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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】多層型化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/03 20060101AFI20240919BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240919BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240919BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240919BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240919BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240919BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240919BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20240919BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A61K8/03
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/73
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q17/04
A61Q15/00
A61Q5/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020140588
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036396
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】駱 可薇
(72)【発明者】
【氏名】佐野 秀祐
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 匠
(72)【発明者】
【氏名】川口 達也
(72)【発明者】
【氏名】池邉 洋介
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-506665(JP,A)
【文献】特開2004-010517(JP,A)
【文献】特開2001-233729(JP,A)
【文献】特開2002-003339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層型化粧料であって、
(A)HLB値の加重平均が8.5以上となる1種または2種以上の非イオン界面活性剤と、
(B)イオン界面活性剤と、
(C)アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種または2種以上のセルロース誘導体と、
(D)油性成分と、
(E)水と、
を含み、
前記(A)非イオン界面活性剤を化粧料全量に対して0.01~1質量%含み、
前記(B)イオン界面活性剤を化粧料全量に対して0.005~0.5質量%含み、
前記(C)セルロース誘導体は化粧料全量に対して0.01~0.5質量%含み、かつ
前記(D)油性成分を化粧料全量に対して10質量%以上含む、
多層型化粧料。
【請求項2】
前記(B)イオン界面活性剤がアニオン界面活性剤または両性界面活性剤である請求項1記載の多層型化粧料。
【請求項3】
前記(B)イオン界面活性剤がアニオン界面活性剤である請求項2記載の多層型化粧料。
【請求項4】
前記(A)非イオン界面活性剤に対する前記(B)イオン界面活性剤の質量比が0.05~2.5である請求項1、2または3記載の多層型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化層を含む液状の多層型化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層型化粧料は、油層-水層あるいは水層-粉末層のように二層以上の層からなる液状の化粧料で、油分等も配合できることから、単一層では得られないような使用感や洗浄効果といったさまざまな機能を付与することができるという利点を有する。しかし、油層-水層より形成される多層型化粧料の場合、どちらの層も外観がほぼ透明であり、多層型であることが一見して分かりづらいという場合がある。
【0003】
そこで、油分を乳化して乳化粒子を形成させて白濁させ、油分がこの乳化された状態を保ったままの白濁した乳化層と透明の水層とに分離させることで、多層型であることが明確な化粧料が提案されている(特許文献1、2)。これらの特許文献に記載されている多層型化粧料は、界面活性剤を配合し乳化層を形成させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3794542号公報
【文献】特開2002-3339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、一時的に乳化した油分は、静置後時間とともに徐々に乳化粒子が合一して大きな油滴となって上部に集まり、一部透明な油層を形成して外観が不均一な多層型化粧料となってしまう。上記特許文献に記載された多層型化粧料は乳化粒子が合一しにくく安定性も一定のレベルにあるものであるが、さらなる改良、とりわけ温度変化における乳化粒子の安定性の向上が期待される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、乳化粒子の安定性、特に高温安定性や凍結安定性が高く、乳化層と水層の分離が早い多層型化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多層型化粧料は、
(A)HLB値の加重平均が8.5以上となる1種または2種以上の非イオン界面活性剤と、
(B)イオン界面活性剤と、
(C)アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種または2種以上のセルロース誘導体と、
(D)油性成分と、
(E)水と、
を含むものである。
【0008】
(B)イオン界面活性剤はアニオン界面活性剤または両性界面活性剤であることが好ましい。
【0009】
(B)イオン界面活性剤はアニオン界面活性剤であることがより好ましい。
【0010】
(A)非イオン界面活性剤に対する(B)イオン界面活性剤の質量比は0.05~2.5であることが好ましい。
【0011】
(A)非イオン界面活性剤は化粧料全量に対して0.01~1質量%含むことが好ましい。
【0012】
(B)イオン界面活性剤は化粧料全量に対して0.005~0.5質量%含むことが好ましい。
【0013】
(D)油性成分は化粧料全量に対して10質量%以上含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の多層型化粧料は、
(A)HLB値の加重平均が8.5以上となる1種または2種以上の非イオン界面活性剤と、
(B)イオン界面活性剤と、
(C)アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種または2種以上のセルロース誘導体と、
(D)油性成分と、
(E)水と、
を含むので、乳化粒子の安定性、特に高温安定性や凍結安定性が高く、乳化層と水層の分離が早いものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の多層型化粧料について詳細に説明する。
本発明の多層型化粧料(以下、単に化粧料ともいう)は、
(A)HLB値の加重平均が8.5以上となる1種または2種以上の非イオン界面活性剤と、
(B)イオン界面活性剤と、
(C)アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種または2種以上のセルロース誘導体と、
(D)油性成分と、
(E)水と、
を含むものである。
【0016】
以下、各成分について詳細に説明する。なお、本明細書において、PEGはポリエチレングリコール、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイド、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略である。
【0017】
(A)HLB値の加重平均が8.5以上となる1種または2種以上の非イオン界面活性剤
本発明に用いる(A)非イオン界面活性剤は、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値の加重平均が8.5以上となれば1種を単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。HLBとは、一般に界面活性剤の水および油への親和性を示す値であって、親水性-親油性バランスとして知られているパラメーターであり、例えば、グリフィン法等の公知の計算法により求めることができる。HLB値の加重平均が8.5以上であることで、油分を乳化して乳化粒子の安定性を向上させることができる。HLB値の加重平均は、より好ましくは8.5以上18以下、さらには9以上14以下であることが望ましい。非イオン界面活性剤の中でも、本発明の多層型化粧料において乳化安定性がより高いという観点から親水性非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
【0018】
具体的には、親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);ポリグリセリン脂肪酸類(例えば、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油・POE-硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
より好ましい例としては、POE-グリセリン脂肪酸エステル類である、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、ステアリン酸PEG-5グリセリルが挙げられる。
【0019】
一方、親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、EO基の付加数が少ない、および/または脂肪酸残基の数が多いために低HLBとなっているPOE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、ジステアリン酸PEG-6、ジイソステアリン酸PEG-12等)、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);EO基の付加数が少なく、低HLBとなっているPOE-ヒマシ油・POE-硬化ヒマシ油誘導体(例えば、PEG-10水添ヒマシ油等)、硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
より好ましい例としては、PEG-10水添ヒマシ油、ジステアリン酸PEG-6、ジイソステアリン酸PEG-12等が挙げられる。
【0020】
(A)非イオン界面活性剤の配合量は、HLB値の加重平均が8.5以上となれば特に限定されるものではないが、化粧料全量に対して、0.01~1質量%が好ましく、さらに好ましくは0.05~0.5質量%である。非イオン界面活性剤の配合量が0.01質量%以上であることで、乳化安定性をより向上させることができ、1質量%以下であることで、乳化粒子の安定性をより保ちながらも、肌に適用したときのべたつきを抑えることができる。
【0021】
(B)イオン界面活性剤
本発明に用いる(B)イオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられるが、乳化安定性がより高いという観点から、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤がより好ましい。
【0022】
(アニオン界面活性剤)
アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテル酢酸等のカルボン酸塩型、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸型、高級アルコール硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型等が挙げられる。より好ましい例としては、ステアロイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、パルミトイルメチルタウリンNa等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩が挙げられる。
【0023】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、アミドアミノ酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤の中でも、汎用性の観点からアルキルベタインを用いることがより好ましい。
【0024】
アルキルベタインとしては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。アルキルアミドベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。アルキルスルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等が挙げられる。アルキルヒドロキシスルホベタインとしては、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、ラウリルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。イミダゾリン型両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0025】
(B)イオン界面活性剤は化粧料全量に対して0.005~0.5質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.008~0.2質量%であることが望ましい。(B)イオン界面活性剤は化粧料全量に対して0.005質量%以上であることで、乳化安定性をより向上させることができ、0.5質量%以下であることで、乳化粒子の安定性をより保ちながらも、肌に適用したときのべたつきを抑えることができる。
【0026】
(A)非イオン界面活性剤に対する(B)イオン界面活性剤の質量比は選択する界面活性剤の種類等にもよるが、0.05~2.5であることが好ましく、より好ましくは0.08~1.5であることが望ましい。(A)非イオン界面活性剤に対する(B)イオン界面活性剤の質量比が0.05以上であることで乳化安定性をより向上させることができ、2.5以下であることで、乳化粒子の安定性をより保ちながらも、肌に適用した際のべたつきを抑えることができる。
【0027】
(C)アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種または2種以上のセルロース誘導体
本発明に用いる(C)アルキルセルロース類およびヒドロキシアルキルセルロース類から選択される1種または2種以上のセルロース誘導体(以下、単にセルロース誘導体ともいう)は、セルロース骨格を有するポリマーの水酸基をアルキル基またはヒドロキシアルキル基で変性(置換)したものであり、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース類、カルボキシメチル変性された、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類が挙げられる。また、これらのアルカリ金属塩であってもよい。
【0028】
(C)セルロース誘導体は化粧料全量に対して0.01~0.5質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.03~0.3質量%、さらに0.05~0.25質量%であることが望ましい。(C)セルロース誘導体は化粧料全量に対して0.01質量%以上であることで、乳化層と水層の分離をより早くすることができ、0.5質量%以下であることで、乳化層と水層の分離速度を早めながらも、肌に適用した時のぬるつきをより抑えることができる。
【0029】
(D)油性成分
本発明に用いる(D)油性成分は、特に限定されるものではなく、極性油、シリコーン油、非極性油等の液状油分、固形油分、半固形油分等のいずれを用いてもよい。本発明の多層型化粧料は油性成分を化粧料全量に対して10質量%以上含んでいてもよい。通常、油性成分は乳化を不安定にする方向に働くが、本発明の多層型化粧料は安定性が極めて高いため油性成分を高配合することができる。油性成分は化粧料全量に対して、10~30質量%であってよく、より好ましくは10~25質量%、さらに10~20質量%であってよい。30質量%以下であることで、乳化安定性をより向上させることができる。
【0030】
極性油としては通常、化粧品、医薬品、食品で用いられるものであれば特に限定されるものでない。IOB値は、特に限定されるものではないが、0.05~0.80であることが好ましい。
なお、IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、
IOB値=無機性値/有機性値
として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子または官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子および官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁~第725頁、1957年参照)。
【0031】
極性油の代表例としては、エステル油および紫外線吸収剤が挙げられる。
エステル油の具体例としては、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリエチルヘキサノイン(トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン)、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、一般に化粧料に用いられる高極性の油性紫外線吸収剤を広く挙げることができ、特に限定されるものでない。例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、4,4-ジアリールブタジエン誘導体等が例示される。以下に具体例および商品名等を列挙するが、これらの限定されるものではない。
【0033】
安息香酸誘導体としては、パラ-アミノ安息香酸(PABA)エチル、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA( 例えば「エスカロール507」;ISP社)、グリセリルPABA、PEG-25-PABA(例えば「ユビナールP25」;BASF社)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(例えば「ユビナールAプラス」)等が例示される。
【0034】
サリチル酸誘導体としては、ホモサレート(「ユーソレックス(Eusolex)HMS」; ロナ/EMインダストリーズ社) 、エチルヘキシルサリチレート(例えば「ネオ・ヘリオパン(NeoHeliopan)OS」; ハーマン・アンド・レイマー社)、ジプロピレングリコールサリチレート(例えば「ディピサル(Dipsal)」; スケル社)、TEAサリチラート(例えば「ネオ・ヘリオパンTS」;ハーマン・アンド・レイマー社) 等が例示される。
【0035】
ケイ皮酸誘導体としては、オクチルメトキシシンナメートまたはメトキシケイ皮酸エチルヘキシル( 例えば「パルソールMCX」;ホフマン-ラ・ロシュ社)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル(例えば「ネオ・ヘリオパンE1000」; ハーマン・アンド・レイマー社)、シンノキセート、DEAメトキシシンナメート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、グリセリル-エチルヘキサノエート-ジメトキシシンナメート、ジ-(2-エチルヘキシル)-4'-メトキシベンザルマロネート等が例示される。
ジベンゾイルメタン誘導体としては、4-tert-ブチル-4’ -メトキシジベンゾイルメタン(例えば「パルソール1789」)等が例示される。
【0036】
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体としては、オクトクリレン( 例えば「ユビナールN539」; BASF社)等が例示される。
ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン-1(例えば「ユビナール400」;BASF社)、ベンゾフェノン-2(例えば「ユビナールD50」;BASF社)、ベンゾフェノン-3またはオキシベンゾン(例えば「ユビナールM40」;BASF社)、ベンゾフェノン-4(例えば「ユビナールMS40」;BASF社)、ベンゾフェノン-5、ベンゾフェノン-6(例えば「ヘリソーブ(Helisorb)11」;ノルクアイ社)、ベンゾフェノン-8 (例えば「スペクトラ-ソーブ(Spectra-Sorb)UV-24」;アメリカン・シアナミド社)、ベンゾフェノン-9(例えば「ユビナールDS-49」;BASF社)、ベンゾフェノン-12等が例示される。
【0037】
ベンジリデンショウノウ誘導体としては、3-ベンジリデンショウノウ( 例えば「メギゾリル(Mexoryl)SD」;シメックス社)、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸(例えば「メギゾリルSL」;シメックス社)、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム(例えば「メギゾリルSO」;シメックス社)、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸(例えば「メギゾリルSX」;シメックス社)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ(例えば「メギゾリルSW」;シメックス社)等が例示される。
フェニルベンゾイミダゾール誘導体としては、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(例えば「ユーソレックス232」;メルク社)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム( 例えば「ネオ・ヘリオパンAP」;ハーマン・アンド・レイマー社)等が例示される。
【0038】
トリアジン誘導体としては、アニソトリアジン(例えば「チノソーブ(Tinosorb)S」; チバ・スペシャリティー・ケミカルズ 社)、エチルヘキシルトリアゾン(例えば「ユビナールT150」;BASF社)、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン(例えば「ユバソーブ(Uvasorb)HEB」;シグマ3 V社)、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン等が例示される。
【0039】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、ドロメトリゾールトリシロキサン(例えば「シラトリゾール(Silatrizole)」; ローディア・シミー社)、メチレンビス( ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)(例えば「チノソーブM」( チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社))等が例示される。
【0040】
アントラニル誘導体としては、アントラニル酸メンチル( 例えば「ネオ・ヘリオパンMA」;ハーマン・アンド・レイマー社) 等が例示される。
イミダゾリン誘導体としては、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート等が例示される。
【0041】
ベンザルマロナート誘導体としては、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン(例えば、ポリシリコーン-15;「パルソールSLX」;DSMニュートリション ジャパン社)等が例示される。
4,4-ジアリールブタジエン誘導体としては、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン等が例示される。
極性油は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン油、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油等が挙げられる。
【0043】
非極性油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソヘキサデカン等の炭化水素油等が挙げられる。
【0044】
固形油分としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油等の固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、フィッシャートロプスワックス等の炭化水素類、ミツロウ、カルナバワックス、キャンデリラロウ、米ぬかロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸等の高級脂肪酸等が挙げられる。
【0045】
半固形油分としては、例えば、ワセリン、ラノリン、シア脂、部分水添ヤシ油等の植物脂、部分水添ホホバ油、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、マカデミアナッツ油ポリグリセリル-6-エステルズベヘネート、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等が挙げられる。
【0046】
(E)水
水はイオン交換水や精製水であってよい。
(E)水の配合量は多層型化粧料の製品形態にもよるが、化粧料全量に対し、40~95質量%であることが好ましく、より好ましくは55~90質量%、さらには60~85質量%であることが望ましい。
【0047】
本発明の多層型化粧料には、本発明の効果を損なわない限り、上記必須成分に加えて、任意の成分を配合することができる。通常、化粧料に配合される成分を添加して常法により任意の化粧料を製造することができる。任意の成分としては、保湿剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤等が挙げられる。
【0048】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、d,l-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO((エチレンオキシド)プロピレンオキシド)付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、トレハロース、エリスリトール、POE・POPランダム共重合体メチルエーテル等が挙げられる。
【0049】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3 ナトリウム等が挙げられる。
ビタミンとしては、例えば、ビタミンA 、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0050】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0051】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0052】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン、トラネキサム酸、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、L-アスコルビン酸グルコシド、4-メトキシサリチル酸カリウム等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等);賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤等が挙げられる。
【0053】
本発明の多層型化粧料の製品形態としては、特に限定されないが、例えば、クレンジング化粧料、ファンデーション等のメ-キャップ化粧料、化粧下地、サンスクリーン、スキンケア化粧料、ボディ用化粧料、制汗用化粧料、毛髪化粧料等を挙げることができる。
【実施例
【0054】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によってなんら限定されるものでない。配合量は特に断りがない限り質量%である。
下記表1~3に挙げた成分を、常法により調製し、多層型化粧料を製造した。評価の詳細は以下のとおりである。
【0055】
(平均乳化粒子径の測定)
製造直後の化粧料の乳化層の任意に選んだ乳化粒子100個の直径を顕微鏡にて測定し、その平均値を平均乳化粒子径(平均粒径)とした。
【0056】
(乳化粒子の肥大化:高温安定性)
製造後45℃条件で1か月保存後の化粧料の乳化層の乳化粒子を、上記と同様に顕微鏡で測定して平均乳化粒子径を求め、以下の基準で評価した。
A:製造直後の平均粒径から45℃1か月保存後の平均粒径の変化が全く起きない
B:製造直後の平均粒径から45℃1か月保存後の平均粒径の変化率が0%より大きく150%以下
C:製造直後の平均粒径から45℃1か月保存後の平均粒径の変化率が150%より大きい
【0057】
(乳化粒子の肥大化:凍結安定性)
製造後-20℃条件で3日保存後に常温に戻して解凍した後、化粧料の乳化層の乳化粒子を、上記と同様に顕微鏡で測定して平均乳化粒子径を求め、以下の基準で評価した。
A:製造直後の平均粒径から凍結解凍後の平均粒径の変化が全く起きない
B:製造直後の平均粒径から凍結解凍後の平均粒径の変化率が0%より大きく150%以下
C:製造直後の平均粒径から凍結解凍後の平均粒径の変化率が150%より大きい
【0058】
(製剤の外観)
調整した化粧料について、製造直後の化粧料、45℃条件で1か月保存後の化粧料、-20℃条件で3日保存後の化粧料、それぞれを振盪してから8時間静置し、以下の基準で評価した。
A:上層が乳化層で白濁、下層が水層で透明となり、2層にきれいに分離している
C:2層にならず系全体が白濁している
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
表1に示すように、実施例1および2(実施例2は実施例1の(A)非イオン界面活性剤を10倍量としたもの)の多層型化粧料は、乳化層と水層の分離が早く、高温安定性、凍結安定性に優れていた。一方、比較例1は(B)イオン界面活性剤を含まないもの、比較例2は(C)セルロース誘導体を含まないものであるが、これらはいずれも乳化層と水層の分離が悪く、比較例1では凍結解凍時に乳化粒子の肥大化が認められた。比較例3は(A)非イオン界面活性剤を含むが加重平均HLBが8.5に満たないものであるが、この場合は乳化層と水層の分離は早かったものの、凍結解凍時に乳化粒子の肥大化が認められた。比較例4は(C)セルロース誘導体の代わりにポリエチレングリコールを配合した例であるが、この場合は、乳化層と水層の分離が悪く、凍結解凍時に乳化粒子の肥大化が認められた。
【0063】
表2の実施例3~10は(A)非イオン界面活性剤のHLBを変更したものであるが、加重平均HLBが8.5に満たない比較例3に比べて、凍結安定性に優れていた。
【0064】
表3の実施例11および12は(A)非イオン界面活性剤の種類を変更したもの、実施例13はおよび14は(B)イオン界面活性剤を両性界面活性剤に変更したもの、実施例15は(B)イオン界面活性剤(ステアロイルメチルタウリンナトリウム)を増量したもの、実施例16および17は乳化安定性を下げる方向に働くアルコールを添加したものであるが、いずれの例も乳化層と水層の分離が早く、高温安定性、凍結安定性に優れていた。なお、表には記載していないが、実施例1において、(C)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウムをヒドロキシプロピルメチルセルロースに変更した場合も、製造直後で2層の分離を観察したところ、2層にきれいに分離していた。