(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】行政活動支援システム、行政活動支援方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240919BHJP
G06Q 40/12 20230101ALI20240919BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20240919BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q40/12
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2024082954
(22)【出願日】2024-05-21
【審査請求日】2024-05-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年3月12日に西宮市役所、同年同月14日に神奈川県庁、同年4月4日に奈良市役所、同年同月5日に三宅町役場、奈良県庁及び四條畷市役所、同年同月12日に山梨県庁、同年同月17日に南相馬市役所、同年同月26日に鎌倉市役所及び葉山町役場、同年5月6日に松山市役所、同年同月14日に徳島県庁、同年同月15日につくば市役所にて説明会を開催
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年4月10日に日本政策総研社員、同年同月12日に長崎市職員、同年5月17日に大津町職員に対しオンラインで説明会を開催
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年5月14日にイシン株式会社社員宛にメールを送信
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518355630
【氏名又は名称】株式会社WiseVine
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔生
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特許第7410600(JP,B1)
【文献】特開2006-155233(JP,A)
【文献】特開2011-081466(JP,A)
【文献】CSP PORIS IV解説書 予算編成編(中小都市向け内部情報総合システム),株式会社富士通和歌山システムエンジニアリング 富士通株式会社,1994年03月,第2版
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歳入管理を行うための行政活動支援システムであって、
ある執行年度における歳入である複数の一般財源それぞれについて、一般財源歳入額、及び一般財源歳入項目を登録し、
ある執行年度における歳入である複数の特定財源それぞれについて、特定財源歳入額、及び特定財源歳入項目を登録し、
それぞれの財源に係る財源情報は、予算編成の段階を示すトピックごと、及び、予算種別ごとの歳入額を含み、
執行年度
を含む検索条件に該当する一般財源の前記一般財源歳入額と、特定財源の前記特定財源歳入額と、を集計して、それぞれの集計結果を表示させ、
集計結果の表示画面は更に、トピック、予算種別及び年度の少なくとも一つを含む集計軸を選択可能に構成され、
ある集計軸の一般財源歳入額及び特定財源歳入額の集計結果が表示されているとき、集計軸が指定されると、前記財源情報に基づいて、前記検索条件に該当する一般財源及び特定財源について、指定された集計軸の一般財源歳入額及び特定財源歳入額の集計結果に切り換えて表示させる、
行政活動支援システム。
【請求項2】
執行年度が異なる継続する費用に係る財源情報は、互いに関連付けて登録され、
前記集計結果の表示画面は、増減比較及び要求査定比較を選択可能に構成され、
前記増減比較が選択されると、前記検索条件に含まれた年度を含む第1集計軸の歳入額の集計結果と、その前年度を含む第2集計軸の集計結果と、それらの差分と、を一般財源及び特定財源のそれぞれについて表示させ、
前記要求査定比較が選択されると、要求トピック及び前記検索条件に含まれた年度を含む第3集計軸の歳入要求額の集計結果と、査定トピック及び前記検索条件に含まれた年度を第4集計軸に含む歳入査定額の集計結果と、それらの差分と、を一般財源及び特定財源のそれぞれについて表示させる、
請求項1に記載の行政活動支援システム。
【請求項3】
前記増減比較が選択された場合の前記表示画面では、一般財源歳入額、特定財源歳入額及びそれらの総額について、集計結果を表示させ、
前記第2集計軸は、前記検索条件に含まれる予算種別を含む、
請求項2に記載の行政活動支援システム。
【請求項4】
前記増減比較が選択された場合の前記表示画面では、一般財源歳入額、特定財源歳入額及びそれらの総額について、集計結果を表示させ、
前記第2集計軸は、当初及び現計を含み、
前記第2集計軸の集計結果として、予算種別が当初及び現計の集計結果をそれぞれ表示させる、
請求項2に記載の行政活動支援システム。
【請求項5】
前記要求査定比較が選択された場合の前記表示画面では、一般財源歳入額、特定財源歳入額及びそれらの総額について、集計結果を表示させ、
前記第3集計軸及び前記第4集計軸は、前記検索条件に含まれる予算種別を含む、
請求項2に記載の行政活動支援システム。
【請求項6】
前記検索条件はキーワードを含み、
前記検索条件で指定されたキーワードを何れかのデータ項目に含む一般財源及び特定財源の歳入額を集計する、
請求項1に記載の行政活動支援システム。
【請求項7】
特定財源は、事業に関する担当組織が関連付けられた事業情報と関連付けて登録され、
一般財源は、財源を担当する担当組織と関連付けて登録され、
特定財源は事業に紐づいた担当組織、一般財源は財源に紐づいた担当組織に基づいて閲覧可能範囲が制限され、
利用者情報に関連付けられた組織体系項目に基づいて、利用者が閲覧可能な範囲の財源について、前記検索条件に該当する財源をリスト表示させる、
請求項1に記載の行政活動支援システム。
【請求項8】
表示する歳入項目の指定を受け付け、
指定された前記歳入項目に基づいて、前記検索条件に該当する一般財源、及び特定財源をリスト表示する、
請求項1に記載の行政活動支援システム。
【請求項9】
前記集計結果と並べて、前記検索条件に該当する一般財源、及び特定財源をリスト表示する、
請求項1に記載の行政活動支援システム。
【請求項10】
特定財源は事業単位以下の単位で、一般財源は予算科目体系単位で登録される、
請求項1に記載の行政活動支援システム。
【請求項11】
前記一般財源歳入項目及び前記特定財源歳入項目は、歳入科目を含み、
前記検索条件は、歳入科目を検索条件に含み、
前記第1ないし第4集計軸は、前記歳入科目を含む、
請求項
2に記載の行政活動支援システム。
【請求項12】
前記一般財源歳入額及び前記一般財源歳入項目、並びに特定財源歳入額及び特定財源歳入項目は、担当部門毎に登録され、
前記検索条件は、前記担当部門を含み、
前記第1ないし第4集計軸は、前記担当部門を含む、
請求項
2に記載の行政活動支援システム。
【請求項13】
一般財源及び特定財源は、予算種別と関連付けて登録され、
前記予算種別を軸として、一般財源及び/又は特定財源について、歳入要求額の集計及び歳入査定額の集計を行い、
前記歳入要求額の集計結果と、前記歳入査定額の集計結果と、前記歳入要求額及び前記歳入査定額の差分と、
要求額分の査定額である査定
率と、を表示させる、
請求項
2に記載の行政活動支援システム。
【請求項14】
歳入管理を行うための行政活動支援方法であって、
コンピュータが、ある執行年度における歳入である複数の一般財源それぞれについて、
一般財源歳入額、及び一般財源歳入項目を登録し、
ある執行年度における歳入である複数の特定財源それぞれについて、特定財源歳入額、及び特定財源歳入項目を登録し、
それぞれの財源に係る財源情報は、予算編成の段階を示すトピックごと、及び、予算種別ごとの歳入額を含み、
執行年度
を含む検索条件に該当する一般財源の前記一般財源歳入額と、特定財源の前記特定財源歳入額と、を集計して、それぞれの集計結果を表示させ、
集計結果の表示画面は更に、トピック、予算種別及び年度の少なくとも一つを含む集計軸を選択可能に構成され、
ある集計軸の一般財源歳入額及び特定財源歳入額の集計結果が表示されているとき、集計軸が指定されると、前記財源情報に基づいて、前記検索条件に該当する一般財源及び特定財源について、指定された集計軸の一般財源歳入額及び特定財源歳入額の集計結果に切り換えて表示させる、
行政活動支援方法。
【請求項15】
請求項
14に記載の行政活動支援方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行政において歳入管理を行うための行政活動支援システム、行政活動支援方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体を含む行政組織では、政策、施策、事務事業などの政策体系を設定し、それらに確保された予算の範囲内で事務事業等を執行している。施策や事業に関して毎年項目ごとに評価を行い、来年度の予算や来年度も継続して行うかなどの検討会議を行う。このように、行政活動における意思決定を行うために、政策、施策、事業に関する情報を利用していた。
【0003】
特許文献1では、地方自治体の財政計画はマクロ的視点から、個別事務事業の予算査定はミクロ的視点から行われており、両者は連動していない問題の解決に向けて、個別事務事業における、歳入・歳出計画作成をルール化、綿密化、IT化して、地方自治体全体の財政計画と事務事業の管理・評価を関連付けることにより、個別計画と全体戦略の整合性を保持し、事業積上型の長期的な財政推計を可能にする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
次年度の予算編成の際に前年度までの実績等を鑑みて予算が編成されるが、その際、予算の財源にあたる歳入について、項目等の条件によって集計し、管理することができなかった。
更に、別の側面では、特に注目している事務事業等の状況について複数の項目に係る情報を容易に取得することはできなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて、歳入管理を行うための新規な技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]歳入管理を行うための行政活動支援システムであって、
ある執行年度における歳入である複数の一般財源それぞれについて、一般財源歳入額、及び一般財源歳入項目を登録し、
ある執行年度における歳入である複数の特定財源それぞれについて、特定財源歳入額、及び特定財源歳入項目を登録し、
ある執行年度における検索条件に該当する一般財源の前記一般財源歳入額と、特定財源の前記特定財源歳入額と、を集計して、それぞれの集計結果を表示させる、行政活動支援システム。
[2]表示する歳入項目の指定を受け付け、
指定された前記歳入項目に基づいて、前記検索条件に該当する一般財源、及び特定財源をリスト表示する、
[1]に記載の行政活動支援システム。
[3]前記集計結果と並べて、前記検索条件に該当する一般財源、及び特定財源をリスト表示する、
[1]~[2]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[4]特定財源は事業単位以下の単位で、一般財源は予算科目体系単位で登録される、
[1]~[3]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[5]前記一般財源歳入項目及び前記特定財源歳入項目は、歳入科目を含み、
前記歳入科目を軸として、前記一般財源歳入額及び/又は前記特定財源歳入額を前記集計する、
[1]~[6]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[6]前記一般財源歳入額及び前記一般財源歳入項目、並びに特定財源歳入額及び特定財源歳入項目は、担当部門毎に登録され、
前記担当部門を軸として、前記一般財源歳入額及び/又は前記特定財源歳入額を前記集計する、
[1]~[5]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[7]予算種別を軸として、前記一般財源歳入額及び/又は前記特定財源歳入額を前記集計する、
[1]~[6]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[8]更に、前記ある執行年度の前年度の一般財源の前記一般財源歳入額と、特定財源の前記特定財源歳入額と、を集計し、前記前年度のそれぞれの集計結果を表示するとともに、前記ある執行年度における集計結果の差分を表示させる、
[1]~[7]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[9]一般財源及び特定財源は、予算種別と関連付けて登録され、
前記予算種別を軸として、一般財源及び/又は特定財源について、歳入要求額の集計及び歳入査定額の集計を行い、
前記歳入要求額の集計結果と、前記歳入査定額の集計結果と、前記歳入要求額及び前記歳入査定額の差分と、構成比又は査定率の一又は複数と、を表示させる、
[1]~[8]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[10]行政活動における事業の登録において、前記事業を担当する担当者と紐づけて前記事業の登録を行い、
一又は複数の担当者について人件費及び事業への稼働割合を登録し、
前記人件費及び前記稼働割合に基づいて、個々の担当者の前記事業における人件費を算出する、
[1]~[9]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[11]前記人件費の集計において、前記個々の担当者の前記事業における人件費を集計することで前記事業にかかる人件費の集計を行う、
[10]に記載の行政活動支援システム。
[12]行政活動における事業の登録において、事業を担当する担当者と紐づけて事業の登録を行い、
担当者の指定を受け付けると、前記担当者が担当した事業の検索を行い、
検索結果に基づいて、前記担当者が担当した事業のリストを表示させる、
[1]~[11]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[13]個別出費項目は、財源内訳と対応付けて登録され、更に、1又は複数年度の対応する個別出費項目と関連付けて登録され、
関連付けて登録された複数年度の個別出費項目を比較することで、一般財源歳入額が経年で急激に変化した見直しが適切でない可能性がある個別出費項目の検索を行う、
[1]~[12]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[14]個別出費会計は、財源内訳と関連付けて登録され、更に、1又は複数年度の対応する個別出費項目と関連付けて登録され、
関連付けて登録された複数年度の個別出費項目を比較することで、一般財源歳入額が経年で変化の小さい見直しが適切でない可能性がある個別出費項目の検索を行う、
[1]~[13]の何れかに記載の行政活動支援システム。
[15]検索された個別出費項目について、充当される一般財源歳入額、もしくは、一般財源及び特定財源歳入額を2以上の年度について経年比較可能に表示する、
[13]又は[14]に記載の行政活動支援システム。
[16]歳入管理を行うための行政活動支援方法であって、
コンピュータが、ある執行年度における歳入である複数の一般財源それぞれについて、一般財源歳入額、及び一般財源歳入項目を登録し、
ある執行年度における歳入である複数の特定財源それぞれについて、特定財源歳入額、及び特定財源歳入項目を登録し、
ある執行年度における検索条件に該当する一般財源の前記一般財源歳入額と、特定財源の前記特定財源歳入額と、を集計して、それぞれの集計結果を表示させる行政活動支援方法。
[17][16]に記載の行政活動支援方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【0008】
[1]に係る発明により、一般財源及び特定財源に関して登録された歳入額を集計し、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0009】
[2]に係る発明により、歳入項目による一般財源及び特定財源のリストを表示し、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0010】
[3]に係る発明により、歳入額の集計のみでなく、集計に含まれる財源のリストを表示し、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0011】
[4]に係る発明により、特定財源と一般財源とでその財源の性質に応じたデータの登録を行い、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0012】
[5]に係る発明により、歳入科目を軸として特定財源や一般財源の集計を行い、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0013】
[6]に係る発明により、その歳入の担当組織ごとに集計を行い、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0014】
[7]に係る発明により、予算の種別ごとに一般財源や特定財源を集計し、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0015】
[8]に係る発明により、前年度の歳入額の集計結果と差分を表示し、行政活動における歳入の管理を支援することができる。
【0016】
[9]に係る発明により、予算編成ステータスを利用して予算編成の状態と関連付けて歳入の管理を行うことができる。
【0017】
[10]に係る発明により、個々の担当者の人件費をそれぞれの事業ごとに管理することができる。
【0018】
[11]に係る発明により、事業ごとに担当者の人件費を管理することができる。
【0019】
[12]に係る発明により、担当者ごとに担当した事業の履歴を用意に提供することができる。
【0020】
[13]に係る発明により、充当される財源を軸として一般財源歳入額が急激に変化した個別出費項目の検索を行い、惰性的に継続している個別出費項目の候補を検索することができる。
【0021】
[14]に係る発明により、充当される財源を軸として一般財源歳入額に経年で変化の小さい、惰性的に継続している個別出費項目の候補を検索することができる。
【0022】
[15]に係る発明により、個別出費項目を検索し、事業より細かい個別出費項目という単位で財源(歳入額)を確認することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、歳入管理を行うための新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に関する行政活動支援システム、行政活動支援方法及び、行政活動支援プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0026】
<実施形態1>
本実施形態では、行政活動支援システム、行政活動支援装置の構成、動作等について説明を行うが、同様の構成の行政活動支援方法、コンピュータのプログラム及び当該プログラムを記録したプログラム記録媒体等も、同様の作用効果を奏する。プログラム記録媒体を用いれば、例えば、コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。以下で説明する本実施形態に係る一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0027】
<用語について>
行政組織とは、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体を含む行政を運営する組織であり、本実施形態では、地方自治体を例とする。本発明に係る行政活動支援システムは、行政組織で利用され、行政活動における意思決定を支援する。
【0028】
<行政活動の概略>
地方自治体における行政活動の流れについて、一例を説明する。行政活動は、予算編成段階、予算執行段階、行政評価段階などの各段階(トピック)を1年度単位で順次実施していく。予算編成段階では、次期執行年度に実施する事務事業を決定する等、政策体系の実施内容を計画し、計画された政策体系に対して予算要求、査定、内示、議決などを経て予算編成を行う。予算執行段階では、予算編成された予算を用いて、事務事業などの政策体系を執行する。行政評価段階では、執行された政策体系についてその実績などを評価する。
【0029】
政策体系とは、政策-施策-事務事業の3階層で区分された課題体系である。本実施形態では、施策は、施策とその配下の施策(細施策と呼称する)を含む複数階層(2階層)の区分を含むものとし、
図3に示すような政策-施策-細施策-事務事業の4階層で区分された課題体系を用いて事務事業の管理を行う場合について例示する。例えば、課題体系が3階層や5階層以上で区分がされ、事務事業の管理が行われてもよい。また、政策及び/又は事務事業が、2階層以上の区分を含むものであってもよい。
政策とは、特定の行政課題に対応するための基本的な方針実現を目的とする行政活動の大きなまとまりであり、制定された行政区分(市区町村等)におけるまちづくりの方向性や目的を示すものである。
施策とは、政策における基本的な方針に基づく、具体的な方針の実現を目的とした行政活動のまとまりであり、政策を実現するための方策や対策を示す。また、細施策は施策毎に方策や対策を更に細分化したものである。
事務事業とは、施策(細施策)における具体的な方針を具体化する為の個々の行政手段としての事務及び事業である。事務事業は、行政区分に所属する各局における予算を元に、各局により実施される。
【0030】
<行政活動の概略>
地方自治体における行政活動の流れについて、一例を説明する。行政活動は、予算編成段階、予算執行段階、行政評価段階などの各段階(トピック)を1年度単位で順次実施していく。予算編成段階では、次期執行年度に実施する事務事業を決定する等、政策体系の実施内容を計画し、計画された政策体系に対して予算要求、査定、内示、議決などを経て予算編成を行う。予算執行段階では、予算編成された予算を用いて、事務事業などの政策体系を執行する。行政評価段階では、執行された政策体系についてその実績などを評価する。
【0031】
<システム構成>
図1は、行政活動支援システム1のシステム構成図を示す。行政活動支援システム1は、行政活動支援装置2と、利用者端末3と、データベースDBと、を備え、各構成部はそれぞれ通信ネットワークNWに接続される。例えば、通信ネットワークNWは、総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)を含み、総合行政ネットワークを経由して、行政活動支援装置2とデータベースDB、行政活動支援装置2と利用者端末3が接続される。
【0032】
行政活動支援システム1(行政活動支援装置2)は、事務事業に係る行政活動を運用・管理する為のプラットフォームを提供する。行政活動支援装置2は、機能構成要素として、登録部21と、検索部22と、集計部23と、表示処理部24と、を備える。
【0033】
利用者端末3は、行政組織に属する利用者等が利用する端末装置である。利用者端末3は、少なくとも行政組織内に複数設置される。
【0034】
本実施形態において、利用者は、行政組織内の特別職(首長等)や、財政課等、官房部門の利用者、課長、部長、土木部(局・課)や農林水産部(局・課)等、原局・原課の利用者・統括(課長、部長等)などを含む。例えば、原課利用者は、事務事業の計画書等の事業帳票の作成や、予算要求書作成、予算執行、行政評価書作成などの業務を実施する。官房利用者は、原課利用者への予算要求書作成依頼、予算要求書の評価などの業務を実施する。課長・部長、特別職は、利用者による成果物の確認、計画書に基づく重点事業選定、優先順位付け、財政課利用者により承認された予算要求書の査定などの業務を実施する。行政活動支援システムは、各利用者に対して所定の操作権限を設けており、操作権限に応じた所定の機能の許可や制限を制御している。
【0035】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、行政活動支援装置2のハードウェア構成図を示す。行政活動支援装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、行政活動支援装置2は、サーバ装置、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、行政活動支援装置2は、複数のコンピュータ装置により構成され、全体として上述の機能構成要素(21-24)を実現できればよく、
図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0036】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの1つ以上のプロセッサにより構成され、行政活動支援プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、行政活動支援装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、行政活動支援プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3、及びデータベースDBとのデータ通信を実現する。制御部201は、行政活動支援プログラムを実行することで、コンピュータを行政活動支援装置2として機能させ、行政活動支援方法を実行させる。
【0037】
データベースDBは、図示例ではLGWAN等を含む通信ネットワークNW経由でアクセス可能なデータベースサーバであるが、例えば、行政活動支援装置2を構成する制御部201及び記憶部202を用いて実現されてもよいし、行政活動支援装置2とLAN等を介して接続されてもよい。
【0038】
図2(b)は、利用者端末3のハードウェア構成図を示す。利用者端末3は、ハードウェア構成として、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、入力部304と、出力部305と、を備える。本実施形態において、利用者端末3は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0039】
制御部301は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションなどを実行することで、利用者端末3における全体処理を制御する。記憶部302は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部303は、通信ネットワークとの通信制御を行い、少なくとも行政活動支援システム1とのデータ通信を実現する。入力部304は、利用者による入力操作を受け付ける入力インターフェイスであって、マイク、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。出力部305は、表示出力するディスプレイなどにより構成される。
【0040】
<データ構成>
まず、本実施形態に係る行政活動支援システム1におけるデータ構成について説明する。データベースDBには、組織マスタと、利用者マスタと、政策・施策マスタと、予算科目マスタと、行政指標マスタと、執行年度毎の事務事業情報(行政データ)が格納される。
【0041】
組織マスタには、行政組織内又は行政組織内外の組織に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の組織体系を表す組織体系項目が格納される。本実施形態では、組織マスタには、組織体系項目として、組織情報、及び部門情報が格納される。組織情報は、組織の識別情報(組織ID)、及び組織名が格納される。部門情報は、組織における部門(部局課室等)の識別情報(部門ID)、部門が属する組織の識別情報(組織ID)、部門が属する上位部門の識別情報(部門ID)、及び部門名が格納される。後述する利用者の所属部門や、政策・施策・事務事業の担当部門等は、組織体系項目に基づいて、各種情報に識別可能に登録される。
【0042】
利用者マスタには、組織内の利用者情報が格納される。利用者情報は、利用者の識別情報(利用者ID)、氏名、所属部門(組織体系項目)、等を有する。なお、1又は複数の利用者の集合である利用者グループが定義可能であってもよい。例えば、利用者グループの識別情報(利用者グループID)と、利用者グループに属する利用者の識別情報、グループ名等を有する利用者グループ情報によって利用者グループが定義されてもよいし、組織体系項目等の共通の属性を有した利用者を利用者グループとして扱ってもよい。事前に定義される利用者グループに含める利用者は任意に選択可能であってもよいし、共通の属性を有する利用者グループの中から選択可能であってもよい。利用者グループは、任意に設定されたグループ名やグループの特徴を表す属性名によって指定される。
【0043】
政策・施策マスタには、政策・施策に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の政策体系のうち、政策・施策に係る政策体系項目が格納される。政策体系は、
図3に示すようなツリー構造を有する。本実施形態では、政策・施策マスタには、政策体系項目情報として、政策情報及び施策情報が格納される。政策情報/施策情報は、政策/施策の識別情報(政策ID/施策ID)、政策番号/施策番号、政策名/施策名、担当部門(部局課室等)、政策の目的/施策の目的、政策概要/施策概要、を含む。また更に、施策情報は、対応する主要政策の識別情報(政策ID)を含む。
【0044】
科目マスタには、予算科目体系・決算科目体系・公会計科目体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の予算科目体系を表す予算科目体系項目、及び決算科目体系を表す決算科目体系項目が格納される。
本実施形態では、予算科目マスタには、予算科目体系項目として、予算科目情報が格納される。予算科目情報は、予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目が属する上位予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目種別(款項目節細節の何れか)、及び予算科目名を含む。
決算科目マスタには、決算科目体系項目として、歳出内訳目的情報、及び、予算性質情報が格納される。歳出内訳目的は、事務事業に紐付けされる歳出の目的を示し、決算トピックにおける決算統計等に利用される。歳出内訳目的情報は、歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)、歳出内訳目的が属する上位歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)対応する予算科目(款、項、又は目)の識別情報(予算科目ID)、歳出内訳目的の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類の三種類)、及び歳出内訳目的名を含む。予算性質は、節細節配下に設定される予算の性質を示し、予算性質情報は、予算性質の識別情報(予算性質ID)、予算性質が属する(対応する)予算科目(節又は細節)の識別情報(予算科目ID)、又は上位予算性質の識別情報(予算性質ID)、予算性質の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類・細分類の四種類)、及び予算性質名を含む。
【0045】
行政指標マスタには、行政指標体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の行政指標体系を表す行政指標体系項目が格納される。行政指標は成果指標と経過指標を含み、本実施形態では、行政指標マスタにおいては、行政指標体系項目として成果指標情報が格納される。成果指標は、上位の指標であるKGI(Key Goal Indicator)などの上位成果指標と、下位の指標であるKPI(Key Performance Indicator)などの下位成果指標と、に更に分類される。成果指標は、対応関係にある成果指標を相互に参照するための識別情報等により連携されている。本実施形態において成果指標には、定量評価可能な指標としての目標値が設定される。例えば、上位成果指標は、KGIなどの最終的な目標値として設定され、下位成果指標は、KPIなどの最終目標の達成に向けた中間的な目標として設定される。成果指標情報は、成果指標の識別情報(成果指標ID)と、上位成果指標の識別情報(成果指標ID)、成果指標体系項目が紐づく政策、施策、細施策、又は事務事業の識別情報、成果指標の内容を示す評価項目、執行年度毎の評価項目の目標値(指標値:行政指標の「予」)、並びに、行政指標を達成する期限等を有する。
また、予算編成等のトピックにおいて、事務事業に紐付けて経過指標情報が格納される。経過指標は、事務事業に対応付けられた下位成果指標の達成に向け、事務事業毎に設定された執行期間中に達成すべき複数の指標を示す段階的なタスクである。経過指標情報は、経過指標の識別情報(経過指標ID)と、上位成果指標の識別情報(成果指標ID)、経過指標が設定された事務事業の識別情報、執行年度、経過指標の内容を示す評価項目、経過指標の順番、及び経過指標を達成する期限等を有する。
【0046】
行政指標に対する評価は、それらの対応する政策体系項目の評価結果として反映することができる。また、事務事業等に設定された下位の行政指標の実績は、施策等の上位の行政指標の実績に反映することができる。
【0047】
実績情報は、各行政指標に対する実績を示し、各行政指標に対して予算執行段階や、その終了後等に登録される。本実施形態において、実績情報は、成果指標の実績である成果実績を示す成果実績情報と、経過指標の実績である経過実績を示す経過実績情報と、を含む。成果実績情報に含まれる実績値(行政指標の「実」)は、KGIやKPI等の指標値(行政指標の「予」)と比較可能な値である。
経過実績情報は、評価項目の実績を示す達成/未達フラグ(行政指標の「実」)、及び、達成日を有する。例えば、ある事務事業に関して設定された1又は複数の経過指標と、その実績(達成/未達)を集計することで、ある執行年度における当該事務事業に係る経過指標の達成割合を求めることができる(例えば、達成経過指標数/(達成経過指標数+未達経過指標数))。このとき、各事務事業について経過指標毎に重みが設定され、経過指標の重みと実績に基づいて、達成状況を集計してもよく、各経過指標に設定された期限を重みとして用いてもよい。なお、執行期間中に入力される「実」情報(行政指標に係る実績情報や後述の支出・収入情報等)を執行実績とする。
【0048】
事務事業には、各事務事業に内包された分解可能性を有する要素である内訳項目が設定される。内訳項目は、少なくとも節細節(予算目体系項目)が対応付けられた予算額に関する項目を含む。本実施形態では、内訳項目として、事務事業毎に、1又は複数の細事業が紐付けられ、また細事業毎に、節細節(予算目体系項目)が対応付けられ、予算の出費目的や出費先を示す内訳項目、予算額等を示す積算項目、及びその財源を示す財源内訳等が紐づけられる。出費先を示す内訳項目に対しては、1又は複数の積算項目、並びに、1又は複数の財源内訳が対応付けられる。出費先を示す内訳項目には更に節細節(予算目体系項目)が対応付けられ、積算項目及び財源内訳は、当初予算及び補正予算に係る予算に関する項目が含まれる。本発明では、出費先を示す内訳項目であって、予算科目体系項目と決算科目体系項目と財源内訳の少なくとも3つがそれぞれ一意に紐づいている内訳項目を個別出費項目と呼ぶ。本実施形態では、個別出費項目には、予算科目体系項目として節細節が、決算科目体系項目として予算性質が、財源内訳として一般財源及び/又は特定財源が紐づいている。
【0049】
また、個別の事務事業又は細事業には、組織体系項目、上位の政策体系項目、予算科目体系項目、行政指標体系項目が紐づけられる。本実施形態では、事務事業に対して1又は複数の組織体系項目、1又は複数の上位の政策体系項目、1又は複数の行政指標体系項目、並びに、款項目に係る予算科目体系項目が紐付けられると共に、細事業に対して、節細節に係る予算科目体系項目が紐付けられるデータ構造を採る。また、任意のトピックにおいて、個別の事務事業、細事業又は個別出費項目に、その内容を表すラベルが設定されてもよい。本実施形態では、事務事業に対して、重点事業であることを示すラベルが、個別出費項目には義務的経費であることを示すラベルや、継続事業等の予算額の増減を示すラベル等が設定される。
【0050】
事務事業情報は、個々の事務事業に関する政策体系項目としての行政データであり、執行年度毎に登録される。本実施形態では、事務事業情報は、事務事業に係る基本情報(事務事業基本情報)と、当該事務事業に関する行政指標情報、予算情報、財源情報、及び支出・収入情報を含む。
事務事業情報の基本情報(事務事業基本情報)は、事務事業の内容に関する情報であり、基本情報の(即ち事務事業情報の)識別情報(事務事業ID)、関連行政データ、事務事業名、当該事務事業が属する主要政策・施策(政策体系項目)、事業開始年度、執行(予定)年度、予算区分(例えば、当初予算、補正予算号数、繰越、現計)、トピック、事務事業の予算額、事務事業の歳入額、予算名、所属部局庁(組織体系項目)、担当部門(組織体系項目)、会計区分、事務事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、予算編成ステータス(例えば、「要求」、「調整中」、「査定」、「内示・議決」)、款項目(予算科目体系項目)、歳出内訳目的の大分類・中分類・小分類(決算科目体系項目)、経費分類、事務事業の予算額等を含むと共に、任意項目として、事務事業目的、事務事業概要、 根拠法令、関連する計画・通知等、現状・課題、事業終了(予定)年度、備考欄、重点課題(行政指標体系項目)等、事業に係る種々の情報を含む。また、事務事業情報には、PR資料等の添付資料、帳票が紐づけられてもよい。
【0051】
予算情報は、例えば、トピック毎(例えば、「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示・議決」)の予算額(歳出額)、個別の出費項目名、及び出費項目の節細節(予算科目体系項目)、予算性質の大分類・中分類・小分類・細分類(決算科目体系項目)を含む。予算額は、予算編成の「要求」段階において見積もられた予算額である要求額、「査定」段階において要求額から必要に応じて調整された予算額である査定額、「内示」された予算額である内示額等であり、本実施形態では、各事務事業情報は、有する個別出費項目毎に、各段階の予算額のそれぞれを保持可能に構成される。
【0052】
財源情報は、個々の予算額に対する1又は複数の財源を示し、例えば、財源名、予算情報に対して充当される歳入額、及び歳入の節細節(予算科目体系項目)を含む。本実施形態において登録される財源の区分は、一般財源及び特定財源であって、予算には一般財源又は特定財源が充当される。例えば、歳入額も予算額と同様に各トピックと紐づき、例えば、予算編成の「要求」段階において見積もられた歳入額である歳入要求額、「査定」段階において歳入要求額から必要に応じて調整された歳入額である歳入査定額、「内示」された歳入額である歳入内示額をそれぞれ保持可能に構成される。本実施形態において、財源情報は、充当される先の予算情報と関連付けて登録され、予算情報から充当される予算の区分を参照可能に構成される場合、その財源が充当される予算の区分に関する情報を含んでいなくてもよい。また、本実施形態において、財源情報は、その財源が充当される予算に関する予算情報と対応付けて登録される。また、財源情報は、予算情報を介してその財源が支出される事業に関する事務事業情報と関連付けられて記憶される。
【0053】
本実施形態では、政策情報、施策情報、事務事業情報は、執行年度毎に登録され、数カ年実施される政策同士・施策同士、継続や統合等された異なる執行年度の関連する事務事業同士が対応付られる。また、事務事業は、内訳項目によって4階層のツリー構造に細分化(事務事業>細事業>個別出費項目>積算項目)され、これら内訳項目も執行年度毎に登録される。事務事業は1又は複数の細事業を、細事業は1又は複数の個別出費項目を含む構造を採り、事務事業情報は、事務事業の内容を表す事務事業レイヤーのデータ項目である事務事業基本情報、細事業の内容を表す細事業レイヤーのデータ項目である細事業情報、及び個別出費項目の内容を表す個別出費項目レイヤーのデータ項目を含む。個別出費項目は、予算の出費目的や出費先を示す事務事業(本実施形態では細事業)の内訳項目であり、節細節(予算科目体系項目)及び予算性質別の予算額(積算項目)が対応付けられる。また、好ましくは、その予算額に対応する歳入額(財源内訳)が対応付けられる。積算項目は、個別出費項目に1又は複数含まれ、積算されることで事務事業又は上位の内訳項目の予算額を示す積算項目情報により登録される。財源内訳は、個別出費項目毎に0又は1含まれ、事務事業又は上位の内訳項目の歳入額を示す財源内訳情報によって登録される。
【0054】
細事業情報は、細事業の識別情報(細事業ID)、関連する事務情報の識別情報(事務事業ID)、細事業名、細事業概要、細事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、細事業の予算額等、細事業に係る種々の情報を含む。
【0055】
個別出費項目は、対応する細事業に係る行政活動に必要となる出費項目を示し、個別出費項目情報は、個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、関連する細事業の識別情報(細事業ID)、個別出費項目名、個別出費項目の予算額、個別出費項目グループラベル、個別出費項目概要、節細節(予算科目体系項目)、性質(予算性質:決算科目体系項目)を含む。
積算項目は、個別出費項目に含まれた個別具体的な出費項目であり、積算項目情報は、積算項目の識別情報(積算項目ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、積算項目名称、各トピックにおける予算額、執行予定四半期、積算項目概要、積算根拠(数式等)を含む。
財源内訳は、個別出費項目の財源を示し、財源情報は、財源の識別情報(財源ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、財源名称、各トピックにおける歳入額、財源充当率、財源区分(一般財源、特定財源)、款項目節細節(予算科目体系項目)、担当組織/担当部門(組織体系項目)、充当根拠、充当理由を含む。
【0056】
本実施形態では、特定財源は、歳出先となる事業や使途が特定されているため、歳出される先の事務事業の事務事業情報及び/又は個別出費項目と関連付けて登録される。また、一般財源は、歳出される事業や使途が特定されていないため、所管する組織及び/又は部門の者により担当組織及び/又は担当部門と関連付けて歳入の款項目節細節(予算科目体系項目)単位で登録される。
【0057】
本実施形態では、事務事業は4階層のツリー構造に細分化されており、事務事業の予算額は事務事業配下の細事業の予算額の総額、細事業の予算額は細事業配下の個別出費項目の予算額の総額、個別出費項目の予算額は個別出費項目配下の積算項目の予算額の総額によって与えられる。即ち、事務事業情報の登録に際して、登録部21は、積算項目の予算額について登録することで、個別出費項目、細事業、及び事務事業の予算額についても登録がされる。歳入額についても同様である。
【0058】
支出・収入情報は、執行期間中に、予算執行の為に随時登録される支出及び/又は収入に係る情報である。支出・収入情報は、支出・収入の識別情報(支出・収入ID)、執行対象予算の内訳項目の識別番号、支出・収入項目名、支出・収入額、及び節細節(予算目体系項目)等を含む。執行対象予算として、本実施形態では、支出・収入情報に個別出費項目が紐付けられるものとするが、積算項目を紐づけるようにしてもよい。
【0059】
本実施形態では、個別出費項目に対して予算科目体系(節細節)・決算科目体系が紐づいている例について説明を行っているが、更に、科目体系として個別出費項目の節細節に対して公会計における科目である公会計科目が1対1で紐づいていてもよい。公会計科目は、財務書類である一般会計等貸借対照表、一般会計等行政コスト計算書及び純資産変動計画書、一般会計等資金収支計算書等の国や地方自治体等の公共サービスを提供する組織における会計についての複式の科目であり、1又は複数の階層により体系立ててデータベースに格納される科目である。地方公会計とは、地方公共団体において統一的な基準として設定され、行政の財政の透明性を高め、住民への説明責任を果たすとともに、財政の効率化・適正化を図るため、現在の地方公共団体が運用している現金主義・単式簿記による予算・決算制度を補完する目的で運用される官庁会計制度を指す。後述する集計に関する処理では、集計部23は、この会計科目を軸として検索条件に該当する歳入及び/又は歳出の検索を行い、歳入額及び/又は歳出額の集計を行ってもよい。公会計科目が紐づけられた個別出費項目は、貸借対照表等の財務書類の作成に利用される。
【0060】
<登録部21>
登録部21は、利用者端末3を介して、組織情報、部門情報、利用者情報、政策情報、施策情報、事務事業情報、予算科目情報、成果指標情報、経過指標情報等の行政に係るデータの入力を受け付け、データベースDBに格納する処理を行う。また、登録部21は、利用者端末3で入力された一般財源及び特定財源に関する財源情報の登録を受けつけ、データベースDBに格納する。例えば、登録部21は、事前に、組織情報、部門情報、利用者情報、政策情報、施策情報、予算科目情報を受け付けてデータベースDBに格納しておき、予算編成の段階では、事務事業情報を受け付け、データベースDBに格納する。歳入の登録の段階では、一般財源又は特定財源について、歳入額を含む財源情報を受けつけ、データベースDBに格納する。このとき、登録部21は、財源情報とともに、その財源が充当される先の予算や事務事業の指定を受け付け、予算情報と財源情報を関連付けて登録する。また、執行の段階では、登録部21は、経過実績情報及び支出・収入情報の登録を受け付け、行政評価又は決算の段階では、成果実績情報等の登録を受け付ける。本実施形態において、登録部21は、予算編成の段階で、予算科目と決算科目を関連付けて登録する。本実施形態では、特定財源が紐づいていない個別出費項目に対しては、一般財源が充当されるため、財源区分が一般財源である財源内訳が関連付けて登録される。また、公会計科目を個別出費項目に対して紐づける場合、予算編成段階において、公会計科目も紐づけて個別出費項目が登録される。
【0061】
<検索部22>
検索部22は、利用者端末3から軸ごとに受け付けた検索条件に基づいて、データベースDBに格納されたデータから検索条件に該当する財源(一般財源及び特定財源)の検索を行う。そして、検索して索出した財源の集合を検索結果として集計部23及び表示処理部24に受け渡す。本実施形態では、個別出費項目に紐づいた財源内訳に基づいて条件に該当する財源の検索を行う。本実施形態において、検索部22は、更に、検索対象の財源と紐づいて登録されている前年度の同じ財源(例えば、検索対象が2024年度の県民税個人現年課税分均等割であれば、2023年度の県民税個人現年課税分均等割)も検索する。検索部22は、検索対象の前年度の財源を取得するため、検索対象の執行年度の前年度の財源(一般財源、特定財源)についても年度以外の他の検索条件を満たす財源を検索してもよい。このとき、検索部22は、2024年度かつ、税務課の担当であることを検索条件として受け付けると、2024年度かつ税務課の担当する財源(一般財源、特定財源)を検索するとともに、前年度(2023年度)の財源であって、年度以外の検索条件(担当が税務課)に該当する財源を検索してもよい。また、検索部22は、検索条件の登録を受け付け、受け付けた検索条件をデータベースDBに格納してもよい。このとき、検索部22は、以前利用者によって登録された検索条件に基づいて検索を行ってもよい。また、検索部22は、検索条件に基づいて該当する事務事業を検索してもよい。このとき、検索部22は、予算等の歳出に関する条件に基づいて、条件に該当する予算と紐づいた財源を検索し、抽出してもよい。
【0062】
<集計部23>
集計部23は、検索部22による検索結果に基づいて、索出された検索条件に該当する財源について、一般財源歳入額と、特定財源歳入額と、をそれぞれ集計する。また、本実施形態において、集計部23は、更に、一般財源歳入額及び特定財源歳入額を含む全体としての歳入額の集計結果(総額)の算出を行う。
【0063】
本実施形態において、集計部23は、様々な集計軸に基づいて集計を行う。集計軸は、集計を行う際の軸であり、例えば、国庫支出区分を軸とする場合、国庫支出区分ごとに歳入額を集計する。国庫支出金区分は、国が地方に対して支出する補助金等に関する区分であって、本実施形態では、国庫補助金、国庫負担金、国庫委託金等の区分を含む。また、本実施形態における集計軸は、歳入科目、担当組織/担当部門、予算種別(現計・当初等)を含む。集計部23は、集計軸に基づいて、歳入科目ごと、公会計科目ごと、担当部門ごと、予算種別ごとなど、集計軸に基づいて、歳入額の集計を行う。
【0064】
集計部23は、検索部22による検索対象の年度の前年度の財源に関する検索結果に基づいて、年度以外の検索条件が該当する、前年度の一般財源歳入額及び特定財源歳入額に関しても集計を行う。このとき、集計部23は、更に、検索対象の年度における集計結果と、検索対象の年度の前年度における集計結果の差分を算出する。また、集計部23は、当初・現計の歳入額の前年度からの増減率を算出してもよい。
【0065】
<表示処理部24>
表示処理部24は、検索部22により索出された検索条件を満たす財源の集合及び集計部23による集計結果に基づいて、集計結果表示画面等、各種画面表示を行う。また、表示処理部24は、一般財源及び特定財源についての財源情報の登録を受け付けるための登録画面の表示処理を行う。
【0066】
<画面表示例>
以下、
図4及び
図5を用いて表示処理部24により表示処理され、利用者端末3に表示される画面表示の例について説明を行う。
【0067】
図4において、予算に対して充当される歳入額等の財源に関する情報の登録画面の説明を行う。
図4に示す登録画面は、一般財源を登録するための財源登録画面であるが、特定財源についても同様の画面表示が表示され、特定財源歳入額等の財源情報の登録を受け付けてもよい。また、登録される財源情報は、充当される予算についての予算情報と関連付けて登録されてもよい。
【0068】
財源情報の登録画面である財源登録画面W1の画面表示の例である。
図4(a)に示す財源登録画面W1は、表示処理部24により表示処理され、利用者端末3において表示される、一般財源の登録を受け付けるための画面である。
【0069】
本実施形態における財源登録画面W1は、財源に関して、財源名称、執行年度、予算種別(現計・当初)、歳入科目(款項目節(予算目体系項目))、担当部門(所属部/局/庁、担当課室)、予算情報に対して充当される歳入額として、「要求」段階において見積もられた歳入額である歳入要求額の登録を受け付けることができる画面である。本実施形態における財源登録画面W1は、事前にデータベースDBに登録された財源名称からプルダウン形式で登録を行う財源名称を選択可能に構成されるが、利用者による財源名称の入力による財源名称の登録を受け付け可能に構成されていてもよい。登録部21は、利用者端末3に表示された財源登録画面W1を介して入力された財源情報の登録を受け付け、データベースDBに格納する。ここで登録された財源に対して1又は複数の個別出費項目が紐づけられる。
【0070】
図4(a)に示す財源登録画面W1は、一般財源を登録するための画面表示である。一般財源は使途が決まっていない財源であるため、
図4に示すような画面での登録を受け付けるが、特定財源は使途が決まっている財源であるため、
図4に示す財源登録画面W1に示す項目に加え、詳細に関する情報の登録を受け付ける。本実施形態において、登録部21は、特定財源の登録を受け付けるための画面において表示される摘要欄を介して、
図4に示す財源登録画面W1における項目に加えて、更に、個別出費項目、担当理由、充当根拠等の詳細な内容を受け付ける。
【0071】
また、登録部21は、財源登録画面W1を介して、予算種別の欄において、その歳入が充当される予算の種別(予算種別)の登録を受け付ける。また、特定財源及び一般財源が
図5に示すような同様の構成の画面を介して登録を受け付けるとき、財源登録画面W1は、更に、財源区分(一般財源、特定財源)の登録を受け付けてもよい。
【0072】
また、
図4(a)に示す画面は、「要求」段階までの歳入の登録を受け付けるための画面である。
図4(b)に示す歳入編集/詳細画面W2では、「要求」段階の歳入(歳入要求額)に加え、「査定」段階において歳入要求額から必要に応じて調整された歳入額である歳入査定額、「内示」された歳入額である歳入内示額の登録を受け付け可能な画面である。歳入編集/詳細画面W2では、登録された歳入に対する変更を受け付けることが可能である。
【0073】
図5は、集計結果及び検索条件を満たす財源情報を表示するための集計結果表示画面W3の画面表示の例である。集計結果表示画面W3は、検索条件入力部W31と、集計結果表示部W32と、歳入リスト表示部W33と、を備える。本実施形態において、表示処理部24は、検索部22により検索された、検索条件に該当する財源に関する財源情報等、データベースDBに格納されたデータに基づいて表示処理を行い、
図5に示すような集計結果表示画面W3を表示する。検索条件入力部W31は、プルダウン選択によりそれぞれの項目に関する条件を選択可能に構成されてもよいし、カテゴリを選択するとそれより下の階層の条件が選択可能となるようなカスケード表示のリストにおいて条件を選択可能に構成されていてもよい。また、キーワードが入力され、検索条件として利用されてもよい。
【0074】
検索部22は、検索条件入力部W31において入力された検索条件に基づいて、データベースDBより検索条件に該当する財源情報を検索し、抽出した財源の歳入額の集計を行う。表示処理部24は、検索部22により抽出された検索条件に該当する財源情報及び集計結果に基づいて、集計結果を集計結果表示部W32に表示させ、検索条件に該当する財源に関する情報を歳入リスト表示部W33に表示させる。
【0075】
検索条件入力部W31は、検索条件を入力するための画面表示である。集計される検索条件に該当する財源は、検索条件として、執行年度、予算種別(当初、現計)、予算編成の段階(要求/査定/内示・議決)、会計区分(一般会計、特別会計、一般会計及び特別会計(総計))や、任意のキーワードでデータ項目を検索することで指定される。なお、
図5において図示されないが、財源内訳の担当部門(組織体系項目)、歳入科目(款項目節細節(予算目体系項目))等を検索条件とすることができる。また、集計部23は、検索条件入力部W31において入力される検索条件の一部又は全部を集計軸として集計に利用してもよい。
【0076】
集計結果表示部W32は、検索部22により抽出された検索条件に該当する財源の歳入額の集計結果を表示する画面表示であって、本実施形態では、検索部22により抽出された検索条件に該当する財源について、特定財源及び一般財源の集計結果の合計である総額と、特定財源の歳入額の集計結果と、一般財源の歳入額の集計結果と、を表示する。また、本実施形態において、検索部22が検索対象の年度の前年度の財源に対しても検索を行い、集計部23が、歳入額の集計を行う。このとき、集計部23は、予算種別(本実施形態では当初、現計)ごとにそれぞれ集計を行う。表示処理部24は、前年度の検索条件に該当する財源に関して、その予算種別(当初、現計)ごとに、前年度の当初の歳入額及び前年度の現計の歳入額の集計結果を表示する。また、
図5に示す集計結果表示部W32は、更に、予算種別ごとに、検索対象となった年度の歳入額の集計結果と、前年度の歳入額の集計結果との差分を表示する。集計部23は、特定財源と、一般財源と、総額(特定財源と一般財源の総計)と、のそれぞれに関して、検索対象となった年度の歳入額の集計結果とその前年度の歳入額の集計結果と充当される予算の予算種別ごとに差分を算出する。また、集計部23が当初・現計の歳入額の前年度からの増減率を算出している場合、表示処理部24は、差分の代わりに増減率を表示した集計結果表示画面W3を表示させてもよい。
【0077】
また、
図5に示す集計結果表示部W32は、予算種別として当初予算が選択された場合の集計結果の表示の例であって、特定財源歳入額及び一般財源歳入額とともに前年度の歳入額の集計結果が表示されるが、選択された予算種別によって、一般財源歳入額及び特定財源歳入額とともに集計される対象が相違する。本実施形態では、予算種別として補正予算が選択されると、前年度の当初及び現計の歳入額が表示されている欄に補正前の特定財源歳入額及び一般財源歳入額の集計結果と、補正後の特定財源歳入額及び一般財源歳入額と、が表示される。
【0078】
歳入リスト表示部W33は、検索部22により索出された、検索条件に該当する財源に関する情報を表示するリストである。この歳入リスト表示部W33に表示される、検索条件に該当する財源の歳入額の集計結果が集計結果表示部W32において表示される。本実施形態において、歳入リスト表示部W33は、検索条件に該当する財源(一般財源、特定財源)に関して、執行年度、会計区分(一般会計、特別会計、一般会計及び特別会計の合計額(総計))、予算種別(当初、現計)、財源区分(一般財源、特定財源)、財源名称、歳入科目、担当部門、歳入額、特定財源額をリスト形式で表示する。表示処理部24は、検索部22において取得した索出された検索対象の財源の集合及び、索出された財源に関する財源情報に基づいて、
図5に示すような歳入リスト表示部W33を表示処理する。また、本実施形態において、歳入リスト表示部W33に表示される財源は、利用者の所属する組織及び/又は部門に応じて利用者ごとに相違する。本実施形態では、特定財源であれば、充当先事業の担当又は関連組織及び/又は部門に所属している利用者及び充当先事業に公開設定がされている組織及び/又は部門の利用者に対して表示される。一般財源であれば、財源の関連又は担当組織及び/又は部門に所属している利用者及び、財源について公開設定がされている利用者に対して表示される。また、財政課など、事業の特権組織となる組織に属している利用者は、いずれの財源に関する情報も表示される。
【0079】
このとき表示処理部24は、利用者により設定された表示件数や表示順等の設定に基づいて、検索部22により抽出された検索条件を満たす財源の表示を表示件数や表示順を変更して歳入リスト表示部W33の表示を行ってもよい。また、ダウンロードボタンが押下されると、行政活動支援装置2は、検索部22による検索結果に基づいて、歳入リスト表示部W33に表示されるような検索条件を満たす財源のリストをCSV(comma separated values)等の形で出力してもよい。
【0080】
<予算要求・査定比較>
また、
図5に示す集計結果表示画面W3は、予算・増減比較が選択された場合の画面であるが、予算要求・査定比較が押下され、選択されると、予算要求・査定比較画面が表示される。このとき、集計部23は、特定財源歳入要求額及び一般財源歳入要求額の集計と、特定財源歳入査定額及び一般財源歳入査定額の集計を行い、特定財源と一般財源のそれぞれに関して、要求額(特定財源歳入要求額及び一般財源歳入要求額)と査定額(特定財源歳入査定額及び一般財源歳入査定額)の差分を算出する。表示処理部24は、集計部23による集計結果に基づいて、特定財源と一般財源のそれぞれに関して、要求額(特定財源歳入要求額及び一般財源歳入要求額)の集計結果と、査定額(特定財源歳入査定額及び一般財源歳入査定額)の集計結果と、要求額と査定額の差分(特定財源歳入要求額と特定財源歳入査定額の差分、一般財源歳入要求額と一般財源歳入査定額の差分)と、を表示させる。また、集計部23は、査定率(査定額/要求額)を算出してもよい。このとき、表示処理部24は、差分と同様に査定率を表示させてもよい。
【0081】
検索部22は、検索条件に基づいて該当する事務事業を検索してもよい。惰性的に継続している事務事業は一般財源のみが充当されていることが多い。そのため、検索部22は、一般財源のみが充当されていることを検索条件として、事務事業を検索してもよい。このとき、表示処理部24は、検索結果に基づいて、一般財源のみが充当された事務事業を示すリストを表示させてもよい。
【0082】
<実施形態2>
以下、実施形態2において、人件費を登録し、担当者と紐づけて管理する場合の例について説明を行う。この場合、利用者情報に対して、給与額を含む人件費情報が紐づけて登録され、事業にかかる人件費の集計等の人件費に関する処理に利用される。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、担当者として事業等を担当する1又は複数の利用者についての利用者情報は、利用者ID等の担当者に関する識別情報を利用して事務事業情報又はその内訳項目に関する情報と関連付けて登録される。また、細事業や個別出費項目等の事務事業以下の階層の内訳項目についても、1又は複数の利用者情報が関連づけて登録され、人件費の算出や担当者が担当した業務の履歴の作成等、担当者に関する後述する処理が行われてもよい。
【0083】
また、実施形態2における担当者は、実際にその事業について実行する担当者であって、個別出費項目配下の積算項目と関連付けて登録される実行担当と、個別出費項目の登録等のデータの管理を行う担当者であって、個別出費項目と関連付けて登録される管理担当と、を含む。本実施形態において、後述する人件費の算出では、実行担当に関する利用者情報を利用して処理が行われ、担当者の業務の履歴では、管理担当に関する利用者情報を利用して処理が行われるが、共通した担当者に関する利用者情報を利用して後述する処理が行われてもよい。
【0084】
<人件費の算出>
また、以下に説明する例では、事務事業に担当を登録し、事務事業を実行する担当者(実行担当)の人件費を算出する場合について説明を行うが、政策、施策、細施策等、政策体系のいずれの階層に担当者が紐づいて登録され、後述するような人件費の算出が行われてもよい。
【0085】
本実施形態において、当該システムを利用する利用者は、事務事業の登録の段階で、事務事業に対して担当者として紐づけて登録される。利用者情報は、事務事業を担当する担当者に関する情報として利用される。本実施形態において、利用者マスタに格納される利用者情報は、利用者の給与額、職員手当額等を含む、個々の利用者の人件費についての情報(人件費情報)と、利用者が担当する事務事業の稼働割合と、を含む。
【0086】
登録部21は、「人件費」という個別出費項目の登録において、積算項目として、個々の担当者の人件費の登録を受け付ける。個別出費項目(「人件費」)配下の積算項目(例えば、「担当者Aの人件費」)の登録において、登録部21は、担当者として登録される利用者の指定、稼働割合及び稼働期間(本実施形態では月単位)を受け付け、担当者についての利用者情報と関連付けて登録する。本実施形態では、利用者ID等の識別情報を利用して指定された担当者に関する人件費情報を利用して、後述する人件費に関する処理が行われる。また、このとき、事務事業と紐づいた担当者や事務事業の担当組織/担当部門に所属する利用者等、担当者として選択可能な利用者のリストが表示され、リストから担当者が選択されてもよい。また、登録部21は、稼働割合と共に、個々の担当者の人件費を受け付け、担当者についての利用者情報と関連付けて登録してもよい。稼働割合は、利用者が担当する事務事業に対する稼働の割合に関する情報であって、例えば、利用者Aがひと月の稼働日数20日のうち事務事業AAに8日、事務事業BBに12日稼働する場合、利用者Aの稼働割合は、事務事業AAが40%(0.4)、事務事業BBが60%(0.6)となる。本実施形態において、人件費情報は、1月の給与額や手当等、1月にその利用者の雇用にかかる費用として登録されるが、年間にかかる費用が人件費情報として登録されていてもよい。また、人件費情報、稼働期間及び、稼働割合は、利用者情報及び/又は事務事業情報と紐づいて登録され、後述する人件費の算出に関する処理に利用可能であれば、利用者情報として登録されていてもよいし、個別出費項目や事務事業情報等、事務事業に関する情報として登録されていてもよい。また、本実施形態では、1月の稼働の割合である稼働割合と、稼働する月数である稼働期間を利用して1年の人件費の算出を行っているが、1年における担当者の稼働の割合を利用して1年の人件費の算出を行う場合など、算出する期間における稼働の割合を稼働割合として利用する場合、稼働期間を利用せず人件費の算出を行ってもよい。
【0087】
登録部21は、事務事業の登録において、受け付けた事務事業情報を、その事務事業を担当する組織及び/又は部門についての情報(組織情報、部門情報)及び、その事務事業を担当する担当者に関する利用者情報と紐づけて登録を行う。また、本実施形態において、登録部21は、事務事業に対する担当者の登録の際にその担当者が複数の事務事業を担当しているとき、利用者ごとに担当する事務事業の稼働割合を受け付け、利用者情報として登録してもよい。事務事業を担当する利用者の登録の際において、登録部21は、担当者の登録を受け付けると、その利用者の担当している事務事業の判定を行い、担当者として登録を受ける利用者がその年度において担当している事務事業がない場合、100%や10割を稼働割合として登録してもよい。
【0088】
本実施形態において、登録部21は、その事務事業を担当する担当者の利用者情報に基づいて、その事務事業にかかる人件費を個別出費項目として登録する。本実施形態において、登録部21は、事務事業を担当する担当者(利用者)の人件費情報に基づいて、例えば、その事業にかかる稼働割合が5割の時、給与額の半額をその利用者にかかる個別の人件費とするなどして、その事務事業にかかる担当者ごとの人件費を算出して個別出費項目配下の積算項目として登録する。登録部21は、その事務事業に対して複数の担当者が紐づいているとき、人件費情報に基づいて、それぞれの担当者ごとの人件費を算出・集計することで事務事業にかかる人件費を求め個別出費項目として登録してもよい。表示処理部24は、人件費に関して登録された個別出費項目等の内訳項目に関する情報に基づいて、その事務事業の担当者(実行担当)の人件費を表示処理する。このとき、表示処理部24は、事務事業ごとに人件費の集計結果とともに、その事務事業を担当する利用者に関する情報及び個々の利用者ごとにかかる人件費を示すリストを表示処理してもよい。このとき、表示処理部24は、事務事業単位で人件費の集計を行ってもよいし、細事業単位で集計を行うなど内訳項目単位、又は、施策等の政策体系項目単位で集計を行ってもよい。
【0089】
以下、利用者Aが事務事業AA及び事務事業BBを担当しており、それぞれ事務事業AAを40%、事務事業BBを60%の割合で担当していることが稼働割合として登録されているときの例について説明を行う。このとき、利用者Aを雇用するには給与等として1か月30万円の費用がかかるとして人件費情報が登録されているとき、事務事業AAにおける利用者Aに関する1か月の人件費は12万円、事務事業BBにおける利用者Aに関する1か月の人件費は18万円となる。このように、集計部23は、事務事業に担当者として登録された利用者の情報に基づいて、事業にかかる人件費の算出を行う。また、更に、稼働期間を乗算することで利用者Aに関する事務事業ごとの1年の人件費を算出するなど、所定の期間にわたる人件費の算出を行ってもよい。
【0090】
本実施形態では、集計部23は、集計対象の事業の指定を受け付けると、指定された事業に紐づいた担当者の人件費情報及び稼働割合に基づいて、担当者ごとの指定された事務事業にかかる人件費を算出し、指定された事務事業に紐づいた個々の担当者の人件費を集計することで指定された事務事業にかかる人件費の集計結果を算出する。また、集計部23は、事務事業以外の軸に基づいて集計を行ってもよく、例えば、細事業等の内訳項目単位での集計、政策単位等の政策体系項目単位での人件費の集計を行ってもよい。また、集計部23は、特定の事務事業について担当者の所属ごとに集計を行うなど、担当者の所属ごとに人件費の集計を行ってもよい。
【0091】
<担当者の業務の履歴>
以下、担当者が担当した業務についての履歴の表示等に関する処理の説明を行う。本実施形態では、以下に示す処理では個別出費項目の管理を行うなど、データの管理を行う担当者(管理担当)に関する利用者情報を利用して後述する処理を行うが、実行担当に関する利用者情報及び/又は管理担当に関する利用者情報を利用して処理が行われてもよい。また、本実施形態では、管理担当についての利用者情報は、その利用者の所属長となる他の利用者により事務事業情報と関連づけて登録されるが、本人又は総務課や財政課所属の利用者等の他の利用者等によって事務事業と関連付けて登録されてもよい。本実施形態では事務事業に対して管理担当が設定されるが、事務事業を除く又は含む、1又は複数の階層の政策体系項目について担当者が設定され、関連付けて登録されてもよい。また、個々の政策体系項目に対して、複数の管理担当が設定されてもよい。
【0092】
検索部22は、特定の担当者の担当した事務事業の履歴の作成のため、指定された担当者の利用者情報と紐づいた事務事業を検索する。表示処理部24は、検索部22による検索結果に基づいて、利用者が担当した事務事業のリストを表示処理する。表示処理部24は、検索により抽出された事務事業についての事務事業情報等に基づいて、例えば、担当者が作成した事業のPR資料、担当者が決定した発注先、担当者が交渉して得た予算額等に関する情報をそれぞれの事務事業ごと又は事務事業のリストにおいて表示してもよい。このとき、表示処理部24は、事務事業の実績に関する情報(経過実績情報・成果実績情報等)に基づく事務事業の実績を示す画面を表示処理してもよい。また、表示処理部24が表示処理する利用者が担当した政策体系項目又は個別出費項目のリストは、担当年度の順に表示され、政策体系項目又は個別出費項目の名称(本実施形態では事務事業名)、政策体系項目又は個別出費項目の概要及びその時点での利用者の所属組織及び/又は部門が確認可能に構成されるが、年度、担当組織及び/又は部門ごとにフィルタ、ソート等をされてもよい。また、複数階層について表示を行う場合、表示処理部24は、政策体系の階層に区分して政策体系項目又は個別出費項目の執行年度や項目名、概要等について表示させてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、事務事業情報に加え、事務事業配下の内訳項目に関する情報(細事業情報、個別出費項目情報、積算項目情報)についても担当者として紐づいた利用者の識別情報(利用者ID)等、担当者に関する情報を含む。検索部22が、利用者が担当者として紐づいた細事業情報、個別出費項目情報等、事務事業より詳細な項目についても検索を行い、表示処理部24が検索結果に基づいて利用者が担当した行政における業務の履歴(細事業、個別出費項目等)に関する情報の表示処理を行ってもよい。
【0094】
<実施形態3>
以下、実施形態3において、個別出費項目について検索、集計を行う場合の例について説明を行う。なお、実施形態1と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では、複数年にわたって継続しており、関連付けて格納された複数年度の対応する個別出費項目のデータ(個別出費項目情報等)を利用して個別出費項目の検索を含む後述する処理を行う。ここで言う、対応する複数年度の個別出費項目に関するデータとは、予算編成ステータス及び/又は執行年度が異なるが、同じ事業についての同様の項目(費用)に関する複数の個別出費項目(例えば、事務事業Aの配下の細事業AAにおける、2023年度当初予算(内示)の旅費と、2023年度6月補正予算(内示)の旅費と、2024年度当初予算(要求)の旅費)等、上位の項目(政策、施策、事務事業、細事業等)が同じであり、1又は複数年度継続している費用についての情報である。対応する複数の個別出費項目についての情報(個別出費項目情報)は、個別出費項目ID等の識別情報を利用して直接、又は上の階層の内訳項目(事務事業、細事業)を介して間接的に関連付けてデータベースDBに格納される。
【0095】
また、本実施形態では、個別出費項目には充当される財源に関する財源内訳が一つ登録されるが、後述する処理では、この個別出費項目に対して関連付けて登録された財源内訳を参照して検索等の処理が実行される。
【0096】
本実施形態では、行政活動支援システム1は、個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID等)によって直接関連付けて格納された、複数年度の対応する個別出費項目情報を利用して個別出費項目の検索を含む後述する処理を行うが、関連付けて格納された複数年度の対応する事業(事務事業又は細事業)を介して間接的に関連付けて格納されている複数年度の対応する個別出費項目情報を利用して後述する処理を行ってもよい。このとき、行政活動支援システム1は、対応する事務事業配下の個別出費項目名が同じである個別出費項目や予算科目が同じである個別出費項目等、個別出費項目情報に含まれた何れかの情報に基づいて関連付けられた、1又は複数年度継続している個別出費項目に関するデータを利用して検索を含む後述する処理を行う。本実施形態では、個別出費項目に充当される一般財源について注目して検索を行う。また、以下に示す例では、執行年度が異なり、予算編成ステータスが同じ個別出費項目情報に基づいて、異なる年度や予算編成ステータスにおける個別出費項目の変化について比較を行うことで検索を行う場合の例について説明を行う。
【0097】
検索部22は、個別出費項目に紐づいた財源内訳に基づいて財源を軸とした個別出費項目の検索を行う。日本における行政予算の大半は継続経費である。しかしながら、従来の技術では
図6(a)に示すような事業レベルでの充当財源しか把握することができず、惰性的に継続している経費などを発見することが難しかった。本実施形態では、検索部22は、事業よりも詳細な項目である個別出費項目に関連付けられた財源内訳に基づいて、
図6(b)に示すような事務事業(A事業)の個々の経費に関する個別出費項目を検索し、惰性的に継続している経費の候補を抽出することができる。
図6(b)に示すイメージ図は、
図6(a)に示すA事業の配下の個々の個別出費項目aからg(a経費からg経費)について充当される財源の財源区分に基づいて色分けしたグラフである。
図6(a)に示すような事業という視点での財源は問題がないように見えるが、
図6(b)に示す費用のレベルで確認すると、惰性的に継続している費用であることを確認できる場合がある。
【0098】
本実施形態において、検索部22は、個別出費項目に紐づいた歳入額の経年的な変化に関する条件を検索条件として利用して、例えば、個別出費項目の予算額又は歳入額(一般財源歳入額と特定財源歳入額の合計額)の経年変化が小さい個別出費項目であって、前年度から個別出費項目に対して紐づいた歳入額(特に一般財源歳入額)の変動がない個別出費項目(例えば、g経費)や、特定財源が歳出されなくなったことで充当される一般財源の割合が急激に上がった、特定財源の減った分を一般財源で埋め合わせている個別出費項目であって、歳入の総額(一般財源歳入額と特定財源歳入額の合計額)の変化が小さい個別出費項目(例えば、b経費)など、見直しが適切にされていない可能性がある個別出費項目を検索することで、惰性的に継続している可能性が高い個別出費項目の候補を抽出する。本機能は、予算要求の前において、要求されている予算が適正かを判断するために利用されてもよいし、事後的な予算の解析のために利用されてもよい。
【0099】
本実施形態において、検索部22は、複数年度継続している費用に関する、対応付けられた個別出費項目情報に基づいて充当される財源を経年で比較することで、継続的に支出され、経年変化が小さいことから見直しが適切にされていない可能性がある個別出費項目、又は一般財源歳入額の経年変化が急激である、特定財源の歳入額が減少して一般財源を多く充当する必要が出た費用などの個別出費項目など、惰性的に支出されている費用の候補の検索を行う。本実施形態では、検索部22は、予算額又は一般財源歳入額と特定財源歳入額の合計が同様の金額(変化が閾値以内)で継続している経費(個別出費項目)であって、充当される歳入額(一般財源歳入額及び特定財源歳入額)に経年変化が小さいこと(経年変化がない、又は経年変化が所定の範囲内であること)、又は充当される一般財源歳入額の経年変化が急激であること(経年変化が閾値以上であること)、を検索条件として検索を行う。また、検索部22は、検索条件として更に、執行年度や予算編成ステータス、担当組織(担当部門)等を利用して検索を行ってもよい。財源を軸とした個別出費項目の検索において、個別出費項目の比較のため利用される差分は、継続している特定の個別出費項目に関する歳入額の複数年度の間の差額であって、本実施形態では、対象の個別出費項目について、対象の年度とそのn年前の年度(本実施形態では5年前)に充当される歳入額との差額であるが、対象の年度とその前年度の歳入額の差額であってもよい。また、検索部22は、対象の個別出費項目に対して複数の年度の個別出費項目について前年度との変化を比較し、その対象となる全ての年度において、充当される一般財源歳入額の前年度からの変化が閾値以内である個別出費項目を検索してもよいし、例えば、5年にわたって、5年前から変化が閾値以内であるなど、複数年度にわたって変化が閾値以内又は閾値以上である個別出費項目を検索してもよい。検索部22は、検索のため、事前に検索対象の個別出費項目について歳入額の経年変化の額を算出してもよい。このとき、閾値は、割合又は金額の何れを利用したものであってもよい。検索部22は、充当された一般財源の経年変化が閾値以上の個別出費項目(充当される一般財源が急増している個別出費項目)又は充当された一般財源の経年変化が閾値以下の個別出費項目(充当される個別出費項目の変化が小さい個別出費項目)を検索する。また、検索部22は、見直しが適切にされていない可能性がある個別出費項目の検出のため、歳入額の経年変化が閾値以上の個別出費項目を検索してもよい。
【0100】
検索部22は、検索条件に基づいて、歳入額の変化が閾値以上又は閾値以下である個別出費項目を検索する。例えば、検索条件が何れかの財源区分(一般財源又は特定財源)の歳入額の前年度からの歳入額の変化が閾値以内であるとき、検索部22は、個別出費項目に紐づいた財源情報を参照し、例えば、5年前の年度である2018年度から充当される一般財源歳入額の変化が閾値以内である2023年度の個別出費項目Aを抽出するなど、検索条件に該当する個別出費項目を抽出する。このとき、検索部22は、一般財源又は特定財源のみの変化を利用して比較することで検索を行ってもよいし、一般財源と特定財源の総計の変化を利用して比較することで検索を行ってもよい。
【0101】
また、検索部22は、本実施形態では、予算種別が現計である歳入同士の変化を利用して検索を行うが、当初予算同士、現計と当初予算同士、補正予算同士の変化を利用して検索を行ってもよい。
【0102】
また、本実施形態では、登録部21は、個別出費項目の登録において調達方式及び発注先の登録を受け付け、個別出費項目情報は、調達方式及び発注先を含む。調達方式とは、行政に係る事業への入札の方式のことであって、一般競争入札、指名競争入札、随意契約等を含む。調達方式及び/又は発注先(特に、発注先)が同じであり、かつ歳入額が継続して同じであれば、同じ事業者に同様に発注し、費用の見直しを行っていない可能性が高い。検索部22は、歳入額の経年変化に関する検索条件に加えて、更に、調達方式及び/又は発注先に関する条件に基づいて検索を行い、惰性的に継続している費用の候補となる個別出費項目の検索を行う。歳入額の経年変化に加え、このような検索条件を用いることで、検索部22は、調達方式や発注先が変わっておらず、かつ、歳入額(一般財源歳入額、又は一般財源歳入額と特定財源歳入額の合計額)の経年変化が小さい(変化が範囲内である)ような、見直されていない可能性がある個別出費項目を検出できる。また、本実施形態では、上記の条件を特定の年数(本実施形態では5年間)継続して満たしている個別出費項目を対象として検索を行う。本実施形態では、検索部22は、検索において、n年以上同じ発注先に発注している費用に関する個別出費項目であって、惰性的に継続している費用の可能性が高い、特定の調達方式(例えば、随意契約)の個別出費項目を検索することで惰性的な費用の候補の検索を行う。
【0103】
更に、検索部22は、個別出費項目に対して充当される一般財源の比率や特定財源の比率等、その他の財源に関する比率に基づいて個別出費項目の検索を行ってもよい。このとき、検索部22は、検索のため、個別出費項目情報等に基づいて、財源に関する比率の算出を行ってもよい。検索部22は、検索のため、対象の個別出費項目についての個別出費項目情報及び/又は個別出費項目に紐づいた各種情報(事務事業情報、細事業情報、積算項目情報等)に基づいて比率の検索を行ってもよい。また、本実施形態では、一般財源歳入額に関する検索条件について説明を行ったが、一般財源歳入額が減少すれば特定財源歳入額が増加するため、検索部22は、急激に増加した一般財源を有する個別出費項目を検索するため、急激に減少した特定財源歳入額を利用して個別出費項目の検索を行ってもよい。
【0104】
また、個別出費項目に対して個別出費項目の性質を示すタグが紐づいて登録され、例えば、法令で定める費用であることを示す義務的経費タグが紐づいて登録されていてもよい。このとき、検索部22は、個別出費項目に紐づいた個別出費項目の性質を示すタグに基づいて検索を行い、特定のタグ(本実施形態では事務的経費タグ)が紐づいた個別出費項目を抽出してもよい。
【0105】
本実施形態では、検索部22は、上述する項目(経年における歳入の変化、調達方式及び発注先、充当される財源の比率等)に関する検索条件を利用者端末3より受け付け、受け付けた検索条件に基づいてデータベースDBに格納される個別出費項目の検索を行う。このとき、検索条件は、検索対象ごとに予め利用者が検索したい対象に応じて複数の項目に係る条件を利用して設定されていてもよく、例えば、利用者端末3より、義務的経費に関連しているが法令で定められた金額以上を要求している可能性がある個別出費項目を検索対象とする指定を受け付けると、検索部22は、予め対象ごとに設定された検索条件に基づいて、義務的経費タグが紐づいた個別出費項目かつ一般財源充当率が閾値以上である個別出費項目の検索を行うなど、検索対象に応じた検索条件に基づいて検索を行ってもよい。
【0106】
表示処理部24は、検索部22における検索結果に基づいて検索条件に該当する、惰性的に継続している可能性がある個別出費項目のリストを表示させる。このとき、表示処理部24は、その個別出費項目に対応付けられた財源を5年前から毎年度分表示するなど、2以上の年度について経年比較可能に個別出費項目に対応付けられた財源を表示してもよい。このとき表示される財源は、個別出費項目ごとの一般財源及び/又は特定財源であって、特定の個別出費項目に対応付けられた一般財源歳入額及び/又は特定財源歳入額が表示される。また、表示処理部24は、
図6(b)に示す例のように、個別出費項目の財源内訳に基づいて、個別出費項目に対して充当された特定財源と一般財源とをそれぞれ色分けすることで、その個別出費項目に充当された財源の財源区分ごとの歳入額を示す棒グラフを表示してもよい。また、惰性的な経費であることを確認するため、それぞれの個別出費項目に関して複数年度の歳入額及び/又はグラフを示すことで年度ごとの変化を比較可能に示してもよい。リストに表示される何れかの個別出費項目が詳細を確認する個別出費項目として指定されると、指定された個別出費項目の詳細を示す画面が表示されてもよい。
【0107】
また、上記の処理は、個別出費項目に関する処理の説明を行っているが、行政事業に関する何れの階層の内訳項目(事務事業、細事業、個別出費項目、積算項目)についても上述した検索を含む処理が行われてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 行政活動支援システム
2 行政活動支援装置
21 登録部
22 検索部
23 集計部
24 表示処理部
3 利用者端末
【要約】
【課題】分析データの提供を行い、行政活動における意思決定を支援する技術を提供することを課題とする。
【解決手段】行政において事業計画に係る意思決定を支援する行政活動支援システムであって、政策を配下の施策と対応付け、前記施策を配下の事業と対応付けて格納する記憶部と、前記政策、施策、又は事業の少なくとも何れかを分析対象として、検索条件に基づき選ばれる分析対象の集合、及び分析条件を受け付ける受付部と、前記集合に属する分析対象に関して、前記分析条件に応じて分析データを生成し、前記分析データを表示した分析画面を出力する出力処理部と、を備える。
【選択図】
図4