(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A47C27/00 C
(21)【出願番号】P 2020165148
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】505290531
【氏名又は名称】株式会社エアウィーヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】野本 学
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-039660(JP,U)
【文献】特開2020-141784(JP,A)
【文献】特開平09-065953(JP,A)
【文献】特開2005-246048(JP,A)
【文献】特開2006-204887(JP,A)
【文献】特開2011-218227(JP,A)
【文献】特開2011-235169(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第29710226(DE,U)
【文献】米国特許第04970742(US,A)
【文献】国際公開第2016/110766(WO,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0003940(KR,U)
【文献】特開2001-161506(JP,A)
【文献】実開昭60-020858(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0001891(KR,U)
【文献】特開平10-33297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00-31/12
B68G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部を形成する第1クッション部材と背当部を形成する第2クッション部材を備え、前向きの着座姿勢の使用者を支持するクッションであって、
第1クッション部材および第2クッション部材は、熱可塑性樹脂からなるフィラメントを3次元的に融着結合させて得られるフィラメント3次元結合体により形成され、
第1クッション部材を覆う第1カバーと、第2クッション部材を覆う第2カバーを備え、
第1カバーの後側部分と第2カバーの下側部分が連結されており、前記座面部の上面と前記背当部の前面を対向させて折り畳み可能としており、
第1クッション部材は、前側部分よりも後側部分が薄くなるように
、かつ、前側部分よりも後側部分の反発力が高くなるように形成されたことを特徴とするクッション。
【請求項2】
第2クッション部材は、下側部分よりも上側部分が薄くなるように
、かつ、下側部分よりも上側部分の反発力が高くなるように形成されたことを特徴とする
請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
第1クッション部材および第2クッション部材は、左右方向の中央部分よりも両端部分において硬くなるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載のクッション。
【請求項4】
第1クッション部材および第2クッション部材は、左右方向の中央部から両端部に向けて、反発力が徐々に高くなるように形成されたことを特徴とする請求項2に記載のクッション。
【請求項5】
前記背当部の上側において前記使用者を後側から支持する位置に配置される延伸部を形成する第3クッション部材と、第3クッション部材を覆う第3カバーと、を備え、
第2カバーの上側部分と第3カバーの下側部分が連結されており、
前記座面部の上面と前記背当部の前面を対向させるとともに、前記延伸部の前面と前記座面部の前面を対向させて折り畳み可能としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のクッション。
【請求項6】
請求項1から請求項4の何れかに記載のクッションと、
前側から後側へ向けて徐々に薄くなるように側方視で第1角度だけ傾いたテーパー状に形成され、前記座面部の下側に着脱自在に取り付け可能である第1補助クッションと、
下側から上側へ向けて徐々に薄くなるように側方視で第2角度だけ傾いたテーパー状に形成され、前記背当部の後側に着脱自在に取り付け可能である第2補助クッションと、を有し、
座面と背当を有する椅子に配置して使用される場合に、
第1補助クッションを前記座面部の下側に取り付けることにより、前記座面と前記座面部の上面との角度が第1角度だけ調節され、
第2補助クッションを前記背当部の後側に取り付けることにより、前記背当と前記背当部の前面との角度が第2角度だけ調節されることを特徴とするクッションセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座姿勢の使用者を支持するクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者を支持するように構成され、使用者が快適に寝たり座ったりすることが可能となるクッションが広く利用されている。また、このようなクッションの形成に好適なクッション素材が種々開発されている。例えば特許文献1には、熱可塑性樹脂からなるフィラメントを3次元的に融着結合させて得られるフィラメント3次元結合体、およびその製造方法が開示されている。フィラメント3次元結合体は良好な通気性を有し、また水洗い等も容易であるため、清潔に使用できる点でも優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで着座姿勢の使用者を支持するクッションにおいては、臀部周辺を適切に支持することが望まれる他、使用者によっては、クッションに深く腰を掛けた着座姿勢のときに良好な座り心地を感じるため、このような着座姿勢をとり易くなっていることが望まれる。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑み、深く腰を掛けた着座姿勢をとり易くすることができ、良好な座り心地を感じ易くすること可能となるクッションの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、座面部を形成する第1クッション部材と背当部を形成する第2クッション部材を備え、前向きの着座姿勢の使用者を支持するクッションであって、第1クッション部材は、前側部分よりも後側部分が薄くなるように形成された構成とする。本構成によれば、深く腰を掛けた着座姿勢をとり易くすることができ、良好な座り心地を感じ易くすること可能となる。
【0007】
上記構成としてより具体的には、第2クッション部材は、下側部分よりも上側部分が薄くなるように形成された構成としても良い。本構成によれば、座面部の上面と背当部2の前面の間が狭過ぎて使用者が窮屈に感じることを、回避し易くすることが可能となる。
【0008】
上記構成としてより具体的には、第1クッション部材は、前側から後側へ向けて徐々に薄くなるように側方視テーパー状に形成され、第2クッション部材は、下側から上側へ向けて徐々に薄くなるように側方視テーパー状に形成された構成としても良い。本構成によれば、各クッション部材に段差があることによって使用者が違和感を覚えることを、回避し易くすることが可能となる。
【0009】
上記構成としてより具体的には、第1クッション部材は、前側部分よりも後側部分が硬くなるように形成され、第2クッション部材は、下側部分よりも上側部分が硬くなるように形成された構成としても良い。本構成によれば、厚みが大きい領域の反発力が高くなり過ぎないようにしつつ、厚みが小さい領域での底突き感を抑えることが可能となる。
【0010】
上記構成としてより具体的には、第1クッション部材を覆う第1カバーと、第2クッション部材を覆う第2カバーを備え、第1カバーの後側部分と第2カバーの下側部分が連結されており、前記座面部の上面と前記背当部の前面を対向させて折り畳み可能とした構成としても良い。また上記構成としてより具体的には、第1クッション部材および第2クッション部材は、熱可塑性樹脂からなるフィラメントを3次元的に融着結合させて得られるフィラメント3次元結合体により形成された構成としても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るクッションによれば、深く腰を掛けた着座姿勢をとり易くすることができ、良好な座り心地を感じ易くすること可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係るクッション9の概略的な斜視図である。
【
図2】椅子に配置した上記クッション9の概略的な側面図である。
【
図3】
図2に示したクッション9の折り畳みに関する説明図である。
【
図4】第1クッション部材の構成例に関する説明図である。
【
図5】第2クッション部材の構成例に関する説明図である。
【
図6】第2実施形態に係るクッションセット10の概略的な斜視図である。
【
図7】上記クッションセット10の第1実施例に係る概略的な側面図である。
【
図8】上記クッションセット10の第2実施例に係る概略的な側面図である。
【
図9】第3実施形態に係るクッション9bの概略的な斜視図である。
【
図10】上記クッション9bの概略的な側面図である。
【
図11】上記クッション9bの折り畳みに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について各図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における上下、左右および前後の各方向は
図1等に示すとおりである。ここでの上下方向は鉛直方向に一致し、各実施形態のクッションは前向きの着座姿勢の使用者を支持する。
【0014】
1.第1実施形態
まず第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係るクッション9の概略的な斜視図である。また
図2は、椅子CHに配置したクッション9の概略的な側面図である。これらの図に示すように、クッション9は座面部1と背当部2を有し、これらは連結部41において連結されている。
【0015】
座面部1は、第1クッション部材11と、第1クッション部材11の全体を覆う第1カバー12を有する。第1カバー12は、第1クッション部材11にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため座面部1の立体形状は、第1クッション部材11の立体形状とほぼ同じである。また第1カバー12は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第1クッション部材11を着脱自在に収容することが可能である。座面部1は、クッション9に着座する使用者を下側から支持する位置に配置される。
【0016】
背当部2は、第2クッション部材21と、第2クッション部材21の全体を覆う第2カバー22を有する。第2カバー22は、第2クッション部材21にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため背当部2の立体形状は、第2クッション部材21の立体形状とほぼ同じである。また第2カバー22は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第2クッション部材21を着脱自在に収容することが可能である。背当部2は、クッション9に着座する使用者を後側から支持する位置に配置される。
【0017】
図2に示す状態のクッション9において、第1クッション部材11は、概ね上下を厚み方向とする上方視矩形状の略板状であって、着座する使用者の臀部や大腿部付近を適切に支持し得る程度のサイズに形成されている。また第1クッション部材11は、前側部分よりも後側部分が薄くなるように形成されている。特に本実施形態の例では、第1クッション部材11は、前側から後側へ向けて徐々に薄くなるように側方視で(左側または右側から見て)テーパー状に形成されており、座面部1の上面1aは下面1bに対して角度θ1だけ傾いている。
【0018】
図2に示す状態のクッション9において、第2クッション部材21は、概ね前後を厚み方向とする前方視矩形状の略板状であって、着座する使用者の腰部や背中部付近を適切に支持し得る程度のサイズに形成されている。また第2クッション部材21は、下側部分よりも上側部分が薄くなるように形成されている。特に本実施形態の例では、第2クッション部材21は、下側から上側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されており、背当部2の上面2aは下面2bに対して角度θ2だけ傾いている。この角度θ2は、先述した角度θ1とほぼ同じであり、一例として5°~15°の所定の角度に設定される。
【0019】
また、座面部1と背当部2を連結する連結部41は、第1カバーの後側上縁部分と第2カバーの下側前縁部分が連結された形態となっている。本実施形態における連結部41は、第1カバーの後側上縁部分と第2カバーの下側前縁部分が左右へ伸びるように縫合されて形成されている。但し連結部41における連結形態はこのような形態に限られず、例えば面テープ、マグネット、バックル、アジャスター、或いは紐などを用いて適宜取り外し可能に連結される形態を採用しても良い。連結部41では、背当部2は左右方向を軸として回動可能に座面部1に連結しており、クッション9は連結部41で折り畳むように変形可能である。
【0020】
クッション9は、
図2に示すように、例えば椅子の上に配置して使用することが可能である。
図2に示す例では、クッション9は座面C1と背当C2を有する椅子CHの上において、座面C1(水平面)に座面部1の下面1bが接し、背当C2(水平面に対して概ね垂直である平面)に背当部2の後面2bが接するように配置されている。なお、クッション9は連結部41で折り畳むように変形可能であるため、椅子CHの座面C1と背当C2の角度によらず、座面C1に座面部1の下面1bが接し、背当C2に背当部2の後面2bが接するように配置可能である。
【0021】
図2に示す状態のクッション9において、座面部1の上面1aは座面C1に対して角度θ1だけ傾いており、その分、前側部分よりも後側部分が下がっている。これにより使用者は、クッション9に着座するときに臀部が後方に寄り易く、深く腰を掛け易くなっている。そのため、深く腰を掛けた着座姿勢のときに良好な座り心地を感じる使用者に対し、クッション9は快適な使用感を与えることができる。なお、特に本実施形態では、座面部1の上面1aは前側から後側へ向けて徐々に下がるように傾斜していて段差がなく、使用者はこのような段差による違和感を覚えることはない。
【0022】
更に、
図2に示す状態のクッション9において、背当部2の前面2aは背当C2に対して角度θ2だけ傾いており、その分、下側部分よりも上側部分が後方に後退している。先述のとおり座面部1の上面1aは後方へ向かうほど下がるように傾いているが、背当部2の前面2aが上記のように傾いているため、座面部1の上面1aと背当部2の前面2aの角度は椅子CHにおける座面C1と背当C2の角度とほぼ同じとなる。これにより、座面部1の上面1aと背当部2の前面2aの間が狭過ぎて使用者が窮屈に感じることは、極力回避される。
【0023】
また、連結部41は第1カバー12の後側上縁部分と第2カバー22の下側前縁部分のエッジ同士が連結された形態となっているため、クッション9は容易に折り畳み可能である。例えば
図2に示す状態のクッション9であれば、
図3に示すように、連結部41を軸として背当部2を点線矢印で示す方向へ回転させ、座面部1の上面1aと背当部2の前面2aを対向させて折り畳むことができる。なお
図3に示す折り畳まれた状態において、座面部1の上面1aと背当部2の前面2aはほぼ同じ位置となり、座面部1の下面1bと背当部2の後面2bはほぼ平行となり、クッション9の全体形状はほぼ直方体となる。このようにクッション9は、折り畳んでコンパクトにすることが可能であり、折り畳んだ状態では、座面部1の上に背当部2を寝かせた安定した形態となるため型崩れを極力防ぐことが可能となる。
【0024】
なお第1クッション部材11および第2クッション部材21は、熱可塑性樹脂からなるフィラメントを3次元的に融着結合させて得られるフィラメント3次元結合体により形成されている。なお、フィラメント3次元結合体の製造方法については、例えば特開2020-26586号公報に開示されているように公知であるため、詳細な説明は省く。
【0025】
第1クッション部材11は、前側部分(例えば、前後方向中央位置よりも前側寄りの部分)よりも後側部分(例えば、前後方向中央位置よりも後側寄りの部分)において反発力が高くなるように形成されており、第2クッション部材21は、下側部分(例えば、上下方向中央位置よりも下側寄りの部分)よりも上側部分(例えば、上下方向中央位置よりも上側寄りの部分)において反発力が高くなるように形成されている。すなわち第1クッション部材11および第2クッション部材21のそれぞれは、厚みが大きい領域の反発力に比べ、厚みが小さい領域の反発力が高くなるように形成されている。これにより、厚みが大きい領域の反発力が高くなり過ぎないようにしつつ、厚みが小さい領域での底突き感を抑えることが可能である。第1クッション部材11は、前端部分から後端部分に向けて、反発力が徐々に高くなるように形成されていても良い。第2クッション部材21は、下端部分から上端部分に向けて、反発力が徐々に高くなるように形成されていても良い。
【0026】
なお、第1クッション部材11および第2クッション部材21の一方または両方は、上記のように厚みに応じて反発力が設定される代わりに(或いはこのように設定されるとともに)、左右方向の中央部分よりも両端部分において硬くなるように形成されても良い。
図4は、このように形成した場合の第1クッション部材11を例示しており、左右方向の両端寄り部分11bは、中央寄り部分11aよりも硬くなっている。
図5は、このように形成した場合の第2クッション部材21を例示しており、左右方向の両端寄り部分21bは、中央寄り部分21aよりも硬くなっている。このようにすれば、左右方向の中央部分を硬くし過ぎることなく、クッション9を長く使用することで生じ易い両端部分の型崩れを極力抑えることが可能となる。各クッション部材11,12は、左右方向中央部から両端部に向けて、反発力が徐々に高くなるように形成されていても良い。
【0027】
なおフィラメント3次元結合体は、フィラメントを比較的太くしたりフィラメントのかさ密度を高くしたりすることで、反発力や硬さを高めることが可能である。そのため、第1クッション部材11或いは第2クッション部材21を製造する際には、反発力や硬さを高くする部分において、フィラメントを比較的太くしたりフィラメントのかさ密度を高くしたりすると良い。また、第1クッション部材11および第2クッション部材21の一方または両方は、反発力や硬さが高い部分と低い部分をそれぞれ別体として形成しておき、接着等により貼り合わせることで形成しても良い。
【0028】
2.第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係るクッションセット10の概略的な斜視図である。また
図7は、椅子CHに配置したクッション10の概略的な側面図である。これらの図に示すように、クッションセット10はメインクッション9a、第1補助クッション5、および第2補助クッション6を有する。メインクッション9aは、座面部1と背当部2を有し、これらは連結部41において連結されている。
【0029】
座面部1は、第1クッション部材11と、第1クッション部材11の全体を覆う第1カバー12を有する。第1カバー12は、第1クッション部材11にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため座面部1の立体形状は、第1クッション部材11の立体形状とほぼ同じである。第1カバー12は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第1クッション部材11を着脱自在に収容することが可能である。座面部1は、着座する使用者を下側から支持する位置に配置される。
【0030】
背当部2は、第2クッション部材21と、第2クッション部材21の全体を覆う第2カバー22を有する。第2カバー22は、第2クッション部材21にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため背当部2の立体形状は、第2クッション部材21の立体形状とほぼ同じである。第2カバー22は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第2クッション部材21を着脱自在に収容することが可能である。背当部2は、着座する使用者を後側から支持する位置に配置される。第1クッション部材11と第2クッション部材21は、何れもフィラメント3次元結合体により形成されている。
【0031】
図7に示す状態のメインクッション9aにおいて、第1クッション部材11は、概ね上下を厚み方向とする上方視矩形状の略板状であって、着座する使用者の臀部や大腿部付近を適切に支持し得る程度のサイズに形成されている。また第1クッション部材11は、前側から後側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されており、座面部1の上面1aは下面1bに対して角度θ1だけ傾いている。
【0032】
図7に示す状態のメインクッション9aにおいて、第2クッション部材21は、概ね前後を厚み方向とする前方視矩形状の略板状であって、着座する使用者の腰部や背中部付近を適切に支持し得る程度のサイズに形成されている。また第2クッション部材21は、下側から上側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されており、背当部2の前面2aは後面2bに対して角度θ2だけ傾いている。
【0033】
座面部1と背当部2を連結する連結部41は、第1カバー12の後側上縁部分と第2カバー22の下側前縁部分が連結された形態となっている。これによりメインクッション9aは、第1実施形態のクッション9と同様に容易に折り畳み可能となっている。
【0034】
上述したように、メインクッション9aは第1実施形態のクッション9に準じた構成となっている。なおメインクッション9aは、第1実施形態のクッション9と同じ構成であっても良く、第1クッション部材11や第2クッション部材21において、当該クッション9と同様に反発力が設定されても良い。
【0035】
第1補助クッション5は、第1クッション部材11と同等または近似した略板状のクッション体であって、例えば
図7に示すように座面部1の下側に配置可能である。
図7に示す第1補助クッション5は、前側から後側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されており、上面は下面に対して角度θ3だけ傾いている。
【0036】
第2補助クッション6は、第2クッション部材12と同等または近似した略板状のクッション体であって、例えば
図7に示すように背当部2の後側に配置可能である。
図7に示す第2補助クッション6は、下側から上側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されており、上面は下面に対して角度θ4だけ傾いている。各補助クッション5,6は、例えばフィラメント3次元結合体により形成されたクッション体が、薄い生地のカバーで覆われた構成とされる。
【0037】
クッションセット10は、メインクッション9a単体でも使用することができ、メインクッション9aを各補助クッション5,6の両方または一方と合わせて使用することも可能である。メインクッション9a単体で使用する場合には、第1実施形態のクッション9と同様の形態で使用することが可能である。
【0038】
メインクッション9aを各補助クッション5,6と合わせて使用する場合は、例えば
図7または
図8に示す形態で使用することが可能である。
図7に示す例では、座面C1と背当C2を有する椅子CHがクッションセット10とともに用いられ、第1補助クッション5は座面部1の下面1bと座面C1(水平面)に挟まれて配置され、第2補助クッション6は背当部2の後面2bと背当C2(水平面に対して概ね垂直である平面)に挟まれて配置されている。一方で
図8に示す例では、第1補助クッション5は
図7の状態から前後が逆となるように向きを変えて配置され、第2補助クッション6は
図7の状態から上下が逆となるように向きを変えて配置されている。
【0039】
クッションセット10をメインクッション9a単体で使用する場合は、座面C1と座面部1の上面1aの角度θaは角度θ1となる。しかし
図7に示す使用例では、第1補助クッション5の角度θ3の分だけ角度θaは角度θ1よりも大きくなり、
図8に示す使用例では角度θaは角度θ1よりも小さくなる。
【0040】
また、クッションセット10をメインクッション9a単体で使用する場合は、背当C2と背当部2の前面2aの角度θbは角度θ2となる。しかし
図7に示す使用例では、第2補助クッション6の角度θ4の分だけ角度θbは角度θ2よりも大きくなり、
図8に示す使用例では角度θbは角度θ2よりも小さくなる。
【0041】
このようにクッションセット10は、第1補助クッション5を利用して角度θaを調節することができ、第2補助クッション6を利用して角度θbを調節することができる。これにより、角度θaと角度θbの両方または一方を使用者の好み等に応じて調節することにより、より快適な座り心地を得ることが可能である。また、各補助クッション5,6をメインクッション9aへ着脱自在に取り付けることができるように、各補助クッション5,6とメインクッション9aの両方または一方に面テープ等を設けても良い。
【0042】
なお、角度θ3と角度θ4を異なる角度に設定しておき、座面部1の下に第2補助クッション6を配置したり、背当部2の後に第1補助クッション5配置したりできるようにしておけば、上記の角度θaや角度θbをより細かく調節することが可能となる。また、第1補助クッション5と第2補助クッション6を重ねて座面部1の下に配置したり、背当部2の後に配置したりできるようにしておき、上記の角度θaや角度θbを更に細かく調節可能としても良い。
【0043】
3.第3実施形態
次に第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態に係るクッション9bの概略的な斜視図である。また
図10は、クッション9bの概略的な側面図である。これらの図に示すように、クッション9bは座面部1、背当部2、および延伸部3を有し、座面部1と背当部2は第1結合部材42を用いて連結され、背当部2と延伸部3は第2結合部材43を用いて連結されている。なお
図10に示す状態では、背当部2の下面2dは座面部1の上面1aの後側部分に接しており、延伸部3の下面3dは背当部2の上面2cに接している。
【0044】
座面部1は、第1クッション部材11と、第1クッション部材11の全体を覆う第1カバー12を有する。第1カバー12は、第1クッション部材11にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため座面部1の立体形状は、第1クッション部材11の立体形状とほぼ同じである。第1カバー12は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第1クッション部材11を着脱自在に収容することが可能である。座面部1は、クッション9に着座する使用者を下側から支持する位置に配置される。
【0045】
図10に示す状態のクッション9bにおいて、第1クッション部材11は、概ね上下を厚み方向とする上方視矩形状の略板状であって、着座する使用者の臀部や大腿部付近を適切に支持し得る程度のサイズに形成されている。また第1クッション部材11は、前側から後側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されている。
【0046】
背当部2は、第2クッション部材21と、第2クッション部材21の全体を覆う第2カバー22を有する。第2カバー22は、第2クッション部材21にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため背当部2の立体形状は、第2クッション部材21の立体形状とほぼ同じである。また第2カバー22は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第2クッション部材21を着脱自在に収容することが可能である。背当部2は、クッション9に着座する使用者を後側から支持する位置に配置される。
【0047】
図10に示す状態のクッション9bにおいて、第2クッション部材21は、概ね前後を厚み方向とする前方視矩形状の略板状であって、着座する使用者の腰部や背中部付近を適切に支持し得る程度のサイズに形成されている。また第2クッション部材21は、下側から上側へ向けて徐々に薄くなるように側方視でテーパー状に形成されている。なお第1クッション部材11や第2クッション部材21においては、第1実施形態のクッション9と同様に反発力が設定されても良い。
【0048】
延伸部3は、第3クッション部材31と、第3クッション部材31の全体を覆う第3カバー32を有し、背当部2から上方へ延伸するように設けられている。第3カバー32は、第3クッション部材31にフィットするように全体が薄い生地で形成されている。そのため延伸部3の立体形状は、第3クッション部材31の立体形状とほぼ同じである。第3カバー32は、例えば不図示のファスナーが設けられており、このファスナーを開くことにより、第3クッション部材31を着脱自在に収容することが可能である。延伸部3は背当部2の上側において、クッション9に着座する使用者を後側から支持する位置に配置される。なお
図10に示す状態のクッション9bにおいて、第3クッション部材31は、概ね前後を厚み方向とする前方視矩形状の略板状であって、側方視で矩形状に形成されている。各クッション部材11,21,31は、何れもフィラメント3次元結合体により形成されている。
【0049】
第1結合部材42は、座面部1の後端近傍と背当部2の下端近傍を連結するように、左右それぞれに配置されている。より具体的に説明すると、第1結合部材42は側方視略矩形状の薄板状に形成されており、長手方向の一端は第1カバー12に取付部材42aを用いて取り付けられており、他端は第2カバー22に取付部材42bを用いて取り付けられている。
【0050】
第2結合部材43は、背当部2の上端近傍と延伸部3の下端近傍を連結するように、左右それぞれに配置されている。より具体的に説明すると、第2結合部材43は側方視略矩形状の薄板状に形成されており、長手方向の一端は第2カバー22に取付部材43aを用いて取り付けられており、他端は第3カバー32に取付部材43bを用いて取り付けられている。
【0051】
なお各結合部材42,43としては、例えばシリコーンゴム板、ベルト、紐、ゴム紐、ゴム板、プラスチック板、或いは金属棒などが適用され得る。また各取付部材42a,42b,43a,43bは、結合部材を結合対象へ、左右方向を軸として回転自在に取り付け可能である。各取付部材42a,42b,43a,43bとしては、例えばホックやボタン等が採用され得る。
【0052】
上述した座面部1と背当部2の連結形態、および背当部2と延伸部3の連結形態を利用して、
図10に示す状態のクッション9bは、
図11に示す状態となるように折り畳むことが可能である。この折り畳まれた状態において、座面部1の上面1aと背当部2の前面2aは位置がほぼ一致し、座面部1の下面1bと背当部2の後面2bはほぼ平行となり、クッション9bの全体形状はほぼ直方体となる。このようにクッション9bは、折り畳んでコンパクトにすることが可能であり、折り畳んだ状態では、座面部1の上に背当部2を寝かせた安定した形態となるため型崩れを極力防ぐことが可能となる。
【0053】
なお
図11に示す状態では、座面部1の下面1bと延伸部3の上面3cは一連の平面を形成し、背当部2の後面2bと延伸部3の下面3dは一連の平面を形成している。また、座面部1の後面1dと背当部2の下面2dにより形成された一連の平面は、延伸部3の後面3bと平行になっている。延伸部3の前面3aは、一部の位置が背当部2の上面2cの位置にほぼ一致し、残りの部分の位置は座面部1の前面1cの位置にほぼ一致している。
【0054】
4.その他
以上に説明したとおり、各実施形態のクッション(或いはメインクッション)は、座面部1を形成する第1クッション部材11と背当部2を形成する第2クッション21部材を備え、前向きの着座姿勢の使用者を支持するクッションであって、第1クッション部材11は、前側部分よりも後側部分が薄くなるように形成されており、第2クッション部材21は、下側部分よりも上側部分が薄くなるように形成されている。
【0055】
また各実施形態のクッション(或いはメインクッション)は、第1クッション部材11を覆う第1カバー12と、第2クッション部材21を覆う第2カバー22を備え、第1カバー12の後側部分と第2カバー22の下側部分が連結されており、座面部1の上面と背当部2の前面を対向させて折り畳み可能としている。
【0056】
なお各実施形態のクッション(或いはメインクッション)は、概ねクッション部材をカバーで覆っただけのシンプルな構成とされており、硬いフレーム等を用いていないため、洗濯が容易となっている。各実施形態のクッション(或いはメインクッション)は、各クッション部材がカバーに収容された状態で洗濯されても良く、カバーとクッション部材を別々にして洗濯されても良い。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、着座姿勢の使用者を支持するクッション等に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 座面部
1a 座面部の上面
1b 座面部の下面
1c 座面部の前面
1d 座面部の後面
11 第1クッション部材
12 第1カバー
2 背当部
2a 背当部の前面
2b 背当部の後面
2c 背当部の上面
2d 背当部の下面
21 第2クッション部材
22 第2カバー
3 延伸部
3a 延伸部の前面
3b 延伸部の後面
3c 延伸部の上面
3d 延伸部の下面
31 第3クッション部材
32 第3カバー
41 連結部
42 第1結合部材
42a,42b 取付部材
43 第2結合部材
43a,43b 取付部材
5 第1補助クッション
5a 第1補助クッションの上面
5b 第1補助クッションの下面
6 第2補助クッション
6a 第2補助クッションの前面
6b 第2補助クッションの後面
9,9b クッション
9a メインクッション
10 クッションセット
CH 椅子
C1 座面
C2 背当