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特許7557224サービス利用管理システム、サービス利用管理方法及びサービス利用管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】サービス利用管理システム、サービス利用管理方法及びサービス利用管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240919BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023144306
(22)【出願日】2023-09-06
【審査請求日】2023-09-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519344969
【氏名又は名称】株式会社PocketRD
(74)【代理人】
【識別番号】230112911
【弁護士】
【氏名又は名称】三和 圭二郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】籾倉 宏哉
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256062(JP,A)
【文献】特開2011-258112(JP,A)
【文献】特開2003-208381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0250290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して提供される複数のサービスに対する、複数のユーザーによる利用態様を管理するサービス利用管理システムであって、
前記複数のサービスの各々の利用に必要な資源に関する情報である資源情報を保存する利用資源保存手段と、
前記サービスにおける、ユーザーの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるサービス制限情報を入力するサービス制限情報入力手段と、
前記ユーザーにおける、サービスの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるユーザー制限情報を入力するユーザー制限情報入力手段と、
前記サービスと対応関係にある非代替性トークンであるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記サービス制限情報を含む第1のトランザクション情報を生成する第1のトランザクション生成手段と、
前記ユーザーと対応関係にある非代替トークンであるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記ユーザー制限情報を含む第2のトランザクション情報を生成する第2のトランザクション生成手段と、
前記第1のトランザクション情報を前記第1の分散型ネットワークに対し出力するよう指示し、前記第2のトランザクション情報を前記第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示手段と、
所定のユーザーに関する所定のサービスの利用要請に基づき、当該所定のサービスと対応関係にあるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のユーザーの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するサービス制限取得手段と、
前記利用要請に基づき、前記所定のユーザーと対応関係にあるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のサービスの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するユーザー制限取得手段と、
前記サービス制限取得手段及び前記ユーザー制限取得手段が取得した情報に基づき、前記所定のサービスにおける前記所定のユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定手段と、
前記利用範囲判定手段の判定結果に応じた利用に必要な前記資源情報を出力するよう前記利用資源保存手段を制御する資源出力制御手段と、
を備えたことを特徴とするサービス利用管理システム。
【請求項2】
前記利用要請には、前記所定のユーザー及び前記所定のサービスに関する情報に加え、前記所定のユーザーが前記所定のサービスにて希望する利用内容に関する情報が含まれ、
前記利用範囲判定手段は、前記利用内容に関する情報のうち、前記サービス制限取得手段及び前記ユーザー制限取得手段が取得した利用制限内容に関する情報に抵触しない部分を利用可能範囲と判定することを特徴とする請求項1記載のサービス利用管理システム。
【請求項3】
ネットワークを介して提供される複数のサービスに対する、複数のユーザーによる利用態様をコンピュータソフトウェアの情報処理によって管理するサービス利用管理方法であって、
前記複数のサービスの各々の利用に必要な資源に関する情報である資源情報を保存する利用資源保存ステップと、
前記サービスにおける、ユーザーの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるサービス制限情報を入力するサービス制限情報入力ステップと、
前記ユーザーにおける、サービスの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるユーザー制限情報を入力するユーザー制限情報入力ステップと、
前記サービスと対応関係にある非代替性トークンであるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記サービス制限情報を含む第1のトランザクション情報を生成する第1のトランザクション生成ステップと、
前記ユーザーと対応関係にある非代替トークンであるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記ユーザー制限情報を含む第2のトランザクション情報を生成する第2のトランザクション生成ステップと、
前記第1のトランザクション情報を前記第1の分散型ネットワークに対し出力するよう指示し、前記第2のトランザクション情報を前記第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示ステップと、
所定のユーザーに関する所定のサービスの利用要請に基づき、当該所定のサービスと対応関係にあるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のユーザーの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するサービス制限取得ステップと、
前記利用要請に基づき、前記所定のユーザーと対応関係にあるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のサービスの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するユーザー制限取得ステップと、
前記サービス制限取得ステップ及び前記ユーザー制限取得ステップにて取得した情報に基づき、前記所定のサービスにおける前記所定のユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定ステップと、
前記利用範囲判定ステップにおける判定結果に応じた利用に必要な前記資源情報を出力するよう前記利用資源保存ステップを制御する資源出力制御ステップと、
を含むことを特徴とするサービス利用管理方法。
【請求項4】
前記利用要請には、前記所定のユーザー及び前記所定のサービスに関する情報に加え、前記所定のユーザーが前記所定のサービスにて希望する利用内容に関する情報が含まれ、
前記利用範囲判定ステップにおいて、前記利用内容に関する情報のうち、前記サービス制限取得ステップ及び前記ユーザー制限取得ステップが取得した利用制限内容に関する情報に抵触しない部分を利用可能範囲と判定することを特徴とする請求項3記載のサービス利用管理方法。
【請求項5】
ネットワークを介して提供される複数のサービスに対する、複数のユーザーによる利用態様を管理するサービス利用管理をコンピュータに行わせるサービス利用管理プログラムであって、
前記コンピュータに対し、
前記複数のサービスの各々の利用に必要な資源に関する情報である資源情報を保存する利用資源保存機能と、
前記サービスにおける、ユーザーの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるサービス制限情報を入力するサービス制限情報入力機能と、
前記ユーザーにおける、サービスの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるユーザー制限情報を入力するユーザー制限情報入力機能と、
前記サービスと対応関係にある非代替性トークンであるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記サービス制限情報を含む第1のトランザクション情報を生成する第1のトランザクション生成機能と、
前記ユーザーと対応関係にある非代替トークンであるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記ユーザー制限情報を含む第2のトランザクション情報を生成する第2のトランザクション生成機能と、
前記第1のトランザクション情報を前記第1の分散型ネットワークに対し出力するよう指示し、前記第2のトランザクション情報を前記第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示機能と、
所定のユーザーに関する所定のサービスの利用要請に基づき、当該所定のサービスと対応関係にあるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のユーザーの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するサービス制限取得機能と、
前記利用要請に基づき、前記所定のユーザーと対応関係にあるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のサービスの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するユーザー制限取得機能と、
前記サービス制限取得機能及び前記ユーザー制限取得機能にて取得した情報に基づき、前記所定のサービスにおける前記所定のユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定機能と、
前記利用範囲判定機能による判定結果に応じた利用に必要な前記資源情報を出力するよう前記利用資源保存機能を制御する資源出力制御機能と、
を実行させることを特徴とするサービス利用管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して複数のユーザーが利用するサービスの利用態様について管理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で様々なサービスが展開され、多数のユーザーによって利用されている。最もシンプルな形態のサービスであれば全てのユーザーに対し同一のサービスを提供するところ、サービスによっては課金の有無、年齢の高低等によって提供サービスの内容を変更することがある。動画配信サービスを例にとると、無課金ユーザーは公開開始から一定の時間が経過した古い動画のみ閲覧できる一方課金ユーザーは最新の動画も閲覧できるとか、低年齢のユーザーは暴力シーンが含まれる動画を閲覧できないようにするといった具合である。
【0003】
このようにユーザーごとに異なる態様にてサービスを利用する場合、サービス提供事業者は、予め利用登録の際に各ユーザーの特性(課金・非課金の別、年齢等)の情報を取得すると共に、サービス利用時に所定の特性を有するユーザー本人であることの確認処理を行った上で、特性に合わせたサービス提供が行われている。たとえば、特許文献1にはインターネット上のサービスを利用する際に本人認証を行う技術について開示され、特許文献2には本人の属性情報を認証する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-068779号公報
【文献】特開2009-163706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、極めて多数のユーザーについて逐一上記のような取扱いを行うことは、サービス提供者にとって煩雑である。また、ユーザーが営利企業、非営利組織、家族等の集団に属する場合は、たとえば営利企業に所属するユーザーについては勤務時間中に業務と無関係のサービス利用を禁止したり、家族の一員であるユーザーについては教育方針により動画サービスの利用を1日あたり1時間に制限したりすることがあるが、サービス提供者はそのような制限について把握することはできず、当該制限を遵守しているか否かは各ユーザーの良識及び集団自体の監督に依存せざるを得ないのが現状である。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ネットワークを介して複数のユーザーが利用するサービスの利用につき、サービス提供者による制限及びユーザーの所属集団による制限に沿った利用態様にてユーザーが利用できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1にかかるサービス利用管理システムは、ネットワークを介して提供される複数のサービスに対する、複数のユーザーによる利用態様を管理するサービス利用管理システムであって、前記複数のサービスの各々の利用に必要な資源に関する情報である資源情報を保存する利用資源保存手段と、前記サービスにおける、ユーザーの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるサービス制限情報を入力するサービス制限情報入力手段と、前記ユーザーにおける、サービスの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるユーザー制限情報を入力するユーザー制限情報入力手段と、前記サービスと対応関係にある非代替性トークンであるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記サービス制限情報を含む第1のトランザクション情報を生成する第1のトランザクション生成手段と、前記ユーザーと対応関係にある非代替トークンであるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記ユーザー制限情報を含む第2のトランザクション情報を生成する第2のトランザクション生成手段と、前記第1のトランザクション情報を前記第1の分散型ネットワークに対し出力するよう指示し、前記第2のトランザクション情報を前記第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示手段と、所定のユーザーに関する所定のサービスの利用要請に基づき、当該所定のサービスと対応関係にあるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のユーザーの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するサービス制限取得手段と、前記利用要請に基づき、前記所定のユーザーと対応関係にあるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のサービスの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するユーザー制限取得手段と、前記サービス制限取得手段及び前記ユーザー制限取得手段が取得した情報に基づき、前記所定のサービスにおける前記所定のユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定手段と、前記利用範囲判定手段の判定結果に応じた利用に必要な前記資源情報を出力するよう前記利用資源保存手段を制御する資源出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかるサービス利用管理システムは、上記の発明において、前記利用要請には、前記所定のユーザー及び前記所定のサービスに関する情報に加え、前記所定のユーザーが前記所定のサービスにて希望する利用内容に関する情報が含まれ、前記利用範囲判定手段は、前記利用内容に関する情報のうち、前記サービス制限取得手段及び前記ユーザー制限取得手段が取得した利用制限内容に関する情報に抵触しない部分を利用可能範囲と判定することを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかるサービス利用管理方法は、ネットワークを介して提供される複数のサービスに対する、複数のユーザーによる利用態様を管理するサービス利用管理方法であって、前記複数のサービスの各々の利用に必要な資源に関する情報である資源情報を保存する利用資源保存ステップと、前記サービスにおける、ユーザーの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるサービス制限情報を入力するサービス制限情報入力ステップと、前記ユーザーにおける、サービスの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるユーザー制限情報を入力するユーザー制限情報入力ステップと、前記サービスと対応関係にある非代替性トークンであるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記サービス制限情報を含む第1のトランザクション情報を生成する第1のトランザクション生成ステップと、前記ユーザーと対応関係にある非代替トークンであるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記ユーザー制限情報を含む第2のトランザクション情報を生成する第2のトランザクション生成ステップと、前記第1のトランザクション情報を前記第1の分散型ネットワークに対し出力するよう指示し、前記第2のトランザクション情報を前記第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示ステップと、所定のユーザーに関する所定のサービスの利用要請に基づき、当該所定のサービスと対応関係にあるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のユーザーの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するサービス制限取得ステップと、前記利用要請に基づき、前記所定のユーザーと対応関係にあるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のサービスの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するユーザー制限取得ステップと、前記サービス制限取得ステップ及び前記ユーザー制限取得ステップにて取得した情報に基づき、前記所定のサービスにおける前記所定のユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定ステップと、前記利用範囲判定ステップにおける判定結果に応じた利用に必要な前記資源情報を出力するよう前記利用資源保存ステップを制御する資源出力制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかるサービス利用管理方法は、上記の発明において、前記利用要請には、前記所定のユーザー及び前記所定のサービスに関する情報に加え、前記所定のユーザーが前記所定のサービスにて希望する利用内容に関する情報が含まれ、前記利用範囲判定ステップにおいて、前記利用内容に関する情報のうち、前記サービス制限取得ステップ及び前記ユーザー制限取得ステップが取得した利用制限内容に関する情報に抵触しない部分を利用可能範囲と判定することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、請求項にかかるサービス利用管理プログラムは、ネットワークを介して提供される複数のサービスに対する、複数のユーザーによる利用態様を管理するサービス利用管理をコンピュータに行わせるサービス利用管理プログラムであって、前記コンピュータに対し、前記複数のサービスの各々の利用に必要な資源に関する情報である資源情報を保存する利用資源保存機能と、前記サービスにおける、ユーザーの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるサービス制限情報を入力するサービス制限情報入力機能と、前記ユーザーにおける、サービスの属性に応じた利用制限内容を含む情報であるユーザー制限情報を入力するユーザー制限情報入力機能と、前記サービスと対応関係にある非代替性トークンであるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記サービス制限情報を含む第1のトランザクション情報を生成する第1のトランザクション生成機能と、前記ユーザーと対応関係にある非代替トークンであるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録される、前記ユーザー制限情報を含む第2のトランザクション情報を生成する第2のトランザクション生成機能と、前記第1のトランザクション情報を前記第1の分散型ネットワークに対し出力するよう指示し、前記第2のトランザクション情報を前記第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示機能と、所定のユーザーに関する所定のサービスの利用要請に基づき、当該所定のサービスと対応関係にあるサービストークンに対応した第1の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のユーザーの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するサービス制限取得機能と、前記利用要請に基づき、前記所定のユーザーと対応関係にあるユーザートークンに対応した第2の分散型ネットワーク上の分散型台帳に記録された情報のうち、前記所定のサービスの属性に応じた利用制限内容に関する情報を取得するユーザー制限取得機能と、前記サービス制限取得機能及び前記ユーザー制限取得機能にて取得した情報に基づき、前記所定のサービスにおける前記所定のユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定機能と、前記利用範囲判定機能による判定結果に応じた利用に必要な前記資源情報を出力するよう前記利用資源保存機能を制御する資源出力制御機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネットワークを介して複数のユーザーが利用するサービスの利用につき、サービス提供者による制限及びユーザーの所属集団による制限に沿った利用態様にてユーザーが利用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1にかかるサービス利用管理システムの構成を示す模式図である。
図2】実施の形態1にかかるサービス利用管理システムにおける利用要請に対する利用範囲判定処理を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかるサービス利用管理システムの構成を示す模式図である。
図4】実施の形態2にかかるサービス利用管理システムにおける利用要請に対する利用範囲判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施の形態においては、本発明の実施の形態として最も適切と考えられる例について記載するものであり、当然のことながら、本発明の内容を本実施の形態にて示された具体例に限定して解すべきではない。同様の作用・効果を奏する構成であれば、実施の形態にて示す具体的構成以外のものであっても、本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
【0016】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかるサービス利用管理システムについて説明する。図1に示すとおり、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムは、サービスの利用に関する一般的な制限情報であるサービス制限情報を入力するためのサービス制限情報入力部1と、個々のユーザーに関するサービスの利用制限に関する情報であるユーザー制限情報を入力するためのユーザー制限情報入力部2と、個々のサービスに対応した非代替性トークンであるサービストークンを生成するサービストークン生成部3と、個々のユーザーに対応した代替性トークンであるユーザートークンを生成するユーザートークン生成部4と、サービス制限情報に基づきサービストークンに対応した分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションであるサービス制限トランザクションを生成するサービス制限トランザクション生成部5と、ユーザー制限情報に基づきユーザートークンに対応した分散型台帳内のブロックに格納されるトランザクションであるユーザー制限トランザクションを生成するユーザー制限トランザクション生成部6と、サービス制限トランザクションとユーザー制限トランザクションに含まれる情報の生成・出力がサービストークン・ユーザートークンの保有者の意向に沿ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する電子署名生成部7と、サービストークン・ユーザートークンと電子署名をそれぞれ組み合わせたものを、サービストークン・ユーザートークンのそれぞれと関連付けられた分散型ネットワークに対し出力するよう指示する出力指示部8と、サービスの利用に必要な資源情報を保存する利用資源保存部9と、ユーザーによるサービス利用要請情報を受信する利用要請受信部10と、利用要請にかかるユーザー及びサービスを特定するサービス特定部11と、利用要請の対象となるサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれるサービス制限情報の内容を取得するサービス制限取得部12と、利用要請を行ったユーザーに関するユーザートークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれるユーザー制限情報の内容を取得するユーザー制限取得部13と、取得したサービス制限情報及びユーザー制限情報に基づき、当該サービスに関する当該ユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定部14と、利用範囲判定部14の判定結果に基づき利用資源保存部9に保存した資源情報の入出力を制御する資源入出力制御部15とを備える。
【0017】
サービス制限情報入力部1は、特定のサービスの利用に関する一般的な制限に関する情報であるサービス制限情報を入力するためのものである。サービス制限情報とは、サービスを特定する情報と、利用制限されるユーザーの属性に関する情報と、利用制限の具体的内容に関する情報を含むものであり、たとえば、Aというサービスに関して、一定の年齢以下という属性を有するユーザーはサービスの利用が(一部)禁止されること、課金額という属性に応じて利用できるサービスが異なること、社会的身分という属性に関しユーザーが学生である場合は非課金でも全サービスが利用できること、過去に当該サービスの利用時に警告を受けたという属性があるユーザーは一定期間全サービスを利用できないこと、等の情報によってサービス制限情報は構成される。ここで「ユーザーの属性」は、性別、人種、国籍、年齢、学歴、職歴、家族構成等の一般的な属性の他、当該サービスとの関係における属性、たとえば当該サービスの利用頻度、アカウントの種別、課金の有無及び課金している場合は課金額、サービス利用時の問題行動の有無等も含むものとする。また、本実施の形態において「ユーザーの属性」は全ユーザーの一部のみがそなえる特質に限定されず、たとえば、全てのユーザー又は個々の特定ユーザーを対象とした利用制限について記述する情報でもよい。また、利用制限の具体的内容に関しては、全サービスに関する利用の可否のみならず、一部サービスに関する利用の可否や、利用時間の制限さらには利用場所の制限等であってもよい。
【0018】
ユーザー制限情報入力部2は、特定のユーザーに関する一定の属性を有するサービスの利用制限に関する情報であるユーザー制限情報を入力するためのものである。ユーザー制限情報とは、ユーザーを特定する情報と、制限対象となるサービスの属性に関する情報と、利用制限の具体的内容に関する情報を含むものであり、たとえば、Bという特定のユーザーに関して、ゲームを提供するという属性のサービスの利用を午後8時から翌朝午前7時まで禁止する、学習支援という属性のサービスの利用を1日あたり3時間までとする、業務活動を支援するという属性のサービスの利用を午前9時から正午まで及び午後1時から午後6時までとする、動画提供という属性のサービスに関して性的描写を含む動画の閲覧を禁止する、オンラインバンキングという属性のサービスに関して1日あたりの資金移動額を一定額以下に制限する、等の情報によってユーザー制限情報は構成される。ここで「サービスの属性」とはサービスの目的・種別に基づく分類やサービス提供を行う者に関する属性を含むものとする。また、本実施の形態において「サービスの属性」は全サービスのうち一部のみが具備する特徴のみに限定されず、たとえば全てのサービス又は特定のサービスを対象とした利用制限について記述する情報でもよい。さらに、利用制限の具体的内容に関しては、所定の属性を有するサービスにて提供される全サービスに関する利用の可否のみならず、一部サービスのみの利用可否、利用時間又は利用時間帯に関する制限等であってもよい。
【0019】
サービストークン生成部3及びユーザートークン生成部4は、個々のサービス又は個々のユーザーと1対1の対応関係にある非代替性トークンであるサービストークン・ユーザートークンを生成するためのものである。「非代替性トークン」とはいわゆるNFT(Non-Fungible Token)、すなわち固有のデータを備えることで他のトークンと代替不能な性質を有するトークンを意味し、たとえばEthereum(登録商標)の規格であるERC721に基づいて発行されるものである。本実施の形態におけるサービストークン及びユーザートークンは、ERC721又はその他の所定の規格に基づき発行されるものであり、対応する各トークンについて生成された情報であるトランザクションがブロックチェーン上に保存される構成となっている。
【0020】
「ブロックチェーン」とは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピュータ間において暗号技術を活用しつつデータ同期を行う技術である。具体的には、合意された取引記録等のサービストークン及びユーザートークンに関する情報の集合体と、他のブロックと接続させるための情報(前のブロックの情報)により各ブロックが構成され、当該各ブロックが複数連結されることによってブロックチェーンが構成される。複数のコンピュータの一部でデータ改ざんが行われても他のコンピュータとの間で多数決によって正しいデータが選択されるため、データの破壊・改ざんが極めて難しいという特徴を有している。
【0021】
サービストークン・ユーザートークンと個々のサービス・ユーザーとの対応関係としては、各トークンの識別子とサービス・ユーザーの識別情報(個々のサービス等に識別情報を割り当ててもよいし、サービス・ユーザーの名称・氏名そのものであってもよい)とを1対1で紐づける形式とする。より直接的に各トークンの識別子とサービス等の識別情報を同一内容としてもよいし、それぞれ異なる文字列等によって構成したものについて対応関係を設置する態様としてもよい。また、たとえばサービスが提供されるインターネット空間上のURL情報と紐づける形式としてもよい。
【0022】
また、本実施の形態において、生成された各トークンと対応関係にある分散型台帳を構成するブロックには、各トークンの保有名義の移転に関する取引記録の他、サービストークンであればサービス制限情報、ユーザートークンであればユーザー制限情報に基づき生成されたトランザクションを含むものとする。各トランザクションは、サービス制限トランザクション生成部5及びユーザー制限トランザクション生成部6によって生成される。
【0023】
なお、各トークンの生成にあたっては、サービストークン生成部3及びユーザートークン生成部4が自ら生成する態様としてもよいし、これらと直接的又は間接的に接続された外部システムに対し所定の指令を行うことによって、外部システムが生成する態様としてもよい。また、各トークンの具体的形式についても、Ethereum(登録商標)の規格であるERC721に準拠したものに限定されず、非代替性の性質を有し、取引履歴等の情報がブロックチェーン上に保存されるものであれば任意の形式のものとしてよい。
【0024】
サービス制限トランザクション生成部5及びユーザー制限トランザクション生成部6は、それぞれ分散型台帳内のブロックに格納される第1、第2のトランザクションを生成する機能を有し、特許請求の範囲における情報生成手段の一例に相当するものである。具体的には、サービス制限トランザクション生成部5及びユーザー制限トランザクション生成部6は、トランザクションの内容として、各トークンの保有名義の変更に関する情報に加え、サービストークンに関する第1のトランザクションとしてはサービスの属性に関する情報及びサービス制限情報に関する情報を生成し、ユーザートークンに関する第2のトランザクションとしてはユーザーの属性に関する情報及びユーザー制限情報に関する情報を生成するものとする。
【0025】
電子署名生成部7は、トランザクションに含まれる情報の作成・出力がサービストークン及びユーザートークンそれぞれの保有者の意向に従ったものであることを証明するデータである電子署名を生成する機能を有する。具体的には、電子署名生成部7は、サービス制限トランザクション生成部5及びユーザー制限トランザクション生成部6によって生成された各トランザクションのハッシュ値を生成し、各トークンの保有者が保有する秘密鍵にて当該ハッシュ値を暗号化することにより電子署名を生成する機能を有する。なお、「ハッシュ値」とは元データに対し一定計算手順を施すことにより得られた固定長の値である。当該計算手順が不可逆なものであるため、ハッシュ値から元データを復元することは不可能とされている。また、「秘密鍵」とは暗号化処理に用いられる数列であって、対応関係にある「公開鍵」により復号することが可能な構成となっている。なお、本実施の形態1においてはサービス制限トランザクション生成部5、ユーザー制限トランザクション生成部6及び電子署名生成部7は、各トランザクション及び電子署名の作成まで自ら行う構成としているがこれに限定する必要はなく、サービス制限トランザクション生成部5、ユーザー制限トランザクション生成部6及び電子署名生成部7が外部の所定機器に対しトランザクション及び電子署名の作成を指示するのみの機能を有することとしてもよい。
【0026】
出力指示部8は、サービス制限トランザクション生成部5及びユーザー制限トランザクション生成部6にて生成された各トランザクション及び電子署名生成部7にて生成された電子署名を、各トークンと関連付けられた第1、第2の分散型ネットワークに対し出力するよう指示するためのものである。なお本実施の形態において出力指示部8は出力機能そのものも備えることとし、具体的には出力指示部8は、第1、第2の分散型ネットワークに対し直接的または間接的に接続されており、第1、第2の分散型ネットワークに対し所定のデータを出力可能な態様にて構成されている。第1、第2の分散型ネットワークは、出力されたトランザクションのハッシュ値を生成するとともに、電子署名を公開鍵にて復号したデータ(=トランザクションのハッシュ値)と対比し、両者が異なる値となる場合は対象となるトークンの保有者の意向に沿ったトランザクションではないと判定して登録を拒否し、両者が一致する場合は所有者によるトランザクションと判定し、トランザクションにより構成される情報を、分散型台帳を構成するブロックに格納する。出力指示部8が出力するトランザクションには保有名義の変更に関する情報が含まれており、トランザクションが分散型ネットワークに対し出力されることにより、これらの情報が第1、第2の分散型ネットワーク上に設けられた分散型台帳を構成するブロックに格納される。なお、本実施の形態1では理解を容易にするためサービストークンに対応する分散型ネットワークを第1の分散型ネットワークとし、ユーザートークンに対応する分散型ネットワークを第2の分散型ネットワークと称して区別するが、両者は別個のネットワークであってもよいし、同一のネットワークであってもよい。
【0027】
利用資源保存部9は、サービス利用に必要な資源そのものないし当該資源に関係するデータである資源情報を保存するためのものであり、後述する資源入出力制御部15の制御に応じて、これら資源情報を適宜入出力するためのものである。利用資源保存部9の具体的態様に関しては、たとえばEthereum(登録商標)をはじめとする仮想通貨(暗号資産)の取引に使用されるウォレットと同様の構成を有することが望ましい。ウォレットと同様の構成とした場合における構造としてはインターネットに常時接続されたいわゆる「ホットウォレット」でも、必要なときのみインターネットに接続可能な「コールドウォレット」でもよいが、後述する資源入出力制御部15による制御可能な構成であるものとする。また、「資源情報」とは、最も単純な例としては有償のサービスを利用する際に必要となる仮想通貨(暗号資産)を構成するデータそのもの又は仮想通貨(暗号資産)のアドレス情報及び秘密鍵のデータを意味するところ、他にサービスの利用のために特別に生成されたトークン(代替性・非代替性のいずれでもよい)を構成するデータ又は当該トークンのアドレス情報・秘密鍵でもよいし、これら以外の、サービス利用に必要なアカウント情報、パスワード等の情報であってもよい。また、資源情報に関しては、特定のサービスの全てを利用するための資源等に限定して解釈する必要はなく、複数のサービスの利用又は特定サービスの一部の利用や、時間的制約を伴ったサービスの利用を実現するものであってもよい。
【0028】
利用要請受信部10は、ユーザーからのサービス利用要請に関する情報である利用要請情報を受信するためのものである。利用要請受信部10によって受信された利用要請情報は、サービス特定部11に出力されて利用要請の具体的内容の特定のために使用される。
【0029】
サービス特定部11は、利用要請にかかるユーザー及びサービスを特定するためのものである。具体的には、サービス特定部11は、利用要請受信部10にて受信した利用要請情報を解析して、発信者であるユーザーを特定するとともに、当該ユーザーが利用を希望するサービスを特定する機能を有する。サービス特定部11が特定した利用要請情報に含まれるサービス・ユーザーに関する情報は、それぞれサービス制限取得部12及びユーザー制限取得部13に対し出力される。
【0030】
サービス制限取得部12は、利用要請の対象となるサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれるサービス制限情報の内容を取得するためのものである。具体的には、サービス制限取得部12は、利用要請にかかるサービスに関するサービストークンと対応関係にある分散型台帳に格納されたトランザクションにアクセスし、トランザクション中の当該サービスに関するサービス制限情報の中から、利用要請にかかるユーザーが有するものと共通する属性(この情報については後述のとおりユーザー制限取得部13から取得する。)のユーザーに関する利用制限の具体的内容を抽出する機能を有する。サービス制限取得部12が抽出した利用制限の具体的内容に関する情報は利用範囲判定部14に出力され、利用範囲の判定処理に利用される。また、サービス制限取得部12は、利用要請の対象となるサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれる、当該サービスの属性に関する情報を取得し、ユーザー制限取得部13に対し出力する機能も有する。
【0031】
ユーザー制限取得部13は、利用要請を行ったユーザーに関するユーザートークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれるユーザー制限情報の内容を取得するためのものである。具体的には、ユーザー制限取得部13は、利用要請を行ったユーザーに関するユーザートークンと対応関係にある分散型台帳に格納されたトランザクションにアクセスし、トランザクション中の当該ユーザーに関するユーザー制限情報の中から、利用要請にかかるサービスと共通の属性(当該条件に関する情報は、サービス制限取得部12によって取得されたものを使用する。)を具備するサービスにおける利用制限の具体的内容を抽出する機能を有する。ユーザー制限取得部13が抽出した利用制限の具体的内容に関する情報は利用範囲判定部14に出力され、利用範囲の判定処理に利用される。また、ユーザー制限取得部13は、利用要請を行ったユーザーに関するユーザートークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれる、当該ユーザーの属性に関する情報を取得し、サービス制限取得部12に対し出力する機能も有する。
【0032】
利用範囲判定部14は、ユーザー制限取得部13によって取得されたサービス制限情報及びユーザー制限情報に基づき、当該サービスに関する当該ユーザーの利用可能範囲を判定するためのものである。具体的には、利用範囲判定部14は、利用要請の対象となったサービスについて、サービス提供側からの利用制限に関する情報であるサービス制限情報と、ユーザー側からの利用制限に関する情報であるユーザー制限情報とに基づき当該ユーザーが当該サービスにて利用可能となる範囲を判定する機能を有する。より具体的には、利用範囲判定部14は、対象となるサービスの利用態様のうち、サービス制限情報及びユーザー制限情報の双方にて利用制限されていない範囲を判定し、当該サービスにおいてユーザーが利用可能な範囲を判定する機能を有する。
【0033】
資源入出力制御部15は、利用範囲判定部14の判定結果に基づき利用資源保存部9に保存した情報の入出力を制御するためのものである。具体的には、資源入出力制御部15は、利用範囲判定部14の判定結果に応じた内容にてサービスの利用が可能となるよう、利用資源保存部9に保存されたサービス利用に必要な資源又は当該資源に関する情報を出力する機能を有する。たとえば、利用範囲判定部14によって利用要請にかかるサービスの利用が不可と判定された場合、資源入出力制御部15は利用資源保存部9を閉じたままとし何ら資源情報を出力させない。利用範囲判定部14が利用要請にかかるサービスの一部又は全部を利用できると判定した場合は、資源入出力制御部15は、利用できる範囲に応じて必要となる資源情報が出力されるよう利用資源保存部9に対する制御を行う。
【0034】
次に、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムにおける、利用要請に対する利用範囲判定処理について説明する。図2に示すとおり、利用要請受信部10が利用要請を受信すると(ステップS101、Yes)、サービス特定部11によって利用要請情報が解析され、利用要請にかかるユーザー及びサービスが特定される(ステップS102)。サービス制限取得部12は、特定されたサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のトランザクションにアクセスし、当該サービスの属性に関する情報を取得する(ステップS103)。そして、ユーザー制限取得部13はステップS102にて特定されたユーザーに関するユーザートークンと対応した分散型台帳内のトランザクションにアクセスし、ユーザー制限情報の中から、ステップS103にて取得されたサービスの属性を満たすサービスに関する利用制限情報を取得する(ステップS104)。また、ユーザー制限取得部13は、アクセスしたトランザクション中に記録されているユーザーの属性に関する情報を取得する(ステップS105)。その後、サービス制限取得部12は再度特定されたサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のトランザクションにアクセスし、今度はトランザクション中のサービス制限情報の中から、ステップS105にて取得されたユーザーの属性を満たすユーザーに関する利用制限情報を取得する(ステップS106)。
【0035】
その後、利用範囲判定部14は、ステップS104で取得したユーザー制限情報中の利用制限情報とステップS106で取得したサービス制限情報中の利用制限情報に基づき、ステップS102で特定されたサービスにおいて特定されたユーザーが利用できる範囲を判定し(ステップS107)、判定結果を資源入出力制御部15に対し出力して(ステップS108)、全ての処理を終了する。
【0036】
次に、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムの利点について説明する。まず、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムは、ネットワーク上のサービスを利用する各ユーザーについてサービスの属性ごとにサービスの利用可能な範囲を定めたユーザー制限情報をあらかじめ作成し、各サービスにおいてユーザーの属性ごとに利用可能な範囲を定めたサービス制限情報を予め作成した上で、双方が規定した利用制限のいずれをも満たす資源情報を提供することとしている。かかる構成を採用することによって、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムは、サービス利用時におけるユーザーの意向に関わらず双方があらかじめ定めた利用制限を満たす態様のみでしかサービスを利用できなくなり、たとえばユーザーが所属する集団(ユーザーが勤務する企業、ユーザーが属する家族等)において、ユーザーが利用制限を満たす態様にてサービスを利用しているか否かを監視する必要がないという利点を有する。
【0037】
また、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムでは、サービス提供側にてユーザーの属性ごとに利用制限に関するサービス制限情報を設定する構成としている。かかる構成を採用することにより、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムは、サービス提供側がユーザーごとに個別具体的に利用制限を設定する必要がなく、簡易に利用管理を行えるという利点を有する。
【0038】
さらに、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムでは、ユーザー側にてサービスの属性ごとに利用制限に関するユーザー制限情報を設定する構成としている。かかる構成を採用することにより、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムは、ユーザー側において、サービスごとに個別具体的に利用制限を設定する必要がなく、簡易に利用管理を行えるという利点を有する。特に、ユーザー側にて利用制限を策定するのがユーザー本人ではなくユーザーが属する集団(勤務する企業、家族等)等の第三者の場合、ユーザー本人が利用するサービスを個別具体的に把握しなくても利用制限を行うことが可能であり、ユーザーのプライバシーが保護されるという利点も生ずる。
【0039】
また、本実施の形態1にかかるサービス利用管理システムでは、サービス制限情報及びユーザー制限情報の双方について、ブロックチェーン上に設けられた分散型台帳に記録する構成としている。ブロックチェーンでは複数のコンピュータ間での多数決によって正しいデータが選択されるため、本実施の形態1に係るサービス利用管理システムがかかる構成を採用することにより、サービス制限情報及びユーザー制限情報の双方について破壊・改ざんが極めて難しく、正確な情報を記録できるという利点が生ずる。
【0040】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかるサービス利用管理システムについて説明する。実施の形態2において、実施の形態1と同一名称かつ同一符号を付した構成要素に関しては、特に言及しない限り、実施の形態1における構成要素と同一の機能を発揮するものとする。
【0041】
実施の形態2にかかるサービス利用管理システムでは、図3に示すとおり、ユーザー制限情報入力部16に入力されるユーザー制限情報が、ユーザー自身ではなくユーザーが所属する集団(勤務する企業や家族など)によって生成されると共に、利用要請受信部17にて受信される利用要請情報が、利用要請を行うユーザー及び対象となるサービスを特定する情報のみならず、ユーザーが希望する当該サービスの利用内容に関する情報を含み、サービス特定部18にて利用要請にかかる利用者・サービスの特定及びユーザーが要請する具体的な利用内容について解析を行い、利用範囲判定部19は、ユーザーが希望する具体的な利用内容に関する情報をも考慮した上で、対象となるサービスにおけるユーザーの利用可能な範囲を判定する機能を有する。
【0042】
ユーザー制限情報入力部16に入力されるユーザー制限情報を生成する「ユーザーが所属する集団」とは、企業、学校といった一般的な集団に加え、居住地における自治会や家族といった小規模かつ任意的な団体をも含むものとする。ユーザーが所属する集団が企業や学校である場合、ユーザーの勤務時間、授業時間中においてサービスの利用を制限すべき客観的な事情が存在する。また、ユーザーが所属する集団が学校あるいは家族であった場合は、教育的観点から、ユーザーに対し一定のサービスについて利用制限を課すことが必要となることがある。本実施の形態2では、このような所属集団によるユーザーのサービス利用を制限する必要性に鑑みて、ユーザー自身ではなく、ユーザーの所属集団によってユーザー制限情報を生成することとしている。
【0043】
また、利用要請受信部17にて受信される利用要請情報は、サービス利用を希望するユーザーを特定する情報と、利用対象となるサービスを特定する情報に加え、ユーザーが希望する当該サービスの具体的な利用内容を特定する情報も含むものとする。たとえば、利用対象となるサービスが動画配信サービスであった場合に、本実施の形態2における利用要請情報では、動画配信サービスを特定する情報に加え、当該サービスにてどの動画(あるいはどの種類の動画)を、どのように視聴するか(視聴回数、視聴時間又は視聴時間帯など)といった具体的な利用内容を特定する情報を含めることとする。また、利用要請情報に含まれる具体的な利用内容としては、単一の利用に関するもののみならず、複数の利用(動画配信サービスの例でいえば、互いにジャンルの異なる動画A及び動画Bという複数の動画の視聴)に関するものであってもよい。
【0044】
サービス特定部18は、利用要請情報を解析して当該情報に含まれる利用要請を行っているユーザー及び利用要請にかかるサービスを特定することに加え、当該ユーザーが当該サービスについてどのような利用内容の利用を要請しているか、利用内容に関する情報をも解析する機能を有する。サービス及びユーザーの特定情報については実施の形態1と同様にそれぞれサービス制限取得部12、ユーザー制限取得部13に出力され、利用内容に関する情報については利用範囲判定部19に出力される。
【0045】
利用範囲判定部19は、利用要請受信部17にて受信された利用要請情報に含まれる具体的な利用内容に関する情報をも考慮した上で、当該利用要請に対する利用の可否を判定するためのものである。具体的には、利用範囲判定部19は、利用要請情報に含まれるユーザー及び対象サービスを特定する情報に基づきサービス制限取得部12及びユーザー制限取得部13が取得したサービス制限情報及びユーザー制限情報を参照しつつ、利用要請情報に含まれる具体的な利用内容がこれらの制限情報によって制限されるか否かを判定する機能を有する。
【0046】
次に、本実施の形態2にかかるサービス利用管理システムにおける、利用要請に対する利用範囲判定処理について説明する。図4に示すとおり、利用要請受信部17が利用要請を受信すると(ステップS201、Yes)、サービス特定部18によって利用要請情報が解析され、ユーザー、サービス及び具体的な利用内容が特定される(ステップS202)。サービス制限取得部12は、特定されたサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のトランザクションにアクセスし、当該サービスの属性に関する情報を取得する(ステップS203)。そして、ユーザー制限取得部13はステップS202にて特定されたユーザーに関するユーザートークンと対応した分散型台帳内のトランザクションにアクセスし、ユーザー制限情報の中から、ステップS203にて取得されたサービスの属性を満たすサービスに関する利用制限情報を取得する(ステップS204)。また、ユーザー制限取得部13は、アクセスしたトランザクション中に記録されているユーザーの属性に関する情報を取得する(ステップS205)。その後、サービス制限取得部12は再度特定されたサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のトランザクションにアクセスし、今度はトランザクション中のサービス制限情報の中から、ステップS205にて取得されたユーザーの属性を満たすユーザーに関する利用制限情報を取得する(ステップS206)。
【0047】
その後、利用範囲判定部19は、ステップS204で取得したユーザー制限情報中の利用制限情報とステップS206で取得したサービス制限情報に基づき、ステップS202で特定されたサービスにおいて、特定されたユーザーが利用できる範囲を判定する(ステップS207)。さらに利用範囲判定部19は、ステップS207の判定結果に基づき、ステップS202にて特定された利用要請にかかるサービスの利用内容が実現可能か否かを判定する(ステップS208)。実現可能な場合(ステップS208、Yes)、利用範囲判定部19は判定結果を資源入出力制御部15に出力し(ステップS209)、資源入出力制御部15は判定結果に基づき利用内容を実現するために必要なサービス利用用の資源情報の入出力を行う。実現不可能な場合(ステップS208、No)、全ての利用内容に関する判定処理が完了したか否かを確認し(ステップS210)、完了していない場合(ステップS210、No)、ステップS208に戻って新たな利用内容について同様の処理を繰り返す。完了している場合(ステップS210、Yes)、全ての処理を終了する。
【0048】
次に、本実施の形態2にかかるサービス利用管理システムの利点について説明する。まず、本実施の形態2にかかるサービス利用管理システムでは、ユーザー制限情報が、ユーザー自身ではなくユーザーが所属する集団(勤務する企業や家族など)によって生成される構成としている。かかる構成を採用することにより、たとえば営利企業に所属するユーザーについては勤務時間中に業務と無関係のサービス利用を禁止したり、業務用のサービス利用時間を制限することにより過重労働を防止できる等の利点を生ずる。また、家族の一員であるユーザーについては家庭ごとの教育方針にしたがってサービス利用を制限したり、反対に良質なサービスの利用を促進するような利用条件を課すことが可能となるという利点が生ずる。
【0049】
また、本実施の形態2にかかるサービス利用管理システムは、ユーザーから提供される利用要請に関して、単にユーザー及び利用サービスのみを特定するのでなく当該サービスの利用内容(1時間以上の利用、あるいはサービス中の特定の一部サービスのみの利用)をも含み、利用範囲判定部19にて当該利用内容に関する情報をも考慮した上で利用範囲を決定する構成としている。かかる構成を採用することにより、本実施の形態2にかかるサービス利用管理システムは、ユーザー制限情報をユーザー本人以外の者が生成する場合であっても、ユーザー本人の要請を反映した態様にてサービスの利用範囲を定めることが可能であるという利点を有する。
【0050】
以上、実施の形態1、2にわたり本発明の内容について説明したが、もとより本発明の技術的範囲は実施の形態に記載した具体的構成に限定して解釈されるべきではない。本発明の機能を実現できるものであれば、上記実施の形態に対する様々な変形例、応用例についても、本発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ネットワークを介して複数のユーザーが利用するサービスの利用態様について管理する技術として利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 サービス制限情報入力部
2、16 ユーザー制限情報入力部
3 サービストークン生成部
4 ユーザートークン生成部
5 サービス制限トランザクション生成部
6 ユーザー制限トランザクション生成部
7 電子署名生成部
8 出力指示部
9 利用資源保存部
10、17 利用要請受信部
11、18 サービス特定部
12 サービス制限取得部
13 ユーザー制限取得部
14、19 利用範囲判定部
15 資源入出力制御部
【要約】
【課題】ネットワークを介して複数のユーザーが利用するサービスの利用につき、サービス提供者による制限及びユーザーの所属集団による制限に沿った利用態様にてユーザーが利用できる技術を提供する。
【解決手段】利用要請の対象となるサービスに関するサービストークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれるサービス制限情報の内容を取得するサービス制限取得部12と、利用要請を行ったユーザーに関するユーザートークンと対応した分散型台帳内のブロックに格納されたトランザクションに含まれるユーザー制限情報の内容を取得するユーザー制限取得部13と、当該サービスに関する当該ユーザーの利用可能範囲を判定する利用範囲判定部14と、利用範囲判定部14の判定結果に基づき利用資源保存部9に保存した資源情報の入出力を制御する資源入出力制御部15とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4