(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20240919BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20240919BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20240919BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240919BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20240919BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240919BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240919BHJP
【FI】
F21V33/00 400
A61L2/10
A61L9/16
F21S2/00 230
F21V9/30
F21Y115:10
F21Y101:00 300
(21)【出願番号】P 2021078526
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】上路 啓倫
(72)【発明者】
【氏名】野村 幸二
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-181000(JP,A)
【文献】国際公開第2009/104119(WO,A2)
【文献】特開2003-062454(JP,A)
【文献】特開2016-032620(JP,A)
【文献】実開昭61-142048(JP,U)
【文献】特開2020-175258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
A61L 2/10
A61L 9/16
F21S 2/00
F21V 9/30
F21Y 115/10
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射する光源と、
前記光源を固定する本体と、
蛍光体を有するカバーと、
少なくとも二つの通風口と
、
誘導板とを含み、
前記本体と、前記カバーと、前記通風口とで外枠を形成し、その内部に前記光源を収容し、
前記通風口は、前記本体と前記カバーとの間に、一方の通風口から他方の通風口へ空気が流れる空気経路を形成し、
前記蛍光体は、入射した前記紫外線により励起され可視光を照射
し、
前記本体及び前記カバーは、長手方向と短手方向とを有する略長方形状であり、
前記誘導板は、前記空気経路を前記紫外線の照射方向に沿って複数の区画に分割したとき、前記光源が存在する区画において、前記空気経路の一部を遮断するように、前記本体及び前記カバーの両方から前記空気経路内に延出し、前記長手方向に対し垂直方向に配置される、照明装置。
【請求項2】
前記通風口は、光遮断板を含み、
前記光遮断板は、前記空気経路を前記紫外線の照射方向に沿って複数の区画に分割したとき、前記光源が存在しない区画において、前記空気経路の一部を遮断するように、前記本体及び前記カバーの少なくとも一方から前記空気
経路内に延出して配置される、請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記光遮断板は複数あり、
隣り合って配置された前記光遮断板同士は、それぞれの前記空気経路となる開口部が重複しないように配置される、請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記通風口は、吸気口と排気口とを含み、
前記吸気口と前記排気口とは、それぞれが対向して配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記通風口は、吸気口と排気口とを含み、
前記吸気口は、前記本体の一部分に配置され、
前記排気口は、少なくとも二つあり、それぞれが対向して配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
少なくとも一つの前記通風口は、ファンを含み、
前記ファンは、前記空気経路内に空気の流れを発生させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
少なくとも一つの前記通風口は、フィルターを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
さらに、リフレクタを含み、
前記リフレクタは、前記光源が照射する前記紫外線を前記蛍光体に反射するように、前記本体と前記カバーとの間に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記誘導板は、
略平板状又はゲート状である、請求項
1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記
誘導板は、
前記蛍光体を含むものである、請求項
1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウイルス性感染症の拡大防止のために、除菌・抗ウイルス等の処理の重要性が高まっている。特許文献1には、紫外線を照射して室内の細菌やウイルスを殺菌する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の室内殺菌装置は、人の身長より高い場所に設置される。しかしながら、そのような場所には、当然、照明装置も設置される。したがって、所定の空間を照らし且つ除菌・抗ウイルスの処理を施すには、特許文献1の室内殺菌装置と照明装置とをそれぞれ用意しなければならないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、所定の空間に対する除菌・抗ウイルス機能及び照明機能の双方を発揮可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の照明装置は、
紫外線を照射する光源と、
前記光源を固定する本体と、
蛍光体を有するカバーと、
少なくとも二つの通風口とを含み、
前記本体と、前記カバーと、前記通風口とで外枠を形成し、その内部に前記光源を収容し、
前記通風口は、前記本体と前記カバーとの間に、一方の通風口から他方の通風口へ空気が流れる空気経路を形成し、
前記蛍光体は、入射した前記紫外線により励起され可視光を照射する、装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の空間に対する除菌・抗ウイルス機能及び照明機能の双方を発揮可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(A)は、実施形態1における照明装置の構成の一例を示す模式図(側面図)であり、
図1(B)は、実施形態1における照明装置の構成の一例を示す横断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1における照明装置の吸気口及び排気口の配置に関するその他の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態1において、誘導版を含む照明装置の縦断面図である。
【
図4】
図4(A)は、本実施形態における照明装置による可視光の照射方向側を下に向けた側面図(縦断面図)であり、
図4(B)は、通風口の拡大図(縦断面図)である。
【
図5】
図5は、通風口と対向する面からみた光遮断板の形状の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、除菌とは、微生物を取り除いて減らすことに限らず、殺菌、抗菌、消毒、滅菌、及び静菌等を含めて、最も広義に解釈されるべきであり、如何なる意味においても限定されない。殺菌とは、微生物を死滅させることを意味する。抗菌とは、微生物の増殖を抑制することを意味する。消毒とは、ヒト等の動植物に対して病原性のある微生物を死滅させたり、病原性のある微生物の能力を減退させたりすることで、無害化させることを意味する。滅菌とは、全ての微生物を死滅させることを意味する。静菌とは、微生物の増殖を阻害あるいは阻止することを意味する。
【0010】
本発明において、「抗ウイルス」とは、ウイルスの感染力の低下、ウイルスの感染予防、ウイルスの不活性化、及びウイルスの増殖阻止等を含めて、最も広義に解釈されるべきであり、如何なる意味においても限定されない。
【0011】
本発明において、「紫外線」は、波長380~200nmの近紫外線、波長200~10nmの遠紫外線もしくは真空紫外線、波長121~10nmの極紫外線もしくは極端紫外線等を含めて、最も広義に解釈されるべきであり、如何なる意味においても限定されない。前記近紫外線は、例えば、UVA(400~315nm)、UVB(315~280nm)、UVC(280nm未満)等であってもよい。また、前記紫外線の波長は、例えば、人体への影響をより抑制する観点から、210~230、220~225nm、222nm等であってもよい。
【0012】
つぎに、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、下記の実施形態によって何ら限定および制限されない。なお、以下の図面において、同一部分には、同一符号を付している。各実施形態における説明は、それぞれ、互いを援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す部分があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0013】
[実施形態1]
図1(A)及び(B)は、本実施形態における照明装置10の構成の一例を示す模式図である。
図1(A)は、本実施形態における照明装置10による可視光の照射方向側を下に向けた側面図であり、
図1(B)は、本実施形態における照明装置10の横断面図である。本実施形態の照明装置10は、
図1(A)及び(B)に示すように、紫外線を照射する光源11と、光源11を固定する本体12と、蛍光体131を有するカバー13と、少なくとも二つの通風口14(吸気口14a、排気口14b)を含む。本装置10は、例えば、後述するように、任意の構成として、さらに、リフレクタ(図示せず)、誘導板15、光遮断板16等を含んでもよい。また、少なくとも二つの通風口14のうち、少なくとも一つ通風口14は、例えば、後述するように、任意の構成として、ファン141、フィルター142等を含んでもよい。なお、
図1に示す照明装置10の各部の形状、大きさ、数、重さ等は、一例であって、これらは任意に変更可能である。また、照明装置10の各部の材質も、特に制限されず、例えば、金属、樹脂、鉱物(雲母(マイカシート)等)等が挙げられるが、任意に変更可能である。
【0014】
本装置10は、光源11から出射された紫外線が外部に漏れないように、本体12とカバー13と通風口14とで外枠を形成し、その内部に、光源11を収容する。本装置10は、例えば、
図1に示すように、略長方形状(直管型)である。
【0015】
本装置10は、例えば、長手方向と短手方向とを有する略長方形状であってもよい。
【0016】
本装置10の設置場所及び設置対象は、特に制限されず、例えば、室内の天井や壁等に設置されてもよいし、冷蔵庫等の装置内に設置されもよい。
【0017】
光源11は、紫外線を照射可能であれば、特に制限されない。光源11は、例えば、基板に搭載された発光素子を有していてもよいし、長手方向と短手方向を有する蛍光管等であってもよい。具体的には、例えば、LED、低圧水銀ランプ、エキシマランプ等を用いることができる。光源11は、例えば、本体12の長手方向に沿って取り付けられる。以下、前記紫外線が照射される方向を、照射方向ともいう。
【0018】
本体12は、光源11を固定可能であれば、特に制限されない。光源11を固定する(取り付ける)手法は、特に制限されず、例えば、公知の技術を用いることができる。本体12は、例えば、略凹状であって、光源11をその凹みに収めるようにして固定してもよい。また、本体12は、例えば、略平板状であって、前記内部側の面に光源11を固定可能であってもよい。以下、本体12の光源11が固定されている面(すなわち、照射方向側の面)を照射面ともいう。本体12の前記照射面の反対側は、例えば、天井や壁等の設置対象に対向する設置面である。前記設置面には、例えば、前記設置対象に接する緩衝部材が配置されてもよい。前記緩衝部材は、特に制限されず、例えば、スポンジ等があげられる。このような形態によれば、本装置10を設置対象に設置した際、本装置10と前記設置対象との間に前記緩衝部材が存在するため、例えば、前記設置対象への本装置10の固定化をより安定にすることができる。
【0019】
前記緩衝部材の設置位置は、特に制限されない。前記緩衝部材は、例えば、連続して配置されてもよいし、非連続で配置されてもよい。また、本体12の前記設置面がフラットな場合、前記緩衝部材は、例えば、本体12の外周側に配置され、外観の点から、外部から見えない程度に内よりであることが好ましい。
【0020】
本体12は、例えば、その内部に、例えば、各種回路(例えば、光源11等への電力供給に関する回路、光源11の発光制御に関する回路等)、電源、電流線、天井面や壁面等へ固定するための固定具の一部等を内蔵していてもよい。
【0021】
カバー13は、蛍光体131を有する。具体的に、カバー13は、例えば、
図1に示すように、カバー13の内面(光源11による紫外線があたる面)全体に蛍光体131が塗布されていてもよいし、シート状の蛍光体131が積層されていてもよい。後者の場合、例えば、カバー13とシート状の蛍光体131とは、例えば、密接して積層されてもよいし、密接せず積層されてもよい。前記密接せず積層する場合、カバー13とシート状の蛍光体131との間には、例えば、透光性や拡散性を有する部材(例えば、アクリル樹脂等の透光性樹脂等)が介在していてもよいし、如何なる部材がなくともよい。このように、カバー13の内面に蛍光体131が存在する場合、蛍光体131は、例えば、前記紫外線を照射する光源11と対向するように配置される。また、カバー13は、例えば、蛍光体131と樹脂とを含む蛍光体樹脂であってもよい。前記樹脂の種類は、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が使用できる。前記樹脂に対する蛍光体131の割合は、特に制限されず、例えば、前記樹脂100重量部に対して、蛍光体131は、50~80重量部である。前記蛍光体樹脂は、例えば、樹脂と蛍光体131の他に、さらに他の添加剤を含んでもよく、前記添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ等があげられる。カバー13が前記蛍光体樹脂の場合は、例えば、蛍光体131と前記樹脂との混合物を、表面に供給し、固化することにより形成されてもよいし、カバー13全体が前記蛍光体樹脂により形成されてもよい。前記混合物の供給方法は、特に制限されず、塗布でもよいし、噴霧でもよい。前記固化の方法は、特に制限されず、例えば、乾燥処理等があげられる。
【0022】
蛍光体131は、入射した前記紫外線により励起され、可視光を照射する。そして、前記可視光がカバー13を透過して外部に向けて照射される。蛍光体131により、本装置10が発する可視光の色を設定できる。前記可視光は、特に制限されず、例えば、白色、単色(赤色、黄色、緑色等)等である。蛍光体131の種類等は、何ら制限されず、従来公知の蛍光体が使用でき、例えば、Y3Al5O12:Ce、Tb3Al5O12:Ce、Ca10(PO4)6FCl:Sb,Mn、Y2O3:Eu、LaPO4:Ce,Tb、CeMgAl11O19:Tb、BaMg2Al16O27:Eu等があげられる。
【0023】
カバー13は、例えば、光源11による前記紫外線の照射方向に配置される。カバー13は、例えば、光源11の長手方向を覆える形状である。具体的には、例えば、
図1に示すように、長手方向と短手方向とを有し、その断面が略凹状、略円弧状、等であってもよい。これにより、光源11は、本体12とカバー13との間の空間に収容される。カバー13は、内面(例えば、蛍光体131が存在する面)が光源11に対向し、外面が照射面となる。カバー13の部材は、例えば、透光性を有し、また、さらに拡散性を有する部材があげられ、具体例としては、アクリル樹脂等の透光性樹脂等があげられる。
【0024】
通風口14は、例えば、少なくとも一つの吸気口14aと、少なくとも一つの排気口14bとを含む。通風口14は、本体12とカバー13との間に、一方の通風口14(吸気口14a)から他方の通風口14(排気口14b)へ空気が流れる空気経路
(「空気流路」ともいう。)を形成する。
図1において、前記空気経路を一点鎖線にて示す。
図1では、吸気口14aと排気口14bとが本装置10の端部にそれぞれ対向して配置され、前記空気経路が直線状に形成される。
図2に、吸気口14a及び排気口14bの配置に関するその他の一例を示す。
図2では、吸気口14aが、本体12の一部分(例えば、中央部等)に設けられ、2つの排気口14bが本装置10の端部にそれぞれ配置されている。この場合、前記空気経路は、
図2に示すように、T字状に形成される。なお、
図1及び
図2に示す吸気口14a及び排気口14bの配置と、前記空気経路とは、一例であって、これに限定されない。
【0025】
図4(A)及び(B)は、本実施形態における照明装置10のその他の構成の一例を示す模式図である。
図4(A)は、本実施形態における照明装置10による可視光の照射方向側を下に向けた側面図(縦断面図)であり、
図4(B)は、通風口14の拡大図(縦断面図)である。通風口14の構造は、特に制限されず、例えば、
図4に示すように、光遮断板16を含んでもよい。光遮断板16は、
図4に示すように、前記空気経路を前記紫外線の照射方向に沿って複数の区画に分割したとき(前記区画を
図4において破線にて示す)、前記光源が存在しない区画(区画B)において、前記空気経路の一部を遮断するように、本体12及びカバー13の少なくとも一方から前記空気流路内に延出して配置される。「前記空気経路の一部」とは、例えば、光遮断板16が存在しない前記空気経路の前記照射方向の断面を100%としたときに、前記空気経路の70%、50%、30%等の範囲であるが、これに限定されない。なお、前記区画の数や幅は、特に制限されず、その幅は、均等であってもよいし非均等であってもよい。
図5に、通風口14と対向する面からみた光遮断板16の形状の一例を示す。光遮断板16は、例えば、
図5(A)に示すように略平板状であってもよいし、
図5(B)に示すようにゲート状であってもよい。
図5において、前記空気経路となる開口部(すなわち、光遮断板16によって遮断されない前記空気経路)を長破線にて示す。
【0026】
光遮断板16は、例えば、蛍光体131を含んでもよい。具体的には、前記空気流路と接する面に蛍光体131が塗布されていてもよいし、シート状の蛍光体131が積層されていてもよい。また、前述のように、光遮断板16は、例えば、蛍光体131と樹脂とを含む蛍光体樹脂であってもよい。
【0027】
光遮断板16は、例えば、1つでもよいし、複数あってもよい。光遮断板16が複数の場合、例えば、
図5(A)に示す略平板状の光遮断板16のみを用いてもよいし、
図5(B)に示すゲート状の光遮断板16のみを用いてもよいし、これらを含む複数の形状の光遮断板16を組み合わせで用いてもよい。光遮断板16が複数の場合、隣り合って配置された光遮断板16同士は、例えば、それぞれの前記開口部が重複しないように配置される。前記開口部が重複しないように配置するためには、例えば、
図4に示すように、
図5(A)に示す略平板状の光遮断板16を用いて、本体12から延出する光遮断板16と、カバー13から延出する光遮断板16とが互い違いになるように配置してもよい。また、前記開口部が重複しないように配置するためには、例えば、本体12から延出する
図5(A)に示す略平板状の光遮断板16と、本体12から延出する
図5(B)に示すゲート状の光遮断板16とを交互に配置してもよい(例えば、ゲート状の光遮断板16における通風口側にある脚部が本体12と係合する)。各光遮断板16の配置間隔は、特に制限されず、例えば、5~10mm程度である。本装置10は、例えば、各光遮断板16の配置間隔を後述の各誘導板15の配置間隔よりも狭くすることで、前記紫外線の漏洩抑制に優れる。なお、これらは例示であって、これらに限定されない。
【0028】
光遮断板16によれば、前記空気の吸気及び排気を可能にしつつ、通風口14を通って本装置10外に紫外線が漏洩することをより抑制可能である。これにより、例えば、紫外線が目に入る、肌にあたる等のリスクを抑制でき、本装置10をより安全に使用できる。
【0029】
本体12と通風口14とは、例えば、一体成形品であってもよいし、それぞれが独立した部材であってもよい。
【0030】
本装置10は、例えば、長手方向が直立した縦形状にて設置されることで、前記空気が自然対流等によって前記空気経路を通って本装置10外に排気される。一方で、少なくとも一つの通風口14は、例えば、
図4に示すように、ファン141を含んでもよい。ファン141は、前記空気経路内に空気の流れを発生させる。具体的には、例えば、ファン141により前記空気が吸気され、ファン141により前記空気が本装置10外に排気される。ファン141は、例えば、本体12内の前記各回路や前記電源を介して、動作してもよい。
【0031】
また、少なくとも一つの通風口14は、例えば、フィルター142を含んでもよい。フィルター142としては、従来公知のフィルターが使用でき、例えば、不織布、金属メッシュ、樹脂メッシュ等があげられる。通風口14がフィルター142を含むことで、例えば、空気中の塵や花粉等を吸着可能であり、空気を清浄することができる。
【0032】
本装置10は、例えば、さらに、リフレクタを含んでもよい。前記リフレクタは、本装置10の内部に配置される。具体的には、光源11が照射する前記紫外線を蛍光体131に反射するように本体12とカバー13との間に配置される。前記リフレクタの形状は、特に制限されない。前記リフレクタは、例えば、通風口14の内面や本体12の光源11が固定されている面、光遮断板16、後述の誘導板15等の一部分又は全体に積層するように配置されていてもよいし、前記空気経路中に延出して配置されていてもよい。前記リフレクタの形成材料は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、マグネシウム、およびそれらの合金等の金属;PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂等があげられる。前記リフレクタは、例えば、その反射面に高反射加工を施すことで、反射効率をより向上させたものを用いてもよい。前記高反射加工は、例えば、メッキ、高反射塗料の塗布等である。
【0033】
本装置10は、例えば、さらに、誘導板15を含んでもよい。
図3に、誘導板15を含む照明装置10の縦断面図を示す。誘導板15は、図示するように、前記空気経路を前記紫外線の照射方向に沿って複数の区画に分割したとき(前記区画を
図3において破線にて示す)、光源11が存在する区画(区画A)において、前記空気経路の一部を遮断するように、本体12及びカバー13の少なくとも一方から前記空気流路内に延出して配置される。前記区画及び「前記空気経路の一部」は、前述の記載を援用できる。誘導板15は、例えば、光遮断板16と同様に、略平板状であってもよいし、ゲート状であってもよい。
【0034】
誘導板15は、例えば、蛍光体131を含んでもよい。具体的には、前記空気流路と接する面に蛍光体131が塗布されていてもよいし、シート状の蛍光体131が積層されていてもよい。また、前述のように、誘導板15は、例えば、蛍光体131と樹脂とを含む蛍光体樹脂であってもよい。
【0035】
誘導板15は、1つでもよいし、図示するように、複数あってもよい。誘導板15が複数の場合、例えば、前記略平板状の誘導板15のみを用いてもよいし、前記ゲート状の誘導板15のみを用いてもよいし、これらを含む複数の形状の誘導板15を組み合わせで用いてもよい。誘導板15が複数の場合、隣り合って配置された誘導板15同士は、例えば、それぞれの開口部(誘導板15によって遮断されていない前記空気経路)が重複しないように配置される。前記開口部が重複しないように配置するためには、例えば、
図3に示すように、前記略平板状の誘導板15を用いて、本体12から延出する誘導板15と、カバー13から延出する誘導板15とが互い違いになるように配置してもよい。また、前記開口部が重複しないように配置するためには、例えば、本体12から延出する前記略平板状の誘導板15と、本体12から延出する前記ゲート状の誘導板15とを交互に配置してもよい(例えば、ゲート状の誘導板15における通風口側にある脚部が本体12と係合する)。各誘導板15の配置間隔は、特に制限されず、例えば、5~10mmである。本装置10は、例えば、各誘導板15の配置間隔を後述の各光遮断板16の配置間隔よりも広くすることで、前記空気の流動性に優れる。なお、これらは例示であって、これらに限定されない。
【0036】
誘導板15によれば、排出口14bに向かう空気の流れを誘導でき、前記空気が前記空気経路を通過する距離を長くすることができる。これにより、空気に対して紫外線による除菌・抗ウイルス等の処理をより効率的に施すことができる。
【0037】
誘導板15と光遮断板16とは、例えば、配置場所以外の構成(厚み、高さ、材質等)が同一であってもよい。
【0038】
本装置10は、例えば、本体12内の電源に代えて、または加えて、電源コードを介して外部電源から電力の供給を受けてもよい。
【0039】
本装置10によれば、前記紫外線により前記空気経路内の空気に対して除菌・抗ウイルス等の処理を施し、且つ入射した前記紫外線により蛍光体131が励起されて可視光、すなわち、照明光を照射する。このため、本装置10によれば、室内殺菌装置と照明装置とをそれぞれ用意することなく、1つの装置で所定の空間に対する除菌・抗ウイルス機能及び照明機能の双方を発揮することができる。また、1つの装置で前記双方を発揮可能であることから、広い設置スペースを確保する必要がなく、施工性及びメンテナンス性に優れる。さらに、本装置10によれば、自動で紫外線による除菌・抗ウイルス等の処理を施すことができるため、作業者の時間と労力等を節約可能である。
【0040】
紫外線は、人体に有害であることが知られているが、前述のように、本装置10は、光源11から出射された紫外線が外部に漏れないように、本体12とカバー13と通風口14とで外枠を形成しているため、安全に使用できる。
【0041】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、所定の空間に対する除菌・抗ウイルス機能及び照明機能の双方を発揮可能な照明装置を提供することができる。本発明は、例えば、所定の空間に対して除菌・抗ウイルス等の処理を施す場合において有用である。
【0043】
10 照明装置
11 光源
12 本体
13 カバー
131 蛍光体
14 通風口
14a 吸気口
14b 排気口
141 ファン
142 フィルター
15 誘導板
16 光遮断板