(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵プラント
(51)【国際特許分類】
F01K 3/02 20060101AFI20240919BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F01K3/02 C
H02J15/00 E
H02J15/00 H
(21)【出願番号】P 2023218168
(22)【出願日】2023-12-25
【審査請求日】2023-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523260277
【氏名又は名称】ESREE Energy株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴文
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-110929(JP,A)
【文献】特開2001-090509(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02942492(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 15/00
F01K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を貯蔵することにより充電を行うエネルギー貯蔵プラントであって、
作動流体を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機を駆動する電動機と、
前記作動流体を冷却又は加熱する第1熱交換器と、
前記作動流体を膨張させる膨張手段と、
前記作動流体を加熱する加熱手段と、
前記作動流体同士で熱交換器を行う予熱用熱交換器と、
前記第1熱交換器において前記作動流体と熱交換する第1蓄熱用媒体を貯蔵する第1蓄熱タンク及び第2蓄熱タンクと、
外部熱源による熱を前記第2蓄熱タンク内に貯蔵するための外部熱回収手段と、
を備え、
前記外部熱回収手段により前記外部熱源による熱を前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する外部熱貯蔵過程と、前記充電を行う充電過程とを実行するよう構成されており、
前記充電過程において、
前記作動流体を前記予熱用熱交換器により予熱し、前記予熱された前記作動流体を前記圧縮機により圧縮し、前記圧縮された前記作動流体を前記第1熱交換器により冷却し、前記冷却された前記作動流体を前記予熱用熱交換器により再冷却し、前記再冷却された前記作動流体を前記膨張手段により膨張させ、前記膨張した前記作動流体を前記加熱手段により加熱して、前記予熱用熱交換器に戻すヒートポンプ回路を構成し、かつ、
前記第2蓄熱タンクに貯蔵されていた前記第1蓄熱用媒体を前記第1熱交換器における熱交換により加熱して、前記第1蓄熱タンク内に貯蔵する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記第1蓄熱用媒体を貯蔵する第3蓄熱タンクをさらに備え、
前記外部熱回収手段は、前記第3蓄熱タンクと前記第2蓄熱タンクの間に配置される排熱回収熱交換器を備え、
前記外部熱貯蔵過程において、前記第3蓄熱タンクに貯蔵されていた前記第1蓄熱用媒体を前記排熱回収熱交換器において前記外部熱源により加熱して、前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項3】
請求項1に記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記第1蓄熱用媒体を貯蔵する第3蓄熱タンクと、前記作動流体を冷却又は加熱する第1補助熱交換器と、をさらに備え、
前記第1補助熱交換器は、前記予熱用熱交換器の高圧側のラインと並列に接続され、
前記充電過程において、前記第1熱交換器により冷却された前記作動流体の一部を、前記予熱用熱交換器ではなく前記第1補助熱交換器により再冷却し、かつ、
前記充電過程において、前記第3蓄熱タンクに貯蔵されていた前記第1蓄熱用媒体を前記第1補助熱交換器における熱交換により加熱して、前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項4】
請求項3に記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記作動流体同士で熱交換器を行う中央熱交換器を備え、
前記充電過程において、
前記第1補助熱交換器及び前記予熱用熱交換器により再冷却された前記作動流体を、前記中央熱交換器により再々冷却し、前記加熱手段により加熱された前記作動流体を、前記中央熱交換器により再加熱する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記加熱手段は、前記作動流体を冷却又は加熱する第2熱交換器を備えており、
前記第2熱交換器と接続されるとともに、当該第2熱交換器において前記作動流体と熱交換する第2蓄熱用媒体を介して前記作動流体の冷熱を蓄熱する第4蓄熱タンクをさらに備え、
前記充電過程において、前記第2熱交換器における熱交換により冷却された前記第2蓄熱用媒体を前記第4蓄熱タンク内に貯蔵する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項6】
請求項3に記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
貯蔵された熱を用いて前記作動流体の膨張により放電を行うよう構成され、
前記作動流体を加圧するポンプと、
前記作動流体が膨張することにより作動する第1膨張機と、
前記第1膨張機により駆動される第1発電機と、
前記作動流体が膨張することにより作動する第2膨張機と、
前記第2膨張機により駆動される第2発電機と、
前記作動流体を冷却又は加熱する第2熱交換器と、
前記作動流体の熱を放熱する放熱器と、
前記作動流体を加圧する補助ポンプと、
をさらに備え、
放電過程において放電を行うよう構成され、
前記放電過程において、
前記作動流体を前記ポンプにより加圧し、前記加圧された前記作動流体を前記第1補助熱交換器及び前記第1熱交換器により加熱し、前記加熱された前記作動流体を前記第1膨張機により膨張させて前記第1発電機を駆動し、前記膨張した前記作動流体を前記第2膨張機により再膨張させて前記第2発電機を駆動し、前記再膨張した前記作動流体を前記第2熱交換器により冷却し、前記冷却された前記作動流体を前記ポンプに戻す第1放電回路が構成され、
さらに、前記作動流体を前記補助ポンプにより加圧し、前記加圧された前記作動流体を前記第1熱交換器により加熱し、前記加熱された前記作動流体を前記第1膨張機により膨張させて前記第1発電機を駆動し、前記膨張した前記作動流体を前記放熱器により冷却し、前記冷却された前記作動流体を前記補助ポンプに戻す第2放電回路が構成され、
さらに、前記第1熱交換器における熱交換により冷却された前記第1蓄熱用媒体を前記第2蓄熱タンク内に貯蔵し、
前記第1補助熱交換器における熱交換により冷却された前記第1蓄熱用媒体を前記第3蓄熱タンク内に貯蔵する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項7】
請求項6に記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記作動流体同士で熱交換器を行う中央熱交換器を備え、
前記放電過程の前記第1放電回路において、
前記ポンプにより加圧された前記作動流体を、前記中央熱交換器により予熱し、
前記第2膨張機により再膨張させられた前記作動流体を、前記中央熱交換器により予冷する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記加熱手段は、前記第2熱交換器と接続されるとともに、前記第2熱交換器において前記作動流体と熱交換する第2蓄熱用媒体を貯蔵する第4蓄熱タンクと備え、
前記充電過程において、前記第2熱交換器における熱交換により冷却された前記第2蓄熱用媒体を前記第4蓄熱タンク内に貯蔵し、
前記放電過程の前記第1放電回路において、前記第4蓄熱タンク内に貯蔵された前記第2蓄熱用媒体が前記第2熱交換器において前記作動流体を冷却する、
エネルギー貯蔵プラント。
【請求項9】
請求項1~請求項4、請求項6、請求項7のいずれかに記載のエネルギー貯蔵プラントであって、
前記作動流体は二酸化炭素である、エネルギー貯蔵プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱によりエネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電や風力発電などの変動性再生可能エネルギーによる発電では、日射状況や風況により、その発電出力が大きく変動する。例えば、太陽光発電は夜には発電できないし、昼間であっても雨天や曇天の場合は発電出力が小さい。風力発電も同様で、風向きや風速の変化により、発電出力が変動する。
【0003】
他方で、電力の周波数を一定の範囲に保ち、電力システムを安定化させるためには、電力が供給される地域内において常に電力の需要と供給が釣り合うようにする必要がある。
【0004】
このような変動性再生可能エネルギーの発電出力を平滑化又は平準化する技術としては、余剰発電電力が生じた際に電気を蓄えておき電力不足時に電気を補う蓄電池が代表的であるが、その他にも、圧縮空気貯蔵や重力蓄電、熱貯蔵による蓄電などの技術が知られている。
【0005】
熱貯蔵による蓄電は一般的にカルノーバッテリーと呼ばれ、リチウムイオン電池等の蓄電池による蓄電よりも低コスト化を図ることができる一方、充放電効率に課題があると言われている。カルノーバッテリーの一種として、なるべく高い充放電効率を実現するため、電気を熱に変えてエネルギーを貯蔵する際にはヒートポンプサイクルを用い、熱を電気に変えて放電する際には、その逆のサイクルを用いる技術が研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ヒートポンプサイクルを用いたカルノーバッテリーの研究開発においては、充放電効率をどのように向上させるかが検討されている。そこで、外部の熱、例えば、100℃未満の産業排熱などの外部熱源を補助的に用いる方法が検討されている。しかしながら、外部の熱を補助的に用いる場合には、外部の熱が利用可能な時間帯に充電を行うか、外部の熱を貯蔵するための補助的な蓄熱槽を設置することが必要となる。外部の熱を貯蔵するための補助的な蓄熱槽を設置すれば、その分だけエネルギー密度の低下やコスト上昇を招いてしまう。
【0008】
本発明は、熱貯蔵によるエネルギー貯蔵プラントにおいて、なるべく簡易的な構成によって、外部の熱を充放電効率向上のために活用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、熱を貯蔵することにより充電を行うエネルギー貯蔵プラントであって、作動流体を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機を駆動する電動機と、前記作動流体を冷却又は加熱する第1熱交換器と、前記作動流体を膨張させる膨張手段と、前記作動流体を加熱する加熱手段と、前記作動流体同士で熱交換器を行う予熱用熱交換器と、前記第1熱交換器において前記作動流体と熱交換する第1蓄熱用媒体を貯蔵する第1蓄熱タンク及び第2蓄熱タンクと、外部熱源による熱を前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する外部熱回収手段と、を備え、前記外部熱回収手段により前記外部熱源による熱を前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する外部熱貯蔵過程と、前記充電を行う充電過程とを実行するよう構成されており、前記充電過程において、前記作動流体を前記予熱用熱交換器により予熱し、前記予熱された前記作動流体を前記圧縮機により圧縮し、前記圧縮された前記作動流体を前記第1熱交換器により冷却し、前記冷却された前記作動流体を前記予熱用熱交換器により再冷却し、前記再冷却された前記作動流体を前記膨張手段により膨張させ、前記膨張した前記作動流体を前記加熱手段により加熱して、前記予熱用熱交換器に戻すヒートポンプ回路を構成し、かつ、前記第2蓄熱タンクに貯蔵されていた前記第1蓄熱用媒体を前記第1熱交換器における熱交換により加熱して、前記第1蓄熱タンク内に貯蔵する、エネルギー貯蔵プラントが提供される。
【0010】
この構成によれば、外部熱源による熱を第2蓄熱タンクに貯蔵することで、外部熱源による熱を貯蔵するための補助的な蓄熱槽を用いずとも、外部熱源の熱を貯蔵し、活用することができる。
【0011】
これは、充電過程において、圧縮された作動流体によって第1蓄熱用媒体を加熱する際に必要な熱量が外部熱源により減少することにより、その余った熱によって、圧縮前の作動流体を予熱することができるためである。
【0012】
好ましくは、前記第1蓄熱用媒体を貯蔵する第3蓄熱タンクをさらに備え、前記外部熱回収手段は、前記第3蓄熱タンクと前記第2蓄熱タンクの間に配置される排熱回収熱交換器を備え、前記外部熱貯蔵過程において、前記第3蓄熱タンクに貯蔵されていた前記第1蓄熱用媒体を前記排熱回収熱交換器において前記外部熱源により加熱して、前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する。
【0013】
この構成によれば、外部熱源により加熱された第1蓄熱用媒体を第2蓄熱タンクに、加熱前の第1蓄熱用媒体を第3蓄熱タンクにそれぞれ貯蔵することができる。第2蓄熱タンク内の第1蓄熱用媒体の温度が外部熱源による加熱で十分に上がっていないと、圧縮前の作動流体を十分に予熱することができない。そこで、この構成により、外部熱源による加熱で温度が十分上がった第1蓄熱用媒体のみを第2蓄熱タンクに貯蔵することを可能とする。
【0014】
好ましくは、前記第1蓄熱用媒体を貯蔵する第3蓄熱タンクと、前記作動流体を冷却又は加熱する第1補助熱交換器と、をさらに備え、前記第1補助熱交換器は、前記予熱用熱交換器の高圧側のラインと並列に接続され、前記充電過程において、前記第1熱交換器により冷却された前記作動流体の一部を、前記予熱用熱交換器ではなく前記第1補助熱交換器により再冷却し、かつ、前記充電過程において、前記第3蓄熱タンクに貯蔵されていた前記第1蓄熱用媒体を前記第1補助熱交換器における熱交換により加熱して、前記第2蓄熱タンク内に貯蔵する。
【0015】
この構成によれば、第1熱交換器により冷却された後の作動流体が持つ熱の一部を、第1蓄熱用媒体の加熱に利用することができる。これは、高圧側の作動流体と低圧側の作動流体とで比熱が異なるため、片側で余る熱を有効活用するための措置である。
【0016】
好ましくは、前記作動流体同士で熱交換器を行う中央熱交換器を備え、前記充電過程において、前記第1補助熱交換器及び前記予熱用熱交換器により再冷却された前記作動流体を、前記中央熱交換器により再々冷却し、前記加熱手段により加熱された前記作動流体を、前記中央熱交換器により再加熱する。
【0017】
この構成によれば、膨張手段により膨張する作動流体の温度を低下させることができる。これにより、充電過程が蒸気圧縮冷凍サイクルである場合、膨張手段での作動流体の膨張を液相のみで行うことができる場合があり、これにより、例えば、膨張手段になんらかの膨張機を用いて、一部の動力を回収する場合に、気液混合相で膨張を行うよりも動力回収が容易となる。
【0018】
好ましくは、前記加熱手段は、前記作動流体を冷却又は加熱する第2熱交換器を備えており、
前記第2熱交換器と接続されるとともに、当該第2熱交換器において前記作動流体と熱交換する第2蓄熱用媒体を介して前記作動流体の冷熱を蓄熱する第4蓄熱タンクをさらに備え、
前記充電過程において、前記第2熱交換器における熱交換により冷却された前記第2蓄熱用媒体を前記第4蓄熱タンク内に貯蔵する。
【0019】
この構成によれば、充電過程において作動流体が膨張手段により膨張させられたことにより発生する冷熱を貯蔵することができる。
【0020】
好ましくは、貯蔵された熱を用いて前記作動流体の膨張により放電を行うよう構成され、前記作動流体を加圧するポンプと、前記作動流体が膨張することにより作動する第1膨張機と、前記第1膨張機により駆動される第1発電機と、前記作動流体が膨張することにより作動する第2膨張機と、前記第2膨張機により駆動される第2発電機と、前記作動流体を冷却又は加熱する第2熱交換器と、前記作動流体の熱を放熱する放熱器と、前記作動流体を加圧する補助ポンプと、をさらに備え、放電過程において放電を行うよう構成され、前記放電過程において、前記作動流体を前記ポンプにより加圧し、前記加圧された前記作動流体を前記第1補助熱交換器及び前記第1熱交換器により加熱し、前記加熱された前記作動流体を前記第1膨張機により膨張させて前記第1発電機を駆動し、前記膨張した前記作動流体を前記第2膨張機により再膨張させて前記第2発電機を駆動し、前記再膨張した前記作動流体を前記第2熱交換器により冷却し、前記冷却された前記作動流体を前記ポンプに戻す第1放電回路が構成され、さらに、前記作動流体を前記補助ポンプにより加圧し、前記加圧された前記作動流体を前記第1熱交換器により加熱し、前記加熱された前記作動流体を前記第1膨張機により膨張させて前記第1発電機を駆動し、前記膨張した前記作動流体を前記放熱器により冷却し、前記冷却された前記作動流体を前記補助ポンプに戻す第2放電回路が構成され、さらに、前記第1熱交換器における熱交換により冷却された前記第1蓄熱用媒体を前記第2蓄熱タンク内に貯蔵し、記第1補助熱交換器における熱交換により冷却された前記第1蓄熱用媒体を前記第3蓄熱タンク内に貯蔵する。
【0021】
この構成によれば、第2蓄熱タンクに貯蔵された熱を用いて放電を行うことができる。特に、第2熱交換器おける冷却能力の制限等により第1放電回路のみでは第2蓄熱タンク内の熱が使いきれない場合に、第2放電回路でも放電を行うことにより、効率的に放電を行うことができる。
【0022】
好ましくは、前記作動流体同士で熱交換器を行う中央熱交換器を備え、前記放電過程の前記第1放電回路において、前記ポンプにより加圧された前記作動流体を、前記中央熱交換器により予熱し、前記第2膨張機により再膨張させられた前記作動流体を、前記中央熱交換器により予冷する。
【0023】
この構成によれば、放電過程の第1放電回路において、第2熱交換器にて作動流体を冷却する前に予冷を行うことができ、ポンプで圧縮する際の作動流体の状態を液相としやすくなる。
【0024】
好ましくは、前記加熱手段は、前記第2熱交換器と接続されるとともに、前記第2熱交換器において前記作動流体と熱交換する第2蓄熱用媒体を貯蔵する第4蓄熱タンクと備え、前記充電過程において、前記第2熱交換器における熱交換により冷却された前記第2蓄熱用媒体を前記第4蓄熱タンク内に貯蔵し、前記放電過程の前記第1放電回路において、前記第4蓄熱タンク内に貯蔵された前記第2蓄熱用媒体が前記第2熱交換器において前記作動流体を冷却する。
【0025】
この構成によれば、放電過程の第1放電回路において、第2熱交換器にて作動流体を冷却する際に、第4蓄熱タンクに貯蔵された第2蓄熱用媒体の冷熱を用いることができる。
【0026】
好ましくは、前記作動流体は二酸化炭素である。
【0027】
これにより、簡単に入手可能な作動流体により、エネルギー貯蔵を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、熱貯蔵によるエネルギー貯蔵プラントにおいて、なるべく簡易的な構成によって、外部の熱源を充放電効率向上のために活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵プラントの概略構成図である。
【
図2】
図1のエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1における作動流体の流路を示す説明図である。
【
図3】
図1のエネルギー貯蔵プラントの放電過程S2における作動流体の流路を示す説明図である。
【
図4】
図1のエネルギー貯蔵プラントの外部熱貯蔵過程S3における排熱回収用媒体の流路を示す説明図である。
【
図5】
図1のエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1におけるP-h線図である。
【
図6】
図1のエネルギー貯蔵プラントの放電過程S2におけるP-h線図である。
【
図7】本発明の変形例1に係るエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1の概略構成図である。
【
図8】本発明の変形例2に係るエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1の概略構成図である。
【
図9】本発明の変形例3に係るエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1の概略構成図である。
【
図10】本発明の変形例4に係るエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1の概略構成図である。
【
図11】本発明の変形例5に係るエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1の概略構成図である。
【
図12】本発明の変形例6に係るエネルギー貯蔵プラントの充電過程S1の概略構成図である。
【
図13】本発明の変形例7に係るエネルギー貯蔵プラントの放電過程S2の概略構成図である。
【
図14】本発明の変形例8に係るエネルギー貯蔵プラントの放電過程S2の概略構成図である。
【
図15】本発明の変形例9に係るエネルギー貯蔵プラントの放電過程S2の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。なお、図面は本発明を説明するための単なる説明図であるため、装置構成は模式的あるいは概念的に示されている。
【0031】
1.エネルギー貯蔵プラントの構成
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵プラントは、いわゆるカルノーバッテリーの一種であり、電気を熱に変えてその熱を貯蔵することにより充電を行う充電過程S1と、貯蔵された熱を用いて前記作動流体の膨張により放電を行う放電過程S2とを実行するものである。また、本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、上記過程に加え、外部熱源100(後述)による熱を貯蔵する外部熱貯蔵過程S3も実行することを特徴とする。以下、本実施形態のエネルギー貯蔵プラントの構成を説明する。
【0032】
1-1.充電過程S1での構成
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵プラントは、
図1に示すように、充電過程S1において用いられる構成として、圧縮機1と、電動機2と、作動流体を膨張させる膨張手段としての低温膨張タービン3とを備える。また、エネルギー貯蔵プラントは、第1熱交換器4と、予熱用熱交換器6と、第1補助熱交換器7と、中央熱交換器8と、加熱手段としての第2熱交換器9とを備える。さらに、エネルギー貯蔵プラントは、第1蓄熱用媒体としての高温蓄熱用媒体を介して熱を蓄熱する高温側蓄熱タンク10と、第2蓄熱用媒体としての低温蓄熱用媒体を介して冷熱を蓄熱する第4蓄熱タンクとしての低温側蓄熱タンク11とを備える。
【0033】
高温側蓄熱タンク10は、第1蓄熱タンクとしての高温側高温タンク10Aと、第2蓄熱タンクとしての高温側中温タンク10Bと、第3蓄熱タンクとしての高温側低温タンク10Cとにより構成される。高温側高温タンク10Aは、充電過程S1において圧縮された作動流体により加熱された高温蓄熱用媒体を、高温側中温タンク10Bは外部熱源100が提供する温度に近い温度帯の高温蓄熱用媒体を、高温側低温タンク10Cは常温の高温蓄熱用媒体を、それぞれ貯蔵する。
【0034】
第1熱交換器4は、作動流体と高温蓄熱用媒体との間の熱交換を行う。予熱用熱交換器6は、圧縮機1により圧縮される前の作動流体と、圧縮機1により圧縮され第1熱交換器4により冷却された後の作動流体との間の熱交換を行う。第1補助熱交換器7は、予熱用熱交換器6の高圧側のラインと並列に接続され、作動流体と高温蓄熱用媒体との間の熱交換を行う。中央熱交換器8は、低温膨張タービン3により膨張させられる前の作動流体と、低温膨張タービン3により膨張させられ第2熱交換器9により加熱された後の作動流体との間の熱交換を行う。第2熱交換器9は、作動流体と低温蓄熱用媒体との間の熱交換を行う。
【0035】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、充電過程S1において、作動流体の圧縮により発生する熱及び作動流体の膨張により発生する冷熱を貯蔵することにより充電を行うものである。本実施形態において、作動流体は二酸化炭素である。
【0036】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、具体的には、充電過程S1において、
図2に示すように、作動流体を予熱用熱交換器6により予熱し、予熱された作動流体を圧縮機1により圧縮し、圧縮された作動流体を第1熱交換器4により冷却し、作動流体の回路を分岐し、第1熱交換器4により冷却された作動流体の一部を予熱用熱交換器6により再冷却し、一方で、第1熱交換器4により冷却された作動流体の一部を第1補助熱交換器7により再冷却し、予熱用熱交換器6により再冷却された作動流体と第1補助熱交換器7により再冷却された作動流体とを合流させ、合流した作動流体を中央熱交換器8により再々冷却し、再々冷却された作動流体を低温膨張タービン3により膨張させ、膨張させられた作動流体を第2熱交換器9により加熱し、加熱された作動流体を中央熱交換器8により再加熱して、予熱用熱交換器6に戻すヒートポンプ回路C1が構成される。充電過程S1における作動流体の第1補助熱交換器7と予熱用熱交換器6との間の分岐については、バルブ等により各管路の入口の断面積を変更することで、各管路へ流す流量の調整を行う。
【0037】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、充電過程S1において、高温側低温タンク10Cに貯蔵されていた高温蓄熱用媒体を第1補助熱交換器7により加熱して高温側中温タンク10B内に貯蔵する。また、高温側中温タンク10Bに貯蔵されていた高温蓄熱用媒体を第1熱交換器4における熱交換により加熱して、高温側高温タンク10A内に貯蔵する。
【0038】
なお、圧縮機1は、ターボ式を用いることが望ましい。ただし、充電電力の変動が大きい場合には、圧縮機1の一部にスクリュー式を採用することが望ましい。また、圧縮機1は、多段式を用いることが望ましい。また、上記各熱交換器は、向流式であることが好ましい。
【0039】
冷熱を蓄熱する低温蓄熱用媒体には、マイナス10℃付近から常温の範囲において液体の状態を保ち、マイナス10℃付近において、液体から固体に相変化する媒体を用いることが望ましい。この流体には、例えば、エチレングリコール等により構成される不凍液と水の混合液を用いることが考えられる。一方、熱を蓄熱する高温蓄熱用媒体には、常温から260℃付近の範囲において液体の状態を保つ流体を用いることが望ましい。この流体には、例えば、合成油を用いることが考えられる。
【0040】
1-2.放電過程S2での構成
また、本実施形態に係るエネルギー貯蔵プラントは、
図1に示すように、放電過程S2において用いられる構成として、ポンプ13と、補助ポンプ14と、第1膨張機15と、第2膨張機16と、第1発電機17と、第2発電機18と、放熱器19とを備える。また、エネルギー貯蔵プラントは、上述した充電過程S1において用いられる構成と重複する構成として、第1熱交換器4と、第1補助熱交換器7と、中央熱交換器8と、第2熱交換器9と、高温側蓄熱タンク10と、低温側蓄熱タンク11とを備える。
【0041】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、貯蔵された冷熱により液化された作動流体を昇圧し、その昇圧された作動流体を貯蔵された熱により気化又は超臨界相へ変化させ、膨張させることにより放電を行うものである。本実施形態において、作動流体は二酸化炭素である。
【0042】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、放電過程S2において、第1放電回路D1と第2放電回路D2が構成される。
【0043】
第1放電回路D1は、具体的には、
図3に示すように、作動流体をポンプ13により加圧し、加圧された作動流体を中央熱交換器8及び第1補助熱交換器7及び第1熱交換器4により加熱し、加熱された作動流体を第1膨張機15により膨張させて第1発電機17を駆動し、膨張した作動流体を第2膨張機16により再膨張させて第2発電機18を駆動し、再膨張した前記作動流体を中央熱交換器8及び第2熱交換器9により冷却し、冷却された前記作動流体をポンプ13に戻す回路である。
【0044】
第2放電回路D2は、具体的には、
図3に示すように、作動流体を補助ポンプ14により加圧し、加圧された作動流体を第1熱交換器4により加熱し、加熱された作動流体を第1膨張機15により膨張させて第1発電機17を駆動し、膨張した作動流体を放熱器19により冷却し、冷却された前記作動流体を補助ポンプ14に戻す回路である。
【0045】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、放電過程S2において、第1熱交換器4における熱交換により冷却された高温蓄熱用媒体を高温側中温タンク10B内に貯蔵し、第1補助熱交換器7における熱交換により冷却された高温蓄熱用媒体を高温側低温タンク10C内に貯蔵し、第2熱交換器9における熱交換により加熱された低温蓄熱用媒体を低温側蓄熱タンク11内に貯蔵する。
【0046】
第1膨張機15及び第2膨張機16は、ターボ式を用いることが望ましい。ただし、放電電力を変動させる必要がある場合には、各膨張機の一部にスクリュー式を採用することが望ましい。また、各膨張機は、多段式を用いることが望ましい。
【0047】
1-3.外部熱貯蔵過程S3での構成
加えて、本実施形態に係るエネルギー貯蔵プラントは、
図1に示すように、外部熱貯蔵過程S3において用いられる構成として、外部熱回収手段としての排熱回収熱交換器20を備える。排熱回収熱交換器20は、高温側中温タンク10Bと高温側低温タンク10Cの間に配置され、排熱回収用媒体を介して外部熱源100と高温蓄熱用媒体との間の熱交換を行う。ここで、外部熱源100は、例えば、工場の排熱、火力発電や原子力発電などのプラントの排熱、太陽熱などである。なお、本実施形態では、排熱回収熱交換器20は高温蓄熱用媒体側のラインが第1補助熱交換器7と高温側中温タンク10Bの間の位置に配置されている。これにより、充電過程S1において、第1熱交換器4により冷却された作動流体の一部を第1補助熱交換器7により再冷却する際に、再冷却後の作動流体の温度が、高温側低温タンク10Cの温度である常温付近の温度に近くなる。
【0048】
本実施形態のエネルギー貯蔵プラントは、外部熱貯蔵過程S3において、高温側低温タンク10Cに貯蔵されていた高温蓄熱用媒体を排熱回収熱交換器20において外部熱源100により加熱して、高温側中温タンク10B内に貯蔵する。
【0049】
なお、外部熱貯蔵過程S3は、外部熱源100による熱が存在するタイミングで実行することが好ましく、充電過程S1と同時に実行しても、充電過程S1とは異なるタイミングで実行しても良い。
【0050】
2.エネルギー貯蔵プラントの充電動作
図5は、低圧側の圧力が約2.5MPa、高圧側の圧力が約20MPa、排熱温度が60℃である一様態における充電過程S1のP-h線図を示している。
【0051】
当該充電過程S1では、作動流体は、点A→点B→点C→点D→点E→点F→点G→点H→点Aというサイクルをたどる。点A(約20℃)から点B(約60℃)の間では、点D(約60℃)から点E(約20℃)の間を通る作動流体の一部により、作動流体は加熱される。点Bから点C(約252℃)の間では、作動流体は圧縮機1により圧縮される。点Cから点Dの間では、第1熱交換器4により作動流体は冷却される。点D(約60℃)から点E(約20℃)の間では、予熱用熱交換器6と第1補助熱交換器7により作動流体は再冷却される。点Eから点F(約0℃)の間では、中央熱交換器8により作動流体は再々冷却される。点Fから点G(約マイナス12℃)の間では、低温膨張タービン3により作動流体は膨張させられる。点Gから点H(約マイナス12℃)の間では、第2熱交換器9により作動流体は加熱される。点Hから点Aの間では、中央熱交換器8により作動流体は再加熱される。
【0052】
当該充電過程S1において、第1熱交換器4により冷却された作動流体のうち、第1補助熱交換器7ではなく予熱用熱交換器6にて再冷却される作動流体の流量割合は、概ね、点Eから点Dの間の比熱に対する点Aから点Bの間の比熱の割合とすることが好適である。
【0053】
3.エネルギー貯蔵プラントの放電動作
図6は、低圧側の圧力が約3MPa、高圧側の圧力が約30MPaである一様態における放電過程S2のP-h線図を示している。
【0054】
当該放電過程S2では、エネルギー貯蔵プラントは、作動流体が点a→点b→点c→点d→点e→点f→点g→点aというサイクルをたどる第1放電回路D1と、作動流体が点h→点i→点d→点e→点h というサイクルをたどる第2放電回路D2を構成する。
【0055】
第1放電回路D1では、点a(約マイナス6℃)から点b(約10℃)の間では、作動流体はポンプ13により昇圧される。点bと点c(約20℃)の間では、中央熱交換器8において、点f(約30℃)から点g(約20℃)の間を通る作動流体により、作動流体は予熱される。点cから点d(約240℃)の間では、作動流体は第1補助熱交換器7及び第1熱交換器4により加熱される。点dから点e(約90℃)の間では、作動流体は第1膨張機15により膨張させられる。点eから点fの間では、作動流体は第2膨張機16により再膨張させられる。点fと点gの間では、作動流体は中央熱交換器8において予冷される。点gから点aの間では、第2熱交換器9により作動流体は冷却される。
【0056】
第2放電回路D2では、点h(約25℃)から点i(約57℃)の間では、作動流体は補助ポンプ14により昇圧される。点iから点dの間では、作動流体は第1熱交換器4により加熱される。点dから点eの間では、作動流体は第1膨張機15により膨張させられる。点eから点iの間では、作動流体は放熱器19により冷却される。
【0057】
一般に、ヒートポンプを用いたカルノーバッテリーにおける充放電効率は、約35%から約60%と言われている。本実施形態に係るエネルギー貯蔵プラントによれば、例えば、約50%の充放電効率のカルノーバッテリーを、約60℃の排熱を用いて、充放電効率約57%に向上させることができる。その際、排熱の熱貯蔵用の設備を新たに導入することなく、高温側の蓄熱設備の一部に排熱の熱貯蔵の役割を担わせることにより、排熱利用の省スペース化・低コスト化を図ることができる。
【0058】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0059】
・上記実施様態では、作動流体を二酸化炭素としたが、作動流体に例えばアンモニアやハイドロフルオロオレフィン冷媒を用いてもよい。
・高温蓄熱用媒体には、加圧により沸点の温度を上げた水である加圧水や、砂、砂利、土、もしくはこれらの固体と合成油や水を混合したスラリーを用いてもよい。
・冷熱の貯蔵を潜熱によって行っているが、砂、砂利、土など固体・粉体や、食塩水などの水溶液に顕熱で冷熱を貯蔵してもよい。
・必要に応じて、熱交換器の一部を並流式としても構わない。
・排熱温度は常温よりも高い温度であればよい。
・高温側中温タンク10Bの温度維持のために、高温側中温タンク10B内の高温蓄熱用媒体を外部熱源100で加熱してもよい。
・充電過程S1における膨張手段として用いられている低温膨張タービン3については、膨張弁であってもよい。
・充電過程S1において、低圧側の圧力を約2.5MPa、高圧側の圧力を約20MPaとしたが、使用する冷媒の性質に合わせた圧力を用いて構わない。
・放電過程S2において、低圧側の圧力を約3MPa、高圧側の圧力を約30MPaとしたが、使用する冷媒の性質に合わせた圧力を用いて構わない。
・電動機と発電機については、電動機・発電機両用のものを用いて同一の機器としても構わない。
【0060】
<変形例1>
上記の充電過程S1の実施形態では、高温側低温タンク10C、排熱回収熱交換器20、第1補助熱交換器7、中央熱交換器8、第2熱交換器9、低温蓄熱用媒体、低温側蓄熱タンク11、低温膨張タービン3を備えていたが、これらの構成は必須ではない。例えば、
図7に示すように、エネルギー貯蔵プラントは、圧縮機1と、電動機2と、第1熱交換器4と膨張手段30と加熱手段90と予熱用熱交換器6と、高温蓄熱用媒体を介して作動流体の熱を蓄熱する高温側蓄熱タンク10を備え、高温側蓄熱タンク10は、高温側高温タンク10Aと、外部熱源100により加熱された高温蓄熱用媒体を貯蔵する高温側中温タンク10Bを備える構成とすることも可能である。ここで、本変形例の場合、外部熱回収手段は、外部熱源100からの熱により高温側中温タンク10B又はこれに貯蔵された高温蓄熱用媒体を直接加熱することが可能な構成とされる。このような構成であっても、外部熱源100による熱を高温側高温タンク10Aの一部に貯蔵することで、外部熱源100による熱を貯蔵するための補助的な蓄熱槽を用いずとも、外部熱源100の熱を貯蔵し、活用することができる。
【0061】
<変形例2>
また、
図8に示すように、
図7に示す構成から、高温側低温タンク10Cと排熱回収熱交換器20のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、外部熱源100により加熱された高温蓄熱用媒体を高温側中温タンク10Bに、外部熱源100による加熱前の高温蓄熱用媒体を高温側低温タンク10Cにそれぞれ貯蔵することができる。
【0062】
<変形例3>
また、
図9に示すように、
図7に示す構成から、高温側低温タンク10Cと第1補助熱交換器7のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、第1熱交換器4により冷却された後の作動流体が持つ熱の一部を、高温蓄熱用媒体の加熱に利用することができる。
【0063】
<変形例4>
また、
図10に示すように、
図9に示す構成から、排熱回収熱交換器20のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、外部熱源100又は作動流体により加熱された高温蓄熱用媒体を高温側中温タンク10Bに、加熱前の高温蓄熱用媒体を高温側低温タンク10Cにそれぞれ貯蔵することができる。
【0064】
<変形例5>
また、
図11に示すように、
図10に示す構成から、中央熱交換器8のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、充電過程S1が蒸気圧縮冷凍サイクルである場合、膨張手段での作動流体の膨張を液相のみで行うことができる場合があり、これにより、例えば、膨張手段になんらかの膨張機を用いて、一部の動力を回収する場合に、気液混合相で膨張を行うよりも動力回収が容易となる。
【0065】
<変形例6>
また、
図12に示すように、
図11に示す構成から、第2熱交換器9と低温側蓄熱タンク11のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、充電過程S1において作動流体が膨張手段により膨張させられたことにより発生する冷熱を貯蔵することができる。
【0066】
<変形例7>
上記実施形態では、放電過程S2での構成として、中央熱交換器8及び低温側蓄熱タンク11を備えていたが、これらの構成は必須ではない。例えば、
図13に示すように、エネルギー貯蔵プラントは、作動流体とポンプ13と、第1補助熱交換器7と、第1熱交換器4と、第1膨張機15と、第1発電機17と、第2膨張機16と、第2発電機18と、加熱手段90と、放熱器19と、補助ポンプ14と、作動流体と熱交換する高温蓄熱用媒体を貯蔵する高温側蓄熱タンク10を備え、高温側蓄熱タンク10は、高温側高温タンク10Aと高温側中温タンク10Bと高温側低温タンク10Cを備える構成とすることも可能である。このような構成であっても、高温側蓄熱タンク10に貯蔵された熱を用いて放電を行うことができる。
【0067】
<変形例8>
また、
図14に示すように、
図13に示す構成から、中央熱交換器8のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、放電過程S2の第1放電回路D1において、第2熱交換器9にて作動流体を冷却する前に予冷を行うことができ、ポンプ13で圧縮する際の作動流体の状態を液相としやすくなる。
【0068】
<変形例9>
また、
図15に示すように、
図13に示す構成から、低温側蓄熱タンク11のみを追加した構成とすることも可能である。本構成であれば、放電過程S2の第1放電回路D1において、第2熱交換器9にて作動流体を冷却する際に、低温側蓄熱タンク11に貯蔵された低温蓄熱用媒体の冷熱を用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :圧縮機
2 :電動機
3 :低温膨張タービン(膨張手段)
4 :第1熱交換器
6 :予熱用熱交換器
7 :第1補助熱交換器
8 :中央熱交換器
9 :第2熱交換器(加熱手段)
10 :高温側蓄熱タンク
10A :高温側高温タンク(第2蓄熱タンク)
10B :高温側中温タンク(第2蓄熱タンク)
10C :高温側低温タンク(第3蓄熱タンク)
11 :低温側蓄熱タンク(第4蓄熱タンク)
13 :ポンプ
14 :補助ポンプ
15 :第1膨張機
16 :第2膨張機
17 :第1発電機
18 :第2発電機
19 :放熱器
20 :排熱回収熱交換器(外部熱回収手段)
30 :膨張手段
90 :加熱手段
100 :外部熱源
C1 :ヒートポンプ回路
D1 :第1放電回路
D2 :第2放電回路
S1 :充電過程
S2 :放電過程
S3 :外部熱貯蔵過程
【要約】 (修正有)
【課題】簡易的な構成によって、外部の熱を充放電効率向上のために活用するエネルギー貯蔵プラントを提供する。
【解決手段】熱を貯蔵することにより充電を行うエネルギー貯蔵プラントであって、作動流体を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1を駆動する電動機2と、作動流体を冷却又は加熱する第1熱交換器4と、作動流体を膨張させる膨張手段である低温膨張タービン3と、作動流体を加熱する加熱手段である第2熱交換器9と、作動流体同士で熱交換器を行う予熱用熱交換器6と、第1熱交換器4において作動流体と熱交換する第1蓄熱用媒体を貯蔵する第1蓄熱タンクとしての高温側高温タンク10A及び第2蓄熱タンクとしての高温側中温タンク10Bと、外部熱源100による熱を第2蓄熱タンク内に貯蔵する外部熱回収手段としてのとしての排熱回収熱交換器20と、を備える。
【選択図】
図1