(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】盛土施工管理支援システム
(51)【国際特許分類】
E02D 17/18 20060101AFI20240919BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240919BHJP
【FI】
E02D17/18 Z
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2021035395
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】高尾 篤志
(72)【発明者】
【氏名】宮田 岩往
(72)【発明者】
【氏名】藤本 情志
(72)【発明者】
【氏名】外木場 康将
(72)【発明者】
【氏名】本木 章平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖彦
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-291454(JP,A)
【文献】特開2009-102894(JP,A)
【文献】特開2020-194240(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017173(WO,A1)
【文献】特開2015-084177(JP,A)
【文献】特開2003-253661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0083907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00- 3/115
E02D 17/00-17/20
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土取場において積載機により掘削された盛土材料を運搬車両に積み込んで盛土場へと運搬し、前記盛土場の盛土箇所において前記盛土材料を荷下ろしし転圧機により転圧して盛土を行う盛土施工において、前記土取場および前記盛土場で取得されサーバに送信される情報に基づいて作成した盛土場情報により盛土施工を管理し支援する盛土施工管理支援システムにおいて、
前記積載機は、当該積載機の固有情報を発信する発信端末を備え、
前記運搬車両は、当該運搬車両の情報を前記サーバに送信する車両情報処理システムを備え、
前記車両情報処理システムは、
前記運搬車両の位置を算出し、当該位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報とを有する車両位置情報を前記サーバに送信する機能と、
前記発信端末から送信される前記積載機の固有情報を取得するとともに、当該積載機により盛土材料が積み込まれた運搬車両の位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該積載機により盛土材料が積み込まれた運搬車両の固有情報と、当該積載機の固有情報とを有する積載位置情報を前記サーバに送信する機能と、
前記運搬車両の荷下ろしを検出するとともに、当該荷下ろしをした運搬車両の位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該運搬車両の固有情報と、当該運搬車両に盛土材料を積み込んだ積載機の固有情報とを有する荷下ろし位置情報を前記サーバに送信する機能と、
を備え、
前記転圧機は、当該転圧機の情報を前記サーバに送信する転圧情報処理システムを備え、
前記転圧情報処理システムは、
前記転圧機の位置を算出するとともに、当該位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該位置情報に基づいて算出した転圧回数と、前記転圧機に設けられた加速度計の計測値に基づいて作成した加速度応答値とを有する転圧情報を前記サーバに送信する機能と、
を備え、
前記サーバは、情報を記憶する記憶部と、当該情報を処理する情報処理部とを備えており、
前記記憶部は、前記積載機の固有情報と、当該積載機が所定期間に掘削する土質の情報とが示された土質マスタ情報を予め記憶した状態で有しており、
前記情報処理部は、
前記盛土場を予め決められた寸法に設定することが可能な複数の立方体に分割することによりメッシュ状に配置された複数のボクセルブロックを生成する機能と、
前記荷下ろし位置情報と前記土質マスタ情報とに基づいて、前記運搬車両の荷下ろし位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該荷下ろしされた盛土材料の土質の情報とを有する荷下ろし土質情報を作成し、前記記憶部に記憶する機能と、
前記荷下ろし土質情報と前記転圧情報とに基づいて、前記複数のボクセルブロックの各々の土質を判定して前記盛土場情報を作成し、前記記憶部に記憶する機能と、
を有し、
前記複数のボクセルブロックの各々の土質の判定においては、前記複数のボクセルブロックの平面視での重心位置を求め、前記運搬車両の盛土材料が荷下ろしされた位置を内包するボクセルブロックと、当該ボクセルブロックの周囲のボクセルブロックとについて、前記荷下ろしされた位置から各ボクセルブロックの重心位置までの距離を算出し、当該距離に基づいて各ボクセルブロックにおける各土質の盛土材料の混合率を算出し、前記各ボクセルブロックにおいて前記混合率が最も多い土質を前記各ボクセルブロックの盛土材料の土質と判定することを特徴とする盛土施工管理支援システム。
【請求項2】
前記各ボクセルブロックにおける各土質の盛土材料の混合率の算出においては、前記距離に基づいて前記荷下ろしされた盛土材料が前記各ボクセルブロックにどれくらい混合されているかを示す重みづけ値を、荷下ろしされた位置から各ボクセルブロックの重心位置までの距離の割合の逆数から算出し、当該重みづけ値により各土質の重みづけ値の割合を算出することにより前記各ボクセルブロックにおける各土質の盛土材料の混合率を算出することを特徴とする請求項1記載の盛土施工管理支援システム。
【請求項3】
前記重みづけ値は、前記荷下ろしされた位置を内包するボクセルブロックおよび当該ボクセルブロックと同層において当該ボクセルブロックの外周の面又は辺と接する周囲のボクセルブロックについて算出することを特徴とする
請求項2記載の盛土施工管理支援システム。
【請求項4】
前記土質の判定で得られた土質情報
に基づき、前記ボクセルブロックの各々について土質に応じて色分けすることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の盛土施工管理支援システム。
【請求項5】
前記ボクセルブロックの土質の判定において、異なる土質の混合率が同一の場合は、相対的に遅い日時に荷下ろしされた盛土材料の土質と判定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の盛土施工管理支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盛土施工管理支援システムに関し、例えば、宅地や道路等のような建造物の基礎を造成するための盛土施工を管理し支援する盛土管理支援システムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、宅地や道路等のような建造物の基礎を造成するための盛土施工においては、土取場の土砂をダンプトラック等の荷台に載せて造成現場である盛土場まで運び荷下ろしした後、その荷下ろしした土砂をバックホウ等のような敷均し機によって所定の区域毎に所定の厚さに敷き均し、さらに振動ローラ等のような締固め機で転圧するようにしている。
【0003】
この盛土施工においては、盛土施工後の盛土の品質を保証する必要があるため、盛土層毎に盛土情報を把握し、施工結果を管理する必要がある。このような情報の把握および管理は、施工管理者が各種情報を収集し、手作業により帳票類を作成していたが、その作成作業は時間と手間のかかる面倒な作業となっている。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、盛土施工における施工結果の帳票類の作成および管理を容易にするために、掘削工区で掘削した盛土材料の土質情報と、盛土を運搬する運搬車両の情報と、盛土工区で盛土を行った運搬車両の情報と、盛土の位置情報とを記録するとともに、盛土工区を任意の寸法に設定可能な立方体に分割することで複数のメッシュブロックを生成し、その複数のメッシュブロックの各々の立法体に、盛土材料の土質情報と盛土の位置情報とを割り当てて管理する盛土施工管理支援システムが開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2には、セメント系材料等の打設施工において、より精度良く材料の管理を行うために、搬送する材料の重量から体積を推定してこれに合わせて管理ブロックを設定し、管理ブロック毎に配置位置情報と材料の特性情報とを関連付けて記録する材料管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-291454号公報
【文献】特開2009-102894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記したように盛土施工においては、作業の煩雑さについて充分な考慮がなされていない。例えば、特許文献1では、掘削工区での盛土材料の土質情報や盛土を運搬する運搬車両の情報をバックホウのオペレータが入力し、盛土工区で盛土を行った運搬車両の情報や盛土の位置情報をダンプの運転手が入力しており、情報の取得や入力作業により作業が停滞し、盛土施工作業の効率が低下する、という課題がある。また、このために入力時に間違いが生じ易く、盛土施工の品質や状態の履歴を遡る能力(所謂、トレーサビリティ)が低下する、という課題がある。なお、特許文献2には、セメント系材料の積載位置が決まっていることもあり、セメント系材料の積載位置についての開示がない。
【0008】
また、上記した特許文献1,2においては、盛土場においてダンプトラックに積まれた土砂を荷下ろしする際に位置情報を取得することについては記載があるが、その荷下ろしや敷均し、転圧の際に土砂が周囲に拡散することについての充分な考慮がなされておらず、盛土場のメッシュブロックに割り当てられた土質情報の信頼性が低くなり、盛土施工後の盛土場の盛土材料のトレーサビリティが低下する、という課題がある。
【0009】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、盛土施工作業に関する記録作業を自動化することで、管理の効率を向上させることを目的とする。
【0010】
また、本発明は、盛土場に搬入される盛土材料のトレーサビリティを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の盛土施工管理支援システムは、土取場において積載機により掘削された盛土材料を運搬車両に積み込んで盛土場へと運搬し、前記盛土場の盛土箇所において前記盛土材料を荷下ろしし転圧機により転圧して盛土を行う盛土施工において、前記土取場および前記盛土場で取得されサーバに送信される情報に基づいて作成した盛土場情報により盛土施工を管理し支援する盛土施工管理支援システムにおいて、前記積載機は、当該積載機の固有情報を発信する発信端末を備え、前記運搬車両は、当該運搬車両の情報を前記サーバに送信する車両情報処理システムを備え、前記車両情報処理システムは、前記運搬車両の位置を算出し、当該位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報とを有する車両位置情報を前記サーバに送信する機能と、前記発信端末から送信される前記積載機の固有情報を取得するとともに、当該積載機により盛土材料が積み込まれた運搬車両の位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該積載機により盛土材料が積み込まれた運搬車両の固有情報と、当該積載機の固有情報とを有する積載位置情報を前記サーバに送信する機能と、前記運搬車両の荷下ろしを検出するとともに、当該荷下ろしをした運搬車両の位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該運搬車両の固有情報と、当該運搬車両に盛土材料を積み込んだ積載機の固有情報とを有する荷下ろし位置情報を前記サーバに送信する機能と、を備え、前記転圧機は、当該転圧機の情報を前記サーバに送信する転圧情報処理システムを備え、前記転圧情報処理システムは、前記転圧機の位置を算出するとともに、当該位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該位置情報に基づいて算出した転圧回数と、前記転圧機に設けられた加速度計の計測値に基づいて作成した加速度応答値とを有する転圧情報を前記サーバに送信する機能と、を備え、前記サーバは、情報を記憶する記憶部と、当該情報を処理する情報処理部とを備えており、前記記憶部は、前記積載機の固有情報と、当該積載機が所定期間に掘削する土質の情報とが示された土質マスタ情報を予め記憶した状態で有しており、前記情報処理部は、前記盛土場を予め決められた寸法に設定することが可能な複数の立方体に分割することによりメッシュ状に配置された複数のボクセルブロックを生成する機能と、前記荷下ろし位置情報と前記土質マスタ情報とに基づいて、前記運搬車両の荷下ろし位置情報と、当該位置情報を算出した日時情報と、当該荷下ろしされた盛土材料の土質の情報とを有する荷下ろし土質情報を作成し、前記記憶部に記憶する機能と、前記荷下ろし土質情報と前記転圧情報とに基づいて、前記複数のボクセルブロックの各々の土質を判定して前記盛土場情報を作成し、前記記憶部に記憶する機能と、を有し、前記複数のボクセルブロックの各々の土質の判定においては、前記複数のボクセルブロックの平面視での重心位置を求め、前記運搬車両の盛土材料が荷下ろしされた位置を内包するボクセルブロックと、当該ボクセルブロックの周囲のボクセルブロックとについて、前記荷下ろしされた位置から各ボクセルブロックの重心位置までの距離を算出し、当該距離に基づいて各ボクセルブロックにおける各土質の盛土材料の混合率を算出し、前記各ボクセルブロックにおいて前記混合率が最も多い土質を前記各ボクセルブロックの盛土材料の土質と判定することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の本発明の盛土施工管理支援システムは、上記請求項1に記載の発明において、前記各ボクセルブロックにおける各土質の盛土材料の混合率の算出においては、前記距離に基づいて前記荷下ろしされた盛土材料が前記各ボクセルブロックにどれくらい混合されているかを示す重みづけ値を、荷下ろしされた位置から各ボクセルブロックの重心位置までの距離の割合の逆数から算出し、当該重みづけ値により各土質の重みづけ値の割合を算出することにより前記各ボクセルブロックにおける各土質の盛土材料の混合率を算出することを特徴とする
【0013】
請求項3に記載の本発明の盛土施工管理支援システムは、上記請求項2に記載の発明において、前記重みづけ値は、前記荷下ろしされた位置を内包するボクセルブロックおよび当該ボクセルブロックと同層において当該ボクセルブロックの外周の面又は辺と接する周囲のボクセルブロックについて算出することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明の盛土施工管理支援システムは、上記請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、前記土質の判定で得られた土質情報に基づき、前記ボクセルブロックの各々について土質に応じて色分けすることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の本発明の盛土施工管理支援システムは、上記請求項1~4のいずれか一項に記載の発明において、前記ボクセルブロックの土質の判定において、異なる土質の混合率が同一の場合は、相対的に遅い日時に荷下ろしされた盛土材料の土質と判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、盛土施工作業に関する記録作業を自動化することで、管理の効率を向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明によれば、盛土場に搬入される盛土材料のトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態である盛土施工域の全体構成と盛土管理支援システムの全体構成とを示した概略全体構成図である。
【
図2】
図1の盛土施工管理支援システムの概略構成図である。
【
図4】(a)は土質マスタ情報の一例を示した図、(b)は土質マスタ情報の設定時の記載例を示した図である。
【
図7】(a)は転圧管理で用いた盛土場の要部平面図、(b)は
図7(a)の転圧管理上の盛土場の平面内にボクセルブロックを配置して示した要部平面図である。
【
図8】(a)は盛土場のボクセルブロックの一部分を抜き出して模式的に示した要部平面図、(b)は各ボクセルブロックの重みづけ値の一例を示した図である。
【
図9】ボクセルブロックの土質判定の考え方の一例を説明するために盛土場のボクセルブロックの一部分を抜き出して模式的に示した要部平面図である。
【
図10】ボクセルブロックの土質判定において異なる土質の混合率が同値であった場合の土質判定方法例を説明するための説明図である。
【
図11】空白のボクセルブロックの土質判定例を説明するための説明図である。
【
図12】盛土場情報に基づいて表示画面に表示された盛土場の3次元画像の図である。
【
図13】(a)~(d)は
図12のボクセルブロックの一部を抜き出して示した3次元画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1は本実施の形態の盛土施工域の全体構成と盛土管理支援システムの全体構成とを示した概略全体構成図である。
【0021】
本実施の形態の盛土施工管理支援システムSSは、例えば、土取場Pdの土砂(盛土材料)Sをダンプトラック(運搬車両)Dtに積み込んで盛土場Pmへと運び、盛土場Pmの盛土箇所において土砂Sを荷下ろしして盛土を行う盛土施工において、土取場Pdおよび盛土場PmからクラウドサーバSvに送信される情報に基づいて作成した盛土場情報により施工中および施工後の盛土場を外部デバイスのモニタMやプリンタP等のような表示部に表示可能とするとともに、盛土施工を管理し支援するシステムである。なお、モニタMは、土取場Pdや盛土場Pmの事務所(
図2には図示せず)のパーソナルコンピュータの画面の他、作業者や建機操縦者等が所持しているタブレット(図示せず)の画面等のような外部デバイスの画面を含む。
【0022】
土取場Pdは、盛土場Pmに盛るための土砂Sが保管されている場所である。この土取場Pdには、例えば、どの位置(保管領域)に、どのような土質の土砂が、どの程度の層厚で、どの程度の量で確保されているか、土砂の中にセメント系含有物やスラグ等のような不純物が含有されているか等が調査により予め把握された状態で保管されている。各土質の保管領域、層厚、土質が変わる境界位置、量および不純物の有無等のような保管土砂情報は、クラウドサーバSvまたは土取場Pdの事務所(
図1には図示せず)のパーソナルコンピュータの二次記憶装置に予め記憶されている。このような土取場Pdの土砂Sは、例えば、複数台のバックホウ(積載機)Bhによって土質毎に必要量が掘削され、ダンプトラックDtに積み込まれる。
【0023】
バックホウBhとしては、例えば、ICT(Information and Communication Technology)建機が使用されている。すなわち、バックホウBhに搭載されたICT情報処理システム(図示せず)は、例えば、複数の測位衛星Spからの電波を活用して測位を行うGNSS(Global Navigation Satellite System)や地上に設置された機材を用いて測位を行うTS(Total Station)等によりバックホウBhの位置(緯度および経度)をリアルタイムで自動的に計測し、盛土施工の設計データと現地データ(バックホウBhの位置情報、施工情報および現場状況情報等)との差分をバックホウBhの操縦席に設置された車載モニタ(図示せず)に表示させることでバックホウBhの操縦者をサポートするようになっている。
【0024】
本実施の形態において各バックホウBhは、所定期間に掘削する土砂Sの土質が予め決められている。ICTを活用したバックホウBhの車載モニタは、盛土施工管理画面と連動しており、例えば、どの期間に、どの保管領域の土砂(どの土質の土砂)をどれだけ掘削するのか等のようなバックホウ施工指示情報を表示するようになっている。より高度なICTを活用したバックホウBhにおいては、例えば、誤って指定範囲外の土砂を掘削しようとするとアームが停止する等のような自動制御が行われるようになっている。これにより、バックホウBhの操縦者は、バックホウBhの掘削領域(土砂の保管領域)や掘削量を車載モニタでリアルタイムに確認することができるので、掘削土砂間違いや掘削量の過不足等のような人為ミスを低減または防止できる。
【0025】
また、本実施の形態において各バックホウBhには、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)を利用したビーコン(図示せず)が装備されている。各バックホウBhの各ビーコンは、それぞれ個別のビーコンID(Identification)を持っており、例えば、半径数十メートルの範囲において数秒毎に1回の割合で個別のビーコンID情報を発信している。この各ビーコンのビーコンID情報が各バックホウBhの固有情報になっている。
【0026】
なお、上記したバックホウ施工指示情報は、バックホウBhに装備されたビーコンのビーコンID情報毎に、施工期間、掘削領域(所定の土砂の保管領域)および土砂の掘削量等が記されている。このバックホウ施工指示情報は、クラウドサーバSvまたは土取場Pdの事務所(
図1には図示せず)のパーソナルコンピュータの二次記憶装置に予め記憶されている。
【0027】
ダンプトラックDtは、バックホウBhによって荷台に積み込まれた土砂Sを盛土場Pmに運び、所定の盛土箇所で荷下ろしするための運搬車両である。なお、盛土場Pmには、1つの土取場Pdから複数台のダンプトラックDtにより土砂Sが運ばれる場合や複数の土取場Pdから複数台のダンプトラックDtにより土砂Sが運ばれる場合があるが、ここでは図面を見易くするために1台のダンプトラックDtのみを示している。
【0028】
このダンプトラックDtには、車両情報をクラウドサーバSvに送信する車両情報処理システム(図示せず)が搭載されている。車両情報処理システムは、GPS(Global Positioning System)機能部と、ビーコンID受信部と、荷下ろし検出部と、情報を記憶する記憶部と、取得された情報をクラウドサーバSvに送信する送信部とを備えている。なお、この車両情報処理システムを設置する時に、車両情報処理システムの名称を登録(車両情報処理システムの記憶部に記憶)するようになっており、その名称がダンプトラックDtの固有情報になっている。
【0029】
車両情報処理システムのGPS機能部は、複数の測位衛星Spから送られる電波を活用してダンプトラックDtの位置(緯度および経度)を算出する機器である。車両情報処理システムは、GPS機能部で得られたダンプトラックDtの車両位置情報(ダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報およびそのダンプトラックDtの固有情報等)を、例えば、LTE(Long Term Evolution)対応の送信部を通じて1分間に1回の割合でクラウドサーサSvに送信するようになっている。この車両位置情報に基づいて作成したダンプトラックDtの運行ルートおよび移動量の情報は、盛土場情報としてクラウドサーバSvに記憶される。
【0030】
また、車両情報処理システムのビーコンID受信部は、バックホウBhに装備されたビーコンから発信されるビーコンID情報を受信する機器である。車両情報処理システムは、ビーコンID情報が受信されると、そのビーコンID情報を車両情報処理システムの記憶部に記憶するとともに、ダンプトラックDtの積載位置情報(バックホウBhのビーコンID情報、土砂Sが積載されたダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報および土砂Sが積載されたダンプトラックDtの固有情報等)を上記した送信部を通じてクラウドサーバSvに送信するようになっている。
【0031】
また、車両情報処理システムの荷下ろし検出部は、例えば、ダンプトラックDtの運転者がダンプアップレバーに触れたことを検知する触圧センサと、ダンプトラックDtの停止を検知する加速度センサとの各々から送られた検出信号に応じてダンプトラックDtの荷下ろしを検出する機器である。車両情報処理システムは、荷下ろしが検出されると、ダンプトラックDtの荷下ろし位置情報(荷下ろしをしたダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報、荷下ろしをしたダンプトラックDtの固有情報および荷下ろししたダンプトラックDtに土砂Sを積載した土取場PdのバックホウBhのビーコンID情報等)を上記した送信部を通じてクラウドサーバSvに送信するようになっている。
【0032】
一方、盛土場Pmは、例えば、宅地や道路等のような建造物の基礎を造成するために盛土施工が実施される場所である。盛土場Pmには、複数台のバックホウ(図示せず)および振動ローラ(転圧機)Rvが配備されている。なお、ここでは図面を見易くするために1台の振動ローラRvのみを示している。
【0033】
ダンプトラックDtによって盛土場Pmに運び込まれ荷下ろしされた土砂Sは、バックホウによって所定の区域毎に所定の厚さに敷き均され、さらに振動ローラRvによって締固めされ、さらにその後、バックホウにより法面整形が行われ、所望の形状に仕上げられる。この盛土場Pmに配備されたバックホウおよび振動ローラRvとしては、例えば、ICT建機が使用されている。
【0034】
振動ローラRvに搭載されたICT情報処理システム(転圧情報処理システム:図示せず)は、例えば、上記したGNSSやTS等により振動ローラRvの位置(緯度および経度)をリアルタイムで自動的に計測し、後述する盛土施工のメッシュ状に配置された複数の転圧ブロックRB(後に示す
図7参照)と現地データ(振動ローラRvの位置情報、施工情報および現場状況情報等)とを照合して転圧回数をカウントする。すなわち、振動ローラRvのICT情報処理システムは、振動ローラRvの走行軌跡から振動ローラRvが同一転圧ブロックRBを何回通過したかで、転圧回数をカウントする。そして、その結果を振動ローラRvの操縦席に設置された車載モニタ(図示せず)に表示させることで振動ローラRvの操縦者をサポートするようになっている。これにより、振動ローラRvの操縦者は、振動ローラRvの走行軌跡および転圧回数等を車載モニタでリアルタイムに確認することができる。また、振動ローラRvの車載モニタには、締固め分布図が色分けされて表示されるようになっている。これにより、振動ローラの操縦者は、色分けされた締固め分布図をリアルタイムに車載モニタで確認しながら施工することができる。また、振動ローラRvの車載モニタには、どの範囲を何回転圧したかが表示され、転圧回数が不足している範囲を確認できるようになっている。また、転圧回数は多すぎても問題が生じるので転圧回数を守るようにサポートされている。これにより、盛土場の層全体を迅速に管理することができ、人為ミスによる締固め回数不足を防止でき、品質を均一化することができる。さらに転圧情報が記憶されることから盛土管理図として活用できる。
【0035】
また、振動ローラRvに搭載されたICT情報処理システムは、振動ローラRvのローラ部に装備された加速度センサにより得られた振動加速度波形を演算処理することにより加速度応答値(Compaction Control Value、以下、CCV値という)を算出するようになっている。そして、振動ローラRvのICT情報処理システムは、振動ローラRvの転圧情報(振動ローラの位置情報、その位置を算出した日時情報、転圧回数情報およびCCV値情報等)を、例えば、LTE対応の送信部を通じてクラウドサーバSvに送信するようになっている。
【0036】
上記したダンプトラックDtの車両情報(積載位置情報、車両位置情報および荷下ろし位置情報)は、クラウドサーバSvのサーバSv1に送られ、さらにアクセスサーバSv2を介してサーバSv3に送られ記憶されるようになっている。また、上記した荷下ろし位置情報と予めクラウドサーバSvに記憶された後述の土質マスタ情報とに基づいて、荷下ろしされた土砂の土質が記載された後述の荷下ろし土質情報(ダンプアップ情報)が作成されて記憶されるようになっている。そして、上記した振動ローラRvの転圧情報は、クラウドサーバSvのサーバSv3に送られ記憶されるとともに、上記した荷下ろし土質情報と振動ローラRvの転圧情報とが結合されて盛土場情報(トレーサビリィティ情報)が作成され記憶されるようになっている。
【0037】
次に、
図2は
図1の盛土施工管理支援システムの概略構成図である。なお、
図2においてはクラウドサーバSvのサーバ構成を簡略化して示している。
【0038】
クラウドサーバSvは、通信インターフェース10と、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、二次記憶装置14とを備えている。
【0039】
通信インターフェース10は、外部デバイス(土取場Pdの事務所Fdのパーソナルコンピュータ、ダンプトラックDtの車両情報処理システム、盛土場Pmの事務所Fmのパーソナルコンピュータおよび盛土場Pmの振動ローラRvの転圧情報処理システム等)との間で情報を送受する機能部である。
【0040】
CPU(情報処理部)11は、全体の動作を司る装置であり、システムバス(図示せず)を通じて、通信インターフェース10、ROM12、RAM13および二次記憶装置14と電気的に接続されアクセスすることが可能になっている。ROM12は各種制御プログラムおよび各種パラメータ等が予め記憶されたメモリであり、RAM13はCPU11による各種処理プログラムの実行時のワークエリアとして使用されるメモリである。
【0041】
また、CPU11は、通信インターフェース10を介してネットワークに接続された外部デバイス(ダンプトラックの車両情報処理システム、振動ローラのICT情報処理システム、土取場の事務所のパーソナルコンピュータ、盛土場の事務所のパーソナルコンピュータ等)との間で各種情報を送受するとともに、送られた情報(積載位置情報、車両位置情報、荷下ろし位置情報、土質マスタ情報、バックホウ施工指示情報および保管土砂情報等)や作成した情報(荷下ろし土質情報や盛土場情報)を二次記憶装置14に記憶するようになっている。
【0042】
土取場Pdおよび盛土場Pmの事務所Fd,Fmのパーソナルコンピュータ(図示せず)は、インターネット回線等を通じてクラウドサーバSvの通信インターフェース10と電気的に接続されている。土取場Pdおよび盛土場Pmの事務所Fd,Fmの管理作業者は、パーソナルコンピュータを通じて盛土施工管理サイトにアクセスし、所定のIDおよびパスワード等を入力することでサイト内にログインすることで、モニタM(
図1参照)に表示されたサイト内の情報を閲覧したり、情報を追加したり、情報を修正したり、事務所Fd,FmのプリンタP(
図1参照)を通じて帳票類等の情報を印刷することが可能になっている。
【0043】
二次記憶装置(記憶部)14は、各種情報を記憶しておくための記憶装置であり、例えば、ハードディスクで構成されている。二次記憶装置14には、盛土施工管理プログラムファイルPF1や盛土場情報アプリケーションプログラムファイルPF2等のような種々のプログラムファイルの他、設定ファイルDF1、土質マスタ情報ファイルDF2、保管土砂情報ファイルDF3、バックホウ施工指示情報DF4、車両位置情報ファイルDF5、積載位置情報ファイルDF6、荷下ろし位置情報ファイルDF7、荷下ろし土質情報ファイルDF8、転圧情報ファイルDF9、盛土場情報ファイルDF10およびその他の情報ファイル等のような複数の情報ファイルが記憶されている。
【0044】
盛土施工管理プログラムファイルPF1は、盛土施工全体の工程を支援するプログラムが記憶されたファイルである。盛土場情報アプリケーションプログラムファイルPF2は、盛土場の各盛土箇所の土質を判定して盛土場情報を作成するアプリケーションプログラムが記憶されたファイルである。
【0045】
設定ファイルDF1には、盛土施工管理サイトにログインする際に必要な情報が記憶されている。
図3は設定ファイルの一例を示した図である。設定ファイルDF1には、テナントID、サイトID、ユーザー名およびパスワード等が記憶されている。テナントIDは会社を識別するIDであり、管理画面上では「tenant_id」と表記される。サイトIDは、現場を識別するIDであり、管理画面上では「site_id」と表記される。ユーザー名は、ログインユーザー名であり、管理画面上では「user_name」と表記される。パスワードは、盛土施工管理サイトにログインする際のパスワードであり、管理画面上では「password」と表記される。
【0046】
図2の土質マスタ情報ファイルDF2には、土取場PdのバックホウBhのビーコンID情報と、そのバックホウBhが所定期間に掘削する土質の情報とが記憶されている。この土質マスタ情報は、例えば、土取場Pdの事務所のパーソナルコンピュータ等からクラウドサーバSvの二次記憶装置14に予め記憶されている。
【0047】
図4(a)は土質マスタ情報の一例を示した図、
図4(b)は土質マスタ情報の設定時の記載例を示した図である。
図4(a)の項目の「terminal_tag」はバックホウのビーコンID情報である。このビーコンID情報は、例えば、
図4(b)のBL02-0002、BL02-0003等のように文字で示される。
図4(a)の項目の「適用開始期間および適用終了期間」は、所定のバックホウBhが所定の土質の土砂を掘削する期間であり、年月日(YYYYMMDD)で示される。すなわち、例えば、
図4(b)の「start_date,end_date」に示すように「20191001,20191231」等で示される。
図4(a)の項目の「土質名称」は、土質名であり、
図4(b)の「soil_type」に示すように、例えば、第2土取場、砂、粘性土、第1土取場、砂」等で示される。なお、土質名には、上記の他に、例えば、れき質土、普通土、岩塊玉石、改良土、砕石および砂利がある。
【0048】
図2の保管土砂情報ファイルDF3には、上記保管土砂情報が記憶されている。保管土砂情報には、どの位置(土砂の保管領域)に、どのような土質の土砂Sが、どの程度の層厚で、どの程度の量で確保されているか等が記されている。この保管土砂情報は、例えば、土取場Pdの事務所のパーソナルコンピュータの二次記憶装置または当該パーソナルコンピュータ等からクラウドサーバSvの二次記憶装置14に予め記憶されている。
【0049】
バックホウ施工指示情報ファイルDF4には、バックホウ施工指示情報が記憶されている。バックホウ施工指示情報には、土取場Pdの各バックホウBhのビーコンID情報と、そのビーコンID情報毎に、施工期間、掘削位置(土砂の保管領域)および土砂の掘削量等が記されている。このバックホウ施工指示情報は、例えば、土取場Pdの事務所のパーソナルコンピュータの二次記憶装置または当該パーソナルコンピュータ等からクラウドサーバSvの二次記憶装置14に予め記憶されている。
【0050】
車両位置情報ファイルDF5には、ダンプトラックDtの車両情報処理システムからクラウドサーバSvに送られた車両位置情報(ダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報およびそのダンプトラックDtの固有情報)が記憶されている。この車両位置情報により、移動中のダンプトラックDtの運行ルートや移動量等が算出され盛土場情報として二次記憶装置14に記憶される。
【0051】
積載位置情報ファイルDF6には、土取場PdでバックホウBhがダンプトラックDtに土砂Sを積載した時にダンプトラックDtの車両情報処理システムからクラウドサーバSvに送られた積載位置情報(バックホウBhのビーコンID情報、土砂Sが積載されたダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報および土砂Sが積載されたダンプトラックDtの固有情報)が記憶されている。
【0052】
荷下ろし位置情報ファイルDF7には、盛土場PmにおいてダンプトラックDtが荷下ろしをした時にダンプトラックDtの車両情報処理システムからクラウドサーバSvに送られた荷下ろし位置情報(荷下ろしをしたダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報、荷下ろしをしたダンプトラックDtの固有情報および荷下ろししたダンプトラックDtに土取場Pdにおいて土砂Sを積載したバックホウBhのビーコンID情報)が記憶されている。
【0053】
荷下ろし土質情報ファイルDF8には、盛土場Pmにおいて荷下ろしした土砂Sの土質を記した荷下ろし土質情報(荷下ろしをしたダンプトラックDtの位置情報、その位置を算出した日時情報、荷下ろしをしたダンプトラックDtの固有情報、荷下ろししたダンプトラックDtに土取場Pdにおいて土砂Sを積載したバックホウBhのビーコンID情報および荷下ろしした土砂Sの土質情報)が記憶されている。
【0054】
この荷下ろし土質情報として、例えば、ダンプトラックDtの荷下ろし位置の高さの情報や荷下ろし範囲情報を追加しても良い。また、平面視においてダンプトラックDtの荷台の後端部(実際に土砂Sが下ろされる位置)は、ダンプトラックDtの位置を算出するGPS機能部から離れているので、ダンプトラックDtの荷台の後端部とGPS機能部との離間距離をGPS機能部で算出した位置に加算する補正をしても良い。
【0055】
この荷下ろし土質情報は、上記した荷下ろし位置情報と、上記
図4に例示した土質マスタ情報とに基づいて、CPU11によって作成される。すなわち、CPU11は、荷下ろし位置情報のバックホウBhのビーコンID情報および日時情報を元に、
図4に例示した土質マスタ情報の中から該当ビーコンID情報を見つけ出すことにより、荷下ろしした土砂の土質を自動的に判定して二次記憶装置14に記憶するようになっている。このように本実施の形態においては、土取場PdのバックホウBhのビーコンID情報によって、荷下ろしした土砂Sの土質を自動的に判定できるように情報が紐づけられている。このため、土取場Pdにおいては、作業者がダンプトラックDtに積載した土砂Sの土質を調べたり、土質を入力したりする作業を必要としない。このため、土取場Pdでの作業の停滞を防ぐことができので、盛土施工作業の効率を向上させることができる。また、情報入力時の人為ミスを無くせるので、盛土場のトレーサビリィティを向上させることができる。
【0056】
図5は荷下ろし土質情報の一例を示した図である。項目の緯度(latitude)および経度(Longitude)は、盛土場Pdにおいて荷下ろししたダンプトラックDtの位置情報を示している。項目の時間は、荷下ろししたダンプトラックDtの位置を算出した日時情報を示している。項目の土取場IDは、土取場PdにおいてダンプトラックDtに土砂を積載したバックホウBhのビーコンID情報(terminal_tag)を示している。これら位置、日時および土取場IDは、上記した荷下ろし位置情報から自動的に取得される。さらに、項目の土質名称は、盛土場PmにおいてダンプトラッDtが荷下ろしした土砂の土質の名称が示されている。この土質名称は、上記したように、荷下ろし位置情報と、上記
図4に例示した土質マスタ情報とを元に自動的に取得される。
【0057】
図2の転圧情報ファイルDF9には、盛土場Pmで振動ローラRvの転圧情報処理システムからクラウドサーバSvに送られた転圧情報(振動ローラRvの位置情報、その位置を算出した日時情報、転圧回数情報およびCCV値情報等)が記憶されている。なお、振動ローラRvの位置情報は、例えば、緯度および経度で示されている。
【0058】
盛土場情報ファイルDF10には、盛土場Pmの各盛土箇所の土質等を示した盛土情報が記憶されている。この盛土場情報は、上記した荷下ろし土質情報と、上記した転圧情報とに基づいて、CPU11によって作成される。すなわち、CPU11は、盛土場Pm全域を予め決められた寸法に設定することが可能な複数の立方体に分割することによりメッシュ状に配置された複数のボクセルブロック(
図2には図示せず)を生成し、上記荷下ろし土質情報と上記転圧情報とに基づいて、複数のボクセルブロックの各々の土質を判定して盛土場情報(盛土場の三次元施工情報)を作成して二次記憶装置14に記憶するようになっている。なお、盛土場Pdの複数のボクセルブロックは、上記特許文献1で説明したメッシュブロックに該当するものである。このボクセルブロックの各々の土質の判定方法例については後述する。
【0059】
図6は盛土場情報の一例を示した図である。項目のX,Yはボクセルブロックの中心座標、Hはボクセルブロックの標高、計画高は計画予定の標高を示している。中心X座標、中心Y座標、標高および計画高の単位は「m」である。項目の施工日および時刻は荷下ろしの日時情報であり、それぞれ年月日(YYYYMMDD形式)および時分秒(HHMMSS形式)で示される。これらは、荷下ろし土質情報から自動的に取得される。
【0060】
項目の層厚はボクセルブロックの厚さ、項目の層Noはボクセルブロックの層番号、項目のサイズはボクセルブロックの寸法をそれぞれ示している。規定回数は転圧回数の規定値である。この必要な転圧回数を求める際に土砂Sの含水率を用いる。土砂Sの含水率については事前に試験施工を行って所定の性能を発揮する含水率の許容範囲を確認しておき、バックホウBhによる土砂Sの掘削時に土砂Sの含水率が許容範囲内に収まっていることを確認する。ダンプトラックDtにより土砂Sを運搬する時に土砂Sの水分が蒸発する量は微量であることから無視する。項目の転圧回数は振動ローラRvにより実施された転圧回数である。項目の温度は盛土された土砂の表面温度であり、単位は「℃」である。項目の5mメッシュ縦位置は5mのボクセルブロックの縦方向位置を示し、項目の5mメッシュ横位置は5mのボクセルブロックの横方向位置を示している。これらは、転圧情報から自動的に取得される。
【0061】
項目の土質情報は、上記した荷下ろし土質情報(すなわち、
図4で示した土質マスタ情報)から自動的に取得された土質名称である。項目の土の混合率は、1つのボクセルブロックに含まれる異なる土質の土砂の混合率である。混合率は投入割合で示され、単位は「%」である。複数の土質が混合している場合は、例えば、「砂、粘性土、第1土取場」等のように、
図4の土質マスタ情報に定義した土質を全角カンマ「、」で区切って示される。この土の混合率は、上記した荷下ろし土質情報と転圧情報との合成により自動的に判定され取得される。
【0062】
次に、上記した盛土場Pm全域をメッシュ状に分割することで作成した複数のボクセルブロックの各々の土質の判定方法例について
図2、
図7~
図12を参照して説明する。
【0063】
まず、本実施の形態においてCPU11(
図2参照)は、データ上において盛土場Pm全域を予め決められた寸法に設定することが可能な複数の立方体に分割することにより、メッシュ状に配置された複数のボクセルブロックを生成する。ボクセルブロックの形状は全て均一とされている(この段階では転圧による高さの変化は無視する)。各ボクセルブロックの大きさは、例えば、10tのダンプトラックの約1台分の土砂の積載量が基準とされており、5m×5m×0.3m(幅×奥行×高さ)である。なお、ボクセルブロックのデータは点群データとして二次記憶装置14に記憶される。ボクセルブロックの寸法(幅×奥行×高さ)および数は、例えば、盛土場Pmの事務所Fmのパーソナルコンピュータを通じて盛土施工管理サイトにアクセスしてログインすることで、設定および変更することができる。
【0064】
ここで、
図7(a)は転圧管理で用いた盛土場の要部平面図である。転圧管理では、盛土場Pm全域をメッシュ状に配置された複数の転圧ブロックRB毎に転圧情報(転圧回数、CCV値等)を管理するようになっている。この転圧管理上の各転圧ブロックRBは、予め決められた寸法に設定することが可能な複数の立方体で構成されており、その各々の平面寸法は、例えば、50cm×50cmとされている。これは、一般的な振動ローラRvの幅が1.0~1.5m程度であることから、上記のボクセルブロックの幅では正確な管理ができないことによる。なお、メッシュ原点Psは、互いに直交するX軸およびY軸の最小値から求める。
【0065】
図7(b)は
図7(a)の転圧管理上の盛土場の平面内にボクセルブロックを配置して示した要部平面図である。符号VBはボクセルブロックを示している。上記したようにボクセルブロックVBの平面寸法は、例えば、5m×5mとされているので、ボクセルブロックVBの生成に際しては、メッシュ原点Psから縦横5m分を1つのボクセルブロックVBとして定義する。この場合、土質はボクセルブロックVB単位で設定される。したがって、同一のボクセルブロックVB内にある複数の転圧ブロックRBの土質は全て同じとする。ただし、上記したように転圧情報は転圧ブロックRB毎に設定されるので、同一のボクセルブロックVB内の転圧ブロックRBでも転圧回数やCCV値等が異なる場合もある。なお、転圧ブロックRBと転圧回数等はバックグラウンドデータとして記録され、ボクセルブロックVBの土質の判定等には影響を与えることはない。
【0066】
次いで、各ボクセルブロックVBの土質を判定する。ボクセルブロックVBの土質の判定に際しては、ボクセルブロックVBに荷下ろしされた土砂の土質をそのままボクセルブロックVBの土質と判定することもできる。しかし、ある1つ、もしくは互いに隣接するボクセルブロックVBに、異なる土取場Pdからの土砂Sや異なるバックホウBhによって積み込まれた土砂Sが荷下ろしされることがある。また、実際には荷下ろしされた土砂は、荷下ろし位置にとどまらず、その周辺に拡散していることが多く、互いに混合されることになる。そこで、本実施の形態においては、荷下ろしされた土砂が荷下ろし位置から周囲に拡散するとして、主に上記した荷下ろし土質情報に基づいて、以下のようにして各ボクセルブロックVBの土質を判定する。
【0067】
図8(a)は盛土場のボクセルブロックの一部分を抜き出して模式的に示した要部平面図である。まず、各ボクセルブロックVB(VBa~VBi)の平面内の重心位置Pcを求める。重心位置Pcは各ボクセルブロックの平面内の中心点とする。続いて、荷下ろし位置Puを含むボクセルブロックVBeと、その外周の面または辺と隣接し、ボクセルブロックVBeと同じ層における周囲の8個のボクセルブロックVBa~VBd,VBf~VBhについて荷下ろし位置Puから各ボクセルブロックVBa~VBiの重心位置Pcまでの距離を算出する。
【0068】
続いて、荷下ろし位置Puと各ボクセルブロックVBa~VBiの重心位置Pcとの距離により重みづけ値を算出する。重みづけ値は、荷下ろしした土砂が各ボクセルブロックVBa~VBiにどれくらい混合されたかを示す値であり、距離の割合(1/(距離/距離の合計))を算出し、その逆数により算出されている。
【0069】
図8(b)は各ボクセルブロックの重みづけ値の一例を示した図である。各ボクセルブロックVBa~VBiには、荷下ろし位置Puからの距離の逆数に比例して荷下ろしした土砂が拡散しているものとする。したがって、荷下ろし位置PuのボクセルブロックVBeの重みづけ値が最も高く(例えば、52.90)、荷下ろし位置Puから最も遠いボクセルブロックVBgの重みづけ値が最も小さい(例えば、5.81)。なお、重みづけ値において小数点以下は第二位までとする。
【0070】
続いて、上記のようにして算出した重みづけ値により各土質の重みづけ値の割合(
図8(a)に例で言えば、中心の1つのボクセルブロックVBとその周囲の8つ(計9つ)のボクセルブロックVBについて、重みづけ値の合計値に対する各土質の重みづけ値の合計)を算出することにより、各ボクセルブロックVBa~VBiにおける各土質の土砂の混合率を算出し、その混合率が最多となる土質をそのボクセルブロックVBa~VBiの土質と判定する。なお、各土質とその混合率は各ボクセルブロックVBa~VBiのバックグラウンドデータとして記憶される。
【0071】
図9はボクセルブロックの土質判定の考え方の一例を説明するために盛土場のボクセルブロックの一部分を抜き出して模式的に示した要部平面図である。なお、
図9において各荷下ろし位置Puのかっこ内の符号Sa~Sdは土質を示している。ここでは、図面を見易くするために、土質Sa~Sd毎に異なるハッチングを付した。また、
図9においては、説明を分かり易くするために、1つのボクセルブロックVBa,VBb,VBd,VBeにつき、10点の荷下ろし位置Puを示しているが、実際は2~4点程度である。また、
図9においては、説明を分かり易くするために、上記した重みづけは考慮せず、荷下ろし位置Puの個数のみで土質Sa~Sdを判定している場合を例示している。
【0072】
図9の上段に示すように、ボクセルブロックVBaにおいては、土質Saが70%、土質Sbが30%なので、
図9の下段に示すように、ボクセルブロックVBaは土質Saと判定される。また、
図9の上段に示すように、ボクセルブロックVBbにおいては、土質Scが100%なので、
図9の下段に示すように、ボクセルブロックVBbは土質Scと判定される。また、
図9の上段に示すように、ボクセルブロックVBdにおいては、土質Saが10%、土質Sbが80%、土質Scが10%なので、
図9の下段に示すように、ボクセルブロックVBdは土質Sbと判定される。また、
図9の上段に示すように、ボクセルブロックVBeにおいては、土質Saが10%、土質Sbが20%、土質Scが10%、土質Sdが60%なので、
図9の下段に示すように、ボクセルブロックVBeは土質Sdと判定される。
【0073】
図10はボクセルブロックの土質判定において異なる土質の混合率が同値であった場合の土質判定方法例を説明するための説明図である。1つのボクセルブロックVBにおいて、異なる土質Sa,Sbの混合率が同値であった場合は、後に荷下ろしされた土砂の土質Sbとする。例えば、
図10上段に示すように土質Saは10時10分に荷下ろしされ、
図10中段に示すように、土質Sbは14時30分に荷下ろしされた場合は、
図10下段に示すように、ボクセルブロックVBは、土質Sbと判定される。
【0074】
このように本実施の形態においては、盛土場PmにおいてダンプトラックDtから荷下ろしされた土砂Sが荷下ろし位置Puから周囲に拡散すると想定して各ボクセルブロックVBの土質の判定を行うことにより、土質判定の信頼性を向上させることができるので、盛土場情報の信頼性を向上させることができる。したがって、盛土場Pmのトレーサビリィティを向上させることができる。
【0075】
ところで、上記した土質判定においては、盛土場Pmの地形等に起因してデータ上において土質判定がなされていない(すなわち、土質の情報が記憶されていない)空白のボクセルブロックVBが生じる場合がある。そこで、本実施の形態においては、上記した荷下ろし土質情報と、上記した転圧情報とを結合して盛土場情報を作成する際に、実際に転圧施工をして得られている転圧情報を用いて、データ上において土質判定がされていない空白のボクセルブロックVBを見つけ出し、その空白のボクセルブロックVBの土質を判定する。
【0076】
図11は空白のボクセルブロックの土質判定例を説明するための説明図である。この
図11においては、上段左側のボクセルブロックVBまではダンプトラックDtが入って荷下ろしを行うが、
図11上段右側のボクセルブロックVBmへは直接荷下ろしを行わないため空白のボクセルブロックVBmが生じている場合を示している。空白のボクセルブロックVBmの土質判定に際しては、
図11下段に示すように、空白のボクセルブロックVBmの重心位置Pcから参照円RS(
図11下段の破線で示す円)内の10点の荷下ろし位置Puの土質を参照し、その10点の累計で最も多い土質を空白のボクセルブロックVBmの土質と判定する。ここでは、荷下ろし位置Puの6点が土質Sdで、荷下ろし位置Puの4点が土質Scなので、空白のボクセルブロックVBmの土質は、土質Sdと判定する。現実には、直接荷下ろしを行わない空のボクセルブロックVBmへの土砂は、近隣から流入したものであり、より近い位置で荷下ろしされた土砂の土質の方が多くなることから、空のボクセルブロックVBmに近い荷下ろし位置Puの中で最も多い土質を空のボクセルブロックVBmの土質と判定することで、空のボクセルブロックVBmの土質をより現実に近い土質に設定できるので、盛土場をより正確に管理することができる。また、参照土質の選択に際して空白のボクセルブロックVBの重心位置Pcを中心として参照円RSを指定することにより、選択範囲を絞ることができるので、演算処理速度を向上させることができる。
【0077】
また、他の方法として、参照する荷下ろし位置Puの点数(参照点数)は、10点に限定されるものではなく、参照点数を指定して、その参照点数になるまで空白のボクセルブロックVBmの重心位置Pcを中心とする参照円RSを大きく、もしくは小さくしていき、参照点数になったときの参照円RS内において最も点数が多い土質を空白ボクセルブロックVBmの土質と判定しても良い。
【0078】
さらに、他の方法として、初めから参照円RSの大きさを指定して、その参照円RS内において、最も点数の多い土質を空白のボクセルブロックVBmの土質と判定しても良い。この場合、空白のボクセルブロックVBmの土質に影響を与えるのは、空白のボクセルブロックVBmのすぐ隣のボクセルブロックVBまでと考えて良いので、参照円RSの直径は、空白のボクセルブロックVBmに隣接するボクセルブロックVBのさらに隣りのボクセルブロックVBの荷下ろし位置Puまで含まないようにすることが望ましい。この例では、参照円RSの直径は、例えば、7.5mを超えないようにすることが望ましい。
【0079】
以上のようにして本実施の形態においては、盛土場Pm全域の複数のボクセルブロックVBに土質に関する詳細な情報を記憶した盛土場情報(
図6参照)を作成する。この盛土場情報によって作成した盛土場の様子は、モニタM(
図1参照)のような表示画面を通じて3次元的に視認することができるようになっている。
【0080】
図12は盛土場情報に基づいて表示画面に表示された盛土場の3次元画像の図、
図13(a)~(d)は
図12のボクセルブロックの一部を抜き出して示した3次元画像の図である。
【0081】
図12に示すように、盛土場Pmの様子は、表示画面上に3次元的に表示されるようになっている。表示画面においてボクセルブロックVBの形状は全て均一とされている。ただし、表示画面に表示される段階においては、転圧に因る変化が反映されるようにボクセルブロックVBの高さ(形状)を補正して表示しても良い。
【0082】
また、表示画面において各ボクセルブロックVBは、例えば、土質に応じて色分けされて表示される。これにより、盛土場Pmの土質の状況をより分かり易い状態で表示することができる。このボクセルブロックVBの色は、土質の混合率を透過率で表現しても良い。なお、
図12および
図13においては、ボクセルブロックVBの色をハッチングで代用して示している。
【0083】
このように、本実施の形態においては、モニタM等のような表示画面に盛土場Pmの画像を単純化して表示している。これにより盛土場Pmの土質情報を判断し易くすることができる。このため、盛土施工中においては盛土作業のミスを低減または防止することができ、盛土施工後においては施工品質や施工状態の履歴を遡る作業の効率を向上させることができる。
【0084】
また、表示画面においてボクセルブロックVB毎に代表土質の名称や混合率等をポップアップ方式等により表示することもできる。また、
図13(a)に示すように、一部のボクセルブロックVBの一群のみを取り出して表示したり、
図13(b),(c)に示すように、ボクセルブロックVBの一群の一部のボクセルブロックVBを取り外して内部のボクセルブロックVBを表示したり、各ボクセルブロックVBを、幅方向、奥行き方向および高さ方向による断面で表示したりすることができる。また、
図13(c)に示すように、ボクセルブロックVBの一群の内部を透かして見せて、所定の土質(例えば、土質Sc)のボクセルブロックVBのみを表示することもできる。さらに、所定日時における盛土状況をボクセルブロックVB毎に文字等で表示することもできる。
【0085】
ここで、盛土施工においては、複数の土取場Pdから土砂が運び込まれたり、日程によって土取場が変わったりすることがあり情報量が多く煩雑なために手作業での情報入力では、どの土取場Pdのどの位置から出荷された土砂が運び込まれたのか、どの区域にどれだけの土砂が使われたのか等のような情報を記録していないことが多い。このため、盛土に含まれる不純物(セメント系含有物やスラグ等)に因り地盤膨れが生じたり、転圧不足や粘土の圧密度の低下に因り地盤沈下が生じたりしても、それらの不具合の原因を特定することができないことが多い。また、不具合の原因を特定できたとしても、その土砂をどこに使用しているかが分からなければ調査や予防措置を講じることができない。
【0086】
これに対して、本実施の形態においては、データ上において盛土場Pmを構成する複数のボクセルブロックVBの各々に、どの土取場のどの位置の土砂をどれくらいの量だけ荷下ろししたか、どれくらいの転圧回数やCCV値で締め固めているか等のような膨大な量の情報が紐づけされた状態で記憶されているとともに、その膨大な量の情報の中から特定の情報を比較的簡単な操作で検索し短時間で引き出すことができる。
【0087】
このため、盛土場Pmの所定位置の土砂の情報を比較的簡単な操作で過去に遡って調べることができるので、地盤の膨れや沈下等のような不具合が発生したときにその原因を容易に特定することができる。また、不具合が発生した原因である土砂をどこで使用しているかも分かるので、その原因土砂を使用している他の箇所について不具合発生前に調査や予防措置を講じることができる。
【0088】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0089】
例えば、バックホウBhや振動ローラRvは必ずしもICT建機である必要は無く、従来のように操縦者が全ての操作をするものであっても良い。ただし、その場合でも、バックホウBhにはビーコンが搭載されていて、定期的にビーコンID情報を発信する必要がある。
【0090】
また、情報ファイルDF1~DF10は、予め全てがサーバSvに記憶されている必要は無く、例えば、土質マスタ情報ファイルDF2はバックホウBhのビーコンに記憶されており、ビーコンID情報と共にダンプトラックDtが受け取ってクラウドサーバSvに送信するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上の説明では、本発明の盛土施工管理支援システムを、宅地や道路等のような建造物の基礎を造成するための盛土施工に適用した場合が示されているが、例えば、公園やゴルフ場等を造成するための盛土施工に適用することもできる。
【符号の説明】
【0092】
10 通信インターフェース
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 二次記憶装置
SS 盛土施工管理支援システム
Sp 測位衛星
Pd 土取場
Pm 盛土場
Fd,Fm 事務所
M モニタ
P プリンタ
Bh バックホウ
Dt ダンプトラック
Rv 振動ローラ
S 土砂
Sa~Sd 土質
Sv クラウドサーバ
Sv1 サーバ
Sv2 アクセスサーバ
Sv3 サーバ
PF1 盛土施工管理プログラムファイル
PF2 盛土場情報アプリケーションプログラムファイル
DF1 設定ファイル
DF2 土質マスタ情報ファイル
DF3 保管土砂情報ファイル
DF4 バックホウ施工指示情報
DF5 車両位置情報ファイル
DF6 積載位置情報ファイル
DF7 荷下ろし位置情報ファイル
DF8 荷下ろし土質情報ファイル
DF9 転圧情報ファイル
DF10 盛土場情報ファイル
RB 転圧ブロック
VB,VBa~VBi ボクセルブロック
Ps メッシュ原点
Pc 重心位置
Pu 荷下ろし位置
Rs 参照円