(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】OCT装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A61B3/10
(21)【出願番号】P 2019017515
(22)【出願日】2019-02-01
【審査請求日】2021-12-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】岩田 真也
(72)【発明者】
【氏名】青木 健治
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓也
【合議体】
【審判長】榎本 吉孝
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-504475(JP,A)
【文献】特開2014-207976(JP,A)
【文献】特開2018-171348(JP,A)
【文献】特開2019-13399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B3/00-3/12,3/13-3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT光学系と、参照用アタッチメントと、を含むOCT装置であって、
前記OCT光学系は、OCT光源からの光を測定光路と参照光路とに分割する光分割器と、前記測定光路を介して被検眼の眼底上に導かれた測定光と前記参照光路からの参照光とのスペクトル干渉信号を検出するための光検出器と、前記参照光路の一部を形成する第1導波路であって、前記光分割器側の第1導波路と、前記参照光路の一部を形成する第2導波路であって、前記第1導波路に対して前記光検出器側の第2導波路と、
被検眼と前記OCT装置の対物レンズとの間において前記OCT装置の筐体面に対して着脱されることによって、眼底に対する画角を切替えるためのアタッチメント光学系が測定光路上に挿脱され、挿脱に応じて測定光路の光路長が変化する画角切替アタッチメントと、を含み、
前記参照用アタッチメントは、第3導波路を有し、前記第3導波路が前記第1導波路の端部と前記第2導波路の端部との間で挿脱されるように、前記OCT光学系に対して着脱可能であって、
前記第3導波路は、前記画角切替アタッチメントの筐体面に対する着脱に基づくアタッチメント光学系の挿脱に応じた測定光路の光路長変化に対応する、互いに異なる光路長を持つ第1分岐光路と第2分岐光路との少なくとも2つに分岐しており、前記第1分岐光路を経た参照光と前記第2分岐光路を経た参照光とが、同時に、又は、択一的に、前記
光検出器へ導かれる、OCT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、OCT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OCT装置は、例えば、OCT光学系から出力される測定光と参照光とのスペクトル干渉信号を処理して、被検眼のOCTデータを取得する。例えば、被検眼の眼底を撮影する場合、測定光の出射窓から眼底までの距離には個人差があるので、測定光と参照光との光路長差は、被検眼毎に異なり得る。そこで、測定光と参照光との光路長差を補正するために駆動される光学部材が設けられた装置が、従来より知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、装置本体と、被検眼と、の間にアタッチメントが着脱されることで、眼底上における撮影範囲が変更される装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-43844号公報
【文献】特開2016‐123467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、アタッチメントの着脱による光路長差の変化量が、被検眼の個体差による光路長差の変化量に比べて、各段に大きい場合が考えられる。本件発明者が検討したところ、従来の装置では、アタッチメントの着脱に伴う光路長差の変化を、十分に補正できなかった。また、当初は想定されなかった撮影範囲を、アタッチメント等を用いることによって、事後的に撮影できるようにすることは、従来、何ら想定されていない。
【0006】
また、アタッチメント等は、オプションとして、ユーザーに提供される場合が考えられる。この場合、アタッチメントが不要なユーザーのOCT装置にまで、アタッチメントの着脱に対応した光路長差を補正するための部材が、予め組み込まれている必要は無い。一方、当初はアタッチメントが不要であっても、事後的にアタッチメントを所望するユーザーも存在する。
【0007】
本開示は、従来の問題点に鑑み、撮影範囲を拡張または変更容易な、OCT装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様に係るOCT装置は、OCT光学系と、参照用アタッチメントと、を含むOCT装置であって、前記OCT光学系は、OCT光源からの光を測定光路と参照光路とに分割する光分割器と、前記測定光路を介して被検眼の眼底上に導かれた測定光と前記参照光路からの参照光とのスペクトル干渉信号を検出するための光検出器と、前記参照光路の一部を形成する第1導波路であって、前記光分割器側の第1導波路と、前記参照光路の一部を形成する第2導波路であって、前記第1導波路に対して前記光検出器側の第2導波路と、被検眼と前記OCT装置の対物レンズとの間において前記OCT装置の筐体面に対して着脱されることによって、眼底に対する画角を切替えるためのアタッチメント光学系が測定光路上に挿脱され、挿脱に応じて測定光路の光路長が変化する画角切替アタッチメントと、を含み、前記参照用アタッチメントは、第3導波路を有し、前記第3導波路が前記第1導波路の端部と前記第2導波路の端部との間で挿脱されるように、前記OCT光学系に対して着脱可能であって、前記第3導波路は、前記画角切替アタッチメントの筐体面に対する着脱に基づくアタッチメント光学系の挿脱に応じた測定光路の光路長変化に対応する、互いに異なる光路長を持つ第1分岐光路と第2分岐光路との少なくとも2つに分岐しており、前記第1分岐光路を経た参照光と前記第2分岐光路を経た参照光とが、同時に、又は、択一的に、前記光検出器へ導かれる。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、撮影範囲を拡張または変更する作業が容易であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施例に係る光学系の概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施例の制御系を示すブロック図である。
【
図3】中心領域を撮影した眼底のBスキャン画像の一例である。
【
図4】広角領域を撮影した眼底のBスキャン画像の一例である。
【
図5】干渉光学系および参照用アタッチメントに設けられたケースを示す図である。
【
図6】第2実施例に係る参照用アタッチメントを示した図である。
【
図7】第3実施例に係る参照用アタッチメントを示した図である。
【
図8A】第4実施例に係る参照用アタッチメントの1つと、第1導波路および第2導波路の端部を示している。
【
図8B】第4実施例に係る参照用アタッチメントであって、
図8Aとは別の参照用アタッチメントと、第1導波路および第2導波路の端部を示している。
【
図9A】第5実施例に係るOCT装置の初期状態を示した図である。
【
図9B】第5実施例に係るOCT装置において、参照用アタッチメントおよび画角切換アタッチメントを装着した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態の一例について図面に基づいて説明する。
図1~
図9Bは本実施形態の実施例に係る図である。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立又は関連して利用されうる。
【0014】
<OCT装置の概略構成>
本実施形態に係るOCT装置は、OCT光学系(例えば、
図1参照)を備える。また、OCT装置は、OCT光学系の検出器から出力されるスペクトル干渉信号を処理してOCTデータを取得可能であってもよい。この場合、OCT光学系は、例えば、フーリエドメインOCT光学系(SS-OCT光学系、SD-OCT光学系)であってもよく、OCT光学系は、光分割器と、光検出器と、を有してもよい。光分割器は、OCT光源からの光を測定光路と参照光路に分割する。光検出器は、測定光路を介して被検眼に導かれた測定光と参照光路からの参照光とのスペクトル干渉信号を検出する。更に、OCT装置は、画像処理器を備えてもよく、画像処理器は、OCT光学系から出力されるスペクトル干渉信号を処理してOCTデータを取得可能であってもよい。
【0015】
以下の実施例では、特に断りが無い限り、OCT光学系における参照光学系は、透過型であるものとする。但し、反射型の参照光学系を備えるOCT光学系に対しても、本開示は適用可能である。
【0016】
<測定光路>
OCT装置は、測定光路の光路長変化を伴って、撮影範囲に関する測定光の照射条件を変更可能であってもよい。撮影範囲に関する測定光の照射条件が変更され、更に、測定光と参照光との光路長差が適宜調整されることによって、撮影範囲が変更される。この場合、撮影範囲は、例えば、深さ方向に関して変更されてもよいし、横断方向に関して変更されてもよい。深さ方向に関して変更される場合、撮影範囲は、被検眼の前眼部と眼底との間で変更されてもよい。また、前眼部の角膜側の領域と水晶体側の領域との間で変更されてもよい。横断方向に関して変更される場合、例えば、眼底の中心領域と、眼底の広角領域との間で変更されてもよい。広角領域は、中心領域に対する眼底の周辺領域を含む領域である(
図4参照)。広角領域は、周辺領域に加え、更に中心領域を含む領域であってもよい。撮影範囲に関する照射条件は、例えば、測定光の集光位置、および、走査範囲のうちいずれかに関する条件であってもよい。なお、以下の説明においては、OCT装置における測定光の走査範囲の大きさを、画角と称する場合がある。
【0017】
OCT装置は、導光光学系を有していてもよい。導光光学系の状態が切替わることによって、照射条件が切換えられてもよい。導光光学系は、測定光路上に形成されている。導光光学系は、少なくとも光走査部(光スキャナ)と、フォーカス調整部とを含んでいてもよい。また、導光光学系は、更には、対物光学系を含んでいてもよい。導光光学系は、光分割器からの測定光を光走査部によって偏向することで、被検眼の組織上で、測定光が照射される位置を変更できる。これにより、組織上で測定光を走査できる。
【0018】
測定光路の光路長変化を伴って、測定光の照射条件が切替わる場合の一例として、被検眼と、対物光学系との間に、撮影範囲を変更するための光学系が挿脱される場合が考えられる。他の一例として、撮影範囲を変更するために導光光学系における一部の配置が変更される場合が考えられる。
【0019】
<参照光路>
本実施形態のOCT光学系は、第1導波路と、第2導波路と、を含んでいる。第1導波路および第2導波路は、いずれも、参照光路の一部を形成する。第1導波路は、光分割器側に形成される。第2導波路は、第1導波路に対して、光検出器側に形成される。第1導波路と第2導波路とのそれぞれは、例えば、光ファイバによって形成されていてもよいし、他の部材又は媒介によって形成されてもよい。
【0020】
本実施形態において、光分割器に対して反対側となる第1導波路の端部と、光検出器に対して反対側となる第2導波路の端部とは、第1導波路および第2導波路とは、直接的に、又は、間接的に、接続可能であってもよい。2つの端部が、一点で接することによって、直接的に接続される。また、2つの端部の間に、第3導波路(詳細は後述)が介在することによって、間接的に、2つの端部が接続される。本実施形態におけるOCT光学系は、例えば、第1導波路および第2導波路との間に介在される第3導波路の光路長(或いは、第3導波路の有無)に応じて、参照光路の全長を変更可能である。
【0021】
ところで、従来の眼科用OCT装置には、参照光路上、又は、測定光路上に、光路長を可変制御するためのデバイスである、オプティカルディレイライン(ODL)等を備えるものが知られている。しかし、この種のデバイスは、被検眼の個体差による光路長の誤差を補正するために利用される。故に、従来は、被検眼の個体差を補正できる程度の範囲で光路長を可変できるデバイスが採用されているに過ぎなかった。可変できる範囲は、せいぜい数mm~数十mm程度に過ぎない。つまり、参照光路の光路長を大きく変更することはできなかった。
【0022】
これに対し、本実施形態では、第1導波路および第2導波路との間に介在される第3導波路の光路長(或いは、第3導波路の有無)に応じて、参照光路の全長を、従来の装置のODLによる調整範囲に対して、より大きく変更可能である。
【0023】
第1導波路と第2導波路とのそれぞれの上記端部には、光コネクタが設けられていてもよい。光コネクタの一例として、FCコネクタ、SCコネクタ等が挙げられる。但し、光コネクタは、導波路間を接続し、接続関係を固定する部材であればよく、必ずしもこれらの部材に限定されない。なお、2つの光コネクタを接続する場合において、アダプタが介在されてもよい。
【0024】
<参照用アタッチメント>
参照用アタッチメントは、少なくとも、第3導波路を含んでいる(例えば、
図1,
図6~
図9B参照)。第3導波路は、第1導波路と第2導波路との間で、両者に接続可能である。第3導波路は、第1導波路と第2導波路とに接続されることによって、OCT光学系における参照光路の一部となる。第3導波路の一部又は全部は、例えば、光ファイバによって形成されていてもよいし、他の部材又は媒介によって形成されてもよい。
【0025】
第1導波路と第2導波路とのそれぞれの端部に、光コネクタが設けられている場合、第3導波路の両端それぞれに、第1コネクタに対して着脱可能な第2コネクタが設けられていてもよい。光コネクタを利用することによって、第3導波路と、第1導波路および第2導波路とが、確実に接続されやすくなる。また、参照用アタッチメントの着脱作業が、容易となる。
【0026】
参照用アタッチメントをOCT光学系へ装着する場合には、OCT光学系に対して参照用アタッチメントが、固定部によって固定されることが好ましい。固定部は、OCT光学系および参照用アタッチメントのうち少なくともいずれかが有していてもよいし、両者と別体であってもよい。上記のようにOCT光学系および参照用アタッチメントがそれぞれ、第1コネクタ,第2コネクタを有する場合、それらの光コネクタが、固定部を兼用し得る。
【0027】
参照用アタッチメントは、第3導波路を収容するケースを備えていてもよい。この場合、第3導波路の端部は、ケース外に露出していてもよい。
【0028】
<分岐を持つ第3導波路>
第3導波路は、1分岐光路と第2分岐光路との少なくとも2つに分岐していてもよい。第1分岐光路の光路長は、第2分岐光路の光路長と、互いに異なる。また、第3導波路が第1導波路と第2導波路とに接続された状態において、第1分岐光路を経た参照光と、第2分岐光路を経た参照光とは、同時に、又は、択一的に、検出器へ導かれてもよい。
【0029】
ここで、第1分岐光路を経た参照光と、第2分岐光路を経た参照光とが、検出器へ同時に導かれる場合、2種類のスペクトル干渉信号が、検出器によって同時に検出されると考えられる。便宜上、2種類のスペクトル干渉信号を、それぞれ、第1干渉信号、第2干渉信号と称す。第1干渉信号は、第1分岐光路を経た参照光による干渉信号である。第2干渉信号は、第2分岐光路を経た参照光による干渉信号である。このとき、第1分岐光路を経た参照光と、第2分岐光路を経た参照光とは、それぞれ、干渉信号を得るうえで、十分な光量を得ることができると考えられる。元々、参照光は、OCT光源からの光から測定光が差し引かれたものである。測定光路上には、光を大きく減衰させる要素として被検眼がある。しかし、参照光路上には、光量を大きく減衰させる要素が、不要である。故に、参照光が、第1分岐光路と第2分岐光路とに同時に導かれたとしても、第1分岐光路を経た光と、第2分岐光路を経た光と、のそれぞれが、測定光との干渉信号を得るうえで十分な光量を有している。この場合、第1分岐光路と、第2分岐光路とは、光路長が異なるので、例えば、第1の深さ領域から戻ってきた測定光との干渉信号と、第1の深さ領域とは異なる第2の深さ領域から戻ってきた測定光との干渉信号と、を、同時に得ることができる。ここで、第1の深さ領域と、第2の深さ領域とが、いずれも、被検眼内にあれば、深さ領域に関してより広範囲のOCTデータを、まとめて得ることができる。
【0030】
また、撮影範囲に関する測定光の照射条件を変更する際に、測定光の光路長が、被検眼のサイズに比べて大きく変更される場合が考えられる。その一例としては、測定光の照射条件を変更するために、測定光路上にアタッチメント(以下、「測定用アタッチメント」と称す)が挿脱される場合等があり得る。この場合、第1分岐光路と第2分岐光路との光路長差は、測定用アタッチメントの挿脱に伴う測定光路の光路長の変化量に応じて定められていてもよい。この場合、第1分岐光路を経た参照光による干渉信号と、第2分岐光路を経た参照光による干渉信号とのうち、一方の干渉信号の強度が良好に得られる場合に、他方の干渉信号の強度は十分に弱くなる。よって、撮影範囲に関する照射条件が切替わった前後いずれにおいても、所望の撮影範囲についてのOCTデータが良好に得られる。
【0031】
<第1分岐光路と第2分岐光路との切換>
また、第3導波路が、1分岐光路と第2分岐光路とに分岐されている場合において、参照用アタッチメントは、光分割器からの参照光が導かれる光路を、第1分岐光路と第2分岐光路との間で切り替えるスイッチ(駆動部の一例)を、有してよい。これにより、検出器において、第1分岐光路からの参照光による干渉信号と、第2分岐光路からの参照光による干渉信号と、のうち一方を選択的に検出可能であってもよい。
【0032】
スイッチは、例えば、OCT装置の制御部(プロセッサ)によって、導光光学系の状態(挿入状態/退避状態)に応じて切り替えられてもよい。すなわち、退避状態においては、光分割器からの参照光が第1分岐光路へ導かれ、挿入状態においては、光分割器からの参照光が第2分岐光路へ導かれるように、スイッチが駆動制御されてもよい。このような測定光路における光路長変化量の補償方法は、ノイズを低減するうえで、有利である。
【0033】
<第3導波路における光路長調整>
第3導波路の光路長を調整するために駆動制御される光路長調整部を、参照用アタッチメントは更に有していてもよい。光路長調整部は、第3導波路の光路長を、所定の調整範囲の中で増減させる。光路長調整部が駆動制御されることで、測定光と参照光との光路長差が調整される。このような光路長調整部の一例として、光遅延線(オプティカルディレイライン:ODL)が知られている。
【0034】
<スイッチ、ODL等を有する参照用アタッチメントの電力および制御信号の供給について>
参照用アタッチメントが、上記したように、スイッチおよびODL等のようなデバイスを含む場合、外部電源からの電力を、デバイスへ供給するための導線が参照用アタッチメントへ設けられていてもよい。また、OCT装置の制御部(プロセッサ)からの制御信号をデバイスへ入力するための導線が、参照用アタッチメントへ設けられていてもよい。併せて、各導線と、OCT装置本体の端子と電気的に接続するための接続端子が、参照用アタッチメントに設けられていてもよい。
【0035】
<着脱方法>
一般に、OCT光学系は、装置内部に収容されているので、参照用アタッチメントを着脱するためには、装置の分解が必要と考えられる。このため、参照用アタッチメントを着脱して、OCT光学系を調整する作業(以下、「着脱作業」と称する)を行う者を、以下、「作業者」と称する。着脱作業では、参照用アタッチメントの第3導波路が、OCT光学系における第1導波路の端部と第2導波路の端部との間に挿脱されるように、参照用アタッチメントがOCT光学系に対して着脱される。
【0036】
ここで、上記説明したOCT装置の初期状態(例えば、工場出荷時の状態)は、次の2通りのうちいずれかであると考えられるので、着脱作業を、初期状態毎に説明する。
【0037】
<第1の初期状態>
第1の初期状態として、参照用アタッチメントが、予めOCT光学系に装着されていることが考えられる。このとき、作業者は、例えば、予め装着された参照用アタッチメントを、OCT光学系から取り外し、新たな参照用アタッチメントへと交換する。
【0038】
新たな参照用アタッチメントは、予め装着された参照用アタッチメントとは異なる第3導波路を持つ。例えば、新たな参照用アタッチメントの第3導波路は、予め装着された参照用アタッチメントの第3導波路とは、異なる光路長を有していてもよい。この場合において、少なくとも一方の参照用アタッチメントには、複数の第3導波路含まれていてもよい。このとき、交換される2つの参照用アタッチメントの中で、少なくとも1つの導波路が、他のいずれとも光路長が異なる。また、スイッチおよびODL等の制御部によって駆動制御される要素の有無の点で、新たな参照用アタッチメントの第3導波路は、予め装着された参照用アタッチメントの第3導波路から、異なっていてもよい。
【0039】
また、OCT光学系の第1導波路の端部と、第2導波路の端部とが、直接的に接続可能であれば、着脱作業は、次のようなものであってもよい。すなわち、着脱作業では、作業者によって、予め装着された参照用アタッチメントが取り外された後、第1導波路と第2導波路との端部同士が接続されることで、参照光路の光路長が調整されてもよい。
【0040】
<第2の初期状態>
第2の初期状態として、OCT装置が参照用アタッチメントを有していない場合が考えられる。この場合、第1導波路と、第2導波路とが、分離可能な態様で、直接的に接続されている。
【0041】
この場合、作業者は、第1導波路と第2導波路とを分離してから、その間に、第3導波路が挿入されるように、参照用アタッチメントを装着する。更に、この場合、後述の第5実施例で示すように、測定光路の光路長を延長させてもよい。第5実施例では、一例として、測定光路を形成するファイバ上に、一対の光コネクタが設けられている。測定光路の光路を延長する際には、光コネクタを分離して、その間に、光路延長アタッチメントを取り付ける。これにより、測定光路の光路長が延長される。光路延長アタッチメントの具体例として、パッチファイバ(パッチコードともいう)等が挙げられる。
【0042】
このような着脱作業によって、作業者は、OCT装置における撮影範囲を、容易に拡張または変更できる。
【0043】
なお、OCT光学系および参照用アタッチメントがそれぞれ、第1コネクタ,第2コネクタを有している場合は、適正に導波路同士を接続することが容易となる。故に、着脱作業における作業者の負担が軽減される。
「実施例」
以下、第1実施例として、
図1から
図5に示される光コヒーレンストモグラフィー(OCT)装置を説明する。
図1は、第1実施例のOCT装置を示している。
【0044】
第1実施例のOCT装置は、眼底のOCTデータの撮影に適している。
【0045】
初期状態で、OCT装置は、干渉光学系(本実施例のOCT光学系)100に、参照用アタッチメント200が予め装着されている。このとき、本実施例では、OCT装置は、符号Aで示す、画角切換アタッチメント160が装着されていない状態(退避状態)で、眼底のOCTデータを取得できる。例えば、
図3に示すような、眼底中心部についてのOCTデータが得られる。
【0046】
一方、参照用アタッチメント200が装着された状態(装着状態)で、符号Bで示すように、画角切換アタッチメント160が装着されると、測定光路が延長されることによって、測定光路と参照光路との光路長差が、眼底に対応しなくなる。結果、眼底のOCTデータを良好に取得できなくなる。
【0047】
一方で、予め装着されていた参照用アタッチメント200が、別の参照用アタッチメント210へと、作業者によって交換されることによって、画角切換アタッチメント160の装着状態で、眼底のOCTデータを良好に取得できるようになる。つまり、例えば、
図4に示すような、眼底中心部と眼底周辺部とを含む領域についてのOCTデータを得ることができる。また、参照用アタッチメント210は、装着状態に対応した第3導波路のほかに、退避状態に対応した第3導波路を有する。その結果、退避状態での撮影も対応できる。このように、予め装着された参照用アタッチメント200が、別の参照用アタッチメント210へ交換されることによって、OCT装置は、装着状態および退避状態の両方において、眼底のOCTデータを取得できる。
【0048】
以下、第1実施例のOCT装置の詳細構成を説明する。
【0049】
第1実施例に係るOCT装置は、例えば、スペクトルドメイン式OCT(SD-OCT)を基本的構成としている。
【0050】
OCT装置は、光源102、干渉光学系(OCT光学系)100、および、演算制御器(演算制御部)70(
図2参照)を含む。
図2に示すように、OCT装置には、その他、メモリ72、表示部75、図示無き正面像観察系及び固視標投影系が設けられてもよい。演算制御器(以下、制御部)70は、光源102、干渉光学系100、メモリ72、および、表示部75に接続されている。
【0051】
干渉光学系100は、導光光学系150によって測定光を眼Eに導く。干渉光学系100は、参照光学系110に参照光を導く。干渉光学系100は、眼Eによって反射された測定光と参照光との干渉、によって取得される干渉信号光を検出器(受光素子)120に受光させる。なお、干渉光学系100は、図示無き筐体(装置本体)内に搭載され、ジョイスティック等の操作部材を介して周知のアライメント移動機構により眼Eに対して筐体を3次元的に移動させることによって被検眼に対するアライメントが行われてもよい。
【0052】
干渉光学系100には、SD-OCT方式が用いられる。光源102としては低コヒーレント長の光束を出射するものが用いられ、検出器120として、スペクトル干渉信号を波長成分ごとに分光して検出する分光検出器が用いられる。
【0053】
カップラ(スプリッタ)104は、第1の光分割器として用いられ、光源102から出射された光を測定光路と参照光路に分割する。カップラ(Fiber Coupler)104は、例えば、光源102からの光を測定光路側の光ファイバ152に導光すると共に、ファイバ106を介して参照光路側に導光する。
【0054】
<導光光学系>
導光光学系150は、測定光を眼Eに導くために設けられる。導光光学系150には、例えば、光ファイバ152、コリメータレンズ154、可変ビームエキスパンダ155、光スキャナ156、及び、対物レンズ系158(本実施例における対物光学系)が順次設けられてもよい。この場合、測定光は、光ファイバ152の出射端から出射され、コリメータレンズ154によって平行ビームとなる。その後、可変ビームエキスパンダ155によって所望の光束径となった状態で、光スキャナ156に向かう。光スキャナ156を通過した光は、対物レンズ系158を介して、眼Eに照射される。対物レンズ系158に関して光スキャナ156と共役な位置に、第1の旋回点P1が形成される。この旋回点P1に前眼部が位置することで、測定光はケラレずに眼底に到達する。また、光スキャナ156の動作に応じて測定光が眼底上で走査される。このとき、測定光は、眼底の組織によって散乱・反射される。
【0055】
光スキャナ156は、眼E上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させてもよい。光スキャナ156は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構によって任意に調整される。光源102から出射された光束は、その反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。光スキャナ156としては、例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられてもよい。
【0056】
測定光による眼Eからの散乱光(反射光)は、投光時の経路を遡って、光ファイバ152へ入射され、カップラ104に達する。カップラ104は、光ファイバ152からの光を、検出器120に向かう光路へと導く。
【0057】
第1実施例では、ファイバ152および導光光学系150を介してカップラ104から被検眼Eの眼底までを往復する光路と、ファイバ105による光路と、による光路長が、測定光路の光路長として、考慮すべき部分となる。
<画角切換アタッチメント>
次に、画角切換アタッチメント160について説明する。画角切換アタッチメント160は、一例として、OCT装置の筐体面に対して着脱される。アタッチメント光学系160aを含む鏡筒が、本実施例における画角切換アタッチメント160であってもよい。画角切換アタッチメント160が着脱されることで、対物光学系158と被検眼Eとの間において、アタッチメント光学系160aが挿脱される。
【0058】
アタッチメント光学系160aは複数のレンズ161~164を含んでいてもよい。ここで、
図1に示したアタッチメント光学系160aにおいて主要な正のパワーを持つレンズは、被検眼の眼前に置かれたレンズ164である。少なくともレンズ164の挿脱位置は、対物光学系158によって形成される第1旋回点P1と被検眼Eとの間となっている。第1旋回点P1を通過した測定光を少なくともレンズ164が光軸Lに向けて折り曲げることで、アタッチメント光学系160aおよび対物光学系158に関して光スキャナ156と共役な位置に第2旋回点P2が形成される。つまり、アタッチメント光学系160aは、旋回点P1を旋回点P2へリレーする光学系である。
【0059】
本実施例において、第2旋回点P2における測定光の立体角は、第1旋回点P1における立体角に比べて大きくなる。例えば、第2旋回点P2での立体角は、第1旋回点P1における立体角に対して2倍以上に増大される。本実施例では、退避状態において60°程度の画角で走査可能であり、挿入状態では、100°程度の画角で走査可能となる。
【0060】
可変ビームエキスパンダ155は、実施例における光束径調整部である。一例として、可変ビームエキスパンダ155は、両側テレセントリック光学系を形成する複数のレンズを有し、レンズ間隔がアクチュエータによって変化されることで、光束径を切換える構成であってもよい。可変ビームエキスパンダ155は、制御部70からの指示に基づいて測定光の光束径を調整する。
【0061】
仮に、挿入状態と退避状態との間で、可変ビームエキスパンダ155から光スキャナ156へ導かれる測定光の光束径が一定であるとすると、眼底上での測定光のスポットサイズは画角と比例するので、挿入状態では退避状態に比べて解像力が低下してしまう。そこで、本実施例では、制御部70は、アタッチメント光学系の挿脱に応じて、可変ビームエキスパンダ155を駆動し、挿入状態での光束径を、退避状態に対して縮小する。挿入状態と退避状態とにおける光束径(可変ビームエキスパンダ155における光束径)の比は、挿入状態と退避状態とにおける画角の逆比であることで、アタッチメント光学系160aの挿脱に基づく解像力の変化を抑制できる。
【0062】
ところで、十分な作動距離を確保するために、アタッチメント光学系160aは、十分な光線高さの位置から測定光が光軸Lに向けて折り曲げられる必要がある。また、アタッチメント光学系160aで生じる収差を許容範囲に抑制するためには、アタッチメント光学系160aに含まれる各々のレンズのパワーに制限がある。故に、アタッチメント光学系160aの光路長を短くすることは困難である。
【0063】
従来のOCT装置において、参照光と測定光との光路長差を調整する構成は存在しているものの、アタッチメント光学系160aの挿脱に適用できるような調整範囲を持つものは存在しなかった。例えば、従来、眼底撮影OCTに、光学アダプタを装着して前眼部撮影を可能とするものが知られている(例えば、本出願人による「日本国特開2011-147612号公報」等を参照されたい)。しかし、この光学アダプタは、装置本体の光学系によって形成された旋回点のリレーを行うものでは無く、また、走査範囲を広角化する要請も無いので、比較的短い光路長で形成できる。更に、光学アダプタの挿入に伴い、像面の位置が眼底から前眼部へ変移する。それ故、光学アダプタの挿入に伴って、光路長差を大きく調整する必要が無かった。
<参照光学系>
参照光学系110は、測定光の眼底反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110を経由した参照光は、カップラ(Fiber Coupler)148にて測定光路からの光と合波されて干渉する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであってもよい。
【0064】
図1に示す参照光学系110は、透過光学系によって形成されている。この場合、参照光学系110は、カップラ104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。これに限らず、参照光学系110は、例えば、反射光学系によって形成され、カップラ104からの光を反射光学系により反射することによって、検出器120に導いてもよい。
【0065】
カップラ104からカップラ148までの連続した光路の光路長が、本実施例における参照光路の光路長として、考慮すべき部分である。参照光路は、第1導波路、第2導波路、および、第3導波路に大別される。このうち、第1導波路と第2導波路とは、干渉光学系100に設けられている。
図1に示すように、干渉光学系100が有する参照光路のうち、カップ104側に形成されるものを第1導波路と称しており、光検出器120側に形成されるものを第2導波路と称している。一方、第3導波路は、参照用アタッチメント200および参照用アタッチメント210に設けられている。
【0066】
図1における第1導波路には、カップラ104,ファイバ106,および,コネクタ108,が含まれる。コネクタ108は、第1導波路において、カップラ104とは反対側の端部に設けられている。後述するように、コネクタ108は、参照用アタッチメント200のコネクタ201、および、参照用アタッチメント210のコネクタ211に対して着脱可能である。
【0067】
図1における第2導波路には、コネクタ131,ファイバ133,ODL135,ファイバ137,アッテネータ141,ファイバ143,偏波調整器145,ファイバ147,および,カップラ148が含まれる。後述するように、コネクタ131は、参照用アタッチメント200のコネクタ205、および、参照用アタッチメント210のコネクタ217に対して着脱可能である。
【0068】
ODL135は、測定光と参照光との光路長差を調整するために駆動制御される。一例として、ODL135は、直交した2つの面を持つミラー135aと、アクチュエータ135bと、を含む。アクチュエータ135bによって矢印方向に移動されることによって、参照光路の光路長を増減できる。
【0069】
勿論、測定光と参照光との光路長差が調整する構成は、これに限られるものでは無い。例えば、導光光学系150において、コリメータレンズ154とファイバ152の出射端とが一体的に移動されることで、測定光の光路長が調整され、結果として、測定光と参照光との光路長差が調整されてもよい。
【0070】
アッテネータ141は、参照光の光量を減衰する。アッテネータ141によって、測定光と参照光との光量バランスが調整される。
【0071】
偏波調整器145は、参照光の偏光を調整する。偏波調整器145によって、測定光と参照光との偏光のズレが補正される。
【0072】
次に、
図1に示す第3導波路200,210について説明する。前述の通り、第3導波路は、参照用アタッチメント200および参照用アタッチメント210に設けられている。
【0073】
<初期状態で装着されている参照用アタッチメント200>
参照用アタッチメント200は、コネクタ201,ファイバ203,および,コネクタ205を有する。一本のファイバ203の両端に、コネクタ201、および、コネクタ205が取り付けられている。これによって、単一の第3導波路が形成される。
【0074】
参照用アタッチメント200は、コネクタ201が、干渉光学系100のコネクタ108へ装着されることによって、第3導波路が干渉光学系100における第1導波路と接続される。また、コネクタ205が、干渉光学系100のコネクタ131へ装着されることによって、第3導波路が干渉光学系100における第2導波路と接続される。
【0075】
ファイバ203の光路長は、画角切換アタッチメント160の退避状態における測定光路の光路長と、第1導波路および第2導波路の光路長との差分が、と略一致する。結果として、画角切換アタッチメント160の退避状態において、眼底を含む深さ領域に関し、良好な干渉信号が得られる。
【0076】
<交換作業によってOCT装置へ装着される参照用アタッチメント210>
参照用アタッチメント210は、2つに分岐した第3導波路を有する。分岐した導波路の一方を、第1分岐光路と称し、他方を第2分岐光路と称する。第1分岐光路と第2導波路とは互いに異なる光路長を持つので、第1分岐光路を経る第3導波路と、第2分岐光路を経る第3導波路と、の間で、光路長が異なっている。
【0077】
参照用アタッチメント210は、一例として、コネクタ211、ファイバ212、カップラ213、ファイバ214、カップラ215、ファイバ216、コネクタ217、および、ファイバ218、を含む。
【0078】
コネクタ211およびファイバ212を経由した参照光は、カップラ213によって、ファイバ214と、ファイバ218と、にそれぞれ導かれる。便宜上、以下では、ファイバ218による光路を、第1分岐光路と称し、ファイバ214による光路を、第2分岐光路と称する。ファイバ214およびファイバ218は、カップラ215に接続されている。これにより、2つの分岐光路は、ファイバ216を通る光路に結合され、コネクタ217へと導かれる。
【0079】
このように、参照用アタッチメント210において、カップラ213は、ファイバ214とファイバ218とに(つまり、2つの分岐光路)へ、同時に参照光を導く。また、2つの分岐光路を経た参照光は、コネクタ217およびコネクタ131を介して、OCT光学系100のカップラ148へ同時に導かれ、カップラ148において測定光(眼底反射光)と合波される。
【0080】
ここで、参照用アタッチメント210において、第1分岐光路を経る(つまり、ファイバ218を経る)第3導波路は、参照用アタッチメント200における第3導波路の光路長と一致しているものとする。つまり、第1分岐光路は、画角切換アタッチメント160の退避状態での撮影に利用される。
【0081】
一方、第2分岐光路は、画角切換アタッチメント160の挿入状態での撮影に利用される。第2分岐光路の光路長(つまり、ファイバ214の光路長)は、画角切換アタッチメント160の光路長(より詳細には、往復の光路長。以下同様)分だけ、第1分岐光路の光路長(つまり、ファイバ218の光路長)よりも長くなっている。
【0082】
なお、第1分岐光路と第2分岐光路それぞれの光量を補正するために、第1分岐光路と第2分岐光路のいずれかまたは両方に、図示なきアッテネータが設けられてもよい。本実施例では画角切換アタッチメント160の挿入状態において、測定光の光量がアタッチメント160によって変化されるので、挿入状態と対応した第2分岐光路上にアッテネータが設けられることが好ましい。
【0083】
また、第1実施例では、干渉光学系100の第2導波路上、つまりは、第1分岐光路と第2分岐光路との共通光路上に、参照光路調整部135が設けられている。これによって、第1分岐光路および第2分岐光路の両方に関して一括して、眼軸長の個人差に関する光路長差であって、測定光路と参照光路との光路長差を調整できる。
【0084】
なお、参照光路調整部135における光路長の調整範囲は、ファイバ214ファイバ218との光路長差(換言すれば、第1分岐光路と第2分岐光路との間における光路長差)に対して十分短く設定されることが好ましい。
<光検出器>
検出器120は、測定光路からの光と参照光路からの光による干渉を検出するために設けられている。第1実施例において、検出器120は、分光検出器であって、例えば、分光器と、ラインセンサとを含み、カップラ148によって合波された測定光と参照光とが、分光器で分光され、波長毎にラインセンサの異なる領域(画素)に受光される。これによって画素毎の出力が、スペクトル干渉信号として取得される。
【0085】
眼底の湾曲と測定光の結像面とは必ずしも一致しておらず、アタッチメント光学系150の挿入状態では、眼底中心部または眼底周辺部の少なくとも一方において、両者の乖離が増大するので、光検出器においては、当該乖離を考慮した十分なDepth rangeが確保されていることが好ましい。例えば、SD-OCTでは、所期するDepth rangeに対して十分な画素数のラインカメラが採用されることが好ましい。また、<変形例>として後述する構成が更に採用されてもよい。
<深さ情報の取得>
制御部70は、検出器120によって検出されたスペクトル信号を処理(フーリエ解析)し、被検眼のOCTデータを得る。
【0086】
スペクトル信号(スペクトルデータ)は、波長λの関数として書き換えられ、波数k(=2π/λ)に関して等間隔な関数I(k)に変換されてもよい。あるいは、初めから波数kに関して等間隔な関数I(k)として取得されてもよい(K―CLOCK技術)。演算制御器は、波数k空間でのスペクトル信号をフーリエ変換することにより深さ(Z)領域におけるOCTデータを得てもよい。
【0087】
さらに、フーリエ変換後の情報は、Z空間での実数成分と虚数成分を含む信号として表されてもよい。制御部70は、Z空間での信号における実数成分と虚数成分の絶対値を求めることによりOCTデータを得てもよい。
【0088】
ここで、第3導波路が2つに分岐された参照用アタッチメント210が、干渉光学系100へ装着される場合における干渉信号について説明する。
【0089】
この場合、カップラ148には、第1分岐光路を経由した参照光と、第2分岐光路を経由した参照光とが、同時に導かれており、各々が測定光と合波される。第1分岐光路と第2分岐光路との間には、画角切換アタッチメント160の光路長(アタッチメント光学系160aの光路長)と同程度という、大きな光路長差が存在している。このため、第1分岐光路を経由した参照光と、第2分岐光路を経由した参照光とのうち、一方は、測定光との干渉が生じやすいものの、残り一方は、干渉が生じ難い。検出器120からのスペクトル干渉信号には、第1分岐光路を経由した参照光による成分と、第2分岐光路を経由した参照光による成分と、が含まれているものの、2種類の成分のうち、導光光学系150の状態に応じた一方が、他方に比べて際立って強い信号として得られる。結果、導光光学系150の状態にかかわらず、良好なOCTデータを得ることができる。つまり、画角切換アタッチメント160に対応する光路長差を持つ、複数の参照光路を有することで、実施例に係るOCT装置は、測定光路における光路長差の変化量であって、画角切換アタッチメント160の着脱に伴う変化量が、画角切換アタッチメント160の着脱状態にかかわらず補償される。
【0090】
なお、参照光路調整部135を制御し、測定光路と参照光路との光路長差であって、被検眼Eの眼軸長に関する光路長差を、事前に調整しておく必要がある。第1実施例では、例えば、予め定められた調整範囲でミラー135aを移動させると共に、各位置での干渉信号を取得し、干渉信号の強度が最も高くなる位置を基準として、ミラー135aの位置を定めるようにしてもよい。参照光路調整部135における光路長の調整範囲が、第1分岐光路と第2分岐光路との間における光路長差)に対して十分小さい場合は、参照光路調整部135の調整範囲において、干渉信号の強度ピークとなる位置は、一義的に特定されうる。
【0091】
なお、画角切換アタッチメント160の着脱を自動的に検出する挿脱検出部が設けられていてもよく、検出部からの検出信号に基づいて、制御部は、OCT光学系100における各部の制御、処理を実行してもよい。例えば、上記した、可変ビームエキスパンダ155による光束径の切換制御、参照光路調整部135によるゼロディレイ位置の設定制御、測定光路と参照光との間における光学系の分散量の変更処理、等が適宜実行されてもよい。挿入検出部としては、対物光学系158の近傍に配置されたセンサであってもよい。
【0092】
勿論、検者が、OCT装置のUI(ユーザインターフェース)に対して、導光光学系の状態(アタッチメント光学系の挿入状態/退避状態)を特定する情報を入力することで、当該情報に基づいて、制御部がOCT光学系100における各部の制御、処理を実行してもよい。
【0093】
<ケース>
図5に示すように、参照用アタッチメント200,210は、それぞれ、ケース200b,210bを有していてもよい。ケース200b,210bは、少なくとも各種のファイバおよびカップラが収容される。また、本実施例において、干渉光学系100におけるカップラ104からカップラ148までの各部を収容するケース100bを、OCT装置は有してもよい。但し、OCT光学系100と参照用アタッチメント200,210との間でコネクタを着脱するために、例えば、コネクタ108,131、コネクタ201,205、コネクタ211,217の一部または全部が、ケースの外に露出されていてもよい。干渉光学系100および参照用アタッチメント200,210におけるファイバ類がケース100b,200b,210bへ収容されていることによって、着脱作業や、参照用アタッチメント200,210の運搬の際に、各部が良好に保護される。
【0094】
<キャリブレーション>
なお、第1分岐光路と第2分岐光路との光路長差は、既知の値であることから、例えば、深さ方向に関するキャリブレーションに利用されてもよい。例えば、模型眼等の所定の試料が撮影され、第1分岐光路を経た参照光によるOCTデータと、第2分岐光路を経た参照光によるOCTデータと、の深さ方向に関する間隔が求められる。この間隔が光路長差に応じた所定の値となるように、OCTデータの深さ方向の縮尺が調整されてもよい。
【0095】
<第2実施例>
次に、
図6を参照して、第2実施例について説明する。
図6は、第2実施例に係る参照用アタッチメント220を示している。なお、第1実施例と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細については省略する。
【0096】
第2実施例に係る参照用アタッチメント220は、その一部が、第1実施例に係る参照用アタッチメント210と異なっている。前述のように、第1実施例に係る参照用アタッチメント210は、検出器120へ、第1分岐光路を経由した参照光と、第2分岐光路を経由した参照光とを、同時に導く。これに対し、第2実施形態に係る参照用アタッチメント210は、第1分岐光路を経由した参照光と、第2分岐光路を経由した参照光とを、選択的に検出器120へ導く。
【0097】
詳細には、第1実施例におけるカップラ213に代えて、第2実施例では、光スイッチ220が設けられている。光スイッチ220は、例えば、メカニカル式のスイッチであってもよいし、MEMSスイッチであってもよい。光スイッチ220は、第1分岐光路を形成する光ファイバ218と、第2分岐光路を形成する光ファイバ214と、のいずれか一方へ、択一的にコネクタ211およびファイバ212を経た参照光を導くために利用される。第2実施例では、第1の分岐光路と第2の分岐光路とのいずれかへ、択一的に参照光が導かれるので、第1実施例と比べて、より十分な光量の参照光を確保できる。また、干渉信号におけるノイズが軽減される。
【0098】
<第3実施例>
次に、
図7を参照して、第3実施例について説明する。
図7は、第3実施例に係る参照用アタッチメント230を示している。第1実施例および第2実施例で開示した参照用アタッチメントは、第3導波路の光路長が予め定められていたが、第3実施例の参照用アタッチメント230は、第3導波路の光路長を、任意の長さに調整できる。OCT装置における撮影範囲の自由度が、より一層、向上する。
【0099】
第3アタッチメント230は、コネクタ231、ODLユニット235、コネクタ237を有している。ODLユニット235は、直交した2つの面を持つミラー235aと、アクチュエータ235bと、を含む。ミラー235aが、アクチュエータ235bによって矢印方向に移動されることによって、第3導波路の光路長が増減される。第3アタッチメント230には、更に、ファイバ等が含まれていてもよい。
【0100】
<第4実施例>
次に、
図8A,
図8Bを参照して、第4実施例を説明する。上記実施例において、第1ないし第3導波路の各端部には、光コネクタが設けられていた。第4実施例では、光コネクタを用いることなく、各導波路が接続される。
【0101】
図8A,
図8Bは、第4実施例に係る参照用アタッチメント240,250と、干渉光学系100における第1導波路、および、第2導波路の端部を示している。ここで、
図8Aに示す参照用アタッチメント240は、第1実施例における参照用アタッチメント200と対応している。
図8Bに示す参照用アタッチメント250は、第1実施例における参照用アタッチメント210と対応している。つまり、参照用アタッチメント250は、2つに分岐された第3導波路を有している。
【0102】
図8A,
図8Bに示すように、第1導波路を形成するファイバ106の端部(例えば、切口)、および、第2導波路を形成するファイバ133の端部は、参照用アタッチメント240,250の着脱に関わらず、空気中に露出している。各端部は、ケース100b内において位置決めされていてもよい。なお、干渉光学系100には、更に、コリメート用のレンズ109,130を有する。ファイバ106からの参照光は、コリメートレンズ109を介して、参照用アタッチメント240,250へ出射される。参照用アタッチメント240,250がケースを備える場合、ケースには、参照光を、通過させるための開口245,246,255,256が設けられていてもよい(
図8A,
図8B参照)。
【0103】
参照用アタッチメント240,250の第3導波路からの参照光は、レンズ130を介して、ファイバ133の端部へ入射される。
【0104】
図8Aに示すように、参照用アタッチメント240は、ミラー241,242を少なくとも有する。2つのミラー241,242が、参照用アタッチメント240のケース内で、参照光を折り返す光路を形成する。この光路が、参照用アタッチメント240における第3導波路となる。
【0105】
図8Bに示すように、参照用アタッチメント250は、ハーフミラー251,252、および、ミラー253,254を少なくとも有する。これにより、2つハーフミラー251,252で折り返される光路と、2つのミラー253,254で折り返される光路との2つの光路が形成される。2つのハーフミラー251,252によって、第3導波路は、第1導波路と第2導波路とに分岐される。ハーフミラー251の反射側の光路が、第1分岐光路であり、透過側の光路が、第2分岐光路である。各々のハーフミラー251,252によって、第1分岐光路を経た参照光と、第2分岐光路を経た参照光と、の光量比が調整される。すなわち、所望の光量比が実現されるように、ハーフミラー251,252の分岐比が定められていてもよい。この場合、第1分岐光路を経た参照光と、第2分岐光路を経た参照光と、の光量比を調整するうえで、アッテネータが不要となる。言い換えると、画角切換アタッチメント160の挿入状態と退避状態との間における、測定光と参照光との光量比の変化が、ハーフミラー251,252の分岐比に応じて補正される。
【0106】
<第5実施例>
次に、
図9A,
図9Bを参照して、第5実施例を説明する。
図9Aは、第5実施例におけるOCT装置の初期状態を示し、
図9Bは、第5実施例におけるOCT装置に、参照用アタッチメント210が装着された状態を示す。第5実施例において、参照用アタッチメント210における各部は、第1実施例と同様である。一方、第5実施例は、干渉光学系100に関して、次の2点が、第1実施例と異なっている。
【0107】
1点目として、
図9Aに示すように、第5実施例では、OCT装置の初期状態において、参照光路を形成する第1導波路と第2導波路とが、直接的に接続される。つまり、初期状態では、コネクタ108とコネクタ131とが接続される。第5実施例では、この状態において、さらに、画角切換アタッチメント160が装着されていないときに、眼底のOCTデータが撮影される。換言すると、第4実施形態では、第1実施形態に対して干渉光学系100における少なくとも一部の光路長が異なっている。
【0108】
このような初期状態のOCT装置に対して、第1実施例と同様の参照用アタッチメント210が装着される。つまり、参照用アタッチメント210は、第1分岐光路と第2分岐光路とを有する第3導波路を持つ。第1分岐光路と第2分岐光路との間には、画角切換アタッチメント160の光路長に対応する光路長差が存在する。但し、第4実施形態では、参照用アタッチメント210を装着する前後におけるコネクタ108とコネクタ131との間の光路長の変化量が、第1実施例に比べて大きい。詳細には、第1分岐光路を経る第3導波路の光路長分だけ、変化量が大きくなっている。第1実施例と同様に、画角切換アタッチメント160の着脱に関わらず眼底のOCTデータを良好に得るためには、この変化量が、補償される必要がある。
【0109】
そこで、2点目の相違点として、第5実施例におけるOCT装置は、コネクタ161,コネクタ162を有する。第5実施例では、カップラ104に接続されるファイバ152が、コネクタ161,コネクタ162を介して、ファイバ152aとファイバ152bとに分離され得る。
【0110】
これにより、コネクタ161とコネクタ162との間に、
図9Bに示すように、光路延長アタッチメント300を取り付けることができる。光路延長アタッチメント300は、例えば、パッチファイバであってもよい。
図9Bにおいて、光路延長アタッチメント300は、ファイバ303と、ファイバ303の両端に設けられたコネクタ301,コネクタ302とを備える。コネクタ301,302は、コネクタ161,162と、それぞれ着脱できる。光路延長アタッチメント300の光路長は、参照用アタッチメント210における第1分岐光路を経る第3導波路の光路長と略一致している。故に、第5実施例では、初期状態に対して、参照用アタッチメント210と共に、光路延長アタッチメント300を装着することで、第1実施例と同様に、画角切換アタッチメント160を装着したとき、退避したとき、のいずれにおいても、眼底を良好に撮影できる。
【0111】
<その他の変容例>
以上、実施形態および実施例に基づいて、本開示を説明した。但し、本開示は、必ずしも上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々の変容例を含む。
【0112】
<挿入状態に対応して、複数の参照光路を形成>
例えば、第1,第2,第4,第5実施例では、画角切換アタッチメント160の挿入状態と対応する参照光路は、1つだけ設けられている。しかし、これに限定されるものでは無く、挿入状態と対応する参照光路は、複数形成されていてもよい。詳細には、眼底中心部を含むOCTデータを得るために設定された光路長を有する第1の参照光路と、眼底周辺部を含むOCTデータを得るために設定された光路長を有し第1の参照光路とは異なる第2の参照光路と、が、挿入状態と対応する参照光路として形成されていてもよい。導光光学系の状態毎に(ここでは、画角切換光学系の挿入状態と退避状態との2種類の状態毎に)、それぞれの状態に対応する参照光路が設けられている場合、OCT光学系には、3つ以上の参照光路が設けられることとなる。
【0113】
第1の参照光路と第2の参照光路との光路長差は、眼底中心部と眼底周辺部との間での測定光の光路長差に対応して設定されてもよい。なお、眼球の湾曲を考慮し、例えば、第2の参照光路の光路長が、第1の参照光路の光路長に比べて、より短く設定されてもよい。
【0114】
この場合、例えば、画像処理器は、眼底中心部に導かれた測定光と第1の参照光路からの参照光との干渉信号に基づいて眼底中心部を含むOCTデータを得てもよいし、眼底周辺部に導かれた測定光と第2の参照光路からの参照光との干渉信号に基づいて眼底周辺部を含むOCTデータを得てもよい。この場合、例えば、眼底中心部を含むOCTデータと、眼底周辺部を含むOCTデータは、横断方向と深さ方向との少なくともいずれかに関して連続してもよい。
【0115】
これによれば、例えば、眼底中心部に対応する参照光路と眼底周辺部に対応する参照光路が設けられることによって、例えば、広角領域におけるOCTデータを良好な信号強度にて取得できる。
【0116】
なお、画像処理器は、眼底中心部を含むOCTデータと前記眼底周辺部を含むOCTデータとを合成して、被検眼の眼底の広角OCTデータを得てもよい(
図4参照)。これによって、一枚の広角OCTデータを得ることができる。
【0117】
この場合、光走査部は、眼底上において測定光を一つの走査方向に走査することによって、眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域を走査してもよい。この場合、例えば、眼底中心部での走査領域と眼底周辺部での走査領域は、横断方向に連続してもよい。また、光走査部は、例えば、眼底上の広角領域を走査可能な走査角度まで測定光を走査できるように構成されてもよい。また、光走査部は、例えば、被検眼の瞳孔と略共役位置に配置され、瞳孔中心を旋回点として測定光を測定してもよい。
【0118】
光走査部が設けられる場合、光走査部による1回のBスキャンによって、眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域に測定光を走査し、眼底中心部を含むOCTデータと眼底周辺部を含むOCTデータが取得されてもよい。これによって、例えば、広角領域におけるOCTデータをスムーズに取得できる。
【0119】
OCT光学系は、例えば、眼底中心部に対応する第1の検出器と、眼底周辺部に対応する第2の検出器とを備えてもよい。この場合、第1の検出器では、眼底中心部に導かれた測定光と第1の参照光路からの参照光との干渉信号を検出するために利用される。また、第2の検出器は、第1の検出器とは異なる検出器であって、眼底周辺部に導かれた測定光と第2の参照光路からの参照光との干渉信号を検出するために利用される。このような構成によれば、例えば、第1の検出器と第2の検出器を並列的に用いることができる。その結果、眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを確実に検出できると共に、各OCTデータをスムーズかつ良好な信号強度にて取得できる。
【0120】
上記実施形態では、眼底中心部と眼底周辺部に対応する2つの参照光路を設ける場合を説明したが、これに限定されず、3つ以上の参照光路が設けられてもよい。一例として、眼底中心部と、第1の眼底周辺部と、第2の眼底周辺部とに、眼底全体が3分割された場合を挙げる。第1の眼底周辺部は、眼底中心部よりも外側であり、第2の眼底周辺部は、第1の眼底周辺部よりも更に外側である。
【0121】
この場合、例えば、眼底中心部に対応する第1の参照光路と、第1の眼底周辺部に対応する第2の参照光路と、第2の眼底周辺部に対応する第3の参照光路と、がOCT光学系に設けられてもよい。
【0122】
また、例えば、2つの参照光路の光路長を制御して、第1の広角撮影モードと、第2の広角撮影モードとの間で、光学系を切換えてもよい。例えば、第1の広角撮影モードでは、第1の参照光路における光路長が眼底中心部に対応して設定されると共に、第2の参照光路における光路長が第1の眼底周辺部に対応して設定される。一方、第2の広角撮影モードでは、第1の参照光路における光路長が眼底中心部又は第1の眼底周辺部に対応して設定されると共に、第2の参照光路における光路長が第2の眼底周辺部に対応して設定される。
<反射系(ミラー系)による画角切換光学系>
上記実施形態では、画角切換光学系は少なくとも1つのレンズを含むものとして説明したが、必ずしもこれに限られるものでは無い。画角切換光学系は、ミラー系(ミラー群)であってもよい。より詳細には、画角切換光学系は、1枚以上のミラーを有する非共軸系のミラー系(ミラー群)であってもよい。この場合も、画角切換光学系の挿脱に伴って、測定光路おける光路長が変化するので、補償部による光路長の補償は有効である。
【0123】
なお、上記説明においては、SD-OCTの実施例を示したが、これに限定されず、SS-OCTにおいて本実施例が適用されてもよい。
【0124】
なお、上記説明においては、被検眼を撮影するためのOCT装置を例としたが、これに限定されず、被検物のOCTデータを撮影するためのOCT装置において、本実施形態が適用されてもよい。また、被検物は、例えば、眼(前眼部、眼底等)、皮膚など生体のほか、生体以外の材料であってもよい。
【符号の説明】
【0125】
100 干渉光学系
104 カップラ
110 参照光学系
120 光検出器
200,210,220,230,240,250 参照用アタッチメント
E 被検眼