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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20240919BHJP
   F24H 9/16 20220101ALI20240919BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H9/16 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021023613
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125813
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】川野 敬太
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-141309(JP,A)
【文献】特開2012-032028(JP,A)
【文献】特開2020-134043(JP,A)
【文献】特開2018-131227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、前記バーナの燃焼排気と内部を通過する水とを熱交換する熱交換器と、前記熱交換器を通過した燃焼排気から発生したドレンを貯留して燃焼排気の漏洩を防止するドレントラップと、を備え、
前記ドレントラップは、前記熱交換器側から前記ドレンを導入するドレン導入管と、
前記ドレン導入管から流入したドレンが通過するドレン通過室と、
前記ドレン通過室を通過したドレンを外部に排出するドレン排出管とを有し、
前記ドレン通過室には、前記ドレン導入管との間にドレンを貯水して前記ドレン導入管から流れ込む燃焼排気を封止する封止部が設けられている給湯器であって、
前記ドレントラップは、上面を開口した樹脂製で、平面視円形の有底筒である容器本体と、前記容器本体の開口を閉塞する樹脂製で、平面視円形の蓋体とで形成され、前記蓋体に、前記容器本体内へ突出する前記ドレン導入管が形成され、前記容器本体に前記ドレン排出管が形成されて、
前記容器本体には、前記ドレン導入管が差し込まれる貯水室と、前記ドレン排出管と繋がり、前記貯水室からオーバーフローしたドレンが流れ込む排水室とが仕切形成され、前記貯水室と前記排水室とで前記ドレン通過室が形成されて、前記ドレン導入管と前記貯水室との間に前記封止部が形成可能となっており、
前記蓋体は、シール部材を介して前記容器本体に嵌合されると共に、ネジによって前記容器本体に固定されている一方、
前記容器本体内は、前記排水室側へ屈曲する平面視くの字状の仕切板によって、前記貯水室と前記排水室との平面視の開口面積が、前記排水室の方が前記貯水室よりも大きくなるように仕切形成されて、
前記容器本体と前記蓋体との間には、前記容器本体に対して前記蓋体を、前記ドレン導入管が前記貯水室に差し込まれる嵌合位置で位置決めする位置決め部が設けられており、
前記ドレン導入管は、前記蓋体の前記嵌合位置で前記貯水室側へ偏心する位置に配置されていることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記容器本体に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の嵌合状態で前記容器本体の上端に当接する上板部と、前記排水室の上方で前記上板部よりも上方へ突出し、上面に、前記排水室内の水位を検出するための端子をそれぞれ有する一対の電極がネジ止めされる平面視半円状の膨出部と、を含み、
前記ドレン導入管は、前記上板部上で前記膨出部の直径方向の側面と平行に配置される外管と、前記外管の端部から下向きに折曲し、前記上板部を貫通して前記貯水室内に突出する内管とからなり、前記外管の上端は、前記膨出部の上面よりも上方に突出しないことを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記容器本体の下端に、径方向外側へ張り出す取付板が形成されて、前記取付板には、給湯器の筐体の底板へネジ止めするための複数のネジ止め部が下向きに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレントラップを有する給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器は、バーナと熱交換器とを含む燃焼装置を備え、燃焼装置では、熱交換器を通過する水とバーナの燃焼排気との間で熱交換させて温水を出湯する。
この給湯器では、燃焼排気が露点以下になることでドレンが発生するため、ドレンを溜めて燃焼排気を水封し、ドレンを漏出させないようにしたドレントラップが設けられる場合がある(例えば特許文献1参照)。溜められたドレンは、器具内或いは器具外に設けられた中和器で中和された後、排出される。このドレントラップは、ドレンを貯める容器本体と、容器本体の上面を閉塞する蓋とを備えるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-134010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の給湯器においては、ドレントラップでのドレン漏れを確実に防止するため、容器本体と蓋とを熱可塑性合成樹脂で形成し、両者を溶着して密閉性を確保するようにしている。よって、ドレントラップの製作に手間とコストがかかり、部品交換も面倒となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、ドレントラップが密閉性を確保しつつ低コストで簡易に組み立て可能となる給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、バーナと、前記バーナの燃焼排気と内部を通過する水とを熱交換する熱交換器と、前記熱交換器を通過した燃焼排気から発生したドレンを貯留して燃焼排気の漏洩を防止するドレントラップと、を備え、
前記ドレントラップは、前記熱交換器側から前記ドレンを導入するドレン導入管と、
前記ドレン導入管から流入したドレンが通過するドレン通過室と、
前記ドレン通過室を通過したドレンを外部に排出するドレン排出管とを有し、
前記ドレン通過室には、前記ドレン導入管との間にドレンを貯水して前記ドレン導入管から流れ込む燃焼排気を封止する封止部が設けられている給湯器であって、
前記ドレントラップは、上面を開口した樹脂製で、平面視円形の有底筒である容器本体と、前記容器本体の開口を閉塞する樹脂製で、平面視円形の蓋体とで形成され、前記蓋体に、前記容器本体内へ突出する前記ドレン導入管が形成され、前記容器本体に前記ドレン排出管が形成されて、
前記容器本体には、前記ドレン導入管が差し込まれる貯水室と、前記ドレン排出管と繋がり、前記貯水室からオーバーフローしたドレンが流れ込む排水室とが仕切形成され、前記貯水室と前記排水室とで前記ドレン通過室が形成されて、前記ドレン導入管と前記貯水室との間に前記封止部が形成可能となっており、
前記蓋体は、シール部材を介して前記容器本体に嵌合されると共に、ネジによって前記容器本体に固定されている一方、
前記容器本体内は、前記排水室側へ屈曲する平面視くの字状の仕切板によって、前記貯水室と前記排水室との平面視の開口面積が、前記排水室の方が前記貯水室よりも大きくなるように仕切形成されて、
前記容器本体と前記蓋体との間には、前記容器本体に対して前記蓋体を、前記ドレン導入管が前記貯水室に差し込まれる嵌合位置で位置決めする位置決め部が設けられており、
前記ドレン導入管は、前記蓋体の前記嵌合位置で前記貯水室側へ偏心する位置に配置されていることを特徴とする。
本発明の別の態様は、上記構成において、前記蓋体は、前記容器本体に嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の嵌合状態で前記容器本体の上端に当接する上板部と、前記排水室の上方で前記上板部よりも上方へ突出し、上面に、前記排水室内の水位を検出するための端子をそれぞれ有する一対の電極がネジ止めされる平面視半円状の膨出部と、を含み、
前記ドレン導入管は、前記上板部上で前記膨出部の直径方向の側面と平行に配置される外管と、前記外管の端部から下向きに折曲し、前記上板部を貫通して前記貯水室内に突出する内管とからなり、前記外管の上端は、前記膨出部の上面よりも上方に突出しないことを特徴とする。
本発明の別の態様は、上記構成において、前記容器本体の下端に、径方向外側へ張り出す取付板が形成されて、前記取付板には、給湯器の筐体の底板へネジ止めするための複数のネジ止め部が下向きに形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来のような溶着工程が不要となり、ドレントラップが密閉性を確保しつつ低コストで簡易に組み立て可能となる。また、部品交換やメンテナンスも簡単に行える。
特に、容器本体と蓋体との間に位置決め部を設けたことで、容器本体に対して蓋体を適正な嵌合位置で確実に嵌合させることができ、誤組み付けが防止可能となる。
また、平面視くの字状の仕切板によって貯水室の方が排水室よりも平面視の開口面積が小さくなるので、蓋体を容器本体に嵌合させる際、仕切板のくの字の向きによって小さい方の貯水室を容易に視認してドレン導入管を誤りなく差し込むことができ、位置決め部による位置決めがスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】給湯器の正面図である。
図2】ドレントラップの斜視図である。
図3】ドレントラップの側面図である。
図4】ドレントラップの平面図である。
図5】容器本体の斜視図である。
図6】蓋体の斜視図である。
図7図4のA-A線断面図である。
図8】ドレントラップの組み立て状態を示す分解斜視図である。
図9】ドレントラップの変更例を示す斜視図である。
図10図9のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の一例を示す正面図で、フロントカバーを外した状態で示している。
給湯器1は、前面を開口した四角箱状の筐体2内に、バーナ4と、一次熱交換器5と、二次熱交換器6とが上から順に設けられる内胴3を収容した逆燃焼式となっている。また、筐体2内には、排気部7と、ファンユニット8と、ガス供給ユニット10とが設けられている。排気部7は、内胴3の下部から後方へ回り込んで上向きに設けられている。ファンユニット8は、内胴3の右側方でバーナ4に連結され、ファンモータ9及び図示しないファンを備えている。ガス供給ユニット10は、ファンユニット8の下側でファンユニット8に連結され、ガス導入管11から燃料ガスが供給される。
バーナ4は、燃料ガスと燃焼に必要な全ての燃焼用空気との混合気が燃焼する全一次空気式で、下面を開口して上下方向に所定深さを有する平面視横長矩形状の上ケーシング12を有している。上ケーシング12の上面には、上方へ突出してファンユニット8が接続されるチャンバ13が形成されている。上ケーシング12の下面には、複数の炎孔が形成された図示しない炎孔板が設けられて、炎孔板の表面(下面)で混合気が燃焼可能となっている。
【0010】
一次熱交換器5は、バーナ4が取り付けられる四角筒状の中ケーシング14内の下部に、複数のフィンを左右方向へ所定間隔をおいて並設すると共に、各フィンを貫通する複数の伝熱管を配設してなる。中ケーシング14の右側面の下部に設けた伝熱管の入側端部には、二次熱交換器6との接続管15が接続され、上部に設けた伝熱管の出側端部には、出湯管16が接続される。
二次熱交換器6は、中ケーシング14と連通する四角筒状の下ケーシング17内に、一対の伝熱プレートを互いに接合して内部流路を形成してなるペアプレートを、前後方向へ所定間隔をおいて並設して、ペアプレート間に排気流路を形成している。下ケーシング17の正面側下部に設けた入口には、給水管18が接続され、下ケーシング17の正面側上部に設けた出口には接続管15が接続される。
排気部7は、二次熱交換器6の下ケーシング17の下面に取り付けられるドレン受け20と、ドレン受け20の後部に立設される排気ダクト21とを備える。排気ダクト21は、合成樹脂製の横長角筒状で、上端の開口には、筐体2の上面に突出する円筒状の排気筒部を備えた上カバー22が接合されている。
【0011】
ドレン受け20の下端前面には、ドレン排出管23が接続されて、ドレン排出管23の下流端に、ドレントラップ30が接続されている。
ドレントラップ30は、図2図4に示すように、容器本体31と、蓋体32とを備えている。何れも樹脂による一体成形品である。
容器本体31は、底面を閉塞して上面を開口させた有底筒となっている。容器本体31の下端には、外周へ張り出す取付板33が形成されている。取付板33には、筐体2の底板にネジ止めするための3つの下ネジ止め部34,34・・が下向きに形成されている。容器本体31の上端には、図5にも示すように、上面に開口36を形成する拡径部35が形成されている。拡径部35の径方向外側で容器本体31の周面には、蓋体32をネジ止めするための2つの上ネジ止め部37,37が、上向きに形成されている。上ネジ止め部37,37の間で容器本体31の上端には、上向きに位置決めリブ38が形成されている。
【0012】
容器本体31の内部には、底面から立ち上がる平面視くの字状の仕切板39が設けられている。仕切板39により、容器本体31の内部には、貯水室40と排水室41とが形成されている。容器本体31の軸心と直交する横断面積は、排水室41の方が貯水室40よりも大きく(平面視非対称と)なっている。但し、仕切板39の上端は、拡径部35より下方に位置して、貯水室40と排水室41とは、容器本体31の上部で互いに連通している。
容器本体31における貯水室40側の底部には、下向きに突出する水抜き管42が形成されている。水抜き管42には、水抜き栓43がねじ込み装着されている。水抜き管42と水抜き栓43とは樹脂製のバンド44で連結されている。
容器本体31における排水室41側の底部には、下向きに突出する排水管45が形成されている。
【0013】
蓋体32は、上面を閉塞して下面を開口させた平面視円形の有底筒となっている。蓋体32の下部は、図6及び図7に示すように、容器本体31の拡径部35より下側に嵌合する外径となっている。蓋体32の上部には、外周へ張り出して拡径部35に嵌合する嵌合部50が形成されている。嵌合部50の下側で蓋体32の外周には、Oリング51が外装されている。嵌合部50の上側には、容器本体31の上端に上方から当接する平面視円形状の上板部52が形成されている。上板部52には、容器本体31の上ネジ止め部37,37に合わせて一対の張出部53,53が、径方向外側へ突設されている。張出部53,53には、ネジの挿通孔54,54が形成されている。また、上板部52の外周縁には、容器本体31に設けた位置決めリブ38が係合する切欠部55が形成されている。切欠部55を位置決めリブ38に係合させる位相で、張出部53,53が上ネジ止め部37,37上に位置決めされる。
【0014】
こうして位置決めされる蓋体32の上面で貯水室40の上方には、ドレン導入管56が形成されている。ドレン導入管56は、上板部52の上面を横切る水平な外管57と、外管57の一端部から下向きに折曲し、上板部52を貫通して貯水室40内に突出する内管58とからなる。外管57の他端部は、上板部52を越えて外側に突出している。内管58は、貯水室40の下部まで延びるが、下端は貯水室40の底面に達せず、底面より上方でとどまっている。
蓋体32の上面で排水室41の上方には、上板部52よりも上方へ突出する膨出部60が形成されている。膨出部60は、平面視が略半円状で、直径方向の側面は外管57と平行に形成されている。膨出部60の上面には、一対の電極61,61がネジ止めされている。電極61,61は、図示しない端子を排水室41内に垂下させて、排水室41内の水の水位を検知するために設けられている。電極61,61の間で膨出部60には、上向きに突出する空気抜き管62が形成されている。
【0015】
このドレントラップ30は、図8に示すように、蓋体32を、上板部52の切欠部55に容器本体31の位置決めリブ38が係合するように拡径部35に上方から挿入して嵌合部50を拡径部35に嵌合させる。
このとき、横断面積の相違により貯水室40の方が排水室41よりも平面視の開口面積が小さくなっているので、蓋体32を嵌合させる際、ドレン導入管56の内管58を開口面積が小さい方の貯水室40を視認して上方から誤りなく差し込みできる。そして、内管58が狭い貯水室40にある程度差し込まれると、回転方向の自由度が小さくなる内管58を介して蓋体32が不用意に回転しなくなるため、位置決めリブ38を狙って切欠部55を係合させやすくなる。よって、嵌合部50の拡径部35への嵌合はスムーズに行える。
すると、図7に示すように、ドレン導入管56の内管58が容器本体31の貯水室40に上方から完全に差し込まれ、張出部53,53が上ネジ止め部37,37の上面に当接した組み付け位置に位置決めされる。この状態で張出部53,53の挿通孔54,54を介して一対のネジ63,63を上ネジ止め部37,37にねじ込むと、蓋体32は容器本体31にネジ止めされる。このとき蓋体32に外装したOリング51は、蓋体32と拡径部35との間で蓋体32の径方向に圧縮されるため、蓋体32と拡径部35との間のシール性は維持できる。
【0016】
この組み付け状態で、ドレン導入管56の内管58の下端は、貯水室40の底面よりやや上方に位置している。よって、図7に二点鎖線で示すように、貯水室40に貯水されたドレンの水位が内管58の下端以上になると、ドレン導入管56からの燃焼排気の侵入が封止される封止部64が形成されることになる。
組み付けられたドレントラップ30は、容器本体31の取付板33が下ネジ止め部34によって筐体2の底板にネジ止めされることで筐体2内に固定される。この状態で水抜き管42と排水管45とは、筐体2の底板を貫通して下方へ突出する。ドレン導入管56の外管57の他端部には、ドレン排出管23が接続される。
【0017】
以上の如く構成された給湯器1においては、器具内に通水されると、リモコン等で要求される燃焼量に応じた回転数でコントローラがファンモータ9を駆動させてファンユニット8内のファンを回転させる。すると、ファンユニット8では、ファンの回転数に比例した空気が吸い込まれる。同時にガス導入管11からは燃料ガスが供給され、ガス供給ユニット10で調圧された後、ファンユニット8の吸込側に設けたベンチュリーを介して空気と混合されて混合気が生成される。生成された混合気は、バーナ4に供給されて炎孔板の各炎孔から噴出し、図示しない点火電極によって点火されて燃焼する。
バーナ4からの燃焼排気は、一次熱交換器5の中ケーシング14で各フィンの間を通過することで、伝熱管内を流れる水と熱交換し、顕熱が回収される。その後、二次熱交換器6の下ケーシング17内で各ペアプレートの間を通過することで、ペアプレートの内部流路を流れる水と熱交換し、潜熱が回収される。
【0018】
下ケーシング17を通過した燃焼排気は、ドレン受け20内に進入し、ドレン受け20の後部に移動した後、排気ダクト21内を上昇して排気筒部から外部に排出される。
二次熱交換器6で発生したドレンは、ドレン受け20に受け止められ、ドレン排出管23を介してドレントラップ30のドレン導入管56の外管57に流れる。外管57に流れ込んだドレンは、内管58内を通って貯水室40に貯められる。封止部64では、貯水室40内の水位が上昇して内管58の下端を越えると、内管58と貯水室40との間がドレンによって封止される。よって、ドレン導入管56から貯水室40内に燃焼排気が流れ込むことが防止される。
【0019】
貯水室40内の水位がさらに上昇して仕切板39の上端を越えると、仕切板39を乗り越えてドレンが排水室41内に流れ込む。オーバーフローしたドレンは、排水室41内を下降して排水管45から外部へ排出される。排水管45に中和器が接続されていれば、中和器で中和されて排出される。
なお、排水管45側に詰まりが生じてドレンが貯まると、電極61,61を介してコントローラが検知し、燃焼停止或いは報知等の処理を行う。貯水室40のドレン抜きが必要になれば水抜き栓43を抜き取ることで水抜き管42からドレン抜きが行える。
空気抜き管62は、排水室41内の空気を逃がす。この空気抜き管62がないと、排水管45に詰まりが生じた場合、排水室41内の空気の逃げ場がなくなり、電極61によるエラー検知ができなくなって、ドレン排出管23側からドレン受け20にドレンが溢れるおそれがあるためである。
【0020】
このように、上記形態の給湯器1では、ドレントラップ30は、上面を開口した樹脂製の容器本体31と、容器本体31の開口36を閉塞する樹脂製の蓋体32とで形成され、蓋体32に、容器本体31内へ突出するドレン導入管56が形成され、容器本体31に排水管45(ドレン排出管)が形成されて、容器本体31には、ドレン導入管56が差し込まれる貯水室40と、排水管45と繋がり、貯水室40からオーバーフローしたドレンが流れ込む排水室41とが仕切形成され、貯水室40と排水室41とでドレン通過室が形成されて、ドレン導入管56と貯水室40との間に封止部64が形成可能となっている。そして、蓋体32は、Oリング51(シール部材)を介して容器本体31に嵌合されると共に、ネジ63によって容器本体31に固定されている。
この構成によれば、従来のような溶着工程が不要となり、ドレントラップ30が密閉性を確保しつつ低コストで簡易に組み立て可能となる。また、部品交換やメンテナンスも簡単に行える。
【0021】
特にここでは、容器本体31と蓋体32との間に、容器本体31に対して蓋体32を、ドレン導入管56が貯水室40に差し込まれる嵌合位置で位置決めする位置決めリブ38及び切欠部55(位置決め部)が設けられている。よって、容器本体31に対して蓋体32を適正な嵌合位置で確実に嵌合させることができ、誤組み付けが防止可能となる。
また、貯水室40と排水室41との平面視の開口面積は、貯水室40の方が排水室41よりも小さくなっているので、蓋体32を容器本体31に嵌合させる際、小さい方の貯水室40を視認してドレン導入管56を誤りなく差し込むことができ、位置決めリブ38及び切欠部55とによる位置決めがスムーズに行える。
【0022】
なお、Oリングは、1つに限らず、上下に2つ以上蓋体に外装させてもよい。Oリング以外のシール部材も採用できる。
容器本体と蓋体との嵌合関係も上記形態に限らない。容器本体の拡径部はなくてもよい。上記形態と逆に、容器本体の外側に蓋体を嵌合させ、容器本体にシール部材を外装させてもよい。
位置決めリブと切欠部とは、上記形態と逆にして、容器本体に切欠部を、蓋体に位置決めリブを設けてもよい。位置決め部としてはリブ及び切欠部に限らず、例えば突起と孔とで形成する等適宜変更可能である。位置決め部を省略することもできる。
蓋体のネジ止めは2本のネジによる形態に限らず、適宜増減可能である。ネジの取付方向も上記形態に限らず、横方向や下方向からネジ止めするものであってもよい。
【0023】
図9及び図10は、ネジを1本とした場合の変更例を示している。このドレントラップ30Aでは、容器本体31の上端外側に上ネジ止め部が設けられておらず、仕切板39の中央に1つの上ネジ止め部37が設けられている。蓋体32における上ネジ止め部37の上方には、ネジ63を挿通させる挿通孔54が形成されている。
このドレントラップ30Aも、蓋体32の嵌合部50を、切欠部55と位置決めリブ38との位置を合わせて拡径部35に嵌合させると、ドレン導入管56の内管58が容器本体31の貯水室40に上方から差し込まれ、挿通孔54が上ネジ止め部37の上面に当接した組み付け位置に位置決めされる。この状態で挿通孔54を介してネジ63を上ネジ止め部37にねじ込むと、蓋体32は容器本体31にネジ止めされ、Oリング51によって蓋体32と拡径部35との間はシールされる。
【0024】
その他、ドレン導入管は、外管を横向きとせず内管と共に上下方向へ直線状に形成してもよい。
容器本体の形状も円筒に限らず、角筒等も採用できる。仕切板や蓋体も容器本体の形状に合わせて変更すればよい。特に仕切板は、平面視くの字状に限らず、平面視円弧状としたり、直径方向からずれる平面視直線状としたりすることでも、貯水室と排水室とを非対称とすることができる。
そして、給湯器におけるバーナ、一次熱交換器、二次熱交換器の各形態やファンユニットの配置等も上記形態に限らず適宜変更可能である。逆燃焼式でなくてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・内胴、4・・バーナ、5・・一次熱交換器、6・・二次熱交換器、7・・排気部、8・・ファンユニット、10・・ガス供給ユニット、20・・ドレン受け、23・・ドレン排出管、30,30A・・ドレントラップ、31・・容器本体、32・・蓋体、36・・開口、38・・位置決めリブ、39・・仕切板、40・・貯水室、41・・排水室、45・・排水管、50・・嵌合部、51・・Oリング、55・・切欠部、56・・ドレン導入管、63・・ネジ、64・・封止部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10