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特許7557311振動発電デバイス、センサモジュールおよび製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】振動発電デバイス、センサモジュールおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/18 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
H02N2/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020142106
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037788
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】北山 賢
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智昭
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123629(JP,A)
【文献】特開2013-158118(JP,A)
【文献】特開2006-246688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の平面に平行な方向に延在する複数の梁部と、
前記複数の梁部のそれぞれの中心に配置される錘と、
前記複数の梁部のそれぞれに設けられる圧電部と、
記平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って、前記複数の梁部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部から該固定部に固定する梁部の延在方向に沿った前記錘の反対側に、窪が形成されており、
前記梁部は、前記窪方向に折れ曲がって陥凹してい、振動発電デバイス。
【請求項2】
単一の平面に平行な方向に延在する複数の梁部と、
前記複数の梁部のそれぞれの中心に配置される錘と、
前記複数の梁部のそれぞれに設けられる圧電部と、
前記複数の梁部のそれぞれにおいて、
前記錘は、前記梁部のみで支えられており、
記平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って、前記複数の梁部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部から該固定部に固定する梁部の延在方向に沿った前記錘の反対側に、窪が形成されており、
前記梁部は、前記窪方向に折れ曲がって陥凹してい、振動発電デバイス。
【請求項3】
単一の平面に平行な方向に延在する複数の梁部と、
前記梁部のみで支えられる錘と、
前記複数の梁部のそれぞれに設けられる圧電部と、
記平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って、前記複数の梁部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部から該固定部に固定する梁部の延在方向に沿った前記錘の反対側に、窪が形成されており、
前記梁部は、前記窪方向に折れ曲がって陥凹してい、振動発電デバイス。
【請求項4】
単一の平面に平行な方向に延在する複数の梁部と、
前記複数の梁部のそれぞれの中心に配置される錘と、
前記複数の梁部のそれぞれに設けられる圧電部と、
前記複数の梁部のそれぞれに配置された錘は、同一の錘であり、
記平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って、前記複数の梁部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部から該固定部に固定する梁部の延在方向に沿った前記錘の反対側に、窪が形成されており、
前記梁部は、前記窪方向に折れ曲がって陥凹してい、振動発電デバイス。
【請求項5】
前記固定部は、前記平面に垂直に突出する固定片を有し、
前記梁部には、前記固定片が挿通する孔部が形成される、請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動発電デバイス。
【請求項6】
前記固定部及び前記梁部は、互いに該梁部の延在方向に掛合する掛合部を有する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動発電デバイス。
【請求項7】
前記固定部は、前記平面に垂直な方向を軸にした周方向に沿って断続し、前記固定部をそれぞれ有する複数の支持柱を含み、
前記複数の梁部に設けられる複数の圧電部の少なくとも一部は、前記支持柱及び前記支持柱を固定する基台に設けられる配線を介して、直列または並列に接続されている、請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動発電デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の振動発電デバイスと、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動するセンサと、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、外部機器と通信する通信部と、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、前記センサおよび前記通信部を制御するコントローラと、を備えるセンサモジュール。
【請求項9】
橋、電車、車両、発電所、屋外機械装置又は工場装置で用いられる、請求項に記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発電デバイス、センサモジュールおよび製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IoTの普及により、対象物の多様な状態を検出して、さらには通信により検出データを送信するセンサモジュールの用途が増大するものと考えられる。このようなセンサモジュールを駆動するための電力エネルギーを、周囲環境から発生させることが検討されている。例えば、タイヤに設けられるセンサモジュールにおいて、遠心力および接地時のタイヤの変形に起因する押圧力により、ピエゾ圧電素子の変形を繰返すことにより電力を発生させるエネルギー発生装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-515616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエネルギー発生装置の発電量は、センサモジュールなどの駆動には不十分であった。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、発電量を増大させる振動発電デバイス、センサモジュールおよび製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による振動発電デバイスは、
単一の平面に平行な方向に延在する複数の梁部と、
前記複数の梁部のそれぞれの中心に配置された錘と、
前記複数の梁部のそれぞれに設けられる圧電部と、
記平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って、前記複数の梁部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部から該固定部に固定する梁部の延在方向に沿った前記錘の反対側に、窪が形成されており、
前記梁部は、前記窪方向に折れ曲がって陥凹してい
【0007】
第2の観点によるセンサモジュールは、
単一の平面に平行な方向に延在する複数の梁部と、
前記複数の梁部のそれぞれの中心に配置された錘と、
前記複数の梁部のそれぞれに設けられる圧電部と、
記平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って、前記複数の梁部を固定する固定部と、を備え、
前記固定部から該固定部に固定する梁部の延在方向に沿った前記錘の反対側に、窪が形成されており、
前記梁部は、前記窪方向に折れ曲がって陥凹してい、振動発電デバイスと、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動するセンサと、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、外部機器と通信する通信部と、
前記振動発電デバイスから供給される電力で駆動し、前記センサおよび前記通信部を制御するコントローラと、を備える。
【0008】
第3の観点による振動発電デバイスの製造方法は、
複数の梁部を平面上で放射状に延在させて、各梁部のそれぞれの中心に錘を配置する工程と、各梁部のそれぞれに圧電部を配置する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本開示に係る振動発電デバイス、センサモジュールおよび製造方法によれば、発電量が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る振動発電デバイスを含むセンサモジュールの概略構成を示す機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係る振動発電デバイスの振動方向に沿った断面図である。
図3図2の振動発電デバイスから固定具および押込み片を除いて基台とは逆側から見た上面図である。
図4図2の振動発電デバイスの製造方法における、梁部を一次的に固定する工程を説明するための、製造中間物の断面図である。
図5図2の振動発電デバイスの製造方法における、梁部に張力を加える工程を説明するための、製造中間物の断面図である。
図6図2の振動発電デバイスの変形例の製造方法における、梁部に張力を加える工程を説明するための、製造中間物の断面図である。
図7図2の振動発電デバイスの変形例の製造方法における、梁部に張力を加えながら梁部を固定する工程を説明するための、製造中間物の断面図である。
図8図2の振動発電デバイスの変形例の製造方法における、梁部の固定後に、梁部がはみ出した部分を切断する工程を説明するための、製造中間物の断面図である。
図9図2の振動発電デバイスの別の変形例、及び梁部を固定部の支持から解放した状態を並べた、振動方向に沿った断面図である。
図10図2の振動発電デバイスの別の変形例、及び梁部を固定部の支持から解放した状態を並べた、振動方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を適用した振動発電デバイスの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る振動発電デバイス10を含むセンサモジュール11は、センサ12、通信部13、コントローラ14および振動発電デバイス10を含んで構成される。センサモジュール11は、外部からの電力の供給を受けずに、多様な状態を検出し、検出結果として外部機器に送信する。センサモジュール11は、例えば、橋、電車、車両、発電所、屋外機械装置又は工場装置などにおいて用いられる。
【0013】
センサ12は、例えば、振動センサ、温度センサおよび圧力センサなどの任意の対象物の任意の状態を検出する。センサ12は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
【0014】
通信部13は、ネットワークを介して外部機器と通信する通信モジュールを含む。通信部13は、例えば、センサ12が検出した任意の状態を示す検出値を信号として外部機器に送信する。通信部13は、外部機器から指令を受信してコントローラ14に送信してよい。通信部13は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
【0015】
コントローラ14は、1以上のプロセッサおよびメモリを含む。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、および特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。コントローラ14は、1つまたは複数のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、およびSiP(System In a Package)のいずれかであってもよい。コントローラ14は、センサ12および通信部13の動作を制御する。コントローラ14は、振動発電デバイス10から供給される電力で駆動する。
【0016】
図2に示すように、振動発電デバイス10は、錘15、複数の梁部16、圧電部18および固定部17を含んで構成される。
【0017】
錘15は、慣性力を与えることにより、後述するように固定部17に支持される梁部16の振動を増大させる。錘15は、梁部16に対して、振動させる方向として定められた振動方向側の面に設けられてよい。錘15は、梁部16における、当該振動方向に沿った両面に設けられてよい。
【0018】
図3に示すように、複数の梁部16それぞれは、錘15から異なる複数の方向に向かって延在する。本実施形態においては、8つの梁部16が、錘15から延在する。複数の梁部16の中の2つの梁部16が、錘15から互いに逆方向に直線状に延在してよい。複数の梁部16は、単一の部材であってよい。図2に示すように、複数の梁部16がそれぞれ延在する複数の方向は、単一の仮想平面(平面)に平行である。さらに具体的には、複数の梁部16は単一の仮想平面に沿って複数の方向に延在してよい。
【0019】
梁部16における、振動方向、言換えると、前述の仮想平面に垂直な方向に沿った厚みは、幅よりも短くてよい。具体的には、梁部16は薄板状であり、板面が振動方向に垂直であってよい。
【0020】
梁部16は、例えば、SUSなどの金属により形成されてよい。
【0021】
圧電部18は、複数の梁部16それぞれに設けられる。圧電部18は、梁部16の振動により応力が生じる位置に配置されてよい。圧電部18は、梁部16の有する平面上に配置されてよい。圧電部18は、梁部16における振動方向側の面に設けられてよい。複数の圧電部18が、梁部16の延在する方向に沿って並ぶように設けられてよい。複数の圧電部18が、梁部16の振動方向の両側の面に設けられてよい。
【0022】
圧電部18は、梁部16側から順に積層された絶縁膜、第1の電極、圧電膜、及び第2の電極を含んで構成される。梁部16が振動により変形すると、圧電部18は、梁部16と共に変形する。これにより、梁部16が振動すると、圧電部18内の圧電膜に応力が加えられ、圧電膜の圧電効果によりこの応力が電力に変換される。圧電膜で生成された電力は、第1の電極及び第2の電極を介して、振動発電デバイス10の外部に出力される。
【0023】
固定部17は、振動方向に錘15を振動可能になるように錘15を、基台19から浮遊させた状態で、複数の梁部16を支持する。基台19は、後述する支持柱20を固定する。図3に示すように、固定部17は、振動方向、言換えると、前述の仮想平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿って並ぶ複数の固定領域FRを有する。本実施形態においては、固定部17は、それぞれに固定領域FRが設けられる複数の支持柱20を有する。複数の支持柱20は、前述の仮想平面に垂直な方向を軸にした周方向に沿って断続してよい。
【0024】
固定部17は、錘15および圧電部18が複数の固定領域FRに囲まれるように位置させた状態で、複数の固定領域FRそれぞれにおいて複数の梁部16を、複数の梁部16への張力を維持したまま固定する。したがって、錘15から固定領域FRに向かう張力が各梁部16に加えられた状態が維持されている。複数の梁部16への張力を維持した状態とは、振動発電デバイス10において圧電素子が圧電可能な状態に張った状態を意味してもよい。錘15が仮想平面に対して垂直運動しかしないように張った状態を意味してもよい。
【0025】
梁部16には、多様な方法により張力が加えられている。本実施形態においては、以下に説明するように、張力が加えられている。
【0026】
本実施形態において、張力を加えるために、固定部17には、固定領域FRから当該固定領域FRに固定する梁部16の延在方向に沿った錘15の反対側に、窪21が形成されている。窪21は、梁部16の延在方向に垂直な方向に沿って延びる溝状であってよい。固定部17には、窪21から、延在方向に沿った錘15の反対側に、仮固定領域tFRが設けられる。
【0027】
上述の本実施形態の固定部17において、各梁部16の先端が固定領域FRに位置するように、前述の仮想平面上に放射状に延在させる。各梁部16の錘15とは反対側の端が仮固定領域tFRに一次的に固定される。固定は、任意の固定方法によって行われてよい。図4に示すように、例えば、ネジなどの固定具22を用いて梁部16の端部が固定されてよい。
【0028】
図5に示すように、梁部16の端部を固定した状態で、梁部16における窪21を覆う部分が、梁部16の延在方向に垂直な方向から、押込片23により窪21に押込まれる。押し込みにより、梁部16は窪21に陥凹する。梁部16の端部が固定された状態で、梁部16の窪21を覆う部分を陥凹させることにより、梁部16の延在方向に張力が加えられる。
【0029】
図2に示すように、梁部16に加える張力を維持したまま、梁部16における延在方向に沿った窪21を覆う部分よりも錘15側の部分が、梁部16が延在する方向に位置する固定領域FRにおいて固定部17に固定される。固定は、任意の方法によって行われてよい。例えば、固定具24を用いて梁部16が固定されてよい。固定具24は、例えば、複数の固定領域FRに対向するように位置する押圧片25、および固定部17に係止可能な本体26を有する。固定具24は、本体26を固定部17に係止することにより、押圧片25と固定領域FRとの間に梁部16を挟持させる。
【0030】
支持柱20には、梁部16に設けられる圧電部18の少なくとも一部に接続するために配線27が配置されている。図3に示すように、各支持柱20に形成される配線27は、基台19に配置される配線28に電気的に接続されている。複数の梁部16に設けられる複数の圧電部18の少なくとも一部は、支持柱20に設けられる配線27および基台19に設けられる配線28を介して、並列接続されている。本実施形態では、各梁部16の固定領域FR側の圧電部18が、支持柱20に設けられる配線27および基台19に設けられる配線28を介して、並列接続されている。なお、各梁部16の錘15側の圧電部18は、他の梁部16と交差する錘15近傍において梁部16に設けられる配線によって直列または並列に接続されてよい。
【0031】
固定部17は、剛性の大きな部材で形成されることが好まく、例えば、Feなどの金属単体、Fe、Ni、Crなどを含む合金、SUS、又は樹脂などの非金属の物質によって形成されてよい。
【0032】
以上のような構成の本実施形態の振動発電デバイス10は、錘15から単一仮想平面に平行な複数の方向に向かって延在し、圧電部18がそれぞれに設けられる複数の梁部16と、仮想平面に垂直な方向を軸とする周方向に沿った複数の固定領域FRそれぞれにおいて複数の梁部16を、錘15および圧電部18が複数の固定領域FRに囲まれるように位置させた状態で、当該複数の梁部16への張力を維持したまま固定する固定部17とを有する。錘から周囲に延びる梁部を別々に固定する構成においては、錘により梁部が鉛直下方に撓みやすい。当該構成において、未振動時に梁部が撓んでいると、振動時における発電力が減少する。一方で上述の構成を有する本実施形態の振動発電デバイス10は、固定部17が複数の梁部16への張力を維持しているので、撓みを低減する。したがって、振動発電デバイス10は、梁部16の撓みが低減するので、発電量を増大させ得る。
【0033】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0034】
例えば、本実施形態において、梁部16は、錘15とは反対側の端を仮固定領域tFRに一次的に固定した状態で、梁部16の窪21を覆う部分を、押込片23を用いて押込むことにより、梁部16に張力を加えている。しかし、梁部16に張力を加える方法は、実施形態の方法に限定されない。例えば、以下に説明する方法によっても、梁部16に延在方向に沿った張力が加えられ得る。
【0035】
図6に示すように、製造前の梁部16は、仮想平面上で放射状に延在させた方向に位置する固定領域FRからはみ出す長さである。製造前の梁部16が延在方向に沿った錘15の反対側に引張られることにより、製造前の梁部16に張力が加えられる。図7に示すように、梁部16に加える張力を維持したまま、梁部16における固定領域FRを覆う部分が、固定部17に固定される。固定は、任意の方法によって行われてよい。例えば、本実施形態と類似して、固定具24を用いて梁部16が固定されてよい。固定後に、図8に示すように、固定部17からはみ出した、梁部16の部分が切断されてよい。
【0036】
また、例えば、図9に示すように、固定領域FRに形成される固定片28を、梁部16に形成される孔部HLに挿通させることにより、延在方向に沿った張力が梁部16に加えられてよい。固定片28は、仮想平面に垂直に突出する。固定片28の先端は、錘15から固定片28に向かう方向の外側に傾斜していてよい。固定片28の先端は、例えば半球面状であってよい。固定部17による支持から梁部16を外した状態における、錘15から孔部HLを画定する内面の外側までの距離が、固定部17に支持された状態よりも短くてよい。例えば、錘15から孔部HLに向かう方向外側の固定片28の外面までの距離を、固定部17による支持から梁部16を外した状態における、錘15から孔部HLを画定する内面の外側までの距離より長くすることにより、上述の構成となり得る。
【0037】
また、例えば、図10に示すように、梁部16の掛合部29に、当該梁部16の延在方向に掛合する掛合部30を固定領域FRに形成することにより、延在方向に沿った張力が梁部16に加えられてよい。固定部17による支持から梁部16を外した状態における、錘15から掛合部29までの距離が、固定部17に支持された状態よりも短くてよい。例えば、錘15から掛合部30までの距離を、固定部17による支持から梁部16を外した状態における、錘15から掛合部29までの距離より長くすることにより、上述の構成となり得る。錘15から掛合部30までの距離とは、掛合部30において、掛合部29から錘15に向かう方向に押圧を受ける点と錘15との間の距離である。錘15から掛合部29までの距離とは、掛合部29において、掛合部30から錘15に向かう方向とは反対方向に押圧を受ける点と錘15との間の距離である。
【符号の説明】
【0038】
10 発電振動デバイス
11 センサモジュール
12 センサ
13 通信部
14 コントローラ
15 錘
16 梁部
17 固定部
18 圧電部
19 基台
20 支持柱
21 窪
22 固定具
23 押込片
24 固定具
25 押圧片
26 本体
27 配線
28 固定片
29 掛合部
30 掛合部
HL 孔部
FR 固定領域
tFR 仮固定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10