IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナショナル ユニバーシティ オブ タイナンの特許一覧

特許7557233太陽電池モジュールのリサイクル装置及びそのリサイクル方法
<>
  • 特許-太陽電池モジュールのリサイクル装置及びそのリサイクル方法 図1
  • 特許-太陽電池モジュールのリサイクル装置及びそのリサイクル方法 図2
  • 特許-太陽電池モジュールのリサイクル装置及びそのリサイクル方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールのリサイクル装置及びそのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/35 20220101AFI20240919BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240919BHJP
   B23C 3/00 20060101ALI20240919BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240919BHJP
   B09B 101/15 20220101ALN20240919BHJP
【FI】
B09B3/35 ZAB
B09B5/00 Z
B23C3/00
B23Q11/00 K
B09B101:15
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023545933
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2021059962
(87)【国際公開番号】W WO2022167857
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】110104260
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523284284
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ タイナン
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー, ヤオ-シェン
(72)【発明者】
【氏名】タイ, シュエ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】ホン, チア-ツォン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 チェン-チョン
(72)【発明者】
【氏名】フー, チュン-チー
(72)【発明者】
【氏名】コー, ハオ-ウェイ
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-054593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/35
B09B 5/00
B23C 3/00
B23Q 11/00
B09B 101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールのリサイクル装置であって、前記太陽電池モジュールは、太陽電池と、前記太陽電池の反対する2つの側面に配置されているバックプレート及びガラスカバープレートとを含み、
前記リサイクル装置は、
前記太陽電池モジュールを支持し且つ位置決めするためのプラットフォームと、
前記プラットフォーム上に配置されており、且つ、前記太陽電池モジュールのバックプレートに接触するように構成されているフライス部材と、前記フライス部材を囲み、切りくず受入空間を画定し、前記切りくず受入空間と連通する空気進入口及び吸引口を有するケーシングとを含む少なくとも1つのフライス装置と、
前記少なくとも1つのフライス装置に接続され、前記少なくとも1つのフライス装置を駆動して、前記フライス部材により前記太陽電池モジュールの周りを回って粉砕するための駆動装置と、を含み、
前記空気進入口は、外気が前記切りくず受入空間に入って前記フライス部材に接触できるように構成されており、
前記切りくず受入空間は、前記フライス部材による太陽電池モジュールの粉砕中に生成された切りくずを受け入れるように構成されており、且つ、
前記空気進入口と前記吸引口とは、前記切りくずが前記吸引口を通じて前記切りくず受入空間から吸引されるように互いに連携し、
前記少なくとも1つのフライス装置と共に移動可能であるスムージング装置を更に含み、前記スムージング装置は、前記ケーシング上に位置するプレスプレートと、前記プレスプレートから下方に延び、前記ケーシングの外周に位置し、前記太陽電池モジュールの前記バックプレートに接触するように構成されているスムージングユニットと、を含む、太陽電池モジュールのリサイクル装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフライス装置は、複数のフライス装置を含み、前記駆動装置は、前記フライス装置に接続されている水平駆動機構、垂直駆動機構及び縦方向駆動機構と、前記水平駆動機構、前記垂直駆動機構及び前記縦方向駆動機構に接続されている駆動モータと、を含む、請求項1に記載のリサイクル装置。
【請求項3】
光学定規と測定素子とを含む測定装置を更に備え、前記光学定規は、前記フライス部材の相対位置を測定するために前記垂直駆動機構に配置されており、前記測定素子は、前記太陽電池モジュールの前記ガラスカバープレートの厚さを測定するために前記プラットフォームの前記太陽電池モジュールと反対する側に配置されている、請求項に記載のリサイクル装置。
【請求項4】
前記吸引口に接続され、前記吸引口を通じて前記切りくず受入空間から吸い出された切りくずを収集する収集装置を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル装置。
【請求項5】
太陽電池モジュールのリサイクル方法であって、前記太陽電池モジュールは、太陽電池と、バックプレートと、ガラスカバープレートと、前記バックプレート及び前記ガラスカバープレートを前記太陽電池の2つの反対面に接着するための接着ユニットと、を含み、前記接着ユニットは、それぞれが前記バックプレート及び前記ガラスカバープレートのうちの1つと前記太陽電池の2つの反対面のうちの対応する1つとの間に配置されている2つの接着層を含み、前記リサイクル方法は、
請求項1に記載のリサイクル装置を準備するステップと、
前記バックプレートが前記プラットフォームと反対し、且つ前記少なくとも1つのフライス装置が前記太陽電池モジュールの前記バックプレートに接触できるように、前記太陽電池モジュールを前記プラットフォーム上に配置して位置決めするステップと、
前記駆動装置を作動させて、前記少なくとも1つのフライス装置を駆動して、3次元空間内で移動させ、前記フライス部材により、前記太陽電池モジュールの前記バックプレート、一方の前記接着層、前記太陽電池及び他方の前記接着層を順に粉砕して除去するステップと、
外気が前記空気進入口を通じて前記切りくず受入空間に進入して、粉砕中に少なくとも1つのフライス装置に接触することを可能にするステップと、
前記吸引口を通じて前記切りくず受入空間から吸い出された切りくずを、前記吸引口に接続されている収集装置に収集するステップと、を含み、
前記リサイクル装置は、前記少なくとも1つのフライス装置と共に移動可能なスムージング装置を更に含み、前記スムージング装置は、前記ケーシング上に位置するプレスプレートと、前記プレスプレートから下方に延び、前記ケーシングの外周に位置するスムージングユニットと、を含み、且つ、前記太陽電池モジュールの前記バックプレート、前記接着層及び前記太陽電池の順に粉砕中に、前記プレスプレートは、前記太陽電池モジュールを前記プラットフォームに向かって押圧し、前記太陽電池モジュールを前記プラットフォームに接させるように構成されている、太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項6】
前記フライス部材は、粉砕中に前記太陽電池モジュールの前記バックプレートまたは前記接着ユニットが除去されたかを区別することができる抵抗データを検出するためのセンサを有する、請求項に記載のリサイクル方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのフライス装置は、複数のフライス装置を含み、
前記駆動装置は、前記フライス装置に接続されている水平駆動機構、垂直駆動機構及び縦方向駆動機構と、前記水平駆動機構、前記垂直駆動機構及び前記縦方向駆動機構に接続されている駆動モータと、を含み、
前記リサイクル装置は、測定装置を更に含み、前記測定装置は、前記フライス部材の相対位置を測定するために前記垂直駆動機構に配置されている光学定規と、前記太陽電池モジュールの前記ガラスカバープレートの厚さを測定するために前記プラットフォームの前記太陽電池モジュールと反対する側に配置されている測定素子と、を含み、且つ、
前記太陽電池と共に前記接着ユニットを粉砕する前に、前記測定素子を用いて前記ガラスカバープレートの厚さを測定し、前記光学定規を用いて前記フライス部材の相対位置を決定する、請求項に記載のリサイクル方法。
【請求項8】
前記太陽電池の切りくずと前記接着層の切りくずとは、異なる粒径、導電率、密度を有し、前記収集装置に収集された後に分離される、請求項に記載のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールのリサイクル装置及びそのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の太陽電池モジュールは、主に、太陽電池と、該太陽電池の反対する2つの面に接着層により接続されているカバープレート及びバックプレートと、該太陽電池、該カバープレート及び該バックプレートを囲む外枠とを含む。
【0003】
一般に、既存の太陽電池モジュールのリサイクル工程において、該太陽電池モジュール全体を直接破砕した後、破砕した太陽電池モジュールを熱分解して接着層を化学変化させることで、カバープレート、太陽電池及びバックプレートを分離することができる。しかし、バックプレートの材料がフッ化ポリビニリデン(PVDF)やフッ化ビニル樹脂(PVF)であって、熱分解の過程で揮発性有機ガス(VOCs)やハイドロフルオロカーボン(HFCs)などの環境に有害な物質を発生させるので、熱分解して得られたカバープレートや太陽電池は汚染される。
【0004】
このように、既存の熱分解によって太陽電池モジュールと接着層を分離するプロセスは、環境を汚染するだけでなく、高いエネルギー消費を必要とし、経済的ではないことが分かる。更に、分離されたカバープレートと太陽電池は汚染されており、その結果、その後のリサイクルの経済効果が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本開示の目的は、先行技術の欠点の少なくとも1つを緩和することができる太陽電池モジュールのリサイクル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本開示の太陽電池モジュールのリサイクル装置は、プラットフォームと、少なくとも1つのフライス装置と、駆動装置とを含む。前記太陽電池モジュールは、太陽電池と、前記太陽電池の反対する2つの側面に配置されているバックプレート及びガラスカバープレートとを含む。プラットフォームは、前記太陽電池モジュールを支持し且つ位置決めするために提供される。少なくとも1つのフライス装置は、前記プラットフォーム上に配置されており、且つ、前記太陽電池モジュールのバックプレートに接触するように構成されているフライス部材と、前記フライス部材を囲み、切りくず受入空間を画定し、前記切りくず受入空間と連通する空気進入口及び吸引口を有するケーシングとを含む。前記駆動装置は、前記少なくとも1つのフライス装置を駆動して、前記フライス部材により前記太陽電池モジュールの周りを回って粉砕するために、前記少なくとも1つのフライス装置に接続されている。
【0007】
前記空気進入口は、外気が前記切りくず受入空間に入って前記フライス部材に接触できるように構成されている。前記切りくず受入空間は、前記フライス部材による太陽電池モジュールの粉砕中に生成された切りくずを受け入れるように構成されている。前記空気進入口と前記吸引口とは、前記切りくずが前記吸引口を通じて前記切りくず受入空間から吸引されるように互いに連携する。
【0008】
本開示の他の目的は、太陽電池と、バックプレートと、ガラスカバープレートと、前記バックプレート及び前記ガラスカバープレートを前記太陽電池の2つの反対面に接着するための接着ユニットとを含む太陽電池モジュールのリサイクル方法を提供する。前記接着ユニットは、それぞれが前記バックプレート及び前記ガラスカバープレートのうちの1つと前記太陽電池の2つの反対面のうちの対応する1つとの間に配置されている2つの接着層を含む。
【0009】
従って、本開示のリサイクル方法は、上記リサイクル装置を準備するステップと、前記バックプレートが前記プラットフォームと反対し、且つ前記少なくとも1つのフライス装置が前記バックプレートに接触できるように、前記太陽電池モジュールを前記プラットフォーム上に配置して位置決めするステップと、前記駆動装置を作動させて、前記少なくとも1つのフライス装置を駆動して、3次元空間内で移動させ、フライス部材により、前記バックプレート、一方の前記接着層、前記太陽電池及び他方の前記接着層を順に粉砕して除去するステップと、外気が前記空気進入口を通じて前記切りくず受入空間に入り、粉砕中に少なくとも1つのフライス装置に接触することを可能にするステップと、前記吸引口を通じて前記切りくず受入空間から吸い出された切りくずを、前記吸引口に接続されている収集装置に収集するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細に説明することにより明白になる。
図1】本開示の実施形態に係る太陽電池モジュールのリサイクル装置の斜視図である。
図2】この実施形態の部分概略断面図である。
図3】この実施形態のフライス装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3を参照すると、本開示の実施形態による太陽電池モジュール10のリサイクル装置は、プラットフォーム2と、2つのフライス装置3と、駆動装置4と、2つのスムージング装置5と、収集装置6と、測定装置7とを含む。太陽電池モジュール10は、太陽電池と、バックプレートと、ガラスカバープレートと、該バックプレート及び該ガラスカバープレートを該太陽電池の反対する2つの側面に接着するための接着ユニットとを含む。該接着ユニットは、それぞれが該バックプレート及び該ガラスカバープレートの一方と、該太陽電池の2つの反対面のうちの対応する1つとの間に配置される2つの接着層を含む。
【0012】
プラットフォーム2は、主に太陽電池モジュール10を支持するためのものであり、その上に太陽電池モジュール10を安定的に配置するための複数の吸引孔(図示せず)を有する。
【0013】
フライス装置3は、プラットフォーム2上に配置されている。各フライス装置3は、太陽電池モジュール10のバックプレートに接触するように構成されているフライス部材31と、フライス部材31を囲むケーシング32とを含む。ケーシング32は、管状の外形を有し、切りくず受入空間320を画定し、切りくず受入空間320と連通する空気進入口321及び吸引口322を有する。なお、フライス装置3の数は、ここに開示されたものに限定されず、1つまたは2つより多くてもよく、実際の要求に応じて調整することが可能である。この実施形態では、各フライス部材31は、CNCスピンドルとして例示されているが、これに限定されるものではない。太陽電池モジュール10のバックプレート、太陽電池、及び接着ユニットを粉砕して除去することができれば、フライス部材31の形態は問わない。
【0014】
駆動装置4は、フライス装置3に接続されている水平駆動機構41、垂直駆動機構42及び縦方向駆動機構44と、水平、垂直及び縦方向駆動機構41、42、44に接続されている駆動モータ43とを含む。駆動装置4は、フライス装置3を駆動して3次元空間内を移動させるために、フライス装置3に接続されている。
【0015】
スムージング装置5は、それぞれ、フライス装置3上に配置されている。各スムージング装置5は、それぞれ1つのフライス装置3のケーシング32の上に位置するプレスプレート51と、プレスプレート51から下方に延び、それぞれのフライス装置3のケーシング32の外周に配置され、太陽電池モジュール10に接触できるスムージングユニット52とを含む。プレスプレート51は、スムージングユニット52に力を加えることができるので、スムージングユニット52は太陽電池モジュール10に対して安定的に押圧することができる。駆動装置4がフライス装置3を駆動して太陽電池モジュール10の周りを回って粉砕する際に、スムージング装置5の補助により太陽電池モジュール10が反ることを防止することができる。
【0016】
ここで、プレスプレート51がスムージングユニット52に力を加えるための駆動方法としては、例えば、バネや空気圧を用いることができるが、これに限定されない。更に、この実施形態においては、スムージングユニット52は、プレスプレート51から下方に延び、間隔をあけている4つの脚部521と、それぞれが脚部521の下端部に回転可能に接続されている4つのローラー522とを含む。なお、スムージングユニット52の構成は、ここに開示されたものに限定されず、例えば、ケーシング32を囲むリング状の部材であってもよいし、太陽電池モジュール10を平坦化できる他の形状であってもよい。
【0017】
この実施形態の収集装置6は、フライス装置3のケーシング32の吸引口322に接続されており、且つ、吸引口322を通じてフライス装置3のケーシング32の切りくず受入空間320から吸引された切りくずを収集してリサイクルするために用いられる。
【0018】
測定装置7は、光学定規71と、測定素子72とを含む。光学定規71は、フライス装置3のフライス部材31の相対位置を測定するために、垂直駆動機構42上に配置されている。測定素子72は、太陽電池モジュール10のガラスカバー板の厚さを測定するために、プラットフォーム2の太陽電池モジュール10と反対する側に配置されている。測定素子72は、例えば、光学素子であってもよいが、これに限定されない。
【0019】
本開示のリサイクル装置を用いて太陽電池モジュール10をリサイクルするには、まず、駆動装置4を作動させてフライス装置3を三次元空間内で移動させて、フライス部材31により太陽電池モジュール10のバックプレート、接着ユニット及び太陽電池を粉砕して除去し、且つ、外気を空気進入口321を通じて各ケーシング32の切りくず受入空間320に進入させて各フライス部材31に接触させて温度を下げる。空気進入口321と吸引口322の連携により、各ケーシング32の切りくず受入空間320に受け入れられた切りくずは、そこから吸引口322を通じて収集装置6に吸引されることができる。
【0020】
本開示のリサイクル装置を用いて太陽電池モジュール10をリサイクルする方法をより明確に説明するために、以下、太陽電池モジュール10をリサイクルする方法に含まれるステップを詳細に説明する。
【0021】
まず、本開示のリサイクル装置を準備する。
そして、太陽電池モジュール10を、バックプレートがプラットフォーム2と反対し、フライス装置3のフライス部材31が接触できるように、プラットフォーム2上に配置する。
【0022】
次に、駆動装置4の駆動モータ43を作動させて、水平、垂直及び縦方向駆動機構41、42、44を駆動し、これにより、フライス部材31を三次元空間内で移動させて、太陽電池モジュール10のバックプレート、一方の接着層、太陽電池、及び他方の接着層をそのガラスカバープレートから順に粉砕して除去し、ガラスカバープレートをもリサイクルできるようにする。ここで、この実施形態の各フライス部材31は、CNCスピンドルとして構成されており、駆動装置4との連携により、3次元空間におけるフライス部材31の移動精度はミクロン(μm)レベルに達することができる。
【0023】
更に、バックプレートが接着ユニットの上方に配置される太陽電池モジュール10の多層構造により、フライス部材31がバックプレートを粉砕して除去する際に、フライス部材31はバックプレートの下方の接着層にも接触することになる。バックプレートは主にフッ化ポリビニリデン(PVDF)等の材料からなり、接着層はエチレン酢酸ビニール(EVA)等の材料からなるので、両者の硬さの程度には差がある。更に、この実施形態の各フライス部材31は、抵抗データを検出するためのセンサ(図示せず)を有する。即ち、バックプレートと接着層とを粉砕する際に各フライス部材31が生じる抵抗は、両者の硬度の違いにより異なることになる。従って、各フライス部材31のセンサで検出される抵抗データが変化すると、粉砕中にバックプレートと接着層のどちらが削られているかを区別することができる。このようにすれば、バックプレートを除去する際に、各フライス部材31が接着層を粉砕して除去することがない。
【0024】
バックプレートを粉砕して除去した後、フライス部材31は、ガラスカバープレートを損傷することなく、太陽電池と共に2つの接着層を粉砕して除去するので、ガラスカバープレートもリサイクルすることができる。これは、まず測定素子72を用いてガラスカバープレートの厚さを測定し、そして光学定規71を通じてフライス部材31の相対位置を決定することにより行われる。
【0025】
更に、太陽電池と共にバックプレート及び接着ユニットを除去する際に、各スムージング装置5が太陽電池モジュール10に対してプラットフォーム2に接させるように力を加えることができ、プラットフォーム2の吸引孔と吸引孔に接続されている外部吸引装置(図示せず)と連携して、太陽電池モジュール10をプラットフォーム2に吸着させて安定的に位置決めできる。
【0026】
太陽電池と共に接着ユニットを粉砕して除去する場合、各フライス部材31が発熱して接着層が粘つくようになり除去作業の妨げとなるため、各フライス装置3は、その空気進入口321から外気を切りくず受入空間320に進入させて各フライス部材31を冷却し、接着層が太陽電池に粘着することを防止する。更に、空気進入口321と各ケーシング32の吸引口322との連携により、各ケーシング32の切りくず受入空間320に受け入れられた切りくずは、そこから各ケーシング32の吸引口322を通じて収集装置6に吸引されて、リサイクルすることができる。更に、太陽電池と共に接着層を除去する際に、粉砕時に生じる太陽電池の切りくずと接着層の切りくずとでは、それぞれミクロン(μm)単位及びミリメートル(mm)単位で測定されるよう粒径が異なる。また、太陽電池の切りくずと接着層の切りくずとでは、導電率や密度も異なる。従って、大きさの異なる2種類の切りくずを収集装置6で収集し、簡単な篩い分け方法で分離することができ、リサイクルコストを低減することができる。
【0027】
以上、本開示のリサイクル装置及びリサイクル方法において、各フライス部材31は、CNCスピンドルとして構成されており、駆動装置4との連携により、各フライス部材31は、ミクロン(μm)レベルに達する精度で3次元空間内を移動できる。更に、各フライス部材31は、抵抗データを検出するためのセンサを有する。各フライス部材31のセンサで検出される抵抗データに変化があった場合、粉砕中にフライス部材31によってバックプレートまたは接着層が除去されたかを区別することができる。そして、ガラスカバープレートの厚さを測定する測定素子72と、フライス部材31の相対位置を決定する光学定規71との連携とにより、フライス部材31がガラスカバープレートを損傷することなく太陽電池と共に接着ユニットを粉砕して除去できるので、ガラスカバープレートもリサイクルすることができる。粉砕除去工程においては、外気をその空気進入口321から各ケーシング32の切りくず受入空間320に進入させて、各ケーシング32に囲まれているフライス部材31を冷却し、接着層が太陽電池に粘着することを防止することができる。更に、空気進入口321と吸引口322との連携により、各ケーシング32の切りくず受入空間320に受け入れられた切りくずを、そこからその吸引口322を通じて収集装置6内に吸引してリサイクルすることができる。本開示の全体的なリサイクルプロセスにおいては、既存のもののように太陽電池モジュールを高温のエネルギーを消費する方法でリサイクルする必要がなく、また、リサイクル材料を汚染することを避けることができ、結果、全体的なリサイクルプロセスが容易になるので、リサイクルコストを有効に低減することができる。従って、本開示の目的は、確かに達成され得る。
【0028】
本開示は、例示的な実施形態と考えられるものに関連して説明されてきたが、本開示は、開示された実施形態に限定されるものではなく、そのような修正及び同等の配置をすべて包含するように最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な配置を対象とすることが意図されていることが理解される。
【符号の説明】
【0029】
10 太陽電池モジュール
2 プラットフォーム
3 フライス装置
31 フライス部材
32 ケーシング
320 切りくず受入空間
321 空気進入口
322 吸引口
4 駆動装置
41 水平駆動機構
42 垂直駆動機構
43 駆動モータ
44 縦方向駆動機構
5 スムージング装置
51 プレスプレート
52 スムージングユニット
521 脚部
522 ローラー
6 収集装置
7 測定装置
71 光学定規
72 測定素子
図1
図2
図3