特許 7557290 レール

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-09-18

(45)【発行日】2024-09-27

(54)【発明の名称】レール

(51)【国際特許分類】

   B60P 7/06 20060101AFI20240919BHJP

   B65D 63/16 20060101ALI20240919BHJP

   B60P 7/13 20060101ALI20240919BHJP

【ＦＩ】

B60P7/06 B

B65D63/16 A

B60P7/13

【請求項の数】 6

(21)【出願番号】P 2020103582

(22)【出願日】2020-06-16

(65)【公開番号】P2021195035

(43)【公開日】2021-12-27

【審査請求日】2023-05-22

(73)【特許権者】

【識別番号】594016768

【氏名又は名称】オールセーフ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100118913

【弁理士】

【氏名又は名称】上田 邦生

(74)【代理人】

【識別番号】100142789

【弁理士】

【氏名又は名称】柳 順一郎

(74)【代理人】

【識別番号】100163050

【弁理士】

【氏名又は名称】小栗 眞由美

(74)【代理人】

【識別番号】100201466

【弁理士】

【氏名又は名称】竹内 邦彦

(72)【発明者】

【氏名】安田 繁二

(72)【発明者】

【氏名】工藤 健太郎

【審査官】塚本 英隆

(56)【参考文献】

【文献】実開平０７－００２１３９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００４－１０６６５０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１０－２０２０５１（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平３－９８１５５（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６０Ｐ ７／０６

Ｂ６５Ｄ ６３／１６

Ｂ６０Ｐ ７／１３

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

荷室内の壁面に固定される、金属製の板から成るレールであって、
当該レールにおいて長手方向と直交するレール幅方向の両端に設けられ、前記壁面に固定される一対の被固定部と、
前記一対の被固定部が前記壁面に固定された状態で前記一対の被固定部から各々前記壁面から離れる方向に延びる一対の延設壁と、
前記一対の延設壁を繋ぐ固定具取付壁と、
前記固定具取付壁に設けられた複数の取付孔と、を備え、
前記複数の取付孔の各々は前記レール幅方向に長い孔であり、
前記固定具取付壁における前記複数の取付孔の前記レール幅方向の両端部よりも前記レール幅方向の内側の所定幅範囲に、前記壁面に向かって突出している突出部が形成され、
前記突出部は、当該レールの前記長手方向の全体に亘って形成されている、レール。

【請求項2】

前記固定具取付壁は、前記一対の延設壁から各々前記レール幅方向の内側に向かって延びる一対の取付壁本体と、前記突出部と、を有し、
前記突出部は、
前記固定具取付壁における前記レール幅方向の第１の範囲であり、前記一対の取付壁本体の一方における前記レール幅方向の内側端から前記壁面に向かって延びる第１の突出壁と、
前記固定具取付壁における前記レール幅方向の第２の範囲であり、前記一対の取付壁本体の他方における前記レール幅方向の内側端から前記壁面に向かって延びる第２の突出壁と、
前記固定具取付壁における前記第１の範囲と前記第２の範囲との間の第３の範囲であり、前記第１の突出壁と前記第２の突出壁とを繋ぐ中間壁と、
を有する請求項１に記載のレール。

【請求項3】

前記突出部の前記取付壁本体からの突出量は、前記取付壁本体の板厚の０．５倍以上である、請求項２に記載のレール。

【請求項4】

前記第１の突出壁および前記第２の突出壁は、前記壁面に向かって斜めに延びている、請求項２に記載のレール。

【請求項5】

荷室内の壁面に固定される、金属製の板から成るレールであって、
当該レールにおいて長手方向と直交するレール幅方向の両端に設けられ、前記壁面に固定される一対の被固定部と、
前記一対の被固定部が前記壁面に固定された状態で前記一対の被固定部から各々前記壁面から離れる方向に延びる一対の延設壁と、
前記一対の延設壁を繋ぐ固定具取付壁と、
前記固定具取付壁に設けられた複数の取付孔と、を備え、
前記複数の取付孔の各々は前記レール幅方向に長い孔であり、
前記固定具取付壁における前記複数の取付孔の前記レール幅方向の両端部よりも前記レール幅方向の内側の所定幅範囲に、前記壁面に向かって突出している突出部が形成され、
前記固定具取付壁は、前記一対の延設壁から各々前記レール幅方向の内側に向かって延びる一対の取付壁本体と、前記突出部と、を有し、
前記突出部は、
前記固定具取付壁における前記レール幅方向の第１の範囲であり、前記一対の取付壁本体の一方における前記レール幅方向の内側端から前記壁面に向かって延びる第１の突出壁と、
前記固定具取付壁における前記レール幅方向の第２の範囲であり、前記一対の取付壁本体の他方における前記レール幅方向の内側端から前記壁面に向かって延びる第２の突出壁と、
前記固定具取付壁における前記第１の範囲と前記第２の範囲との間の第３の範囲であり、前記第１の突出壁と前記第２の突出壁とを繋ぐ中間壁と、
を有し、
前記第１の突出壁および前記第２の突出壁は、当該レールにおける前記長手方向の全体に亘って形成されている、レール。

【請求項6】

荷室内の壁面に固定される、金属製のレールであって、
当該レールにおいて長手方向と直交するレール幅方向の両端に設けられ、前記壁面に固定される一対の板状の被固定部と、
前記一対の被固定部が前記壁面に固定された状態で前記一対の被固定部から各々前記壁面から離れる方向に延びる一対の延設壁と、
前記一対の延設壁を繋ぐ板状の固定具取付壁と、
前記固定具取付壁に設けられた複数の取付孔と、を備え、
前記複数の取付孔の各々は前記レール幅方向に長い孔であり、
前記固定具取付壁における前記複数の取付孔の前記レール幅方向の両端部よりも前記レール幅方向の内側の所定幅範囲に、前記壁面に向かって突出している突出部が形成され、
前記突出部は、当該レールの前記長手方向の全体に亘って形成されている、レール。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明はレールに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、固定具が取付けられる複数の取付孔が設けられたレールが知られている。例えば特許文献１を参照されたい。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００３－０７２４５５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

先端に前記固定具を有する固縛ベルトには大きな力が加わるので、レールにおける取付孔の近傍の板厚を薄くできない。一方、前記レールにおける取付孔の近傍は強度向上のためにカール加工が施されているが、当該複雑な加工を厚い鋼板に正確に行うことは容易ではない。
前述の事情に鑑み、加工が容易であり、且つ、取付孔の近傍の強度を向上することができるレールが望まれる。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明の第１の態様は、荷室内の壁面に固定される、アルミニウム等の金属製の板から成るレールであって、当該レールにおいて長手方向と直交するレール幅方向の両端に設けられ、前記壁面に固定される一対の被固定部と、前記一対の被固定部が前記壁面に固定された状態で前記一対の被固定部から各々前記壁面から離れる方向に延びる一対の延設壁と、前記一対の延設壁を繋ぐ固定具取付壁と、前記固定具取付壁に設けられた複数の取付孔と、を備え、前記複数の取付孔の各々は前記レール幅方向に長い孔であり、前記固定具取付壁における前記複数の取付孔の前記レール幅方向の両端部よりも前記レール幅方向の内側の所定幅範囲に、前記壁面に向かって突出している突出部が形成され、前記突出部は、当該レールの前記長手方向の全体に亘って形成されている。
発明の第２の態様は、荷室内の壁面に固定される、金属製のレールであって、当該レールにおいて長手方向と直交するレール幅方向の両端に設けられ、前記壁面に固定される一対の板状の被固定部と、前記一対の被固定部が前記壁面に固定された状態で前記一対の被固定部から各々前記壁面から離れる方向に延びる一対の延設壁と、前記一対の延設壁を繋ぐ板状の固定具取付壁と、前記固定具取付壁に設けられた複数の取付孔と、を備え、前記複数の取付孔の各々は前記レール幅方向に長い孔であり、前記固定具取付壁における前記複数の取付孔の前記レール幅方向の両端部よりも前記レール幅方向の内側の所定幅範囲に、前記壁面に向かって突出している突出部が形成され、前記突出部は、当該レールの前記長手方向の全体に亘って形成されている。

【図面の簡単な説明】

【0006】

【図1】本発明の一実施形態のレールが取付けられたトラックの側面図

【図2】本実施形態のレールの要部正面図

【図3】図２におけるIII－III線断面図

【図4】固定具が取付けられたレールの要部正面図

【図5】図４におけるＶ－Ｖ線断面図

【図6】固定具が取付けられたレールの側面図

【図7】固定具の断面図

【図8】固定具が取付けられた比較例のレールの断面図

【図9】第１変形例のレールの断面図

【図10】第２変形例のレールの断面図

【発明を実施するための形態】

【0007】

一実施形態のレール１０は、図１のように、荷室１の側壁２の壁面２ａに固定される。レール１０が荷室１の他の壁の壁面に固定されてもよい。荷室１は、車両の荷物収容部、コンテナ等である。レール１０にはその長手方向に間隔をおいて複数の取付孔２０が形成されている。

【0008】

本実施形態では、図１のように、レール１０の長手方向および車両前後方向がＸ軸方向と一致しており、レール１０の幅方向が上下方向であるＺ軸方向と一致しており、車両幅方向がＹ軸方向である。

【0009】

レール１０は金属製の板から成る。具体的には、レール１０は、２．５ｍｍ厚、３ｍｍ厚、４ｍｍ厚等の押出成形のアルミニウムの板にプレス成型を施して形成される。プレス成型は、打ち抜き加工等を含む。
レール１０は、図１～図３のように、壁面２ａに固定される一対の被固定部１１を有する。各被固定部１１には複数の取付用の孔１１ａが形成されている。

【0010】

以下、一対の被固定部１１が壁面２ａに固定された状態における説明である。
図２および図３のように、レール１０は、一対の被固定部１１から各々壁面２ａから離れる方向に延びる一対の延設壁１２と、一対の延設壁１２における壁面２ａから離れた端から各々レール幅方向の内側に向かって延びる一対の取付壁本体１３とを有する。本実施形態では各取付壁本体１３はＺ軸方向に延びている。

【0011】

また、レール１０は、一対の取付壁本体１３のうち一方におけるレール幅方向の内側端から壁面２ａに向かって延びる第１の突出壁１４ａと、一対の取付壁本体１３のうち他方におけるレール幅方向の内側端から壁面２ａに向かって延びる第２の突出壁１４ｂとを有する。

【0012】

また、レール１０は、第１の突出壁１４ａの壁面２ａ側の端と第２の突出壁１４ｂの壁面２ａ側の端とを繋ぐ中間壁１５を有する。
本実施形態では、図３のように、壁１３，１４ａ，１４ｂ，１５によって、一対の延設壁１２における壁面２ａから離れた端を繋ぐ固定具取付壁Ｗが形成されている。

【0013】

また、本実施形態では、壁１４ａ，１４ｂ、および１５によって、一対の取付壁本体１３から壁面２ａ側に突出している突出部Ｐが形成されている。
図１および図２のように、被固定部１１、および壁１２，１３，１４ａ，１４ｂ，１５は、各々レール１０の長手方向の全体に亘って形成されている。
第１の突出壁１４ａ，第２の突出壁１４ｂ，および中間壁１５は、それぞれ固定具取付壁Ｗにおけるレール幅方向の第１の範囲、第２の範囲、および第３の範囲である。

【0014】

図３のように、複数の取付孔２０のレール幅方向の両方の端部２０ａよりもレール幅方向の内側の所定幅範囲ＡＲに突出部Ｐが形成されている。なお、取付孔２０はレール幅方向に長い長孔であり、本実施形態では、取付孔２０のＺ軸方向の寸法はＸ軸方向の寸法の３倍以上である。

【0015】

本実施形態では、取付孔２０の端部２０ａから突出部ＰまでのＹ軸方向の距離Ｌ２は２ｍｍ以上である。取付孔２０の端部２０ａから突出部ＰまでのＹ軸方向の距離Ｌ２は、取付壁本体１３の板厚の０．２倍以上であることが好ましい。

【0016】

図４～図６のように、一例では、複数の取付孔２０のうち任意の１つの取付孔２０に、荷物固縛用ベルトが付けられた固定具４０が取付けられる。
固定具４０は、金属製の固定具本体４１と、固定具本体４１に揺動可能に取付けられた揺動部材４２と、を有する。固定具４０のＺ軸方向の両端には、取付孔２０の両端部２０ａに各々係合する一対の係合凹部４３が形成されている。

【0017】

本実施形態では、固定具本体４１は、Ｘ方向に数ｍｍの隙間をおいて配置された一対の金属板４４，４５を有し、一対の金属板４４，４５に係合凹部４３用の切込みが各々形成されている。これにより、一対の金属板４４，４５には、取付壁本体１３に壁面２ａ側から係合する係合部４４ａ，４５ａが形成されている。

【0018】

固定具本体４１の取付孔２０への取付けおよび取外しのために、図７に示す矢印に示す方向に揺動部材４２を揺動可能である。
ベルトは固定具本体４１から車両後方または車両前方に向かって斜めに延びる。この場合、固定具本体４１の孔４１ａの近傍には、図５に示す矢印の方向の力（Ｘ方向の力）が加わり、ベルトに加わる力の方向によっては固定具本体４１をＺ軸方向に倒そうとするＺ方向の力も加わる。

【0019】

図６の場合は、固定具本体４１の一対の金属板４４，４５の一方の金属板４４の係合部４４ａが取付壁本体１３に壁面２ａ側から係合する（第１係合位置）。また、一対の金属板４４，４５の一方の金属板４４が突出部ＰにＸ軸方向に係合する（第２係合位置）。また、一対の金属板４４，４５の他方の金属板４５が取付壁本体１３に壁面２ａと反対側から係合する（第３係合位置）。

【0020】

ここで、レール１０において突出部Ｐが設けられていない比較例のレール１００を図８に示す。レール１００に取付けられた固定具本体４１に前記Ｘ方向の力および前記Ｚ方向の力が加わる時、突出部Ｐが無いので第２係合位置での係合が無い。

【0021】

ここで、係合部４４ａの面積は小さい。また、荷物の重量は数百ｋｇ、数ｔになる場合があり、車両の振動によってベルトに荷物の重量の数倍の力が加わる場合もある。
このため、図８の比較例の場合、第１係合位置において取付壁本体１３が係合部４４ａによって壁面２ａから離れる方向（図８の矢印の方向）に塑性変形する。

【0022】

これに対し、本実施形態では、複数の取付孔２０の両端部２０ａよりもレール幅方向の内側に突出部Ｐが形成されており、第２係合位置において金属板４４が突出部ＰにＸ軸方向に係合する。第２係合位置の係合範囲は比較的大きいので、第１係合位置における取付壁本体１３の塑性変形の可能性が有効に低減される。

【0023】

前記Ｘ方向の力および前記Ｚ方向の力に対して、第３係合位置が支点として機能し、第１係合位置および第２係合位置が作用点として機能すると考えられる。本実施形態では、図３のように、突出部Ｐは取付壁本体１３から壁面２ａ側に２ｍｍ以上突出している。本実施形態では取付壁本体１３の板厚が３．５ｍｍ又は４ｍｍであるため、突出部Ｐの取付壁本体１３からの突出量Ｌ１は取付壁本体１３の板厚の０．５倍以上である。当該構成によって、第２係合位置と第３係合位置との距離が大きくなり、第２係合位置が前記Ｘ方向の力および前記Ｚ方向の力に対して有効に働く。

【0024】

また、本実施形態では、第１の突出壁１４ａおよび第２の突出壁１４ｂは、取付壁本体１３から、壁面２ａおよびレール幅方向の内側に向かって斜めに延びている。当該構成は、前記Ｘ方向の力および前記Ｚ方向の力による第２係合位置の突出部Ｐの変形を防止するために有利である。

【0025】

なお、図９のように、突出部Ｐの中間壁１５に、壁面２ａから離れる方向に突出する逆方向突出部１５ａが形成されてもよい。また、図１０のように、第１の突出壁１４ａおよび第２の突出壁１４ｂが取付壁本体１３に対して垂直方向に延びていてもよい。

【符号の説明】

【0026】

２ａ 壁面
１０ レール
１１ 被固定部
１２ 延設壁
１３ 取付壁本体
１４ａ 第１の突出壁
１４ｂ 第２の突出壁
１５ 中間壁
２０ 取付孔
２０ａ 端部
４０ 固定具
Ｗ 固定具取付壁
Ｐ 突出部
ＡＲ 所定幅範囲

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】