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特許7557286外科用ステープル留め器具およびその外科用装填ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】外科用ステープル留め器具およびその外科用装填ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020098464
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021010722
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】16/503,691
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ケリー エバンス
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-529677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122870(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め器具と共に使用するための外科用装填ユニットであって、前記外科用ステープル留め器具は、アダプタアセンブリとハンドルアセンブリとを備え、前記アダプタアセンブリおよび前記ハンドルアセンブリは、前記外科用装填ユニットの動作を引き起こすように構成され、前記外科用装填ユニットは、
ステープルカートリッジアセンブリと、
前記ステープルカートリッジアセンブリに動作可能に連結されたアンビルアセンブリと、
前記ステープルカートリッジアセンブリまたは前記アンビルアセンブリのうちの少なくとも1つに関連付けられたメモリであって、前記メモリは、実行されたときに前記外科用装填ユニットの動作パラメータを実施する命令を中に格納しており、前記動作パラメータが、前記外科用装填ユニットによって実行される組織タイプまたは特定の外科手技に固有である、メモリと
を備え、前記メモリは、実行されたときに、前記アダプタアセンブリまたは前記ハンドルアセンブリの動作を、事前設定された動作モードから固有の動作モードに適合させるようにプロセッサにさらに指示する命令を中に格納しており、前記事前設定された動作モードは、感知された組織厚さに基づいて、前記外科用装填ユニットのステープル発射速度を自動的に調整することを含み、前記固有の動作モードは、前記外科用装填ユニットからの一定のステープル発射速度を設定することを含む、外科用装填ユニット。
【請求項2】
前記動作パラメータは、前記外科用装填ユニットのステープル発射速度、ステープル発射力、締め付け速度、または締め付け力のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の外科用装填ユニット。
【請求項3】
前記発射速度は、前記外科用装填ユニットによって実行される前記組織タイプまたは前記特定の外科手技に固有である、請求項2に記載の外科用装填ユニット。
【請求項4】
前記発射力は、前記外科用装填ユニットによって実行される前記組織タイプまたは前記特定の外科手技に固有である、請求項2に記載の外科用装填ユニット。
【請求項5】
前記外科用装填ユニットによって実行される前記特定の外科手技は、内視鏡的胃腸吻合、組織切除、または病変切除を含む、請求項1に記載の外科用装填ユニット。
【請求項6】
前記メモリは、さらに、前記外科用装填ユニットに関連したデータを格納している、請求項1に記載の外科用装填ユニット。
【請求項7】
前記データは、前記外科用装填ユニットのシリアル番号、前記外科用装填ユニットのタイプ、前記外科用装填ユニットのサイズ、前記外科用装填ユニットに含まれるステープルサイズ、前記外科用装填ユニットが発射されたかどうかを識別する情報、前記外科用装填ユニットの発射ストロークの長さ、または前記外科用装填ユニットの最大使用回数のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の外科用装填ユニット。
【請求項8】
前記メモリ内に格納された前記命令は、実行されたときに、前記アダプタアセンブリまたは前記ハンドルアセンブリ内のプログラミングを無効にし、前記動作パラメータが、前記プログラミング内の動作パラメータとは異なる、請求項1に記載の外科用装填ユニット。
【請求項9】
外科用ステープル留め器具であって、
アダプタアセンブリと、
ハンドルアセンブリであって、
命令を中に格納しているメモリと、
前記命令を実行するように構成されたプロセッサと
を含むハンドアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリに連結されるように構成された外科用装填ユニットであって、前記アダプタアセンブリおよび前記ハンドルアセンブリは、前記外科用装填ユニットの動作を引き起こすように構成され、前記外科用装填ユニットは、
ステープルカートリッジアセンブリと、
前記ステープルカートリッジアセンブリに動作可能に連結されたアンビルアセンブリと、
命令を中に格納しているメモリであって、前記命令は、前記ハンドルアセンブリの前記プロセッサによって実行されたときに、前記ハンドルアセンブリの前記メモリ内に格納された前記命令を無効にし、かつ、前記外科用装填ユニットによって実行される、組織タイプまたは特定の外科手技に固有の、前記外科用装填ユニットの動作パラメータを実施する、メモリと
を含み、前記メモリは、実行されたときに、前記アダプタアセンブリまたは前記ハンドルアセンブリの動作を、事前設定された動作モードから固有の動作モードに適合させるようにプロセッサにさらに指示する命令を中に格納しており、前記事前設定された動作モードは、感知された組織厚さに基づいて、前記外科用装填ユニットのステープル発射速度を自動的に調整することを含み、前記固有の動作モードは、前記外科用装填ユニットからの一定のステープル発射速度を設定することを含む、外科用装填ユニットと
を備える外科用ステープル留め器具。
【請求項10】
前記動作パラメータは、前記外科用装填ユニットのステープル発射速度、ステープル発射力、締め付け速度、または締め付け力のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項11】
前記発射速度は、前記外科用装填ユニットによって実行される前記組織タイプまたは前記特定の外科手技に固有である、請求項10に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項12】
前記発射力は、前記外科用装填ユニットによって実行される前記組織タイプまたは前記特定の外科手技に固有である、請求項10に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項13】
前記外科用装填ユニットによって実行される前記特定の外科手技は、内視鏡的胃腸吻合、組織切除、または病変切除を含む、請求項10に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項14】
前記外科用装填ユニットの前記メモリは、さらに、前記外科用装填ユニットに関連したデータを格納している、請求項9に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項15】
前記データは、前記外科用装填ユニットのシリアル番号、前記外科用装填ユニットのタイプ、前記外科用装填ユニットのサイズ、ステープルサイズ、前記外科用装填ユニットが発射されたかどうかを識別する情報、前記外科用装填ユニットの発射ストロークの長さ、または前記外科用装填ユニットの最大使用回数のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項16】
前記外科用装填ユニットと前記ハンドルアセンブリとを相互接続するように構成されたアダプタアセンブリをさらに備える、請求項9に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項17】
前記外科用装填ユニットの前記メモリ内に格納された前記命令は、前記アダプタアセンブリの動作を変更する、請求項16に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項18】
外科用ステープル留め器具の動作を修正する方法であって、前記外科用ステープル留め器具は、アダプタアセンブリと動力式ハンドルアセンブリとを備え、前記アダプタアセンブリおよび前記動力式ハンドルアセンブリは、科用装填ユニットの動作を引き起こすように構成され、前記方法は、
前記外科用装填ユニットのメモリから、前記外科用ステープル留め器具の前記アダプタアセンブリまたは前記動力式ハンドルアセンブリのプロセッサに命令を転送することと、
前記動力式ハンドルアセンブリまたは前記アダプタアセンブリのメモリ内に格納された命令を前記外科用装填ユニットの前記メモリの命令で無効にすることであって、前記外科用装填ユニットの前記メモリの前記命令が、前記プロセッサに、前記アダプタアセンブリまたは前記動力式ハンドルアセンブリの動作を、事前設定された動作モードから固有の動作モードに適合させるように指示する、ことと
を含み、前記事前設定された動作モードは、感知された組織厚さに基づいて、前記外科用装填ユニットのステープル発射速度を自動的に調整することを含み、前記固有の動作モードは、前記外科用装填ユニットからの一定のステープル発射速度を設定することを含む、方法。
【請求項19】
前記固有の動作モードが、前記外科用装填ユニットによって実行される固有の組織タイプまたは特定の外科手技に対応する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ステープル留め器具に関する。より具体的には、本開示は、外科用ステープル留め器具の情報処理機能をもつ装填ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
組織に動作するための外科用ステープル留め器具は、当技術分野で周知であり、ハンドルアセンブリ、ハンドルアセンブリから遠位に延在する本体部分、および本体部分の遠位端部分に支持された外科用装填ユニットを含み得る。外科用装填ユニットは、離間位置と接近位置との間で互いに対して移動可能である、第1の顎および第2の顎を含む。外科用ステープル留め器具では、第1の顎は、アンビルアセンブリであり、第2の顎は、カートリッジアセンブリである。
【0003】
外科用ステープル留め器具は、治療される組織の特性(例えば、組織の厚さ)に基づいて、発射速度、締め付け力などを調整するように事前プログラムされ得る。例えば、組織が比較的厚いと決定された場合、外科用ステープル留め器具のハンドルアセンブリに格納された命令は、ハンドルアセンブリが取り付けられた外科用装填ユニットからステープルを発射し、および/または減速してナイフバーを前進させることを引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様によれば、外科用ステープル留め器具と共に使用するための外科用装填ユニットが提供される。外科用装填ユニットは、ステープルカートリッジアセンブリと、ステープルカートリッジアセンブリに動作可能に連結されたアンビルアセンブリと、ステープルカートリッジアセンブリまたはアンビルアセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けられたメモリと、を含む。メモリは、実行されたときに外科用装填ユニットの動作パラメータを実施する、その中に格納された命令を有する。動作パラメータは、外科用装填ユニットによって実行されている組織タイプまたは特定の外科手技に固有である。
【0005】
いくつかの態様では、動作パラメータは、外科用装填ユニットのステープル発射速度、ステープル発射力、クランプ速度、および/またはクランプ力を含み得る。
【0006】
いくつかの態様では、発射速度は、外科用装填ユニットによって実行される組織タイプまたは特定外科手技に固有であり得る。
【0007】
いくつかの態様では、発射力は、外科用装填ユニットによって実行される組織タイプまたは特定の外科手技に固有であり得る。
【0008】
いくつかの態様では、外科用装填ユニットによって実行される特定の外科手技は、内視鏡的胃腸吻合、組織切除、または病変切除を含み得る。
【0009】
いくつかの態様では、メモリは、その中に格納された外科用装填ユニットに関連したデータを有し得る。
【0010】
いくつかの態様では、データは、外科用装填ユニットのシリアル番号、外科用装填ユニットのタイプ、外科用装填ユニットのサイズ、外科用装填ユニットに含まれるステープルサイズ、外科用装填ユニットが発射されたかどうかを識別する情報、外科用装填ユニットの発射ストロークの長さ、および/または外科用装填ユニットの最大使用回数を含み得る。
【0011】
いくつかの態様では、メモリ内に格納された命令は、実行されたときに、アダプタアセンブリまたはハンドルアセンブリに対応するプログラミングを無効にする。動作パラメータは、プログラミング内の動作パラメータと異なり得る。
【0012】
本開示の別の態様によれば、外科用ステープル留め器具が提供され、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリに連結されるように構成された外科用装填ユニットとを含む。ハンドルアセンブリは、その中に格納された命令を有するメモリと、命令を実行するように構成されたプロセッサとを含む。外科用装填ユニットは、ステープルカートリッジアセンブリと、ステープルカートリッジアセンブリに動作可能に連結されたアンビルアセンブリと、メモリとを含む。メモリは、ハンドルアセンブリのプロセッサによって実行されたときに、ハンドルアセンブリのメモリ内に格納された命令を無効にし、かつ、外科用装填ユニットによって実行されるように、組織タイプまたは特定の外科手技に固有の、外科用装填ユニットの動作パラメータを実施する、命令を格納する。
【0013】
いくつかの態様では、動作パラメータは、外科用装填ユニットのステープル発射速度、ステープル発射力、クランプ速度、および/またはクランプ力を含み得る。
【0014】
いくつかの態様では、発射速度は、外科用装填ユニットによって実行される組織タイプまたは特定外科手技に固有であり得る。
【0015】
いくつかの態様では、発射力は、外科用装填ユニットによって実行される組織タイプまたは特定の外科手技に固有であり得る。
【0016】
いくつかの態様では、外科用装填ユニットによって実行される特定の外科手技は、内視鏡的胃腸吻合、組織切除、または病変切除を含み得る。
【0017】
いくつかの態様では、外科用装填ユニットのメモリは、その中に格納された外科用装填ユニットに関連したデータを有し得る。
【0018】
いくつかの態様では、データは、外科用装填ユニットのシリアル番号、外科用装填ユニットのタイプ、外科用装填ユニットのサイズ、ステープルサイズ、外科用装填ユニットが発射されたかどうかを識別する情報、外科用装填ユニットの発射ストロークの長さ、および/または外科用装填ユニットの最大使用回数のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0019】
いくつかの態様では、外科用ステープル留め器具は、外科用装填ユニットとハンドルアセンブリとを相互接続するように構成されたアダプタアセンブリをさらに含み得る。
【0020】
いくつかの態様では、外科用装填ユニットのメモリ内に格納された命令は、アダプタアセンブリの動作を変更し得る。
【0021】
本開示のさらに別の態様によれば、外科用ステープル留め器具の動作を修正する方法が提供される。方法は、外科用装填ユニットのメモリから、外科用ステープル留め器具のアダプタアセンブリまたは動力式ハンドルアセンブリのプロセッサに命令を転送すること、ハンドルアセンブリまたはアダプタアセンブリのメモリ内に格納されている命令を外科用装填ユニットのメモリの命令で無効にすることとを含む。外科用装填ユニットのメモリの命令は、プロセッサに、アダプタアセンブリまたはハンドルアセンブリの動作を、事前設定された動作モードから固有の動作モードに適合させるように指示する。
【0022】
いくつかの態様では、固有の動作モードは、ハンドルアセンブリまたはアダプタアセンブリが外科用装填ユニットの機能にどのように影響するかを調整し得る。
【0023】
いくつかの態様では、固有の動作モードは、外科用装填ユニットによって実行される固有の組織タイプまたは特定の外科手技に対応し得る。
【0024】
本開示の例示的な実施形態のさらなる詳細および態様は、添付の図面を参照して以下により詳細に記載されている。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
外科用ステープル留め器具と共に使用するための外科用装填ユニットであって、
ステープルカートリッジアセンブリと、
上記ステープルカートリッジアセンブリに動作可能に連結されたアンビルアセンブリと、
上記ステープルカートリッジアセンブリまたは上記アンビルアセンブリのうちの少なくとも1つに関連付けられたメモリであって、上記メモリは、実行されたときに上記外科用装填ユニットの動作パラメータを実施する、格納された命令を有し、上記動作パラメータが、上記外科用装填ユニットによって実行される組織タイプまたは特定の外科手技に固有である、メモリと、を備える外科用装填ユニット。
(項目2)
上記動作パラメータは、上記外科用装填ユニットのステープル発射速度、ステープル発射力、締め付け速度、または締め付け力のうちの少なくとも1つを含む、上記項目に記載の外科用装填ユニット。
(項目3)
上記発射速度は、上記外科用装填ユニットによって実行される上記組織タイプまたは上記特定の外科手技に固有である、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目4)
上記発射力は、上記外科用装填ユニットによって実行される上記組織タイプまたは上記特定外科手技に固有である、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目5)
上記外科用装填ユニットによって実行される上記特定の外科手技は、内視鏡的胃腸吻合、組織切除、または病変切除を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目6)
上記メモリは、さらに、上記外科用装填ユニットに関連したデータを格納している、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目7)
上記データは、上記外科用装填ユニットのシリアル番号、上記外科用装填ユニットのタイプ、上記外科用装填ユニットのサイズ、上記外科用装填ユニットに含まれるステープルサイズ、上記外科用装填ユニットが発射されたかどうかを識別する情報、上記外科用装填ユニットの発射ストロークの長さ、または上記外科用装填ユニットの最大使用回数のうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目8)
上記メモリ内に格納された上記命令は、実行されたときに、アダプタアセンブリまたはハンドルアセンブリに対応するプログラミングを無効にし、上記動作パラメータが、上記プログラミング内の動作パラメータとは異なる、上記項目のいずれかに記載の外科用装填ユニット。
(項目9)
外科用ステープル留め器具であって、
ハンドルアセンブリであって、
その中に格納された命令を有するメモリと、
上記命令を実行するように構成されたプロセッサと、を含むハンドアセンブリと、
上記ハンドルアセンブリに連結されるように構成された外科用装填ユニットであって、上記外科用装填ユニットは、
ステープルカートリッジアセンブリと、
上記ステープルカートリッジアセンブリに動作可能に連結されたアンビルアセンブリと、
上記ハンドルアセンブリの上記プロセッサによって実行されたときに、上記ハンドルアセンブリの上記メモリ内に格納された命令を無効にし、かつ、上記外科用装填ユニットによって実行される、組織タイプまたは特定の外科手技に固有の、上記外科用装填ユニットの動作パラメータを実施する、その中に格納された命令を有するメモリと、を含む、外科用装填ユニットと、を備える外科用ステープル留め器具。
(項目10)
上記動作パラメータは、上記外科用装填ユニットのステープル発射速度、ステープル発射力、締め付け速度、または締め付け力のうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目11)
上記発射速度は、上記外科用装填ユニットによって実行される上記組織タイプまたは上記特定の外科手技に固有である、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目12)
上記発射力は、上記外科用装填ユニットによって実行される上記組織タイプまたは上記特定外科手技に固有である、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目13)
上記外科用装填ユニットによって実行される上記特定の外科手技は、内視鏡的胃腸吻合、組織切除、または病変切除を含む、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目14)
上記外科用装填ユニットの上記メモリは、さらに、上記外科用装填ユニットに関連したデータを格納している、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目15)
上記データは、上記外科用装填ユニットのシリアル番号、上記外科用装填ユニットのタイプ、上記外科用装填ユニットのサイズ、ステープルサイズ、上記外科用装填ユニットが発射されたかどうかを識別する情報、上記外科用装填ユニットの発射ストロークの長さ、または上記外科用装填ユニットの最大使用回数のうちの少なくとも1つを含む、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目16)
上記外科用装填ユニットと上記ハンドルアセンブリとを相互接続するように構成されたアダプタアセンブリをさらに備える、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目17)
上記外科用装填ユニットの上記メモリ内に格納された上記命令は、上記アダプタアセンブリの動作を変更する、上記項目のいずれかに記載の外科用ステープル留め器具。
(項目18)
外科用ステープル留め器具の動作を修正する方法であって、
外科用装填ユニットのメモリから、上記外科用ステープル留め器具のアダプタアセンブリまたは動力式ハンドルアセンブリのプロセッサに命令を転送することと、
上記ハンドルアセンブリまたは上記アダプタアセンブリのメモリ内に格納された命令を上記外科用装填ユニットの上記メモリの命令で無効にすることであって、上記外科用装填ユニットの上記メモリの上記命令が、上記プロセッサに、上記アダプタアセンブリまたは上記ハンドルアセンブリの動作を、事前設定された動作モードから固有の動作モードに適合させるように指示する、無効にすることと、を含む方法。
(項目19)
上記固有の動作モードが、上記ハンドルアセンブリまたは上記アダプタアセンブリが上記外科用装填ユニットの機能にどのように影響するかを調整する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
上記固有の動作モードが、上記外科用装填ユニットによって実行される固有の組織タイプまたは特定の外科手技に対応する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
外科用ステープル留め器具は、ハンドルアセンブリ、外科用装填ユニット、およびハンドルアセンブリと外科用装填ユニットとを相互接続するアダプタアセンブリを含む。外科用装填ユニットは、ハンドルアセンブリのプロセッサによって実行されたときに、ハンドルアセンブリのメモリ内に格納された命令を無効にし、組織タイプに固有の外科用装填ユニットの動作パラメータ、または外科用装填ユニットによって実行される特定の外科手技を実施する、その中に格納された命令を有するメモリを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の実施形態を添付の図面を参照して本明細書で説明する。
図1】本開示による外科用ステープル留め器具の実施形態の斜視図である。
図2図1に示される外科用ステープル留め器具の側面斜視図である。
図3】分解された状態の外科用装填ユニットのステープルカートリッジアセンブリが示された、図2の外科用装填ユニットの側面斜視図である。
図4図1の外科用ステープル留め器具が動作する例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の外科用ステープル留め器具およびその外科用装填ユニットの実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照符号は、いくつかの図の各々における同一または対応する要素を示す。本明細書で使用されるとき、用語「遠位」は、患者に最も近い、外科用ステープル留め器具またはその構成要素の部分を指し、一方、用語「近位」は、患者からさらに離れた、外科用ステープル留め器具またはその構成要素の部分を指す。
【0027】
以下で詳細に記載されるように、提供されるのは、外科用ステープル留め器具で使用するための外科用装填ユニットである。外科用装填ユニットは、アンビルアセンブリと、アンビルアセンブリに旋回可能に連結されたステープルカートリッジアセンブリと、メモリとを含む。メモリは、外科用装填ユニットが使用されることが意図されている組織タイプ、または外科用装填ユニットが使用されることが意図されている外科手技のタイプに固有の、その中に格納された命令を有する。メモリは、外科用ステープル留め器具のハンドルアセンブリ内の外科用装填ユニットからプロセッサに命令を転送するように構成される。命令は、プロセッサが、外科用装填ユニットのメモリ内に格納された命令によって規定された様式で外科用装填ユニットの機能(複数可)を実行するように、ハンドルアセンブリに格納されたプログラミングを無効にするようにプロセッサに指示する。開示された外科用ステープル留め器具の他の特徴および利点は、以下にさらに詳述される。
【0028】
図1は、開示される外科用ステープル留め器具10の実施形態を図示する。外科用ステープル留め器具10は、動力式ハンドルアセンブリ12と、アダプタアセンブリ14と、外科用装填ユニット100と、を含む。ハンドルアセンブリ12およびアダプタアセンブリ14は、装填ユニット100の動作をもたらすように構成されている。ハンドルアセンブリ12は、アダプタアセンブリ14との選択的接続のために構成され、次に、アダプタアセンブリ14は、単回使用装填ユニット(「SULU」)100との選択的接続のために構成される。ハンドルアセンブリ12は、ハンドルアセンブリ12内の駆動モーター(図示せず)の動作を行うためのプロセッサ2と、プロセッサ2によって実行される命令またはプログラムが内部に格納されているメモリ4とを含む。
【0029】
装填ユニット100は、外科用ステープル留め器具10のアダプタアセンブリ14に選択的に固定されるものとして図示および記載されているが、装填ユニット100は、外科用ステープル留め器具10がアダプタアセンブリを欠いている実施形態において、ハンドルアセンブリ12のシャフト上で支持され得ることが想定される。
【0030】
ハンドルアセンブリ12およびアダプタアセンブリ14の構造および機能の詳細な説明については、共有されている米国特許第9,055,943号および米国特許出願公開第2016/0310134号を参照されたく、各々の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。装填ユニット100の動作に関する詳細は、米国特許出願公開第2016/0249929号に見られ、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
図1~3は、近位本体部分102およびエンドエフェクタアセンブリ104を含む、外科用装填ユニット100を図示する。装着アセンブリ106は、エンドエフェクタアセンブリ104に固定されており、かつ装填ユニット100の近位本体部分102に旋回可能に連結されて、エンドエフェクタアセンブリ104を近位本体部分102に旋回可能に固定する。エンドエフェクタアセンブリ104は、外科用ハンドルアセンブリ12(図1)によって動作可能であるとして示され、かつ記載されているが、エンドエフェクタアセンブリ104はまた、外科用ロボット器具に動作可能に連結され得ることが、想定される。
【0032】
エンドエフェクタアセンブリ104は、接近構成と拡張またはオープン構成との間で互いに対して移動可能である、例えば、アンビルアセンブリ108などの第1の顎部材と、例えば、ステープルカートリッジアセンブリ110などの第2の顎部材とを含む。カートリッジアセンブリ110は、概して、シャーシ112(図3)と、シャーシ112内に取り外し可能に受容されるために構成された使い捨てのステープルカートリッジ本体122とを含む。シャーシ112は、アンビルアセンブリ108の近位端部分に旋回可能に連結された近位端部分を有する。いくつかの実施形態では、シャーシ112の近位端部分は、アンビルアセンブリ108に間接的に旋回可能に連結され得る。シャーシ112は、ステープルカートリッジ本体122の取り外し可能な受容のために寸法決めされた細長いチャネル114(図3)をその中に画定する。
【0033】
ステープルカートリッジ本体122は、ステープル保持スロットの複数の列を画定する組織接触表面116(図2)を有する。ステープルカートリッジ本体122は、その中に複数のステープル(図示せず)を支持する。装填ユニットは、傾斜したウェッジを有するそりと相互作用するように構成された発射部材と、対応するカム表面を有するプッシャーとを含み、組織接触表面116に形成されたそれぞれのステープル保持スロットを通してステープルを放出する。発射部材は、ステープルの列を逐次的様式で放出するように、ステープルカートリッジ本体122を通って移動する。ステープルカートリッジアセンブリ110は、ステープルカートリッジ本体122の組織接触表面116のステープル保持スロット内にステープルを維持し、シッピングウェッジ124を取り外す前に、エンドエフェクタアセンブリ104の作動を防ぐように構成されたシッピングウェッジ124(図3)をさらに含み得る。
【0034】
外科用装填ユニット100は、近位本体部分102内に配置されたメモリ130(図2)を含む。いくつかの態様では、メモリ130は、アンビルアセンブリ108内もしくは上、またはステープルカートリッジアセンブリ110内もしくは上などの、外科用装填ユニット100の任意の他の好適な位置に配置され得る。メモリ130は、外科用装填ユニット100がアダプタアセンブリ14と係合すると、電気接点または無線接続(例えば、近距離無線通信)を介して、外科用装填ユニット100の存在および外科用装填ユニット100の1つ以上の動作パラメータを、ハンドルアセンブリ12に通信するように構成される。
【0035】
メモリ130は、EEPROM、EPROM、または外科用装填ユニット100の動作のためのプログラムまたは命令のセットを記憶する、任意の好適な非一時的な記憶チップを含み得る。そのようなプログラムは、例えば、ステープルまたはクリップを組織に首尾よく適用するために達成する必要がある、発射パラメータなどの、外科用装填ユニット100の動作パラメータを格納し得る。メモリ130内に格納された発射パラメータは、外科用装填ユニット100のステープル発射速度、外科用装填ユニット100のステープル発射力、外科用装填ユニット100のエンドエフェクタアセンブリ104のクランプ速度、および/または、外科用装填ユニット100のエンドエフェクタアセンブリ104のクランプ力を含み得る。他の動作パラメータは、例えば、組織の厚さの表示またはナイフの引き込み速度など、外科用装填ユニット100のメモリ130内に格納され得る。ソフトウェアの更新または修正はまた、ハンドルアセンブリ12のメモリ4(図1)内に格納されたソフトウェアの修正または完全な再設計を可能にするように、メモリ130内に格納され得る。
【0036】
本開示は、各々が特定のタイプの組織(例えば、肝臓、肺、心臓、胃腸など)で、および/または特定のタイプの外科手技(例えば、肝臓切除、胃腸吻合、病変切除)中に使用されるように構成された、複数の外科用装填ユニット100を提供する。そのようなものとして、装填ユニット100の各々は、選択された外科用装填ユニット100が使用される組織タイプおよび/または外科用装填ユニット100が実行する外科手技のタイプに固有の動作パラメータである、動作パラメータの別個のセットを有する。動作パラメータは、選択された装填ユニット100をハンドルアセンブリ12に連結すると、ハンドルアセンブリ12のプログラミングに格納された動作パラメータを無効にし得、外科用装填ユニットを動作するためのハンドルアセンブリ12の事前設定プログラミングは、選択された外科用装填ユニット100のメモリ130内に格納された動作パラメータを実行するように、無効にされ、かつ指示される。装填ユニット100の各々は、その中に固有の動作パラメータを格納しているが、外科用装填ユニット100は、同一の構造的構成要素を有し得ることが、企図される。
【0037】
外科用装填ユニット100のメモリ130はまた、外科用装填ユニット100をハンドルアセンブリ12に電気機械的に連結することに応答して、外科用装填ユニット100に関するデータをハンドルアセンブリ12のプロセッサ2に提供するように構成され得る。データは、外科用装填ユニット100のシリアル番号、外科用装填ユニット100のタイプ、外科用装填ユニット100のサイズ、外科用装填ユニット100で使用されるステープルサイズ、外科用装填ユニット100が発射されたかどうかを識別する情報、外科用装填ユニット100の最大使用回数、外科用装填ユニット100の発射ストロークの長さ、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。外科用装填ユニット100の発射ストロークの長さを知ることにより、プロセッサ2は、外科用装填ユニット100の発射をいつ停止するかを決定することができる。発射ストロークは、ステープルラインの長さ、ナイフのカットライン(器具がそれを有する場合)、または単に発射部材の所望の移動端を含み得る。
【0038】
動作において、特定の外科用装填ユニット100は、実行される外科手技のタイプ、および/または動作される組織タイプに応じて選択される。例えば、外科手技が肝臓切除を含む場合、肝臓組織を切除するように仕組まれた動作パラメータを有する外科用装填ユニット100が選択される。肝組織は血管が多く厚いため、肝臓切除用の外科用装填ユニット100は、実行されたときに、感知された組織の厚さに関係なく、高速で一定のステープル発射速度をもたらす命令で事前プログラムされ得る。別のタイプの組織または外科手技が行われる場合、肝臓切除に使用される外科用装填ユニット100の代わりに、適切な動作パラメータを備えた装填ユニットが選択される。
【0039】
選択された外科用装填ユニット100をアダプタアセンブリ14(図1)に連結すると、外科用ステープル留め器具10の動作は、修正される。特に、図4を参照すると、ステップ200において、命令またはプログラムは、外科用装填ユニット100のメモリ130(図2)から、動力式ハンドルアセンブリ12のプロセッサ2(図1)に転送される。ステップ202において、ハンドルアセンブリ12のメモリ4内に格納されたプログラミングは、外科用装填ユニット100のメモリ130の命令で無効にされる。外科用装填ユニット100の命令からの無効がない場合、プロセッサ2によって実行されたときに、ハンドルアセンブリ12のプログラミングは、外科用ステープル留め器具10に、感知された組織厚さに基づいて発射速度を自動的かつ動的に調整させる。
【0040】
ステップ204において、外科用装填ユニットのメモリの命令は、プロセッサ2に、アダプタアセンブリ14またはハンドルアセンブリ12の動作を、事前設定された動作モードから固有の動作モードに変更するように指示する。独特の動作モードは、ハンドルアセンブリ12またはアダプタアセンブリ14がどのように外科用装填ユニット100の機能に影響を与えるかを調整する。例えば、肝臓切除用の外科用装填ユニット100がアダプタアセンブリ14に取り付けられている場合、外科用装填ユニット100からの命令は、外科手技中の出血を最小限に抑えるために、組織の厚さに基づいて、発射速度を調整するのではなく、一定かつ高速でステープルを肝臓組織に発射するようにプロセッサ2に指示する。
【0041】
アダプタアセンブリ14および外科用装填ユニット100に関して記載されているが、異なる外科用装填ユニットで使用するように、および/またはアダプタアセンブリ14で使用するように構成された異なる外科用装填ユニットはまた、ハンドルアセンブリ12で使用することができる。アダプタアセンブリ14および/または動力式ハンドルアセンブリ12で使用可能な他のアダプタアセンブリで使用するように構成された好適な外科用装填ユニットは、内視鏡的胃腸吻合(EGIA)手技を実行するように構成された外科用装填ユニット、例えば、外科用装填ユニット100または多用途装填ユニット(「MULU」)(図示せず)、エンドツーエンド吻合(EEA)手技を実行するように構成された外科用装填ユニット、横方向ステープル装填ユニット、および湾曲装填ユニットを含む。
【0042】
当業者であれば、本明細書において具体的に説明され、添付の図面に例示される器具および方法が非限定的な実施形態であることを理解できるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示または記載される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の例示的な実施形態の要素および特徴と組み合わせることができることが想到される。同様に、当業者は、上述の実施態様に基づく本開示の更なる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、具体的に図示および記述されているものによって限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4