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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】時計文字盤装置
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/10 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
G04B19/10 B
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020047186
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2020173249
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】19163858.4
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィアミンゴ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】パイヨ, クリストフ
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-114478(JP,U)
【文献】国際公開第99/18479(WO,A1)
【文献】特開2013-167628(JP,A)
【文献】特開2013-24878(JP,A)
【文献】特開2008-249492(JP,A)
【文献】登録実用新案第3111799(JP,U)
【文献】実開平5-92777(JP,U)
【文献】実開昭57-81581(JP,U)
【文献】実開昭51-77166(JP,U)
【文献】特開平11-223678(JP,A)
【文献】実開昭57-203388(JP,U)
【文献】実開昭53-52171(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのはめ細工(1;1’)と、前記はめ細工を受けるための開口(24;24’)が設けられた文字盤(2;2’)とを含む、文字盤装置(100;100’)であって、前記文字盤は、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素(20a;20a’、20b’)を含み、前記少なくとも1つのはめ細工は、前記少なくとも1つの第1要素と協働する少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素(10a、10b;10a’)を含み、前記文字盤装置は、前記文字盤(e2)の厚み内に配置される文字盤-はめ細工接触表面(12、22;12’、22’)を含み、
前記少なくとも1つのはめ細工は、第1角度(α)で定義される第1配向に沿って前記文字盤に対して位置決めされる少なくとも1つの第1はめ細工(1a)と、第2角度(β)で定義される第2配向に沿って位置決めされる第2はめ細工(1b)を含み、前記第1及び前記第2配向は異なる、文字盤装置。
【請求項2】
前記第1及び第2配向は、互いに対して、少なくとも10°の、角度を形成するまたは差異を有する
請求項1に記載の文字盤装置。
【請求項3】
少なくとも1つのはめ細工(1;1’)と、前記はめ細工を受けるための開口(24;24’)が設けられた文字盤(2;2’)とを含む、文字盤装置(100;100’)であって、前記文字盤は、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素(20a;20a’、20b’)を含み、前記少なくとも1つのはめ細工は、前記少なくとも1つの第1要素と協働する少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素(10a、10b;10a’)を含み、前記文字盤装置は、前記文字盤(e2)の厚み内に配置される文字盤-はめ細工接触表面(12、22;12’、22’)を含み、
前記はめ細工を受けるための前記開口は前記文字盤に形成される貫通開口であり、前記第2要素は前記はめ細工の外周に形成される、文字盤装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用第1要素は、足部(20a)または穴(20a’、20b’)を含む、及びまたは前記少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用第2要素は、穴(10a、10b)または足部(10a’)を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の文字盤装置。
【請求項5】
前記足部は、変形可能端部を含む
請求項4に記載の文字盤装置。
【請求項6】
前記文字盤は、前記文字盤の第1可視領域(Z’)から少なくとも1つの第1突起(20’)を含む、または前記はめ細工は、前記はめ細工の第2可視領域(Z)から少なくとも1つの第2突起(10)を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の文字盤装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素は、前記少なくとも1つの第1突起(20’)上に配置される
請求項6に記載の文字盤装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1突起の幅(l2’)は、前記少なくとも1つの第1突起の厚み(d2’)の15倍より小さい、または10倍より小さい、または8倍より小さい
請求項7に記載の文字盤装置。
【請求項9】
前記はめ細工は、前記少なくとも1つの第1突起(20’)を受けるための少なくとも1つの第1ハウジング(10’)を含む
請求項7または8に記載の文字盤装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素は、前記少なくとも1つの第2突起(10)上に配置される
請求項6から9のいずれか一項に記載の文字盤装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2突起の幅(l1)は、前記少なくとも1つの第2突起の厚み(d1)の15倍より小さい、または10倍より小さい、または8倍より小さい
請求項10に記載の文字盤装置。
【請求項12】
前記文字盤は、前記少なくとも1つの第2突起(10)を受けるための少なくとも1つの第2ハウジング(20)を含む
請求項10または11に記載の文字盤装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素(20a)は、前記文字盤の内面(22)に配置される足部を含む、
または前記少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素(10a’)は、前記はめ細工の内面(12’)に配置される足部を含む
請求項1から12のいずれか一項に記載の文字盤装置。
【請求項14】
前記はめ細工は、前記文字盤の不可視表面(21;21’)から窪んで配置される、及びまたは前記はめ細工は、前記文字盤の可視表面(23;23’)から窪んで配置される、及びまたは前記文字盤装置は、前記はめ細工を前記文字盤上に適合させるための符号化手段(10、20;10’、20’)を含む、
請求項1から13のいずれか一項に記載の文字盤装置
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(100;100’)を含む、時計(200;200’)
【請求項16】
ムーブメントブランク(3)を含むムーブメント(150)を含み、前記少なくとも1つのはめ細工は前記文字盤と前記ムーブメントブランクの間に配置される、
請求項15に記載の時計(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計文字盤装置に関する。本発明はまた、このタイプの文字盤装置を含む時計に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑機構を有する小型時計、特にクロノグラフ小型時計またはカウントダウンを有する小型時計は、通常、当該複雑機構の表示に専念するカウンタが設けられた文字盤を含む。これらカウンタは、通常、文字盤から独立して機械加工と装飾が可能なように、典型的には接着により文字盤に追加可能なはめ細工の形状を取る。このタイプの組付け解決策は、特にその再現性、特に接着剤の投与と経時的な展開に関して欠点がないわけではない。代替的に、これらカウンタは、文字盤と一体でもよい。しかしながら、このタイプの文字盤デザインは、装飾、及びまたはカウンタ及びまたは文字盤に設けられた終点に関して、限定的となり得る。
【0003】
カウンタの文字盤上への機械的組付け用装置は、従来技術から既知である。例として、特許文献1は、文字盤上へのカウンタの着脱可能な組付け用の解決策を開示する。この目的のため、文字盤には弾性アームが設けられ、弾性アームは、文字盤の開口の周囲に形成され、アームの自由端は、カウンタの側面に形成された空洞に収容されるように設計される。このタイプの組付け解決策は、オペレータにより操作可能なカムを用いて永続化され、当該カムは、弾性アームの前記端部を空洞に対して保持するよう設計される。このような設計は、特に複雑である。加えて、空洞の機械加工のために必要となるカウンタの階段的形状は、文字盤の上面または外面と面一で、またはわずかに窪んで、カウンタを組み付けることを不可能にする。
【0004】
また、リベット打ちまたは圧接を用いて文字盤はめ細工を組み立てることも知られている。この目的のため、文字盤はめ細工には、通常、足部が設けられる。例として、特許文献2は、リベット打ち作業中に足部の変形を容易にするように設計された、様々な足部の形状を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】スイス特許出願公開第712002号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3185086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術から既知の装置を改善する、文字盤装置を提供することである。特に本発明は、再現可能で、信頼性があり、永続的な態様で、文字盤に取り付けられたはめ細工を含む、文字盤装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、文字盤装置は、請求項1で定義される。
【0008】
文字盤装置の様々な実施形態は、請求項2から14で定義される。
【0009】
本発明によれば、時計は請求項15で定義される。
【0010】
時計の実施形態は、請求項16で定義される。
【0011】
添付の図面は、本発明にかかる時計の2つの実施形態を、例として図示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、時計の第1実施形態の、上部からの概略図である。
図2図2は、時計の第1実施形態を備えた文字盤装置の第1実施形態の、底部からの図である。
図3図3は、はめ細工が位置決めされているが固定されていない、図2の面III-IIIに沿った、文字盤装置の第1実施形態の断面の部分図である。
図4図4は、はめ細工が位置決めされているが固定されていない、図2の面III-IIIに沿った、文字盤装置の第1実施形態の細部の部分断面図である。
図5図5は、はめ細工が位置決めされ固定された、図2の面III-IIIに沿った、文字盤装置の第1実施形態の細部の部分断面図である。
図6図6は、文字盤装置の第1実施形態のはめ細工の斜視図である。
図7図7は、文字盤装置の第1実施形態の文字盤の斜視図である。
図8図8は、はめ細工が斜視図で表された、時計の第2実施形態の概略図である。
図9図9は、図8に示すはめ細工の他の斜視図である。
図10図10は、時計の第2実施形態の文字盤の斜視図である。
図11図11は、時計の第2実施形態の文字盤の別の断面図である。
図12図12は、はめ細工が位置決めされているが固定されていない、文字盤装置の第2実施形態の細部の斜視部分図である。
図13図13は、はめ細工が位置決めされ固定された、文字盤装置の第2実施形態の細部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる時計200の第1実施形態を、図1から7を参照して以下に説明する。
【0014】
時計200は、例えば腕時計である。時計は、好ましくは小型時計ケース、時計ムーブメント150および文字盤装置100の第1実施形態を含む。時計ムーブメントと文字盤装置は、小型時計ケースに固定される。特に、ムーブメント150はムーブメントブランク3を含む。
【0015】
時計ムーブメントは、電子式ムーブメントまたは機械式ムーブメントであってもよく、特に自動式ムーブメントであってもよい。
【0016】
文字盤装置100は、少なくとも1つのはめ細工1と、はめ細工を受けるための開口24が設けられた文字盤2とを含む。文字盤は、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素を含む。少なくとも1つのはめ細工は、少なくとも1つの第1要素と協働する、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素10a、10bを含む。当該協働を用いて、位置決め及びまたは固定用の第1及び第2要素は、はめ細工を文字盤上に位置決め及びまたは固定することを可能とする。装置は、文字盤e2の厚みに配置された、文字盤-はめ細工接触表面12、22を含む。
【0017】
第1実施形態において、位置決め及びまたは固定(または案内及びまたは機械的固定)用の2つの要素は、開口または穴10aを含む。第2要素の全部または一部は、好ましくは、はめ細工1の外縁に形成された、丸突出部または突起または突出部に配置される。有利には、これら第2要素は、はめ細工1の外周に形成された突起または突出部10上に配置される。これら開口10aは、位置決め及びまたは固定(または案内及びまたは機械的固定)用の第1要素と協働するよう設計される。これら第1要素は、足部20aを含む。これら足部は、文字盤2の内表面22上に配置される。
【0018】
好ましくは、これら突起10は、はめ細工1の外表面23と平行または実質的に平行な平面であって、はめ細工を受けるための開口24内で出現可能な平面上ではめ細工1の外側に向かい突出する突出部10の形状をとる。より具体的には、これら突起10は、好ましくは、はめ細工の外表面13に垂直な軸A1に対して、特にはめ細工に中心を取る軸A1に対して半径方向に延長する突出部10の形状である。好ましくは、時計の装着者が時計に取り付けられた文字盤を見ると、文字盤の内表面上に配置されはめ細工を受けるための開口24の外側へ突出した突出部10は、時計の装着者から見ることができない。
【0019】
好ましくは、突起10は、文字盤2の外表面23と同じ高さまたは実質的に同じ高さにあるはめ細工1の外表面13を示すように設計された文字盤の貫通開口24と連続する、文字盤の開口またはハウジング20に収容されるように設計される。
【0020】
開口20は、好ましくは、突起10が時計に組み込まれた文字盤装置を見る装着者からは見ることができないように、盲穴である。
【0021】
これら開口20は文字盤の内表面21上に形成され、その表面は、時計ムーブメント150のムーブメントブランク3と接触するよう、またはムーブメントブランク3の近くに来るよう設計される。
【0022】
開口20のそれぞれの基部は、好ましくはその上に足部20aが配置される単一の表面22を限定する。好ましくは、これら足部20aは、表面22から文字盤と一体である。代替的に、これら足部20aは、例えば打ち込み、ろう付けまたは溶接により、文字盤に追加されてもよい。
【0023】
第1実施形態の好ましい実施形態によれば、各足部20aは、開口10aを一方から他方へ通過するよう形成され、リベット20aの形状をとり、その自由端部20bは突起10に対して、特に突起10の開口10aの面取り10bに対して塑性変形するよう設計される。この目的のため、リベット20aは、例えば、リベットの端部20bを形成する素材の厚さを最小化するために、及びまたはリベットの端部20bの変形を許可する工具を案内するように、開口20cを含んでもよい。これはまた、はめ細工の組付けの際に文字盤の変形を防止または最小限に制限することを可能にする。この場合の「リベット」とは、あらゆる心棒であって、少なくとも1つの要素を、この場合でははめ細工を、心棒上に保持可能にする頭部を形成するために、その自由端部が塑性変形可能なものを意味する。
【0024】
このため、開口10aと協働して、各リベット20aは、リベット20aと開口10aとの間の半径方向間隙によって定まる、文字盤2に対してはめ細工1を案内するための要素を規定する。また、開口10aと協働して、各リベット20aは、開口10aの面取り10bに対する端部20bの塑性変形を用いて、はめ細工1の文字盤2への固定のための要素を規定する。代替的に、例えば案内機能に特化する足部20a、特にピンと、固定機能に特化する足部20a、特にリベットとを設けることで、案内機能と固定機能とを分離することも可能である。
【0025】
加えて、文字盤2の表面22は、はめ細工1の突起10の表面12に対する支持面を規定する。当該表面12は、文字盤の貫通開口24に出現可能なはめ細工1の表面13と別個であってもよい。特に、表面12と13は、別個の平面上に、特に平行且つ離れた平面上に形成されてもよい。代替的に、表面12と13は、単一の表面を、特に単一の平面を、または実質的に単一の平面を形成してもよい。
【0026】
好ましくは、文字盤-はめ細工接触表面12と22は、複数の平面である。
【0027】
好ましくは、文字盤の表面21と22とを分離する距離d2、すなわち開口20の深さは、はめ細工の表面11と12とを分離する距離d1よりも大きく、表面11と12とは、突起10でのはめ細工のそれぞれ内面と外面である。このため、距離d1は、突起の厚みを構成する。距離d2は好ましくは距離d1よりも大きいため、はめ細工は、文字盤の厚み内に埋め込まれる。更に有利には、時計ムーブメントのムーブメントブランク3用の支持面を構成可能な文字盤の表面21から、リベット打ちが延長しないように、はめ細工を文字盤の厚み内に埋め込むことが可能である。はめ細工の厚みd1は、好ましくは、文字盤の内面21及び外面23を分離する文字盤の厚みe2内に配置される。
【0028】
当該第1実施形態において、突起10のそれぞれは、有利には、文字盤の支持面22と時計ムーブメントのムーブメントブランク3との間に配置され、これら突起は「挟まれる」。換言すれば、少なくとも1つのはめ細工は、文字盤とムーブメントブランクの間に配置可能である。このため、はめ細工1は、極度の衝撃を受けた場合でも、そして要素20aの、特にリベット20aが形成するリベット打ちの状態と独立して、その位置に留まることができる。このタイプの位置決めは、文字盤に対するはめ細工の位置決めを、特に文字盤に対するはめ細工の角度位置決めを永続させる。実際、はめ細工と文字盤との接続が破損しても、はめ細工は文字盤に対する位置に維持可能である。
【0029】
好ましくは、要素10a、特にはめ細工1の開口10aは、全て同一である。
【0030】
また好ましくは、はめ細工1の突起10は、すべて同一である。
【0031】
これは、好ましくは、文字盤2の要素20aと文字盤2の開口20についても当てはまる。
【0032】
加えて、突起10と要素10aは好ましくは、はめ細工1に中心を取る軸A1に対して均一に分布される。このため、はめ細工は組み立て中に文字盤に対して割り出される必要がない。この型の形状は、例えばはめ細工1の外面13上へ周縁14を追加するために、はめ細工が文字盤への組み立て後に印付けされる、特にパッド印刷されるときに、特に有利である。
【0033】
このタイプの周縁は、有利には、はめ細工の開口15内に、特に中央開口15内に収容されるように設計される、図示されないインジケータユニットと協働するよう設計される。
【0034】
代替的に、突起10または開口10aは、文字盤上のはめ細工の一義的位置決めを規定するために、符号化手段を構成してもよい。この目的のため、はめ細工1は、異なる形状の突起10及びまたは開口10aを含んでもよい。このタイプの形状は、はめ細工の表面13が、はめ細工が文字盤に取り付けられる前に既に印付けされているとき、特にパッド印刷されているときに、特に有利である。このため、文字盤2上へのはめ細工1の一義的位置決めを支援するために、少なくとも1つの突起10または1つの開口10aと少なくとも1つの開口20または1つの足部20a間の間隙を最小化することができる。
【0035】
加えて、開口20は、突起10のフォーマットと実質的に同等のフォーマットを有し、突起10の形状を好ましくは補完する形状を有する。このため、突起10は、文字盤上へはめ細工を位置決めする代替または補完手段を形成してもよい。
【0036】
好ましくは、突起10は、距離d1の15倍より小さい、または距離d1の10倍より小さい、または距離d1の8倍より小さい、(表面11または12と平行に測定される)幅l1を有する。
【0037】
また好ましくは、開口20は、距離d2の15倍より小さい、または距離d2の10倍より小さい、または距離d2の8倍より小さい、(表面21または22と平行に測定される)幅l2を有する。
【0038】
「幅」は、はめ細工の軸A1に対してまたは文字盤の開口24の軸A24に対して正放線状に延長する突起10の、または開口20の、2つの対向する壁を分離する(はめ細工の軸A1に対して、または文字盤の開口24の軸A24に対して、正放線状に測定される)最大距離を意味する。
【0039】
円状または実質的に円状形状のはめ細工の場合、軸A1から最も遠い突起の点は、半径r10の円上に配置可能であり、ここでr10は、はめ細工の本体の形状に対応するまたは実質的に対応する円の半径r1の1.5倍より小さい、または半径r1の1.3倍より小さい、または半径r1の1.2倍より小さい。「本体」は、突起10が当該構造からはめ細工1の外側に向けて突出する構造、及びまたは時計の文字盤上にはめ細工が組付けられたときに小型時計の装着者から見えるはめ細工の表面13によりその外周が規定される構造を意味する。加えて、開口20の端部の点は、軸A24に中心を取り半径r20の円上に配置可能であり、ここでr20は、開口20が形成される基部を構成する円の半径r2の1.5倍より小さい、または半径r2の1.3倍より小さい、または半径r2の1.2倍より小さい。
【0040】
はめ細工1が文字盤2上に組付けられると、軸A1とA24は、好ましくは統合される。
【0041】
当該第1実施形態において、はめ細工は、3つの突起10を含む。はめ細工は、特に文字盤2上へのはめ細工1の期待される保持に関連して必要な数の突起10を含んでもよいことが認識される。
【0042】
好ましくは、はめ細工の外表面13は、文字盤2のものとは異なる、ギロシェ細工または平削りまたはスネイル仕上げにより形成された装飾16を含む。例として、図6に図示されたはめ細工1の表面13の一部は、円形ギロシェ細工16を含む。
【0043】
文字盤2は、複数のはめ細工を含むことができることが認識される。
【0044】
好ましくは、文字盤装置が、文字盤に対して第1配向αに従い位置決めされた少なくとも1つの第1はめ細工1aと、第2配向βに従い位置決めされた第2はめ細工1bを含むとき、第1及び第2配向は異なる、特に第1及び第2配向は互いに対して角度を、特に少なくとも10°の値の角度を形成する。はめ細工の配向は、文字盤の平面上に配置される基準直線とはめ細工の軸経由でまたはめ細工の突起経由で通過する直線とにより形成される、またははめ細工の位置決め及びまたは固定用の第2要素10aにより形成される、最小角度として定義することができる。
【0045】
例として、図1及び2は、同一形状の3つのはめ細工1a、1b、1cを含む文字盤装置100を図示し、はめ細工の各突起10は、対応する軸A1a、A1b、A1cのそれぞれに対して均等に分配される。これら3つのはめ細工を、適切な文字盤厚みを維持しつつ、文字盤の中心軸A2周りの限られた空間で共生させるために、突起10と開口20の配置は、文字盤上のはめ細工の位置に従い、軸A1、A24周りで変化してよい。例えば、図2は、その突起10が第1はめ細工1aの軸A1a経由で通過する水平直線xに対して第1角度αを形成する第1はめ細工1aと、その突起10がはめ細工1bの軸A1b経由で通過する水平直線xに対して第2角度βを形成する第2はめ細工1bと、その突起10がはめ細工1cの軸A1c経由で通過する水平直線x’に対して第3角度γを形成する第3はめ細工1cとを図示し、ここで配向角度α、β、γは異なり、直線xとx’は平行である。このため、開口20は交差せず、これらの位置のそれぞれで、特に文字盤の中央開口25周りで適切な厚みの文字盤2を提供するために、互いに十分に遠い。
【0046】
好ましくは、はめ細工1a、1b、1cは、それぞれ同じ数の突起を、特に3つの突起を含む。これらはめ細工は、必要な数の突起10を含んでもよいことが認識される。
【0047】
代替的に、はめ細工1の突起10は、はめ細工の受け入れ用の開口24内で出現することができるはめ細工の外表面13に平行または実質的に平行な平面上で、はめ細工1の内側に向けて、特にはめ細工1の中央開口に向けて、配向された突起10の形状であってもよいことが認識される。この場合、はめ細工は、環状部品の形状であってもよく、その中央開口は、はめ細工が組付けられると、文字盤または文字盤の一部により隠される。変形実施形態にかかわらず、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素は、(図6の円Cで区切られる)はめ細工の可視区域Z、特に時計の装着者から見える区域から突出して延長する少なくとも1つの突起10上に配置されてもよい。これら突起は、好ましくは、はめ細工が文字盤上に組付けられると隠される。
【0048】
本発明にかかる時計200’の第2実施形態を、図8から13を参照して以下に説明する。
【0049】
時計200’は、例えば腕時計である。時計は好ましくは、小型時計ケース、時計ムーブメント150’及び文字盤装置100’の第2実施形態を含む。時計ムーブメントと文字盤装置は、小型時計ケース内に取り付けられ固定される。
【0050】
時計ムーブメントは、電子式ムーブメントまたは機械式ムーブメント、特に自動式ムーブメントであってもよい。
【0051】
文字盤装置100’は、少なくとも1つのはめ細工1’と、はめ細工を受けるための開口24’が設けられた文字盤2’とを含む。文字盤は、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素20a’、20b’を含む。少なくとも1つのはめ細工は、少なくとも1つの第1要素と協働する、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第2要素10a’を含む。当該協働を用いて、位置決め及びまたは固定用の第1及び第2要素は、はめ細工を文字盤上に位置決め及びまたは固定することが可能になる。装置は、文字盤e2’の厚み内に配置された、文字盤-はめ細工接触表面12’、22’を含む。
【0052】
第2実施形態において、位置決め及びまたは固定(または案内及びまたは機械的固定)用の第1要素は、開口20a’を含む。位置決め及びまたは固定用の第1要素の全部または一部は、好ましくは、突起20’または突出部に配置される。有利には、位置決め及びまたは固定用の第1要素は、好ましくは突起20’または突出部上に配置される。これら突起は、好ましくは文字盤2’の貫通開口24’の外縁に形成される。文字盤2’の開口24’は、はめ細工1’を受けるよう設計される。開口20aは、位置決め及びまたは固定(または案内及びまたは機械的固定)用の第2要素と協働するよう設計される。これら第2要素は、足部10a’を含む。これら足部は、はめ細工1’の内表面上で、当該はめ細工1’の外縁に配置される。
【0053】
上述の突起10同様、好ましくは、突起20’は、とりわけ文字盤の表面21’及びまたは23’と平行または実質的に平行な平面上で、文字盤2’の内側に向かって配向される、すなわちはめ細工の受け入れ用の開口24’の内側から突出する丸突起または突出部または突起20’の形状である。より具体的には、これら突起20’は、好ましくは、文字盤の表面21’及び23’に垂直な軸A24’に対して半径方向に延長する丸突出部20’の形状である。好ましくは、時計の装着者が時計に取り付けられた文字盤を見ると、はめ細工を受けるための開口24の内側で突出する丸突出部20’は、はめ細工により隠され、時計の装着者から見ることができない。好ましくは、突起は、文字盤の外側から見ることができず、または時計の装着者が見ることができない。
【0054】
突起20’は、はめ細工の開口またはハウジング10’内に収容されるよう設計される。このため、好ましくは、はめ細工1’の外表面13’は、文字盤2’の外表面23’と同じ高さまたは実質的に同じ高さで出現可能である。
【0055】
開口10’は、好ましくは、突起20’が時計に組み込まれた文字盤装置を見る装着者から見ることができないように、盲穴である。
【0056】
第2実施形態は、はめ細工1’の外表面13’を文字盤23’の外表面と実質的に同じ高さに、または外表面から奥まって収容するために、はめ細工が文字盤2’の外表面23’から組付けられるという点で、第1実施形態から区別される。当該第2実施形態は、パヴェ装飾文字盤上にはめ細工の組付けを可能にするため特に有利であり、パヴェ装飾文字盤では、当該文字盤上の石の圧着を可能にするのに十分な素材の厚みを必要とし、第1実施形態にかかる文字盤の内表面からの開口20の形成は、当該文字盤の外表面の石の圧着に必要な素材の厚みの観点から、不可能である。このため、有利には、案内及びまたは機械的固定用の要素20a’は、はめ細工を受けるよう設計され、当該はめ細工の組付け後は不可視とされるよう、圧着されていない文字盤の区域に形成される。
【0057】
第1実施形態の突起10同様、突起20’は、好ましくは、文字盤の開口24’の内側に向かい突出する丸突出部の形状であり、はめ細工1’の開口10’内に収容されるよう設計される。これら開口10’は、突起20’のフォーマットと実質的に同等なフォーマットを有し、突起20’の形状と好ましくは補完する形状を有する。このため、突起20’は、文字盤上へはめ細工を位置決めする代替または補完手段を形成してもよい。好ましくは、開口10’のフォーマットは、はめ細工1’が最大の厚みを有するはめ細工の内表面11’の規模を最大化するために、最小化される。このため、固定中の、特にリベット打ちによるはめ細工1’の変形の危険性は、大きく最小化される。
【0058】
開口10’のそれぞれの基部は、好ましくは、その上に足部10a’が配置される単一表面12’を定義する。好ましくは、これら足部10a’は、表面12’からはめ細工1’と一体である。代替的に、これら足部10a’は、例えば打ち込み、ろう付け、または溶接により、はめ細工に追加されてもよい。
【0059】
第2実施形態の好ましい形態によれば、各足部10a’は、開口20a’を一方から他方へ通過するよう形成され、リベット10a’の形状をとり、その自由端部10b’は、突起20’に対して、特に突起20’の開口20a’の面取り20b’に対して、塑性変形するよう設計される。この目的のため、リベット10a’は例えば、リベットの端部10b’を形成する素材の厚さを最小化するために、およびまたはリベットの端部10b’の変形を許可する工具を案内するように、開口10c’を含んでもよい。これはまた、はめ細工の組付け中の文字盤の変形を防止または最小限に制限することを可能にする。この場合の「リベット」とは、あらゆる心棒であって、少なくとも1つの要素を、この場合では文字盤を心棒上に保持可能にする頭部を形成するために、その自由端部が塑性変形可能なものを意味する。
【0060】
このため、開口20a’と協働して、各リベット10a’は、リベット10a’と開口20a’との間の半径方向間隙によって定まる、文字盤2’に対してはめ細工1’を案内するための要素を規定する。また開口20a’と協働して、各リベット10a’は、開口20a’の面取り20b’に対する端部10b’の塑性変形を用いて、はめ細工1’の文字盤2’への固定のための要素を定義する。代替的に、例えば案内機能に特化する足部10a’、特にピンと、固定機能に特化する足部10a’、特にリベットとを設けることで、案内機能と固定機能とを分離することも可能である。
【0061】
加えて、はめ細工1’の表面12’は、文字盤2’の突起20’の表面22’の支持面を規定する。当該表面12’は、好ましくははめ細工1’の内表面11’と別個である。特に、表面12’と11’は、別個の平面上に、特に平行且つ離れた平面上に形成されてもよい。
【0062】
好ましくは、文字盤-はめ細工接触表面12’と22’は、複数の平面である。
【0063】
好ましくは、文字盤の表面21’と文字盤の突起20’の表面22’とを分離する距離d2’、すなわち突起20’の厚みは、はめ細工の表面11’と12’とを分離する距離d1’よりも大きく、すなわち開口10’の深さよりも大きく、表面21’と22’とは、突起10での文字盤のそれぞれ内面と外面である。このため、はめ細工は、文字盤の厚み内に埋め込まれる。更に有利には、時計ムーブメント150’のムーブメントブランク3’用の支持面を構成可能な文字盤の表面21’からリベット打ちが延長しないように、はめ細工を文字盤の厚み内に埋め込むことが可能である。更に好ましくは、(表面11’及び13’間で測定される)はめ細工の厚みは、好ましくは、文字盤の内表面21’と外表面23’とを分離する文字盤の厚みe2’内に配置される。
【0064】
好ましくは、要素20a’、特に文字盤2’の開口20a’は、全て同一である。
【0065】
また好ましくは、文字盤2’の突起20’は、全て同一である。
【0066】
これは、好ましくは、はめ細工1’の要素10a’、特に足部10a’と、同じくはめ細工の開口10’についても当てはまる。
【0067】
加えて、突起20’と要素20a’は、好ましくは、文字盤2の開口24’に中心を取る軸A24’に対して均一に分布される。このため、はめ細工は、組み立て中に、文字盤に対して割り出される必要がない。このタイプの形状は、例えばはめ細工1’の外面13’上へ周縁14’を追加するために、はめ細工が文字盤への組み立て後にのみ印付けされる、特にパッド印刷されるときに、特に有利である。
【0068】
このタイプの周縁は、有利には、はめ細工の貫通開口15’内に、特に中央開口15’内に収容されるように設計される、図示されないインジケータユニットと協働するよう設計される。
【0069】
代替的に、突起20’または開口20a’は、文字盤上へのはめ細工の一義的位置決めを定義するために、符号化手段を構成してもよい。この目的のため、文字盤2’は、異なる形状の突起20’及びまたは開口20a’を含んでもよい。このタイプの形状は、はめ細工の表面13’が、はめ細工が文字盤に取り付けられる前に、既に印付けされているとき、特にパッド印刷されているときに、特に有利である。このため、文字盤2’上へのはめ細工1’の一義的位置決めを支援するために、少なくとも1つの突起20’または開口20a’と少なくとも1つの開口10’または足部10a’間の間隙を最小化することができる。
【0070】
加えて、開口10’は、突起20’のフォーマットと実質的に同等のフォーマットを有し、突起10’の形状と好ましくは補完する形状を有する。
【0071】
好ましくは、突起20’は、距離d2’の15倍より小さい、または距離d2’の10倍より小さい、または距離d2’の8倍より小さい、(表面21’または22’と平行に測定される)幅l2’を有する。
【0072】
また好ましくは、開口10’は、距離d1’の15倍より小さい、または距離d1’の10倍より小さい、または距離d1’の8倍より小さい、(表面11’または12’と平行に測定される)幅l1’を有する。
【0073】
「幅」は、はめ細工の軸A1’に対してまたは文字盤の開口24の軸A24’に対して放射状に延長する開口10’の、または突起20’の、2つの対向する壁を分離する(文字盤の開口24の軸A24’に対して、またははめ細工の軸A1’に対して、正放線状に測定される)最大距離を意味する。
【0074】
円状はめ細工の場合、はめ細工1’の半径r1’は、文字盤2’の支持表面22’により定義される半径r2’と実質的に同一である。
【0075】
第1実施形態の態様で、はめ細工1’が文字盤2’上に組付けられると、軸A1’とA24’は、好ましくは統合される。
【0076】
当該第2実施形態において、文字盤24’の開口は、4つの突起20’を含む。当該開口24’は、特に文字盤2’上へのはめ細工1’の期待される保持に関連して必要な数の突起20’を含んでもよいことが認識される。
【0077】
好ましくは、はめ細工1’の上表面13’は、文字盤2’のものとは異なる、ギロシェ細工または平削りまたはスネイル仕上げにより形成された装飾16’を含む。例として、図8に図示されたはめ細工1’の上表面13’の一部は、円形ギロシェ細工16’を含む。
【0078】
代替的に、文字盤2’の突起20’は、はめ細工1’を受け入れるよう設計された開口24’の外側へ突出してもよい。この場合、はめ細工1’は、環状部品の形状であってよい。このため、少なくとも1つの位置決め及びまたは固定用の第1要素は、文字盤の開口24’の外周から、または文字盤の開口24’の内周から、すなわち(図100の円C’で区切られる)文字盤の可視区域Z’から、特に時計の装着者から見える区域から突出して延長する、少なくとも1つの突起20’に配置されてもよい。これら突起は、はめ細工が文字盤上に組付けられると、好ましくは、はめ細工によって隠される。
【0079】
実施形態または変形例がどれであれ、文字盤装置は、文字盤に追加され固定される1以上のはめ細工を有してよい。文字盤装置はしかしながら、あらゆる数のはめ細工を、特に1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つのはめ細工を含んでもよい。この場合、異なるはめ細工は、同一でもよく類似でもよく異なってもよい。図1から7の実施形態において、装置は3つのはめ細工を含む。
【0080】
実施形態または変形例がどれであれ、はめ細工の概念は、最大限広範な意味とみなされなければならない。このため、はめ細工1は、アクセサリインジケータユニットと、特に針と協働して時刻表示または時刻の派生を表示するよう設計されたカウンタまたはインジケータの役割を果たしてもよい。より具体的には、はめ細工1は、インジケータユニットと、特に針と協働するよう設計された周縁を含んでもよい。代替的に、はめ細工は、単に装飾であってもよい。例えば、はめ細工は、文字盤に設けられた貫通切り欠きを用いて装飾されたパターンの基部を構成してもよい。
【0081】
実施形態または変形例がどれであれ、はめ細工は、円形形状を有してよい。はめ細工は他の形状を取ってもよい。
【0082】
実施形態または変形例がどれであれ、はめ細工、すなわちはめ細工の内表面11、11’は、好ましくは、(見ることができない)文字盤の内表面21、21’から窪んで配置される。
【0083】
実施形態または変形例がどれであれ、はめ細工、すなわちはめ細工の外表面13、13’は、好ましくは(見ることができる)文字盤の外表面23、23’から窪んで配置される。代替的に、はめ細工の外表面13、13’は、(見ることができる)文字盤の外表面23、23’と面一であってもよい。また代替的に、はめ細工の外表面13、13’は、(見ることができる)文字盤の外表面23、23’に対して突出してもよい。
【0084】
上述のように、実施形態によれば、文字盤は、文字盤の第1可視領域Z’から少なくとも1つの第1突起20’を含んでもよく、またははめ細工は、はめ細工の第2可視領域Zから少なくとも1つの第2突起10を含んでもよい。実施形態または変形例がどれであれ、1または複数の突起は、文字盤上へのはめ細工の位置決めの補完または代替要素を構成してもよい。図示した実施形態の代替として、固定要素(特に足部または開口)は、これら突起に必ずしも据えられるわけではない。これら突起は、文字盤に対するはめ細工の回転を阻止する機能を有してもよい。これら突起はまた、文字盤上へのはめ細工の固定の保持を補強するために、特に衝撃に対する耐性を補強するために、はめ細工に設けられ、文字盤と(ムーブメントブランク要素といった)他の要素の間に介在されてもよい。
【0085】
実施形態または変形例がどれであれ、1または複数の突起は、(足部及びまたは開口といった)固定要素が設けられてもよく、1または複数の突起は、固定要素がなくてもよい。
【0086】
本発明にかかる解決策は、文字盤上へのはめ細工の、特にカウンタの、再現可能且つ永続的組付けを提供することを可能にし、実施形態によればはめ細工の外縁に形成された突起上に配置された、または文字盤の開口の周囲に配置された、案内及びまたは機械的固定用の要素を実施し、ここで開口ははめ細工を受けるように設計される。より具体的には、これら案内及びまたは機械的固定用の要素は、組付け解決策の実施形態によれば文字盤上またははめ細工上に配置された、ピンまたはリベットを形成する足部といった補完要素と協働するよう設計された開口の形状である。
【0087】
第1実施形態は、はめ細工の衝撃への耐性に関して、特に有利である。
【0088】
第2実施形態は、パヴェ装飾された、特に一体的にパヴェ装飾された文字盤上へのはめ細工の機械的組付けの解決策を提供するという利点を有する。
【0089】
本明細書中、「外表面」は、時計の外側に向けた配向で設計された、特に時計の観察者が直接見ることができる表面を含む、時計部品の表面を意味する。小型時計ケースである部品の外表面は、当該表面の法線であって、部品を通過することなく当該表面から開始する半直線が、時計のガラスを通過するように、配向される。
【0090】
本明細書中、「内表面」は、時計の内側に向けた配向で設計された、特に時計の観察者が見ることができない表面を含む、時計部品の表面を意味する。小型時計ケースである部品の内表面は、当該表面の法線であって、部品を通過することなく当該表面から開始する半直線が、時計の底を通過するように、配向される。
【0091】
本明細書中、「丸突出部」または「突出部」の意味は、「文字盤足部」を含まない。実際、文字盤足部は、主文字盤表面に垂直または実質的に垂直に延長する。
【0092】
前述のとおり、様々な実施形態において、文字盤-はめ細工接触表面12、22;12’、22’は、文字盤の厚みに、すなわち文字盤の外表面が位置する平面と、文字盤の内表面が位置する平面との間に配置される。接触表面は、有利には平面である。代替的に、接触表面は、(わずかに)円錐状であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 はめ細工
2 文字盤
3 ムーブメントブランク
10 突起
10a 開口
20 開口
24 開口
100 文字盤装置
150 ムーブメント
200 時計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13