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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】通信制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/06 20090101AFI20240919BHJP
   H04W 76/30 20180101ALI20240919BHJP
【FI】
H04W48/06
H04W76/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020037716
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021141439
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】尾本 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】國友 宏一郎
【審査官】松▲崎▼ 祐季
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0028887(US,A1)
【文献】国際公開第2019/208673(WO,A1)
【文献】特開2023-018164(JP,A)
【文献】Huawei, HiSilicon,5GMM parameters handling for 4G ony causes[online],3GPP TSG CT WG1 #120 C1-196040,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ct/WG1_mm-cc-sm_ex-CN1/TSGC1_120_Portoroz/Docs/C1-196040.zip>,2019年09月30日,pp. 1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からの接続要求を受信する受信部と、
前記接続要求に応じて前記通信端末の通信規制を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記受信部により受信された前記接続要求が、通信規制の対象として定められた規制対象ネットワークに対する第1通信プロトコルによる第1接続要求である場合、第1待機時間の経過後に前記第1通信プロトコルによる再度の接続要求を行うことを指示する第1接続拒否信号を前記通信端末に送信し、
前記受信部により受信された前記接続要求が、前記第1接続拒否信号が送信された前記通信端末からの前記規制対象ネットワークに対する前記第1通信プロトコルによる第2接続要求である場合、前記通信端末の接続要求間隔と前記第1待機時間とを比較し、少なくとも前記接続要求間隔が前記第1待機時間よりも短い場合、前記第1通信プロトコルを機能させる前提となる第2通信プロトコルにより確立されている前記通信端末の接続を切断する、通信制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記受信部により受信された前記接続要求が、前記第2通信プロトコルによる接続を切断された前記通信端末からの前記第2通信プロトコルによる第3接続要求である場合、第2待機時間の経過後に前記第2通信プロトコルによる再度の接続要求を行うことを指示する第2接続拒否信号を前記通信端末に送信する、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記受信部により受信された前記接続要求が、前記第2接続拒否信号が送信された前記通信端末からの前記第2通信プロトコルによる第4接続要求である場合、前記通信端末の接続要求間隔と前記第2待機時間とを比較し、少なくとも前記接続要求間隔が前記第2待機時間よりも短い場合、前記通信端末の前記第2通信プロトコルによる再接続を抑止する、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信端末にかけられている前記通信規制の内容を示す規制情報を前記通信端末毎に記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記受信部により前記通信端末からの前記接続要求が受信されたことに応じて、前記記憶部を参照することにより前記接続要求に対する新たな通信規制の内容を決定すると共に、前記新たな通信規制の内容を前記記憶部に記憶させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワーク輻輳を検知している状態で端末からの通信要求(接続要求)を受信した際に、当該通信要求を拒否すると共に、通信要求の再送信を抑制すべき時間幅であるバックオフタイマ値を返却するバックオフ制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-52024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記バックオフ制御方法によれば、バックオフタイマ値によって端末からの通信要求の時間間隔を制御することで、端末の通信を規制し、短期間内におけるトラヒックの集中を緩和させることができる。しかし、実際には、バックオフタイマ値に従うように実装されていない端末も存在している。このため、バックオフタイマ値を端末に返却するだけでは、バックオフタイマ値に従わない端末の通信規制が不十分であり、ネットワーク輻輳を抑制する観点において改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、ネットワーク輻輳を効果的に抑制できる通信制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る通信制御装置は、通信端末からの接続要求を受信する受信部と、接続要求に応じて通信端末の通信規制を行う制御部と、を備え、制御部は、受信部により受信された接続要求が、通信規制の対象として定められた規制対象ネットワークに対する第1通信プロトコルによる第1接続要求である場合、第1待機時間の経過後に第1通信プロトコルによる再度の接続要求を行うことを指示する第1接続拒否信号を通信端末に送信し、受信部により受信された接続要求が、第1接続拒否信号が送信された通信端末からの規制対象ネットワークに対する第1通信プロトコルによる第2接続要求である場合、通信端末の接続要求間隔と第1待機時間とを比較し、少なくとも接続要求間隔が第1待機時間よりも短い場合、第1通信プロトコルを機能させる前提となる第2通信プロトコルにより確立されている通信端末の接続を切断する。
【0007】
上記通信制御装置によれば、規制対象ネットワークに対する通信端末からの第1通信プロトコルによる第1接続要求を受信した際に、当該第1接続要求を拒否すると共に当該通信端末に対して待機すべき時間(第1待機時間)を指定することができる。さらに、上記通信制御装置によれば、第1接続拒否信号に従わずに再接続の要求(第2接続要求)を送信してきた通信端末に対してより強い通信規制(すなわち、第1通信プロトコルを機能させる前提となる第2通信プロトコルにより確立されている接続の切断)を行うことができる。上記構成によれば、第1接続拒否信号の指示(すなわち、第1待機時間)に従わない通信端末が存在する場合であっても、第1待機時間よりも短い時間間隔で第1通信プロトコルによる接続要求を繰り返す通信端末を確実に排除することができる。従って、上記通信制御装置によれば、ネットワーク輻輳を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一側面によれば、ネットワーク輻輳を効果的に抑制できる通信制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る通信制御装置であるMMEを含む通信システムの全体構成を示す図である。
図2】規制情報DBに記憶された規制情報の一例を示す図である。
図3】MMEの動作の一例を示すシーケンス図である。
図4】MMEの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】MMEの動作の一例を示すフローチャートである。
図6】MMEのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る通信制御装置であるMME10を含む通信システム1の全体構成を示す図である。通信システム1は、UE(User Equipment)2(通信端末)に移動体通信機能(無線通信機能)を提供するシステムである。通信システム1は、MME(Mobility Management Entity)10、S-GW(Serving Gateway)20、及びP-GW(Packet Data Network Gateway)30を含むコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)と、外部ネットワークであるPDN(Packet Data Network)40と、を含む。なお、図1ではUE2、MME10、S-GW20、P-GW30、及びPDN40の各装置が1つずつ図示されているが、通信システム1において各装置は複数存在し得る。
【0012】
UE2は、例えば、スマートフォン等のユーザに携帯される端末である。或いは、UE2は、任意の対象物(例えば、設備機器、配送車両、動物等)に固定される無線通信デバイス等であってもよい。
【0013】
MME10は、LTE無線基地局であるeNodeB(不図示)を収容する交換機である。MME10は、モビリティ制御及びベアラ制御等を行う。eNodeBは、移動体通信網のサービス対象となる地域に設けられ、UE2との間で移動体通信網に係る無線信号の送受信を行う装置である。MME10は、UE2に対する通信規制を行う機能要素として、受信部11と、制御部12と、規制情報DB13(記憶部)と、を備えている。上記各機能の詳細については後述する。
【0014】
S-GW20は、LTEネットワーク又は3Gネットワーク等を収容するパケット交換機である。S-GW20は、U-Plane信号の伝送、ハンドオーバー制御等を行う。P-GW30は、PDN40との接続点となるパケット交換機である。P-GW30は、UE2に対するIPアドレスの割当、及びS-GW10へのパケット転送等を行う。PDN40は、EPCと接続される外部ネットワーク(例えば、インターネット等)である。
【0015】
次に、MME10によって制御されるUE2の通信規制について説明する。ここでは一例として、ある特定のPDN40との接続点となるP-GW30に通信障害が発生した場合のMME10の動作について説明する。この場合、当該PDN40に接続しようとするUE2は、PDN接続要求(ESM PDN Connectivity Request)をEPCに送信する。PDN接続要求には、接続先であるPDN40を示す接続先情報であるAPN(Access Point Name)が含まれている。UE2からEPCに送信されたPDN接続要求は、MME10によって受信される。ここで、通信障害が発生しているPDN40の情報(すなわち、当該PDN40を示すAPN)は、例えばMME10が参照可能なデータベース(不図示)等に記憶されている。この場合、MME10は、PDN接続要求に含まれるAPNを確認すると共に上記データベースを参照することにより、当該PDN接続要求が通信障害の発生したPDN40に対する接続要求であるか否かを判別することができる。そして、当該PDN接続要求が通信障害の発生したPDN40に対する接続要求であると判別された場合には、MME10は、当該PDN接続要求を拒否する。
【0016】
通常、PDN接続要求を拒否されたUE2は、接続が確立されるまで、PDN接続要求を繰り返し送信する。ここで、UE2によって繰り返されるPDN接続要求の間隔が短いと、MME10に対する通信トラヒックが一時的に増大し、MME10においてネットワーク輻輳が発生するおそれがある。そこで、MME10は、UE2に対する応答信号(接続拒否信号)にタイマ値(ESM BackOffTimer)を設定する。タイマ値は、再度のPDN接続要求を行うまで待機すべき時間を示す情報である。タイマ値に従うように実装されたUE2は、MME10から応答信号を受信した時点から、タイマ値(例えば15秒)が経過した後に、PDN接続要求を行う。すなわち、タイマ値が経過するまで、UE2からのPDN接続要求の送信が抑制される。その結果、MME10におけるネットワーク輻輳が抑制される。
【0017】
しかし、実際には、タイマ値に従うように実装されていないUE2も存在する。そして、このようなUE2がタイマ値よりも短い間隔でPDN接続要求を継続的に繰り返す場合、MME10におけるネットワーク輻輳が長期化するおそれがある。そこで、本実施形態のMME10は、このようなタイマ値に従わないUE2に対しても適切に通信規制をかける仕組みを備えている。以下、このような仕組みを実現するためにMME10が備えている各機能(受信部11、制御部12、及び規制情報DB13)について説明する。
【0018】
受信部11は、UE2からの接続要求を受信する。ここで、UE2からの接続要求としては、上述したESM(EPS Session Management)に基づくPDN接続要求(ESM PDN Connectivity Request)の他に、EMM(EMM Mobility Management)に基づく位置登録要求(EMM Attach Request)がある。ここで、ESM(第1通信プロトコル)は、EMM(第2通信プロトコル)の上位の通信プロトコルである。すなわち、EMMは、ESMを機能させる前提となる通信プロトコルである。具体的には、ESMによる通信を行うためには、EMMに基づく位置登録が完了している必要がある。
【0019】
制御部12は、受信部11により受信された接続要求に応じて、UE2の通信規制を行う。規制情報DB13は、UE2にかけられている通信規制の内容(すなわち、UE2に対して現在適用中の通信規制の内容)を示す規制情報をUE2毎に記憶するデータベースである。図2は、規制情報DB13に記憶されている規制情報の一例を示している。図2に示される1レコード(1行分のデータ)は、1つのUE2の規制情報を示している。
【0020】
図2に示されるように、規制情報は、一例として、端末ID、応答時刻、応答フラグ、及びタイマ値を含んでいる。端末IDは、UE2を識別するための識別情報である。本実施形態では一例として、端末IDはIMSI(International Mobile Subscriber Identity)である。応答時刻は、MME10からUE2へと最新の応答信号が送信された時刻を示す情報である。応答フラグは、上記応答信号の種別を示す情報である。応答フラグは、UE2に対する最新の応答信号に設定された通信規制の内容を特定するための情報である。本実施形態では、応答フラグは、「ESM」、「EMM」、及び「Network Failure」のいずれかに設定される。ここで、応答フラグ「ESM」は、タイマ値(ESM BackOffTimer)が設定された接続拒否信号(ESM PDN Connectivity Reject)がUE2に送信されたことを示している。応答フラグ「EMM」は、デタッチ要求(EMM Detach Request)又はタイマ値(EMM BackOffTimer)が設定された接続拒否信号(EMM Attach Reject)がUE2に送信されたことを示している。応答フラグ「Network Failure」は、UE2に対する通知メッセージとして「Network Failure」が設定された接続拒否信号(EMM Attach Reject)がUE2に送信されたことを示している。規制情報に含まれるタイマ値は、UE2に対する最新の応答信号に設定されたタイマ値(ESM BackOffTimer又はEMM BackOffTimer)を示している。なお、図2に示されるように、応答フラグが「Network Failure」の場合には、UE2からの再接続は行われないため、タイマ値は設定されない。
【0021】
制御部12は、受信部11によりUE2からの接続要求が受信されたことに応じて、規制情報DB13を参照することにより当該接続要求に対する新たな通信規制の内容を決定する。すなわち、制御部12は、UE2からの接続要求を受信した際に、当該UE2の現在の通信規制の内容を参照することにより、UE2毎に個別に段階的な通信規制をかけることが可能となっている。
【0022】
次に、図3図5を参照して、MME10によるUE2に対する通信規制の処理について説明する。まず、図3に示されるシーケンス図を参照して、UE2とMME10との間の処理シーケンス(信号の送受信)について説明する。図3は、UE2からの接続要求が通信規制の対象となるPDN40(規制対象ネットワーク)である場合(例えば、当該PDN40との接続点であるP-GW30に通信障害が発生している場合等)の処理シーケンスを示している。
【0023】
まず、UE2からMME10に対して、ESMによるPDN接続要求(ESM PDN Connectivity Request)(第1接続要求)が送信される(ステップS1)。続いて、UE2に対して第1段階目の通信規制がかけられる。具体的には、MME10からUE2に対して、タイマ値(ESM BackOffTimer)(第1待機時間)が設定された接続拒否信号(ESM PDN Connectivity Reject)(第1接続拒否信号)が送信される(ステップS2)。続いて、上記接続拒否信号を受信したUE2からMME10に対して、再度のPDN接続要求(ESM PDN Connectivity Request)(第2接続要求)が送信される(ステップS3)。
【0024】
UE2がタイマ値(ESM BackOffTimer)に従っている場合(ステップS4:YES)、MME10は、再度、タイマ値(ESM BackOffTimer)が設定された接続拒否信号をUE2に送信する(ステップS2)。ステップS4において、例えば、ステップS2におけるMME10からUE2への接続拒否信号の送信時点とステップS3におけるUE2からMME10への再度のPDN接続要求の送信時点(すなわち、MME10におけるPDN接続要求の受信時点)との時間間隔(接続要求間隔)が上記タイマ値以上であり、且つ、上記時間間隔と上記タイマ値との差が予め定められた閾値以下である場合に、UE2がタイマ値に従っていると判定される。
【0025】
一方、UE2がタイマ値(ESM BackOffTimer)に従っていない場合(ステップS4:NO)、MME10は、ESMを機能させる前提となるEMMにより確立されているUE2の接続を切断する。より具体的には、MME10は、UE2に対して、デタッチ要求(EMM Detach Request)を送信する(ステップS5)。なお、ステップS4において、例えば、上記時間間隔が上記タイマ値よりも短い場合、又は、上記時間間隔と上記タイマ値との差が予め定められた閾値より大きい場合に、UE2がタイマ値に従っていないと判定される。
【0026】
続いて、EMMによる接続を切断されたUE2(すなわち、ステップS5におけるデタッチ要求を受信したUE2)からMME10に対して、EMMによる接続要求(位置登録要求)であるアタッチ要求(EMM Attach Request)(第3接続要求)が送信される(ステップS6)。そして、当該アタッチ要求に応じた標準的な処理として、認証処理及びNASセキュリティの設定等が行われる(ステップS7)。
【0027】
続いて、UE2に対して第2段階目の通信規制がかけられる。具体的には、MME10からUE2に対して、タイマ値(EMM BackOffTimer)(第2待機時間)が設定された接続拒否信号(EMM Attach Reject)(第2接続拒否信号)が送信される(ステップS8)。続いて、上記接続拒否信号を受信したUE2からMME10に対して、再度のアタッチ要求(EMM Attach Request)(第4接続要求)が送信される(ステップS9)。
【0028】
UE2がタイマ値(EMM BackOffTimer)に従っている場合(ステップS10:YES)、MME10は、再度、タイマ値(EMM BackOffTimer)が設定された接続拒否信号をUE2に送信する(ステップS8)。ステップS10の判定処理は、ステップS4の判定処理と同様である。
【0029】
一方、UE2がタイマ値(EMM BackOffTimer)に従っていない場合(ステップS10:NO)、UE2に対して第3段階目の通信規制がかけられる。具体的には、MME10は、EMMによる再接続(アタッチ要求)を抑止する。より具体的には、MME10は、通知メッセージとして「Network Failure」が設定された接続拒否信号(EMM Attach Reject)をUE2に送信する(ステップS11)。
【0030】
以上のように、ステップS2における第1段階目の通信規制(すなわち、「ESM BackOffTimer」による通信規制)に従わないUE2に対しては、当該UE2のEMMによる接続を切断した上で、ステップS8における第2段階目の通信規制(すなわち、「EMM BackOffTimer」による通信規制)がかけられる。さらに、第2段階目の通信規制に従わないUE2に対しては、ステップS11における第3段階目の通信規制(すなわち、UE2に対してメッセージ「Network Failure」を通知することによる再接続要求の抑止)がかけられる。このように、MME10によれば、接続拒否信号に含まれるタイマ値に従った再接続動作を行わないUE2(特に、タイマ値よりも短い時間間隔で再接続要求を繰り返し、MME10におけるネットワーク輻輳の長期化の原因となるトラヒックを発生させるUE2)に対して段階的な通信規制をかけることができる。このように、段階的に通信規制を強めることにより、UE2の通信サービスに対する影響をなるべく抑えつつ、通信トラヒックの軽減を図ることができる。例えば、ESMによる第1段階目の通信規制に従っているUE2については、EMMによる接続を切断せずに維持させることにより、当該UE2に対するEMMを前提とする音声着信等の通信サービスの提供を継続することができる。
【0031】
次に、図4及び図5に示されるフローチャートを参照して、上述した通信規制を実現するためのMME10の内部処理の一例について説明する。
【0032】
まず、受信部11は、UE2からの接続要求を受信する(ステップS101)。続いて、制御部12は、当該接続要求が規制対象呼に該当するか否かを判定する(ステップS102)。例えば、制御部12は、当該接続要求に含まれるAPNを参照することにより、当該接続要求が規制対象ネットワーク(例えば、通信障害が発生しているPDN40)に対する接続要求であるか否かを判定する。そして、制御部12は、当該接続要求が規制対象ネットワークに対する接続要求であると判定された場合に、当該接続要求は規制対象呼であると判定する(ステップS102:YES)。一方、制御部12は、当該接続要求が規制対象ネットワークに対する接続要求であると判定されなかった場合には、当該接続要求は規制対象呼ではないと判定し(ステップS102:NO)、本実施形態に係る通信規制を行わない。すなわち、MME10は、規制対象呼ではない接続要求については、標準的な接続処理を実行し、以降の通信規制に関する処理を実行しない。以下、UE2からの接続要求が規制対象呼と判定された場合(ステップS102:YES)に実行される処理について説明する。
【0033】
まず、制御部12は、UE2からの接続要求が初回の要求であるか否かを判定する(ステップS103)。一例として、制御部12は、規制情報DB13を参照し、規制情報DB13に当該UE2に関する規制情報(すなわち、当該UE2の端末ID(ISMI)が関連付けられたレコード)が登録されていない場合に、当該接続要求は初回の要求であると判定する。一方、制御部12は、規制情報DB13に当該UE2に関する規制情報が登録されている場合に、当該接続要求は2回目以降の要求であると判定する。
【0034】
ここで、UE2からの接続要求が初回のESMによるPDN接続要求(図3のステップS1に対応)である場合には、規制情報DB13に当該UE2に関する規制情報は登録されていない。従って、この場合には、当該接続要求は、初回の要求であると判定される(ステップS103:YES)。そして、制御部12は、規制情報DB13に当該接続要求に対する通信規制の内容を新規に登録する(ステップS104)。すなわち、制御部12は、当該UE2の端末ID(IMSI)、当該接続要求に対する応答時刻、応答フラグ、及びタイマ値を含む規制情報を規制情報DB13に登録する。ここでは、応答フラグとして、上述した「ESM」が設定される。なお、タイマ値(ここでは、ESM BackOffTimer)は、例えば、予め定められた固定値(例えば15秒)であってもよいし、予め定められた時間範囲(例えば、10秒~30秒等)からランダムに選択される変動値であってもよい。
【0035】
続いて、制御部12は、接続拒否信号(第1接続拒否信号)にタイマ値(ESM BackOffTimer)(第1待機時間)を設定し(ステップS105)、当該接続拒否信号をUE2に送信する(ステップS106)。すなわち、ステップS105及びS106において、制御部12は、タイマ値(ESM BackOffTimer)の経過後にESMによる再度のPDN接続要求(ESM PDN Connectivity Request)を行うことを指示する接続拒否信号(図3のステップS2に対応)をUE2に送信する。なお、規制情報DB13の情報登録(ステップS104)は、ステップS105又はS106と並行して処理されてもよいし、ステップS105又はS106よりも後に処理されてもよい。
【0036】
上述した「ステップS101→ステップS102:YES→ステップS103:YES→ステップS104→ステップS105→ステップS106」の処理は、図3における「ステップS1→ステップS2」に対応している。
【0037】
次に、UE2からの接続要求が2回目以降の要求である場合(ステップS103:NO)の処理について説明する。この場合、制御部12は、規制情報DB13に記憶されている当該UE2の規制情報を参照する。そして、制御部12は、当該規制情報に含まれる応答フラグが「ESM」であるか否かを判定する(ステップS107)。ここで、当該接続要求が、第1接続拒否信号(ステップS106)が送信されたUE2からの規制対象ネットワークに対するESMによる再度のPDN接続要求(第2接続要求)(図3のステップS3に対応)である場合、当該UE2の規制情報に含まれる応答フラグ(すなわち、ステップS104において設定された応答フラグ)は「ESM」となっている。
【0038】
応答フラグが「ESM」であると判定された場合(ステップS107:YES)、制御部12は、接続要求間隔がタイマ値(すなわち、ステップS105において設定されたESM BackOffTimer)に従っているか否かを判定する(ステップS108)。制御部12は、例えば、当該UE2の規制情報に含まれる応答時刻(すなわち、前回の応答時刻t1)とステップS101においてPDN接続要求(第2接続要求)が受信された時点t2との差(t2-t1)を、上記接続要求間隔として算出することができる。つまり、規制情報に含まれる応答時刻は、上記接続要求間隔を算出するために利用される。ステップS108の判定処理は、上述したステップS4の判定処理に対応している。
【0039】
接続要求間隔がタイマ値(ESM BackOffTimer)に従っていると判定された場合(ステップS108:YES)、制御部12は、当該UE2の規制情報の応答時刻及びタイマ値を更新し(ステップS109)、上述したステップS105及びS106の処理を実行する。つまり、制御部12は、タイマ値(ESM BackOffTimer)に従った再接続動作を適切に行っているUE2に対しては、タイマ値(ESM BackOffTimer)による通信規制(第1段階目の通信規制)を継続する。なお、規制情報DB13の更新(ステップS109)は、ステップS105又はS106と並行して処理されてもよいし、ステップS105又はS106よりも後に処理されてもよい。
【0040】
一方、接続要求間隔がタイマ値(ESM BackOffTimer)に従っていないと判定された場合(ステップS108:NO)、制御部12は、当該UE2の規制情報の応答時刻、応答フラグ、及びタイマ値を更新する(ステップS110)。ここでは、応答フラグとして、上述した「EMM」が設定される。また、タイマ値として、「0」が設定される。続いて、制御部12は、UE2に対して、デタッチ要求(EMM Detach Request)を送信する(ステップS111)。すなわち、制御部12は、EMMにより確立されているUE2の接続を切断する。なお、規制情報DB13の更新(ステップS110)は、ステップS111と並行して処理されてもよいし、ステップS111よりも後に処理されてもよい。
【0041】
上述した「ステップS101→ステップS102:YES→ステップS103:NO→ステップS107:YES→ステップS108:NO→ステップS110→ステップS111」の処理は、図3における「ステップS3→ステップS4:NO→ステップS5」に対応している。
【0042】
次に、ステップS107において応答フラグが「ESM」であると判定されなかった場合(ステップS107:NO)の処理について説明する。UE2からの接続要求が、EMMによる接続を切断されたUE2(すなわち、ステップS111におけるデタッチ要求が送信されたUE2)からのEMMによるアタッチ要求(第3接続要求)(図3のステップS6に対応)である場合には、規制情報DB13に登録されている当該UE2の規制情報に含まれる応答フラグ(すなわち、ステップS110において設定された応答フラグ)は「EMM」となっている。従って、この場合には、ステップS107の判定結果は「NO」となり、図5におけるステップS112の処理が実行される。
【0043】
ステップS112において、制御部12は、「タイマ値=0」が成立しているか、又は、接続要求間隔がタイマ値に従っているか否かを判定する。上記の場合には、規制情報に含まれるタイマ値は「0」であるため、判定結果は「YES」となる。この場合、制御部12は、規制情報DB13に登録されている当該UE2の規制情報の応答時刻及びタイマ値を更新する(ステップS112)。ここでのタイマ値(EMM BackOffTimer)は、例えば、予め定められた固定値(例えば15秒)であってもよいし、予め定められた時間範囲(例えば、10秒~30秒等)からランダムに選択される変動値であってもよい。
【0044】
続いて、制御部12は、接続拒否信号(EMM Attach Reject)にタイマ値(EMM BackOffTimer)(第2待機時間)を設定し(ステップS114)、当該接続拒否信号(第2接続拒否信号)をUE2に送信する(ステップS115)。すなわち、ステップS114及びS115において、制御部12は、タイマ値(EMM BackOffTimer)の経過後にEMMによる再度のアタッチ要求(EMM Attach Request)を行うことを指示する接続拒否信号(図3のステップS8に対応)をUE2に送信する。なお、規制情報DB13の更新(ステップS113)は、ステップS114又はS115と並行して処理されてもよいし、ステップS114又はS115よりも後に処理されてもよい。
【0045】
次に、UE2からの接続要求が、第2接続拒否信号(ステップS115)が送信されたUE2からのEMMによる再度のアタッチ要求(第4接続要求)(図3のステップS9に対応)である場合について考える。この場合、当該UE2の規制情報に含まれる応答フラグは「EMM」となっている。このため、この場合にも、ステップS107の判定結果は「NO」となり、図5におけるステップS112の処理が実行される。
【0046】
ここで、上記の場合には、規制情報に含まれるタイマ値として、「0」以外の数値(EMM BackOffTimer)が設定されている。このため、「タイマ値=0」は成立していない。従って、ステップS112において、接続要求間隔がタイマ値(EMM BackOffTimer)に従っている場合には判定結果は「YES」となり、接続要求間隔がタイマ値(EMM BackOffTimer)に従っていない場合には判定結果は「NO」となる。ここでのステップS112の判定処理は、上述したステップS10の判定処理に対応している。
【0047】
接続要求間隔がタイマ値(EMM BackOffTimer)に従っていると判定された場合(ステップS112:YES)、制御部12は、上述したステップS113~S115の処理を実行する。つまり、制御部12は、タイマ値(EMM BackOffTimer)に従った再接続動作を適切に行っているUE2に対しては、タイマ値(EMM BackOffTimer)による通信規制(第2段階目の通信規制)を継続する。
【0048】
一方、接続要求間隔がタイマ値(EMM BackOffTimer)に従っていないと判定された場合(ステップS112:NO)、制御部12は、当該UE2の規制情報の応答時刻及び応答フラグを更新する(ステップS116)。ここでは、応答フラグとして、上述した「Network Failure」が設定される。続いて、制御部12は、接続拒否信号(EMM Detach Request)に「Network Failure」を設定し(ステップS117)、当該接続拒否信号をUE2に送信する(ステップS118)。すなわち、制御部12は、通知メッセージとして「Network Failure」が設定されたデタッチ要求をUE2に送信することにより、以後のUE2のEMMによる再接続(アタッチ要求)を抑止する。具体的には、制御部12は、ネットワーク障害(Network Failure)をUE2に通知することにより、再度のアタッチ要求を試行しないようにUE2の動作を制御する。
【0049】
上述した「ステップS101→ステップS102:YES→ステップS103:NO→ステップS107:NO→ステップS112:NO→ステップS116→ステップS117→ステップS118」の処理は、図3における「ステップS9→ステップS10:NO→ステップS11」に対応している。
【0050】
以上説明したMME10によれば、規制対象ネットワークに対するUE2からのESMによるPDN接続要求(ステップS1参照)を受信した際に、当該PDN接続要求を拒否すると共に当該UE2に対して待機すべき時間であるタイマ値(ESM BackOffTimer)を指定することができる。さらに、MME10によれば、第1接続拒否信号(ステップS2参照)に従わずに再接続の要求(ステップS3参照)を送信してきた通信端末に対してより強い通信規制(すなわち、EMMにより確立されている接続の切断)を行うことができる(ステップS5参照)。上記構成によれば、第1接続拒否信号の指示(すなわち、ESM BackOffTimer)に従わないUE2が存在する場合であっても、タイマ値(ESM BackOffTimer)よりも短い時間間隔でPDN接続要求を繰り返すUE2を確実に排除することができる。従って、MME10によれば、MME10におけるネットワーク輻輳を効果的に抑制することができる。
【0051】
また、制御部12は、受信部11により受信された接続要求が、EMMによる接続を切断されたUE2(すなわち、ステップS5のEMM Detach Requestを送信されたUE2)からのEMMによるアタッチ要求(ステップS6参照)である場合、タイマ値(EMM BackOffTimer)の経過後にEMMによる再度のアタッチ要求を行うことを指示する第2接続拒否信号(ステップS8参照)をUE2に送信する。上記構成によれば、再度のアタッチ要求を送信してきたUE2に対してタイマ値(EMM BackOffTimer)を指定することにより、当該タイマ値よりも短い期間でアタッチ要求を繰り返すUE2を排除できる。その結果、ネットワーク輻輳をより効果的に抑制できる。
【0052】
また、制御部12は、受信部11により受信された接続要求が、第2接続拒否信号(ステップS8参照)が送信されたUE2からの再度のアタッチ要求である場合、UE2の接続要求間隔とタイマ値(EMM BackOffTimer)とを比較し、少なくとも上記接続要求間隔が上記タイマ値よりも短い場合、UE2のEMMによる再接続を抑止する。すなわち、制御部12は、通知メッセージ「Network Failure」が設定された接続拒否信号(EMM Attach Reject)をUE2に送信する(ステップS11参照)。上記構成によれば、第2接続拒否信号に従わずに再接続の要求(ステップS9参照)を送信してきたUE2に対してより強い通信規制(すなわち、EMMによる再接続の抑止)をかけることができる。従って、第2接続拒否信号の指示(すなわち、EMM BackOffTimer)に従わないUE2が存在する場合であっても、タイマ値(EMM BackOffTimer)よりも短い時間間隔でアタッチ要求を繰り返すUE2を確実に排除することができる。その結果、MME10におけるネットワーク輻輳をより一層効果的に抑制できる。
【0053】
また、MME10は、UE2にかけられている通信規制の内容を示す規制情報をUE2毎に記憶する規制情報DB13を備えている。そして、制御部12は、受信部11によりUE2からの接続要求が受信されたことに応じて、規制情報DB13を参照することにより当該接続要求に対する新たな通信規制の内容を決定すると共に、当該新たな通信規制の内容を規制情報DB13に記憶させる(ステップS109、S110、S112、及びS116参照)。上記構成によれば、UE2毎の規制情報を規制情報DB13に記憶させ、UE2から接続要求を受信したことに応じて当該規制情報DB13を参照することにより、UE2毎に個別に段階的な通信規制を行うことが可能となる。
【0054】
以上説明したように、MME10によれば、標準仕様として用意されたバックオフタイマ機能(ESM BackOffTimer又はEMM BackOffTimer)に対応した実装がされていないUE2が存在する状況においても、各UE2に対して、UE2の実装状況に応じた適切な通信規制を行うことができる。その結果、MME10におけるネットワーク輻輳を効果的に抑制することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、図3のステップS4及びS10、図4のステップS108、並びに図5のステップS112において、接続要求間隔がタイマ値より大きい場合だけでなく、接続要求間隔とタイマ値との差が閾値より大きい場合にも、UE2がタイマ値に従っていないと判定された。しかし、タイマ値よりも短い時間間隔で接続要求を行ってくるUE2(すなわち、短期間におけるトラヒック集中の原因となるUE2)を排除する観点からは、接続要求間隔がタイマ値以下であれば、接続要求間隔とタイマ値との差が閾値より大きい場合であっても、UE2がタイマ値に従っていると判定されてもよい。つまり、設定されたタイマ値以上の時間を空けて再接続要求を行うUE2については、タイマ値に従っていると判定してもよい。
【0056】
また、本実施形態では、UE2の通信規制を制御する通信制御装置として、MME10を例示したが、MME以外の装置(通信ノード)が、上述したMME10の機能を有する通信制御装置として構成されてもよい。
【0057】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0058】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。
【0059】
例えば、本開示の一実施の形態におけるMME10は、本開示の通信制御方法を行うコンピュータとして機能してもよい。図6は、本開示の一実施の形態に係るMME10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のMME10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0060】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。MME10のハードウェア構成は、図1に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0061】
MME10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0062】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0063】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部12は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0064】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る通信制御方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0065】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0066】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0067】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0068】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0069】
また、MME10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0070】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0071】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0072】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0073】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0074】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0075】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0076】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0077】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0078】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。
【0079】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々な情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々な情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0080】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0081】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0082】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0083】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0084】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0085】
2…UE(通信端末)、10…MME(通信制御装置)、11…受信部、12…制御部、13…規制情報DB(記憶部)、20…S-GW、30…P-GW、40…PDN。
図1
図2
図3
図4
図5
図6