(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ケーブル連結機構
(51)【国際特許分類】
F16C 1/14 20060101AFI20240919BHJP
F16C 1/10 20060101ALI20240919BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F16C1/14 A
F16C1/10 C
F16C11/04 F
(21)【出願番号】P 2020174800
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2022-09-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 智禎
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳史
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-180437(JP,A)
【文献】特開2017-145926(JP,A)
【文献】特開昭63-203911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/14
F16C 1/10
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが接続される接続対象と、
前記接続対象を摺動可能に収容する内部空間を有するケースと
を備えた、ケーブル連結機構であって、
前記ケースが、
前記接続対象が摺動する摺動面を有するケース本体と、
前記ケース本体を閉鎖可能な蓋部材と、
前記ケース本体と前記蓋部材とを接続するヒンジと
を備え、
前記ケース本体および前記蓋部材は、前記ケースの内部空間を開放する開放位置と、前記ケース本体を前記蓋部材で閉鎖する閉鎖位置との間で、前記ヒンジを中心に、互いに対して相対回転可能に構成され、
前記ケース本体および前記蓋部材の一方は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記ケース本体および前記蓋部材の一方から前記ケース本体および前記蓋部材の他方に向かって、外側に突出して延びる外側壁部を有し、
前記ケース本体および前記蓋部材の他方は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記ケース本体および前記蓋部材の一方に向かう方向とは反対方向の内側に、前記外側壁部と当接可能な内側壁部を有し、
前記外側壁部が、前記内側壁部よりも、前記相対回転の径方向における外側に位置し、
前記外側壁部および前記内側壁部は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記蓋部材が前記ケース本体に対して前記相対回転の回転軸から離れる方向に前記摺動面に沿って相対移動するように前記ケース本体および/または前記蓋部材に荷重が付与された際に、互いに当接して前記蓋部材の相対移動を規制するように配置され、
前記ケース本体および前記蓋部材の他方は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記ケース本体および前記蓋部材の他方から前記ケース本体および前記蓋部材の一方に向かって、外側に突出して延び、前記ケース本体および前記蓋部材の一方と係合する係合部を備え、
前記ケース本体および前記蓋部材の一方は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記ケース本体および前記蓋部材の他方に向かう方向とは反対方向の内側に、前記係合部と係合可能な被係合部を備え、
前記ケース本体および前記蓋部材が前記開放位置から前記閉鎖位置へと互いに対して相対回転する際に、前記外側壁部は、前記係合部と当接して、前記蓋部材が前記ケース本体に対して前記回転軸から離れる方向に前記摺動面に沿って相対移動するのを規制しながら、前記係合部を前記被係合部に案内するように配置される、
ケーブル連結機構。
【請求項2】
前記係合部が、前記相対回転の回転方向に湾曲している、
請求項
1に記載のケーブル連結機構。
【請求項3】
前記外側壁部が、前記外側壁部の延びる方向に沿って延びるリブを備える、
請求項1
または2に記載のケーブル連結機構。
【請求項4】
前記ヒンジが、
前記ケース本体に接続されるケース本体側端部と、
前記蓋部材に接続される蓋部材側端部と、
前記ケース本体側端部と前記蓋部材側端部との間に延びる本体部と
を備え、
前記本体部は、前記ケース本体および前記蓋部材が互いに対して相対回転する際に、前記ケース本体側端部と前記蓋部材側端部との間の略全体に亘って、湾曲するように形成されている、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のケーブル連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作部に接続されたケーブルと作動部に接続されたケーブルとを連結し、それらの複数のケーブルを介して操作部による操作力を作動部へ伝達する機構として、例えば特許文献1に開示されたケーブル連結機構が用いられている。このケーブル連結機構は、複数のケーブルが接続されるスライダと、スライダを摺動可能に収容するスライダ収容部材とを備えている。スライダ収容部材は、互いにヒンジを介して接続された底面側部材および蓋側部材を備え、ヒンジを中心として底面側部材および蓋側部材が互いに相対回転するように構成されている。スライダ収容部材は、底面側部材および蓋側部材が互いに相対回転されて、底面側部材が蓋側部材により閉鎖されることで、スライダを収容するための収容空間が形成される。
【0003】
特許文献1のケーブル連結機構では、底面側部材の側壁の外面と当接可能な壁部が蓋側部材に設けられている。したがって、底面側部材が蓋側部材により閉鎖された状態において、底面側部材の側壁の外面に対して垂直方向に底面側部材および蓋側部材が互いに対して相対移動しようとしても、蓋側部材の壁部と底面側部材の側壁の外面とが当接することにより、その相対移動が規制される。それによって、底面側部材と蓋側部材とを接続するヒンジに対する負荷を軽減し、ヒンジの破損を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、蓋側部材の壁部は、底面側部材が蓋側部材により閉鎖された状態において、蓋側部材から底面側部材に向かって突出するように設けられている。そして、蓋側部材の壁部は、底面側部材の側壁の外面に対して、底面側部材および蓋側部材の相対回転の径方向における内側に配置されている。したがって、底面側部材が蓋側部材により閉鎖された状態における壁部と外面との間のクリアランスが小さくなるようにスライダ収容部材を設計すると、底面側部材および蓋側部材を互いに相対回転させたときに、蓋側部材の壁部と底面側部材の側壁とが互いに干渉(衝突)して、ヒンジに負荷がかかって、ヒンジを破損させる虞がある。逆にクリアランスが大きくなるようにスライダ収容部材を設計すると、たとえば底面側部材を蓋側部材により閉鎖するために互いに係合させる際に、上述した底面側部材および蓋側部材の互いに対する相対移動を十分に規制することができずに、ヒンジに負荷がかかって、ヒンジを破損させる虞がある。
【0006】
本発明は、ヒンジの破損が抑制されるケーブル連結機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のケーブル連結機構は、ケーブルが接続される接続対象と、前記接続対象を摺動可能に収容する内部空間を有するケースとを備えた、ケーブル連結機構であって、前記ケースが、前記接続対象が摺動する摺動面を有するケース本体と、前記ケース本体を閉鎖可能な蓋部材と、前記ケース本体と前記蓋部材とを接続するヒンジとを備え、前記ケース本体および前記蓋部材は、前記ケースの内部空間を開放する開放位置と、前記ケース本体を前記蓋部材で閉鎖する閉鎖位置との間で、前記ヒンジを中心に、互いに対して相対回転可能に構成され、前記ケース本体および前記蓋部材の一方は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記ケース本体および前記蓋部材の一方から前記ケース本体および前記蓋部材の他方に向かって、外側に突出して延びる外側壁部を有し、前記ケース本体および前記蓋部材の他方は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記ケース本体および前記蓋部材の一方に向かう方向とは反対方向の内側に、前記外側壁部と当接可能な内側壁部を有し、前記外側壁部が、前記内側壁部よりも、前記相対回転の径方向における外側に位置し、前記外側壁部および前記内側壁部は、前記ケース本体および前記蓋部材が前記閉鎖位置にある状態で、前記蓋部材が前記ケース本体に対して前記相対回転の回転軸から離れる方向に前記摺動面に沿って相対移動するように前記ケース本体および/または前記蓋部材に荷重が付与された際に、互いに当接して前記蓋部材の相対移動を規制するように配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のケーブル連結機構によれば、ヒンジの破損が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のケーブル連結機構のケースが開放した状態を示す上面図である。
【
図2】
図1のケーブル連結機構のケースが閉鎖した状態を示す上面図である。
【
図3A】
図1のケーブル連結機構の開放したケースの斜視図である。
【
図4A】
図1のケーブル連結機構のヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図4B】
図4Aの状態から蓋部材をケース本体に対して相対回転させたときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図4C】
図4Bの状態から蓋部材をケース本体に対して相対回転させたときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図4D】
図4Cの状態から蓋部材をケース本体に対して相対回転させて、ケース本体および蓋部材が閉鎖位置にあるときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図5】
図2のケーブル連結機構のヒンジ近傍の部分側面図である。
【
図6A】従来技術のケーブル連結機構においてケース本体および蓋部材が開放位置にあるときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図6B】
図6Aの状態から蓋部材をケース本体に対して相対回転させたときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図6C】
図6Bの状態から蓋部材をケース本体に対して相対回転させたときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【
図6D】
図6Cの状態から蓋部材をケース本体に対して相対回転させて、ケース本体および蓋部材が閉鎖位置にあるときのヒンジ近傍の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のケーブル連結機構を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のケーブル連結機構は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本実施形態のケーブル連結機構1は、
図1に示されるように、操作部(図示せず)による操作力を作動部(図示せず)へ伝達するために、操作部に接続される一方のケーブル21aと作動部に接続される他方のケーブル21bとを連結するために用いられる。ケーブル連結機構1は、たとえば車両のシートを操作するシート操作装置やフューエルリッドの開閉操作をする開閉装置などに用いられる。ただし、本発明のケーブル連結機構は、複数のケーブルを連結し、複数のケーブルを介して操作力を伝達する用途であれば、特に限定されることはなく、車両以外の用途にも適用可能である。
【0012】
ケーブル連結機構1は、
図1に示されるように、ケーブル21a、21bが接続される接続対象3と、接続対象3を摺動可能に収容する内部空間Sを有するケース4とを備えている。ケーブル連結機構1は、シートレバーなどの操作部(図示せず)に接続された一方のケーブル21aと、シートのロック機構などの作動部(図示せず)に接続された他方のケーブル21bとを接続対象3を介して連結する。ケーブル連結機構1は、一方のケーブル21aにより伝達される操作力により、ケース4の内部空間S内で接続対象3が摺動して、他方のケーブル21bに操作力を伝達することで、操作部の操作力を作動部に伝達する。
【0013】
ケーブル21a、21bは、操作部および作動部とケーブル連結機構1の接続対象3とを接続し、接続対象3を介して操作部の操作力を作動部に伝達する長尺状の部材である。ケーブル21a、21bは、本実施形態では、
図1に示されるように、アウターケーシング22a、22bに摺動可能に挿通されたインナーケーブル21a、21bとして具現化される。インナーケーブル21a、21bおよびアウターケーシング22a、22bとしては、公知のコントロールケーブルのインナーケーブルおよびアウターケーシングを用いることができる。ただし、ケーブルは、操作力を伝達することができれば、特に限定されることはなく、アウターケーシングに挿通されずに使用されるケーブルであってもよい。
【0014】
ケーブル21a、21bのうちの一方のケーブル21aは、
図1に示されるように、一端がケーブル連結機構1の接続対象3に接続され、他端が操作部(図示せず)に接続されることで、操作部と接続対象3とを接続する。ケーブル21a、21bのうちの他方のケーブル21bは、一端がケーブル連結機構1の接続対象3に接続され、他端が作動部(図示せず)に接続されることで、作動部と接続対象3とを接続する。ケーブル21a、21bはそれぞれ、操作部および作動部と接続対象3とを接続することができればよく、操作部および作動部ならびに接続対象3への接続方法は特に限定されない。本実施形態では、ケーブル21a、21bのそれぞれの一端にはケーブルエンド23a、23bが設けられ、ケーブル21a、21bのそれぞれの一端がケーブルエンド23a、23bを介して接続対象3に接続される。また、ケーブル21a、21bのそれぞれの他端にもケーブルエンド(図示せず)が設けられ、ケーブル21a、21bのそれぞれの他端がケーブルエンドを介して操作部および作動部に接続される。
【0015】
一方のケーブル21aおよび他方のケーブル21bは、本実施形態では、
図1に示されるように、それぞれ2本ずつ設けられている。しかし、一方のケーブル21aおよび他方のケーブル21bの本数は、特に限定されることはなく、それぞれ1本ずつであってもよいし、1本と複数本であってもよいし、複数本と1本であってもよく、ケーブル連結機構1が用いられる用途に応じて適宜変更が可能である。
【0016】
アウターケーシング22a、22bは、ケーブル21a、21bが摺動可能に挿通される内部空間を有し、挿通されるケーブル21a、21bを所定の配索経路に沿って案内するとともに、挿通されるケーブル21a、21bを外部から保護する。アウターケーシング22a、22bはそれぞれ、
図1に示されるように、一端がケーブル連結機構1のケース4に接続され、他端が操作部側および作動部側に接続されることで、操作部側および作動部側とケーブル連結機構1との間に配索される。
【0017】
接続対象3は、一方および他方のケーブル21a、21bが接続され、一方のケーブル21aからの操作力を他方のケーブル21bに伝達する部材である。接続対象3は、
図1に示されるように、ケース4の内部空間S内に収容され、内部空間S内で摺動方向SD(本実施形態では、後述する回転軸Xと平行)に沿って摺動するスライダである。接続対象3は、摺動方向SDに沿って摺動することにより、一方のケーブル21aからの操作力を他方のケーブル21bに伝達する。接続対象3は、一方のケーブル21aからの操作力を他方のケーブル21bに伝達することができるように一方および他方のケーブル21a、21bが接続されていればよく、一方および他方のケーブル21a、21bとの接続方法は特に限定されない。接続対象3は、本実施形態では、
図1に示されるように、接続対象3の摺動方向SDの一方側(図中、左側)に設けられた一方側係止部31に一方のケーブル21aのケーブルエンド23aが係止され、接続対象3の摺動方向SDの他方側(図中、右側)に設けられた他方側係止部32に他方のケーブル21bのケーブルエンド23bが係止されることで、一方および他方のケーブル21a、21bが接続される。
【0018】
接続対象3は、本実施形態では、
図1に示されるように、ケース4の内部空間S内で、直線状に延びる摺動方向SDに沿って摺動するように配置されている。したがって、たとえば、操作部により一方のケーブル21aが一方(図中、左側)に引き操作されると、ケーブルエンド23aを介してケーブル21aが接続された接続対象3が一方(図中、左側)に摺動し、ケーブルエンド23bを介して接続対象3に接続された他方のケーブル21bが一方(図中、左側)に引き操作される。ただし、接続対象3は、ケース4の内部空間S内で摺動することにより一方のケーブル21aからの操作力を他方のケーブル21bに伝達することができれば、その摺動方向は特に限定されることはなく、円弧状に延びる回転方向に沿って摺動するように構成されていてもよい。
【0019】
接続対象3は、ケース4の内部空間S内で摺動して、一方のケーブル21aからの操作力を他方のケーブル21bに伝達することができればよく、その形状や大きさは特に限定されることはない。本実施形態では、接続対象3は、
図1に示されるように、全体形状が摺動方向SDに沿って延びる略直方体形状を有し、内部空間S内で摺動方向SDに沿った摺動が許容され、摺動方向SD以外の方向への移動が規制される大きさに形成されている。また、接続対象3は、一方のケーブル21aからの操作力を他方のケーブル21bに伝達する強度を有していれば、特に限定されることはなく、金属や樹脂により形成することができる。たとえば、接続対象3は、軽量化の観点から、樹脂により形成されることが好ましい。
【0020】
ケース4は、内部空間Sを有し、内部空間S内に接続対象3を摺動可能に収容する部材である。ケース4は、
図1および
図2に示されるように、接続対象3が摺動する摺動面51を有するケース本体5と、ケース本体5を閉鎖可能な蓋部材6と、ケース本体5と蓋部材6とを接続するヒンジ7とを備えている。ケース本体5および蓋部材6は、ケース4の内部空間Sを開放する開放位置(
図1の位置)と、ケース本体5を蓋部材6で閉鎖する閉鎖位置(
図2の位置)との間で、ヒンジ7を中心に、互いに対して相対回転可能に構成されている。ケース4は、ヒンジ7(回転軸X)を中心にケース本体5および蓋部材6が互いに相対回転して、ケース本体5が蓋部材6により閉鎖されることで、接続対象3が摺動可能な内部空間Sを形成する。なお、ケース4は、接続対象3を摺動可能に収容する強度を有していれば、特に限定されることはなく、金属や樹脂により形成することができる。たとえば、ケース4は、軽量化の観点から、樹脂により一体成型されることが好ましい。
【0021】
ケース本体5は、蓋部材6とともにケース4を構成し、蓋部材6により閉鎖されることで、接続対象3が摺動可能な内部空間Sを形成する部材である。また、ケース本体5は、蓋部材6により閉鎖されていない状態で、接続対象3が仮に取り付けられる部材である。ケース本体5は、
図1に示されるように、ヒンジ7を介して蓋部材6に接続されている。ケース本体5は、ヒンジ7(回転軸X)を中心に蓋部材6に対して相対回転することで、蓋部材6により閉鎖されて、ケース4内に内部空間Sを形成する。ケース本体5は、蓋部材6により閉鎖されるように構成されていればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、ケース本体5は、
図1に示されるように、接続対象3が摺動する摺動面51と、摺動面51の摺動方向SDの両方の端部側から立設する一対の第1および第2側壁52a、52bと、摺動面51の摺動方向SDに対して垂直方向の両方の端部側から立設する一対の第3および第4側壁53a、53bとを備えている。ケース本体5の摺動面51に対して垂直方向(以下では、ケース本体5の高さ方向ともいう)で摺動面51に対向する側には、一対の第1および第2側壁52a、52bならびに一対の第3および第4側壁53a、53bの上面(ケース本体5の高さ方向における摺動面51とは反対側の面)により画定される開口が形成されている。接続対象3は、ケース本体5の開口を介してケース本体5内に挿入されて、ケース本体5に仮に取り付けられる。そして、蓋部材6によりケース本体5の開口が閉鎖されることで、摺動面51、第1および第2側壁52a、52bならびに第3および第4側壁53a、53bにより画定される空間が内部空間Sの少なくとも一部を形成する。一対の第1および第2側壁52a、52bのそれぞれには、内部空間Sから外部へケーブル21a、21bを導出するための溝状のケーブル導出部52c、52cが設けられている。
【0022】
ケース本体5には、
図1および
図3Aに示されるように、摺動方向SDにおける第1および第2側壁52a、52bよりも外側の両方の端部側に、アウターケーシング22a、22bが固定されるアウターケーシング固定部54、54が設けられている。アウターケーシング固定部54、54は、アウターケーシング22a、22bの端部が収容可能な凹部54a、54aを備えている(
図3A参照)。アウターケーシング22a、22bの端部が凹部54a、54aに収容された状態でケース本体5が蓋部材6により閉じられることで、アウターケーシング22a、22bの端部がアウターケーシング固定部54、54に固定される。アウターケーシング固定部54、54は、ケース本体5が蓋部材6により閉鎖されていない状態で、アウターケーシング22a、22bの端部の外周面と係合して、アウターケーシング22a、22bの端部を凹部54a、54aに仮止めするための離脱防止リブ54b、54bをさらに備えている(
図3A参照)。これにより、ケーブル21a、21b、アウターケーシング22a、22bおよび接続対象3のケース本体5に対する組付けが容易になる。
【0023】
ケース本体5は、
図1および
図3Aに示されるように、蓋部材6の後述する係合部64a~64eと係合可能な被係合部55a~55eを備えている。ケース4は、蓋部材6の係合部64a~64eとケース本体5の被係合部55a~55eとが係合することで、閉鎖状態が維持される。ケース本体5の被係合部55a~55eは、蓋部材6の係合部64a~64eと係合した状態で、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制する。より具体的には、以下で詳しく述べるように、ケース本体5の被係合部55a~55eは、蓋部材6の係合部64a~64eと係合することで、ケース本体5に対して摺動面51から離間する方向に蓋部材6がヒンジ7を中心として相対回転する相対移動と、ケース本体5に対して摺動面51に平行に蓋部材6がヒンジ7側へ相対移動する相対移動とを規制する。なお、本実施形態では、係合部64a~64eが蓋部材6に設けられ、被係合部55a~55eがケース本体5に設けられているが、係合部がケース本体に設けられ、被係合部が蓋部材に設けられていてもよい。
【0024】
ケース本体5の被係合部55a~55eは、蓋部材6の係合部64a~64eと係合して、ケース4の閉鎖状態を維持できるように構成されていれば、設けられる位置や数は特に限定されることはない。被係合部55a~55eの設けられる位置および数は、蓋部材6の係合部64a~64eの設けられる位置および数に応じて適宜設定することができる。本実施形態では、被係合部55a~55eは、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5の高さ方向と回転軸Xの延びる方向(以下では、回転軸X方向という)とに対して垂直方向(以下では、ケース本体5の幅方向ともいう)におけるヒンジ7に近い側に設けられる第1被係合部55aおよび第2被係合部55bと、ケース本体5の幅方向におけるヒンジ7から遠い側に設けられる第3被係合部55c、第4被係合部55dおよび第5被係合部55eとを備えている。回転軸X方向に対して垂直方向でヒンジ7に近い側とヒンジ7から遠い側の両方に被係合部55a~55eが設けられることで、ケース4の閉鎖状態をより確実に維持することができる。なお、本実施形態では、ヒンジ7に近い側に2つの被係合部55a、55bが設けられ、ヒンジ7から遠い側に3つの被係合部55c~55eが設けられているが、その数は特に限定されない。
【0025】
第1および第2被係合部55a、55bは、本実施形態では、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5の幅方向のヒンジ7が設けられた側の端部に設けられている。より具体的には、第1および第2被係合部55a、55bは、ケース本体5の第3側壁53aに設けられている。第1および第2被係合部55a、55bは、ヒンジ7に隣接して設けられることで、ケース4の閉鎖状態を維持するだけでなく、ヒンジ7近傍におけるケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制して、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制する。第1および第2被係合部55a、55bは、本実施形態では、第3側壁53aの回転軸X方向における両方の端部側に設けられている。より具体的には、第1および第2被係合部55a、55bは、第3側壁53aの回転軸X方向における第1および第2側壁52a、52bの外側の端部側(ケース本体5の回転軸X方向の両端部)で、アウターケーシング固定部54、54に隣接して設けられている。第3側壁53aの回転軸X方向における端部側の両方に第1および第2被係合部55a、55bがそれぞれ設けられることで、より確実に、ヒンジ7近傍におけるケース本体5と蓋部材6との間の相対移動が規制され、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0026】
第1および第2被係合部55a、55bは、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制するように、対応する蓋部材6の第1および第2係合部64a、64bと係合することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、第1および第2被係合部55a、55bはそれぞれ、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図2の位置)にある状態で、蓋部材6に向かう方向とは反対方向のケース本体5の内側に設けられている。ここでいう「ケース本体5の内側」とは、ケース本体5の開口を画定するケース本体5の側壁(第1~第4側壁52a、52b、53a、53b)の上面により形成される平面に対して垂直方向で、ケース本体5の側壁の上面により形成される平面よりも、蓋部材6に向かう方向とは反対方向の側(
図3A中、下側)のことを意味する。つまり、第1および第2被係合部55a、55bはそれぞれ、ケース本体5の開口を画定する側壁の上面により形成される平面よりもケース本体5の高さ方向の内側に設けられている。より詳細に説明すると、第1および第2被係合部55a、55bはそれぞれ、凹部(本実施形態では、ケース本体5の高さ方向に貫通する貫通孔TH(
図3B参照))を囲む枠体の一部により構成される。枠体の一部とは、ケース本体5の幅方向におけるヒンジ7側の、枠体を構成するヒンジ側壁部HWであり、より詳細には、ヒンジ側壁部HWの貫通孔THに面する内面(ケース本体5の幅方向でヒンジ7側とは反対側を向く面)と、ヒンジ側壁部HWの下面(ケース本体5の高さ方向で摺動面51側を向く面)とである(
図4A~
図4D参照)。
図4Dに示されるように、蓋部材6の第1および第2係合部64a、64bがヒンジ側壁部HWの下面と係合することで、摺動面51から離間する方向に蓋部材6がヒンジ7を中心としてケース本体5に対して相対回転する相対移動が規制される。また、蓋部材6の第1および第2係合部64a、64bがヒンジ側壁部HWの内面と係合することで、ケース本体5に対して幅方向に蓋部材6がヒンジ7側へ相対移動する相対移動が規制される。なお、第1および第2被係合部55a、55bは、本実施形態では互いに同じ構造を有しているが、互いに異なる構造を有していてもよい。また、第1および第2被係合部55a、55bは、本実施形態では蓋部材6に向かう方向とは反対方向のケース本体5の内側に設けられているが、蓋部材6に設けられる場合には、ケース本体5に向かう方向とは反対方向の蓋部材6の内側に設けられる。
【0027】
第3~第5被係合部55c~55eは、本実施形態では、
図1に示されるように、ケース本体5の幅方向のヒンジ7が設けられた側とは反対側の端部に設けられている。より具体的には、第3~第5被係合部55c~55eは、ケース本体5の第4側壁53bに設けられている。第3~第5被係合部55c~55eは、ヒンジ7が設けられた側とは反対側に設けられることで、より確実に、閉鎖位置(
図2の位置)から開放位置(
図1の位置)へ向かうケース本体5と蓋部材6との間の相対回転を規制して、ケース4の閉鎖状態を維持することができる。第3~第5被係合部55c~55eは、本実施形態では、第4側壁53bの回転軸X方向における両方の端部側と、両端部間の略中間位置とに設けられている。より具体的には、第3および第5被係合部55c、55eは、第4側壁53bの回転軸X方向における第1および第2側壁52a、52bの外側の端部側(ケース本体5の回転軸X方向の両端部)で、アウターケーシング固定部54、54に隣接して設けられている。また、第4被係合部55dは、第4側壁53bの回転軸X方向における両端部間の略中間位置に設けられている。第3~第5被係合部55c~55eは、回転軸X方向に沿って、略等間隔で一列に並んで配置されている。第3~第5被係合部55c~55eは、第4側壁53bの回転軸X方向に沿って両端部間に並んで設けられることで、より確実に、ケース本体5と蓋部材6との間の相対回転を規制して、ケース4の閉鎖状態を維持することができる。
【0028】
第3~第5被係合部55c~55eは、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制するように、対応する蓋部材6の第3~第5係合部64c~64eと係合することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、第3~第5被係合部55c~55eは、ケース本体5の第4側壁53bから、ケース本体5の幅方向でヒンジ7が設けられた側とは反対側の外側に向かって突出する凸部として構成される。凸部として構成された第3~第5被係合部55c~55eは、対応する蓋部材6の第3~第5係合部64c~64eとともに、スナップフィット構造を構成する。なお、第3~第5被係合部55c~55eは、本実施形態では互いに同じ構造を有しているが、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0029】
ケース本体5は、
図1、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図2の位置)にある状態で、ケース本体5から蓋部材6に向かって、ケース本体5の外側に突出して延びる外側壁部56を有している。ここでいう「ケース本体5の外側」とは、ケース本体5の開口を画定するケース本体5の側壁(第1~第4側壁52a、52b、53a、53b)の上面により形成される平面に対して垂直方向で、ケース本体5の側壁の上面により形成される平面よりも、蓋部材6に向かう方向の側(
図3A中、上側)のことを意味する。つまり、外側壁部56は、ケース本体5の開口を画定する側壁の上面により形成される平面からケース本体5の高さ方向の外側(
図3A、
図3B中、上側)に突出して延びている。外側壁部56は、蓋部材6の後述する内側壁部65と当接して(
図4D参照)、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制するように配置される。より具体的には、外側壁部56および内側壁部65は、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある状態で、蓋部材6がケース本体5に対して相対回転の回転軸Xから離れる方向に摺動面51に沿って相対移動するようにケース本体5および/または蓋部材6に荷重が付与された際に、互いに当接して蓋部材6の相対移動を規制するように配置される。ケース本体5の外側壁部56と蓋部材6の内側壁部65とが当接することで、ケース本体5に対してケース本体5の幅方向で回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6が相対移動するのが規制され、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。たとえば、ケース本体5と蓋部材6とが係合する際に、ケース本体5の第3~第5被係合部55c~55eと蓋部材6の第3~第5係合部64c~64eとの間のスナップフィット係合により、ケース本体5に対して回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6を相対移動させる負荷が加わる場合がある。特に、ケーブル連結機構1が置かれる環境の温度が低ければ低いほど、第3~第5係合部64c~64eおよび第3~第5被係合部55c~55eがスナップフィット係合時に変形しにくくなるため、蓋部材6をケース本体5に対して相対移動させようとする負荷が大きくなる。そのような場合であっても、外側壁部56と内側壁部65とが互いに当接することで、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制して、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制することができる。なお、本実施形態では、外側壁部56がケース本体5に設けられ、内側壁部65が蓋部材6に設けられているが、外側壁部が蓋部材に設けられ、内側壁部がケース本体に設けられていてもよい。その場合、外側壁部は、蓋部材の外側に突出して延びるように設けられる。
【0030】
外側壁部56は、蓋部材6の内側壁部65と当接して、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制することができれば、設けられる位置や数は特に限定されることはない。外側壁部56は、本実施形態では、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5の幅方向のヒンジ7が設けられた側の端部側に設けられている。より具体的には、外側壁部56は、ケース本体5の第3側壁53aに隣接して設けられている。外側壁部56は、ヒンジ7に隣接して設けられることで、より確実に、ヒンジ7近傍におけるケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制して、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制する。また、外側壁部56は、第3側壁53aの回転軸X方向における両方の端部側のそれぞれに隣接して1つずつ設けられている。より具体的には、外側壁部56は、第3側壁53aの回転軸X方向における第1および第2側壁52a、52bの外側の端部側(ケース本体5の回転軸X方向の両端部)で、アウターケーシング固定部54、54に隣接して設けられている。第3側壁53aの回転軸X方向における端部側の両方に外側壁部56が設けられることで、ケース本体5に対する摺動面51に沿った蓋部材6の捩れが規制され、より確実に、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。特に、本実施形態では、外側壁部56は、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある状態で回転軸X方向に対して垂直方向(ケース本体5の幅方向)に見たときに、回転軸X方向の所定領域に亘って、第1および第2被係合部55a、55bのそれぞれ、ならびに第3および第5被係合部55c、55eのそれぞれにオーバーラップする位置に設けられている。すなわち、外側壁部56は、第1および第2被係合部55a、55bのそれぞれ、ならびに第3および第5被係合部55c、55eのそれぞれと、回転軸X方向でほぼ同じ位置に設けられている。これにより、たとえば、第1および第2被係合部55a、55bならびに第3および第5被係合部55c、55eが、蓋部材6の対応する第1および第2係合部64a、64bならびに第3および第5係合部64c、64eと係合する際に、蓋部材6がケース本体5に対して回転軸Xから離れる方向に摺動面51に沿って相対移動するようにケース本体5および/または蓋部材6に荷重が付加されたとしても、ケース本体5に対する摺動面51に沿った蓋部材6の捩れが規制され、より確実に、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0031】
外側壁部56は、蓋部材6の内側壁部65と当接することで、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制することができれば、その形状は特に限定されない。本実施形態では、外側壁部56は、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、内側壁部65との当接面56aが回転軸X方向に対して略平行で摺動面51に対して略垂直に延びるように形成されている。つまり、外側壁部56の内側壁部65との当接面56aは、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図2の位置)にある状態で、内側壁部65の当接面65aと対向する位置にあり、ケース本体5に対して回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向で、ケース本体5の幅方向に蓋部材6が相対移動する方向に対して略直交している。これにより、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を生じさせようとする負荷に対して最大限に対抗することができるために、より確実に、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制することができる。
【0032】
外側壁部56は、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、外側壁部56の延びる方向に沿って延びるリブ56bを備えていてもよい。外側壁部56にリブ56bを設けることで、外側壁部56の強度を高めることができ、外側壁部56の高さをより高くすることができる。それにより、より確実に、上述したケース本体5および蓋部材6の互いに対する相対移動を規制し、ヒンジ7の破損を抑制できる。リブ56bは、外側壁部56の延びる方向に沿って延びるように設けられていればよく、その配置は特に限定されない。リブ56bは、本実施形態では、外側壁部56の回転軸X方向の両方の端部に、互いに平行に延びるように一対設けられている。一対のリブ56b、56bは、蓋部材6の内側壁部65の回転軸X方向の幅に対応する距離で互いに離間している。一対のリブ56b、56bは、内側壁部65の回転軸X方向における両側の側面に当接することで、ケース本体5と蓋部材6との間の回転軸X方向に沿った相対移動を規制する。これによっても、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0033】
外側壁部56は、蓋部材6の内側壁部65と当接して、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制する機能に加えて、蓋部材6の係合部64a、64b(第1および第2係合部64a、64b)をケース本体5の被係合部55a、55b(第1および第2被係合部55a、55b)に案内する機能を有していてもよい。本実施形態では、外側壁部56は、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が開放位置(
図1の位置)から閉鎖位置(
図2の位置)へと互いに対して相対回転する際に、係合部64a、64bと当接して(
図4C参照)、蓋部材6がケース本体5に対して回転軸Xから離れる方向に摺動面51に沿って相対移動するのを規制しながら、係合部64a、64bを被係合部55a、55bに案内するように配置されている。これにより、ケース本体5および蓋部材6の相対回転時におけるケース本体5および蓋部材6の互いに対する幅方向の横ズレが抑制されて、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0034】
外側壁部56は、本実施形態では、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、ケース本体5の被係合部55a、55bを構成するヒンジ側壁部HWを含む枠体の他の一部を構成している。より具体的には、外側壁部56は、被係合部55a、55bを構成するヒンジ側壁部HWと回転軸X方向に対して垂直方向(ケース本体5の幅方向)で対向する位置において、貫通孔THに面するように配置されている。外側壁部56は、
図4Aに示されるように、ヒンジ側壁部HWよりもケース本体5の外側に突出した位置から、ヒンジ側壁部HWよりもケース本体5の内側に入り込む位置まで延びたあと、被係合部55a、55b側に向かって湾曲している。これにより、ケース本体5および蓋部材6が互いに対して相対回転して、蓋部材6の係合部64a、64bが貫通孔THを通過して被係合部55a、55bと係合する際に、係合部64a、64bは、より確実に、貫通孔THを通って被係合部55a、55bまで案内される。
【0035】
外側壁部56の上述した一対のリブ56b、56bの回転軸X方向の離間幅は、蓋部材6の係合部64a、64bの回転軸X方向の長さに対応していてもよい。これにより、係合部64a、64bが外側壁部56に当接する際に、係合部64a、64bの回転軸X方向における両側の側面に一対のリブ56b、56bが当接することで、回転軸X方向への移動が規制されて、被係合部55a、55bに案内される。ケース本体5および蓋部材6の相対回転時のケース本体5と蓋部材6との間の回転軸X方向に沿った相対移動が規制されることで、ケース本体5および蓋部材6の互いに対する捻じれが抑制される。それによって、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0036】
蓋部材6は、ケース本体5とともにケース4を構成し、ケース本体5を閉鎖する部材である。蓋部材6は、
図1および
図2に示されるように、ヒンジ7を介してケース本体5に接続されている。蓋部材6は、ヒンジ7(回転軸X)を中心にケース本体5に対して相対回転することで、ケース本体5を閉鎖して、ケース4内に内部空間Sを形成する。蓋部材6は、ケース本体5を閉鎖することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、蓋部材6は、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図1の位置)にある状態でケース本体5の摺動面51に対向する対向面61と、対向面61の摺動方向SDの両方の端部側から立設する一対の第5および第6側壁62a、62bと、対向面61の摺動方向SDに対して垂直方向の両方の端部から立設する一対の第7および第8側壁63a、63bとを備えている。蓋部材6の対向面61に対して垂直方向(以下では、蓋部材6の高さ方向ともいう)で対向面61に対向する側には、一対の第5および第6側壁62a、62bならびに一対の第7および第8側壁63a、63bの上面(蓋部材6の高さ方向における対向面61とは反対側の面)により画定される開口が形成されている。一対の第5および第6側壁62a、62bは、ケース本体5の一対の第1および第2側壁52a、52bに対応する位置に設けられ、一対の第7および第8側壁63a、63bは、ケース本体5の一対の第3および第4側壁53a、53bに対応する位置に設けられている。ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある状態で、ケース本体5の一対の第1および第2側壁52a、52bと蓋部材6の一対の第5および第6側壁62a、62bとが当接し、ケース本体5の一対の第3および第4側壁53a、53bと蓋部材6の一対の第7および第8側壁63a、63bとが当接する。ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある状態で、蓋部材6の対向面61、第5および第6側壁62a、62bならびに第7および第8側壁63a、63bにより画定される空間が、ケース本体5の摺動面51、第1および第2側壁52a、52bならびに第3および第4側壁53a、53bにより画定される空間とともに内部空間Sを形成する。なお、蓋部材6は、ケース本体5を閉鎖することができればよく、たとえば側壁を備えていなくてもよい。
【0037】
蓋部材6は、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5と係合する係合部64a~64eを備えている。蓋部材6の係合部64a~64eは、上述したように、ケース本体5の被係合部55a~55eと係合することで、ケース本体5および蓋部材6の互いに対する相対移動を規制し、ケース4の閉鎖状態を維持する。蓋部材6の係合部64a~64eは、ケース本体5の被係合部55a~55eと係合して、ケース4の閉鎖状態を維持できるように構成されていれば、設けられる位置や数は特に限定されることはない。本実施形態では、係合部64a~64eは、ケース本体5の被係合部55a~55eと対応するように、蓋部材6の高さ方向と回転軸X方向とに対して垂直方向(以下では、蓋部材6の幅方向ともいう)におけるヒンジ7に近い側に設けられる第1係合部64aおよび第2係合部64bと、蓋部材6の幅方向におけるヒンジ7から遠い側に設けられる第3係合部64c、第4係合部64dおよび第5係合部64eとを備えている。なお、すでに述べたように、本実施形態では、係合部64a~64eが蓋部材6に設けられ、被係合部55a~55eがケース本体5に設けられているが、係合部がケース本体に設けられ、被係合部が蓋部材に設けられていてもよい。
【0038】
第1および第2係合部64a、64bは、本実施形態では、
図1および
図3Aに示されるように、蓋部材6の幅方向のヒンジ7が設けられた側の端部に設けられている。より具体的には、第1および第2係合部64a、64bは、蓋部材6の第7側壁63aに設けられている。第1および第2係合部64a、64bは、ヒンジ7に隣接して設けられることで、ケース4の閉鎖状態を維持するだけでなく、ヒンジ7近傍におけるケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制して、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制する。第1および第2係合部64a、64bは、第7側壁63aの回転軸X方向における両方の端部側に設けられている。より具体的には、第1および第2係合部64a、64bは、第7側壁63aの回転軸X方向における第5および第6側壁62a、62bの外側の端部側(蓋部材6の回転軸X方向の両端部)に設けられている。
【0039】
第1および第2係合部64a、64bは、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制するように、対応するケース本体5の第1および第2被係合部55a、55bと係合することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、第1および第2係合部64a、64bはそれぞれ、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図2の位置)にある状態で、蓋部材6からケース本体5に向かって、蓋部材6の外側に突出して延びている。ここでいう「蓋部材6の外側」とは、蓋部材6の開口を画定する蓋部材6の側壁(第5~第8側壁62a、62b、63a、63b)の上面により形成される平面(蓋部材6が側壁を有さない場合には対向面61)に対して垂直方向で、蓋部材6の側壁の上面により形成される平面(蓋部材6が側壁を有さない場合には対向面61)よりも、ケース本体5に向かう方向の側(
図3A中、上側)のことを意味する。つまり、第1および第2係合部64a、64bはそれぞれ、蓋部材6の開口を画定する側壁の上面により形成される平面(蓋部材6が側壁を有さない場合には対向面61)よりも蓋部材6の高さ方向の外側(
図3A中、上側)に突出して延びている。より詳細に説明すると、第1および第2係合部64a、64bはそれぞれ、蓋部材6の高さ方向に蓋部材6の外側に向かって延びた後、回転軸X方向に対して垂直方向(蓋部材6の幅方向)でヒンジ7側に向かって湾曲して延びる爪状に形成されている。第1および第2係合部64a、64bはそれぞれ、ケース本体5および蓋部材6が開放位置(
図1の位置)から閉鎖位置(
図2の位置)へと互いに対して相対回転する際に、ケース本体5の第1および第2被係合部55a、55bのそれぞれを構成するヒンジ側壁部HWを含む枠体内の貫通孔THに挿入されるように構成されている。第1および第2係合部64a、64bが貫通孔THに挿入された後、第1および第2係合部64a、64bの蓋部材6の高さ方向に蓋部材6の外側に向かって延びる部位が、ヒンジ側壁部HWの内面と係合可能となり、第1および第2係合部64a、64bのそれぞれのヒンジ7側に向かって湾曲して延びる部位が、ヒンジ側壁部HWの下面と係合可能となる(
図4D参照)。
【0040】
第1および第2係合部64a、64bは、
図4A~
図4Dに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が開放位置(
図1の位置)から閉鎖位置(
図2の位置)へと互いに対して相対回転する際に、ケース本体5に対してケース本体5の幅方向で回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6が相対移動しようとした場合に、ケース本体5の外側壁部56に当接するように配置されている(
図4D参照)。第1および第2係合部64a、64bがケース本体5の外側壁部56に当接することで、ケース本体5に対してケース本体5の幅方向で回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6が相対移動するのが規制されるとともに、第1および第2係合部64a、64bがケース本体5の第1および第2被係合部55a、55bへと案内される。ここで、第1および第2係合部64a、64bは、
図4Aに示されるように、ケース本体5と蓋部材6との間の相対回転の回転方向RDに沿って湾曲している。より具体的には、第1および第2係合部64a、64bはそれぞれ、蓋部材6の高さ方向で蓋部材6の外側に向かって延びた後、回転軸X方向に対して垂直方向(蓋部材6の幅方向)でヒンジ7側に向かって、相対回転の回転方向RDに沿って湾曲して延びている。さらに、第1および第2係合部64a、64bはそれぞれ、回転軸X方向に対して垂直方向でヒンジ7側に向かって延びた後、蓋部材6の高さ方向で蓋部材6の内側に向かって、相対回転の回転方向RDに沿って湾曲して延びている。第1および第2係合部64a、64bが相対回転の回転方向RDに沿って湾曲することで、ケース本体5および蓋部材6が開放位置から閉鎖位置へと互いに対して相対回転する際に、第1および第2係合部64a、64bは、ケース本体5の外側壁部56に当接しても、当接しながらスムーズに回転できるので、ケース本体5と蓋部材6との間の相対回転がスムーズに行われ、結果としてヒンジの破損を抑えることができる。なお、第1および第2係合部64a、64bは、本実施形態では互いに同じ構造を有しているが、互いに異なる構造を有していてもよい。また、第1および第2係合部64a、64bは、本実施形態ではケース本体5に向かって蓋部材6の外側に突出して延びているが、ケース本体5に設けられる場合には、蓋部材6に向かってケース本体5の外側に突出して延びるように設けられる。
【0041】
第3~第5係合部64c~64eは、本実施形態では、
図1および
図3Aに示されるように、蓋部材6の幅方向のヒンジ7が設けられた側とは反対側の端部に設けられている。より具体的には、第3~第5係合部64c~64eは、蓋部材6の第8側壁63bに設けられている。第3~第5係合部64c~64eは、ヒンジ7が設けられた側とは反対側に設けられることで、より確実に、閉鎖位置(
図2の位置)から開放位置(
図1の位置)へ向かうケース本体5と蓋部材6との間の相対回転を規制して、ケース4の閉鎖状態を維持することができる。第3~第5係合部64c~64eは、本実施形態では、第8側壁63bの回転軸X方向における両方の端部側と、両端部間の略中間位置とに設けられている。より具体的には、第3および第5係合部64c、64eは、第8側壁63bの回転軸X方向における第5および第6側壁62a、62bの外側の端部側(蓋部材6の回転軸X方向の両端部)に設けられている。また、第4係合部64dは、第8側壁63bの回転軸X方向における両端部間の略中間位置に設けられている。第3~第5係合部64c~64eは、回転軸X方向に沿って、略等間隔で一列に並んで配置されている。第3~第5係合部64c~64eは、第8側壁63bの回転軸X方向に沿って両端部間に並んで設けられることで、より確実に、ケース本体5と蓋部材6との間の相対回転を規制して、ケース4の閉鎖状態を維持することができる。
【0042】
第3~第5係合部64c~64eは、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制するように、対応するケース本体5の第3~第5被係合部55c~55eと係合することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、第3~第5係合部64c~64eは、第1および第2係合部64a、64bと同様の構造を有しており、対応するケース本体5の第3~第5被係合部55c~55eとともに、スナップフィット構造を構成する。なお、第3~第5係合部64c~64eは、本実施形態では互いに同じ構造を有しているが、互いに異なる構造を有していてもよい。
【0043】
蓋部材6は、
図1、
図3Aおよび
図3Bに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図2の位置)にある状態で、ケース本体5に向かう方向とは反対方向の蓋部材6の内側に、ケース本体5の外側壁部56と当接可能な内側壁部65を有している。ここでいう「蓋部材6の内側」とは、蓋部材6の開口を画定する蓋部材6の側壁(第5~第8側壁62a、62b、63a、63b)の上面により形成される平面(蓋部材6が側壁を有さない場合には対向面61)に対して垂直方向で、蓋部材6の側壁の上面により形成される平面(蓋部材6が側壁を有さない場合には対向面61)よりも、ケース本体5に向かう方向とは反対方向の側(
図3A中、下側)のことを意味する。つまり、内側壁部65は、蓋部材6の開口を画定する側壁の上面により形成される平面(蓋部材6が側壁を有さない場合には対向面61)よりも蓋部材6の高さ方向の内側(
図3Aおよび
図3B中、下側)に設けられている。そして、内側壁部65は、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある状態で、蓋部材6がケース本体5に対してケース本体5の幅方向で回転軸Xから離れる方向に相対移動するようにケース本体5および/または蓋部材6に荷重が付与された際に、外側壁部56に当接して蓋部材6の相対移動を規制するように配置される。したがって、内側壁部65は、ケース本体5の外側壁部56と当接することで、ケース本体5に対してケース本体5の幅方向で回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6が相対移動するのを抑制し、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制することができる。なお、すでに上述したように、本実施形態では、外側壁部56がケース本体5に設けられ、内側壁部65が蓋部材6に設けられているが、外側壁部が蓋部材に設けられ、内側壁部がケース本体に設けられていてもよい。その場合、内側壁部は、ケース本体の内側に設けられる。
【0044】
内側壁部65は、ケース本体5の外側壁部56と当接して、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制することができれば、設けられる位置や数は特に限定されることはない。内側壁部65は、本実施形態では、
図1および
図3Aに示されるように、蓋部材6の幅方向のヒンジ7が設けられた側の端部側に設けられている。より具体的には、内側壁部65は、蓋部材6の第7側壁63aに隣接して設けられている。内側壁部65は、ヒンジ7に隣接して設けられることで、より確実に、ヒンジ7近傍におけるケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制して、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制する。内側壁部65は、第7側壁63aの回転軸X方向における両方の端部側のそれぞれに隣接して1つずつ設けられている。より具体的には、内側壁部65は、第7側壁63aの回転軸X方向における第1および第2側壁52a、52bの外側の端部側(蓋部材6の回転軸X方向の両端部)に隣接して設けられている。第7側壁63aの回転軸X方向における端部側の両方に内側壁部65が設けられることで、ケース本体5に対する摺動面51に沿った蓋部材6の捩れが規制され、より確実に、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。特に、本実施形態では、内側壁部65は、
図1および
図3Aに示されるように、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある状態で回転軸X方向に対して垂直方向(蓋部材6の幅方向)に見たときに、回転軸X方向の所定領域に亘って、第1および第2係合部64a、64bのそれぞれ、ならびに第3および第5係合部64c、64eのそれぞれにオーバーラップする位置に設けられている。すなわち、内側壁部65は、第1および第2係合部64a、64bのそれぞれ、ならびに第3および第5係合部64c、64eのそれぞれと、回転軸X方向でほぼ同じ位置に設けられている。これにより、たとえば、第1および第2係合部64a、64bならびに第3および第5係合部64c、64eが、ケース本体5の対応する第1および第2被係合部55a、55bならびに第3および第5被係合部55c、55eと係合する際に、蓋部材6がケース本体5に対して回転軸Xから離れる方向に摺動面51に沿って相対移動するようにケース本体5および/または蓋部材6に荷重が付加されたとしても、ケース本体5に対する摺動面51に沿った蓋部材6の捩れが規制され、より確実に、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0045】
内側壁部65は、ケース本体5の外側壁部56と当接することで、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制することができれば、その形状は特に限定されることはない。本実施形態では、内側壁部65は、外側壁部56との当接面65aが回転軸X方向に対して平行で対向面61に対して略垂直に延びるように形成されている。つまり、内側壁部65の外側壁部56との当接面65aは、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置(
図2の位置)にある状態で、外側壁部56の当接面56aと対向する位置にあり、ケース本体5に対してケース本体5の幅方向で回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6が相対移動する方向に対して略直交している。これにより、上述したケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を生じさせようとする負荷に対して最大限に対抗することができるために、より確実に、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制することができる。
【0046】
ヒンジ7は、ケース本体5および蓋部材6がヒンジ7を中心に互いに対して相対回転可能なように、ケース本体5と蓋部材6とを接続する部材である。ヒンジ7は、ケース本体5と蓋部材6とを相対回転可能に接続することができれば、その構成は特に限定されることはない。たとえば、ヒンジ7は、本実施形態では、
図1および
図3Aに示されるように、回転軸X方向に沿って略等間隔で並んで設けられた3つのヒンジを備えている。しかし、設けられるヒンジは、少なくとも1つあればよく、その数は特に限定されない。
【0047】
ヒンジ7はそれぞれ、本実施形態では、
図5に示されるように、ケース本体5に接続されるケース本体側端部71と、蓋部材6に接続される蓋部材側端部72と、ケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間に延びる本体部73とを備えている。ケース本体側端部71は、ケース本体5の第1および第2被係合部55a、55bが設けられた第3側壁53aに接続され、蓋部材側端部72は、蓋部材6の第1および第2係合部64a、64bが設けられた第7側壁63aに接続されている。ヒンジ7の本体部73は、ケース本体5および蓋部材6が互いに対して相対回転する際に、ケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間の略全体に亘って、湾曲するように形成されている。ヒンジは、両端部間の中心部分だけが屈曲されるように形成されているのが一般的である(たとえば、
図6A~
図6Dを参照)。その場合、ケース本体および蓋部材の相対回転を繰り返して開閉動作を繰り返すと、両端部間の中心部分に負荷が集中して破損し易くなる。しかし、本実施形態の場合、ケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間の略全体に亘って本体部73が湾曲することで、特定の箇所に局所的に負荷を受けることが抑制されて、破損を抑制することができる。同様の観点から、本体部73は、ケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間の略全体に亘って、略同一の曲率で湾曲するように形成されることが好ましい。これにより、本体部73が受ける負荷はその長さ方向の全体に亘って分散されるので、より確実に、局所的な負荷による破損を抑制することができる。
【0048】
ヒンジ7の本体部73は、ケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間の略全体に亘って湾曲するように形成されていればよく、その構造は特に限定されることはない。本実施形態では、本体部73は、
図1、
図3Aおよび
図5に示されるように、全体として板状に形成され、ケース本体側端部71および蓋部材側端部72からケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間の中心部分に向かって略一定の割合で連続的に薄くなるように形成されている。そして、本体部73は、特定の箇所で屈曲しないように、折り目が設けられていない。これにより、本体部73は、ケース本体側端部71と蓋部材側端部72との間の略全体に亘って湾曲する。
【0049】
つぎに、
図4A~
図4Dを参照して、
図6A~
図6Dの従来技術の例と比較しながら、本実施形態のケーブル連結機構1のケース4の閉鎖動作について説明する。しかし、以下の説明は一例であり、本発明のケーブル連結機構は、以下の説明に限定されることはない。
【0050】
本実施形態のケーブル連結機構1のケース4では、ケース本体5を蓋部材6で閉鎖するために、ケース本体5および蓋部材6が開放位置にある
図4Aに示された状態から、ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある
図4Dに示された状態まで、蓋部材6をケース本体5に対してヒンジ7(回転軸X)を中心に相対回転させる。蓋部材6をケース本体5に対して相対回転させる際に、蓋部材6がケース本体5に対してケース本体5の幅方向でヒンジ7(回転軸X)から離れる方向に相対移動すると、
図4Cに示されるように、蓋部材6の外側に突出して延びる係合部64bが、ケース本体5の外側壁部56に当接する。これにより、蓋部材6が、相対回転時にケース本体5に対してヒンジ7(回転軸X)から離れる方向に移動するのが抑制されるので、ヒンジ7に加わる負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。そして、係合部64bが相対回転の回転方向RDに沿って湾曲しているので、蓋部材6をケース本体5に対して
図3Cに示された状態からさらに回転させた場合に、係合部64bが外側壁部56の当接面56aに当接しながら回転して、ケース本体5に設けられた貫通孔TH内に導かれる。それによって、蓋部材6の相対回転がスムーズに行われて、相対回転時のヒンジ7への負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。蓋部材6をケース本体5に対してさらに相対回転させると、係合部64bは、
図4Dに示されるように、貫通孔THを通ってケース本体5の被係合部55bにまで案内される。被係合部55bにまで案内された係合部64bは、ケース本体5の摺動面51に対して垂直方向に摺動面51から離間する方向(
図4D中、上側)に蓋部材6が相対移動しようとすると、被係合部55bの一部であるヒンジ側壁部HWの下面と係合し、蓋部材6がケース本体5の摺動面51から離間する方向にヒンジ7(回転軸X)を中心に相対回転するのを規制する。これによって、ケース4の閉鎖状態が維持される。また、係合部64bは、ケース本体5の幅方向でヒンジ7側へと蓋部材6が相対移動しようとすると、被係合部55bの一部であるヒンジ側壁部HWの貫通孔TH側の内面と係合し、ケース本体5の幅方向でヒンジ7側へと蓋部材6が相対移動するのを規制する。これによって、ケース4の閉鎖状態が維持されるとともに、ヒンジ7への負荷が軽減され、ヒンジ7の破損が抑制される。
【0051】
ケース本体5および蓋部材6が閉鎖位置にある
図4Dに示された状態では、蓋部材6がケース本体5に対してヒンジ7(回転軸X)から離れる方向に(
図4D中、左方向に)相対移動するようにケース本体5および/または蓋部材6に荷重が付与されると、ケース本体5の外側壁部56と蓋部材6の内側壁部65とが互いに当接することで、蓋部材6の相対移動が規制される。たとえば、ケース本体5と蓋部材6とが係合する際に、蓋部材6の第3~第5係合部64c~64e(
図1参照)とケース本体5の第3~第5被係合部55c~55e(
図1参照)との間のスナップフィット係合により、ケース本体5に対して回転軸X(ヒンジ7)から離れる方向に蓋部材6を相対移動させる負荷が加わる場合がある。特に、ケーブル連結機構1が置かれる環境の温度が低ければ低いほど、第3~第5係合部64c~64eおよび第3~第5被係合部55c~55eがスナップフィット係合時に変形しにくくなるため、蓋部材6をケース本体5に対して相対移動させようとする負荷が大きくなる。そのような場合であっても、外側壁部56と内側壁部65とが互いに当接することで、ケース本体5と蓋部材6との間の相対移動を規制して、ヒンジ7に加わる負荷を軽減し、ヒンジ7の破損を抑制することができる。
【0052】
ここで、
図4A~
図4Dに示されるように、ケース本体5の外側に突出する外側壁部56が、蓋部材6の内側にある内側壁部65よりも、ケース本体5および蓋部材6の相対回転の径方向における外側に位置している。これにより、
図4Cに示されるように、蓋部材6の内側壁部65のケース本体5側の先端の回転軌跡(図中の二点鎖線を参照)が、ケース本体5の外側壁部56と重なることがない。したがって、ケース本体5を蓋部材6で閉じる際に外側壁部56と内側壁部65との間の干渉(衝突)が抑制され、ヒンジ7に対する負荷が抑制され、ヒンジ7の破損が抑制される。さらに、外側壁部56と内側壁部65との間のクリアランスを、相対回転時の干渉を抑制しながらも小さくできるので、閉鎖状態においても、相対移動の規制効果を高めることができる。それに対して、
図6A~
図6Dに示される従来技術の例では、蓋部材Lの外側に突出する外側壁部L1が、ケース本体Cの内側にある内側壁部C1よりも、蓋部材Lおよびケース本体Cの相対回転の径方向における内側に位置している。これにより、
図6Bに示されるように、蓋部材Lの外側壁部L1のケース本体C側の先端の回転軌跡(図中の二点鎖線を参照)が、ケース本体Cの内側壁部C1と重なる。したがって、
図6Cに示されるように、ケース本体Cを蓋部材Lで閉じる際に、外側壁部L1と内側壁部C1とが互いに干渉(衝突)する。外側壁部L1と内側壁部C1とが互いに干渉すると、ヒンジHに対して負荷がかかり、ヒンジHを破損させる可能性がある。本実施形態のケーブル連結機構1では、ケース本体5の外側に突出する外側壁部56が、蓋部材6の内側にある内側壁部65よりも、相対回転の径方向外側に位置付けられることで、外側壁部56と内側壁部65との間の干渉を抑制し、ヒンジ7の破損を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態のケーブル連結機構1では、蓋部材6をケース本体5に対して相対回転させると、
図4B~
図4Dに示されるように、ヒンジ7がその長さ方向の全体に亘って湾曲する。たとえば、
図6A~
図6Dに示された従来技術のように、ヒンジHの長さ方向の略中心部分に折り目H1が設けられていると、ヒンジHの長さ方向の略中心部分だけが大きな曲率で曲がってしまうので、その部分に局所的に負荷がかかって、破損しやすくなる。それに対して、本実施形態のケーブル連結機構1では、ヒンジ7の長さ方向の全体に亘ってヒンジ7が湾曲するので、局所的に曲率が大きくなることが抑制されて、ヒンジ7の破損を抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ケーブル連結機構
21a、21b ケーブル
22a、22b アウターケーシング
23a、23b ケーブルエンド
3 接続対象
31 一方側係止部
32 他方側係止部
4 ケース
5 ケース本体
51 摺動面
52a 第1側壁
52b 第2側壁
52c ケーブル導出部
53a 第3側壁
53b 第4側壁
54 アウターケーシング固定部
54a 凹部
54b 離脱防止リブ
55a~55e 第1~第5被係合部
56 外側壁部
56a 当接面
56b リブ
6 蓋部材
61 対向面
62a 第5側壁
62b 第6側壁
63a 第7側壁
63b 第8側壁
64a~64e 第1~第5係合部
65 内側壁部
65a 当接面
7 ヒンジ
71 ケース本体側端部
72 蓋部材側端部
73 本体部
HW ヒンジ側壁部
RD 回転方向
S 内部空間
SD 摺動方向
TH 貫通孔
X 回転軸