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  • 特許-落し蓋掛け既設側溝の維持修繕工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】落し蓋掛け既設側溝の維持修繕工法
(51)【国際特許分類】
   E03F 7/00 20060101AFI20240919BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
E03F7/00
E03F5/04 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021171238
(22)【出願日】2021-09-21
(65)【公開番号】P2023046176
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593199747
【氏名又は名称】矢作コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186026
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 研自
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】矢作 保
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-011762(JP,A)
【文献】特開2015-108217(JP,A)
【文献】実開昭57-066085(JP,U)
【文献】特開昭54-091916(JP,A)
【文献】特開2018-150700(JP,A)
【文献】特開昭60-109467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0263381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 7/00
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設側溝の維持修繕における落し蓋入替え設置において、
蓋版と蓋受けの間隙で生ずるがたつき解消のため、V形クリップを上開きに装着し、無収縮モルタルで固定する工法であって、
短冊状鋼板を二ツ折りで装填予定間隙より大きく開いたV形クリップを用い、打込みヘラを前記V形クリップに挟み、間隙内底に着地し、両壁に内接するくさび状に縮小した三ヶ所の接触が保持されると同時にヘラを引抜いて、上方から無収縮モルタルを充填してなり、
前記V形クリップの装着作業は簡便で、無収縮モルタル充填量不足も生じにくい密実な間隙充填によって固定蓋となりボックス構造が形成されることを特徴とする落し蓋掛け既設側溝の維持修繕長寿命化工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路の路肩や歩道の境界排水に使用する落し蓋掛け側溝のメンテナンス工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、側溝は、路肩や歩道内に設置し、蓋掛け上面が露出するので、経年によって蓋と蓋受けの間隙部分でがたつきが生じ、騒音対策、破損修繕などのほか、交通安全上においても問題が生じてくる。
【0003】
既設側溝のリニューアル工法として、側溝上部をカッターを用いて内側から切断除去した後にプレキャストコンクリート製の蓋を設置し、本体部修復、アンカー筋挿入、モルタル充填仕上する大掛りな工事となるなどメンテナンス目的にもかかわらず新設工事に近い工事期間とリニューアル工事金額を投ずるものとなっている。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【文献】特許第3784820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既設側溝維持修繕における落し蓋入替え設置では、蓋と蓋受けの間隙で生ずるがたつきを解消するために、無収縮モルタル充填やエポキシ樹脂等による接着によっているが、充填量が小量止りで空隙が残り、効果が期待されにくい事例が少なからず発生している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の落し蓋掛け側溝の維持修繕において、安価迅速にメンテナンスの目的を達成するために、間隙充填に先行し、V形固定補助クリップと専用打ち込み挿入ヘラとを用い、上端をハンマーで叩き打ち込んで、側面とくさび状に接触固定したのち、無収縮モルタルを蓋と蓋受け間隙への充填とする。
【0007】
固定用V形クリップ、専用打ち込みヘラは、鋼板片の加工品として、いつでも安価に調達することが出来る。
【0008】
小さなV形クリップを上開きに装着する作業は容易であり、無収縮モルタルは充填量の不足も生じさせにくい密実なものとなる。
【発明の効果】
【0009】
既設側溝のがたつきを安価容易に解消でき、蓋と蓋受けの間隙へのV形クリップのくさび状設置と無収縮モルタルの充填による埋設によって固定蓋となって一体化し、ボックス構造となり、安定化する。
【0010】
スリット蓋掛側溝においても、上面排水落下機能を維持したまま固定一体化によって安定構造となる。
【0011】
新設側溝の場合においても、蓋掛けに先行し、側溝内底の排水勾配を調整してのち、蓋設置、間隙充填によって固定蓋ボックス構造を形成することもできる。
【0012】
側溝本体上部をカッターで内側から切断除去してのち、蓋を設置し、本体部修復、アンカー筋挿入、モルタル充填仕上げなど、大掛りなリニューアル工事まで予定することなく、安価迅速にメンテナンス長寿命化を図るものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 蓋と蓋受け間隙の内底に着地し、V形クリップの開きを縮小内接して、くさび状に固定してのち、無収縮モルタルを充填した落し蓋掛け側溝の実施例を示す切欠斜面図である。
図2図1のA~A線にそった断面図である。
図3】 V形クリップの斜面図である。
図4】 打ち込みヘラの斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
落し蓋U形側溝は、おおむね通水断面が内幅30cm~40cm、内高10cm刻みで30~120cm、長さは1m、2m等とするプレキャストコンクリートで供給され、基礎上に路面を天端高として布設する。
自由勾配施工では、内底に調整コンクリート打ちとしている。
【0015】
上面の蓋版は、厚さ9cm~12cm、長さは1m、2m等とし、必要に応じ10mm~15mm幅スリット付きとするプレキャストコンクリートで供給され、側溝本体蓋受部内に片側5mm~6mmの間隔で落し蓋として収納設置する。
【0016】
V形クリップは、単冊状鋼板を二ツ折りで、側溝と蓋版との間隙よりプラス10mm程度大きく開き、くさび状に形成した鋼板製品にて供給される。
鋼板厚は、1.6mm、くさび幅15mm~40mm、高さは側溝蓋受深さに埋設できる範囲内60mm~80mmとする。
打ち込みヘラは、V形クリップを打撃打込みする材質寸法のハイテン鋼板片製品にて、V形クリップの二ツ折り内に挟み、打込んで、側溝と蓋版の間隙内底に着地し、V形クリップの開きを縮小し、間隙に三ヶ所内接するくさび状を保持したまま、引抜く工具に用いる。
【0017】
V形クリップの設置は、蓋版長さ1m当り片側2~3ヶ所配設固定したのち上方から無収縮モルタルの密実な間隙充填によって埋設される。
【実施例
【0018】
図1に落し蓋側溝(5)と蓋版(10)の間隙(15)にV形クリップ(1)、打ち込みヘラ(2)を用いて内接設置してのち、無収縮モルタル(3)を充填した側溝の実施例を示す。
図1の実施例は図2にも示すとおり、舗装道路の路肩(16)で段差のない歩道(17)との境界排水落し蓋掛け側溝の維持長寿命化工事に係り、蓋版(10)はスリット(12)付きで、側溝内底に調整コンクリート(20)を施した自由勾配スリット排水ボックス構造が形成されている。
蓋版の固定化において、間隙(15)内にV形クリップ(1)を打ち込みヘラ(2)の打撃組込みと、くさび状が保たれたのちの引抜きによって設置介在したV形クリップが、間隙(15)内で充填無収縮モルタル(3)に埋没一体化している。
【0019】
図3図1に示す実施例におけるV形クリップ(1)の斜面図である。
この実施例では、蓋と蓋受けの間隔5mm~6mm深さ95mmに埋設する1.6mm厚、単冊状鋼板片の二ツ折V形、幅15mm高さ70mmモルタル貫通孔内径8×20mmで、蓋版長1mの一辺当り1~3ヶ所設置している。
図4は打ち込みヘラ(2)の斜面図である。
この実施例では、V形クリップ(1)と同じ1.6mm厚で、幅60mm高さ100mmとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、従来の一般流通落し蓋U形および門形側溝に適用でき、普及面での制約は生じない。
【符号の説明】
【0021】
1 V形クリップ
2 打ち込みヘラ
3 無収縮モルタル
5 落し蓋側溝
8 主舗装
9 上面舗装
10 蓋版
12 スリット
13 モルタル貫通孔
15 間隙
16 路肩
17 歩道
20 調整コンクリート
25 基礎材
図1
図2
図3
図4