備えたことを特徴とする請求項1に記載の把持アーム。
【請求項3】
前記把持
爪の左右方向の揺動範囲を規定する第一の揺動範囲規定手段と、
前記
把持爪の上下方向の揺動範囲を規定する第二の揺動範囲規定手段とをさらに
備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持アーム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の把持アームを有する景品取得装置を備えた景品取得ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持アーム及び景品取得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム機に代表される景品取得ゲーム装置は、筐体内部に形成されたプレイフィールド内に多数の景品が載置されて使用されるものである。遊戯者は、レバーやボタン等の操作手段を用いて把持アームを有する景品取得装置をプレイフィールド内で移動させることができる。そして、遊戯者は、所望とする景品が載置されている位置まで景品取得装置を移動させた後、把持アームでこの景品を把持させ、その状態で、景品排出口まで揚送することにより、景品を獲得することができる。
【0003】
従来の景品取得ゲーム装置では、ぬいぐるみおもちゃ等の形状が不規則な景品が用いられていたが、近年では、装飾効果を高めるべく、景品が箱にパッケージされてゲームに用いられる場合がある。しかしながら、従来の把持アームの先端に設けられた爪部材は、先細り形状であったり、平板状の小片等であるため、このような景品に対応されておらず、爪部材の形状に適応するように、景品側で加工する等の対応が必要であった。
【0004】
このような事情に鑑み、従来の景品取得ゲーム装置における景品取得装置の把持アームに設けられた爪部材について、シャフトにより爪部材をアーム本体に対して枢着して上下方向に揺動可能とし、景品の側面に沿うように把持可能に構成されたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の把持アームでは、例えば、箱型景品の場合、把持しようとする景品の姿勢によっては、景品を面で捉えることができず、景品の取得難易度が高くなり、遊戯者が飽きてしまうおそれがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来では取得が困難であった形状の景品についても適応することができ、景品取得ゲーム装置の遊戯性にバリエーションを持たせることができる把持アーム及びこの把持アームを有する景品取得装置を備えた景品取得ゲーム装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、
景品取得ゲーム装置に用いられる景品取得装置に取り付けられて景品を把持するための把持アームであって、
基端部を前記景品取得装置に取り付けるための取付部を有するアーム本体と、
前記アーム本体の先端部に取り付けられ、景品に対して面で把持するための平面部を有する把持爪と、
前記アーム本体の先端部に対して前記把持爪を上下方向及び左右方向に揺動自在に軸支する軸支部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の把持アームにおいて、
前記把持爪の取付位置を変更可能な取付位置変更手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の把持アームにおいて、
前記把持爪の左右方向の揺動範囲を規定する第一の揺動範囲規定手段と、
前記把持爪の上下方向の揺動範囲を規定する第二の揺動範囲規定手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、景品取得ゲーム装置であって、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の把持アームを有する景品取得装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来では取得が困難であった形状の景品についても適応することができ、景品取得ゲーム装置の遊戯性にバリエーションを持たせることができる把持アーム及びこの把持アームを有する景品取得装置を備えた景品取得ゲーム装置を提供することを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態におけるクレーンゲーム機の外観を示す斜視図である。
【
図2】把持装置に設けられたアームの斜視図であって、(A)は、爪部が上方位置で第2可動体に取り付けられた状態を示す図であり、(B)は、爪部が下方位置で第2可動体に取り付けられた状態を示す図である。
【
図7】本実施形態におけるクレーンゲーム機の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る景品取得ゲーム装置(例えば、クレーンゲーム機)について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
まず、
図1を用いて、本発明を適用することができる景品取得ゲーム装置の一例としてのクレーンゲーム機100の全体構成について説明する。本実施形態の説明において、左右、前後、上下とは、クレーンゲーム機100の遊戯者が正面側から見た状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0017】
クレーンゲーム機100は、例えば、縦長の直方体形状によって形成されており、底面にキャスタCが適宜数取り付けられている。したがって、ゲームセンター等の遊戯場のスタッフがクレーンゲーム機100を押動することにより容易に搬送することができるようになっている。
【0018】
クレーンゲーム機100は、箱状の基台1と、基台1の上方に形成されたプレイフィールド2と、プレイフィールド2の上方を覆う天井部3とを備えて構成されている。
【0019】
基台1には、例えば、クレーンゲーム機100の全体制御を行う制御部を有する制御基板等が収容されており、基台1の前面の右側に設けられた開閉扉1aを開放することにより、内部にアクセスすることができるようになっている。また、基台1の前面中央下部には、後述するコインセレクタ84a,84bによって受け付けられた硬貨やコインを回収するための集金扉1bが開閉可能に設けられている。
【0020】
プレイフィールド2は、多数の景品Pが載置される底部2aを有するとともに、前面板2b、左側面板2c、右側面板2d、背面板2e及び上述した天井部3により閉塞された内部空間が形成されている。そして、前面板2b、左側面板2c及び右側面板2dは、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、内部空間が視認できるようになっている。なお、前面板2bは、例えば、スライドドアによって構成されており、スライドドアを開放することで、プレイフィールド2内にアクセスできるようになっている。なお、本実施形態では、箱型の景品Pが用いられているが、他の形状の景品Pが用いられてもよい。
【0021】
プレイフィールド2の底部2aの左前隅部には、方形状に開口された景品排出口4が設けられており、景品Pを下方に排出することができるようになっている。景品排出口4から排出された景品Pは、景品取出室6まで落下し、基台1の前面の左側に設けられた扉体7を開放することにより、景品取出室6にある景品Pを取り出すことができるようになっている。ここで、扉体7は、透明のガラスあるいは樹脂により形成された板状部材により構成されており、扉体7を介して内部を視認することができるようになっている。また、底部2aには、景品排出口4の右側端部及び後側端部を囲うように仕切板5が立設されており、底部2aに載置され、あるいは、積み上げられた景品Pが景品排出口4から落下するのを抑制している。
【0022】
プレイフィールド2の上方には、景品取得装置として機能する把持装置200が設けられ、伸縮パイプ200aによって吊り下げられている。天井部3には、図示しないが、2本の縦行用レールがそれぞれ左右両端近傍に前後方向に延びて平行に設けられるとともに、1本の横行用レールが2本の縦行用レールに架設されている。横行用レールは、縦行用モータにより縦行用レールの延在方向に沿って移動可能に構成されている。この横行用レールには、伸縮パイプ200aを伸縮可能な伸縮装置が横行用モータにより横行用レールの延在方向に沿って左右方向に移動可能に設けられている。また、伸縮装置は、伸縮パイプ200aを伸縮させることにより、伸縮パイプ200aの先端部に取り付けられた把持装置200を上下方向に変位させることができる。なお、伸縮パイプ200aに換えて吊下げワイヤを横行用レールから吊下するようにして設け、この吊下げワイヤの先端に把持装置200を取り付け、吊下げワイヤを巻き取り及び繰り出すことにより把持装置200を上下方向に変位させる構成としてもよい。
【0023】
把持装置200は、詳しくは後述するが、伸縮パイプ200aが取り付けられる本体ケース201と、本体ケース201に取り付けられた左右一対のアーム203L,203R(以下、左側のアームを「アーム(左)203L」という場合があり、右側のアームを「アーム(右)203R」という場合がある。)とを備えて構成されている。一対のアーム203L,203Rは、開状態と閉状態とに変位可能に構成されており、プレイフィールド2に載置された景品Pを把持することができる。アーム203L,203Rの詳細な構成については後述する。
【0024】
一方、基台1の前面中央には、操作部8が設けられており、箱型形状をなしている。操作部8は、その上面に、操作レバー81、操作ボタン82及び表示部83が配置されている。操作レバー81及び操作ボタン82は、遊戯者により操作が可能となっており、表示部83には、例えば、遊戯可能残り回数や遊戯残り時間等が表示される。遊戯者は、操作レバー81を操作することにより把持装置200をプレイフィールド2内の任意の位置に移動させ、操作ボタン82を操作することにより、把持装置200を下降させるとともに、把持動作を行わせることができる。把持装置200は、把持動作が終了すると上昇し、アーム203L,203Rを閉状態に維持させながら景品排出口4の上方に移動し、アーム203L,203Rを開状態に変化させる。このとき、景品Pが把持装置200により把持されていた場合には、景品排出口4に向けて景品Pが落下して景品取出室6に案内され、その結果、遊戯者は、景品取出室6から景品Pを取り出すことができる。なお、本実施形態では、操作レバー81及び操作ボタン82を操作することにより、把持装置200に動作を行わせるように構成されているが、操作ボタンのみで把持装置200に動作を行わせるように構成されたものであってもよい。例えば、横移動ボタンと縦移動ボタンとを備え、まず、横移動ボタンを操作して把持装置200を左右方向に移動させた後、縦移動ボタンを操作して把持装置200を前後方向に移動させ、その場所で把持装置200による把持動作が行われるように構成されてもよい。また、操作レバーのみ設け、操作ボタンを備えない構成であってもよい。また、表示部83を備えない構成であってもよい。
【0025】
また、操作部8の前面には、2つのコインセレクタ84a,84bが並設されており、それぞれ受付可能な硬貨やメダルの種類が異なっている。本実施形態では、例えば、コインセレクタ84aは、100円硬貨のみ受付可能に構成されており、コインセレクタ84bは、500円硬貨のみ受付可能に構成されているが、これに限定されない。コインセレクタ84a,84bにより受け付けられた硬貨やメダルは、例えば、基台1の下部の回収箱に集められ、遊戯場の管理者が開錠操作して集金扉1bを開放させることにより、回収することができるようになっている。また、操作部8の前面は開閉可能に構成されており、例えば、遊戯場の管理者が開錠操作して操作部8の前面を開放させることにより、操作部8のメンテナンス等を行うことができるようになっている。また、コインセレクタ84a,84bに換えて、あるいは、コインセレクタ84a,84bに加えて、ICカードあるいは二次元コードから決済情報を読取可能なリーダライタ装置を設け、当該リーダライタ装置により読み取った決済情報に基づいて、クレジットの受付を可能に構成されてもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係る把持装置200に取り付けられるアーム203L,203Rの構成について、
図2~
図6を参照しながら説明する。なお、アーム(左)203Lとアーム(右)203とは同じ構成であるため、アーム(左)203Lとアーム(右)203Rとで共通する構成については同一の符号を付すとともに、アーム(左)203Lの構成についてのみ説明し、アーム(右)203Rの構成については説明を省略する。
【0027】
アーム(左)203Lは、基端部が把持装置200の本体ケース201に取り付けられる本体取付部203iを有するアーム本体203aと、アーム本体203aに取り付けられる取付ベース203bと、第1可動軸203dにより取付ベース203bに対して回動可能に取り付けられる第1可動体203cと、第2可動軸203fにより第1可動体203cに対して揺動可能に取り付けられる第2可動体203eと、第2可動体203eに対してネジ止め固定される平板状の爪部203gとを備えて構成されている。
【0028】
アーム本体203aは、樹脂により形成されて略ヘ字状に屈曲された形状をなし、先端部の上面に取付ベース203bが取り付けられる。また、本体取付部203iは、本体ケース201に配置された図示しない周知のリンク部材にネジ止め固定され、モータ等のアクチュエータによりアーム203L,203Rを変位可能としている。なお、本体取付部203iを、本体ケース201内に設けられたスプリングプランジャやボールプランジャ等によりワンタッチで着脱可能な構成としてもよい。より具体的には、本体ケース201内にスプリングプランジャあるいは対向して設けられる一対のボールプランジャを配置し、本体取付部203iに開設された貫通孔に貫通ないしは係合することにより取り付けることができる。このような構成とすると、アーム203L,203Rの交換が容易となる。
【0029】
取付ベース203bは、金属製の板状部材により形成されており、基部がアーム本体203aの先端上面部分にネジ止め固定されている。また、取付ベース203bのアーム本体203aの先端から突出した先端部分は、へ字状に折曲形成されている。なお、取付ベース203bは、金属製のものに限らず他の材料を適用してもよく、例えば、樹脂を用いるようにしてもよい。
【0030】
第1可動体203cは、方形状の平面部203c1を有するとともに、この平面部203c1の両側縁から下方に向けて直角に折り曲げ形成されて、それぞれ左側面部203c2及び右側面部203c3を構成している。また、第1可動体203cは、平面部203c1が取付ベース203bの先端部分の上方を覆うように配置され、軸ピンからなる第1可動軸203dにより、第1可動体203cが取付ベース203bに対して回動可能に取り付けられている。すなわち、第1可動体203cは、第1可動軸203dを支軸として回動可能とされている。なお、本実施形態では、第1可動体203cと取付ベース203bとの間に円筒状のスペーサ及び樹脂製のワッシャを配置し、これらを第1可動軸203dに挿通させるようにして第1可動体203cを取付ベース203bに対して取り付けるようにしており、第1可動体203cが回動する際の摺動性を向上させるようにしている。また、第1可動体203cは、金属により形成されているが、他の材料を適用してもよく、例えば、樹脂を用いるようにしてもよい。
【0031】
第2可動体203eは、
図5及び
図6に示すように、側断面視コ字状に形成された取付部203e1と、取付部203e1の左右の開口を覆うように左側面部203e2及び右側面部203e3(
図2参照)とがそれぞれ取付部203e1と一体に形成されている。左側面部203e2及び右側面部203e3は、それぞれ後方に向けて延在し、後部が半円状とされた蒲鉾形状をなしており、それぞれ半円状部分の略中央位置には、第2可動軸203fが挿通される挿通孔が開設されている。一方、第1可動体203cの左側面部203c2及び右側面部203c3の前方下部にも挿通孔が開設されており、第2可動体203eとともに第2可動軸203fが挿通される。すなわち、第2可動体203eは、第2可動軸203fによって第1可動体203cに対して上下方向に揺動可能に軸支されている。さらに、本実施形態において、第2可動軸203fは、円筒状に形成されており、第1可動体203cの左側面部203c2及び右側面部203c3の挿通孔に挿通させた状態で第2可動体203eの左側面部203e2及び右側面部203e3の挿通孔にも挿通させ、第2可動軸203fに固定ネジを挿通してナットによりネジ止め固定している。なお、第2可動軸203eの長さは第2可動体203eの左側面部203c2と右側面部203c3との間隔よりもわずかに長い寸法とされており、固定ネジにより固定された場合、第2可動軸203eがその軸方向にわずかに往復動可能とされている。また、第1可動体203cの左側面部203c2及び右側面部203c3の幅寸法が第2可動体203eの左側面部203e2及び右側面部203e3の内面間の寸法よりも小さいため、第2可動軸203eに沿ってわずかに往復動可能とされている。これにより、第2可動体203eが第1可動体203cに対して回動(揺動)する際の摺動性が向上する。また、さらに、本実施形態では、特に図示していないが、ねじりコイルバネが第2可動軸203fに巻装されており、第2可動体203eが上方に付勢するように、ねじりコイルバネの一端が第1可動体203cの平面部203c1の裏面を押圧し、他端が第2可動体203eの取付部203e1の前面部裏面を押圧するように取り付けられている。本実施形態では、このねじりコイルバネを設けることで、爪部203gの景品Pに対する当接面が適切な角度で景品Pに対して当接されやすくなる。なお、ねじりコイルバネを設けない構成とされてもよい。また、本実施形態において、第2可動体203eは、金属により形成されているが、他の材料を適用してもよく、例えば、樹脂を用いるようにしてもよい。また、本実施形態では、第1可動軸203dの軸方向と第2可動軸203fの軸方向とが直交しているが、必ずしも直交するものに限られるものではなく、設計により直交以外の角度をなすように構成されてもよい。
【0032】
爪部203gは、方形板状に形成されており、景品を把持する面が平面状をなしている。すなわち、平面部を構成している。また、爪部203gには、4つのビス孔203g1~203g4がマトリクス状に開設されている。爪部203gは、ビス孔203g1~203g4を介してビス203h1,203h2により第2可動体203eの取付部203e1に対して着脱可能に取り付けることができるようになっている。本実施形態では、
図2(A)及び同図(B)に示すように、ビス203h1,203h2を下方に設けられたビス孔203g1,203g2を介して取り付けるか、上方に設けられたビス孔203g3,203g4を介して取り付けるかにより、爪部203gの第2可動体203eに対する取付位置を変更することができる。これにより、把持装置200により景品Pを把持する際の景品Pにかかる作用点となる位置を変更することができ、景品取得の難易度を変化させることができる。なお、爪部203gは、金属により形成されているが、他の材料を適用してもよく、例えば、樹脂を用いるようにしてもよい。このように、爪部203gは第2可動体203eに対する取付位置を変更可能な取付位置変更手段として機能している。
【0033】
以上のようにして構成されたアーム203L,203Rは、
図3に示すように、第2可動体203eが第2可動軸203fを支軸として第1可動体203cに対して上下方向に揺動可能とされている。その範囲は、
図3において鎖線(一点鎖線及び二点鎖線)で表す通り、爪部203gが鉛直方向に延在する位置を基準として、上方に約35度、下方に約25度となっている。より具体的には、爪部203gが鉛直方向に延在する位置から約35度上方に揺動すると、第2可動体203eの取付部203e1の上面後端縁が第1可動体203cの平面部203c1の前端縁と突合することで、範囲が規制される。一方、爪部203gが鉛直方向に延在する位置から約25度下方に揺動すると、第2可動体203eの取付部203e1の下面後端縁が第1可動体203cの左側面部203e2及び右側面部203e3の下端縁に形成された段部と突合することで、範囲が規制される。なお、実際には、第2可動軸203fに巻装されたねじりコイルバネの付勢力により、第2可動体203eの取付部203e1の上面後端縁が第1可動体203cの平面部203c1の前端縁に突合した状態がデフォルトの位置となり、爪部203gが下方に押圧されることにより、ねじりコイルバネの付勢力に抗して下方に揺動する構成となっている。
【0034】
また、アーム203L,203Rは、
図4に示すように、第1可動体203cが第1可動軸203dを支軸として取付ベース203bに対して左右方向に揺動可能とされている。その範囲は、
図4で鎖線(二点鎖線)で表す通り、爪部203gが正面を向いている位置を基準として、左右それぞれ約20度となっている。より具体的には、爪部203gが正面を向いている位置から左方向に揺動すると、第1可動体203cの左側面部203c2の後端内縁が取付ベース203bに当接することで、範囲が規制される。一方、爪部203gが正面を向いている位置から右方向に揺動すると、第1可動体203cの右側面部203c3の後端内縁が取付ベース203bに当接することで、範囲が規制される。
【0035】
このように、本実施形態では、第1可動体203c、第1可動軸203d、第2可動体203e、第2可動軸203f及び爪部203gにより把持部材を構成している。
【0036】
また、本実施形態では、第1可動体203の左側面部203c2、右側面部203c3及び取付ベース203bが第一の揺動範囲規定手段として機能している。
【0037】
また、本実施形態では、第1可動体203及び第2可動体203eの取付部203e1が第二の揺動範囲規定手段として機能している。
【0038】
以上のようにして構成されたアーム203L,203Rを用いた把持装置200の動作について、
図7を参照しながら説明する。
【0039】
まず、
図7(1)に示すように、操作レバー81を操作して、所望とする位置まで把持装置200を移動させる。このとき、一対のアーム203L,203Rは開状態の位置とされている。その後、操作ボタン82が押下操作されると、
図7(2)に示すように、伸縮パイプ200aが伸長し、把持装置200が下降する。その後、
図7(3)に示すように、アクチュエータが動作してアーム203L,203Rが閉状態となり、景品Pを把持する。このとき、景品Pの姿勢や景品Pの形状に合わせて爪部203gが上下左右に可動する。その後、
図7(4)に示すように、景品Pが一対のアーム203L,203Rにより景品Pが把持されると、その状態で伸縮パイプ200aが縮み、把持装置200が上昇する。そして、首尾よく景品Pが一対のアーム203L,203Rにより把持された状態が維持されながら景品排出口4の上方まで揚送されると、アーム203L,203Rが開状態となり、把持されていた景品Pが景品排出口4から落下し景品取出室6に案内される。このようにして、景品を取得することができるようになっている。
【0040】
このように、本実施形態では、爪部203gが上下左右に揺動することで、景品Pの姿勢や形状に合わせて把持することができ、箱型形状等、従来のクレーンゲーム機のアームでは取得困難だった景品Pについて取得可能性が向上し、遊戯性を高めることができる。
【0041】
また、本実施形態では、爪部203gの第2可動体203eに対する取付位置を変更できるので、景品Pの重心位置を考慮した遊戯性を持たせることができるので、遊戯の難易度の調整が可能となり、遊戯のバリエーションが豊かになる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、アーム203L、203Rは、基端部を把持装置200に取り付けるための本体取付部203iを有するアーム本体203aと、アーム本体203aの先端部に取り付けられて景品Pを把持するための把持部材(第1可動体203c、第1可動軸203d、第2可動体203e、第2可動軸203f、爪部203g)とを備えている。把持部材は、アーム本体203aに対して取り付けられてアーム本体203aに対する第一軸(第1可動軸203dにより形成される軸)を支軸として揺動可能な第1可動体203cと、第1可動体203cに対して取り付けられて第一軸と交差する第二軸(第2可動軸203fにより形成される軸)を支軸として揺動可能な第2可動体203eと、第2可動体203eに対して取り付けられて、景品Pに対して面で把持するための平面部を有する爪部203gとを具備する。その結果、従来では取得が困難であった形状の景品についても適応することができ、景品取得ゲーム装置の遊戯性にバリエーションを持たせることができるようになる。
【0043】
また、本実施形態によれば、把持部材は、爪部203gの第2可動体203eに対する取付位置を変更可能な取付位置変更手段をさらに具備しているので、景品Pに対する作用点を変更して景品取得ゲーム装置の難易度を変更することができるので、遊戯性がさらに向上する。
【0044】
また、本実施形態によれば、把持部材は、第1可動体203cの揺動範囲を規定する左側面部203c2、右側面部203c3及び取付ベース203bと、第2可動体203eの揺動範囲を規定する第1可動体203c及び取付部203e1とをさらに具備しているので、簡素な構造にて実現できるようになる。
【0045】
また、本実施形態によれば、第一軸と第二軸とが直交しているので、爪部材を自在に揺動させることができるようになる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態に記載された作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0047】
本実施形態では、爪部203gを方形状に形成したが、これに限定されず、他の形状をなしていてもよく、例えば、方形状以外の多角形状をなしてもよいし、円盤状に形成されたものであってもよいし、楕円形状に形成されたものであってもよいし、不規則形状なものを適用してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、第2可動体203eに対して爪部203gを上下方向に2か所で取付位置を変更して取り付け可能に構成されているが、上下方向に3か所以上の取付位置を設けてもよいし、左右方向に複数個所の取付位置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
100 クレーンゲーム機(景品取得ゲーム装置)
200 把持装置(景品取得装置)
203L アーム(左)(把持アーム)
203R アーム(右)(把持アーム)
203a アーム本体
203b 取付ベース
203c 第1可動体(第1揺動部材)
203d 第1可動軸
203e 第2可動体(第2揺動部材)
203f 第2可動軸
203g 爪部(爪部材)